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2021 年 12 月 28 日 09:45

一年を振り返る

 クリスマスも終わり、いよいよ押しせまってまいりました。2021年、今年は皆さんにとって、どんな一年だったでしょうか?
 忙しい日々を過ごしていると、なかなか振り返る時間が持てませんが、仕事を処理するだけの毎日、タスクをこなすだけの毎日では、疲れてしまいます。
 日報や日記などで一日の振り返りをされている方も多いと思いますが、一年の節目に、自分のやってきたことをじっくりと振り返ることは、意外と大事なことだと思います。

 振り返りの仕方はいろいろとあるようですが、やはり、具体的に書き出してみることが良いと言われています。例えば、「今年、達成できたこと」を書き出してみる。仕事のこと、趣味のこと、あるいは「〇〇さんと会うことができた」という人間関係のこと、年始の目標にしていなかったことでも、自分が達成したと思うことを書き出すと、意外と頑張っている自分に気が付きます。最近はスマートウォッチとの連動で、スマホで歩いた距離、走った距離なども記録できます。そうした記録も書き出して来年と比較してみるといいかもしれません。

 「今年、いちばん心に残ったこと」はいかがでしょうか?
 嬉しかったこと、感動したこと、大変だったこと、苦しかったこと。何が心に残っているでしょうか。自分の感情が震えたことを書き出してみると、「自分が大切にしたいこと」が見えてきます。

 「今年、変化したこと」、「達成できなかったこと」、「やり残したこと」、「来年、やりたいこと」など、いろんな項目で振り返ってみることで、いろんな気づきがあるはずです。ポイントは、「反省だけに終わらないこと」だそうです。反省は大事ですが、「これもできなかった、あれも出来なかった」と悔やんでも意味がありません。自分が生み出した「成果」を書き出してみることで、ポジティブになり、本当にやりたいことが見えてくることもあります。

 少しの時間とノートが1冊あれば、どこでもできるのが、振り返りの良さ。時間が取れる、この年末年始はいいタイミングではないでしょうか。

カテゴリー : メルマガコラム 思うこと

2021 年 12 月 21 日 09:34

仕事をつまらなくする方法、面白くする方法

私たちは、常々「仕事を楽しく、面白く」というような前向きなことをばかりを考えていますが、今回は逆説的に、どうすれば、仕事が面白くなくなるか、つまらなくする方法を考えてみました。

・工夫をしない、改善もしない。ただひたすら言われたやり方でやる。
・感情を抑え、無機質に仕事をこなす。
・職場の仲間と無駄な会話をしない。ひたすらタスクをこなす。
・指示通りに仕事をする。
・笑顔が必要な場合には、無理に笑顔をつくり、その場を乗りきる

 書いているうちに、気がめいりそうになりそうになります。後ろ向きなことを書いたら、やはり後ろ向きにしかならないですね(笑)。
 上記の共通点は、人間性をなくすこと。ロボットのように働いていけば、誰でも仕事は面白くなくなることがわかります。しかし、怖いのは、仕事が忙しくなると、ついこのようなことになってしまう可能性があるところ。
 だからこそ、どうずれば、もっと良くできるか、どうすればもっと目的に近づけるかと、考えや創造性を発揮したり、悔しさや嬉しさの感情も味わいながら、働いていかないと現状に飲まれてしまうのかもしれません。

 話は変わりますが、先日、社員が内発的動機で動く組織づくりで有名な「ネッツトヨタ南国」さんが年に一度開催する「感謝祭」というイベントの動画を見る機会がありました。これは同社のイベントの姿勢に感動したお客様が作られた動画なのですが、そこには、上記と真逆の人たちの働く姿が映っています。

 どうすれば、お客様を喜ばせるかを、みんなが考え、一人ひとりが心をこめておもてなしをし、状況に合わせて自分が何をすればいいかを考え、自分から行動する。指示命令を出す人は一人もいません。嫌々やっているような姿もどこにもありません。人がいきいきと幸せに働き、それにお客様が感動し、つながりが生まれ、商品が売れていく・・・そんな様子を見ると、ますます、「本来、会社はこうあるべきだ」という気持ちが強くなります。

 人間にとって、いちばん大切なものをいちばん大切にする組織づくり。
 来年もいきいき働く人や組織を応援していきます。

追伸
ネッツトヨタ南国様の動画はこちらからご覧いただけます。
https://www.facebook.com/keiichi.nishikawa.9/posts/4707246212690638

カテゴリー : メルマガコラム 思うこと 素晴らしい会社

2021 年 12 月 14 日 10:40

未来という会社の新入社員

 今年も残すところあと少し。
コロナで始まり、コロナで終わった一年でしたね。

 最初の頃、みんなが戸惑っていたテレワークやオンライン会議も「あたりまえ」になり、生活面でも「マスクをする」「手を消毒する」などの新しい習慣も気が付けば普通になっています。家で過ごすことの大切さも感じた人も多く、働くばかりが人生じゃない、もっといろんなことを楽しもうと新しい趣味を始められた方も多かったようです。確かにこのコロナ禍で私たちはダメージを受けましたがが、その中で見つけたこと気づいたこともたくさんあって、必ずしも悪いことばかりの一年ではなかったのかもしれません。

 私たちも、コロナ禍の昨年9月からオンラインの経営セミナー「未来×幸せ経営フォーラム」をスタートしましたが、東京でライブ開催していたセミナーと比べると、より全国各地からの参加者が多くなりましたし、経営者だけでなく次世代のリーダー候補の方も参加されるなど、その幅も広がっています。

 「想いが伝わりにくい」というオンラインのデメリットも感じていましたが、それでも双方向の学習スタイルを取り入れたり、インタビュー形式で講師の想いを引き出したり、工夫をすれば、伝わり方がかわることもわかってきました。
 また、講演を聞いた後、数名のグループに分かれて対話するというブレイクアウトセッションも、「数百人が集まる会議でうまくいくのか」と不安いっぱいの中でやってみたら、案の定、トラブル発生。皆さんにご迷惑をおかけしながらも、改善することができました。  やってみてみないとわからないことだらけ。第1回、第2回、第3回と回を重ねながら少しずつ進化させていきました。

 皆さんの会社でも、同じような挑戦、失敗、反省、改善がいっぱい起こった一年だったのではないでしょうか?

 私たちは、今、急速に来た「未来」に慣れていないだけで、その歩き方がまだ身についていなかっただけなのではないかと思います。未来という会社に配属された新入社員のようなもの。その会社には、教えてくれる先輩もマニュアルがない。新人だから当然、失敗もする。でもその失敗が次のヒントになる。一人ひとりが行動を起こして試してみながら進むしかありません。

 考えてみれば、これは新しいスタイルではなく、挑戦者の基本なのでしょう。ジャングルの奥地を切りひらいてきた私たちの祖先も、宇宙開発に取り組んできた科学者たちも、世の中にない市場を切り開いてきた先輩の起業家たちも、きっとこんな歩き方をしてきたに違いありません。

 当時、高級品で一部の人しか乗れない自動車を、大衆のための乗り物にすると宣言して、それを実現されたヘンリー・フォードさん(フォード・モータースの創業者)は、こんな言葉を残しています。

 「できると思えば可能だ。できないと思えば不可能だ」

 シンプルな言葉ですが、今年を振り返ってみれば、腹に落ちます。
 まだまだ、困難な時代が続きますが、この言葉を思い出し、来年も挑戦の年にしていきたいですね。

カテゴリー : メルマガコラム 思うこと

2021 年 12 月 08 日 14:18

ヒーロー・インタビュー

 社員研修のアイスブレイク・ワークのひとつに、「ヒーロー・インタビュー」というものがあります。
 正式なやり方はわかりませんが、プロ野球やテニスの試合後に行われるあのヒーロー・インタビューのように、インタビューをする人と受ける人に分かれて、その人の活躍をインタビューするというものです。

 先日、あるチームで、このヒーロー・インタビューのワークに取り組んでいただきました。一年が終わろうとするこの時期に、それぞれの人がどんな活躍、成長、努力をしたか、チームに分かれ、インタビューをし合うというプログラムです。ヒーロー役は1名、インタビューするのは1名~数名です。

「今年は、コロナで大変な一年でしたね。あなたにとって、どんな一年でしたか?」
「いちばん自分が成長したと思うことは何ですか?」
「そのために、どんな努力をされてこられたのですか?」
「来年は、どんなことに挑戦していくつもりですか?」

 記者が質問するように、その人の活躍の背景をどんどん質問していきます。最初は気恥ずかしさもあり、なかなかうまくはいきません。質問例がないと、何を聞いていいかわからない人もいますが、だんだんと慣れてきます。

 こんなことをしてどんな意味があるのかと思われる方もおられるかもしれませんが、ヒーローの立場になってみると、仲間から質問され、自分の一年を振り返り、自分の努力や成果が明確になっていくので、頑張った自分を誇らしく感じるようになり、終わった後は爽快な気分になります。誰もが笑顔になります。
 インタビューする側も、仲間の知らない面に触れることができ、「がんばっているのは自分だけじゃないんだ」と、仲間への感謝や尊敬の心も生まれてくるようです。特に、今年は、仲間同士で飲食をする機会も少なくなり、リモートワークで仲間の働き方がわかりにくくなっていますから、こういう機会はいつもの年以上に大切なのかもしれません。

 喜びはわかちあうと増え、悲しみはわかりあうと減るということを聞いたことがあります。多く人が、今年一年苦労の多い激動の一年だったのではないでしょうか。この年末、社内や部内で、お互いの今年の活躍を話し合ってみるというのはいかがでしょうか?

カテゴリー : メルマガコラム 勉強会

2021 年 11 月 30 日 14:49

組織の一体感を取り戻す

 まだ安心はできませんが、少しずつ規制が緩和され、飲み会や旅行、飲食が増えています。
 楽しそうに食事をしている人や、旅行されている人を見ると、みんな笑顔です。
 こうした笑顔を見ていると、人はやっぱり人と交わって、つながっていくことが安心になったり、活力になっていくのだなあと、つくづく感じます。

 会社も同じで、リモートワークは確かに効率的で通勤の負担も軽減される素晴らしい発明だと思いますが、まわりの人のお話を聞いても、ずっと一人で働くのは孤独で、やはり限界があったのかもしれません。もちろんオンライン会議はこれからも発展していくと思いますが、重要な話やアイディアを出し合うには、やはり人が合って話し合うことがいちばん大事なのだと感じました。

 そんなことを考えていた時、ある会社が3年ぶりに、全国の幹部が本社に集まるイベントを開催されました。このコロナ禍で失われてしまった組織の一体感を取り戻りたい、みんなを元気にしたいという経営者の思いから、実現したものですが、そのプログラムづくりや運営を、ブロックスがお手伝いさせていただきました。

 テーマは「経営理念」ということで最初は皆さん緊張気味ですが、しばらく話をしていると、どんどん話が盛り上がり、悩みを相談し合い、自分達で答えを見つけておられます。みんな同じことに悩んでいたんだ、みんな同じ思いだったんだ、理念を実践するってこういうことなんだと気づいていく・・・。仲間同士だから本音の語り合いが生まれます。最後は、お互いにエールを送り合って、笑顔になって帰っていかれました。

 「ただ話し合うことが、どんな成果に結びつくのか?」と最初のうち、半信半疑だった人たちも、社員の皆さんがみるみる元気になる様子を見て、こうした一見、非効率に見える場の大切さがわかってこられたようです。「対話」には、理屈では説明できない効果があるようです。

 孤立化し一体感がなくなった組織では、やはり相乗効果が生まれません。「こんなにいい仲間と働けている」という実感がやる気につながり、前向きな行動を生み出していくのでしょう。
 そして、組織の一体感を取り戻すのは、やはり全員が一同に会して行う「対話」がいちばん。いろんな場所で対話の場を設け、コロナ禍で失ってしまったものを、早くで取り戻していきたいですね。

カテゴリー : メルマガコラム 思うこと

2021 年 11 月 24 日 14:27

カレーハウスCoCo壱番屋の強さの理由

 皆さんはカレーは好きですか。
 私も大好きな食べ物のひとつで、週に2回は食べています。

 そんな国民食とまで言われるカレーの世界で日本一の店舗数を誇るのが「カレーハウスCoCo壱番屋」。
 創業者は宗次徳二さんと妻の直美さん。
1974年、全くの素人である二人で始めた喫茶店がスタートでした。

