TOP > 代表 西川の気まぐれ日記

2025 年 04 月 21 日 17:32

比べることの良い面、悪い面

 それぞれの会社に新入社員が入ってきています。研修が終わって、これからいろいろな現場で仕事がスタートすると思いますが、仕事をやり始めると、どうしても、できることやできないことの差が生まれてきます。そういう事実がみえてくると、つい他人と比べてしまうことがあります。良くできる人と比べて、なぜ自分は出来ないのだろかと劣等感を感じたり、結果を比較されるとプレッシャーにもなる。なぜ、自分だけがこうなのかと自分の能力を疑ったり、不安も生まれます。それ以外にも、環境や条件を比較して、なぜ、あの人だけ特別扱いなのかと負の感情が生まれたりと、他人との比較はよくないことが起こりがちです。これは新人でなくても、誰でも人と比べることで幸せから遠のいていくことは多い。だからこそ、昔のから、幸せになるには人と比べてはいけないと言われます。  しかし、自分を人と比べることは良い面もあります。頑張る仲間を知ることで、自分の意識の低さに気づく。一生懸命に仕事をする同僚の姿を見て、自分ももっと頑張ろうとやる気がわくこともある。他人と比較することが成長の動機になることがあります。また、他人と接し比べる中で違う価値観があることに気づき、視野が広がる。うまくいっている人のやり方と自分のやり方を比較すれば、自分を成長させることもできます。最近は、過度なプレッシャーが負荷になるからと、個人の業績評価を廃止するという会社もあると聞きますが、ライバルを意識することや、他人と比較して仕事をすることは全てが悪いことではないはず。ただ、やはり、いつも他人のことばかりを気にしていては、自分が正しくみえなくなるのは事実かもしれません。確かに人と比較すれば、できていないことや能力の差が目につくかもしれませんが、過去の自分と比べると、成長していること、できるようなっていることも多いはず。一流のアスリートは常に自分を振り返り、自分を向上させていますが、他人でなく、過去の自分と今の自分という成長の視点で見ている人は、劣等感も優越感もなく平常心で仕事ができていそうです。  比較には、人と競い合う、切磋琢磨しながら人間的に成長できるという面もあれば、間違うと不満や自己肯定感を下げてしまう悪い面もある。比較には両面あるということを理解すること、その人自身が比較をどう受けとめているかが、大事なのかもしれません。新人や若手の育成が難しい時代と言われていますが、良い比較、いい成長をさせてあげたいですね。

カテゴリー : いきいき働くための仕事の姿勢 これからの時代の人財育成

2025 年 04 月 08 日 17:43

チームの中の人間関係

 先日、毎年毎年、成果を上げ続けているある組織を取材させていただきました。業界が衰退し、全国的になかなか良い結果が出ない組織が多いのに、なぜ成果を出し続けているのか。特別に能力が高い人を集めたという訳でもなく、給料が高いという訳でもない。表面上は他の組織と何も変わりません。何が違うのか。何日も取材していちばん感じたことは、この組織のメンバー同士の人間関係の良好さでした。
 「関係性」というのは、目に見えないので、表面からはわかりにくいのですが、メンバーの話を聞いていると、お互いを信頼しあえる、言いたいことが素直に言える、自分の弱い部分もさらけ出せる、みんなが助け合っている・・・というような言葉が次々と出てきます。目に見えないものが、見える結果に大きな影響を与えているのは間違いなさそうです。
 確かに、どれだけ優秀な人が集まっても、良い結果に結びつかないことはよくあります。10の能力を持つ優秀な人同士がチームを組めば10以上の成果がでると考えがちですが、いくら優秀な2人でも、お互い嫌いだと、いがみ合っているような状況では、何も進まなかったりします。責任を擦り付け合うばかりで、協力しない。だから結果も出ない。せっかくある10の能力のうちの5しか出さなくなっていることもあります。
 しかし、逆にもし能力が5しかない人がチームを組んだ場合でも、そこに良好な関係があり、信頼しあっていれば相乗効果が生まれ10以上の結果を出すこともあります。しかも、そうした良いチームでは、協力しあって働くことでお互いの学びが深まり、最初5しかなかった能力が6になり7になることがあります。頑張ってきた喜びをわかちあえれば、やりがいも高まります。良いチームで働いていると個人も成長する。改めていうまでもなく「関係の質」は、個々の成長にも、チームとしての結果にも大きな影響を与えるものだと思います。先ほどの組織は、そうした良好な関係を、組織の文化としてみんなが大事にされていました。
 我々はよく、チームの結果が出ない時に、つい、そのチームメンバーの能力が足りないとか、やり方や行動が悪いと「個人」に目を向けがちですが、能力があっても関係性が悪ければ、それは発揮されません。チームとして良い結果を出したいと思うなら、個人の意識や能力を変えること以上に、チームの中の人と人の関係性をよくすることに取り組むことが大事なのかもしれません。

