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2023 年 12 月 06 日 10:15

お客様の立場に立つ

 昔から営業や接客などで「お客様満足」を高めていくには、お客様の立場になる、お客様の目線になって考えることが大切だと言われています。ただ「お客様の立場に立つ」というのは意外と難しいもの。
 そもそも、自分と相手は違う人間。相手のことはわからないのが普通です。しかも、売る側になると、つい売ろうという意識が強くなり、買う側の気持ちになかなか寄り添えません。
 ましてや知識も経験があるプロ。お客様は素人。素人であるお客様が高い買い物をする時の不安や、そこにお金を出そうとする時にどんな気持ちになるのか。経験があるほど、お客様の気持ちがわかりにくくなってしまうのかもしれません。
 「相手の立場に立つ」というのは、相手のことがいかに自分事として考えられるかということです。難しいとはいえ、高い買い物をする時ほど、自分のことのように考えてくれる人に対応してもらえると信頼は高まります。

 先日、あるリフォーム会社で常に優秀な成果を出す一人の女性営業スタッフの方のお話を聞く機会がありました。成績は全国トップクラス。他の人の何倍も売る人だと聞いていたので、さぞ提案力や知識がある人かと思っていたのですが、その人が信頼されているのは、テクニックや知識ではなく、「お客様が、もし自分の家族なら」と考える、営業の姿勢でした。
 お客様を逃がしたくない、何とか売り込みたいと思ってしまうと、つい、これが良い、こんな住まいが良いと売り込みや提案をしてしまいそうですが、その人は、お客様を自分の家族と思い、その方がどんな暮らしをしたいか、何を望まれているのか、リフォームに対するお気持ちを最初に徹底的に伺って寄り添っていくそうです。

 売り手である前に、お客様を自分の家族や親戚のように思う。そうすると、だんだんと自分事のようになり、お客様が「こうしたい」と希望されたことに対しても「それよりはこうした方がよい」と一緒に考えたり、時には「今は、このまま使う方がいい。リフォームしない方がいい」と言ってしまうこともあるそうです。そんな姿勢で、工事が終わるまで家族の一員のように付き添うのが彼女のスタイル。断ってしまうと、売れなくなるのではと思いましたが、彼女の親身な姿勢にお客様は心から感動し、次々と契約が生まれているのだそうです。

 自分の家族がお客様ならと想像すると、確かに無理な販売はしない。家族だと思えば、時には「それはやめた方がいい」ということもあるもしれません。「お客様が自分の家族だったら」という視点はシンプルですが、お客様を自分事としてとらえる上で、いちばん良い方法なのかもしれません。BtoBならば、自分がもし、その会社の社員なら、経営者なら、製造する人なら、「もし、自分の家族が使うとしたら」と考えることでしょうか。
 そう考えることで、本当の意味でお客様目線で聞くことができ、真のお客様志向が生まれてくるのかもしれません。

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2023 年 10 月 17 日 18:11

組織の壁の壊し方

 組織の壁、部門の壁というのは、昔からよく聞く話ですが、壁というのはなぜ出来てしまうのでしょうか。

 先日、顧客満足が高いホテル、大阪の「道頓堀ホテル」の経営改革の話を伺う機会がありました。
道頓堀ホテルは、今でこそ稼働率9割を超える顧客から人気の高いホテルですが、20年ほど前は、組織の中に厚い壁がいくつもある古い体質の会社で、経営は赤字になっていたそうです。当時から働く料理長に伺うと、その当時は、他の部門の人と口をきくこともなく、それぞれが自部門のことだけを考える風土だったそうです。調理部門は「美味しい料理」を作るプロであり、それを提供するのが仕事。営業部門やサービス部門から、何か依頼されたとしても、「こっちには関係がない」「料理にケチをつけるな」とまったく相手にしない。「他部門は敵だ」というくらいに感じていて、大きな壁がいくつもあったそうです。

 そうした状況の中で、三代目の経営者によって道頓堀ホテルの経営改革が始まったのですが、料理長にとって壁を超える転機になったのは、それぞれの部門長と参加した外部の勉強会だったそうです。最初は嫌々参加していた勉強会でしたが、回を重ね、飲み食いをしているうちに少しずつお互いを知るようになり、他の部門がどれだけ大変なのか、どんな思いで働いているかがわかるようになりました。そんな中で、少しずつ他部門への気持ちが変わっていったそうです。無理やりでも参加した「共通体験」の場がわかり合う機会になった、と言われていました。
 その勉強会では、自分の仕事の目的を考える機会があったそうです。何のために仕事をしているのか。その問いに向かっていく中で、調理部門は、本当は料理を作ることが目的ではない、料理を通してお客様に喜んでもらうことが目的だと気づかれます。美味しいものを作るのが本来の料理人であるという昔堅気の世界で育った料理長にとって、大きな価値観の転換。しかし、「目的」がわかると、料理を運んでくれる人、宴会を受注してくれる人など他部門への見方も変わり、会社の理念が改めて腹に落ちたと言われていました。
 それぞれの部門で、各部門の目的の先にある「大きな目的」が腹に落ち、「部門は違っても私たちは同じ目的に向かっている仲間だ」と感じられるようになると、自然と協力や助け合いが生まれ、当然、お客様からの評価も高くなり、顧客満足もどんどん上がっていったそうです。

 会社に限らず、家族でも、スポーツでも、人と人との行き違いは「わかりあえていない」ことから生まれるもの。「わかりあえていない」状態をほっておくと「壁」が生まれ、余計にわかり合えなくなり、敵対心まで生まれてしまいます。最初はストレスがあったとしても、やはり、時間をかけても、じっくりと話し合うことがいちばん大事なのでしょうか。
 しかし、そもそも、何のために部門があるのかと考えれば、全体で良いものを生み、お客様に満足していただくために生まれたもの。その共通の目標、目的を忘れるから、壁が生まれる。とすれば、壁があるのは、数字ばかりに目が向いて、理念が形骸化したり、蔑ろにされているのかもしれません。

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2023 年 10 月 03 日 17:22

空気の影響力

 いい会社を訪問すると「良い空気」を感じます。
 士気が高い、みんなが笑顔、助け合って働いている。活気があり、いきいきとした空気があります。

 「空気」というのは、人の心が作り出す全体的を包む雰囲気。日本人は、この空気に左右されやすいと言いますが、私たちは、何となくその場の空気につい影響を受けてしまいます。
 例えば、野球。終盤に大きな点差になるとベンチが「負けムード」になる。そうなると、今まで声を出していた選手が声を出さなくなり、やる気も下がる。いつもなら出ないようなミスが出たりする。
 会社の会議でも、上司が一方的に話をしている時は、何か反対意見を言いにくい空気が生まれます。おかしいなと思っても、みんな黙ってしまう。

 しかし、野球でも、ヒットが続き、「やれるぞ」という空気になると、昨日打てなかった人がヒットを打つ。勝ちムードになると作戦も上手くいくことがあります。
 会議でも、みんなが笑顔で、意見をどんどん発言するような空気の時は、新人も何となく自分も意見を言わなくてはと思い、発言する。上司が笑顔でいるだけで、反対意見を言ってもいいという気になる時もある。「空気」は、悪い方向にも影響していくし、良い方向にも影響します。

 しかし、「空気」は見えないし、科学的に解決するものでもなく、なかなか手が出しにくい。ただ、組織の空気が悪いと、社員の士気は下がり、仕事も停滞する。挑戦も生まれないし、長く続くと息苦しくなることもあり、空気が社員満足に影響することもあります。「こうしたらもっと良くなる」と、もしもいいアイディアを持っていても、言い出しにくい空気では意見を出しにくい。先輩に相談しても、ムスッとされると意見を言うのも嫌になる。みんながそんな空気になっている時に、やる気など出るはずがない。

 では、どうすれば、「良い空気」をつくれるか。やはり、いい空気も悪い空気も、作っていくのはその場のリーダーなのだろうと思います。しかし、負けムードの時に、一人の選手が声を出し始めて、一気に空気が変わることもあるように、リーダー以外の人であっても、空気を変えることできるのかもしれません。あえて空気を読まない人が空気を変える時もあります。

 職場の「空気」とは、つまり組織風土。良い「空気」が社員のやる気を高め、満足につながっていくとすれば、「よい空気」をつくっていくことがいちばん大事なのかもしれません。
 あなたの職場は、今、どのような空気ですか。

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2023 年 09 月 21 日 10:22

公私が混ざる職場

 いきいきと働く職場づくりを考える上で、メンバー同士の協力関係は欠かせません。
 以前、社員満足度の高いネッツトヨタ南国の職場で働く人に「この職場のどんなところがいいですか?」とインタビューをした時、ある女性スタッフが「ここのメンバーはみんな協力体制ができているんです。私は子育てをしながら働いているのですが、今日も子どもが急に熱を出ししていまい、病院に連れていかなければならなくなったんですが、みんなが私の仕事を助けてくれるんです。このメンバーじゃなかったら、今の私はいないと思います」と話してくださったことがあります。
 困った時に助けてくれる人がいる。応援してくれる人が傍にいる。仕事の悩みはもちろん、家族の悩みまで相談できる職場。そんな職場だからこそ、人は思い切って働けるのだと思います。

 子育てをしながら働く、病気の親の面倒を見ながら働く。多くの人がいろんな事情を抱えながら働いていると思います。私自身も少し前まで認知症になってしまった親の面倒を見ていましたが、仕事と親の世話の両立は大変でした。仕事と私生活は分けるべきだという意見もあるかもしれませんが、家庭に問題があれば仕事中も気になりますし、家庭のことをしている時でも仕事のことは気になってしまう。私生活と仕事を分けるのは無理なことではないでしょうか。

 お互いにいろんなことが相談できる。いろいろな家庭の事情を気軽に話ができて、職場の仲間がその人の事情を考えメンバー同士で相談しながら、最適な仕事をする。家庭の事情を職場に持ち込むなではなく、もっと家庭の事情を持ち込んでいく方が、全体としての効率が上がっていくのかもしれません。今、うちの会社にも、病気の子供を抱えながら、小さな子供の面倒をみながら働く社員がいますが、みんながその事情を察し、助け合って働くことで良いチームワークが生まれています。
 公私混同という言葉は良くない意味で使われることがありますが、良い意味もあるのかもしれません。

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2023 年 08 月 08 日 17:41

どんな時も理念が優先

 日曜日、スターバックスさんのお店に入ると、広い店内はお客様でいっぱい。座れないお客様が待っておられました。席には、本を読む人、教科書を広げて勉強をする人、パソコンを出して仕事をする人。それぞれが自分の休日を楽しんでおられます。この店なら、ゆっくりと過ごせるという雰囲気があるからだと思いますが、経営する側は、長居されるお客様について、本当はどう思っておられるのか。

 スターバックスさんの本を読ませていただくと、やはり、同社へのいちばんのクレームは「座れない」ということだそうです。しかし、だからといって、時間制限したり、お客様を急き立てるようなことは絶対にしないのが同社のポリシー。「人々の心を豊かで活力のあるものにするために」というミッションを業績より大事にして、経営をしてこられた会社です。アルバイトさんも、社員の人も、みんながこのミッションに共感して働いておられるので、その空気がお店全体からから伝わってきます。店舗もゆっくりできる空間ですが、スタッフの想いがお店の雰囲気をつくり、このお店でしか味わえない体験を求めるファンが生まれているのだと思います。

 しかし、経営である以上、業績が悪くなると企業は存続できません。スターバックスも昔、大きな危機があり、大量のお店を閉店してしまったことがあるそうです。それでも、この理念優先の経営方針を絶対に変えることはなかったそうです。もう一度原点に戻り、1万人のリーダーが集まる会議で存在意義確認したそうです。そこから業績が再び上昇。危機を乗り越えたのも理念でした。
 日本のスターバックスさんも、このミッションを大事にされています。「何のために私たちが存在するのか」。何度も何度も、事業の目的・ミッションを伝え、考えてもらう。スタッフの初期教育に70時間もかけられると伺っています。

 会社が本来の目的を忘れてしまうと、利益が目的になってしまう。そうなれば、現場は利益をあげるための行動を優先する。その行動が長年のファンを裏切ることになり、お客様が離れる。だからこそ、どんな時も理念を優先する。スターバックスさんの強さは、理念への強いこだわりだと思います。

 ひと昔前、日本でも「理念みたいな、きれいごとで飯が食えるか」と、経営理念より業績が大事という論調もありました。しかし、理念を忘れた経営が問題になっています。今は、「理念がないと飯が食えない」という時代がきているのかもしれません。

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2023 年 08 月 01 日 09:58

おもてなしは、自由に。

 お客様へのおもてなしは一律であるべきか。
 先日、ある勉強会の中でこんな議論をしていました。
 例えば、お客様への誕生日のお祝い。あるお客様にはしてあげた。しかし、他のお客様にはしない。これでは不公平になるのではないか。社内でこうした議論があって、結局、その会社では、やらないことにしたそうです。確かに、差がついてクレームが起こるかもしれないと思えば、怖くなります。

 しかし、そうしたことを一切気にせずに、お客様満足に取り組んでいる会社もあります。
 北九州の美容室バグジー。おもてなしで有名な美容室です。
 バグジーのスタッフは、お客様が誕生日だと聞けば、誕生日のお祝いをしたり、雨が降ってきたら、お客様の自転車が濡れないようにサドルにビニールをかぶせてあげたり、気が付いたスタッフが、主体的にお客様のために動いていくお店です。

 バグジーには、おもてなしのルールやマニュアルは一切ありません。誕生日のお祝いも、やっても良いし、やらなくても良い。おもてなしは、スタッフに任せられています。確かにバラつきがあると言えばあるのですが、こうしたやり方を長年続けているバグジーには、不公平だというようなクレームは一度も来たことはないそうです。

 もちろんバグジーにも「購入者への特典や割引」など、店として実施するサービスはあり、一律にされることは他と同じようにされています。
 しかし、「サービス」と「おもてなし」は別物。おもてなしは、気配りや心配りと言われるように、本来、一律では行うことはできません。足が悪い方がこられたら、席を用意して休んでいただく。雨に濡れた方が来られたら乾いたタオルをお持ちする。その人が、相手の状況を見て、気持ちが動いたら行動する。何かしてあげたいという気持ちが行動をつながっていくもの。双方の心の交流がおもてなしです。だから、おもてなしは、その場限りのもの。もし、されていない人がいたとしても、その人は決して損をしたという気持ちにはなりません。

 バグジーの久保社長は、「一律に提供しなければと思って躊躇してしまうより、まず、やってみた方がいい」と言われます。もちろん、範囲や枠はある程度指示をしたとしても、「あとは、好きにやっていい」と、スタッフに自由にやってもらう。きっと、この方が「おもてなし」はうまくいくのでしょう。「決められたこと」をやれといわれるより、自由にやっていいという方が、スタッフにとってもやりがいがあるはず。
 おもてなしは、形より、お客様を喜ばせたいという真心が一番大事なのではないでしょうか。

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2023 年 06 月 20 日 14:39

働きがいと若手の成長

 今、若い人の育成に課題を抱えている企業が多いそうです。主体性がない、指示待ちになってしまう人が多い。3年も経たずに離職してしまう。教育に悩んでいる会社は多いと思います。
 どれだけ良い待遇であっても、この場所では自分は成長できない、働く意味がないと感じたら、大企業でも辞めていく人もいると聞きます。若い人たちがどうすれば成長してもらえるのか。なかなか答えが出ない問題です。

 そんなことを考えているとき、いつも通っている美容室に行きました。昨年から私のシャンプーを担当してくれる今年2年目のスタッフの方と話をしていたのですが、この仕事が楽しいと感じているようで、日々の仕事が充実している感じが伝わってきました。
 この会社ではスタッフが美容師としてデビューするまで綿密な教育カリキュラムがあり、シャンプーやカットなど、何十種類もある技術を自分で身に付け、社内テストに合格しなければお客様にすることはできないという決まりがあるそうです。アシスタントは、お客様の髪を切ることはまだできませんが、技術を身に付ければつけるほどできることが増え、お店はより回るようになります。
 ただ、1年目は仕事を覚えることに必死で、心に余裕がなかったそうです。しかし、だんだん先輩の手伝いができるようになってくると、ありがとうと言われることも増え、「少しだけだけど店に貢献できている」という手ごたえも感じるようになってきたとか。去年合格した「シャンプー」も、一生懸命やっているとお客様から「気持ちよかったよ」と褒められる場面も出てきて、またやる気が出る。この4月に初めて後輩ができ、人を教える立場になり、それが自分の成長を見つめるいい機会になっているようです。
 「働きがい」という少し大げさかもしれませんが、彼女は少しずつ働くことの楽しさや喜びを感じるようになってきたのかもしれません。今は、次の技術の習得と後輩の成長支援をしていきたいと話してくれました。

 自分が成長する嬉しさ。人に役立てる嬉しさ。誰もそうだと思いますが、一度この喜びを体験すると、仕事の意味が変わってきます。仕事はただお金を稼ぐことだと思っていた人が、働くことにそれ以上の意義を感じる瞬間。「働きがい」を感じれば感じるほど、もっと成長したい、もっと頑張ろうと思えるのではないでしょうか。1年目、2年目の最初の頃に、どれだけこの「働く喜び」を感じさせてあげられるか。若手の育成はここにかかっているような気がします。

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2023 年 06 月 14 日 17:30

創業者からの伝言

 誰もが知っているウォシュレットなど革新的な商品で有名なTOTOグループ。そのTOTOグループには「どうしても親切が第一」という価値観が先代から受け継がれているそうです。初代社長である大倉和親氏が、二代目社長に送った書簡に記されたものの中にこんな文章が書かれていたそうです。

「どうしても親切が第一、良品の供給、需要家の満足が掴むべき実体で、その実体を握り得れば、結果として報酬という影が映る」

 利益はあくまでも影であり、追い求めるものは影ではなく、良い商品をつくること、お客様の満足であるから、我々はどんな時でも、どうしても「親切」「誠実」が第一で、「お客様思い」であるべきだ。その前提で事業を行えば、必ず利益である影はついてくる。TOTOらしさを忘れるな、と代々伝えてられているそうです。