 元々不動産業を営んでいた宗次さん。喫茶店は初めてでした。
 その店は主要道路から大きく外れた悪立地でしたが、だからこそ、心のこもった接客でお客様をお迎えしようと一生懸命におもてなしをしました。宗次さんはここで飲食業の面白に夢中になり、次々と工夫をしていきました。通りがかりの人は入るようなお店でなかったのですが、常連客から口コミが広がり、2~3年で大繁盛店になります。

 その店で出していたカレーが美味しいと評判になり、よし、カレーの専門店を出してみようと出店したのが「カレーハウスCoCo壱番屋」1号店。出店前には全国のいろんなお店のカレーを食べ歩いたそうですが、奥さんが作る自分の店の家庭的なカレーの味がいちばん美味しいと自信をもったところから、「ここがいちばん」→「CoCo壱番屋」という名前を付けられたそうです。

 しかし、このお店も悪立地からのスタート。喫茶店時代もそうだったように、こんな立地に悪い場所に、わざわざ来てくれたことに感謝し、笑顔でお迎えしよう、心をこめてお見送りをしようと、接客に力を入れました。それが、壱番屋の社是になっている「ニコニコ・キビキビ・ハキハキ」の原点です。

 それから、どんどんと店が増え、フランチャイズを出していく訳ですが、数ある同業者の中で、なぜ、カレーハウスCoCo壱番屋だけが成功を収めたのでしょうか。
 宗次さんが大事にされてきたのは3つ姿勢。現場主義とお客様第一主義、そして率先垂範でした。とにかく現場に出て、お客様が食べ終えた皿を見たり、お客様の声を聞き、もっとよくできないか、もっと喜んでもらえないか不努力、工夫を重ね続けてこられたのです。

 普通の経営者は、ある程度お店が軌道にのると、現場に出なくなってしまう人が多いそうです。そして、だんだんお客様や社員のことが見えなくなり、改善をしなくなります。そしていつの間にか衰退していく。だから、経営者はいつも現場に出ることが大事だと言われるのです。宗次さんは、常に現場に出て問題を改善し、お客様のアンケートも毎日3時間もかけて読んできたそうです。挨拶、早起き、掃除・・・あたりまえをしっかりと続けていくことも宗次流の経営です。

 これからの時代は「先が見えない時代」と言われていますが、私は、同業者の動向に目を向けず、ただひたむきにお客様の声を聞き、そこから工夫改善をコツコツ積みあげててこられた宗次流の経営が、これからの時代の主流になっていくように思います。

 来月12月2日、創業者の宗次徳二さんをゲストにお迎えし、「未来×幸せ経営フォーラム 第1回目セミナー」を開催します。(申し込み受付中)逆境に負けない経営のあり方、右肩あがりの経営のノウハウ、宗次さんの人生哲学まで、様々な角度から徹底的にお話を伺う予定です。
 未来の経営をご一緒に考えてみませんか?

詳しくはこちらへ・・・
https://www.doit-fun.jp/blocksseminar/20211202_20220414

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2021 年 11 月 16 日 17:06

ホスピタリティは心の交流

 「ホスピタリティ」とはどんなことでしょうか。「ホスピタリティ」を日本語訳は「おもてなし」という方もおられますが、「おもてなし」は“客人を迎える”という場面が思い浮かぶので、私は何か範囲が狭い気がします。

 例えば道端で、おばあさんが大きな荷物を抱えて困っていた時に手を差し伸べてあげることもホスピタリティでしょうし、熱を出して寝ているお母さんのために、小さな子供が道端で花を摘んで持って帰える行為も私は、ホスピタリティのような気がします。おもてなしより、もっと大きな範囲の概念で、日本語では思いやりの心、誠実さ、気配り、優しさ・・・という言葉になるのではないでしょうか。

 以前、「ホスピタリティ」を学んでいた時に私の心に残ったのは、「ホスピタリティは心の交流」という言葉です。まず、「誰かが困っている」という状況にその人の心のセンサーが働く。そして「どうされたのだろう?」「何かしてあげられることはないか」と心を巡らせる。困っていた相手は、その人の思いや行為に嬉しくなり、感謝の気持ちがわいてくる。そして、また行為をしたほうも、その気持ちが伝わり嬉しくなる。心が相互に交流し合うことがホスピタリティ。まさに人間にしかできない素晴らしい世界だと思いました。

 マニュアルサービスとホスピタリティを区別して説明される方もおられます。確かに、マニュアル通りにしているだけでは、心の交流は生まれません。でも、どんなマニュアル化されたサービスでも、そこに人が心を込めればホスピタリティの世界になるはずです。

 例えば、「いらっしゃいませ、お席にご案内します」というお迎えの場面で、小さなお子様を連れたお客様だから「ゆっくり歩いてあげよう」と思うスタッフの気持ちはホスピタリティ。「今日は楽しんで帰ってね」と子どもに一言声をかけてあげるだけでも、無機質なマニュアルサービスが心の通うホスピタリティになります。
 仕事はただの「作業」にもなるし、心の交流が生まれる「楽しい時間」にもなります。どうせ同じように働くなら、後者の世界で働いた方がメンタル面でも良さそうです。

 最近の脳科学研究では、困っている人を助けるなどの行為をすると、脳内に「幸せホルモン」というオキシトシンが分泌され、助ける人も幸せになるということも実証されているそうです。
 一人でも日々の仕事に「ホスピタリティ」を発揮していく人が増えれば、世界は楽しくなりますね。

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2021 年 11 月 09 日 17:00

幸せの4つの因子といい会社づくり

 慶應義塾大学の前野隆司教授をご存じでしょうか。
 以前よりご縁があり、昨年、弊社が主催する「未来×幸せ経営フォーラム」にもご主演をいただきました。先日、その前野教授の「幸福経営学」についての講演を聞かせていただきました。

 前野先生は元々機械工学の専門家だったのですが、2008年から統計解析を活かした「幸せ」の研究を開始。その当時は幸せの研究はなかなか理解されなかったそうですが、今では「幸福(正式にはWell-Being)」研究は、世界的に注目されるようになりました。
研究の結果、仕事と幸福の関係は徐々に解明されています。
 例えば「幸せだ感じている人はそうでない人に比べて、生産性が31%高い。創造性は3倍高い」というデータ。また、「幸せな人の欠勤率は41%、離職率は59%も低い」などの、様々なデータが明らかになってきたからです。社員が幸せだと感じることが、会社の業績に影響することがわかってきたのです。

 「幸せなんて人それぞれの感じ方なのでは?」と思われる人もいるかもしれません。しかし、多くの人にアンケート調査をして分析すると「幸せの共通点」も解明されています。そのひとつが、前野先生が発見した「幸福の4つの因子」。統計解析で見えてきたこの4因子が揃っている人は幸せを感じていると言います。

 ひとつ目の因子は「やってみよう因子」(自己実現と成長の因子)。関連キーワードは、夢、目標、強み、成長、自己肯定感。簡単に言えば「やってみよう」「自ら、働きたい」という気持ちになっている人は幸福だということです。その反対は「やらされ感」「やりたくない」「やる気がない」。こういう人は幸せを感じていません。

 2つ目の因子は「ありがとう因子」(つながりと感謝の因子)です。感謝、利他、許容、承認、信頼、尊敬、自己有用感。「ありがとう」と言ったり言われたり、他者とつながりを感じている人は幸せを感じている人。逆は孤独です。確かに独りぼっちは辛いですね。つまり、会社の中に「ありがとう」という言葉が通い合い、仲間が助けっている会社は幸せが多いということです。

 3つ目は、「なんとかなる因子」(前向きと楽観の因子)。キーワードは、前向き、楽観性、自己受容。確かに「何とかなる」と前向きに楽観できることは幸せです。他人の欠点ではなく、良いところを認め合い、それを伸ばしていくのがポイント。「俺が責任を取るからやってみろ」と後押ししてくれる上司がいると、この因子が伸びるはず。

 そして最後が、「ありのままに因子」(独立と自分らしさの因子)。独立、自分らしさ。人の目を気にせず、自分らしくいられていると感じている人は幸せです。多様性を受け入れてくれる職場、違いを認めてくれる職場は幸せが多い職場です。

 問題は、この4つの因子をどのように高められるか? 例えば朝、仲間に合ったら「挨拶」をする。仲間の存在を「認め合う」。人の為に行動する。そして、何かをしてもらったら「ありがとう」と言うことも、「ありがとう」と言われることをすることも大事。また、誰かが何かにチャレンジしようとする時に、「やってみたら?」と励ましたり、応援する。どれも簡単なことばかりですが、こういう仲間がいる職場で働くことをイメージすると仕事が楽しくなるような気がしませんか?

 昔は、収入や地位が上がったら後で「幸せ」になると、「今」を我慢して歯を食いしばって働いていました。しかし、大事なのは今が幸せかどうか。今、この瞬間に幸せを感じているからこそ、生産性も創造性も高くなり、業績も利益もあがる。目的は、お金ではありませんが、結果としてお金も手に入る。

 「働く人たちが、今、この会社で働く幸せ」を高めていくことが、益々大事になっていくようです。

カテゴリー : メルマガコラム 素晴らしい会社

2021 年 11 月 02 日 15:06

伊那食品工業さんの朝掃除に思うこと

 先日、ある経営者グループの皆さまをご案内し、伊那食品工業様を訪問させていただきました。
 約3万坪の敷地の中に工場や本社社屋がありますが、そのほとんどが地域の人に開放しているガーデンです。ブランド名にちなんで「かんてんぱぱガーデン」と名付けられているその庭は、元々が松林。自然に生えている松の木を活かしながらも、古い木は撤去し、空いたところに植物を植えるなど、長年に渡って手入れをされてきました。

 伊那食品工業では、業者に掃除を依頼されません。毎朝、その広い庭を、本社にいる200人くらいの社員で掃除をします。今の時期は紅葉の落ち葉がいっぱいですが、夏には草取り、冬には雪かきなど、かなりの作業です。

 そんな庭掃除を、社員の人たちがいきいきと、まるで自分の庭の手入れのように取り組んでおられるが、見学者が驚かれるところです。今回も社員の皆さんに「掃除はどうですか?」と聞いてみると、皆さんが「楽しい」仰っていました。でも、なぜ、楽しくなるのでしょうか。

 私も昔、大きな庭の掃除や草取りをずっとしていたことがありますが、草や落ち葉と向き合っていると、なぜか心が落ち着きます。同じ庭なのに、季節によって表情が違い、生えてくる雑草変わります。そんな変化に気づくことも楽しみです。そして、何より綺麗になった後を見ると嬉しくなります。

 たぶん、庭掃除そのものに、そんな楽しさがあるのだろうと思いますが、伊那食品工業の皆さんは、これを会社の仲間と一緒にやっているところが違います。
 この庭掃除にはもちろん上司も部下もありません。誰かからの指示命令も、ここをやれというルールもなく、それぞれが今、自分がすべきだと思ったことをするのです。これも楽しさのひとつだなと思います。

 「今、何をやればいいのだろうか?」。自分で考えることは言われてやるより、何倍も面白いでしょう。また、全体を見て考えなければいけないので、広い視野も必要。それに、朝礼までに3万坪を綺麗にするのは、効率も重視されます。「いかに早くできるか」という脳も働かせなければならない。この庭掃除の中で人間の創造力や、工夫する心が全開となって、夢中になってしまうのではないでしょうか。
 「この庭掃除は気づきの訓練だと思っています」と入社3年目の方が話してくれましたが、続けて掃除をしていることで、見えなかったことが見えるようになったり、わからなかったことがわかるようになったりする喜びも、きっとあるに違いありません。

 こうした庭掃除で一日が始まる伊那食品工業さん。その職場には上下の壁も、部門の壁もありません。役員の人と新人が家族のように話す姿を見ていると、庭掃除という、ひとつのことをみんなでやる文化が、大きな影響を与えているように思いました。
 社員旅行や運動会、バーベキューなど、最近は社内行事をする会社が少なくなりましたが、一見無駄なようにも見える、仕事以外の行事や体験の場で自然と上下や横の関係が密になり、いい組織づくりにつながっているのではないでしょうか。

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2021 年 10 月 27 日 09:30

仕事の楽しさ辛さは表裏

 「仕事は楽しいですか?」と聞かれたて、皆さんは「はい!」と素直に答えることができますか?
 もちろんやりがいはあるし、楽しいのですが、その前に「しんどさ」や「苦しさ」が必ずついてきますのでなかなか素直に「楽しい」と言いにくいものがあります。