カテゴリー : 素晴らしい組織風土づくり

2025 年 04 月 02 日 15:01

やり方とあり方

 最近、アスリートがよく「心のあり方」のことを言われます。心の質がプレイ(行動)の質につながり、結果の質にも影響する。個人スポーツの中でもチームスポーツの中でも、自分は何のためにこのスポーツに挑むのか、どうありたいのか等のあり方を深めたり、心が乱れないようにセルフマネジメントをしたり、競技の「やり方」(行動)の探求以上に、「あり方」(心)のマネジメントに取り組むアスリートが増えていると聞きます。確かに、緊張で本調子が出せない人もいれば、まるで遊びのように楽しみ、平常心で良い結果を出すアスリートもいます。スポーツの世界では心の状態がパフォーマンスに影響するというのは、最早当たり前になっているようです。

 ただ、ビジネスの世界では、これまで、あまり「あり方」や「心」に目が向けられることは少なかったかもしれません。問われるのは、やるべきことをやったか、どのような結果を出したか。仕事に、どのような心で取り組んでいるかは、あまりクローズアップされなかったように思います。
 しかし、「あり方」(心)が、仕事(行動)に影響を与えるのは実感としてもわかります。例えばモノをつくる仕事の場合でも、「いい仕事で社会に貢献したい」「ずっと残る良いものを作りたい」という思いをもって仕事をする人と、「言われたから、言われた通りにやっている」という人では、細部の出来栄えが違うはずです。営業でも、自分の成績を上げようと自分中心に営業する人と「お客様に喜んでほしい」と「人に役立つことこそが営業だ」というように思っている人では、気配りやご説明の細部が違ってきます。
 また、私生活に不安を抱えている時には仕事に身が入らないし、組織の中で孤立を感じている時に、いい仕事をしようという気にはならない。仕事に意義を感じている時や、家庭でも会社でも人間関係に不安がない時は、確かにいい仕事ができます。当たり前のことですが、心と行動はつながっています。

 ただ仕事でもスポーツでも、結果がでるとやる気になったり、失敗したことで落ち込んだり、周囲の影響で心は変化しがちです。若い人はより、そうなるかもしれません。どのような状況においても揺らがない心を保つために、アスリートたちは、自分自身でその競技をする目的を明確にしたり、自分の心が前向きになるような言葉を自分に向けて話しかけたり、あえて仲間を応援することで自分自身の心を高めようとしているようですが、ビジネスにおいても、そうしたしなやかで強い心を保つ努力が大切なのかもしれません。
 その上で、チーム全体でメンバーの心に配慮する。確かにいい会社、いいチームは人間関係が良好だと思います。お互いに心の状態に気を配り、一人でも不安な顔をしているメンバーがいれば、上司や仲間が自然と声をかけるような優しい風土がある。仕事だから、やるべきこと(行動)をやることは当然ですが、あり方(心)が伴って「いい仕事」ができるとすれば、やはり、「あり方」にも目を向けていくことがますます大事になっているのかもしれません。

