TOP > 代表 西川の気まぐれ日記

2024 年 04 月 24 日 16:12

失敗を恐れない環境

 失敗を恐れるな。若い人にこのような言葉をかけることがあります。
 自分自身も、挑戦や失敗から大事なことを学び、成長してきたからこそ、失敗を恐れずにやってほしいと思う。そう感じている先輩はたくさんいます。そして、会社においても、働く人が失敗を恐れて挑戦しなくなれば、発展も成長もない。失敗を恐れず挑戦していくことは、個人にとっても組織にとっても大切です。
 だから、失敗を恐れずに行動していこう。これは誰もが理屈ではわかります。しかし、いざ、行動しようと思うとつい恐れが出てきてしまう。失敗したらどうしよう、いろんな人に迷惑をかけたらどうしよう。頭でわかっていても、なかなか行動に移せない。迷惑をかけてしまうくらいならやらないでおこうと、失敗への怖さや面倒臭さが、つい、やらない理由を作ってしまいます。失敗を恐れるなという背景には、失敗を恐れてしまう理由がある気がします。

 失敗が怖くない、失敗を恐れなくなる環境とは、どのような場所なのでしょうか?
 そもそもの話ですが、人が挑戦しようとする気持ちの中には、その人が「これはどうしてもやりたい」というものがあるはずです。自分の中で「どうしてもやってみたい」という気持ちが強くなれば、人に言われなくても、挑戦するはず。先輩の「失敗を恐れるな」という言葉の前には、「君がやりたいなら」という言葉がついているはずです。やりたいこと、こうしていきたいという気持ちがなければ、そもそも、意味がありません。
 しかし、そんな気持ちを持っていたとしても、実際に挑戦しようとする時は不安になる。その中で、「何かあっても、私たちがいるからやってみたら」と背中を押してくれる環境であれば、不安は少なくなるはず。失敗の恐れがなくなるには、仲間の存在は大事。協力してくれる人がいる、いないは大きな差だと思います。

 原点にやりたいという意思があること、そして、その意思を応援してくれる仲間がいることが、失敗を恐れなくなる環境と言えるかもしれません。失敗を恐れずに挑戦できる職場とは、同じゴールを目指している仲間がいる職場とも言えるかもしれません。
 自分のやりたいことと会社の方向性が一致している場所。みんなが同じ目的に向かって進んでいると同じ仲間だと思える場所。同じゴールを目指す仲間だからこそ、仲間のチャレンジも応援したくなります。

 そう考えると、リーダーの仕事は、単に「失敗を恐れるな」と正論を述べることではなく、失敗が怖くなくなる場所、理念に共感する同じ思いを持って働く仲間がいる環境をつくっていくことなのかもしれません。

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2024 年 04 月 10 日 16:00

寄り添う力

 世の中にはいろいろな営業があります。どのような業界であっても、最後に成果を出し続けられる営業とは、お客様から好かれる人。どんな時も、お客様の気持ちに寄り添ってくれる人ではないでしょうか。

 昔、日本一ベンツを売ると言われる人の話を伺ったことがありますが、その人は、もしもお客様がベンツ以外の車を欲しがっておられる時は、たとえ自分の利益にならなくても、一緒にその車を探して他ブランドの営業を紹介する。売り手が不利になる情報でも、それがお客様の為になるならば、しっかりとそれをお伝えする。お客様の立場にたって考え、行動するからこそ、信頼され、日本一の販売を続けておられるそうです。

 「寄り添う」という言葉の本来の意味は、物に身体を寄せる行為のことをいうそうですが、私たちが日常的に使う「寄り添う」とは、相手の心に寄り添う、気持ちを理解するというようなことだと思います。
 もちろん、電話をすればすぐに駆け付けてくれるという物理的なスピードも大切だと思いますが、「この人は自分のことをわかっていてくれる、自分の気持ちをいつも優先して考えてくれる」と思える人の存在は、やはり信頼と呼べます。

 私もいつも寄り添ってくれる営業さんを知っています。そんな寄り添える人には共通点を感じます。
 寄り添える人というのは、やはり、まず人の話を聞く。根底に「人の役立ちたい」という思いがあるから、聞こうという姿勢を感じます。悩みがあったり、辛い経験をしたときに、とにかく「誰かに話を聞いてほしい」と思いますが、冷静なアドバイスより、とにかく、話を聞いてくれるだけでもうれしいものです。