 営業活動でも、受注が取れている時はむちゃくちゃ嬉しいし、楽しい時。しかし、そこまでにはいろんな壁があります。断れたり、怒られたり、提案が通らなかったり、何度も何度も足を運んでうまくいかないこともあるはずで、そんな時期はなかなか「楽しい」と感じられません。それでも、そこを乗り越えて、やってくる「受注」瞬間」や「お客様からの感謝の言葉」。その時の感動は最高です。この感動を一度知ってしまうと、仕事は面白くなります。どんな仕事も一緒だと思いますが、真の喜び・楽しさは「苦」(辛さ・しんどさ)とセットでやってくるもので、私は「楽しい」という言葉だけでは表現しきません。

 その「苦」の時期に、「仕事は嫌ですか?」と聞かれた時はどうでしょうか?こちらも素直に「嫌です、辛いです」とも言えません。足を棒にして走り回っていたり、何とかしようとのたうち回っている時は、確かに苦しさを感じますが、こうしてみよう、あれにチャレンジしてみようと脳みそが全力で回り、自分のすべてを出し切っている時は、ある種の面白さを感じていて、決して嫌ではありません。やはり、ここでも「苦」と「楽しさ」は同居しています。

 人類誕生以来、「もっと楽にならないものか?」と誰もが考えてきたと思います。こんなに、めんどくさいことをやらずに、もっと簡単に結果が得られるようになれば、毎日が「楽しい」の連続になるはずなのにと。
 苦労しなければ成功しないなんて、確かにめんどくさいですね。でも、苦労の時期は、確かに辛いのですが、その時に頑張ってのたうち回っていると、思わず人の思いやりや優しさに触れることができたり、心を支えてくれる友達の有難さに気づくことができたり、この時期でなければできない体験ができます。
 こうやって、自分の人生が重ねられ人生に厚みができているのだと思うと、このめんどくさい仕事のサイクルも、なかなかいいものではないかなと思います。

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2021 年 10 月 20 日 18:02

仕事の目的を考える2つのエピソード

 先日、ある研修で、皆さんと一緒に「仕事」と「作業」の違いについて話をしました。そんなに気にしておられない方もいらっしゃったようですが、私は仕事とは、目的を意識しながら、どうすればもっと良くなるかを考え創意工夫をしながらやるもので、作業は決められたことを決められた通りにやることだと思っています。
 お客様や後工程の人のために、どうすればもっと良い価値を届けられるかと考えてやっていると創造力を働かせますから楽しくなります。作業でも、どうすれば早くなるか、どうすればもっと良くできるかと創造力を働かせていくと仕事になります。傍から見ればただルーティンワークをしているようでも、その人の心の中にはしっかりと「目的」が見えていて、その目的のために自分の役割を果たそうとワクワクしている人もいます。

 有名な話で、皆さんも聞かれたことがあるかもしれませんが、心に残っている2つの話をご紹介します。
 ひとつは、アメリカの当時の大統領、ケネディさんが、ある日NASA宇宙センターを訪問した時の話。大統領が清掃員に、どんな仕事をしているのかと尋ねたところ、その清掃員は「私は月に人類を送り込む手助けをしています」と答えたそうです。
 この人も単なる作業員ではありません。きっと毎日ワクワクしながら、仕事をしている様子が思い浮かびます。

 もうひとつが、松下幸之助さんが社員に語ったエピソードです。
 当時、まだ小さな町工場だった松下電器では、完成した電球を磨くという仕事がありました。そこに、つまらなそうに仕事をしている社員がいたそうです。その社員に対して松下幸之助さんは、「君、ええ仕事しているな~」と声をかけました。その社員は、「電球をふくだけの仕事のどこがいい仕事なんだ」と思っていたのでその言葉に唖然としたそうです。
 幸之助さんはこんな風に話したそうです。
 「この電球は、どこで光っているか知っているか?」「あんたが磨いた電球で街の街灯に明かりがつく。その街灯のお陰でどうしても夜遅くに駅から家に帰らなあかん女の人、いつも怖い思いをして帰っていた女の人が安心して家に帰ることができる」
「またなぁ、子供が絵本を読んでいると、外が暗くなって家の中はもっと暗くなる。そうなれば、絵本を読むのを途中でやめなあかん」「でもな、あんたが磨いている電球1個だけで、子供たちは絵本を読み続けることができるんや」「すごいこどじゃないか、あんたが電球を磨いていることで子供たちの夢を磨いているんやで」「物づくりはなぁ、物をつくってはあかん、物の先にある笑顔を創造できんかったら、物をつくったらあかんのやで。」「子供たちの夢のために、日本中、世界中にこの電球を灯そうや」

 物の先にある笑顔を想像できんかったら、物を作ってはあかん。改めて松下幸之助さんの信念の強さを感じます。でも、これは物作りだけの話ではないのだろうと思います。
 どんな仕事をしているのかと問われた時に、どんな言葉を返せるか。仕事の向き合い方が表れているのかもしれません。

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2021 年 10 月 13 日 09:45

「働きがい」ってどんなこと?

 皆さんは、自分の仕事に「働きがい」を感じていますか?
 こう問われると、皆さんはどんな風に感じられるでしょうか。

 先日、弊社のセミナーで皆さんと一緒に「働きがいのある職場」を語り合いました。

「働きがい?そんなこと考えたことがない・・・」
「すぐに応えられないな・・・」
「はい、この仕事にすごく働きがいを感じます・・・」

 「働きがい」・・・そもそも定義が曖昧ですね。辞書を調べると「働きがい」とは、「働くことによって得られる結果や喜び、働くだけの価値」と書いてあります。何に価値を感じるか、喜びを感じるかは人それぞれですから、これが働きがいだと決められません。

 しかし、皆さんで話し合ってみると「働きがい」には共通していることも多いことに気づきます。
 まず、自分の仕事が人に役立って、喜ばれた時に働きがいを感じる。そんな意見がありました。ありがとう、助かったよと言われて嬉しくない人はいません。また、その仕事が好きで没頭している時も働きがいを感じます。難易度が高くても、それが面白ければ、やりがいを感じて何度も挑戦します。仲間と一緒に必死に取り組んで一体感を感じる仕事も働きがいを感じませんか。お金ももらえないと働きがいを感じないという意見もあります。確かにお金は頑張った結果を評価されるものですから大事です。ただ、ボランティア活動でも働きがいを感じることがあります。役に立てたという結果がお金以上の価値になることもあります。また、出来ないことができるようになり、自分が成長できたと感じる時、この仕事をしてきてよかった、頑張ったかいがあったと思うことがあります。

 要約すると、働きがいとは、人に役立つ仕事であり、そこに自分が一生懸命に取り組んで、結果、自分も成長でき、「あなたがいてくれてよかった」「あなたのおかげで助かったよ」と言ってもらえる時に感じる充実感というようなものでしょうか。もっと簡単に言うと、人にために役立つことが働きがい。それを実感すると仕事の誇りです。

 今、働き方改革の名の元に、日本全国で、残業を減らしたり、出社時間を遅らせたり、テレワークで自由な場所で働けるようにしたり、確かに働き方は多様になりました。確かに不満足の要素は減ったのかもしれませんが、おかげで仕事が楽しくなったとか、働きがいを感じるようになったという話はあまり聞きません。こうした改革は、仕事の満足感にはあまり関係がないということも見えてきたのではないでしょうか。

 働きがいを感じず、日々の仕事が作業のようにノルマのように感じている人はまだまだたくさんいます。今必要なのは、働き方改革より、働きがい改革なのかもしれません。

カテゴリー : メルマガコラム 思うこと

2021 年 10 月 05 日 09:45

「サービス精神」とは?

 世の中には、人を喜ばせることが大好きな人がいます。サービス精神が旺盛というか、人を喜ばせることが生きがいになっているというか、その人のまわりには明るいオーラがあり、輝いています。
 もう他界しましたが、私の義理の母も、そんな人でした。食事でも、「もっとたくさんお食べよ」といろんなものを用意し、食卓には食べきれないほどの料理を並べてくれました。そんな義母には、友達も多く、いろんな人が相談に来ていました。

 ビジネスの世界では、顧客満足を高めるとか、ロイヤルカスタマーを創造するとか、つい小難しいことを考えてしまいますが、こうしたサービス精神旺盛の人たちの生き方を見ていると、すべてが後付けの理論のように感じてしまいます。
 この人たちの生き方の原点は、お金を儲けたいからでもなく、お客様を集めたいからでもなく、とにかく「人を喜ばせてあげることが幸せ」。その動機が純粋な人のまわりは明るく、自然と人から好かれ、自然と人が集まってくる。CSが高まり、ロイヤルカスタマーが増えていく状態と似ています。

 もちろん、ビジネスは経済が成り立たないと成立しません。いくら喜ばせたいと、ずっと原価を割って提供していてはつぶれてしまい、人に迷惑が掛かります。だから、お金が儲かることは絶対に必要。しかし、この「人を喜ばせたい」というサービス精神が中心になければ、結局は人は集まらなくなってしまうのではないでしょうか。

 私だけでなく、誰もそうだと思いますが、何かをしてあげて、相手の人が喜ぶ顔を見ると嬉しくなります。人の喜びが嬉しく感じるのは人間の本能ではないかと思います。ただ、人が喜んでくれて嬉しいと感じるだけならいいのに、私たちはつい、見返りを求めてしまいます。特に心に余裕がなくなると、「なんで御礼を言わないんだ」とか、「せっかくやってあげたのに」という気持ちになりがち。これも人間の本能かもしれませんが、このあたりが難しいところ。
 確かに、自分のしたことに「ありがとう」と言ってくれたり、「してくれて、本当に助かった」と言ってもらえると嬉しくなります。でもサービス精神が強い人を見ていると、ただやってあげることが好き、御礼も何も求めていません。だから続くのでしょうね。

 サービス精神とは、見返りを求めないで、人を喜ばせたいという精神。
 人の喜びと自分の喜びが融合して溶け合うような状態。
 本物が生き残っていく時代だからこそ、「サービス精神」がますます大事な気がします。

【ご案内】
12月からスタートする「未来×幸せ経営フォーラム」の第2回目では、バグジーの久保社長、元リッツカールトン日本支社長の高野登さんをお招きし、「気づく力、感じる力」と題して、このコラムのようなサービス精神や気づきの力をお伺いしていきます。ぜひ、お楽しみに。
https://www.doit-fun.jp/blocksseminar/20211202_20220414

カテゴリー : メルマガコラム 思うこと

2021 年 09 月 29 日 14:44

仕事に夢中になる人、ならない人

 以前、魚釣りが好きな人に連れられて、釣りに行ったことがあります。
 私は過去何度かやりましたが、普段はほとんどしません。糸を垂らしていたのですが、なかなか釣れません。釣れない時間はなかなか退屈。だんだん飽きてきました。しかし、友達は仕掛けを変えたり、場所を変えたり、いろいろと工夫をし出して楽しんでいます。釣り好きの人は、やはりこういうことが楽しいのか・・・。釣れた、釣れないということ以上に、「釣り」という行為自体が面白いのだなと感じました。

 スポーツ、山登り、絵画・・・世の中にはいろんなことに夢中になっている人がいますが、きっとメカニズムは同じはず。成果を求めているけれど、それに挑むプロセスが面白くてしかたがない。失敗して「どうしようか?」と考えて工夫することが楽しい。仲間と反省する時間も楽しい。そこに成果がでる(魚が釣れる)とさらに楽しい。夢中になっている時は、時間が短く感じ、身体は疲れても心は疲れません。

 では、仕事は、遊びのような「夢中になる対象」になるのでしょうか?
私は、もちろん対象になると思っています。私自身、実際に新入社員の時からずっと夢中になってきましたし、夢中になっている人はたくさん見てきました。同時に、楽しんでいない人もたくさん見てきました。「仕事を楽しむ」とはどんなことかを、ずっと考えてきました。

 では、どうすれば、仕事に夢中になれるか?
先程の釣りの時に、成果が出ない時が続いたので私は面白さを感じませんでした。友人は、「そこを超えた時に面白さがわかってくる」と言っていましたが、きっとそういうことなのでしょう。

 趣味でも仕事でも、ある程度の成果が出るまでやり続けてみないと本当の面白さに出会えないのだと思います。だからこそ、やはり一定期間は「面白くなくても一生懸命やってみる」という時間がいります。さらに漫然と臨むのではなく、「工夫・改善をする」。「面白さ」は、この2つの後に来そうな気がします。

 最近、「面白さ」に出会う前に努力を忘れて、「自分にあっていない」と1年もせずに辞めていく若い人のお話を聞くと、「釣れない」からすぐに「面白くない」「つまらない」と言って釣りを辞めていく人を思い出します。
職業選択の自由ですから、いくらでも変えてもいいものですが、中途半端な体験を何回繰り返しても「面白さ」には出会えないと思います。

 しかし、問題は、若い人より長く続けているのに、「面白さ」を感じない人かもしれません。「給料」という魚が取れるようになることに慣れてしまったのか?そもそも、成果を給料としたから、面白くなくなっているのか?工夫も改善もしない毎日が問題なのか?