 考えてみれば、大企業であれ、中小企業であれ、今、地域や顧客から指示され伸び続けている会社はどこも同じかもしれません。判断軸はいつも、どうすればお客様に喜んでもらえるか、どうすれば役に立てるか。あくまでも「実体」を追い続ける。「きれいごと」だけでは経営はできない。そんな声もある中でも信念をぶらさず、ずっと「きれいごと」を追求されてきた会社が今、顧客から支持されているのかもしれません。

 しかし、企業は利益が出なくなれば倒産してしまいます。いつも、この「きれいごと」と「影」の天秤に悩み、迷うことがあるものまた事実。創業者がこうやって大事なことを次の世代に渡そうとするのは、きっと、それがわかっているから。迷いが出た時こそ思い出せという教えなのかもしれません。
 理念は判断に迷った時の羅針盤と言いますが、ぶれない軸のためには本当に大切なものだと思います。

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2023 年 05 月 16 日 15:34

一生懸命の力

 仕事が好きだ、楽しい。いつもこの気持ちで働けていれば、自分の心も明るくなるし、仕事の成果も生まれていくはずです。だからこそ、昔から自分の仕事を好きになれということを言われてきました。
 では、どうすれば、好きになるのか?私自身が多くの先輩から教わったことは、今の仕事を一生懸命にやることだということでした。一生懸命とは、どうすればより良くなるかと、自分で考え、試し、うまくいくまでやり遂げていくことだ。そうやって仕事をしていると、仕事が好きになる、楽しくなると言われて新人時代を過ごしました。
 好きだから一生懸命になれるのではなく、一生懸命にやったからこそ、仕事が好きになる。こんなプロセスを何度も経験した気がします。何事にも一生懸命にやるというスタンスを新人時代に身に付けた人は、きっと、どんな仕事についてもその仕事が好きになり、成功できるのではないでしょうか。

 先日、ある自動車販売店の女性スタッフにお話を伺いましながら、そんなことを思い出しました。お客様のおもてなしなどをするショールームアシスタントに配属されたのですが、このお店を良くするために、ここにいる自分がもっと役に立てることは何かと考えました。自分には営業も修理もできない。でもお客様とお話することはできる。そこで、すべての来場者に声をかけお話をすることに挑戦したそうです。続けていくとお客様が笑顔になってくださる。また会話の中で、ふとお客様が「車を検討している」とか「困っている」という声を聴くようにもなりました。彼女はそれを営業に伝えたり、自分で記録して次のご来店時に対応すると、さらにお客様が喜んでくださる。彼女はどんどんと仕事が好きになっていったそうです。彼女の一生懸命さが仲間に伝わり、お客様の声を聴くことがいつしか風土になり、数年後には社内でCS No.1のお店になっていったそうです。

 一生懸命にやる。ただ、闇雲に一生懸命にやるといっても、ただ、言われたことを言われた通りにやっていては面白くはなりません。なぜするのか、何のためにするのかという仕事の目的をしっかり理解して、そこに向かって創意工夫する。目的意識こそが一生懸命の原点かもしれません。
 誰かの一生懸命が楽しさを生み、成果を生み、まわりの人を巻き込み、より良くしていく。一生懸命には大きな力があるような気がします。

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2023 年 05 月 09 日 10:12

仕事への誇り

 全国のレクサス店の中でも、トップクラスの販売台数を誇る、レクサス星が丘。すべての部門のスタッフが協力しながら、お客様満足を高め続けているお店です。
 映像で取材する前に、そのお店の警備員として働く、早川正延さんという方にお話を伺いました。早川さんのお仕事は警備。お店に入るお客様の車を誘導したり、出て行かれる車が安全に出庫できるよう誘導をされています。待ち時間はお店の前に立ち、お客様のご来店を待っておられます。

 早川さんは、ある時、「ただ、ここで待っていてもつまらない。もっと何かできないか。」そんなことをぼんやり考えるようになったそうです。そんなある日のこと、目の前の通りを通り過ぎていくレクサス車にお辞儀をしました。
 それから、早川さんは、通り過ぎていくすべてのレクサス車にお辞儀をすることに。このお店で買われたお客様だけでなく、他店で買われたお客様のレクサス車にも、1日1000台近い車に、深々とお辞儀をする。それを何年も続けておられます。
 走っている車への挨拶ですから、気が付かれる方もいれば、気付かれない方もいる。それでも早川さんはそのお辞儀をするそうです。そんな早川さんの姿勢に感動されるお客様が増え、早川さんに会いたいと来店される方もおられるそうです。

 なぜ、こんなお辞儀をするようになったのかと伺うと、「大したことはしていません」と謙遜しながらも、自分がここで働かさせてもらっていることへの感謝の想いやお客様への感謝の気持ちが自然とお辞儀になったと話してくれました。

 早川さんは、店頭でのお辞儀の他にも、駐車場での車の誘導の場面でも、どうすればもっと「お客様が安心して駐車していただける誘導ができるか」と考えながら、誘導時の立ち位置、オーライという言葉の大きさ、わかりやすいしぐさについても研究を続けておられました。お客様のバックミラーに自分がどう映っていれば、安心されるのか。そんな細かなことまで研究されています。「素晴らしいですね」と言うと「まだまだ完璧な誘導はできません」と笑顔で話されていました。

 「お客様のためにもっと何かできないか」。お辞儀をする、誘導をするという行動は誰でもできることかもしれません。ただ、早川さんのお辞儀や誘導は、確実にお客様に伝わり、感動を生み出しています。それはきっと早川さんが自分の仕事に誇りをもち、もっとよくしようと思っているからこそ、その姿勢や心が伝わっているのだと思います。
 仕事だからと嫌々やる仕事、より良くしようと誇りを持って行う仕事。どちらも同じ仕事ではあるかもしれません。どうせやるなら、後者のような仕事をしていきたいですね。

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2023 年 04 月 11 日 13:47

自分がされたら嬉しいことをする

 ある商品を購入した際に、商品の入った箱を止めるためのガムテープの端が折り曲げてあり、はがしやすくなっていました。
 端が折っていないテープをはがすのに、爪を立ててイライラする時がありますが、こうやってテープの端を折って貼ってくれているだけでそのストレスがなくなります。その1センチの端にお店の方の気遣いを感じ、気持ちがほっこりしました。こうした貼り方の呼び方は何というのかわかりませんが、トイレットペーパーの端を三角に折る行為のように、相手のことを思う小さなことを実践されている人の仕事への姿勢が伝わってきます。

 マクドナルドの新人アルバイト教育では、相手の立場になって考え行動することの大切さを教えていくそうですが、最初はまず「お客様や仲間には、自分がされたら嬉しいことをする」という基本ルールから教えていくのだそうです。相手の立場に立つのは口でいうのは簡単ですが、相手軸で考えることはなかなか難しい。でも、自分がされて嬉しかったことなら、自分軸だから実践しやすい。だから、まずは自分がされたら嬉しいことをしていこうと教えられるのだそうです。先ほどの荷物も、もしかすると配送係の人が、テープの端が折ってある荷物を受け取り、その行為が嬉しかったから、相手にもそうしてあげようと思ったのかもしれません。

 お客様に対してだけでなく、社内でも同じで、書類をつくる時は、相手が見やすいように、使いやすいようにひと手間かける。次の工程の人がやりやすいように仕事を渡す。自分がされて嬉しいことをしていくことが、全体の仕事の質が高めていくのかもしれません。

 「自分がされたら嬉しいことをする」。シンプルですが、質の良い仕事をしていく上でいちばん大事な基本ルールのような気がします。自分自身も初心にかえってやっていこうと思います。

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2023 年 04 月 04 日 10:49

新人の心が育つ風土

 先日、ある会社で洗面所を利用させていただいたのですが、そこにおられた若い社員の方が洗面所の回りに飛び散った水を丁寧に拭かれていました。関心して上司の方にお伺いすると、この会社では誰もが次の人が気持ちよく利用できるようにと、洗面所を使ったら清掃をされる習慣があるそうです。

 またある会社では、玄関で人を待っていると、玄関を通る社員の方が次々が挨拶をされ、「ご用件お伺いしておりますか?」と声をかけてくださいます。自分のお客様でなくても、誰もが会社のお客様と思い、関心を持つ、気にかける。素晴らしい文化が定着している会社だなと思いました。
 誰が見ていようといまいと使った後は綺麗にするという習慣、お客様に声をかけるという習慣。誰もが自然とこんなふるまいが実践されるのは、それがその会社では当たり前の習慣なのです。

 この春、新入社員が入社し様々な研修が行われますが、どんなに新人が挨拶の練習をしたとしても、基本のマナーを身に付けたとしても、職場の先輩が挨拶をしなければ、挨拶をしなくなるはず。洗面所を汚したままで立ち去る人が多ければ、それがあたりまえになるはず。
 私たちは、新人が挨拶をしない、元気がない、マナーを守らない等と、つい新人のせいにしてしまいますが、本当に人を育てるのは研修の場でなく、職場での先輩の姿であり、風土。そうなってしまっているとすれば、周りがそうなっているのかもしれません。

 真っ白なキャンパスの人財が、どのような人に育つか。試されているのは、先輩であり、会社の風土なのではないでしょうか。

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2023 年 01 月 24 日 10:47

仕事の使命感

 自分は何のために働いているか。自分の仕事の使命をどうとらえるかで、日々の仕事は大きく変わってくると思います。例えば、店の掃除をするという仕事でも、決められたところを、ただ掃除するのが自分の仕事だと思ってする掃除もあれば、「私の仕事は、来られるお客様に良い思い出を作っていただくこと。だから少しでも綺麗にしよう」と思ってする掃除もあります。自分は、何のために働いているかという使命感ひとつで、日々の仕事の景色は大きく変わっていくはずです。

 先日、こんな話を、あるホテルのスタッフの方から伺いました。
 宴会部で働くその女性は、仕事にやりがいを感じることがなく、ただ受注した宴会を予定通りにこなすことが仕事だと思い、日々働いておられました。あるとき、その会社で宴会部の使命をもう一度見直そうということになり、幹部の人たちで宴会の本当の使命を話し合ったそうです。宴会部の目的はただ料理を出すことなのだろうか?そもそも何のためにお客様は宴会をするのだろうか?時間をかけて話し合った結果、どのお客様も宴会が目的ではなく、人と人との絆を深めたいから、人が集まり食事をするのだと、この仕事の原点に気づかれたそうです。宴会部の仕事は、ただ料理を出すことではない、本当の使命は「お客様一人ひとりの絆づくりのお手伝いをすること」だと、改めて自分の仕事の意味、意義を感じたそうです。そこに参加していたその女性は、その時から自分自身の仕事への向き合い方が変わりました。ただ予定通りに仕事を終わらすことだけ考えていた「つまらなかった仕事」が、どうすればお客様に喜んでいただけるかと考えながらする仕事になり、今まで以上に仕事が楽しく、やりがいを感じるようになったということでした。

 この女性が働くホテルは、大阪、道頓堀にある株式会社王宮という会社のホテルです。今でこそ、リピーターのお客様が多いお客様満足度の高いホテルですが、以前はそのようなホテルではなく、会社も暗い雰囲気だったそうです。そこから経営者が理念や使命を明確にし、社員の人たちと共に理念を作りあげ、変革されていくのですが、これは、その改革の途中であったお話です。

 販売をしなれば、業績を上げなければと、目の前のことばかりを考えて仕事をしていると、自分の仕事の使命とは何かということを考える余裕なくなってしまうのかもしれません。ただ、頑張るだけでは疲れてしまいます。宴会部の彼女は、以前と仕事は同じでも、心は疲れない。楽しく働けるようになったと話されていました。やはり、自分は人に役立つ素晴らしい仕事をしていると感じて働けている時は、疲れも感じないのでしょう。仕事の使命感。仕事をする上で最も大事なものだと思います。

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2023 年 01 月 17 日 17:41

働く人の幸せとやりがい

 先週の土曜日、ホワイト企業大賞の表彰式が東京で行われました。
 このホワイト企業大賞は、世の中に「いい会社」を広げていこうと、様々な人が集まって運営されている活動です。私も委員の一人として参加しています。今年も多くの企業がエントリーされ、21社の会社が様々な賞を受賞されました。

 ところで、「いい会社」とはどのような会社でしょうか。人によって「いい」という基準は様々だと思います。
 ホワイト企業大賞では「いい会社」とは、「社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にする会社」と定義しています。業績や利益を追い求めるのではなく、働く人たちが幸せや働きがいを大切にし、社会に役立つ会社であろうと努力を続ける会社を「いい会社」であると、ひとつの方向性を示しています。
 これは「方向性」であって基準ではありません。経営において「社員の幸せや働きがい」を大切にしている会社が、この賞をひとつの指針としながら、切磋琢磨して進んでいく学びの場でもあります。

 しかし、社員の幸せや働きがいとはどんなことでしょうか。
 給料が良い、休みが多い、福利厚生が充実しているという目に見えることもありますが、働きがいとはそれだけではなさそうです。アンケートを取ると、社員の人たちが充実して働いていることが見えてきます。
 この会社で働いていると自分が成長できる、自分が決めて仕事ができる(任されている)、他者に役立っているという実感がある、自分の個性が活かされていると感じる・・・。働く時間が充実した時間であるからこそ、前向きに働け、社員が協力しながら、もっと良い仕事をしようと助け合いながら頑張っている姿が見えてきます。だからこそ、こうした企業は総じて業績も伸び続けています。

 企業は業績をあげ、利益を出してことが求められます。だから、業績を大切にする会社は多い。しかし、大切にするものの順番が違うとその経営も変わっていきます。応募されている会社が、いちばん大事にされているのは「社員の幸せや働きがい」。それを追求していくことが業績や利益につながっていくという信念で経営をされている会社です。いちばん大事にするものの順番が「社員」なのです。

 昭和の時代から、他社と戦い、業績を追求する時代が続いてきた日本の中で、ホワイト企業大賞が示すこの方向性の経営は、まだ異端に見えるし、甘い考え方に見えるのかもしれません。
 ただ「どうせ働くなら楽しく働きたい、やりがいを感じながら働きたい」というのは、考えてみれば誰もが求めている普通の思いだと思います。いい会社づくりとは、ただその当たり前を大切にしていくことであり、人間にとって自然なことなのだと思います。

ホワイト企業大賞
http://whitecompany.jp/

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2023 年 01 月 12 日 10:23

あくなき向上心

 一次的に繁盛していても、すぐに飽きられてしまうお店もあれば、何年も繁盛し続けるお店があります。いくら優れた商売でも、時代が変化する中で、同じことをしていてはお客様に飽きられてしまいますし、他店が進化すると差がなくなってしまいます。サービス業に限らず、どの企業でも永続的に繁盛し続けるということは大変なことです。現状に満足せず、常に進化していこうという姿勢がなければ、何十年も支持され続けることはできないと思います。
 36年もの間、顧客満足日本一に輝く旅館「加賀屋」さんは、全国にファンがいる老舗の会社ですが、昔から、そんな評判に満足せず、常により良いおもてなしを追求してこられた会社です。毎月の会議で真っ先に話されるのは業績ではなく、客室で集められた「お客様の声」を社長を筆頭に全員で確認するところから始まります。そして少しでもご不満があれば、すぐに改善をする。お客様に喜んでいただける旅館づくりのために、常に地道な取り組みを続けてこられてきた旅館です。
 そんな加賀屋さんも、ある時、CSの評価が全国3位に落ちてしまい、36年間守り続けてきた日本一の座を明け渡す事態があったそうです。代表の小田さんは、この時、「もしかすると私たちの中に“自分達は日本一であり、このままで良いのだ”という慢心があったからかもしれない。」と、創業から大事にしてきた加賀屋のDNAの形骸化に危機を感じ、おもてなしを見直していこうと、顧客の声からの改善のサイクルを短くしたり、暗黙知だったおもてなしのDNAを明文化して全員で共有するなど、様々な取り組みをされたそうです。その結果、一年後には日本一に返り咲くことができたそうです。
 誤解のないように申し上げますが、加賀屋の社員の人たちは、日本一の旅館であることに誇りを持ち、それに恥じないおもてなしを追求されている方ばかりです。それでも、どこかに慢心が出てきてしまう。誰でもそうだと思いますが、うまくいっている時は、どうしてもこのままで良いと安心してしまいます。そうした中で、加賀屋さんが日本一であり続けてこられたのは、どのような時も「お客様の喜び」を第一に考え続け、常に今のままではいけないという危機感を持ち続けてこられたからだと思います。
 ある方が、「進化・向上する会社しか人財は育たない」と話されていましたが、確かに同じことを繰り返している会社で人は育たちません。やりがいもなくなってしまうのでしょう。加賀屋さんが、いつも会社全体でより良くしよう、もっとよくしようと取り組まれていくことは、お客様の満足だけでなく、働く人たちの誇りややりがいにつながっています。現状に満足することなく、常に創意工夫する。そのあくなき向上心こそ繁盛し続けていくために最も大事な価値観ではないでしょうか。

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2023 年 01 月 06 日 11:36

地域から尊敬される会社

それぞれの街にはその地域を代表する企業があります。
 その中でも「〇〇さん」と地元の人が「さん付け」で呼ぶ、地域の人から親しまれ、尊敬されるような会社が存在します。北海道の六花亭さんや博多のふくやさんなどは、地元の人から長く親しまれている会社です。
 そうした会社は、もちろん素晴らしい商品を販売されていることや、買い物をする時の良い接客も評判を生み出しているのだと思います。それ以外にも、地元の行事に参加したり、地域の発展のために、地域貢献活動にも惜しみなく投資する姿勢なども、地元から尊敬されているのでしょう。
 しかし、いくら表面上で地域貢献活動をしたとしても、会社の実態をいちばん良く知っているのはそこで働く社員の人たち。働いている人が家族や友人から「会社はどう?」と言われた時に、「いい会社だ」と言うか、「あんな会社は・・」と言うか。社員の人たちが働きがいを感じていなければ、良い評判は生まれません。地域の評判はそこで働く社員の人たちの存在も影響しているのではないでしょうか。

 長野県の伊那食品工業さんも、地元の人たちが「伊那食品さん」と親しみを込めて呼び、地域から尊敬される会社のひとつです。会社という存在そのものが地域の人に迷惑をかけているからと、会社の敷地につくったガーデンを地域の人に無料で開放されているのは有名ですが、社員の人たちは、出勤時に車を右折して会社に入ると前の道路が渋滞になってしまうからと、少し遠回りになったとしても、みんなが左折で入るようにしておられるそうです。休みの日に買い物に行くときも、スーパーの店に近い駐車場は身体の不自由な人が利用する場所だからと、多くの社員があえて遠い場所に車を止めると言います。自分の会社の理念に共感し、誇りを感じているからこそ、会社から言われた訳でなくてもこんな行動をされるのでしょう。

