TOP > 代表 西川の気まぐれ日記

2025 年 02 月 10 日 16:28

現状維持は衰退

 昔から、組織は環境に合わせて変化していかなければならないと言われます。確かに成長している企業は常に変化しています。過去のやり方に囚われていてはいつの間にか時代に合わなくなる。だから新しいことに挑戦しよう。この話は、誰もが頭ではわかっていることだと思います。
 しかし、これがなかなか難しい。例えば、過去のやり方に固守している古い業界に、時代に合わせた新しいやり方で参入した企業が成長する。そして、その成功に追随するように古い企業がやり方を変えていく。こうしたことは、どの業界でも起こっていますが、「現状維持ではいけない」と思いながらも、自分達のやり方を自分達自身で変えていくことは、頭で考える以上に難しいことなのかもしれません。

 確かに、自分の生活を考えても、慣れ親しんだことを急にやめたり、変えていくことは意外とできません。変えたほうがいいと思っても、変えることによって何が起こるかわからない不安、それを実現するための新たな努力に対するリスクなどを考えてしまうと、このままでいいと思ってしまうのが人間の性なのでしょうか。例えば、飽和状態の携帯電話業界。「他社からの乗り換え」を訴求していますが、変える手続きが面倒、今のままでいいというユーザーが多くてなかなか思う通りにいかないそうです。確かに、現状維持には、余計なトラブルも、無駄なリスクが生じません。現状維持の魅力やメリットはそこにあります。
 ただ、ビジネスの場合、自分たちは現状維持でよくても、顧客も競争相手も、周りはどんどん変化していきます。現状に甘んじているといずれ時代についていけなくなるのは明白。現状維持は衰退の道です。

 では、こうした現状維持の心理をどうすれば打破していけるのでしょうか。どうすれば、自分のやり方を自分で変えていけるでしょうか。
 そもそも、どんなやり方をしていようと、その中にどっぷりつかっている時は、自分達のやり方が古くなっていることに気づかないのかもしれません。「別に問題がない」と思っている時に変えようという気がおきません。とすれば、まずは、自分達のやり方が、もしかすると現状維持になっているのではないかと疑ってみることがスタートなのかもしれません。
 「今まではこうだったけど、この選択は本当に最適なのか?」。過去の成功体験にばかり依存していないかと自分を疑ってみたり、自問自答する時間をあえて持つ。現状維持の打破には、変えること、変わることのメリットを体験したり、リスクの小さな挑戦からやってみるなど他にもいろいろあると思いますが、「変わっていない自分を知ること」がいちばん大事な気がします。

カテゴリー : いきいき働くための仕事の姿勢

2025 年 02 月 05 日 11:35

結果を出し続ける人

 結果が大事か、プロセスが大事かという問いがあります。どちらが大事かと優劣はつけられないかと思いますが、プロの世界は結果がすべて。結果を出せないと生き残っていくことはできません。しかし、だからといって結果ばかりを気にしすぎると、手っ取り早い成果を求めてしまい、プロセスを疎かにするということもある。かといって、結果なんて関係ない、努力が大事だといって結果に目を向けないのもプロではありません。また、結果は嘘をつくこともあります。例え準備不足でも良い結果が出てしまう時もある。結果ばかりをみていると慢心が生まれ、努力しなくなることもある。結果ばかりに一喜一憂しているだけでは、結果を出し続けることはできなくなるのかもしれません。

 先日、田舎の営業所に在籍しながら、毎年のように全国上位の成績をあげる、ある優績営業スタッフのお話を伺う機会がありました。訪問を嫌う顧客が多くなるうえ、顧客数が激しい過疎地での活動はかなり難しいはず。昔の営業のように、ただ訪問件数を重ねたり、「お願い」で買ってくれる時代ではありません。そんな時代で、この営業スタッフは、とにかくお客様の側にたって、その人にふさわしい商品を考えることを一番に考え続けることを大事にした活動を続けられます。無理に売りつければ嫌われるだけ。お客様が必要だと思ってもらえるなら買ってくださるはず。だからこそ、お客様の側に立つ営業であろう。その信念を貫き、ベテランになった今でも、仲間の成功事例や時には新人の成功事例にも耳を傾け、自身のヒアリングの質、お客様に最適な提案の幅を磨き続けておらます。そして、結果が出た月は何が良かったのか、結果が悪かった月は何が悪かったのか。常に自分のプロセスを分析し、修正する。「再現性がある技術」をこそがプロだと言われます。

 一流のアスリートほど練習やプロセスを大事にされます。「結果は嘘をつくこともあるが、プロセスは嘘をつかない」というのは、どの業界にも当てはまるのかもしれません。
 もしも、今、結果がでないのであれば、プロセスのどこかに問題があるからと考える。逆に、結果が出ている時も、プロセスの何が良かったかを考え次に活かす。結果を出し続けられる人、結果に一喜一憂せず自分を磨き続けられる人が真のプロなのかもしれません。