カテゴリー : いきいき働くための仕事の姿勢

2025 年 03 月 25 日 15:15

育てる側の成長

 この春、多くの会社に新人が入社してきます。就職活動で様々な会社に出会い、最後に「この会社なら」と期待をもって入社してくれた貴重な人材。この会社で成長し、活躍してほしい。誰もが願うことですが、3年もたたないうちに、モチベーションが低くなってしまったり、辞めていってしまうこともあり、若手の育成は企業にとって本当に重要なものになっています。
 新人をどう育てるか。それに答えはないのかもしれませんが、人の育成を考えた時、育成を通して新人の能力や心が育つのは間違いありませんが、実は、育てる側が成長しなければ人は育たないということもあると思います。子育てでも、子育て未経験の親が、悪戦苦闘を続けながら親として成長していきますが、もしかすると、若手の育成は「育てる側」が成長していかなければ、育っていかないのかもしれません。
 真っ白な新人をどのように育てるか。初期研修ももちろん大事ですが、それ以上に大事なのは研修後の職場環境。子育ての言葉で「子供は親のいうことは聴かないけど、親のやることはみている」という言葉がありますが、子供は親のいうこと以上に、親の「あり方」に影響を受けます。会社でも、約束の時間を守らない先輩が多い職場にいれば、新人も時間を守らない。愚痴や不満が多い職場にいれば、やはりそこに染まってしまうかもしれません。逆に、忙しい中でも笑顔で頑張る人がいれば、それに染まっていく。私たちが家庭の中で親のあり方に影響を受け育ってきたように、先輩や上司の「あり方」次第で、新人はいかようにも育ちます。
 期待に胸を膨らませて入社する新人が、前向きな職場に触れて「会社は期待以上」だと思うか、期待した以下の状態で、こんなはずじゃなかったと、がっかりさせてしまうか。つい、新人が辞めてしまうと辞めていく人に指を向けがちですが、育てる側の「あり方」こそ、人材育成にとっていちばん重要なものかもしれません。どのような背中を見せていくか。それが組織の力だと思います。

カテゴリー : これからの時代の人財育成

2025 年 03 月 18 日 15:33

「お客様のため」は正しいか

 顧客本位、お客様起点という言葉は、昔からよく耳にします。しかし、本当に「お客様本位」とは、どのようなことを指すのでしょうか。
 お客様の言うことを何でも聞く、お客様に迎合する。これが「顧客本位」かと言えば、決してそうではありません。たとえば、お客様から「こうしてほしい」と依頼されたとしても、それがお客様のためにならないと判断した場合は、たとえ売上につながるとしても、代替案を提案したり、場合によってはお断りすることも必要です。本当に「お客様本位」の仕事とは、後者のような対応ではないでしょうか。
 確かに、お客様の要望をすべて聞き入れれば、その場では喜ばれ、売上も上がるかもしれません。しかし、それが本当に相手にとって良いことなのか、その人の将来にとってプラスになるのかを考えることが大切です。人間関係においても、一時的に嫌われることがあったとしても、相手のためを思い正直に意見を伝えてくれる人の方が信頼できるものです。同じように、売上のために何でも聞く会社よりも、信念を持って真に顧客のために行動する会社の方が、最終的には信頼されるはずです。
 「お客様のために」という言葉も、よく使われます。しかし、その活動が本当にお客様の役に立っているのか、ズレてしまっていないかを見極めることが重要です。
 たとえば、「接客は丁寧であるべき」「しっかり時間をかけてお迎えすることが大事だ」と考え、昔から丁寧な接客を徹底しているお店があるとします。かつてはそれが喜ばれたかもしれません。しかし、現在では、丁寧な接客を好む人もいれば、スピードやスムーズさを求める人もいます。結果として、「お客様のため」と思っていた接客が、実際には喜ばれていないということが起こり得るのです。
 「お客様のため」という考えは、多くの場合、過去の経験から生まれた基準に基づいています。そして、一度「こうするべき」と決めてしまうと、いつの間にか「それをやること」自体が目的となり、本来の「お客様に喜ばれることをしよう」という思いが薄れてしまうことがあります。
 気づかないうちに「過去のやり方」や「こちらの都合」を押し付けてしまっている――こうしたことは、どの企業にも起こり得るのではないでしょうか。
 大切なのは、「お客様のために」ではなく、「お客様の立場に立つ」こと。過去のやり方にとらわれず、「今、目の前にいるお客様が本当に望んでいることは何か」「何を求めているのか」を理解する。そして、その人にとって本当に役立つことを提供する。今求められているのは、「お客様のために」という想いを大切にしつつも、お客様の視点に立ち、真に必要とされる価値を提供する姿勢なのかもしれません。