 昔から、売り手よし、買い手よし、世間よしと、商売は「三方よし」が大事であると言われていますが、これからの時代に長く存続していくためには、やはり地域から応援され、尊敬されるくらいの会社にならなければいけないのかもしれません。その為には、まず自分たちの会社が働く社員の人たちを大切にし、社員の人から尊敬される会社であること。近江商人の言葉に「売り手よし」が先にあるのはそういう教えなのかもしれません。

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2022 年 12 月 27 日 17:48

お客様満足が社員の満足

 昔から、ESなくしてCSなしと言われていますが、時々CSが先ではないかと思うことがあります。
 先日、ある社員がいい表情をして会社に帰ってきました。苦労した仕事が一段落し、それがお客様にとても喜んでいただけたと言います。彼は何か月もの間、どうすればもっと役に立てるのかと考え続け、準備や打ち合わせを重ねてきたので、仕事が終わった時に、お客様から「ありがとう」と言葉をかけてもらえたことが本当にうれしかったのでしょう。
 やりがいを感じてやっているから、お客様に喜ばれる仕事ができたとも言えますが、お客様に喜ばれたからやりがいにつながったとも言えます。鶏と卵のような関係です。ただ、よく考えてみればこうした感動を味わうことができるのはお客様がいるからこそ。感謝されたことが喜びにつながったのは間違いないですが、何とかして「お客様に喜んでいただきたい」と仕事をしている間もやりがいを感じていたと思います。
 「もっとお役に立ちたい」とCSを考えていること自体がESを高めるとすれば、やはりCSが先。誰かに喜んでもらおうと思いながら仕事をしていくことは、幸せに働くことの出発点かもしれません。
 最近、社員満足や働きがいということが盛んに言われるようになっていますが、それを高めるのはお客様満足だとすれば、全社でお客様満足に向かって仕事をしていくことがいちばん最初のスタートかもしれません。

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2022 年 12 月 08 日 15:21

遠回りの道、プロセスの大切さ

 先日、ある勉強会で、ネッツトヨタ南国の横田相談役と西精工の西社長に、「結果とプロセス」について話し合う機会がありました。
 業績・利益がなければ会社は存続しません。だから「結果」を出すことが求められます。結果が出ると人は活気づきますし、そこに報酬が結び付けば一層喜びが高まります。しかし、「結果」を出すことばかりに固守すると、かえって良い結果がでないことがあります。結果を出せない人を追求したり、強く非難する。次第に会社の空気が悪くなる。結果、全体のやる気が低下し、結果も出なくなる。不正が生まれたり、個人主義になってしまうこともあります。しかし、結果が出ないと会社はつぶれてしまいます。結果を大事にするからこそ、それ以上にプロセスを大事にする。ネッツトヨタ南国さんや西精工さんも、遠回りでも、プロセスを少しずつ改善していくことの重要性を話されていました。

 今、両社は業績も良く、離職者も少ない素晴らしい会社ですが、最初から良い会社であった訳ではありません。そんな2社が大事にされてきたのが「真因」を見つけ、改善すること。例えば「社員に危機感が少ない」という課題があった時、危機感をあおるだけで危機感が高まるものではない。なぜ、そうなっているのか?その根本原因はどこにあるのか?深く考え根本原因から解決していく。
 昔、西精工で大きな事故が発生した時に、西社長は「なぜ、こうした事故が起きたのか」と、その真因を徹底的に考え抜かれたそうです。そしてたどり着いた結論は、事故の「真因」は、働く人の人生の生き方や考え方が未熟だから、事故が起きてしまった。働く人がいきいき働けない風土に問題があるのだ、ということでした。そこから、挨拶の改善、掃除や朝礼の見直し、人づくりや会社風土の改善に取り組まれていかれました。ただ、そうした取り組みは簡単に「結果」につながるものではありません。スポーツでいうと腹筋やランニングなどの基礎練習のようなもの。やったからといってすぐに結果は出ない。それでも、これをしなければ「よい結果」は生まれないと信じて、長年努力を続けてこられた結果、ようやく社員がいきいきと働く会社、事故やミスが起こりにくい会社になられたそうです。「遠回り」に見えることが、実は最も近道である。お二人の経営者が「プロセス」の重要性を語られていたのが印象的でした。

 今、サッカー日本代表の選手たちが、素晴らしい活躍をしていますが、わずか数秒の瞬間に良いプレーができるのは、それを想定した練習を、子供の頃から嫌がらずに積み重ねてきた選手だけだと言われています。個人でも、会社でも、やはり良い結果を出すためには、遠回りの道を歩むこと。プロセスを大事にしていくことがいちばん大事なのかもしれません。

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2022 年 11 月 29 日 09:58

ブランドのバトン

 「あの会社の商品なら間違いない」と、その会社の名前を聞くだけで信頼が高まり、モノやサービスを購入する時の決め手のひとつになります。多少高くても購入しよう。あの人にも勧めよう。お客様の信頼の証がブランド力です。
 もちろん、全国に名が響く会社のブランド力は大きいですが、地域にも主婦に絶大な人気を誇るスーパーや地域で長く活躍する老舗の和菓子屋さんなど企業規模に関わらず、どんな会社にもブランド力というものがあると思います。
 ただ、そのブランド力は簡単に作れるものではありません。

 老舗ホテル、帝国ホテルには「10・10・10の法則」というものがあるそうです。
この「10・10・10」というのは、信用、すなわちブランドを構築するには10年かかる。しかし、その信頼を失うのはたった10秒。そして失った信用を取り戻すのには、また10年かかるという意味です。また「100-1=0の法則」というものもあります。フロントでいいおもてなしをした、客室係がよいおもてなしをした、料理部がいいおもてなしをしたとしても、どこかひとつでも悪い応対をすることがあれば、積み上げた満足はすべて台無しになる。「100―1=99」ではなく、「O」。同社ではこの2つの法則を社員全員が心に刻もう、「さすが帝国ホテルだ」と言われるように頑張っていこうと声を掛け合っているそうです。

 地域の小さな企業にも、長いお客様がいて、「ブランド」(信用・信頼)があります。そのブランドがあるからお客様は信用して購入してくれる。状況が苦しくなると、つい忘れがちになりますが、今、そのブランド力の恩恵を得られるのは、ただ年月が経ったからではなく、その10年の間に、数々の先輩たちがコツコツと真面目に仕事に取り組んでこられた積み重ねがあったからこそ。出会ったお客様に仕事を通して感動を提供してこられた先輩の仕事がまさにブランドの源泉です。

 「あの会社なら・・・」「あの会社の製品なら・・・」
 ブランドとは、先輩たちが積み上げたお客様の企業への信頼という資産。
 信頼を築くには時間がかかりますが、失うのは一瞬。たった一人の行動がお客様の信頼を失ってしまう。それ以上に、その業界の全体の信頼まで失うこともあります。
 いい加減な仕事をするということは、先人の努力を無駄すること。そして、受けた恩を返すためにも、その信頼を未来の仲間にバトンをつなぐ。今の仕事を全力でやっていくことが、今の私たちの責任だと思います。

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2022 年 11 月 02 日 18:36

良き社風をつくる

 企業にはそれぞれ独自の社風があります。
 社風はその企業が持つ、独自の慣習や雰囲気ということですが、その空気は社長をはじめ、そこで働く社員の人たちが作りあげています。
 話しやすい雰囲気、意見が言いやすい雰囲気、助け合うことが当たり前になっている雰囲気、みんながお客様のことを一生懸命に考える雰囲気。こんな良い雰囲気だと仕事はしやすいはずですし、会社も成長していくはずです。

 しかし、こうした雰囲気はどのように生まれているのでしょうか。
 会社が良い雰囲気になっているということは、そこで働く一人ひとりが、相手の意見を聞こう、みんなで助け合おう、みんなでお客様に役に立とうと思っているということです。つまり、そうしたことが良いと思う価値観を持つ人がたくさんいるから、そんな空気が生まれています。

 例えば、失敗を恐れずチャレンジするという社風があるとすれば、きっと先輩もそうするのが当たり前になっているはずですし、上司も自分も過去にそうしてきたから、部下にもそういう機会を与える。この会社の理念や方針の中に長年「失敗を恐れずチャレンジしていこう」という価値観が刻まれていたからこそ、そうした雰囲気の社風になっているはずです。
 逆に、そうなっていないとすれば、失敗すると責任を取らされる、叱責されるから、リスクを取るより安定の道を行くことが良いという価値観の人が多いということ。つまり、社風は企業の理念やこれまでの歴史、その企業の中で働く人が体験してきて生まれた価値観が重ね合って生まれていくものです。だからこそ、社風を変えるのはなかなか難しいのかもしれません。
 ただ、雰囲気が悪い社風の中ではいろんな問題が起こってきます。意見が言いにくいと不満もたまる。チャレンジを恐れると改善も生まれない。みんなが助け合わないと生産性も悪くなる。社風や雰囲気は様々な問題に直結しています。

 どうやって良い社風をつくっていくか。
働く人にしてみれば急に価値観を変えろと言われても変われません。みんなの意見を聞く場や理念を考える場など、様々な経験・体験を通して少しずつ成長し、変わっていくのが人の価値観なのではないでしょうか。
 よい社風をつくる道に、近道はないのかもしれません。

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2022 年 06 月 07 日 10:18

仕事の奥にある楽しさ

「仕事は、毎日同じことの繰り返しで、つまらない。」そう感じている人も多いかもしれません。
 あるホテルの経営者に聞いたことがあるのですが、右も左もわからない新人の時は一生懸命フロントで接客をやっていた人も、ある程度仕事ができるようになると以前の輝きが消え、いつの間にか辞めてしまうということがあるということでした。
 確かに、ただ同じことを毎日繰り替えしていると面白くない。だから、仕事を楽しくするには「同じことを繰り返さない」ということになります。しかし、「業務は決められているのだから、毎日同じことを繰り返すだけだ」とも言われます。どうすれば楽しくなるのでしょうか。

 先日、ある美容院のベテランスタッフの方に、シャンプーをしていただく機会がありました。普段シャンプーは新人や若いスタッフがすることが多いのですが、この日は若い人が研修で不在だったので、20年以上この仕事をされてこられたベテランの美容師の先生が私を担当してくださったのです。その手さばきは実に丁寧。シャンプーの間の言葉も、雰囲気も心地よく、夢見心地になってしまいました。
 どのようにこういう技術を覚えられたのかと伺ってみたのですが、やはり若い時に毎日シャンプーに取り組みながら技術を向上させてきたということでした。「どうすればもっと気持ちのよいシャンプーができるか」と、手の強さや洗い方を工夫したり、人のまねをしたり。また、お客様によって頭皮の柔軟性が違うことに気づかれて、お客様の皮膚に合わせて力加減を変えるなど、「お客様にとって気持ちよいシャンプーとは何か」という課題にずっと取り組んでこられたそうです。

 若い人からすると、この人は、一見、シャンプーという「同じ仕事」をしているように映るかもしれません。しかし、この方にとっては、毎日が違う仕事に挑戦している感覚なのだと思います。だから面白くなり、何十年も続けてこられたのでしょう。
 どんな仕事にも「奥」があると思います。トイレ掃除でも、窓ふきでも、一見単調に見える仕事でも、もっと良くできる、もっとうまくできるはずだと追求すればするほど、だんだん奥が見えてくる。まだまだ未熟な自分に出会う。だから技術を高めたくなる。これが「仕事の楽しさ」ではないでしょうか。

 「そこそこできる」で「自分は仕事ができるようになった」と思っていると、後は繰り返し。あとは、その人が、そこから先に行こうとするかどうか。若い人に、この「奥」の楽しさ、「仕事を深める」ことの面白さをどう伝えていけるかが先輩の仕事なのだと思いますが、数秒のタイミング、数グラムの力加減で出来栄えが変わるこの世界を、言葉で伝えていくのは本当に難しい。その人が「自分もそこに行きたい」と思わないとつかめません。

 仕事は、毎日同じことをくり返すこともできるし、毎日進化させていくこともできる。どちらを選ぶかですね。

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2022 年 05 月 30 日 17:37

社員を叱る理由

 最近、上司が部下を叱れないという話を良く聞きます。
 今の子供たちは褒められて育ってきたから、怒られると立ち直れない、逆ギレする。パワハラなどの法律もあって、みんながどう接していいか悩んでいます。

 令和の時代に昭和の話をするのはどうかと思いますが、「社員を叱る」ということでいつも思い出すのが、顧客満足度13年連続日本一を達成したことがある神奈川県のカーディーラー「ホンダカーズ中央神奈川」の創業者、相澤賢二さんのことです。
 創業した昭和の時代は、自動車業界は、訪問販売が主流でした。夜討ち朝駆けと顧客を訪問、買ってくれるまで粘る・・・。しかし、そんな無理な販売を続けていては、社員が幸せにならない。そう考えた相澤さんは、業界では誰もやっていなかった店頭販売に切り替えます。お客様に来ていただくには店に魅力がなければならない。顧客満足の向上に対して真剣に取り組むことで次第にお客様が増え続け、売り込みに走らなくても、お店でしっかりと対応していけば販売ができることを証明された会社です。今、店頭販売が主流になっていますが、その先駆けを作った会社です。

 そんな相澤さんが大事にされてきたのは「社員の幸せ」。貧しい家庭で育った相澤さんは、社員を本当の家族のように大切にされた経営者。「社員は家族」が信念です。せっかくご縁があって入社してくれた社員を立派な社会人に育ててあげたい。どこに行っても通用するような人、誰からも愛される人に育って欲しいと、社員に読書をさせたり、茶道を習わせたり、掃除や挨拶の大切さなど、業務とは関係のない「人づくり」を徹底的にやり続けてこられました。

 相澤さんは、社員のことを思うからこそ、時には厳しく叱ることもあります。社員が人として良くないことをした時は、「バカヤロー」と激しく怒鳴る。「二度とそんなことをしてほしくない」と思いを込めて厳しく叱る。ただ、その怒りをいつまでも引きずることなく、叱りきると翌日はニコニコとして普段のように接する。怒られた社員も最初は反発したり、不機嫌になりますが、その思いに触れると、「この人は本当に自分のことを思ってくれているんだ」と気づき、自分を変えていく。人の心が通い合う家族のような会社です。

 こんな話をすると「そんななことが通用するのは昭和の時代までだよ。今の時代は無理だ」と言われそうですが、「叱らない」ことは本当にその人のためになるのか。私も悩むことがあります。叱られることから、本当の愛を感じ、自分が悪かったと気づくような体験は、人が成長していく過程には必要なのではないのでしょうか。私も、昔、悪いことをして、親から「二度としてほしくない」「そんな人になってほしくない」と怒られたことがありますが、その時の親の何ともいえない「悲しい目」が今でも心に残っています。

 相澤さんに厳しく叱られ、「辞めてやる」と退職する人もいるのですが、その後、相澤さんは社内で「あいつはどうしているんだろう」「ちゃんとやっているんだろうか」と周囲に語り掛けていたそうです。そして社員が帰ってきたいと思えばちゃんと受け入れる。そんな出戻り社員が10人もいるそうです。
 なぜ、叱るのか?どれだけその人のことを思って叱るのか?厳しさも優しさも最後は「その人への愛」に尽きるのかもしれません。

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2022 年 04 月 12 日 17:11

売れているセールススタッフが大事にしていること

 今、商品がなかなか売れない時代に結果を出していくことは、本当に難しいことになってきました。
 そもそもお客様が少なくなっている。無理に売りつけようとしても嫌われるだけ。そこに加えて、このコロナ禍で、お客様と対面で接触しにくくなっている。商品の性能が向上して、なかなか壊れない。だから買い替えも少ない。新商品といっても革新的な技術が追加される訳でもなければ、魅力が乏しくなる。
 営業スタッフは、昔の時代のように、なかなか結果が出せない時代になり、苦しんでいる人も多いのかもしれません。

 この度、あるカーディーラーのトップセールスの方を密着取材したドキュメンタリー映像が発売されます。売れない中で、しっかりと成果を出していく人は、どんなことを大切にしているのか。平均の何倍も売る営業スタッフの行動や考え方に密着しました。
 なぜ、お客様はこの人から買うのか。売れる理由はお客様が知っている。取材の中で私たちは何人ものお客様にお話しを聞きました。「この人は何でも相談できるから」「自分たちのことを一生懸命に考えてくれるから」と答えます。
 営業は信頼を築くことが大事だと昔から言われていますが、その営業スタッフが一番大事にしてきたことは、やはりお客様との信頼関係。親身になって相談に乗る。売った後も気にかける。お客様が本音を言ってくれるような雰囲気をつくる。お客様と営業スタッフが、まるで家族のようにフランクに話す姿をみていると、成果を出す人は、こうした「信頼の絆」を誰よりも大切にしていることがわかります。
 もちろん、売るためには、確かに、商品知識や商談技術が高くなければいけないと思うのですが、やはり、どんな時代になったとしても、お客様は自分に関心を持ってくれる人、大切にしてくれる人を信頼する。
 「売れている営業」の姿をみていると、改めて今問われているのは、やはり営業の「姿勢」。そうした姿勢が「見えない質」を作っているのだと思いました。

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2022 年 03 月 01 日 16:15

お客様は「安い価格」を求めていない

 「お客様は安い価格を求めているのではない、価格以上の価値を求めているのだ」
これはコンビニの父と言われる、セブンアンドアイ・ホールディングスの鈴木敏文さんの言葉です。

 あたりまえのような言葉ですが、我々は安さに敏感です。だからつい、お客様も「安さ」を求めている、だから、価格を下げなければという感覚になってしまいます。この発想から、いろんな業界で価格競争が起こっています。

 ガソリンスタンドの業界も価格競争がずっと続く厳しい業界です。今、ほとんどがセルフ業態。同じ機械、同じような店が価格を競い合っています。安いガソリンは確かに消費者は嬉しい。しかし、売り手は利益を削ることになります。やればやるほど人件費や無駄なサービスを削って利益を出さなければなりません。無人化、セルフ化・・・人を介在しない業態がどんどん広がっています。しかし、それもそろそろ到達点。どこも同じようなお店になり、消費者は違いがわかりません。だから、また価格競争が起こる。
 今はまだガソリン車が走っているから成り立っていますが、カーボンニュートラルの時代の中で電気自動車や水素自動車が増えてくれば、給油する人は減り、もっと競争が激化する。どれぐらいの店が生き残れるのでしょうか。