 また、寄り添える人は、相手が望んでいることに応えようとしてくれます。日本一ベンツを売る人もそうですが、そういう人は、「この人のために自分は何ができるだろう」と考える。もちろん、できないこともあり、すべてに応えることはできないですが、結果として応えられなくても、そうやって考えてくれるだけで嬉しい。
 その人が何を望んでいるのかを考え、できる範囲で協力する。寄り添うということの中には、こんな姿勢も含まれているような気がします。

 信頼は、簡単に築けるものではないですが、確実に言えるのは、やはり、信頼は、こうしたひとつひとつの商談の中の小さな言動の中で生まれてくる。こんな積み重ねが「何かあればあの人に相談しよう」ということになる。成果を出し続ける営業ほど、寄り添い力が高いのかもしれません。

 「真に優秀な人というのは、優しさに秀でた人である。」
 以前、優秀の言葉の定義を、こんな風な解釈で話してくれた方がいます。単に仕事が早いとか、ミスなくできるとか、的確に仕事をすることが優秀な人ではなく、優しさや思いやりにあふれている人が優秀な人。
 人口減少の中で顧客からの信頼が企業の長期的な発展の基盤になるとすれば「寄り添える力」がますます大事になってくるのかもしれません。

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2024 年 04 月 02 日 14:05

息づく行動指針

 「こんな場合は何をすればいいのか。」
 「どちらを選べばよいのか。」
 仕事をしていく上では、様々な判断が求められますが、そうした時の指針となるのが行動指針です。
 会社が掲げるミッションやビジョンを実現していくために、こういう行動を大切にしていこうと、どの組織にもある判断軸。言葉として明文化されている会社もあれば、言葉になっていなくても、先輩の行動が伝承されたり、文化として伝わっている会社もあると思います。

 以前、ある会社を訪問した時、訪問の趣旨を伝え、受付で待っている時のことです。受付の前を通る社員の人が待っている私の様子をみて、口々に「ご用件はお伺いしていますか?何かお困りのことはございませんか」と声をかけてくださる会社がありました。
 きっと、その会社には、昔から、誰が困っていたら自分から解決しようというような精神があり、文化として受け継がれているのでしょう。マニュアル的ではなく、気遣いをしてくれているという感じがしていましたので、この会社では、受付のお客様だけでなく、仕事の場面でも、こうした行動をされているはず。行動指針が組織の中に息づいているというのはこういうことなのかと感動したことがあります。
 「あの会社は、誰にあたってもいいね」と評価される会社がありますが、働く人たちの判断軸が揃っていると顧客からの信頼感も高まっていくはずです。

 判断軸が揃う。例えば、顧客との対応の時に、ある人は面倒だからやめておこうと判断し、ある人は、面倒だけどやろうと判断する。組織の中に、お客様に喜ばれることを優先するという指針が浸透していれば、みんなが前者の判断になり、浸透していなければ、個々に違う対応となる。ひとつの行動としてみれば、ちょっとの差なのかもしれませんが、もし、組織の中でどの人もどの人も、面倒なことを優先して動いてくれたとすれば、それは顧客にとって大きな感動になるはず。「あの会社はみんながいい対応をしてくれる」という評価は、組織としての最高の誉め言葉です。理念が浸透するということは、働く人の「判断軸」が揃っていくことなのかもしれません。

 ただ、行動指針はどうやって伝えていけばいいのか。判断軸はどうやって人に伝えられるのか。
 言葉を作り、掲げておけば伝わるのかというと、そう簡単なことではないはず。会社がこうした行動をしようと言ったところで、実際の先輩たちの行動が違っていれば後輩には伝わる訳はありません。先輩にしても、上司や幹部が実践していなければ、「こんなのはお題目だ」と思うに違いありません。
行動指針は、言葉だけでは伝わらない。上から良い背中を見せていく。行動指針が浸透するというのは、こういう実践の積み重ねなのかもしれません。
 新人が入社するこの季節。先輩として後輩にどんな背中を見せていくか、問われるところです。

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