カテゴリー : いきいき働くための仕事の姿勢 お客様満足・感動の向上

2025 年 03 月 11 日 10:34

理念の力

 パーパス経営やミッション・ドリブンなど、いろいろなところで、企業経営において理念やビジョンがいかに大切であるかということが言われるようになりました。しかし、家族経営の小さな商店では必要がない、そんなきれいごとでは商売はできないという意見もありますし、経営者が必要だと経営理念を掲げていても、社内でそれが語られることはなく、社員に理念が浸透していないという会社もあるのかもしれません。抽象的な経営理念なんか意味がないという考え方はまだ多数派ではないでしょうか。
 しかし、個々の人生においても、自分のビジョンや信念が明確であるほど、力がわき、粘り強く取り組むようになる。こうしたい、ここを目指したいという人は確かにいきいきしています。将来のイメージを鮮明にしていくことは組織にとっても、人生にとって重要なことだと思います。
 以前、一般的な絵が書いてあるジグソーパズルとすべて真っ白なジグソーパズルを比喩に、ビジョンの重要性について伺ったことがありますが、絵のあるジグソーパズル。やはりパズルは、絵があるからこそ、完成したいという意欲がわいてきます。完成形を想像できるから効率も良いし、しかもやっていて楽しい。逆に真っ白なジグソーパズルは、効率も悪いし、そもそも面白くない。確かに働いていても、やる気や意欲がわかない時は、やる意義や進む方向が見えていない時。「ありたい姿や景色」が鮮明なほどやる気がわいてきます。人にとってビジョンは意欲の源泉です。
また、自分の役割や会社の役割、つまり自分自身が社会に果たす使命を自覚して仕事をすることも重要な鍵。例えジグソーパズルだとしても、それが誰かの役に立つことで、使命を感じられればさらに力がみなぎってきます。
 そんな時、こんなお話を伺いました。経営理念について学ぶ勉強会の参加者で、二代目の経営者として小さな商店を経営している方です。今まで理念など考えたことがなく、ただ漫然と仕事をしていたそうです。しかし、勉強を機に、親の話を聞いてみたり、自分のお店の役割は何か、どのようなことで役立つ店なのかと考えられました。そして、結晶のようにひとつの言葉が浮かびあがった。そして忘れないように、それを名刺に入れてお店に立ち商売を続けてきたそうです。
 1年後にお会いした時、その経営者は「自分の使命を言葉にしたときから、不思議にそこに意識が向くようになり、不思議なことに業績も上がっていくようになった」と話してくださいました。そのお店は数人のスタッフがいる小さな店ですが、経営者の意識が変わっていくと業績まで変わっていくのか私も驚きました。自分の頭にあるもの、めざすことを言語化し、明確になると日々の言葉や行動も変わっていくのかもしれません。
 自分や会社の役割、使命。こうありたいというビジョン。追及したいものがあるとやはり力がわいてきます。理念はジグソーパズルに書かれた「絵」だとすれば、そこに何を描くか。自分がやりたいことをやり抜くことができれば、人生幸せですね。

カテゴリー : 素晴らしい組織風土づくり 経営理念の浸透・共感

2025 年 03 月 05 日 13:30

利益の少ない仕事

 仕事をしていく時、生産性や効率は重要なものだと言われています。無駄をなくす。利益の高い仕事に集中する。時間を効率的に使う。確かに理屈はその通りで、これができないと儲かりません。ただ、本当に何が無駄なのか。そんなことを考ええる機会がありました。
 「利益の少ない仕事にも心をこめる」。これはカレーチェーン店「COCO壱番屋」の創業者、宗次徳二さんが創業から商売の心構えとして大切にされてきた言葉です。
 壱番屋の創業は夫婦で開業した小さな喫茶店。ただそこは裏通りで誰も気づかない場所、商売としては難しい立地でした。そのような中でもお客様がわざわざ来てくださる。それが本当にうれしく、お客様に強く感謝するようなり、そこからお客様第一の商いが生まれました。そんな商売の中で、掃除や挨拶の大切さに気づかれ実践されるようになったそうです。
 店前の掃除はもちろん、近所も掃除する。無駄と言われても続けられました。その内に、宗次さんの真摯な姿勢が地域の人にだんだん伝わり、お店は繁盛していったそうです。「もちろん、掃除をしているから良いと来店する人は1%もいない。ただその1%のファンが1月1人でも来てくれたら1年で12人のファンができる。それがいつか売上の一部になる」利益の少ない仕事も心をこめてきたことが壱番屋の原点だと話してくださいました。
 効率や生産性は大事。ただそこばかりだと、儲かる仕事ばかりに目が向いてしまいます。そのうえ、忙しくなればなるほど手間がかかる仕事は疎かにしがち。確かにそれの方が儲かるのかもしれません。しかし、自分がお客様の側にいるときは、そう思わない。面倒な相談にも親身になって応えてくれたり、近所の掃除など、儲けにもならないことを一生懸命にやっているお店の方が心に残ります。ファンが増えるのはどちらかと考えると、本当に何が効率なのかと考えてしまいます。利益の少ない仕事にも心をこめる。長い目でみれば商売では大事なことなのかもしれません。