カテゴリー : いきいき働くための仕事の姿勢

2025 年 01 月 29 日 14:34

ぬるい職場と働きがいのある職場

 どの業界でも人材が足りない、募集をしてもなかなか入ってくれないという問題が生じています。そうした背景の中で、若手を大切に育てようという企業が増えています。しかし、あまりにも大事にしすぎ、仕事の質を厳しく問わない、負荷をかけない。そうした会社の「ゆるさ」を感じる若者が、「ここでは自分は成長できない」と判断し辞めていくという皮肉な状況が増えているそうです。大切に育てようという会社と成長を求める若手の間にすれ違い。このギャップはどうすれば埋まるのでしょうか。

 企業が成長し続けるには、結果を出していない人に対して指導をしたり、指摘をしたりする必要はあります。それでなければ頑張っている人が不満を感じます。指導や指摘に緊張感がありすぎるのは問題ですが、「ミスしてもしかたない」「業績が悪くてもしょうがない」というような「ゆるい職場」では業績は伸びていきません。人は、高い目標や壁に粘り強く取り組んでこそ成長していきます。会社にとっても若手にとっても本当にいい職場はこんな「ぬるい職場」ではないはずです。人が成長できる職場とはどのような職場なのでしょうか?答えはなかなか出ない課題だと思いますが、先日、そうしたことを解決し組織全体で高い目標を実現しているある組織のお話を伺う機会がありました。

 全員が高い目標を実現する営業組織にも関わらず若手の離職はゼロ。上司や部下の方にその組織の風土をお尋ねすると、皆さんが部下や後輩に強い関心を持って接していると話されました。目標が未達で悩んでいる新人や若手には、できない理由を詰めるのではなく、悩みを聞き、どうすればできるか一緒に考えていく。一緒にロープレをしたり、お客様の立場にたった話法を考えてみたり、とことん寄り添っていくのがこの組織の伝統だそうです。先輩が自分にそうしてくれたからこそ、自分も後輩にそうする。甘やかすのではなく、絶対に出来ると信じて付き合っていく。新人の成長をみんなで喜ぶ。目標が高く厳しくても辞めない理由はそんな風土があるからと上司も部下も言われていました。
 自分自身を振り返っても、確かに厳しい中でも成長できたという体験は、関心を持って接してくれる上司がいてくれたからこそ。本当に働きがいのある職場とは、仲間に関心をもちあう職場、成長を第一に考えてくれる職場。それが本当の優しさがある職場なのかもしれせん。
ぬるい職場、働きがいのある職場とは何か。改めて考え直す機会になりました。

カテゴリー : 働きがい・やりがいの向上

2025 年 01 月 20 日 15:41

本物を生み出す理念

 美味しい食べ物や本物の商品を求めて遠くからでも人がくるということがあります。SNSの時代にあって人が良いと言ったものがクチコミで広がり、地方のお店でもあっという間に人が集まることがあります。しかし、一時的なブームではなく、ずっと評判になる「本物の商品」を提供し続けることは、そんなに簡単なことではありません。今は様々な商品の品質が向上していく時代。いくら良い商品を作っても、これで良いとあぐらをかいていてはそれ以上にはなりません。より良いものを提供したいという信念がなければ、本物を提供し続けるのは難しいのではないでしょうか。

 埼玉県日高市に年間400万人もの人を集める農業のテーマパーク「サイボク」という施設があります。ここには加工豚肉の直売店やレストラン、子どもが遊べるアスレチック広場や温泉施設があり、老若男女が一日中楽しめる施設です。先日、その施設を訪問した時は平日でしたが、たくさんの人で賑わっていました。
 なぜ、こんな場所に人が集まるのか。そこには歴史がありました。サイボクの始まりは豚の牧場。終戦後、日本人には栄養がいちばん大事だと、創業者の笹崎達雄氏が種豚の改良や養豚を興したのが始まり。良い豚肉を作ることから始まり、ソーセージなどの加工食品、そして小売りにも乗り出しながら、買い物に来る人に少しでも楽しんでもらえるようにと施設を増やしてきたことで、今のような場所になっていったそうです。自分で作り、自分で売ると消費者の声が聞こえてきます。その声に耳を傾けながら養豚や加工を改善する。もっと良いものを提供したいという情熱が世界が認める品質を作り、口コミが広がり日本全国からお客様が買いにくるようになったそうです。
 健康に良いものを届けたい。戦時中、やせ細りながら戦う日本人をみて、日本に養豚を広げ、健康に貢献していきたいと思った創業者の創業の精神は今もスタッフに浸透しています。ひとつのソーセージでも毎月のように改善、改良がおこなわれているそうです。世の中に役立ちたい、サイボクの事業の中にそんな思いを感じます。競合他社を意識するのではなく、とことん顧客に向かっていくことで、どこにもない施設になった。サイボクの理念が独自価値を生み出しています。
 どの企業も、他社より良くなりたい、差別化をしていきたいと思っているはずですが、差を生み出すために必要なのは、マーケティングなどではなく、最後は人のために役立ちたいという情熱や理念なのかもしれません。