 夢中で仕事をするということは難しいものなのでしょうか?

 夢中になると、集中します。工夫改善をするので品質が高くなります。何よりも日々が楽しくなります。楽しくなれば、人間関係も良くなります。生産性が上がります。いろんな挑戦もしたくなります。
 ひとつでも、夢中になるものを見つけた人の人生は、きっと豊かになると思います。

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2021 年 09 月 22 日 13:59

どうすれば上達するか?

 大阪の交野市にある「ビューティサロン・モリワキ」さんは、社員を大切にする美容室です。私は、このお店の幹部の皆さん、スタッフの皆さんの素朴で温かい気持ちが大好きで、通い続けています。
 シャンプーなどは、昨年入社したアシスタントのM君が担当してくれます。新人の時から担当してくれているので、何か自分の子どものような感覚で見てしまいます。
 先日、またシャンプーをしてくれたのですが、以前よりしっかりとした指使いで、力加減も自分にピッタリでした。私はプロではないのでうまく表現できませんが、迷いがなくなったというか、自信ができたというか、「プロ」に近づいているなと感じました。きっと山ほど練習したのでしょう。なんだか嬉しくなりました。

 「どうすれば上達するのか」ということを考えてみました。みんな、過去の経験から上達するには「練習」が必要だということはわかっています。でも、頭でわかっていても、忙しくなると練習をないがしろにしてしまうことがあります。学生時代はコーチや監督が強制的に練習をさせてくれますが、社会人になると誰も指示しません。また、練習をしようと頑張ってみようと初めても、「やっても、やっても上達しない」という状況になり、途中で挫折するということもあります。さらに、やっかいなのは、ある程度できるようになると、一人前になったと錯覚し、それ以上の練習をしなくなる人もいます。それでもお金はもらえるので、技術の向上を続けなくなります。頭でわかっていても、出来ないのが練習なのかもしれません。

 しかし、やはり一流になるのは、練習が不可欠です。どの世界でも、今、業界の第一線で活躍している人は、他の人より技術が輝いているので、先天的な才能を持っていると思われがちですが、いろいろと過去を聞くと、ほとんどの人は、技術を磨くために並外れた時間を投じ、努力を積み重ねてきたという共通点があるようです。つまり「生まれつきの天才」はいないようです。

 では、なぜ、天才の人たちは、練習の量・時間をかけることができたのでしょうか?周りにいる親、コーチが優れていたということもあると思います。しかし、練習はキツイもの。一日に何時間もかけるのは苦痛のはず。「苦しい時間」が続いているだけでは長い時間練習できる訳がありません。

 後に天才と呼ばれる人たちは、この苦しい練習も、楽しんでいたのではないでしょうか?ただ量をこなそうとした訳ではなさそうです。1回1回の練習に仮説を立ててのぞみ、それを何度も実行し、最後に反省をし、改善を加える。野球で言うなら「一振り」に、美容室でいうなら「一回のシャンプー」に、細かく、具体的にトライしていくからこそ、没頭する。没頭するから楽しくなる。集中すると成長する。成長するから「成長実感」も、味わえる。悔しさもエネルギーになる。外側からみたら、「なんて過酷な練習なんだ」と映るかもしれませんが、本人にとっては、“面白い”という時間になっているのではないでしょうか。天才とは、苦しみを楽しみに変える人と言うのかもしれません。

 いわゆる「PDCA」というものですが、企業にとっても、仕事にとっても、人生にとっても、遊びにしても、自分からこのサイクルを回すことが成長の原点であり、何より、自分自身が面白くなるサイクルだと思います。ただ、不思議なもので、「計画をしっかり立てろ」「ちゃんと行動しろよ!」「お前は反省したのか?」「もっと改善しろ」と、上からとやかく言われると、とたんに面白くなくなるのもPDCA。

「自分」から、自分の手でブンブン回していくことがいちばん大事なんでしょうね。

カテゴリー : メルマガコラム 素晴らしい会社

2021 年 09 月 15 日 14:30

「でんかのヤマグチ」から学ぶ“高売り”と“アフターフォロー”

 先日、DOIT!シリーズの中でもご紹介した東京・町田市にある「でんかのヤマグチ」の創業者、山口社長に講演をお願いし、若い経営者の皆さんに聞いていただきました。

 創業56年。小さな電器屋を一人で始めた山口社長は、コツコツとお客様を開拓し、売るだけでなく、そのお客様が困っていることがあれば、すぐに飛んでいき対応する。そんな地域密着の経営で経営を伸ばしてこられました。

 しかし、今から25年前、近隣に大型量販店が続々と進出。半径2キロに6つのも競合が迫ってくる事態に直面します。量販店同士が「他の店より1円でも安く」と競い合うと、地域の小さな店は太刀打ちができません。倒産、廃業が頭によぎったそうです。

 悩んだ山口社長が出した結論は、生き残っていくためには量を売ることではなく、少なくてもしっかりと利益が出る商いをすること。つまり、商品を量販の値段に合わせて安く売ることではなく、今よりも高い値段で売ることにしたのです。それが「高売り」。お客様にしっかりとサービスをしていけば、きっと私たちを選んでくれるはず。一生懸命働く社員のためにも、生き残っていかなければ・・・周囲が猛反対する中で、その戦略を貫きました。

 まず、遠くのお客様を台帳から外したそうです。すぐに飛んでいける、近隣のお客様を選びました。そして、5年以上購入のないお客様を台帳から外し、値引きを要請するお客様は量販店を紹介するなど、値段は高くても、でんかのヤマグチのサービスを好んでくださるお客様に絞って商いを展開していったのです。電池が切れたと言われたらすぐに持っていく。テレビの操作がわからないと言われたら、わかるまで何度もご説明に伺う・・・それだけでなく、「旅行に行く間、少しペットの世話をしてくれないか」という頼みまで引き受けることにしました。信頼があるからこそ、そんな依頼も「でんかのヤマグチ」に頼まれるのです。

 こうした、手厚いアフターフォローの商いを続けた結果、量販店との価格差が3万~10万もあるのに、買いに来てくれるお客様が増え続け、以前は「25%~27%」だった粗利率、今では「45%」に改善。借金もゼロになりました。最近、あるお客様から、「あなたのお店は、もっと高く売ってもいいのでは」と言われたそうです。どんなことにも親切に対応をしてくれるヤマグチさんに、そのお客様は惚れ込んでしまっているそうです。そんなお客様がヤマグチを支えてくれているのです。

 25年前、もし、量販店に対抗して「安売り」をしていたら、体力のない小型店はあっという間につぶれていたでしょう。しかし、山口社長は、従業員の幸せを考え決断をしました。売上を上げるために値引きをするというのは、簡単にできること。しかし、簡単にできることが正しいこととは限りません。本当に大切にすべきことを大切にする。それが険しい道、難しい道であったとしても、やると覚悟を決めてやり続ける。すぐに結果を求めたり、すぐに楽な道を選ぼうとしてしまう、私たちに大切なことを教えてくださった講演会でした。

カテゴリー : DOIT! メルマガコラム 素晴らしい会社

2021 年 09 月 08 日 10:12

成功の原点は経営者の姿勢

 先日、12月からスタートする「未来×幸せ経営フォーラム第3期」の講師としてご登壇いただくカレーハウスCo Co壱番屋の創業者、宗次徳二さんとお会いしました。DOIT!シリーズで取材をさせていただいてから月日が経ち、今は役員を退任されていますが、奥にある情熱は以前と変わらず少年のような目がキラキラと輝いておられました。

 1974年に小さな喫茶店を立ち上げ、1978年にカレー専門店壱番屋を創業。その4年後に会社を設立して全国展開。今では全国各地に1300店。カレーの本場インドにもお店があるそうです。このコロナ禍でも、ココイチ(略称)は売上減少を最小限にとどめることができているそうです。その理由がカレーという日本人の日常に欠かせないものであったこと。さらに、お店の8割が「のれん分け制度」で生まれた自営業者のお店であるということが要因のひとつ。しかも、今、いろんな店がやり始めている「宅配、持ち帰り」も、ココイチはもう30年も前から取り組んでおられます。独自の道を進んできたココイチの強さの原点はどこにあるのでしょうか?

 宗次さんが創業の頃から大事にされてきたことをお尋ねしました。「それは経営者の姿勢です」と静かに語られました。お客様が来てくれたことに感謝する。その感謝の気持ちを込めて真剣に経営する。堅実に、真面目に、着実に、今、ここ、その瞬間を一生懸命に経営していれば、きっとお客様はついてきてくれる。「小さな継続の積み重ね」が大事だとお話いただきました。どんなお店もオープンした頃はみんなこんな気持ちで商売に向かっていくそうです。しかし、少し軌道に乗ると、経営者がお店に出なくなったり、自分の遊びや生活に目が向くようになり、お店がダメになっていく。宗次さんは、いかに経営者が慢心せず、創業の時のような情熱と感謝の心を持ち続けていけるかが経営に最も大切なことだとお話くださいました。
 宗次さんの事務所は、こう言っては何ですが本当に狭く、書類がいっぱいになる隅っこに小さな机がありました。退任されてからは、社会貢献活動に全力を傾けられているそうです。お店でやってこられたように、毎日朝4時に起き、事務所のまわりの清掃とお花の管理を3時間もされています。
 私腹を肥やすための商売ではなく、社会に役立つための商売を一途にやり続ける。
「経営は、経営者の姿勢」。宗次さんのこの言葉が胸に刺さりました。

 12月2日からスタートする「未来×経営フォーラム第3期」は、この宗次さんとのトークセッションから始まります。今期のテーマは「人間力が未来をひらく」。姿勢、志、情熱などの大切さ、磨き方を追求していきます。

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2021 年 08 月 31 日 14:29

「One for All, All for One」の本当の意味

 ラグビーの精神とも言われ、日本でも良く使われる「One for All, All for One」という言葉。この意味は一般的に「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのため」と訳されますが、本当は、「みんなはひとつの目的のために」という意味だと言われています。ラグビーの場合の目的はチームの勝利。つまり、「ひとりはみんなのために、みんなは勝利のために」というのが正しい訳だそうです。

 みんながひとつの目的に向かって助け合い、協力する。ラグビーワールドカップで、日本代表が見せた「ひとつのトライのために、仲間同士が信じ合い、最後まで諦めず全員でつないでいく」というプレーは、まさにこの精神の表れだったと思います。体格も、体力も劣っている日本代表が、競合を次々に勝てたのは、他より優れたチームワークが発揮されたからでしょう。
 チームの全員が「ひとつの目的」に向かっているからこそ、相乗効果が生まれ、強い敵にも勝つことができる。みんなが自分以外の人のことを考える「One for All」。そして、みんがひとつの目的に向かう「All for One」。この2つが機能しているチームほど強いものはないはずです。

 ところで、「チーム」と「グループ」の違いは何でしょうか?
 チームとは、複数の人が同一の目的に向かって動く集団。集団の目的・目標を達成するために、役割分担をし、協力し合い、時に意見をぶつかり合わせて動くのがチームです。一方で、「グループ」とは、同じ思考や性質、趣味などを持つ人たちの集団のこと。ここには同一の目的や目標はありません。チームは目的のために集まった集団で、お互いに協働して動きます。だから、1+1+1が3にも4にもなりますが、グループは相乗効果が生まれません。
 つまりチームはそもそも「目的」を達成するために集まった集団だということです。そして全員が「One for All, All for One」の精神で結ばれたチームが「真のいいチーム」と言えるのではないでしょうか。