カテゴリー : いきいき働くための仕事の姿勢 素晴らしい組織風土づくり

2025 年 02 月 26 日 10:49

「負荷」が成長をうながす

 筋肉を鍛える時は身体に負荷を与えていきますが、仕事で成長するためにも、やはり負荷が必要だと思います。「自分にできるだろうか?」「無理かもしれない」ということに挑戦していく中で、能力が磨かれたり、視野が広がったりすることは、誰もが経験しています。だからこそ、若いうちは無理をしてもいい、仕事を一生懸命した方がいい、苦労は買ってでもしなさいと歳を取った人は言いたくなってしまいます。
 しかし最近は、あまり無理をさせるとすぐに辞めてしまうからと、新人になるべく負荷を与えないようにする会社も多いと聞きます。ゆっくりと育てる方針でも成長してくれると思いますが、負荷がない仕事ばかりでは、筋肉は鍛えられません。視野も広がりません。結果、同じ仕事の繰り返しになってしまい、仕事がつまらなくなります。成長の実感がないまま3年目を迎えるころに会社を辞めるということも多々あるようです。
嫌なら辞めて違う会社にすぐに変わることがあたりまえの時代ですから、ひとつの会社にずっといる必要はないのでしょうが、「石の上にも三年」というように、自分の経験からも、3年を過ぎるころから自信がつき、見える景色も変わっていきます。仕事が好きになっていくのは3年目あたりではないでしょうか。
 新入をどのように育成していくか。新人たちではなく、私たちに問われていることのように思います。若手が自ら自分で厳しい道、努力の道を進もうと思い、挑戦していくことがいちばんですが、それには、それをいかに支えるか。「失敗してもいいからやってみたら」と支えてくれる上司や仲間の存在、いきいきと働きチャレンジする先輩の後ろ姿など、新人が成長していく会社をみていると、やはり若い人たちの勇気が掻き立てられ、自然に未知の領域に踏み込んでみたいと思えるような環境があります。
 今の人は価値観が違うという声もあります。私も若い人の価値観の違いに驚くことがありますが、時代が違えば考え方も違うのは当然。お互いに違いを認めながらも、せっかく入社してくれた若い人たちが、自ら負荷に挑み成長し、幸せになってくれるように導いてあげたいものですね。

カテゴリー : いきいき働くための仕事の姿勢 これからの時代の人財育成

2025 年 02 月 10 日 16:28

現状維持は衰退

 昔から、組織は環境に合わせて変化していかなければならないと言われます。確かに成長している企業は常に変化しています。過去のやり方に囚われていてはいつの間にか時代に合わなくなる。だから新しいことに挑戦しよう。この話は、誰もが頭ではわかっていることだと思います。
 しかし、これがなかなか難しい。例えば、過去のやり方に固守している古い業界に、時代に合わせた新しいやり方で参入した企業が成長する。そして、その成功に追随するように古い企業がやり方を変えていく。こうしたことは、どの業界でも起こっていますが、「現状維持ではいけない」と思いながらも、自分達のやり方を自分達自身で変えていくことは、頭で考える以上に難しいことなのかもしれません。

 確かに、自分の生活を考えても、慣れ親しんだことを急にやめたり、変えていくことは意外とできません。変えたほうがいいと思っても、変えることによって何が起こるかわからない不安、それを実現するための新たな努力に対するリスクなどを考えてしまうと、このままでいいと思ってしまうのが人間の性なのでしょうか。例えば、飽和状態の携帯電話業界。「他社からの乗り換え」を訴求していますが、変える手続きが面倒、今のままでいいというユーザーが多くてなかなか思う通りにいかないそうです。確かに、現状維持には、余計なトラブルも、無駄なリスクが生じません。現状維持の魅力やメリットはそこにあります。
 ただ、ビジネスの場合、自分たちは現状維持でよくても、顧客も競争相手も、周りはどんどん変化していきます。現状に甘んじているといずれ時代についていけなくなるのは明白。現状維持は衰退の道です。