 先日、良い経営を勉強されているある地方のガソリンスタンドを訪問する機会がありました。そこは、従業員は3人だけ、経営者も前線で働いている小さなお店です。近くにはライバル店が何軒もある厳しい環境ですが、なぜか、お店にはひっきりなしにお客様が来店されていました。他店と同じセルフ型の店ですが、スタッフは洗車やオイル交換に忙しく働き、お客様が車を降りて、スタッフと会話する姿も見られます。

 特別に価格が安い訳ではないこの店の人気の理由は何でしょうか?常連のお客様に「なぜ、この店を選んでいるのですか?」と理由を聞いてみると、こんな話をされました。
「もちろん安いお店はいろいろありますよ。でも、この店はスタッフがいい。気さくに話せるし、ちょっとしたことでも相談に乗ってくれる。どうせ給油するなら、気持ちいいスタッフがいるところで入れたいじゃないですか」

 このお客様が求めていたのは、価格ではなくスタッフの対応の良さでした。もちろん世の中にこんなお客様は少ないのかもしれません。しかし、価格以上の価値を感じれば、お客様は来てくれる。
 この店の社長は給油する車とお客様の顔を見ただけで、ほとんどのお客様の名前を覚えておられます。そして働くスタッフも車の知識が豊富で、お客様から頼りにされているようでした。

 お客様は「安い価格」を求めているじゃない、「価格以上の価値」を求めている。
 どの業界も同じことかもしれませんね。

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2022 年 02 月 24 日 14:08

ロコ・ソラーレに学ぶ心理的安全性の高いチーム

 心理的安全性とは、上司や仲間に対して、率直に意見が言えたり、素朴な質問ができたり、いつでも誰でも気兼ねなく発言できるということです。これまでは「正解がわかっていた時代」。上のいうことを素直に実行していれば成果が上がった時代でしたが、誰も正解がわからないこれからの変化の時代には、いい成果を生み出すためにチーム内でメンバー意見を出し合い、創意工夫していく必要があるため、余計に、この心理的安全性が求められているだと言われています。さらに最近の調査研究では、心理的安全性の高いチームは収益性が高く、離職率も低いという結果も出ています。

 心理的安全性が高いチームとはどんなチームなのか。北京オリンピックを見ていると、ある有名なチームの記事が目に留まりました。それは、銀メダルと獲ったカーリング女子チーム「ロコ・ソラーレ」です。前回のオリンピックもそうでしたが、みんなが笑顔でのびのびとプレーに向かっている様子は、多くの方が感動されたと思います。
 でも、どうやったら、あのような大舞台で笑顔でいられるのか?私も不思議に思っていました。
 その記事では、こんなことが書かれていました。

「ロコ・ソラーレの強さは、弱さをさらけ出せるところにある。」

 このチームは、以前から「弱さの情報公開」を大事にしているそうです。サードの吉田知那美さんは、チームのことをこう説明します。「弱さの情報公開をする。お互い、余裕のある人がない人を助けていく」。
 例えば、9月の北海道銀行との代表決定戦。連敗を喫して崖っぷちに追い込まれた後、スキップの藤澤五月さんは責任を背負い込んで、泣き崩れてしまいました。そんな時にチームメートはこんな風に声をかけます。
 「それでいい」「緊張してもいい」「前日、寝られなくてもいい」
 そうした声に藤澤さんは、自分のショットを取り戻し、3連勝で五輪最終予選へ駒を進めたそうです。「みんなが受け入れてくれるのがありがたい。かっこつけなくていい」。アイスの状況把握に苦しんだ最終予選。ロコはそれぞれが支え合い、夢の切符をつかんだのだそうです。

 「弱さ」を出し合って、それを認めるチームの風土。だから、何でも言えるのでしょう。弱音も吐いていいとう空気だからこそ、安心して前に進めるのかもしれません。

 カーリングの試合では選手同士のコミュニケーションが中継されますが、大事な局面、局面で、どうすればいいかをお互いが遠慮なく意見を出し合い、みんなで決め協力していく姿勢は、ビジネスのチームづくりでもお手本にしたいなと思いました。
 そして、何よりも学びたいのが、プレーを楽しむ姿勢。結果を出そうとシリアスになるのではなく、自分らしく、カーリングを楽しもうとしているからこそ、素晴らしい力が出る。今回のオリンピックもそうでしたが、仕事でも何でも、やはり最後は、その競技や仕事を愛し、それを楽しむ人たちがよい成果を出していくのかもしれません。何でも言い合え、一人ひとりが自分らしく楽しく働ける組織。これが理想ですね。

 余談ですが、藤澤選手は毎試合、自分手に、その日のメッセージを書くそうですが、スイス戦の時に次のようなメッセージを書いておられたそうです。

「BE SATSUKI ENJOY」(さつきらしく、楽しもう

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2022 年 02 月 15 日 14:03

他人(ひと)に好かれる人になる

 顧客満足や社員満足の高い会社として全国に知られる美容室バグジーでは、新入社員は初任給をもらったら、これまで育ててもらった感謝をこめて親に何かをプレゼントをし、その体験をレポートに書いてくるという決まりがあります。初任給の中に親孝行の手当がついてくるなんて、なかなか他ではされていないのではないでしょうか。

 新入社員は、どんなことをすれば、親が喜んでくれるかと思いを巡らし、親が喜んでくれるだろうモノを買ったり、食事に連れていったりするのですが、ある新人はこれまで父親と関係が悪く、何を買ってあげたらいいか悩んでいました。そこで母親に相談すると、お父さんは「安全靴がいいのでは」と言われました。その子はそれまで安全靴がどんなものかわからなかったのですが、そこで初めてつま先に指を保護する機能が付いた靴だと知り、その時、「お父さんは、こんな危険な場所で働いてくれていたんだ」と、親が苦労して自分を育てくれたことに感謝の気持ちが湧いてきて、涙があふれてきたそうです。

 なぜ、バグジーでは、こんなことをされているのでしょうか。代表の久保社長は、とにかく社員一人ひとりが人生を豊かに幸せに送ってほしいと思っています。そして、幸せな人生を送るために最も大事なことは何かと考えていった時に、成功するには「他人(ひと)に好かれる人になること」だと気づきました。お客様との関係においても、社員同士の関係においても、また親と子供の関係でも、社会生活の中でも、他人から好かれる人はすべてが上手くいきます。成功者はみんな人から慕われ、人が集まってきている人です。

 では、他人に好かれる人になるためにどうすればいいのか。久保社長はその中でいちばん大事なのが「感謝の心」だと言います。感謝できる人は、お客様からも先輩からも好かれます。感謝できる人は謙虚になり、自分をもっと向上させていこうと思います。しかし、感謝の気持ちはその人の内側からしか湧いてこないもの。「感謝が大事だよ」といくら言葉で教えても、なかなか身につくものではありません。だから、バグジーでは、こんな「親孝行の体験」を通して、気づいてほしいと思っておられるのです。

 他人に好かれる人になる。これは松下幸之助さんなど数々の著名人が「心の師」とされている中村天風さんもそのことの重要性を説かれていますが、確かに、どんなに知識があって頭が良くても、他人から好かれない人は成功できないのでしょう。ビジネスだけでなく、社会で幸せになるために、最も大切なことかもしれません。そう考えると、新入社員の時から、こんな「心のあり方」を教えてもらったり、体験させてもらえるということは、本当に素晴らしいことですね。

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2022 年 01 月 18 日 13:40

既にあるものに気づく

 昨日、私も企画委員として運営側として参加している「ホワイト企業大賞」の表彰式と「ホワイト企業フェスタ2022」というイベントがあり、その中で、藤田一照さんというお坊さんのお話を聞く時間がありました。藤田さんはアメリカでフェイスブックやスターバックスなどの会社で座禅を指導する有名な方ですが、直接お話を聞くのは初めてでした。

 藤田さんはこんなお話からはじめられました。
 「私たちはつい、自分の外側に正解を求めてしまいがち。病気になれば医者に頼り、何か困れば専門家を頼る。しかし、実は自分の中にできることがたくさんある。出来ないことがあると、つい、自分に“足りないものがあるからだ”と考えてしまうが、それは自分を過小評価しすぎ。」

 「自分の中に既にあるもの、既に持っているものがたくさんあるのに、外ばかり見ているから、それに気づかない。回光返照という言葉は、外に向かう光を自分にあて直すという意味。自分を知り、自分を信頼することが大事だ。」

 自分には既に多くのものを持っていることを知る。自分をもっと信頼する。
 頭では理解することはできるのですが、それだけではダメだそうです。それを理解するために、その後に座禅の指導を受けました。
 ゆっくりと自分の足や身体に意識を向け、呼吸をしていると、入ってくる新鮮な空気を感じたり、自分を支える足や背骨の存在や大地の存在に気づいたり、空気を吸う身体を感じたり、そこに自分がいることを実感しました。体がホカホカし、だんだんと満ち足りた気分になっていきました。

 私たちは穏やかに生きたいと思っていても、つい焦ったり、イライラしてしまいます。それは「まだ足りない」と思ってしまう癖から来ているのかもしれません。もっと、意識的に、自分の中にあるもの、既にもっているものに光を当ててみる必要があるのでしょう。

 「企業も拡大を目指すのは足りないと感じるから。そうではなく、今あるもの、自分のリソースを信頼して全力で向かっていけば、自然と人が集まり、発展していくのではないでしょうか。小欲知足の経済は成り立つはず」と仰っておられましたが、そのお話を聞いて、業績を目標に置かず、お客様に喜ばれることを一生懸命に行う、これまで取材したいい会社のことが頭に浮かんできました。
 拡大でない、充実や真の豊かさを取り戻す新しい時代がきているのかもしれません。


「ホワイト企業大賞」http://whitecompany.jp/

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2021 年 12 月 21 日 09:34

仕事をつまらなくする方法、面白くする方法

私たちは、常々「仕事を楽しく、面白く」というような前向きなことをばかりを考えていますが、今回は逆説的に、どうすれば、仕事が面白くなくなるか、つまらなくする方法を考えてみました。

・工夫をしない、改善もしない。ただひたすら言われたやり方でやる。
・感情を抑え、無機質に仕事をこなす。
・職場の仲間と無駄な会話をしない。ひたすらタスクをこなす。
・指示通りに仕事をする。
・笑顔が必要な場合には、無理に笑顔をつくり、その場を乗りきる

 書いているうちに、気がめいりそうになりそうになります。後ろ向きなことを書いたら、やはり後ろ向きにしかならないですね(笑)。
 上記の共通点は、人間性をなくすこと。ロボットのように働いていけば、誰でも仕事は面白くなくなることがわかります。しかし、怖いのは、仕事が忙しくなると、ついこのようなことになってしまう可能性があるところ。
 だからこそ、どうずれば、もっと良くできるか、どうすればもっと目的に近づけるかと、考えや創造性を発揮したり、悔しさや嬉しさの感情も味わいながら、働いていかないと現状に飲まれてしまうのかもしれません。

 話は変わりますが、先日、社員が内発的動機で動く組織づくりで有名な「ネッツトヨタ南国」さんが年に一度開催する「感謝祭」というイベントの動画を見る機会がありました。これは同社のイベントの姿勢に感動したお客様が作られた動画なのですが、そこには、上記と真逆の人たちの働く姿が映っています。

 どうすれば、お客様を喜ばせるかを、みんなが考え、一人ひとりが心をこめておもてなしをし、状況に合わせて自分が何をすればいいかを考え、自分から行動する。指示命令を出す人は一人もいません。嫌々やっているような姿もどこにもありません。人がいきいきと幸せに働き、それにお客様が感動し、つながりが生まれ、商品が売れていく・・・そんな様子を見ると、ますます、「本来、会社はこうあるべきだ」という気持ちが強くなります。

 人間にとって、いちばん大切なものをいちばん大切にする組織づくり。
 来年もいきいき働く人や組織を応援していきます。

追伸
ネッツトヨタ南国様の動画はこちらからご覧いただけます。
https://www.facebook.com/keiichi.nishikawa.9/posts/4707246212690638

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2021 年 11 月 09 日 17:00

幸せの4つの因子といい会社づくり

 慶應義塾大学の前野隆司教授をご存じでしょうか。
 以前よりご縁があり、昨年、弊社が主催する「未来×幸せ経営フォーラム」にもご主演をいただきました。先日、その前野教授の「幸福経営学」についての講演を聞かせていただきました。

 前野先生は元々機械工学の専門家だったのですが、2008年から統計解析を活かした「幸せ」の研究を開始。その当時は幸せの研究はなかなか理解されなかったそうですが、今では「幸福(正式にはWell-Being)」研究は、世界的に注目されるようになりました。
研究の結果、仕事と幸福の関係は徐々に解明されています。
 例えば「幸せだ感じている人はそうでない人に比べて、生産性が31%高い。創造性は3倍高い」というデータ。また、「幸せな人の欠勤率は41%、離職率は59%も低い」などの、様々なデータが明らかになってきたからです。社員が幸せだと感じることが、会社の業績に影響することがわかってきたのです。

 「幸せなんて人それぞれの感じ方なのでは?」と思われる人もいるかもしれません。しかし、多くの人にアンケート調査をして分析すると「幸せの共通点」も解明されています。そのひとつが、前野先生が発見した「幸福の4つの因子」。統計解析で見えてきたこの4因子が揃っている人は幸せを感じていると言います。

 ひとつ目の因子は「やってみよう因子」(自己実現と成長の因子)。関連キーワードは、夢、目標、強み、成長、自己肯定感。簡単に言えば「やってみよう」「自ら、働きたい」という気持ちになっている人は幸福だということです。その反対は「やらされ感」「やりたくない」「やる気がない」。こういう人は幸せを感じていません。

 2つ目の因子は「ありがとう因子」(つながりと感謝の因子)です。感謝、利他、許容、承認、信頼、尊敬、自己有用感。「ありがとう」と言ったり言われたり、他者とつながりを感じている人は幸せを感じている人。逆は孤独です。確かに独りぼっちは辛いですね。つまり、会社の中に「ありがとう」という言葉が通い合い、仲間が助けっている会社は幸せが多いということです。

 3つ目は、「なんとかなる因子」(前向きと楽観の因子)。キーワードは、前向き、楽観性、自己受容。確かに「何とかなる」と前向きに楽観できることは幸せです。他人の欠点ではなく、良いところを認め合い、それを伸ばしていくのがポイント。「俺が責任を取るからやってみろ」と後押ししてくれる上司がいると、この因子が伸びるはず。

 そして最後が、「ありのままに因子」(独立と自分らしさの因子)。独立、自分らしさ。人の目を気にせず、自分らしくいられていると感じている人は幸せです。多様性を受け入れてくれる職場、違いを認めてくれる職場は幸せが多い職場です。

 問題は、この4つの因子をどのように高められるか? 例えば朝、仲間に合ったら「挨拶」をする。仲間の存在を「認め合う」。人の為に行動する。そして、何かをしてもらったら「ありがとう」と言うことも、「ありがとう」と言われることをすることも大事。また、誰かが何かにチャレンジしようとする時に、「やってみたら?」と励ましたり、応援する。どれも簡単なことばかりですが、こういう仲間がいる職場で働くことをイメージすると仕事が楽しくなるような気がしませんか?

 昔は、収入や地位が上がったら後で「幸せ」になると、「今」を我慢して歯を食いしばって働いていました。しかし、大事なのは今が幸せかどうか。今、この瞬間に幸せを感じているからこそ、生産性も創造性も高くなり、業績も利益もあがる。目的は、お金ではありませんが、結果としてお金も手に入る。

 「働く人たちが、今、この会社で働く幸せ」を高めていくことが、益々大事になっていくようです。

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2021 年 11 月 02 日 15:06

伊那食品工業さんの朝掃除に思うこと

 先日、ある経営者グループの皆さまをご案内し、伊那食品工業様を訪問させていただきました。
 約3万坪の敷地の中に工場や本社社屋がありますが、そのほとんどが地域の人に開放しているガーデンです。ブランド名にちなんで「かんてんぱぱガーデン」と名付けられているその庭は、元々が松林。自然に生えている松の木を活かしながらも、古い木は撤去し、空いたところに植物を植えるなど、長年に渡って手入れをされてきました。

 伊那食品工業では、業者に掃除を依頼されません。毎朝、その広い庭を、本社にいる200人くらいの社員で掃除をします。今の時期は紅葉の落ち葉がいっぱいですが、夏には草取り、冬には雪かきなど、かなりの作業です。

 そんな庭掃除を、社員の人たちがいきいきと、まるで自分の庭の手入れのように取り組んでおられるが、見学者が驚かれるところです。今回も社員の皆さんに「掃除はどうですか?」と聞いてみると、皆さんが「楽しい」仰っていました。でも、なぜ、楽しくなるのでしょうか。

 私も昔、大きな庭の掃除や草取りをずっとしていたことがありますが、草や落ち葉と向き合っていると、なぜか心が落ち着きます。同じ庭なのに、季節によって表情が違い、生えてくる雑草変わります。そんな変化に気づくことも楽しみです。そして、何より綺麗になった後を見ると嬉しくなります。

 たぶん、庭掃除そのものに、そんな楽しさがあるのだろうと思いますが、伊那食品工業の皆さんは、これを会社の仲間と一緒にやっているところが違います。
 この庭掃除にはもちろん上司も部下もありません。誰かからの指示命令も、ここをやれというルールもなく、それぞれが今、自分がすべきだと思ったことをするのです。これも楽しさのひとつだなと思います。

 「今、何をやればいいのだろうか?」。自分で考えることは言われてやるより、何倍も面白いでしょう。また、全体を見て考えなければいけないので、広い視野も必要。それに、朝礼までに3万坪を綺麗にするのは、効率も重視されます。「いかに早くできるか」という脳も働かせなければならない。この庭掃除の中で人間の創造力や、工夫する心が全開となって、夢中になってしまうのではないでしょうか。
 「この庭掃除は気づきの訓練だと思っています」と入社3年目の方が話してくれましたが、続けて掃除をしていることで、見えなかったことが見えるようになったり、わからなかったことがわかるようになったりする喜びも、きっとあるに違いありません。