 私たちの組織は「チーム」か、単なる「グループ」か?メンバーは、みんなが助けあっているか?みんなが「ONE」(経営理念)に向かっているのか?
 最近は、テレワークばかりで、チームのことを考える機会が少なくなっています。「自分の仕事が終われば、仕事は終了」という働き方に慣れてしまっています。しかし、本当にそれでいいのでしょうか?もっと目的に向かって協力すべきことはないでしょうか。チームの困っている人を助けることをしなくてもいいのでしょうか?
 コロナ禍の大変な時期だからこそ、本当はもっとチームが助け合っていく時なのに、どんどんと「自分は自分のために」という状況になっているような気がします。もう一度、「One for All, All for One」を思い出していきたいですね。

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2021 年 08 月 24 日 15:12

かかわる人を幸せにするお掃除会社

 DOIT!シリーズでもご紹介した、高知のお掃除会社「四国管財」の新しい本が発売されました。そのタイトルが「かかわる人を幸せにするお掃除会社~本気のクレーム対応と魔法のホウ・レン・ソウ~」(著:中澤清一/発行:きんざい)です。 社員をとことん大切にする中澤社長の思いと、長年に渡って磨き上げてこられたクレーム対応や報連相の仕組み、また現場のスタッフさんへの細やかな対応の仕組みなどが細かく紹介されています。

 中澤さんが「いい会社づくり」に取り組むようになったのは、昔、あるショックな出来事があったからです。父親が亡くなり、二代目として会社を良くしていこうと意気揚々入社したのですが、当時の会社の雰囲気は悪く、誰も誇りをもって働いていませんでした。当時、世間では清掃業は低く見られていて、働き手が集まらない業界でした。会社の雰囲気はそんな背景があったからかもしれません。
 それに追い打ちをかけたのが、中澤さんが社員さんの結婚式に招待された時のこと。仲人さんが社員の勤務先を紹介する時に四国管財の名前が呼ばれなかったのです。清掃会社で働いていることを隠されていたのです。

 「そんなにうちの会社で働くのは恥かしいことなのか?」。そこから中澤さんの闘争心が湧いてきました。「みんなが誇りを持てる、家族に自慢できるいい会社にする!」という夢に向かって進み始められたのです。

 いろんな仕組みを導入してこられましたが、特に大切にしてきたのは「クレーム対応」と「ホウ・レン・ソウ」に対する取り組みです。どんな小さなクレームにも素早く対応する。そこに顧客の感動が生まれます。しかし、それだけでなく、「クレームになる前から対応しよう」と、現場の清掃スタッフに「少しでも気になったことを報告できる仕組み」を作ります。その為には、本社にみんなが安心して言える本部と現場の信頼感だと、「すべての責任は本社にあること」を伝え、スタッフの悩みに24時間対応できる電話窓口を用意し、仕事以外のことにも相談に乗るなど、時間をかけて、スタッフが安心して相談できる社風を築きあげてこられたのです。
 そして、そのベースにあるのが「報告・連絡・相談」の仕組みです。そのポイントは「報告をしろ!」と叱るのではなく、「ホウ・レン・ソウ」と褒められる。そしてその情報がどうなったか、必ずフィードバックする。それが社員を安心させるのです。中澤さんは、ホウ・レン・ソウは愛だと考えておられます。

 この本を読み、いい会社にしていくためには、「安心して働ける環境」を作っていくことが大きなポイントであるということに気づきます。上司に意見が言いにくい、悩みを相談しにくい、仲間同士がいがみ合っている・・・そんな職場では人の心がすさみますし、やる気が出る訳がありません。良い人間関係、困ったことがあったら何でも相談できる空気感、自分の意見や希望を聞いてくれる上司や仲間。家族のことまで心配してくるトップ。そんな環境であれば誰もが安心して仕事に集中できるでしょう。今、「職場の心理的安全性」という言葉が注目されていますが、四国管財さんは正にその見本。中小の経営者の方、あるいは人事・労務系のお仕事をされている方におススメです。

本の内容・申し込みはこちらへ
http://urx.red/IeWG

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2021 年 08 月 19 日 11:56

散漫になった意識を集中させる方法

 やらなければいけないことが山積しているのに、どうしても集中できない・・・
休み明け、仕事モードに入れず困っている方も多いのではないでしょうか?
こんな集中できない時に効果がある方法をご紹介します。
 それが「みかん集中法」と言われているもので、もしかするとご存じの方も多いかもしれません。
 まず、手のひらの上に本物の「みかん」があるように頭の中にイメージします。重さ、色、香り、匂いを嗅いだりし、リアルにイメージするのがポイントです。
 次に、そのみかんを自分の後頭部の上、15センチから20センチ、45度のところにもっていき、そこにおきます(もちろんイメージです)。そして手を下し、静かに目を閉じます。その後、後頭部の上方に置かれたみかんのバランスを取ります。15分ほど、その状態をキープすることに集中し、ゆっくり目をあけます。
 気持ちが落ち着き、深い集中状態に入ることができます。
 みかんが頭の上にあるなんて、返って集中できない・・・と思う方もいるかもしれませんが、やってみると意外と効果があります。なぜ、これがいいのか、私は専門家でないのでわかりませんが、フロー状態になっている時の気持ちに似ています。なかなか仕事に集中できない時は非常に効果的です。ぜひ、お試しください。

カテゴリー : メルマガコラム 思うこと

2021 年 08 月 11 日 14:23

「楽しい時」のやる気は持続する

 オリンピックが終わりました。選手の皆さんの素晴らしいパフォーマンスとスポーツマンシップにたくさんの感動と勇気をいただきました。選手、スタッフ、大会関係者の皆さん、大変な状況の中で素晴らしい大会を開催していただき本当にありがとうございました。

 今回、いろんな競技をテレビで応援していましたが、中でもいちばん私の心に残ったのがスケートボードです。テレビでも話題になりましたが、15歳の岡本碧優(みすぐ)選手が転倒した後、各国の選手が次々に集まって、抱擁したり、肩車をしたり、失敗して泣き崩れていた岡本選手が笑顔になるシーンに私も胸が熱くなりました。スケートボードには元々こういう励まし合い、助け合う精神があったそうですが、何かこれまでの「戦い」という概念が強かったオリンピックに、「高め合い」という清々しい風が吹いたような気がしました。

 私たち仕事の世界では、「競争」「戦略」「倒す」「生産性」など戦争で使われるような言葉が当たり前に使われていますが、そのような殺伐とした空気の中で、本来は助け合って幸せになろうと目指していた人間が、逆に苦しみや憎しみが増え、求めていた「幸せ」からどんどん遠ざかっているような感じがしています。
 もちろん「スケートボード」とビジネスは全く違うものですが、彼らが示してくれた「高め合う」という世界観は私たちももっと学んでいくべきことではないでしょうか。

   スケートボードの原点にあるのは「楽しむ心」だと思います。金メダルを獲った19歳の四十住(よそずみ)さくらさんも、銀メダルの12歳の開心那(ひらき・ここな)さんも心からスケボーを楽しんでいます。彼女たちには、専門のコーチがいないということにも驚きました。YouTubeやインスタに乗っている技を研究したり、仲間に技を教えてもらったり、自分で学び、成長していったとか。しかし、オリンピックに出るには厳しい練習なくして、技は身につきません。彼女たちは、自分自身で何度も何度も練習をして難しい技を身に付けていったそうです。
どうして厳しい練習に耐えられたのか?その原動力が「楽しい」という心だったと思います。傍目には厳しい練習をストイックにこなすように見えても、本人たちの心は「楽しいからやっている」だけ。傍にいる人は、彼女たちが夢中になっている時は近寄りがたかったと言います。

 「やりたくないことでも我慢して頑張る」ということも大事なことかもしれません。しかし、こうした頑張りはあまり持続しません。メンタルもおかしくなります。しかし、「楽しい」時は勝手に頑張りますし、何時間だってやってしまいます。こうした心理を「フロー状態」というそうですが、仕事もフローでやれれば最高ですね。

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2021 年 08 月 03 日 16:43

選手の心を高めるリーダーに学ぶ

 オリンピックで日本のメダルラッシュが続いています。コロナで暗いニュースが続いていた中で、オリンピックから勇気をもらっている人は少なくないはず。私もその一人です。
 アスリートは、大会に向けて身体や心を整えていくものですが、今回の大会は、1年延期になり、さぞ、その切り替えや調整が大変だったと聞きます。選手自身もそうですが、選手を支えるコーチや監督、トレーナー、食事を作る人なども、きっといつも以上に難しいことがあったのではないでしょうか。選手と監督、コーチが涙を流して抱き合う姿をみると、その試練の過去が浮かび上がってくるようです。

 いろんな競技が活躍する中で、いちばん金メダルが多いのが柔道。今回、「全階級メダル」を目標にその選手を支えてきたのは井上康生監督を始めとするコーチ陣ですが、先週、向選手が敗退してしまった時に「しっかり課題を埋めてあげられなかったのは私たちの責任だ」と反省の弁を述べられていました。これまで井上監督は選手の合宿地を足蹴く周り、声をかけたり、励ましたり、科学的なトレーニングを導入したり、「全選手にメダルを獲らせてあげたい」と誰よりも愛情を注いでこられたと聞いています。だからこそ、こうしたリーダーの言葉は選手たちにも、よし、自分がもっと頑張らねばと思うようになるのでしょう。
柔道は個人競技ですが、私はチームのスポーツのように感じながら見ていました。

 リーダーの役割はしっかりとビジョンを示し、戦略を立て、チームメンバーと共にその目標に向かっていくことですが、いくら戦略やビジョンの立案がしっかりしても、いかに科学的なトレーニングを実施したとしても、最後はメンバーがリーダーを信じてついていこうとしているか。メンバーとリーダーの間に「信頼」があってこそ、本当に強いチームになるのではないでしょうか。このオリンピックでも優勝するチームの勝利後の様子を見ていると、リーダーとメンバーの間に強い「信頼」を感じます。
 どんな時も選手を愛し、選手を信じ、励まし続け、どんな時も指を自分に向ける井上康生監督のリーダーとしてのあり方・姿勢。困難な時代に求められる理想のリーダーの姿のような気がしました。

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2021 年 07 月 27 日 16:09

アスリートから学ぶ感謝の力

 いろんな問題を抱える中で、開催が1年延期され、東京オリンピックがいよいよスタートしました。無観客の舞台はやはり寂しい気がしましたが、それでも自分の持てる力を全力で出しきり、目の前の勝負に挑むアスリートたちを見ていると、どんな舞台であろうと彼らには関係がないのもしれないと思い、たくさんの感動をもらっています。

 今日までに、柔道、競泳、スケートボードと日本人のメダルが続いていますが、私は試合後の選手たちのインタビューを聞いていて、皆さんが口々に「感謝の言葉」を述べられることに感動しました。確かに今年のオリンピックは開催自体が危ぶまれていたので、より、この舞台に立てたことに感謝の気持ちが湧いてくるのだと思います。しかし、それ以上に、今、ここにいるのは、自分を支えてくれた人たちのお陰だと心から感謝していることが伝わってきます。きっと普段から、感謝の気持ちを持ち続けていたからこそ、こういう場で、自分の嬉しさより、感謝が先に言葉になるのではないでしょうか。

 松下幸之助さんも感謝の心を大事にされた経営者です。
「感謝の心があってはじめて、物を大切にする気持ちや人に対する謙虚さ、生きる喜びも生まれてくる。感謝という古びた思想と捉えがちだが、どの時代にもよらず普遍的に大事なこと」という言葉を残されています。
 感謝の反対語は「あたりまえ」と言いますが、今、自分のまわりにあるものは「あたりまえ」、「してもらって当然」だと思っている人は、感謝の気持ちがない人です。そんな「あたりまえ」の有難さに気づけると、もっと頑張ろう、もっと人の意見を聞こう、もっとちゃんと生きていこうと前向きになれるのだと思います。
 メダルをとるレベルのアスリートたちは、きっと、この「感謝する力」があったから、苦しい練習を乗り越えることもできたでのしょう。「自分のためにメダルと獲る」だけではなく、「支えてくれた多くの為にメダルと獲る」という新たな「目標を達成する目的」が加わったからこそ、達成への意志も強固になっていったのだと思います。