 では、こうした現状維持の心理をどうすれば打破していけるのでしょうか。どうすれば、自分のやり方を自分で変えていけるでしょうか。
 そもそも、どんなやり方をしていようと、その中にどっぷりつかっている時は、自分達のやり方が古くなっていることに気づかないのかもしれません。「別に問題がない」と思っている時に変えようという気がおきません。とすれば、まずは、自分達のやり方が、もしかすると現状維持になっているのではないかと疑ってみることがスタートなのかもしれません。
 「今まではこうだったけど、この選択は本当に最適なのか?」。過去の成功体験にばかり依存していないかと自分を疑ってみたり、自問自答する時間をあえて持つ。現状維持の打破には、変えること、変わることのメリットを体験したり、リスクの小さな挑戦からやってみるなど他にもいろいろあると思いますが、「変わっていない自分を知ること」がいちばん大事な気がします。

カテゴリー : いきいき働くための仕事の姿勢

2025 年 02 月 05 日 11:35

結果を出し続ける人

 結果が大事か、プロセスが大事かという問いがあります。どちらが大事かと優劣はつけられないかと思いますが、プロの世界は結果がすべて。結果を出せないと生き残っていくことはできません。しかし、だからといって結果ばかりを気にしすぎると、手っ取り早い成果を求めてしまい、プロセスを疎かにするということもある。かといって、結果なんて関係ない、努力が大事だといって結果に目を向けないのもプロではありません。また、結果は嘘をつくこともあります。例え準備不足でも良い結果が出てしまう時もある。結果ばかりをみていると慢心が生まれ、努力しなくなることもある。結果ばかりに一喜一憂しているだけでは、結果を出し続けることはできなくなるのかもしれません。

 先日、田舎の営業所に在籍しながら、毎年のように全国上位の成績をあげる、ある優績営業スタッフのお話を伺う機会がありました。訪問を嫌う顧客が多くなるうえ、顧客数が激しい過疎地での活動はかなり難しいはず。昔の営業のように、ただ訪問件数を重ねたり、「お願い」で買ってくれる時代ではありません。そんな時代で、この営業スタッフは、とにかくお客様の側にたって、その人にふさわしい商品を考えることを一番に考え続けることを大事にした活動を続けられます。無理に売りつければ嫌われるだけ。お客様が必要だと思ってもらえるなら買ってくださるはず。だからこそ、お客様の側に立つ営業であろう。その信念を貫き、ベテランになった今でも、仲間の成功事例や時には新人の成功事例にも耳を傾け、自身のヒアリングの質、お客様に最適な提案の幅を磨き続けておらます。そして、結果が出た月は何が良かったのか、結果が悪かった月は何が悪かったのか。常に自分のプロセスを分析し、修正する。「再現性がある技術」をこそがプロだと言われます。

 一流のアスリートほど練習やプロセスを大事にされます。「結果は嘘をつくこともあるが、プロセスは嘘をつかない」というのは、どの業界にも当てはまるのかもしれません。
 もしも、今、結果がでないのであれば、プロセスのどこかに問題があるからと考える。逆に、結果が出ている時も、プロセスの何が良かったかを考え次に活かす。結果を出し続けられる人、結果に一喜一憂せず自分を磨き続けられる人が真のプロなのかもしれません。

カテゴリー : いきいき働くための仕事の姿勢

2025 年 01 月 29 日 14:34

ぬるい職場と働きがいのある職場

 どの業界でも人材が足りない、募集をしてもなかなか入ってくれないという問題が生じています。そうした背景の中で、若手を大切に育てようという企業が増えています。しかし、あまりにも大事にしすぎ、仕事の質を厳しく問わない、負荷をかけない。そうした会社の「ゆるさ」を感じる若者が、「ここでは自分は成長できない」と判断し辞めていくという皮肉な状況が増えているそうです。大切に育てようという会社と成長を求める若手の間にすれ違い。このギャップはどうすれば埋まるのでしょうか。