 こうした庭掃除で一日が始まる伊那食品工業さん。その職場には上下の壁も、部門の壁もありません。役員の人と新人が家族のように話す姿を見ていると、庭掃除という、ひとつのことをみんなでやる文化が、大きな影響を与えているように思いました。
 社員旅行や運動会、バーベキューなど、最近は社内行事をする会社が少なくなりましたが、一見無駄なようにも見える、仕事以外の行事や体験の場で自然と上下や横の関係が密になり、いい組織づくりにつながっているのではないでしょうか。

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2021 年 10 月 20 日 18:02

仕事の目的を考える2つのエピソード

 先日、ある研修で、皆さんと一緒に「仕事」と「作業」の違いについて話をしました。そんなに気にしておられない方もいらっしゃったようですが、私は仕事とは、目的を意識しながら、どうすればもっと良くなるかを考え創意工夫をしながらやるもので、作業は決められたことを決められた通りにやることだと思っています。
 お客様や後工程の人のために、どうすればもっと良い価値を届けられるかと考えてやっていると創造力を働かせますから楽しくなります。作業でも、どうすれば早くなるか、どうすればもっと良くできるかと創造力を働かせていくと仕事になります。傍から見ればただルーティンワークをしているようでも、その人の心の中にはしっかりと「目的」が見えていて、その目的のために自分の役割を果たそうとワクワクしている人もいます。

 有名な話で、皆さんも聞かれたことがあるかもしれませんが、心に残っている2つの話をご紹介します。
 ひとつは、アメリカの当時の大統領、ケネディさんが、ある日NASA宇宙センターを訪問した時の話。大統領が清掃員に、どんな仕事をしているのかと尋ねたところ、その清掃員は「私は月に人類を送り込む手助けをしています」と答えたそうです。
 この人も単なる作業員ではありません。きっと毎日ワクワクしながら、仕事をしている様子が思い浮かびます。

 もうひとつが、松下幸之助さんが社員に語ったエピソードです。
 当時、まだ小さな町工場だった松下電器では、完成した電球を磨くという仕事がありました。そこに、つまらなそうに仕事をしている社員がいたそうです。その社員に対して松下幸之助さんは、「君、ええ仕事しているな~」と声をかけました。その社員は、「電球をふくだけの仕事のどこがいい仕事なんだ」と思っていたのでその言葉に唖然としたそうです。
 幸之助さんはこんな風に話したそうです。
 「この電球は、どこで光っているか知っているか?」「あんたが磨いた電球で街の街灯に明かりがつく。その街灯のお陰でどうしても夜遅くに駅から家に帰らなあかん女の人、いつも怖い思いをして帰っていた女の人が安心して家に帰ることができる」
「またなぁ、子供が絵本を読んでいると、外が暗くなって家の中はもっと暗くなる。そうなれば、絵本を読むのを途中でやめなあかん」「でもな、あんたが磨いている電球1個だけで、子供たちは絵本を読み続けることができるんや」「すごいこどじゃないか、あんたが電球を磨いていることで子供たちの夢を磨いているんやで」「物づくりはなぁ、物をつくってはあかん、物の先にある笑顔を創造できんかったら、物をつくったらあかんのやで。」「子供たちの夢のために、日本中、世界中にこの電球を灯そうや」

 物の先にある笑顔を想像できんかったら、物を作ってはあかん。改めて松下幸之助さんの信念の強さを感じます。でも、これは物作りだけの話ではないのだろうと思います。
 どんな仕事をしているのかと問われた時に、どんな言葉を返せるか。仕事の向き合い方が表れているのかもしれません。

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2021 年 09 月 22 日 13:59

どうすれば上達するか?

 大阪の交野市にある「ビューティサロン・モリワキ」さんは、社員を大切にする美容室です。私は、このお店の幹部の皆さん、スタッフの皆さんの素朴で温かい気持ちが大好きで、通い続けています。
 シャンプーなどは、昨年入社したアシスタントのM君が担当してくれます。新人の時から担当してくれているので、何か自分の子どものような感覚で見てしまいます。
 先日、またシャンプーをしてくれたのですが、以前よりしっかりとした指使いで、力加減も自分にピッタリでした。私はプロではないのでうまく表現できませんが、迷いがなくなったというか、自信ができたというか、「プロ」に近づいているなと感じました。きっと山ほど練習したのでしょう。なんだか嬉しくなりました。

 「どうすれば上達するのか」ということを考えてみました。みんな、過去の経験から上達するには「練習」が必要だということはわかっています。でも、頭でわかっていても、忙しくなると練習をないがしろにしてしまうことがあります。学生時代はコーチや監督が強制的に練習をさせてくれますが、社会人になると誰も指示しません。また、練習をしようと頑張ってみようと初めても、「やっても、やっても上達しない」という状況になり、途中で挫折するということもあります。さらに、やっかいなのは、ある程度できるようになると、一人前になったと錯覚し、それ以上の練習をしなくなる人もいます。それでもお金はもらえるので、技術の向上を続けなくなります。頭でわかっていても、出来ないのが練習なのかもしれません。

 しかし、やはり一流になるのは、練習が不可欠です。どの世界でも、今、業界の第一線で活躍している人は、他の人より技術が輝いているので、先天的な才能を持っていると思われがちですが、いろいろと過去を聞くと、ほとんどの人は、技術を磨くために並外れた時間を投じ、努力を積み重ねてきたという共通点があるようです。つまり「生まれつきの天才」はいないようです。

 では、なぜ、天才の人たちは、練習の量・時間をかけることができたのでしょうか?周りにいる親、コーチが優れていたということもあると思います。しかし、練習はキツイもの。一日に何時間もかけるのは苦痛のはず。「苦しい時間」が続いているだけでは長い時間練習できる訳がありません。

 後に天才と呼ばれる人たちは、この苦しい練習も、楽しんでいたのではないでしょうか?ただ量をこなそうとした訳ではなさそうです。1回1回の練習に仮説を立ててのぞみ、それを何度も実行し、最後に反省をし、改善を加える。野球で言うなら「一振り」に、美容室でいうなら「一回のシャンプー」に、細かく、具体的にトライしていくからこそ、没頭する。没頭するから楽しくなる。集中すると成長する。成長するから「成長実感」も、味わえる。悔しさもエネルギーになる。外側からみたら、「なんて過酷な練習なんだ」と映るかもしれませんが、本人にとっては、“面白い”という時間になっているのではないでしょうか。天才とは、苦しみを楽しみに変える人と言うのかもしれません。

 いわゆる「PDCA」というものですが、企業にとっても、仕事にとっても、人生にとっても、遊びにしても、自分からこのサイクルを回すことが成長の原点であり、何より、自分自身が面白くなるサイクルだと思います。ただ、不思議なもので、「計画をしっかり立てろ」「ちゃんと行動しろよ!」「お前は反省したのか?」「もっと改善しろ」と、上からとやかく言われると、とたんに面白くなくなるのもPDCA。

「自分」から、自分の手でブンブン回していくことがいちばん大事なんでしょうね。

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2021 年 09 月 15 日 14:30

「でんかのヤマグチ」から学ぶ“高売り”と“アフターフォロー”

 先日、DOIT!シリーズの中でもご紹介した東京・町田市にある「でんかのヤマグチ」の創業者、山口社長に講演をお願いし、若い経営者の皆さんに聞いていただきました。

 創業56年。小さな電器屋を一人で始めた山口社長は、コツコツとお客様を開拓し、売るだけでなく、そのお客様が困っていることがあれば、すぐに飛んでいき対応する。そんな地域密着の経営で経営を伸ばしてこられました。

 しかし、今から25年前、近隣に大型量販店が続々と進出。半径2キロに6つのも競合が迫ってくる事態に直面します。量販店同士が「他の店より1円でも安く」と競い合うと、地域の小さな店は太刀打ちができません。倒産、廃業が頭によぎったそうです。

 悩んだ山口社長が出した結論は、生き残っていくためには量を売ることではなく、少なくてもしっかりと利益が出る商いをすること。つまり、商品を量販の値段に合わせて安く売ることではなく、今よりも高い値段で売ることにしたのです。それが「高売り」。お客様にしっかりとサービスをしていけば、きっと私たちを選んでくれるはず。一生懸命働く社員のためにも、生き残っていかなければ・・・周囲が猛反対する中で、その戦略を貫きました。

 まず、遠くのお客様を台帳から外したそうです。すぐに飛んでいける、近隣のお客様を選びました。そして、5年以上購入のないお客様を台帳から外し、値引きを要請するお客様は量販店を紹介するなど、値段は高くても、でんかのヤマグチのサービスを好んでくださるお客様に絞って商いを展開していったのです。電池が切れたと言われたらすぐに持っていく。テレビの操作がわからないと言われたら、わかるまで何度もご説明に伺う・・・それだけでなく、「旅行に行く間、少しペットの世話をしてくれないか」という頼みまで引き受けることにしました。信頼があるからこそ、そんな依頼も「でんかのヤマグチ」に頼まれるのです。

 こうした、手厚いアフターフォローの商いを続けた結果、量販店との価格差が3万~10万もあるのに、買いに来てくれるお客様が増え続け、以前は「25%~27%」だった粗利率、今では「45%」に改善。借金もゼロになりました。最近、あるお客様から、「あなたのお店は、もっと高く売ってもいいのでは」と言われたそうです。どんなことにも親切に対応をしてくれるヤマグチさんに、そのお客様は惚れ込んでしまっているそうです。そんなお客様がヤマグチを支えてくれているのです。

 25年前、もし、量販店に対抗して「安売り」をしていたら、体力のない小型店はあっという間につぶれていたでしょう。しかし、山口社長は、従業員の幸せを考え決断をしました。売上を上げるために値引きをするというのは、簡単にできること。しかし、簡単にできることが正しいこととは限りません。本当に大切にすべきことを大切にする。それが険しい道、難しい道であったとしても、やると覚悟を決めてやり続ける。すぐに結果を求めたり、すぐに楽な道を選ぼうとしてしまう、私たちに大切なことを教えてくださった講演会でした。

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2021 年 09 月 08 日 10:12

成功の原点は経営者の姿勢

 先日、12月からスタートする「未来×幸せ経営フォーラム第3期」の講師としてご登壇いただくカレーハウスCo Co壱番屋の創業者、宗次徳二さんとお会いしました。DOIT!シリーズで取材をさせていただいてから月日が経ち、今は役員を退任されていますが、奥にある情熱は以前と変わらず少年のような目がキラキラと輝いておられました。

 1974年に小さな喫茶店を立ち上げ、1978年にカレー専門店壱番屋を創業。その4年後に会社を設立して全国展開。今では全国各地に1300店。カレーの本場インドにもお店があるそうです。このコロナ禍でも、ココイチ(略称)は売上減少を最小限にとどめることができているそうです。その理由がカレーという日本人の日常に欠かせないものであったこと。さらに、お店の8割が「のれん分け制度」で生まれた自営業者のお店であるということが要因のひとつ。しかも、今、いろんな店がやり始めている「宅配、持ち帰り」も、ココイチはもう30年も前から取り組んでおられます。独自の道を進んできたココイチの強さの原点はどこにあるのでしょうか?

 宗次さんが創業の頃から大事にされてきたことをお尋ねしました。「それは経営者の姿勢です」と静かに語られました。お客様が来てくれたことに感謝する。その感謝の気持ちを込めて真剣に経営する。堅実に、真面目に、着実に、今、ここ、その瞬間を一生懸命に経営していれば、きっとお客様はついてきてくれる。「小さな継続の積み重ね」が大事だとお話いただきました。どんなお店もオープンした頃はみんなこんな気持ちで商売に向かっていくそうです。しかし、少し軌道に乗ると、経営者がお店に出なくなったり、自分の遊びや生活に目が向くようになり、お店がダメになっていく。宗次さんは、いかに経営者が慢心せず、創業の時のような情熱と感謝の心を持ち続けていけるかが経営に最も大切なことだとお話くださいました。
 宗次さんの事務所は、こう言っては何ですが本当に狭く、書類がいっぱいになる隅っこに小さな机がありました。退任されてからは、社会貢献活動に全力を傾けられているそうです。お店でやってこられたように、毎日朝4時に起き、事務所のまわりの清掃とお花の管理を3時間もされています。
 私腹を肥やすための商売ではなく、社会に役立つための商売を一途にやり続ける。
「経営は、経営者の姿勢」。宗次さんのこの言葉が胸に刺さりました。

 12月2日からスタートする「未来×経営フォーラム第3期」は、この宗次さんとのトークセッションから始まります。今期のテーマは「人間力が未来をひらく」。姿勢、志、情熱などの大切さ、磨き方を追求していきます。

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2021 年 05 月 18 日 16:23

「満足」と「たいへん満足」の差

 この間、ネットに掲載されている車の購入に関するCS調査結果を見ていました。

 次回購入意向に関する項目で、「もう一度、この店で新車を購入するか」という質問に対して、今の対応に「たいへん満足」と答えた方の67.9%の方が「とてもそう思う」と返答。「満足」と答えている方の中で「とてもそう思う」という方は、17.5%。なんと、「たいへん満足」のグループと「満足」のグループには、およそ3.9倍も開きがありました。「満足」のグループでも、「とてもそう思う」の次の「そう思う」が45.9%ですので、満足はされている。なので何割かは今の店で車を購入されると思いますが、やはり、お客様が「たいへん満足」くらいにまでいかないと、お客様のリピートにはつながらない時代なんだと、改めてこの業界の厳しさを実感しました。

 「満足」と「たいへん満足」の差はどこにあるのでしょうか。食事の例で考えてみた時に、メニューを見て、1000円の食事をする。味も美味しく、サービスも問題なし。これは「満足」だと思います。美味しくなければ、不満足でしょうし、お店が汚い、挨拶がぶっきらぼうでは不満になりますが、「期待通り」だったら「満足」と思うのではないでしょうか。1000円のランチだったら、こんな感じだろうという期待通りの結果だったわけです。しかし、その期待を超えてここで思いかげず個別対応をしてくれたとか、思った以上に親切にしてくれたとか、期待を超えるものがあった時には「たいへん満足」と答えるかもしれません。

 「満足」「たいへん満足」の判断のポイントは、年々変わっていくはず。例えば以前は「道端までのお見送り」というサービスは、ある一部の店しかやっていませんでしたが、今やほとんどのお店がしています。だから、そのサービスを受けたとしても、もはや期待の中にあるもので驚きません。年々どの店のサービス水準が高くなっていますので、「たいへん満足」という結果を生み出すのが、大変な時代だと思います。

 ただ、そんな中で「たいへん満足」を生み出している店もあります。例えば、ネッツトヨタ南国(DOIT!)さんでは、指示命令やマニュアルで動くのではなく、すべての社員が「今、この場でお客様のために何をすればいいか」を感じ、自ら考え、自ら行動することで感動を生み出しておられます。また、先日発売した「レクサス星が丘(志GOTO人)」では、車業界ではなく、「すべてのサービス業の中で一番になる」という目標を掲げ、問題点を日々改善したり、感動のサービスにトライし続けておられます。

 ただ「たいへん満足」をめざすというと、今以上にいろんなサービスを足していかないといけないとか、お客様を驚かせるようなことをしなければいけないと思いがちですが、先ほどのアンケート調査で、お客様がお店に求めていることは「購入後も変わらない気配り」「スタッフへの相談のしやすさ」「商品知識や専門知識」「整備内容の説明」など、ごくごくあたりまえのことばかり。人としてのちょっとした気配り、ちょっとした心配りの積み重ねて生まれてくるのではないのでしょうか。「人の心の差」です。
 「たいへん満足」を生み出すのは「小手先のメニューづくり」などではなく、今や組織や人財育成が問われているのだと思います。

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2021 年 04 月 20 日 16:22

困難をどう受け止めるか

 大阪では1日の感染者が1200人を超えるなど、コロナの第4波が拡大しています。再び緊急事態宣言が発令されるのか。コロナ禍はまだまだ続きそうです。
 先日、弊社のオンラインセミナー「未来×幸せ経営フォーラム」(第2回)のゲストにお迎えした、徳武産業の十河会長と、王宮 道頓堀ホテルの橋本専務に、このコロナ禍でどのような対応をされたかをお伺いしました。その中で、この苦難に対する「経営者の姿勢」が心に残りました。

 徳武産業さんは、高齢者向けのケアシューズを製造・販売されている会社ですが、昨年の緊急事態宣言の時は、販売店さんへの訪問活動ができず、また全国の売り場が休業になり売上が大きくダウンしました。その時に十河さんはこの危機をどう乗り越えるか。必死に考えられました。まず営業先を取引額から重点化し、オンライン営業に切り替え、営業体制を効率化することに。また一方で「今は、みんなが危機を感じてくれている千載一遇のチャンスだ」と、社員に呼びかけ、経費の徹底的な見直しを行いました。その他にも、こうした時に喜ばれることは何かと考え、在宅の高齢者を訪問するヘルパーさんが安心して介護に出向けるようにと、抗菌・防水加工をした薄くて何度でも取り換えられる室内シューズを開発。新しい需要を生み出しました。こうした取り組みの結果、前期の利益の減少は、前年をたった2%ダウンしただけで、今期は過去最高の利益が見込まれているそうです。
 十河会長は、「悪い時が起こる時、私は、それは我々に何かを教えてくれていると受け止める」と仰っています。「困難」を冷静に見つめて工夫・改善する、少しずつ乗り越えていく。そのプロセスで新しい力を蓄え、成長する。困難をチャンスとして受け止め、活かすこと大切さ教えていただきました。

   一方、王宮 道頓堀ホテルさんは、もっと深刻な事態です。海外のお客様中心に伸ばしてきたホテルに、お客様がまったく来なくなってもう1年が過ぎています。大阪に3つあったホテルの1棟を閉鎖し、長期滞在者の為のプランや、会議や研修用のホテル一棟貸しというプラン、宴会場の料理の通販など、ありとあらゆる努力をされています。しかし、いちばん大変なのは社員の人たちのモチベーションの維持だと言われます。橋本専務は、社員に対し「明けない夜はない」と励まし、「夜にしかできないことをしよう」と様々なチャレンジをされてきたそうです。社員一人ひとりとの面談、応対研修、理念や人事制度の見直し、経費の見直し・・・数年くらいかかりそうなことをこの間に徹底的にやってこられたのです。

 「ピンチをチャンスに」。しかし、この言葉は当事者になると腹立たしく聞こえる時があります。大きな困難に遭遇した時は、誰もが途方に暮れ、解決策が浮かばず、後ろ向きになってしまいます。「チャンスなどがあるなら教えてほしい」。そんな気持ちになるのが普通です。
 しかし、困難な状況は変わらなくても、困難の捉え方は変えることができる。今回のコロナ禍でも前向きにとらえる人とそうでない人の差は出てきているのかもしれません。
 コロナが、我々に何かを教えてくれているとしたら、何を教えてくれているのでしょうか?