 ビジネスも、同じかもしれません。感謝を忘れた人は、どこかで孤立的になるのではないでしょうか。感謝の気持ちを持っている人は、周りから愛されますし、応援もされるので、どんなことも乗り越えられるはず。それ以上に、自分が幸せだと感じているので、仕事も楽しいに違いありません。楽しそうな人のまわりに人も集まってきます。成功するには、技術も知識も大切ですが、やはり、それだけでなく、「感謝の心」など、人としての基本的なスキルがベースとして大事な時代なのだと思います。

カテゴリー : メルマガコラム 思うこと

2021 年 07 月 21 日 13:47

「たいへん満足」が生まれる組織の根幹

 先日、DVD教材「レクサス星が丘」を社内で活用していただくために、活用法をご紹介するセミナーを開催しました。その時に、「たいへん満足をどう生み出すか」「生涯のお客様づくり」というテーマについて話し合ったのですが、これはなかなか正解が出ない永遠のテーマですね。しかし、人口減少の中でのお客様獲得競争に勝ち残るためには「この店が好き」「この企業が大好き」という熱狂的なファンを生み出していくこと。どんな時代にも元気な企業は、「たいへん満足」というロイヤルカスタマーをたくさん増やしてきた企業です。

 満足度調査では、どこに不満があるかはわかります。そこを改善すれば、満足に近づきます。しかし、「満足」「たいへん満足」の差はなかなかわかりません。「たいへん満足」を高めようと、例えば「お名前で呼ぶ」「お客様の好みを理解する」・・・Aさんにはこうする、Bさんにはこうすると細かくすればするほど気を使う項目が増え、「やらなければならない」という義務感やしんどさが生まれてきそうです。いくら「たいへん満足」が重要だといえ、無理に展開し、スタッフの義務感やしんどさが伝わってきては逆効果になりそうです。

 自分が「たいへん満足」だと評価する時を考えてみました。確かに私は、店頭でスタッフの行動を見て評価しているのですが、実際は、その行動の奥にある「私を気遣ってくれる気持ち」に感動していると思います。
 例えば、そのスタッフが自分のことを「名前」で呼んでくれ、「先日は○○でお世話になりました」と言ってくれた時。確かに「覚えてくれていたんだ」とその行為そのものに嬉しさを感じます。それと同時に、「たくさんいるお客様のことをちゃんと覚えようとしてるんだ」というそのスタッフの仕事の姿勢もいいなと思ってしまいます。もし、他のスタッフもそんな対応をしているとわかれば、「そういう行動を大事にしなさい」とスタッフをバックアップしている企業の姿勢にも素晴らしさを感じ、きっと「たいへん満足」という評価をしてしまいそうです。

 つまり、言いたいのは、「たいへん満足」を生み出すために大事なのは「行動」そのものではなく、その奥にある「姿勢」の方にあるのではないかということです。やはり、どこまでいっても、最後は組織の中での「理念」の共有、浸透ということになるのではないでしょうか。

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2021 年 07 月 15 日 09:37

リスクを避けることが最善か?

 子どもの頃、私が住んでいたところの近くに「琵琶湖疏水」がありました。琵琶湖疏水は明治の頃、豊かな琵琶湖の水を京都に運ぶために人工的に作られた約20キロの水路で、日本遺産にも登録されています。春は周囲に植えられた桜を目当てに観光客がやってくる人気スポットになっています。

 その疏水の近くで生まれた私は、よくこの付近で遊んでいたのですが、親や学校からは、子供たちだけで遠くへ行ってはいけないと、遊ぶ場所の範囲が決められていました。しかし、当時はテレビゲームもない時代。小学生の低学年の私は、「禁止されているその先」が見たくてしかたがありません。そこである日、数人の友達と自転車でこの疏水をどこまでいけるか行ってみようと、決まりを破って出かけていきました。

 自転車を漕ぐ度に見たことがない風景が広がり、何かを開拓しているような気持ちになり、楽しく自転車をこいでいました。しかし家から遠くなればなるほど不安になり、親や先生の言葉が気になりだし、途中で引き返してしまいました。トムソーヤのような冒険はありませんでした。それでも、枠を破って進んだことや自分たちしか知らない世界を見てきたことを、友達に自慢していた記憶があります。

 今思えば、バカみたいな小さな冒険でしたが、子どもの私に大きな一歩だったのでしょう。あの時の不安と楽しさが入り混じった感覚は今でも覚えています。こうした冒険は、子どもから青年期はたくさんしてきましたが、大人になると、やはり「リスク」を気にするようになり、確実に成果が見えることやルールに逸脱しない、リスクの少ない方ばかりを選択してくるようになり、「大人は冒険しない」という変なルールに落ち着くようになります。

 話は変わりますが、最近、SNSの投稿で、「リスクを避けることが最善なのか?」という問いが投げかけられていて、リスクについて考えることがありました。確かに、「リスク」は避けるべきことかもしれませんが、それを忌み嫌って避けることばかりに目が向くと、新しい挑戦はしなくなり、それ以上の発展は望めなくなってしまいます。その人は、「リスクを避ける慎重さが、かえって問題解決を先延ばしにし、大きなリスクを作っているのでは?」と言われていましたが、もしかするとそうなのかもしれません。リスクは本当に避けることが最善なのでしょうか。

 リスクを回避するという思考は、確かに成功に近づく方法なのかもしれませんが、「面白いか」「面白くないか」と問われると面白くないはず。未知のものに挑戦することは、リスクと共に面白さもあるのではないでしょうか。こんな時代だからこそ、冒険心をもって進んでいきたいですね。

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2021 年 07 月 06 日 13:54

大谷選手の修正力

 メジャーリーグでホームラントップ、二刀流で大活躍をしている大谷翔平選手。以前から応援していたので、彼の活躍が報じられる度に嬉しくなります。
 もう、多くの方がご存じだと思いますが、彼が高校時代に監督からの指導で作っていたのが、「マンダラチャート」という目標達成シートです。このベースは、以前、弊社の「未来×幸せ経営フォーラム」にお越しいただいた原田教育研究所の原田隆史さんが考えた「目標達成理論」です。9×9マスのシートの真ん中に「達成したい目標」を記入。そして、この目標を達成するために必要な「要素」を8つ書きます。さらに、そのひとつひとつの要素に対して、「何をすれば達成するか」という視点で8つの「行動目標」をつくります。要するに、夢を具体的な行動目標に置き換え、ひとつひとつを実行し、高めていくためのツールです。

 大谷翔平選手が高校時代に書いた目標は、「8球団からドラフト1位で指名される選手になる」。その要素は「体づくり、人間性、メンタル、コントロール、キレ、スピード160キロ、変化球、運」の8つ。そして行動目標は、例えば「コントロール」の要素では、「①インステップ改善、➁体幹強化、③軸をぶらさない、④不安をなくす、⑤メンタルコントロールをする、⑥体を開かない、⑦下肢の強化、➇リリースポイントの安定」というように細かく目標を立てています。たったひとつの要素でも、8つの視点から自分の改善を図っていこうとしている訳ですが、高校時代から、彼がいかに冷静に、科学的に自分を見ていることに驚きます。きっと素晴らしい指導者がまわりにいたのでしょう。

 目標は細分化し、ひとつひとつを具体化する。これは、きっとビジネスでも同じだと思います。ただ目標を立てがむしゃらに頑張る、という精神論でなく、どうすれば、それが実現できるか、細かく行動目標に落とす。こんなに細かく目標を設定すると集中できないという見方もあるかもしれませんが、細かく設定すればするほど行動を起こしやすくなりますし、例えスランプに陥っても、どこが悪いかがわかりやすくなるのではないでしょうか。ポイントがわかれば改善もしやすくなるはず。

 大谷選手の素晴らしさは、ただ闇雲に頑張るというのではなく、うまくいったこと、うまくいかなかったことを手掛かりに、「どうすれば、もっと上手くなるか」と、自分を修正していく力だという人がいましたが、彼の今のメジャーリーグでの活躍ぶりを見ていると、まさに、自分を修正する軸づくりを高校時代からやっていたことが今に生きているように感じます。

 私が大谷翔平選手を好きなのは、自分で目標を定め、自分で軌道修正し、その軌道修正までも楽しみに変え、自分らしい人生を歩んでいるところです。自分が決めた人生を歩んでいる訳ですから、メジャーリーグという環境への愚痴、上司への不満を口にすることもないはず。自分の人生をいきいきと生きていく彼の活躍をこれからも見守っていきたいと思います。

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2021 年 07 月 01 日 13:43

コロナ禍で変わる働き方・会社のあり方

 コロナが始まって1年半以上が経ちます。ワクチン接種も始まり、ここ数か月で状況は打開されると思っていますが、東京ではまた感染者が増加していますし、新しいタイプの変異ウィルスも広がっています。まだまだ見通しが立たない状況です。
 世界的なパンデミックという誰も経験したことがない状況に必死で対応してきた1年半ですが、この体験を通して多くの人が、改めて自分の働き方や生き方、あるいは人生について考えることがあったのではないでしょうか。
 私の知り合いに「家で仕事をするようになり、改めて家族の大切さ」に気づいたという人がいました。またある人は、「通勤をしていた頃は、我慢してでも会社に行くのが当たりまえだと思っていたが、そんな我慢をするより、自分のやりたいことをしたい」と思うようになったと言っていました。人と会えない体験を通して、改めて人と会うことの意味を見つけた人もいます。実際に増えてきているそうですが、空気のよい田舎で暮らすことにシフトする人も出てきています。統計を取った訳ではありませんが、自分らしい生き方、自分がやりたい仕事とは何か?と考え始めた人はかなりいらっしゃるのではないかと思います。

 こうした意識の変化は、すぐに行動に映らないかもしれませんが、しばらくたつと、起業する人、フリーランスになる人、地方移住、海外移住、副業、サイドビジネスなど、従来の「会社に勤める」ということと違う生き方が増えてくると予測する記事もありましたが、きっとこうしたことは増えていくのだろうと思います。

 ただ、一方で、「人と人がつながること」「人と人の絆」の大切さにも気づいた人も多かったはず。会社の中での結びつきをもっと強くしていこうと思う会社もあるのではないでしょうか。リモートワークでただただ個人が与えられた仕事をするだけでは、やはり本当のモチベーションは、生まれてこないようにも感じます。

 これからの働き方、会社のあり方はどうなるのでしょうか。答えはひとつではなく、きっと多方向に進化していくのだと思いますが、私がイメージするのは「個人が自由に、自分らしく働けると同時に、強い目的意識や強い絆で結ばれた仲間がいる会社」です。つまり、個人がもっと輝く、しかし、会社の目的や行き先にはみんなが共感し、その実現のためにそれぞれの得意を発揮し、全員で助け合っていく組織です。
 皆さんは、どんな働き方を目指しますか?どんな会社で働きたいですか?

(株式会社ブロックス 代表 西川敬一)

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2021 年 06 月 23 日 15:59

なぜ目的意識が大事なのか?