 企業が成長し続けるには、結果を出していない人に対して指導をしたり、指摘をしたりする必要はあります。それでなければ頑張っている人が不満を感じます。指導や指摘に緊張感がありすぎるのは問題ですが、「ミスしてもしかたない」「業績が悪くてもしょうがない」というような「ゆるい職場」では業績は伸びていきません。人は、高い目標や壁に粘り強く取り組んでこそ成長していきます。会社にとっても若手にとっても本当にいい職場はこんな「ぬるい職場」ではないはずです。人が成長できる職場とはどのような職場なのでしょうか?答えはなかなか出ない課題だと思いますが、先日、そうしたことを解決し組織全体で高い目標を実現しているある組織のお話を伺う機会がありました。

 全員が高い目標を実現する営業組織にも関わらず若手の離職はゼロ。上司や部下の方にその組織の風土をお尋ねすると、皆さんが部下や後輩に強い関心を持って接していると話されました。目標が未達で悩んでいる新人や若手には、できない理由を詰めるのではなく、悩みを聞き、どうすればできるか一緒に考えていく。一緒にロープレをしたり、お客様の立場にたった話法を考えてみたり、とことん寄り添っていくのがこの組織の伝統だそうです。先輩が自分にそうしてくれたからこそ、自分も後輩にそうする。甘やかすのではなく、絶対に出来ると信じて付き合っていく。新人の成長をみんなで喜ぶ。目標が高く厳しくても辞めない理由はそんな風土があるからと上司も部下も言われていました。
 自分自身を振り返っても、確かに厳しい中でも成長できたという体験は、関心を持って接してくれる上司がいてくれたからこそ。本当に働きがいのある職場とは、仲間に関心をもちあう職場、成長を第一に考えてくれる職場。それが本当の優しさがある職場なのかもしれせん。
ぬるい職場、働きがいのある職場とは何か。改めて考え直す機会になりました。

カテゴリー : 働きがい・やりがいの向上

2025 年 01 月 20 日 15:41

本物を生み出す理念

 美味しい食べ物や本物の商品を求めて遠くからでも人がくるということがあります。SNSの時代にあって人が良いと言ったものがクチコミで広がり、地方のお店でもあっという間に人が集まることがあります。しかし、一時的なブームではなく、ずっと評判になる「本物の商品」を提供し続けることは、そんなに簡単なことではありません。今は様々な商品の品質が向上していく時代。いくら良い商品を作っても、これで良いとあぐらをかいていてはそれ以上にはなりません。より良いものを提供したいという信念がなければ、本物を提供し続けるのは難しいのではないでしょうか。

 埼玉県日高市に年間400万人もの人を集める農業のテーマパーク「サイボク」という施設があります。ここには加工豚肉の直売店やレストラン、子どもが遊べるアスレチック広場や温泉施設があり、老若男女が一日中楽しめる施設です。先日、その施設を訪問した時は平日でしたが、たくさんの人で賑わっていました。
 なぜ、こんな場所に人が集まるのか。そこには歴史がありました。サイボクの始まりは豚の牧場。終戦後、日本人には栄養がいちばん大事だと、創業者の笹崎達雄氏が種豚の改良や養豚を興したのが始まり。良い豚肉を作ることから始まり、ソーセージなどの加工食品、そして小売りにも乗り出しながら、買い物に来る人に少しでも楽しんでもらえるようにと施設を増やしてきたことで、今のような場所になっていったそうです。自分で作り、自分で売ると消費者の声が聞こえてきます。その声に耳を傾けながら養豚や加工を改善する。もっと良いものを提供したいという情熱が世界が認める品質を作り、口コミが広がり日本全国からお客様が買いにくるようになったそうです。
 健康に良いものを届けたい。戦時中、やせ細りながら戦う日本人をみて、日本に養豚を広げ、健康に貢献していきたいと思った創業者の創業の精神は今もスタッフに浸透しています。ひとつのソーセージでも毎月のように改善、改良がおこなわれているそうです。世の中に役立ちたい、サイボクの事業の中にそんな思いを感じます。競合他社を意識するのではなく、とことん顧客に向かっていくことで、どこにもない施設になった。サイボクの理念が独自価値を生み出しています。
 どの企業も、他社より良くなりたい、差別化をしていきたいと思っているはずですが、差を生み出すために必要なのは、マーケティングなどではなく、最後は人のために役立ちたいという情熱や理念なのかもしれません。