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2021 年 03 月 24 日 10:40

いい会社の経営者の4つの共通点

私たちブロックスが昨年からスタートした、オンラインでの経営者の学びの場「未来×幸せ経営フォーラム」は、昨年第1期(4回)を終え、この3月からまた新たな受講生が加わり、第2期(4回)が始まりました。
先行きが不透明な時代に、CSやESが高い、いい会社の経営者はどんな風に考え、どのように舵を切ろうとされているのか。これまで5組、10名の方のお話を伺いましたが、そんな経営者の皆さんの考え方や姿勢の共通点を整理してみました。

1.社員の幸せへの強い思い
そもそも企業は何のためにあるのかというと、人が幸せになるためです。ご登壇いただいた経営者の皆さまの第1の共通点は、この社員の幸せに対するぶれない信念です。社員の幸せを考えるからこそ、しっかりと利益を生み、このようなコロナ禍に備えておく。苦しい状況でも、働いてくれている人の健康や生活に気を配る。このコロナ禍でより経営者の差が見えてきました。そして、きっと、社員の幸せは、どんなに時代になろうとも、企業がある限り、きっと不変的な第一基準であり続けるのではないでしょうか。

2.逆境においてもポジティブ
経営者は楽観的でありすぎても悲観的になりすぎてもいけないと言われますが、ご登壇いただいた経営者の皆さまから受けた印象は、やはり、こんな時にも明るく未来を捉えておられるということです。変化は確かに痛手ではある、でもこういう時こそ変化していこうと、時代の変化に前向きに挑戦されておられます。①への変わらない思いがあるからこそ、変えるべきことは速やかに変えていく。これまでも、これからも、お客様の満足の進化に立ち止まらなかったからこそ、ファンが生まれていくのだと感じました。

3.学び続ける経営者
今回のセミナーにご登壇いただいた経営者の皆さんから、「自分ももっと学びたいので、このセミナーに受講者として参加したい」と自分のセミナー後も参加されているのですが、この「自分はまだまだ」という経に対する謙虚さも、素晴らしい経営者の共通点です。成功すると「これでいいや」と思いがちですが、いい会社の経営者ほど、学びを止められません。常に他の経営者のやり方や考え方を学び、自分たちを進化させていこうという経営者の姿勢は、きっと社員にも伝わり、社員も自分を成長させていこうと思うに違いありません。

4.人間への愛・優しさ・思いやり
参加者の皆さんは、ご登壇いただいた経営者の皆さんの発言の中に、「ぶれない哲学」を感じられたことと思います。そして、いろんな質問に答えられる姿勢・態度をご覧いただいた時に、素晴らしい人間性も感じられたのはないでしょうか。私自身も感じていましがが、それは何だろうと考えた時に出てきた言葉が「愛・優しさ・思いやり」です。この軸があるからこそ、私たちは人として経営の話に共感できるのだろうと思います。「こうすれば効率的な経営ができ成功する」という最新の経営論があったとしても、その経営に参加する社員が幸せを感じていなければ成立することがないように、どんな時代になろうとも、経営者の信念の中に人への愛や思いやりがなければ、経営はうまくいかないではないでしょうか。

次回の未来×幸せ経営フォーラムは4月15日です。高齢者の歩行に関する悩みに応える靴を販売する香川県の徳武産業さん、このコロナ禍の逆境の中でも社員の幸せを守り続けておられる大阪の道頓堀ホテルさんにお話をお伺いします。どんな時代にぶれない経営のあり方やイノベーションの生み出し方について、具体的にお伺いしていきます。

「未来×幸せ経営フォーラム」https://www.doit-fun.jp/blocksseminar/20210310_0622

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2021 年 01 月 26 日 09:45

「働く幸せ」と「ホワイト企業」

「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」「日本サービス大賞」「日本経営品質賞」など、今、世の中にいい会社、いい経営を表彰する賞があります。その中で、創設の時から私が手伝わせていただいているのが、「ホワイト企業大賞」です。

 この賞の面白いところは、「社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業を増やす」という理念に賛同した、いろんな分野の専門家が20人ほど集まり、お金も取らず、手弁当で運営しているところです。私もその一人です。社員の幸せや働きがいという数値化しにくいことをテーマにしているため、明確な評価基準で経営の良し悪しを決めるのではなく、「この賞に参加する全員で、さらに上を目指してこう」という考え方もこの賞の特色で、上から目線で「賞を与える」というのとは一線を画しています。

 そんなホワイト企業大賞ですが、先週の日曜日に、7回目の表彰式がオンラインで行われました。コロナ禍にも関わらず、今回も賞の理念に賛同された企業がたくさん応募され、推進賞や特別賞、大賞が選ばれました。受賞された企業の皆さんのコメントひとつひとつが、温かく、優しく、式が進むにつれて心が温かくなってきました。

 学び合いの場なので、最後は応募企業も委員も全員が参加する勉強会。私が担当し、「働く幸せって何だろう?」というテーマで約100人の人たちによる対話の場を設けました。「働く幸せ」とは、役立つ喜び。成長すること。自分らしく働けること。自分の会社に誇りを持てること・・・、いろんなキーワードが出てきましたが、実践されてきた皆さまだけに、ひとつひとつが心に残ります。以下、その時の対話の「問い」ですが、ぜひ、皆さんも考えてみてください。

1.あなたにとって「働く幸せ」って、どんなことですか?
2.もし今、あなたや、あなたのまわりの人が、幸せをあまり感じられていないとしたら、なぜ、そうなっているのでしょうか?
3.どうすれば、あなたやあなたのまわり人の「働く幸せ」を高めていけるでしょうか?

 ホワイト企業大賞は、中小企業の皆さんが「いい会社づくり」を追求する場です。応募するだけでも自社の課題が見えてくるので、もし、よろしければ、貴社でも挑戦されてみてはいかでしょうか。

ホワイト企業大賞のHP:https://whitecompany.jp/

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2020 年 12 月 15 日 09:58

お客様に寄り添う、本物の会社

 先日、弊社のセミナー「実践学習会」で香川県の徳武産業様を訪問しました。徳武産業さんはDOIT!シリーズで取材した会社ですが、この10月に、「日本サービス大賞 経済産業大臣賞」を受賞され、また注目を集めています。
   https://service-award.jp/result_detail03/industry04.html

 徳武産業さんは、介護シューズ「あゆみ」など、高齢者に特化した靴を製造販売する会社ですが、27年前まではスリッパやルームシューズなどをOEMで作っていた会社です。当時社長だった十河孝男さんがある時、知り合いの特別養護老人ホームの施設長から「お年寄りがスリッパを踏んで転倒する事故が相次いでいる、何とかならないだろうか」と相談を受けたことが、靴づくりへ転換したキッカケでした。
 高齢者の足を調べてみると、腫れ、むくみ、方マヒなど問題がたくさんあり、既存の技術では対応できないことがわかりました。しかし、困っているお年寄りの気持ちを知った十河さん(当時社長)は、一念発起しゼロから靴づくりを学び、数年間かけて高齢者が転倒しない靴を開発しました。

 その「あゆみ」という商品はヒットして売れるのですが、高齢者の足の問題はまだまだありました。左右の足の長さが違う、左右で大きさが違う。そんな悩みにも応えたくなり、業界常識を超えて「片足販売」を始め、靴底の高さを左右で変える「パーツオーダー」など、とことん悩みに応えられました。幅、高さの調整。こうした個別対応は赤字部門なのだそうですが、「靴が合わない」ことで生きる勇気までなくしてしまっている人を見ると、どうしても辞めることができないと続けておられます。今では介護シューズ全国シェアの55%(数量ベース)を徳武産業が占めるまで成長。高齢者にとって手離せない、いえ、足離せない会社になっているのです。

 「お客様の満足」「お客様の喜び」などと、私たちはよく言葉にしますが、徳武産業さんのお客様への寄り添い方を見ていると、私たちはお客様に寄り添っている「つもり」なのかもしれないと反省します。たった一人でも、その人が本当に困っておられるなら、何とかしてあげたいと動き出す。その気持ちが徳武産業さんの出発点。その気持ちが伝わるからこそ、顧客から期待され、商売が成功しているのだと思います。毎日何十通も感謝の手紙が届くというのは、お客様への思いが本物だからだと思います。

 今は、ネットを通して何でも明らかになる時代。お客様に寄り添っている「ふり」や、「つもり」の会社では、きっとうまくいかなくなってしまうのでしょう。お客様から「あなたがいなくてはダメだ」と言われるくらいの会社を目指していきたいものです。

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2020 年 11 月 17 日 10:24

考える社員をつくる風土づくり

 今日は「第3回 未来×幸せ経営フォーラム」の気づきから。
 今回は、トップダウンからボトムアップの社風へ変革を果たしたトヨタカローラ秋田の伊藤哲之氏と、風土改革の専門家スコラ・コンサルトの柴田昌治氏をお迎えし、どうすれば社員が主体的に考え、行動する組織にしていけるかを話し合いました。

 20年前、会社を変えていきたいといろんな改革に挑戦していた伊藤氏。しかし、どうやっても社員が動かない。動かないから恫喝する。社員は恐れますます動かない。苦しんでおられました。
 そんな時に出会ったのが、考える社員の重要性を訴えていたスコラ・コンサルトの柴田さん。「今までのやり方ではだめだ」と思った伊藤氏は、柴田さんが勧める「オフサイト・ミーティング」をスタートさせます。
 これは、考える社員を育てるには、みんなが自由に本音で話せる場が必要であるということから生まれた対話の場づくり。「みんなで雑談をしていこう」と始めたのですが最初はなかなか話せません。
そこで伊藤氏は「じゃ、俺の悪口を言い合いなさい」と投げかけられます。すると、今までのうっ憤を晴らすかのように社員は悪口をテーマに話し始めたそうです。それも1年半も。

 しかし、悪口も行きつくと、社員の中に「いつまでもこんなこと言っていても仕方ない」という気持ちになり、次第に「自分達でこうしていこう」という前向きな議論の場に変わっていったそうです。「もっとお客様に喜ばれる店にするにはどうすればいいか?」。そんなテーマで話し合い、実行する。お客様に喜ばれたり、感謝されることも増えてきます。そんな体験の中から「自分達で考えて行動することがいい」という確信が芽生えます。そんなプロセスを経て、同社のボトムアップの社風が定着、社長の思いも伝わり始め、会社は見事に様変わりしました。

 社員に主体性を発揮してほしい。どんなリーダーもきっとそう思っていると思いますが、そうならないのは、そうすることが出来なくなってしまう原因が過去にあるから。「言ってもつぶされる」「失敗したら怒られる」。そんなトラウマのような思いがあるうちは変われません。だからこそ、いい会社にしていくには長期戦を覚悟し、じっくりと対話を重ねていくことが必要なのかもしれません。柴田さんは、このカローラ秋田さんの成功の裏には、信念をぶらさなかったリーダーの存在が大きいと仰っていましたが、本当にそう思います。
 業績と社員の幸せの両方を満たしていくのは、本当に難しいことですが、「リーダーが理想を持ち続け、覚悟をすればできる」と仰っていた伊藤さんと柴田さんの言葉が心に残ります。

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2020 年 10 月 19 日 18:25

恩情の連鎖で人が育つ

 先週はバグジーの久保社長、西精工の西社長をゲストにお迎えし、「未来×幸せ経営フォーラム」の第二回目を開催させていただきました。今回のテーマは「大家族主義の経営と人材育成」。そのことに全力を尽くしてこられたお二人のお話を少しご紹介します。
 
   そもそも大家族主義とはどんなことなのでしょうか?
  「もし、自分の子供ならどうするか?」「もし、自分の妹、弟ならどうするか?」。判断する時に、“自分の家族ならどうするか”と考える経営を家族主義と呼ばれています。例えば遅刻が続く後輩がいたら、普通の会社なら罰則で管理しようとしますが、大家族主義の会社は、自分の弟ならと考えます。「目覚まし時計を買ってあげる」「起こしにいってあげる」…バグジーの中では仲間がそんなことを言い出して対応するようです。入社してくれた社員を自分の子供のようにみんなで育てる。仕事を超えて悩みを共有し、親身になって新人を育てていくのは両社に共通する文化です。
 
    自分の時間を使って、その子を一生懸命に育てる先輩たちの恩情をいっぱい受けた人は、先輩に好意を持ち、慕うようになる。「ここまで自分のことを思ってくれているんだ」と上司に恩情を感じた後輩は「よし、もっと成長して期待に応えよう」と頑張ります。「部下の成長は、上司の恩情の量で決まる」という久保社長の言葉の通り、部下の成長は、上司の恩情の量に比例していくのでしょうか。
 
    そして、そんな上司の恩情をたっぷりと受けて育ってきた人は、次に自分に後輩が出来た時に、その恩を返していこうと、親身になって後輩を育てます。そんな「恩情の連鎖」が広がっていくのが大家族主義の経営です。
   半沢直樹のドラマでも「施されたら、施し返す」という名セリフがありましたが、やはり上司からめいっぱいの愛を受けた人は、お客様や後輩に愛を返していこうと思うのでしょう。人材育成の手法はいくらでもありますが、いくらテクニックで人を育てようと思っても、その奥に「愛」がなければ、伝わる訳がありません。人材育成のベースは、上司が部下を自分の身内のように思う気持ち、つまり心の底から「成長させてあげたい」と願う気持ちだと思います。
 
   激動の時代だからこそ、人が育つ会社は、これからどんどん輝いていくはず。恩情の連鎖、大事にしていきたいですね。
 

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2020 年 10 月 13 日 11:53

先輩がマニュアル

 ホンダディーラーでCSが常にトップクラスのホンダカーズ中央神奈川さんで、以前、こんな話を聞いたことがあります。日本経営品質賞を受賞している会社ですが、審査員が事前調査に訪問した時に、「貴社には接客のマニュアルがありますか?」と質問をされたそうです。CSが高い会社だからきっと接客マニュアルがあるはずだと思われたのでしょう。しかし、この会社には接客マニュアルはありません。そこにいた社員が「紙のマニュアルはありませんが、うちでは先輩がマニュアルなんです」と答えたそうです。尊敬する先輩の姿をみて、自然と身に付けていくのがこの会社の伝統だということです。

 審査員の目線は、接客マニュアルがなければ標準化されず、バラつきが生じるのではないかということだと思いますが、この会社は何年も連続してCSナンバーワンに輝く会社ですから、現実は接客マニュアルがなくてもみんなが質の高い、いい接客をしています。
 では、どうしてみんなが質の高い、いい接客をしているのか?それは審査員が求めるような科学的な答えではないのかもしれませんが、私は「社風」だと感じました。トップを筆頭に、みんなでお客様を大事にしようという空気感。「朱に交われば赤くなる」といいますが、いい社風の中にいると、自然とみんなが「いい接客になる」というのが、マニュアルがなくてもできる理由ではないでしょうか。これは、バグジーさんでも、川越胃腸病院さんでも、伊那食品工業さんでも感じたこと。いい社風がある会社は、マニュアルではなく、先輩たちの後ろ姿で若い人が育っています。

 「そういう社風があればいいけど、うちにはない。」という声が聞こえてきそうです。確かに社風がないなら、接客マニュアルを作って形だけでも整えないとお客様満足は高まりません。確かにそういうアプローチも大事なのかもしれませんよね。しかし、どんなにいい接客マニュアルを作り、教育をして現場に出したとしても、理念に共感して働いていない先輩が傍にいると、若い人はそちらに影響を受けてしまうのも事実。いい社風もあれば、悪い社風もあるように、社風の影響力はあなどれない気がします。

 ただ、私が取材させていただいたいい会社の経営者は皆さん、「いい社風をつくるのは時間がかる」と仰っていました。人々の考え方や意識の問題ですから、そう簡単につくれるはずがありません。それでも、諦めずにいい社風をつくろうと努力を続ける。そんな粘り強い経営者だけが「いい社風」がつくれるのでしょう。
 自社の社風、皆さんはどのように感じておられますか?