 新人の指導教育の時、昔から、「目的意識をもって仕事をしなさい」と言われていますが、なぜそれが良いのでしょうか。改めて考えてみました。

 目的意識とは、その行為をしている意味を理解しているということ。なぜそれをやるのか、何のためにその行為を行うのかを自覚しているということです。例えば、「一輪車に土を載せ、10m先まで運ぶ」という行為を考えてみても、そのことでどんな効果があるのか、どんな意味があるのかということを理解している。つまり目的意識があれば、その行為を一生懸命やるはずです。さらに、その目的に自分も共感していれば、いかに効率よくやるか、いかに丁寧にやるかまで考えながら、その仕事をするでしょう。
 逆に、その行為に意味を理解せず、ただ「一輪車に土を載せ、10m先まで運ぶ」ということだけに目が向いていると、意欲は低下、途中でさぼってしまうなども起こりそうです。要するに手を抜くようになる。

 私たちの日常においても、なんだか仕事にやる気がわかないという時は、たいてい、それをやる意味・目的がわからないという時です。やる意味がわからないけど「上の命令なんだから、しょうがないか」と自分を納得させしぶしぶ仕事をする。とにかくこなそう、とにかく終わらそうという気持ちになっていきます。目的意識がわからないという人は、きっと、こうした仕事の仕方に慣れてしまっているのではないでしょうか。しかし、どう考えても、これはストレスが大きそう。精神的なダメージが蓄積してしまうのではないでしょうか。仕事は、やはり、目的意識をもってやった方が良いに違いありません。

 では、どうすれば、目的意識を持つことができるのでしょうか。
 ある高校で、生徒たちに「どうすれば、世の中が良くなると思うか?」「今、学校で習っているものの中でその為に役立ちそうなことはあるか?」と質問し、この2つの質問に答えた生徒は、他の生徒より、試験勉強が二倍に増えたという話があります。「目的意識を持て」と教えるより、この問いで目的意識が引き出せたとすれば、良い指導法だと思いました。
 いちばん大事なのは、「この仕事の目的は何か?」と常に自分に「問い」を投げかけ、自分で考える習慣ではないでしょうか。「この仕事の目的はこうだ」と教えてもらえば確かに理解できますが、やはり自分自身で「なぜこの仕事をやるのか?」「何のためにやるのか?」と考えていくからこそ「自分が本当にやりたいこと、目指すゴール」も見えてきます。いい仕事をしていくためにも、いい人生を送っていくためにも目的意識は大事なことだと思います。

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2021 年 06 月 15 日 13:23

「遊び」は子どもの成長の原動力

 皆さんは子どもの頃、どんな遊びをしていたでしょうか?
 昭和の時代は、コンピューターゲームなどはありませんでしたから、私は外で遊んでばかりいました。トンボ、カエル、バッタなどの昆虫を捕まえることや鬼ごっこやかくれんぼなどの定番の遊び、虫眼鏡など道具を使った遊び、岩登りや木登りもやりました。もう少し大きくなると手づくりのパチンコやライフルなど、少し危険なものをつくって遊んでいました。

 発達心理学によると子どもにとって「遊び」は、食事や睡眠などと並列に並ぶくらい、心身の成長に欠かせないものだそうです。遊びの中で怪我をしたり、傷ついて、次に失敗をしないために一生懸命考え、行動し、解決策を見出す。このプロセスこそが、幼児の脳を育てるのに、何よりも重要なことだそうです。

 大人から見ると、ただ遊んでいるだけに見えるかもしれませんが、子どもは遊びの中から、生きていくうえで大切なことを獲得しています。遊びは、脳や体を発達させるだけでなく、創造性や柔軟性が育つこと、自発性が身につくなどの効果もあるそうです。
独創性、創造性、柔軟性などは、大人になって得ようと思っても得られないもの。幼児の頃から様々な遊びをして、様々なものに触れ、様々な考え方をすることで、大人になってこれらの力を発揮することができるのだそうです。あまり大人が介入して、ルールで厳しくしばりつけると、独創性や柔軟性は育ちにくくなるそうです。そっと見守るのがいいのでしょうね。

 私も、幼児の頃のことは忘れましたが、小学生、中学生の頃に自由に遊んだ時の思考法が今の礎になっているように思います。例えば、物が少ない時代だったので、ひとつのものをいろんな角度で遊ぶという体験は、「答えはひとつじゃない」という発想のベースになっている気がします。そう思うと、子どもの頃に自由に遊ばせてくれたことはありがたかったです。

 今は、子どもが自由に遊べる環境が少なくなってきましたが、全国に遊びを体験できる場も増えていますので、子どもたちにはどんどん遊ばせてあげてほしいですね。朝から晩まで、また小学生や中学、あるいは高校生になってもいろんな遊びを体験してきた子供たちが増えていくと日本の未来が明るくなりそうです。

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2021 年 06 月 08 日 10:26

すべては「相手から見てどうか?」

 「自分はこんなに一生懸命にやっているのに、なぜ、うまくいかないのか?」
 部下と上司の間でも、会社とお客様の中でも、いろんなところで、ギャップが生まれています。「伝えているのに伝わっていない」「一生懸命にやっているのに、お客様満足度が上がらない」。こんなギャップはなぜ起こるのでしょうか。

 ブロックスが主催する大久保寛司さんの「組織と人の向上セミナー」の中では、一日かけて「上司のあり方」を学んでいきます。その中で、「相手の側からみる」ことの大切さを学ぶ場面があります。
 例えば面談を通して、上司は「部下の話を十分に聞いた」と感じていたとします。しかし、実際は話の半分は上司が話をし、部下は「言いたいことが言えなかった」と思っている。今日は部下の話を聞くと決めたなら、部下が「言いたいことがすべて言えた」と感じることがゴールであり、自分が勝手に「話を聞けた」と判断しない。つまり、常に「相手側からみてどうか?」という視点で見なければ、良い結果は生まれないということです。

 お客様満足(CS)でも、よく間違いが起こります。「私たちは、お客様に満足を提供します」というのは間違った言い方です。満足したかどうかはお客様が判断するものであり、相手であるお客様が「満足した」と言ってくださって初めて、満足を提供したことになります。サービスを提供したことでお客様は本当に喜んでくださったのか?そこに気を配り、改善していくことで、満足度が高まっていくはずです。

 「伝える」と「伝わる」も同じようなことかもしれません。こちらが「伝えた」と思っていても、相手が「わかった」とならねば、伝わったことになりません。「伝える」は一方通行、「伝わる」は、こちらも「伝えた」と認識していて相手も「伝えてもらった」と認識している双方向の様態で、一字違いですが、大きな違いです。

 こちらは、「やった(つもり)」、「した(つもり)」と思っていても、相手が受け止めて理解し、行動に移さないのなら、ただの自己満足。「ビジネスは結果が大事。いくら一生懸命に相手に伝えたと言っても、相手に伝わっていないのなら、仕事をしたことにならないよ」と、少し厳しく大久保さんは言われます。

 こういう話を聞くと、「こっちはしっかり伝えたのだから、聞かない相手が悪い!」と言う声も聞こえてきそうです。しかし、こういうと相手も「ちゃんと伝えてくれないあなたが悪い」というでしょう。
 人が悪いと言っている間は何も変わりません。「どうすれば、相手は聞いてくれるのか?」「どうすれば、言い切ったと思ってくれるのか?」と、自分に指を向けること。やはり「相手を変えるには、自分が変わること」しかないのかもしれません。

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2021 年 06 月 01 日 13:26

「させられる仕事」を「する仕事」へ

 「~させられている」という、いわゆる「やらされ感」。「~しなければならない」という、「義務感」。
 誰しも人間ですから、こんな気持ちになることは確かにあります。ただ、こんな気持ちで仕事をしていても、「いい仕事」はできませんし、ずっと続くとうつ病になったり、体調が悪くなることもあるかもしれません。
 どうすれば、こんな気持ちから脱却できるのでしょうか。

 やらされ感の要因は、いろいろとありそうです。そもそも、体調が芳しくないということもあるかもしれませんし、自分がしたいことが他にあるのかもしれません。ですから、こうすれば解消できるという万能薬はないのだと思いますが、自分を振り返ってみると、そうした気持ちになる時のひとつは、その仕事をすることに自分が納得できていない、意義を感じていない時が多いように思います。上司に「やれ」と命じられたが、なぜするのか「目的」がはっきりしない。目的は納得できるが「やり方」に納得できない。求められている「期限」に無理を感じる。

 そうならないようにするには上司に聞けばいいいのでしょうが、「聞けない」という人もいるかもしれません。しかし、そのままではまた「やらされ感」になる。どうしたらいいのでしょうか。

 昔、私が若い頃にやったことは、「自分で意義を見つけ出す」という手段でした。どんな仕事もやってみないと結果がわからないもの。やってみるといいことも生まれてくるのが仕事です。やってみたおかげで経験が広がったり、自分の能力が高まったり、新しい出会いが生まれたりと、仕事は辛いことばかりではありません。私はどうしても納得できない仕事、無茶だと思う仕事は、自分の幅を広げるための訓練だと思うようにして取り組みました。そうして自分の目的を立てて進めると「自分がする仕事」になり、積極的にできるようになったり、ミスが減り、効率もあがります。納期も早まります。「やらされ感」でやっている時より、きっと「いい仕事」ができているはずです。

「雨は嫌だ」と思っても雨は降っています。嫌だ嫌だと暗い気持ちで一日を過ごすより、「雨のおかげで・・・」とプラスに考えたほうが気分はいい。「ものは考えよう」と言いますが、良い方に考える習慣は、今までの仕事に大きな影響を与えてくれました。
 今日も「させられる仕事」をするか、今日は「している仕事」にするか?自分で決めるしかありません。

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2021 年 05 月 26 日 15:59

若手の向上心を育てる「憧れの存在」

 先日、弊社で開催中の「若手社員の主体性を高める研修の作り方セミナー」で、「向上心」をテーマにした研修プログラムを実施し、皆さんで「向上心」について語り合いました。

 最近の若者は向上心が足りない・・・と言われていますが、皆さんはどう感じておられるでしょうか?
 確かに昭和の頃は、「もっと稼ぎたい」「昇進したい」という人が多くいたように思います。ライバルも多かったので、「あいつより上に行きたい」と一生懸命努力を続けてきた人もいます。そうした時代から比べると何か物足りなさを感じる人もいるかもしれません。

 ただ、本当に若者の向上心は少なくなっているのでしょうか。時々、テレビ番組などで学校の部活動の取り組みなどが紹介されますが、少しでも良い成績を収めようと先輩後輩が一丸となって必死に努力する姿を見ていると、向上心が足りないのは、若者でなくむしろ大人の方ではないかと思うこともあります。

 向上心を支えるものは「こうなりたい」という夢やビジョンです。部活の中の学生たちは、みんな「〇〇先輩のようになりたい」と、憧れの先輩を目標に自分を高めようとしています。そうした先輩は、自分の利益など考えませんから、部のため、後輩のために必死に動いてくれる先輩の姿が「憧れ」になり、後輩のロールモデルになっているのでしょう。

 しかし、社会人になってから見る先輩は、ただ業績だけを追いかけ、後輩の面倒をみる余裕のない先輩の姿ばかり。いろんな会社で伺いますが、最近の若手は、「憧れの先輩」「憧れの上司」がいないという時代なのだそうです。向上心の足りなさを若者のせいにしてしまいがちですが、もしかすると、私たち先輩や上司の側に問題があるのかもしれません。

 以前、伊那食品工業さんの訪問学習会の時に、若い社員の人たちが、口々に「先輩のようになりたい」と憧れの人の素晴らしさを語られることに驚いたことがあります。社員全体がいきいき働いている会社には、まだ「憧れの存在」が機能しているようです。

 リッツカールトンの方から聞いたのですが、同社では「上司や先輩は、後輩をがっかりさせてはいけない」という指針があるそうです。私たちは、学生時代に成長することの感動を味わった新人たちをがっかりさせていないか。  今一度、自分自身を見直していこうと思います。

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2021 年 05 月 18 日 16:23

「満足」と「たいへん満足」の差

 この間、ネットに掲載されている車の購入に関するCS調査結果を見ていました。

 次回購入意向に関する項目で、「もう一度、この店で新車を購入するか」という質問に対して、今の対応に「たいへん満足」と答えた方の67.9%の方が「とてもそう思う」と返答。「満足」と答えている方の中で「とてもそう思う」という方は、17.5%。なんと、「たいへん満足」のグループと「満足」のグループには、およそ3.9倍も開きがありました。「満足」のグループでも、「とてもそう思う」の次の「そう思う」が45.9%ですので、満足はされている。なので何割かは今の店で車を購入されると思いますが、やはり、お客様が「たいへん満足」くらいにまでいかないと、お客様のリピートにはつながらない時代なんだと、改めてこの業界の厳しさを実感しました。

 「満足」と「たいへん満足」の差はどこにあるのでしょうか。食事の例で考えてみた時に、メニューを見て、1000円の食事をする。味も美味しく、サービスも問題なし。これは「満足」だと思います。美味しくなければ、不満足でしょうし、お店が汚い、挨拶がぶっきらぼうでは不満になりますが、「期待通り」だったら「満足」と思うのではないでしょうか。1000円のランチだったら、こんな感じだろうという期待通りの結果だったわけです。しかし、その期待を超えてここで思いかげず個別対応をしてくれたとか、思った以上に親切にしてくれたとか、期待を超えるものがあった時には「たいへん満足」と答えるかもしれません。

 「満足」「たいへん満足」の判断のポイントは、年々変わっていくはず。例えば以前は「道端までのお見送り」というサービスは、ある一部の店しかやっていませんでしたが、今やほとんどのお店がしています。だから、そのサービスを受けたとしても、もはや期待の中にあるもので驚きません。年々どの店のサービス水準が高くなっていますので、「たいへん満足」という結果を生み出すのが、大変な時代だと思います。