カテゴリー : 「いい会社」が実践する理念経営 経営理念の浸透・共感

2025 年 01 月 15 日 10:46

チームで分かち合う喜び

 よく顧客満足の教科書に「良い応対」の事例が出ています。マニュアルを超え、お客様の心に寄り添って対応することでお客様が感動され、ファンになる。そんな事例を題材に「良い応対」のあり方が示されています。確かにこうした事例は大事なものだと思いますが、現状、個人が「良い応対」ができる範囲には限界もあります。本当は持ち場を離れても困っているお客様のために時間を使いたい。しかし現状は人手不足で持ち場を離れる訳にいかない。ギリギリの人数で対応している限り、おもてなしをしたいと思ってもできない場面はたくさんあります。

 こうした時に、チーム全体が同じ思いで働けていれば、みんなで助け合って「お客様」に向かっていくことができます。例えば、部門を超えて助け合う体制が出来ていれば、経理部門が助けてくれるかもしれません。また、情報共有がしっかり出来ていれば、顧客の安心感も高まります。車でいえば、担当した営業と修理のスタッフがしっかり情報共有をし、自分の好みや不安を共有していてくれるお店。「担当から聞いておりました」という一言から始まり、部門を超えても同じように対応してくれることほど嬉しいことはありません。一人の力でできないことも、チームの力があればできます。

 今、どの企業も人手不足が続く時代の中で、高い顧客満足を生み出すお店や企業を見ていると、個人の頑張りによる「おもてなし」ではなく、「チーム全体でのおもてなし」ができている企業かもしれません。
 みんなが同じ思いを持ち、みんなで助け合ってお客様に向かっていく。そんな職場は、働く側にとっても気持ちが楽でしょう。みんなで頑張ってみんなが喜びをわかちあうことができるので、個人で頑張る時よりもやりがいも高いはずです。仕事の終わり、スタッフみんなが顔を合わせ「今日もお客さんに喜んでもらえたね」とハイタッチをして喜び分かち合う。みんなでお客様の満足に向かって協力していく感覚は、一度味わうと忘れられません。これから先、職場の中でもっと人が少なくなります。個々が頑張ることに限界があるとすれば、ひとつの目的に向かって助け合うチームづくりがどの会社にももっと求められていくように思います。

カテゴリー : お客様満足・感動の向上 働きがい・やりがいの向上

2025 年 01 月 07 日 10:29

脱皮と挑戦

 新年あけましておめでとうございます。
 旧年中はひとかたならぬ御高配にあずかり厚く御礼申し上げます。
 本年も皆さまのお役に立てるよう、精一杯努力して参りますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 昨年はお正月の能登大震災から始まり、政治でも経済でも社会でも様々な出来事が起こった一年でした。まさに誰も予測できないVUCAの時代の中にいることを実感します。
そもそもVUCAとは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取った言葉ですが、まさに「正解を誰も知らない」あるいは「正解はいくつもある」ということ。とにかくこれまでのやり方が通用しない、従来の延長線上の考え方だけではやっていけない時代であることは間違いありません。

 過去のやり方が通用しないのならば、新しいやり方に挑戦していくしかありません。そう考えると、VUCAの時代における大事なマインドはまず「試してみる」、まず「やってみる」こと。小さな実験や仮説検証を繰り返して進んでいく。大きくやろうとせずに小さな実験をしてみて早くに失敗をする。そこから次のやり方を考えて、次に進む。失敗をしないように慎重になる姿勢より、あえて失敗を求めにいくくらいが丁度良いのかもしれません。
 また、正解がわからない時は、一人でやるよりもいろんな人と相談しながらチームでやることの方がうまくいくものです。まったく違う分野の人、異なるバックグラウンドを持つ人と話し合うと、今までにない気づきが生まれることがありますが、例えば、営業だけの会議に製造の人が入って話し合うなど、職種を超えて智恵を出し合って仕事をしていくことも大事なことなのだと思います。

 ただ、考えてみれば戦後の焼け野原の時代だって誰も先がわからない。誰もやらなかった新しい事業を立ち上げてきた先人もいます。わからないなら、やってみる。シンプルな言葉ですが、挑戦をあえて楽しんでいくのがいちばん大事なマインドかもしれません。
 そういえば、今年は「巳年」ですが、蛇は脱皮をすることから巳年は「復活と再生」の年でもあるそうです。過去のやり方を脱皮していく一年なのかもしれません。

カテゴリー : いきいき働くための仕事の姿勢

私たちが大切にしていること