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2020 年 09 月 29 日 10:37

伊那食品工業の「未来を見据えた経営」と「社員のやる気」

 コロナ禍の中で日本を元気にしようという思いを込めて、新しいセミナー「未来×幸せ経営フォーラム」を立ち上げ、4回シリーズの第1回目を先週の木曜日に開催させていただきました。たくさんの皆さまにオンラインで参加いただき、誠にありがとうございました。毎回、新しい挑戦はドキドキします。でも、その緊張こそ、生きている実感でもあり、挑戦することの大切さを感じる時間でもありました。

 「未来×幸せ経営フォーラム」は、毎回、経営者や専門家をゲストにお迎えし、私(西川)と鼎談をするという企画です。今回は、伊那食品工業の塚越社長と、経営品質やリーダーシップ教育で昔からお付き合いのある鬼澤慎人氏をお迎えし、「どんな時代にもぶれない年輪経営」というテーマを掘り下げていきました。

 60年近く増収増益を続ける伊那食品工業さんをしても、このコロナ禍で業績が下がっているそうです。当初は経費削減という方向になっていたようですが、見通しが立ってからは、どんどん経費を使いなさいという元の方向に戻されたそうです。
 ご存じの通り、この会社の方針は「経営の目的は社員を幸せにすること。社員の幸せを通して地域や社会に貢献する」というものですから、経費を使うということは少しでも社員を快適にしてあげたいという理念を実現すること。塚越顧問は以前から「自社の経費は他社の売上」と仰っていますが、取引先に値段交渉をしたり、値切ることは一切されません。だからこそ、取引先からも信頼され、伊那食品工業を尊敬する人が増えていくのでしょう。経費に対する考え方から違っています。
 しかし、こうしたことができるのも、以前から、常に将来のことを考え、商品開発に力を入れたり、品不足による相場価格を解消するために海外に原材料の調達先を開発したり、寒天の需要創造のために新しい用途を開拓し続けるなど、未来へのタネをまき続けてこられたからこそ。「目先の利益に惑わされず、遠きをはかることが豊かになる」という二宮尊徳氏の思想をぶらされなかったからです。

 こうしたしっかりとした経営の基盤づくりと共に、伊那食品工業さんには、「社員同士が家族のように安心して働く土壌」があります。社員のことを「伊那食ファミリー」と呼んでおられます。この会社には、売上を上げるために社員を競わせる成果主義もなければ、上司と部下、部門間の壁もありません。新人さんも「ここでは何を言ってもいいんだ」という感覚を持ち、安心して発言をされています。
 成果主義もなく、昔からの年功序列の賃金制度で、どのように社員のモチベーションを高めているのでしょうか。気になって質問をさせていただきました。答えは社員が幸せを実感しているから。会社からのたくさんの思いやりを感じているからこそ、お返ししようという気持ちになっておられるようです。
 セミナーの途中で急にインタビューさせていただいた社員さんは、「あこがれる先輩がたくさんいます。その存在が私のモチベーションです」と言われていました。輝いて働く先輩の姿から、一生懸命に働くことで自分も成長できるというイメージがわいてくるのでしょう。感謝の心や成長の実感。外発的動機で生まれない、純粋で良質なモチベーションが生まれているようです。

 未来を見据えたしっかりとした経営(ビジネス)と安心して働ける職場から生まれる社員のやる気。いい会社に共通するキーワードですね。次回のゲストはバグジーの久保社長と西精工の西社長。そうした「安心して働ける職場」をどう実現していくのか、リーダーは何をすればいいのかをテーマに開催する予定です。また、皆さまとお会いできることを楽しみにしております。

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2020 年 07 月 15 日 08:41

左手を大事にする

 先日、バグジーの久保社長に「人間の達人 本田宗一郎」(伊丹敬之著・発行:PHP研究所)という本を紹介してもらい、読み始めたところ、その人間的な魅力に圧倒されてしましました。若い時から本田宗一郎さんの生き方や他社と一線を画す企業姿勢にあこがれを抱いていましたが、この本は本田さんの実際のエピソードや言葉から、人間性、人柄を表現することに主眼が置かれていて、まるで本田宗一郎が傍にいるような気持ちになります。
 いろんな逸話がありましたが、私が心に残ったのは「右手と左手」の話です。
 本田宗一郎さんは、きわめて仕事に厳しい人でしたが、それでも人が「オヤジさん」といってついていくのは、働く人に対して常に温かい視点をもっておられたからです。その中でも、特に裏方で働く人、目立たない仕事をする人にはさらに温かい視点で接しておられたそうです。こんな言葉を残されています。

 「ハンマーをふるう右手は、いつも目立ちますよ。逆に左手は影になって、いつも犠牲になって。だから必要ないかといえば、とんでもないことで、左手があるからこそやれる。人間の組み合わせもそうじゃないですか。地味にやっている人たちがあればこそ、何とかなる。そういう左手を右手はかばってやることです。いや、必要以上に可愛がってやっていいんじゃないですか」

 本田さんはこの言葉を実践するように、社長退任後に全国700か所の現場の人たちにお礼を言いに握手の旅をされたり、工場を訪問した時に、車を作った人の写真が展示されているのをみて、「食堂のおじさん、トイレ掃除のおばさんの写真はどこにある!」と怒鳴られたりと、常に裏方の人への温かい視点を持っておられたそうです。
 確かに、売上をとってくる営業や宣伝などの仕事のような目立つ仕事も、食堂や掃除、メンテナンス業務などの裏方の仕事があって成り立っているのに、いつも目立つものばかりに光があたります。ホンダが短期間でここまで大きな会社になったのは、こんな思想がベースにあったからこそ、みんなが一生懸命に働いていたからなのかもしれませんね。
 相手の気持ちになってその人のことを思いやる。こんな基本に徹底的にこだわって生きてこられた本田宗一郎さん。この素晴らしい人柄に追いつくことは難しいことですが、少しでも近づいていきたいです。

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2020 年 02 月 03 日 15:54

働けることの幸せ

 DOIT!シリーズでも大人気の伊那食品工業。創業者の塚越寛さんは、斜陽産業であった寒天の製造業を少しづつ改革し、社員の幸福を追求しながら、理想の会社をつくられていきました。50年の間、一人もリストすることもなく、増収増益を続けておられます。

 そんな塚越さんの経営の原点は高校時代にあるということを伺ったことがあります。
 塚越さんは高校生だった17歳の時に結核を患い、入院を余儀なくされてしまったそうです。当時、結核は死の病と言われたほど大きな病気。入院は3年にも及び、高校を中退せざるをえなくなってしまいます。
 みんなが楽しく学生生活を送る姿を横目で見ながら、ずっと病室で療養する日々が続きます。哲学書や経営書を読み続けたそうです。

 しかし結核は治り、奇跡的に回復した塚越さんは、働こうと就職活動をするのですが、中卒の塚越さんを雇ってくれる会社がなかなか見つかりません。悔しい思いをしながら、なんとか製材業の会社に就職できました。この会社で塚越さんは本当に一生懸命働いたそうです。病気で過ごした日々を考えると、生きていること、働けることが嬉しくてしかたない。幸せを感じたと言われます。

 働きぶりや言動が経営者の目にとまり、その会社の関連会社で業績が悪化していた「伊那食品工業」の立て直しをするようにと抜擢されることになりました。塚越さんは、その時はまだ21歳。しかし、与えられたその仕事に感謝し、また、一生懸命に頑張られます。それから、伊那食品工業は業績を回復し、創業以来一度も赤字を出すことなく50年以上成長していくのです。

 あるインタビューで当時のことをこのように仰っています。
 「260人いた高校で私だけ。一番苦労していたから栄養失調で肺結核になった。みんな進学していくのになんで俺だけが中途で退学なのか。こんな不幸があるのかと、病院で入院している間も、歩いている人を見て“あの人たちは歩ける幸せなんて感じていない”と、そう思った。だから歩けるだけで幸せ。だったら働けるなんてもっと幸せ。健康で働けて、そんな幸せはないって、自分は思った。」
 健康で働けることが嬉しくてしかたない。「私は職業を変えようなんて思わないし、仕事を喜々としてやってきた」と仰っています。

 この話を伺って、塚越さんが幸せに対して人一倍こだわってこられ、社員の健康や幸せにこだわれる理由がわかります。しかし、本当に伊那食品工業の社員の人たちが「幸せ」を感じているのは、こういう社員を大切にしてくれる経営者がいてくれることや、福利厚生が充実していることだけではないように思います。
   塚越さんが自分自身で示されてきた「どんな状況であっても感謝を忘れず、置かれた場所で、一生懸命に働く姿」こそ、伊那食品工業の人たちの「幸せな働き方」の見本になったのではないでしょうか。
 「働けるだけでもありたい」。あふれるばかりの豊かさの中で、私たちはつい、忘れそうになりそうなことですが、ここが幸せの原点かもしれませんね。

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2020 年 01 月 21 日 09:38

ホワイト企業大賞

 今年で6年目となる「ホワイト企業大賞」の授賞式が、昨日、東京で開催されました。私も初回から企画委員としてお手伝いをしておりますが、年々応募企業が増えてきて、この活動の広がりを感じています。「ブラック企業」ばかりが世間をにぎわす中で、社員の人たちが幸せを感じ、いきいきと働く企業をめざす会社を世の中に少しでも増やしていきたいというのが、ホワイト企業大賞の主旨です。  しかし、こうした経営には「これで100点」というゴールがありません。「賞」を獲ることが目的にならないように、あえて審査基準などを設けず「共に成長していこう」という姿勢を大事にし、委員も含めて「ホワイト企業とは何か」を探求し続けています。今年度も、たくさんの「ホワイト企業をめざす企業」の皆さんが、会場に集まられ、共に学びを深めました。  その中で、企画委員の一人である原田教育研究所の原田隆史さんが、「“目標”というのは目に見える世界。いつまで、どこまで、どれくらいというのが見える。“目的”は何の為に、誰の為にという見えない世界。ラグビーの日本代表は目的があったから活躍できた。これからは目に見えない世界が大事な時代だ」ということを仰っていましたが、まさにホワイト企業大賞は経営する目的や働く目的を考える場であると思います。事業で「いくら儲ける」という目標も大事ですが、それを実現するにも「何のためにやるのか」が決まっていないと力が出てこない。原田さんの言葉に私も共感します。 ぜひ、皆さんも応募を通して、ホワイト企業への道を歩んでみませんか? http://whitecompany.jp/whitecompany/6-1.html

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2019 年 10 月 29 日 12:02

伊那食品工業の会社に学ぶ「家族」という組織づくり

 先日、伊那食品工業さんに経営者の皆さまをお連れするベンチマーク研修をお手伝いする機会があり、改めて「社員を家族のように思う」経営に触れ、その大切さについて考えました。
50年以上に渡って増収増益。リストラをしない、急成長をしない。あのトヨタ自動車さんも見本としようという会社です。そんな伊那食品工業の理念は「いい会社をつくりましょう」というものですが、それは関わる社員が 一丸となってみんなで幸せになろうという思いがあります。経営の判断軸は、社員の幸せにつながるかどうか。大切な家族の一員であるからこそ、大切にするのは当然だという考え方です。

 例えば、この会社に評価制度はありません。家族の一員を評価して食事の量を決めるような家庭がないように、業績だけで評価するようなことはしない。昔ながらの年功序列がいちばんいいと言われています。
 家族ですから、お互いを支え合うのは当然。だから、当然のように部門の垣根もありません。
 家族ですから、みんなで旅行に行く。だから社員旅行もみんなが参加して楽しみます。
 家族は自分の家の掃除をみんなでする。だから、掃除はあたりまえのように全員で行います。
 家族の中心は父親(今は違うこともありますね)。会社の場合は社長です。この会社でも、やはり父親は尊敬される存在です。しかし、父親だからといって偉そうにするようなことはありません。いい家族が父親も母親も子どもたちも、みんなが尊敬しあって助け合うように、みんなでいい会社(家庭)をつくっていこうというのが伊那食品工業という会社です。

 こうした家族のような社風の中では、社員にどんな意識が育つのでしょうか。社員の人たちに聞いてみると、やはり「自分達の会社」ということを強く意識されていました。「いい会社をつくろう」という目的に向かって、一人ひとりが自分の役割を果たす、みんなで協力する。2年目の女性スタッフが、「土曜日曜も楽しいけど、月曜日から金曜日も楽しい」と話してくれましたが、会社が家族なら、当然かもしれません。
 塚越社長が、家族のように何でもみんなで行う「伊那食品工業の文化」についてこんなことを仰っていました。「例えば掃除。一般的には分担を決めて一人一人で区間を掃除する方法もあるが、うちはみんな全体をやるんです。なぜならば、その方が楽しくなるから。楽しくなると意欲がわいてくる。だから、うちはみんなでやるんです。」
 効率化、成果などが騒がれた時代に、会社はドライでシステマティックなものというイメージになり、助け合いや協力があまり生まれなくなってしまいましたが、逆に、今、「家族」をコンセプトにする伊那食品工業のような企業のほうが成長しています。
 私たちは、会社というもののあり方をもう一度見直す時期に来ているのかもしれませんね。

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2010 年 03 月 19 日 18:33

親子のような関係がいい

ホンダカーズの相澤会長に会ってきました。
やっぱり私にとって、あこがれの経営者。もう70才ということですが、本当にお会いする度に若返っておられる気がします。
タクシーで1時間ほど、新しい秘書の渡辺さんと一緒に、いろんな話をさせていただいたのですが、いちばん印象に残っているのが、会長と渡辺さん(女性)の親子のような会話。
冗談を言う会長。会長に対して臆せずしゃべる渡辺さん。
尊敬し合い、お互いを好ましく思い、会長と秘書とは思えないフランクで対等な人間関係が素晴らしかった。
「私は偉いということで人をひっぱったことはない」とおっしゃっておられましたが、この人間関係はまさにそんな感じです。
渡辺さんに会長は恐い?と聞いてみると、「いや全然恐くないですよ。恐いというよりうるさいかな?ねえ会長!」なんていう感じで、何でもオープンに話されます。
私にとって、こんな空気が理想の上下関係です。

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2009 年 10 月 09 日 21:11

二代目と三代目

今日は福島は郡山に取材に行きました。
台風の後、東北はもうすっかり秋の気配。もう寒くて上着が欲しくなりました。

今日お会いしたのは親子三代でご商売をされているお店です。
三代目にすべてを委ねて、ニコニコと見ておられる会長。
会長のやってきた経営を大きく変えながらも、決して対立の構造を作らなかった社長。
「謙虚」と「誠実」というDNAが見事に伝承されていました。
見事な事業継承。
会長が素晴らしいのでしょうか。社長が素晴らしいのでしょうか。
いい関係に、とても気持ちが良くなりました。

【昨日の曙橋】

台風が過ぎ、綺麗に晴れ渡る空が広がる曙橋。
ブロックス東京オフィスはこの近くにあります。

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2009 年 08 月 18 日 14:32

制度を活かすもの

以前、短時間正社員をテーマにした映像で取材をさせていただいたクレディセゾンさん。
社員の6~7割が女性、結婚や出産後も安心して働ける環境づくりに、かなり昔から取り組んでこられた企業です。

以前もこのブログで書かせていただいたのですが、こうして社員が安心して働ける環境は目に見えるような成果がすぐに現れるものではないのですが、長い目でみて確実に企業に大きな力になっていると思います。
育った人材が定着すること、やる気のある女性が集まってくること、ノウハウやDNAが伝承されること、無駄な教育費や採用コストがいらないこと・・・、そして何より信頼されている、大切にされているという安心感は、働く人の基本的な欲求であることは間違いありません。

でも、制度を作ればそれでいいのかといえば、そんなことはなく運用されて初めて生きるもの。制度に甘えて悪例を作る人がいたり、権利だけを行使して思いあがった働き方をする人が少しでもいると、そこでせっかくの制度が機能しなくなる。早く帰らせていただくという謙虚な気持ちや支えてくれる人への感謝や配慮、そんな「人間関係を築くうえ当たり前な心配り」があって初めて制度が生きるんだと思います。

そこが大事、人と人のつながりが企業であるというDNAがクレディさんにはあるようです。
久し振りにお会いした取材のご担当者に昨日お会いして、改めてそんな感想を持ちました。
熱くて、たくましくて、誠実な会社。ますます好きになってしまいました。
ノウハウが進化し、制度が進化したとしても、やっぱりどこまでいっても企業は人ですね。

私たちが作成をお手伝いした映像がココから見られます。

より詳しいことが知りたい方はコチラ
詳しくてわかりやすいマニュアルがあります。

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2009 年 07 月 29 日 21:24

キムチを世界に

今日は、上野にあるキムチの製造販売会社、「第一物産」の黄(ふぁん)社長に会ってきました。
この会社は、創業49年の老舗、黄さんはお父さん、お母さんと続いて経営を引き継がれた、3代目の女性経営者です。

以前、あるパーティでお会いしてからのご縁ですが、とにかく明るくてパワフルな「太陽」のような人。
まだお若い黄さんですが、母から代々伝わるキムチを世界の食卓に届けようと、160人の会社のリーダーとしてがんばっておられます。

キムチは今でこそ市民権を得て、日本のどのスーパーでも買える食品になりましたが、少し前まではなかなか普及しなかったそうです。それでも、韓国の家族の絆でもあるキムチという食文化を広げていこうと代々日本でがんばってこられました。

手作りの味を大切にしたそのキムチは、辛いだけではなくほんのり甘く、複雑な味わいで、私はすっかりファンになってしまいました。(上野に行かれたら、ぜひ買ってその味を味わってみてください。通販もあるそうです。)

キムチの素晴らしさを広げたい、社員やその家族を心から幸せにしたいと熱心に語られる黄さん。その想いを、応援していきたいです。

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2009 年 07 月 01 日 11:15

人間力が決め手

今日は風邪でダウンした持田君の代打でお客様のところへご訪問しました。
以前に私も名刺交換をさせていただいたので一度ご挨拶をしたいと思っていました。

この会社は大手電機メーカーの試作品づくりなどをされている会社なのですが、創業は8年。その間「お客様にノーを言わない」お客様本位の姿勢を貫かれ、5億円規模の会社にされました。
技術屋さんの集団ではありますが、基本の心はサービス業とおっしゃるところがとてもユニークです。

この会社では「人間力」の方にも力を入れておられて、私もやったことがある「100キロ歩行大会」に社員全員で参加したり、日本一を体験しようと、富士登山など何かの日本一を全員で体験して涙を流すなど、いろんなことにチャレンジされています。

製造業、しかもこうした小さな企業はどこも大変だと思っていたのですが、こうやって技術職の人がサービス精神や人間力を磨くことで、お客様との関係やつがなりが良くなり、「頼まれごと」が増えているのだそうです。

「あの人なら一生懸命やってくれそうだ」
「あの会社の社員は、どんなことも嫌な顔ひとつせずやってくれる」。
顧客がパートナーを選ぶ理由は価格や技術力の高さだけではないはずです。

こんな時代だからこそ、価格や技術力以上にこうした「対応力」「人間力」は重要なファクターになってきているんじゃないでしょうか。

今は小さな製造業ですが、とても可能性を感じる会社でした。

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2009 年 06 月 23 日 22:09

ある銀行の女性広報スタッフ

今日はある素敵な女性に会いました。

地方の銀行で、社内広報の仕事をしておられる20代前半の女性です。
何が素敵かというと、「仕事への姿勢」。

しばらくお話をお伺いして、その前向きな仕事ぶりに感動してしまいました。


銀行というと制約も厳しく、新しいことになかなか挑戦しにくい雰囲気なのだそうですが、その人は、そこに甘んじるのではなく、自分から「こうしたい!」「こうさせてほしい!」とどんどん提案していっておられます。

当然、上司からもチェックが入るのですが、そこに安易に妥協せず、最後まで粘って自分の意見を出してみるのだとか。広報にきて3ヶ月なのに、この頑張り・・・。

彼女の仕事の原動力をお聞きしました。
いつも気にしていること、熱くなることは「自分の仕事の受け手、社内報を見てくれる人の気持ち」なんだそうです。

「広報に来て間もないので、私は現場の立場が良くわかるんです。だから少しでもみんなが感動してくれるような仕事をしようと心がけているんです。」

そんな風に話してくれました。

休みの時でも自分の仕事を振り返ったりするそうですし、こだわり続けるし妥協しないから、仕事も相当なハードワークのようです。
タレントのように可愛いらしい顔をされているのですが、その雰囲気からは創造もできないほとの熱さ・・・。