カテゴリー : 「いい会社」が実践する理念経営 経営理念の浸透・共感

2025 年 01 月 15 日 10:46

チームで分かち合う喜び

 よく顧客満足の教科書に「良い応対」の事例が出ています。マニュアルを超え、お客様の心に寄り添って対応することでお客様が感動され、ファンになる。そんな事例を題材に「良い応対」のあり方が示されています。確かにこうした事例は大事なものだと思いますが、現状、個人が「良い応対」ができる範囲には限界もあります。本当は持ち場を離れても困っているお客様のために時間を使いたい。しかし現状は人手不足で持ち場を離れる訳にいかない。ギリギリの人数で対応している限り、おもてなしをしたいと思ってもできない場面はたくさんあります。

 こうした時に、チーム全体が同じ思いで働けていれば、みんなで助け合って「お客様」に向かっていくことができます。例えば、部門を超えて助け合う体制が出来ていれば、経理部門が助けてくれるかもしれません。また、情報共有がしっかり出来ていれば、顧客の安心感も高まります。車でいえば、担当した営業と修理のスタッフがしっかり情報共有をし、自分の好みや不安を共有していてくれるお店。「担当から聞いておりました」という一言から始まり、部門を超えても同じように対応してくれることほど嬉しいことはありません。一人の力でできないことも、チームの力があればできます。

 今、どの企業も人手不足が続く時代の中で、高い顧客満足を生み出すお店や企業を見ていると、個人の頑張りによる「おもてなし」ではなく、「チーム全体でのおもてなし」ができている企業かもしれません。
 みんなが同じ思いを持ち、みんなで助け合ってお客様に向かっていく。そんな職場は、働く側にとっても気持ちが楽でしょう。みんなで頑張ってみんなが喜びをわかちあうことができるので、個人で頑張る時よりもやりがいも高いはずです。仕事の終わり、スタッフみんなが顔を合わせ「今日もお客さんに喜んでもらえたね」とハイタッチをして喜び分かち合う。みんなでお客様の満足に向かって協力していく感覚は、一度味わうと忘れられません。これから先、職場の中でもっと人が少なくなります。個々が頑張ることに限界があるとすれば、ひとつの目的に向かって助け合うチームづくりがどの会社にももっと求められていくように思います。

カテゴリー : お客様満足・感動の向上 働きがい・やりがいの向上

2025 年 01 月 07 日 10:29

脱皮と挑戦

 新年あけましておめでとうございます。
 旧年中はひとかたならぬ御高配にあずかり厚く御礼申し上げます。
 本年も皆さまのお役に立てるよう、精一杯努力して参りますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 昨年はお正月の能登大震災から始まり、政治でも経済でも社会でも様々な出来事が起こった一年でした。まさに誰も予測できないVUCAの時代の中にいることを実感します。
そもそもVUCAとは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取った言葉ですが、まさに「正解を誰も知らない」あるいは「正解はいくつもある」ということ。とにかくこれまでのやり方が通用しない、従来の延長線上の考え方だけではやっていけない時代であることは間違いありません。

 過去のやり方が通用しないのならば、新しいやり方に挑戦していくしかありません。そう考えると、VUCAの時代における大事なマインドはまず「試してみる」、まず「やってみる」こと。小さな実験や仮説検証を繰り返して進んでいく。大きくやろうとせずに小さな実験をしてみて早くに失敗をする。そこから次のやり方を考えて、次に進む。失敗をしないように慎重になる姿勢より、あえて失敗を求めにいくくらいが丁度良いのかもしれません。
 また、正解がわからない時は、一人でやるよりもいろんな人と相談しながらチームでやることの方がうまくいくものです。まったく違う分野の人、異なるバックグラウンドを持つ人と話し合うと、今までにない気づきが生まれることがありますが、例えば、営業だけの会議に製造の人が入って話し合うなど、職種を超えて智恵を出し合って仕事をしていくことも大事なことなのだと思います。

 ただ、考えてみれば戦後の焼け野原の時代だって誰も先がわからない。誰もやらなかった新しい事業を立ち上げてきた先人もいます。わからないなら、やってみる。シンプルな言葉ですが、挑戦をあえて楽しんでいくのがいちばん大事なマインドかもしれません。
 そういえば、今年は「巳年」ですが、蛇は脱皮をすることから巳年は「復活と再生」の年でもあるそうです。過去のやり方を脱皮していく一年なのかもしれません。

カテゴリー : いきいき働くための仕事の姿勢

私たちが大切にしていること