上司の言われた通りやるのも、波風が立たないように無難にこなすのものひとつの仕事のスタイル。

彼女のように、言われた以上のことをやるのも仕事のスタイル。

どちらを選ぶか。

確かに彼女のようにやると、仕事には相当の負荷もかかり、プレッシャーもあって決して「楽な仕事」ではありません。

しかし、やっぱり彼女の目はキラキラしています。本当に楽しそうです。
私はやっぱりこんな人が好きですね。

言われたこと以上のことをやって、誰かを喜ばせる!
こんな仕事意識の若い人がどんどん増えていくといいですね。




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2009 年 06 月 16 日 07:42

地方の元気なスーパー

先週末、あるローカルスーパーのお店を取材させていただきました。
一見、どこにでもある地方のスーパー。しかし店内はお客様で賑わい、社員やパートさんが生き生きと働かれている素晴らしいお店でした。

何が凄いかというと、まず店舗の売上。同じ坪数のお店と比べて確実に3倍は売っておられます。しかもその集客はすべてクチコミ。創業以来、一度もチラシを打ったことがないそうです。現社長で4代目という歴史の古い企業。いかに地元の人から信頼されているのかがわかります。

広告費の分は、お客様に還元しようと、商品は良い物が安く売られています。そして会社は社員を大事にしようと、休憩室を広く取ったり、売上が予算より上がると賞与で還元したり。ここでも成長企業の「構図」は同じでした。

このスーパー、社員への権限委譲もなかなかです。
普通これぐらいの規模になると本部が卸やメーカーの人と交渉し一括仕入れをして店舗に割り当てるものですが、ここは各店の売場責任者が、自分で決めて自分で発注します。

言ってみれば店の中に小さな商店があるようなもの。売れ残りの責任は大きいですが、その分やりがいが生まれます。
効率とは逆を行くやり方ですが、地元の事情を知ってる人が仕入れをすると本当に良く売れるのだとか。何が効率かわかりません。

パートさんのやる気も高そうでした。野菜売場は、野菜を切ってパックする作業場もあって、パートさんが声を出しながら加工作業をされています。普段、裏側で行われるこうした作業をしながら商品を選べるので消費者も安心。裏側をあえて見せる売り方は、鮮魚も精肉も同じ。

昔の店舗は小さくて、こんなオペレーションをしかたなくやっていたそうなのですが、大きな店に改装しても、この方法は変えられなかったそうです。しかし、食品偽装などのことがあると、たったこれだけで安心して見えるから不思議です。裏側を見せる演出の重要性を感じます。

書き出すと切りがないほど驚きがありましたが、残念ながら、社長とのお話の結果、このスーパーのことはまだ映像には出来ません。でも、絶対に、いつか皆さんにご紹介したいと思っています。

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2009 年 05 月 25 日 19:05

ビューティサロンモリワキさん

昨日の休みは、大阪の自宅で過ごしていました。
午前中は写真を整理したり、アルバムを作ったり。
やっぱりパソコンで見るよりも紙焼きにすると写真は輝きますね。

午後は、散髪に。
以前からずっとお伺いしたかったのが、大阪の交野市(かたのし)にある美容室、ビューティサロンモリワキさん。自宅から車で40分ぐらいのところにあります。

森脇社長とは以前から親しくさせていただいており、一度プライベートで利用させていただきたいと思っておりました。

モリワキさんは、従業員さんが100人以上もおられる美容界でも大きな会社。しかし家族のような絆を大事にされるとても温かい空気の美容室です。
地方から出てこられたスタッフが多くて、アシスタント時代は全員が寮で生活します。それもチームワークを生み出す秘密かもしれません。社長はまさに親代わり。家族的なつながりは、昔から大切にされてきたそうです。
スタッフのブログを見ると、その雰囲気が伝わってきますよ!

お店では、シャンプーから始まり、マッサージまでお願いしたのですが、お店で感じたのは「スタッフとお客様との距離の近さ」。
どの椅子でも、親しい空気が充満。お客様がとてもリラックスされているのがわかります。
でも、こういう距離の近さは、逆に新規のお客様にとっては疎外感を感じる時もありますが、こちらのお店は、決して馴れ馴れしすぎることはありません。
何とも表現しにくいのですが、全員が一人ひとりのお客様に関心を持ち、温かく包んでくれるような感じがします。

私にとっては、美容室というとリラックスできるかどうかが大きなポイント。
癒やされたいと思っているので、スタッフの皆さんの雰囲気はとても重要です。

ビューティサロンモリワキのスタッフの皆さんの人なつっこい笑顔にとても癒やされた一日でした。
夏に向かって少し短くなって、更に?男前になりました。

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2009 年 05 月 19 日 17:41

野球で学んだ経営でがんばる小さな酒屋さん

先日ご来社いただいたお客様が、話題の「堂島ロール」を持ってきてくださいました。
噂には聞いていましたが、並ばなければならない超人気店なので、食べたことがありませんでしたが、一口食べると、その人気の秘密がわかりました。
そうとう美味しいです。ぜひ皆さんお試し下さい。

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さて、今日はある酒屋さんにお会いして、その取り組みをお聞きしてきました。3代目となるその経営者はまだ30代。店をたたもうとしていた親父に「俺が引き継ぐ」と申し出て、改革を始めたのが7年前。

どこでも変えるビールや全国ブランドのお酒を、店頭からすべて外すという、大胆な改革をした後に、高くても付加価値の高い、酒を全国から集めた「こだわりの専門店」に変えていかれました。
梅酒に特化した品揃え、モノではなく「コト」を提案する売り方など、夫婦二人で始めた改革は軌道に乗って、今では社員が20人、売上が5億円の繁盛店になられました。

オーナーは元々野球部出身。高校野球、大学野球とピッチャーを務めていたそうですが、野球も事業も「手持ちのタマで、どう配球するか」ということを考えておられるのだそうです。
無いモノを無理に求めるのではなく、あるもので勝負する。
そこを考えるから面白いのだと、楽しそうに話されていました。

小さくてもキラリと光るお酒屋さんでした。

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2009 年 04 月 06 日 21:43

美容室 ミスエッセンスさん

あっという間に春です。
都内の桜は満開だし、日中の汗ばむような陽気。
道路のゴミの中にも、桜の花びらが混じっていて、掃除していても季節を感じます。
皆さんの会社では花見は終わったんでしょうか?

さて、昨日の日曜日は名古屋にいました。
午後からは仕事だったのですが、午前中は時間があったので、伸びている髪の毛をカットしに、美容室に行くことにしました。

名古屋に行ったら、ぜひ寄ってみたいと思っていたのが、ミスエッセンスさん
オーナーでアーティストの山本真由美さんが経営されている、業界でも有名なお店です。
バグジーの久保さんやラポットの伊藤さん達のお仲間で、昔から良く存じ上げている方ですが、今年2月に移転オープンされ、素晴らしいお店が出来たとお聞きしていて、ぜひ一度お伺いしたいと思っていました。

名古屋のテレビ塔の近く、久屋大通の駅に直結しているビルにあるその店は、高級感あふれる今風のお店。でも、よそよそしい感じはまったくなくて、スタッフの皆さんの人なつっこい笑顔が、リラックスさせてくれます。

日曜日に忙しくされているであろう、真由美先生に気を使わせちゃいけないな~と内緒で行ったのですが、やっぱり分かってしまって、今回は忙しいのに、真由美先生が直々にカットをしてくださることに!

髪の毛にまったくといっていいほど無頓着な私に、本当にもったいないとは思いましたが、プロ中のプロの体験をすることも勉強だと思い、お願いすることに・・・。

カットの間、いろんなお話をしてくださいましたが、一番感動したのは、真由美先生の「髪の毛」に対しする知識と探求心。
カットという技術に対してはもちろん高い技術を持っておられるのですが、やはりそれは、毛髪に対する正しい理解があって生きるんだと、美容の奥深さを知りました。

探求されているのは「本当の美しさ」。
デザインが優れていることだけではなく、毛髪自体が輝いている、張りがある。そんなことは美しさなんでしょう。だからお客様に出される飲み物にも、お店の中の空気までこだわりを持っておられます。

それを裏付けるように、先生のお客様はどなたも、つやつやでキレイな髪の毛。
品があって、自信を持っておられるような素敵な方々ばかり。
20年近くのお客様ばかりなんだそうです。

そんな先生のこだわりにはまってしまったお客様。中には北海道から名古屋まで髪の毛を切りにくるお客様もいるのだとか!同業の美容師のお客様もいるんだそうです。


プロの執念というべき、真由美さんのこだわりは、分野が違っても見習うべきものがあります。

私はそこまで自分の商品に対するこだわりを持っているのだろうか。
探求をし続けているのだろうか。

「お客様を満足させる」ということは、やはり高い技術がベースなんですね。
いくら応対が良くても、基本が悪ければ、お客様は不満でしょう。
「おもてなし」の根本は、「満足させるだけのプロとしての高い技術」なんだと思い知らされた体験でした。

愛知県の方は、ぜひ、この美容室に行ってみてください。
高い技術と温かいサービスの本当にいいお店です!


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2009 年 04 月 02 日 21:35

自主活性化と強烈なリーダーシップ

バグジーさんの入社式のことを書きます。
今年で10年以上も、されている感動の入社式。
DOIT!のビデオでも、少し映像としてご紹介していますが、5人の新入社員が今年も入社され、100名以上の先輩から温かい祝福を受け、バグジーの仲間入りを果たされました。

親からの手紙は新人には内緒で用意されたもの。
その手紙ひとつひとつが、読まれるのですが、そこには親の気持ちがいっぱいに詰まっています。
若い人なら、自分の親と照らし合わせて、親の愛情を感じるのだと思いますが、私は、子供のことを思い出してしました。
わかっていても泣いてしまうのは、親と子の関係は永遠だからなんでしょうね。
立場が変わっても、その関係だけは変わりません。

その後の合宿も素晴らしかった。
今回も、ラポットの伊藤豊さんが進行され、1.5日の合宿が進んでいました。

自由な雰囲気の中にも、きりっとした雰囲気もあり、とても人間的な合宿でした。

私がバグジーが好きなのは、この「人間らしい雰囲気」の社風です。
時々、「この会社の人は、確かに価値観は揃っているのに、何か働く人が自分に無理をしているな~」と感じるような会社に出逢うことがありますが、バグジーには無理やり感がありません。

もっと号令をかければいいのにと思うほど、まとまりのない雰囲気の時があっても、そこも基本は「自主活性型」。1人ひとりが気づき、行動することが基本なので、よっぽどでない限り怒ったり、号令をかけることはありません。

私は、そこがいいな~と思います。
よほど経営者に胆力がなければ難しいと思うのですが・・・。

自主活性化の軸と、強烈なリーダーシップの軸。
この微妙なバランスは、言葉や文字では絶対に表現できません。
いつか、お伝えできるような映像を作りたいですね。

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2009 年 03 月 27 日 21:09

トイレットペーパーで障がい者支援を!

DOIT!で取材した七福醸造の森さんから、「ワークセンターあんしん」さんのことを聞いたのが1ヶ月前。

こちらは、NPO法人として、トイレットペーパーを販売することで、障がい者の雇用を生み出していこうとがんばっている、新潟の障がい者福祉作業所です。


100キロ歩け歩け大会に参加されたりと、ここの代表者は七福さんと懇意にされていて、七福さんでも活動を応援されています。

中越地震でも被害に遭われて、苦しんでおられるということで、森さんから「なんとか応援したいので協力してもらえませんか?」と連絡をいただきました。

お話を伺ってから、ご支援が遅くなってしまっていたのですが、先日、ようやくその第一便のトイレットペーパーがブロックス到着しました。

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今回は事務所使用分以外にも、個人分も買ったので、みんなが自宅に持って帰り、使ってくれることになっています。


あんしんのトイレットペーパーは、障がい者の方やボランティアの方が作っておられます。ダブルとか香り付きとかの高付加価値商品ではありませんが、雑古紙リサイクルの地球にも優しいシンプルなトイレットペーパーです。

このトイレットペーパーが一日150個売れるようになれば、障がい者1人の雇用が生まれるのだそうです。そんなに価格も高くありませんし、トイレットペーパーは日常で使うもの。

どうせ買うもの、買う場所を少し変えるだけで、障がい者の雇用が確保されるなんて、素晴らしいと思いませんか?

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(あんしんさんのホームページより)

もしよろしければ、ぜひ皆さんも「あんしん」のトイレットペーパー購入にご協力ください!

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あなたも障がい者を支えるメンバーに!

夢工場 あんしんのトイレットペーパー

~商品の内容~

●20個入り        620円(2人で3ヶ月分程度)
●50個入り(箱入り)  1500円(家族で3ヶ月分程度)
●100個入り(箱入り) 3000円(20人規模の事業所で3ヶ月程度)

小口売り(単発購入)と年会員制度(継続購入)があるそうです。
まずは、単発購入からでも、いかがでしょうか?

~ご注文方法~

(1)七福醸造さん経由で購入する

七福さんが、大量に購入されています。
森さんに、「ブロックスから聞いた」と言ってくださると発送してくださいます。
ただ、七福さんも無償でやっておられますので、できるだけまとめてあげてくださいね。

電話かファックス、メールで、森さんに以下の内容をお伝えください!

「名前・住所・電話番号・メールアドレス・希望個数・納品方法・希望支払い方法」
※納品には送料がかかります。

電話の場合:0566-92-5564
FAXの場合:0566-92-6210
メールの場合:mori@ajitokokoro.co.jp

株式会社味とこころ 企画室 森 欧揮さん
〒444-1213 愛知県安城市東端町商用地57


(2)直接「あんしん」さんのホームページから購入する

こちらがホームページです。

申込用紙のダウンロードはこちらから!


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ぜひ、皆さんの温かいご協力、お願いいたします!

(あなたのお仲間に、どんどん広げてくださると嬉しいです。)


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2009 年 02 月 04 日 08:20

花に囲まれる病院!

今日は用事があって川越胃腸病院の望月院長にお会いさせていただきました。
院長とお会いするのは昨年秋の日本を元気にするセミナー以来。病院にお伺いするのも本当に久しぶりです。行きたい、行きたいとずっと思っていましたから、今日はもう朝からテンションが高くなっていました。

お忙しい中、院長はじめ須藤常務や池田看護部長さんまで待ってくださっていて、本当に嬉しかったです。それにしても、院長とお会いすると、背筋がスッと伸びるような気持ちになります。何というのか、ちゃんと生きたい、もっと成長したいというような身体の中にある線が伸びる感じです。
こんな素晴らしいリーダーと普段から接している病院の皆さんが、どんどん輝いていかれるのも、きっとこんな気持ちになられるからだと思います。
自分はまだまだですが、そんな生き方がしたいです。

その後、事務所をお借りして、22日に病院で実施させていただく大久保さんの映像セミナーの打ち合わせ。こうして医療現場の事務所で打合せをさせていただいたのは始めてでしたが、皆さんの仕事の雰囲気がとても気持ちよく、身体に馴染む感じがします。
同じ波長、仕事が大好きな人類のオーラ?この空気感はたまりません(笑)

ところで、今病院には300もの花の鉢植えがあるそうです。
私は花が好きなのでなんとなくわかるのですが、キレイに保つのはたいへんなこと。花は咲いた後に摘んであげないと消耗します。水やりや肥料などキレイに咲き続けるのは人手が不可欠です。
たぶん、手入れがいいから、来年からの年越しの植木鉢もあるはず。

患者さんに少しでも気持ちよくすごしてもらいたい、という気持ちがこの凄い数に現れているんでしょうね。そんなに数があるとは知らず、私はチューリップの鉢植えを3つも持っていってしまいました。
きっと大事に育ててくださると思いますが、いつも一生懸命、見えないところに力をいれる。
こんな病院の姿勢が本当にいいですね!


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2009 年 01 月 30 日 22:27

女性が活躍する輝く職場!

今日は、厚生労働省さんの推進する働きやすい職場、環境づくりのお仕事の一環で、女性が活躍する企業として有名なある会社にお話を聞きに行きました。
出産や育児、休暇後の復職など、働く女性にとっての悩みを女性の視点で考え、共に助け合うことで、仕事の価値を高めていこう、良い職場にしていこうと、ずいぶん昔から頑張ってきた会社です。

お会いした人事部の皆さんも全員女性。一人一人が、主体的に、実に楽しそうに働いておられる様子が印象的でした。
厚生労働省が今、ワークライフバランスを提唱し、いろんな制度の導入を進めていますが、この会社は、独自にいろんな制度を作ってこられました。外にある制度を利用するというよりも、一緒に働く仲間の悩みを「どうしたら解決できるか」というところから、昔からの人事制度を見直したり、柔軟に過去のルーツを運用するなど、まさに女性ならではの「やりくり感覚」で、働きやすい職場環境を作ってこられたそうです。

「人事部のお客様は社員だと思っています。」
「あんな人になりたい、という憧れる人の存在が働く意欲を高めるんだと思います」
「制度に人を合わせてもらうのではなく、人に制度を合わせていく」
「どんなに良い制度でも、働く人も甘えては駄目だと言います。まわりへの感謝の気持ちが大事」
「この人とずっと働きたいという思いがベース。なんとかしたいという気持ちで仕組みをつくった」

お話を聞いていると、こんな言葉がどんどん出てきました。
つまり、外から制度を導入するにしろ、中の制度を改善するにしろ、まずは根本となる思想が「働く人を尊重する」「人生を大切にする」というようなところで一環していることが大切で、そこが違うと、どんなに良いものも、うまく機能しないようです。

この道を研究されているある先生が、「制度の決めては、現場の智恵。そして要は経営者の信念」というお話をされていましたが、この会社に出逢って、深く納得しました。

「これで会社がうまくいく!」と宣伝されている、流行の理論や仕組みも、最後の最後は「運用する人」の問題にかかってくるのは、過去に何度も繰り返された「制度の未定着」の歴史が証明しています。
やっぱり、一人ひとりが生き方として、ぶれない軸を持つことが大事なんだろうと思うのですが、難しいところですね。



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私たちが大切にしていること