 ただ、そんな中で「たいへん満足」を生み出している店もあります。例えば、ネッツトヨタ南国(DOIT!)さんでは、指示命令やマニュアルで動くのではなく、すべての社員が「今、この場でお客様のために何をすればいいか」を感じ、自ら考え、自ら行動することで感動を生み出しておられます。また、先日発売した「レクサス星が丘(志GOTO人)」では、車業界ではなく、「すべてのサービス業の中で一番になる」という目標を掲げ、問題点を日々改善したり、感動のサービスにトライし続けておられます。

 ただ「たいへん満足」をめざすというと、今以上にいろんなサービスを足していかないといけないとか、お客様を驚かせるようなことをしなければいけないと思いがちですが、先ほどのアンケート調査で、お客様がお店に求めていることは「購入後も変わらない気配り」「スタッフへの相談のしやすさ」「商品知識や専門知識」「整備内容の説明」など、ごくごくあたりまえのことばかり。人としてのちょっとした気配り、ちょっとした心配りの積み重ねて生まれてくるのではないのでしょうか。「人の心の差」です。
 「たいへん満足」を生み出すのは「小手先のメニューづくり」などではなく、今や組織や人財育成が問われているのだと思います。

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2021 年 05 月 12 日 16:11

予期しない感動サービス

 先日、ある用事でタクシーを利用した時のことです。

 運転手さんは、60過ぎの男性です。私が行き先を告げると、「のど飴、いかがですか?」と袋からイチゴ味の飴をひとつ渡してくれました。ご自身が気分転換に買ってこられたものだと思います。会議が続いて脳が疲れていたので、甘いものが欲しかったところだったので「ありがとうございます。」と受け取りました。

 「こんなご時世ですから、飴でもなめてゆっくりしてください」と運転手さん。
そこから会話が弾み、コロナのこと、景気のこと、若い人の生き方、昔読んだ漫画のことなど、いろいろ話をしました。そして、料金を支払い、降りるときに「電車の中で召し上がって」ともう2粒渡してくれました。
 お伺いすると、元々は飲食店関係のお仕事をされていたそうです。人が喜ぶのをみるのが好きなんだろうなと、その雰囲気でお気持ちが伝わってきました。
 この飴と飴をくれた運転手さんの気持ちが嬉しくて、心に残りました。

 仕事柄、いろんな顧客サービスを気にしてみていますが、やはりこうした「無私の心」「利他の心」から生まれる「さりげないサービス」が心に残ります。乗車時にテッシュを渡してくれるタクシー会社もありますが、あれは会社のルールですから、そんなに感動しません。また美容室などでも「ご自由にどうぞ」というメッセージと共に飴を置いているところもあります。
 今回のケースは、運転手さんが自分で食べようと思って買ってきたものを渡したもので、いわゆる「仕組みになったサービス」ではありません。予期しなかったサービスだったら、余計に心に残ったのかもしれません。
 しかし、何よりも嬉しいのは、運転手さんの気持ち。「こんな状況で、きっと、みんな疲れているんだろうな」と思われていたのでしょう。会話も弾むし、少しでも喜んでくれたらという思いから生まれたもので、リピーターを増やそうとか、CSポイントを高めようなどの邪心は一切ない、純粋な「思いやり」だったらから、人の心に伝わったのだと思います。

 今、世の中に多くある、様々なサービスは、「10%割引サービスです!」、「朝食無料サービスします!」、「〇〇の特典付きです!」と、いかに得であるかを訴求してきますが、私はそのサービスを利用して、感動したことはありません。原価をかけて、広告費をかけてされているのに申し訳ないですが、心に残ることはありませんでした。
 今回は、たった数粒の飴。原価にしてみれば、10円もかかっていないものですが、その提供の仕方と提供者の思いで、私には小さな感動が生まれ、思い出に残りました。
 「集客」のために、インターネット広告でますます「特典サービス」はエスカレートしていくと思いますが、その路線ではない「心に残るサービス」は、「定着」(感動→ファン化)につながるはず。小さな思いやり、些細な気配りなどが、益々大事になるように思います。

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2021 年 05 月 07 日 16:09

“難しい”という言葉を使う人、使わない人

 何かをやろうとするときに、よく「難しい」という言葉を使う人がいます。
「どうすればいいだろうか?」→「難しいですね」。
「他の方法はないだろうか?」→「難しいですね」。
 その人は、そんなに深く考えていないのかもしれませんが、その言葉を発したとたん、もう考えるのを諦めてしまいようになりますし、前向きに話をする空気が削がれてしまいます。
 「難しい」という言葉は、自分を思考停止に向かわせる呪文かもしれません。
確かに「難しい」ことは難しい。しかし、だから何とかしようとしている訳で、みんなで話し合っている時には、この言葉を封印してみるのが良いのではないかと思っています。

 例えば、出口が見つからず、新しいプロジェクトが停滞しているとした時に、みんなで「どうしようか?」と話し合っているとします。「難しい」という言葉を封印してしまえば、まず、どこに課題があるのか見つるところから考えてみようとするかもしれません。次に、なぜそうなるのかを考えてみる。そして、ひとつひとつに新しいアイディアを出してみる。「難しいこと」も具体化していけば、どこかに突破口は見つかるはずです。

 こうやって考えている時には、過去の体験を総動員する、知識を総動員する、創造性を発揮してイマジネーションを働かせているはずです。私はこのプロセスこそ、仕事の楽しさではないかと思うのです。
 「難しい」という言葉を聞くと、「よし、やってやろうじゃないか」とふつふつと闘志がわいてくる人がいますが、その人はきっと、この瞬間が楽しいことを体験的に知っているのだと思います。

 「難しいこと」に出会うのは、その人が挑戦している証拠。ここを乗りきって、一度、この楽しさを実感できれば、その後に起こる「難しいこと」の意味や捉え方がきっと変わってくるのではないでしょうか。

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2021 年 04 月 28 日 16:08

“真実の瞬間”を見直そう

 顧客満足(CS)を考える時の大切なキーワードとして、昔からあるのが「真実の瞬間(MOT)」という言葉です。これは、1980年代にSAS(スカンジナビア航空)が経営再建に取り組んだ時に、その復活の鍵となったのがこの「真実の瞬間」という考え方でした。

 当時、スカンジナビア航空の最高責任者に就任したヤン・カールソン氏は「顧客がサービスに満足する瞬間はどこか」について考えました。調べてみると、年間1000万人の登場者に対して、従業員5人が1人のお客様に対して接する時間は平均すると15秒。この15秒のどこかで、お客様は「満足」を感じたり「不満」を感じたりします。そして、その瞬間の感情で「また利用しよう」「しない」という判断をするのです。この結果からヤン・カールソン氏は、それぞれのポイントで従業員のサービスの改善や意識改革を行い顧客満足を高め、経営回復に成功したのです。  「お客様は、その企業に接する短い瞬間で、その企業のサービスの良し悪しを決めてしまう」ということですが、確かに、いくら料理が美味しくても、運んでくれる人が無愛想だったり、いいサービスをしてくれなければ、そこで「不満」になり、全体の満足が下がります。こんな体験は皆さんもあるのではないでしょうか。  「人によるサービス」以外にも、トイレが汚れていたり、最近であれば、消毒液が用意されていなかったり、スタッフがマスクをしていなかっただけで「不満」になります。もし「最近、お客様が少なった」と感じておられたとしたら、それはコロナや景気の影響かもしれませんが、店が気づかないだけで、小さな不満から生まれているものかもしれません。  では、どのようにすれば、顧客サービスの改善ができるのでしょうか。例えば飲食店では、お客様がネットでお店を探す→入店する→挨拶をする→席に案内する→メニューを見て料理をオーダーするというように、入店から退店までの「お客様が接する場面」を洗い出します(サイクル化)。そして、そのひとつひとつの接点で、お客様が当たり前と思っているサービスを書き出し、さらに「あったらより嬉しいと思うサービス」を書いてみる。その中で見直しや改善を生み出していくのです。特に、コロナ禍でお客様の衛生意識が高まってきた今、それぞれの接点でのお客様の期待・ご要望は大きく変化していると思います。今こそ、サービスの改善に取り組んでいくときかもしれません。  この「真実の瞬間」(MOT)を見直したい時に、便利なアプリケーションがあります。これは「顧客ロイヤルティ協会」さんが開発されたもので、「デジタルMOT」というものです。研修や会議の時に、ここにみんなの意見を入れていくだけで、お客様視点での自社サービスの改善ができます。使い方の体験会もあるそうです。http://www.customer-loyalty.jp/  また、弊社の新発売DVD「レクサス星が丘」の映像でも、お客様の声に添ってサービスの見直しをしていくCS向上の活動が紹介されています。こちらも参考になります。 https://www.doit-fun.jp/shopping/products/detail.php?product_id=215

カテゴリー : メルマガコラム

2021 年 04 月 20 日 16:22

困難をどう受け止めるか

 大阪では1日の感染者が1200人を超えるなど、コロナの第4波が拡大しています。再び緊急事態宣言が発令されるのか。コロナ禍はまだまだ続きそうです。
 先日、弊社のオンラインセミナー「未来×幸せ経営フォーラム」(第2回)のゲストにお迎えした、徳武産業の十河会長と、王宮 道頓堀ホテルの橋本専務に、このコロナ禍でどのような対応をされたかをお伺いしました。その中で、この苦難に対する「経営者の姿勢」が心に残りました。

 徳武産業さんは、高齢者向けのケアシューズを製造・販売されている会社ですが、昨年の緊急事態宣言の時は、販売店さんへの訪問活動ができず、また全国の売り場が休業になり売上が大きくダウンしました。その時に十河さんはこの危機をどう乗り越えるか。必死に考えられました。まず営業先を取引額から重点化し、オンライン営業に切り替え、営業体制を効率化することに。また一方で「今は、みんなが危機を感じてくれている千載一遇のチャンスだ」と、社員に呼びかけ、経費の徹底的な見直しを行いました。その他にも、こうした時に喜ばれることは何かと考え、在宅の高齢者を訪問するヘルパーさんが安心して介護に出向けるようにと、抗菌・防水加工をした薄くて何度でも取り換えられる室内シューズを開発。新しい需要を生み出しました。こうした取り組みの結果、前期の利益の減少は、前年をたった2%ダウンしただけで、今期は過去最高の利益が見込まれているそうです。
 十河会長は、「悪い時が起こる時、私は、それは我々に何かを教えてくれていると受け止める」と仰っています。「困難」を冷静に見つめて工夫・改善する、少しずつ乗り越えていく。そのプロセスで新しい力を蓄え、成長する。困難をチャンスとして受け止め、活かすこと大切さ教えていただきました。

   一方、王宮 道頓堀ホテルさんは、もっと深刻な事態です。海外のお客様中心に伸ばしてきたホテルに、お客様がまったく来なくなってもう1年が過ぎています。大阪に3つあったホテルの1棟を閉鎖し、長期滞在者の為のプランや、会議や研修用のホテル一棟貸しというプラン、宴会場の料理の通販など、ありとあらゆる努力をされています。しかし、いちばん大変なのは社員の人たちのモチベーションの維持だと言われます。橋本専務は、社員に対し「明けない夜はない」と励まし、「夜にしかできないことをしよう」と様々なチャレンジをされてきたそうです。社員一人ひとりとの面談、応対研修、理念や人事制度の見直し、経費の見直し・・・数年くらいかかりそうなことをこの間に徹底的にやってこられたのです。

 「ピンチをチャンスに」。しかし、この言葉は当事者になると腹立たしく聞こえる時があります。大きな困難に遭遇した時は、誰もが途方に暮れ、解決策が浮かばず、後ろ向きになってしまいます。「チャンスなどがあるなら教えてほしい」。そんな気持ちになるのが普通です。
 しかし、困難な状況は変わらなくても、困難の捉え方は変えることができる。今回のコロナ禍でも前向きにとらえる人とそうでない人の差は出てきているのかもしれません。
 コロナが、我々に何かを教えてくれているとしたら、何を教えてくれているのでしょうか?

カテゴリー : セミナー メルマガコラム 素晴らしい会社

2021 年 04 月 13 日 14:00

成長する新人、成長しない新人

 新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。
 いろんな方が言われていることですが、この新人時代に、仕事にどう向き合うか、どんな気持ちで過ごすか、どんな体験をするかで、その先の「伸び方」が大きく変わると思います。

 例えば、新人は技術を先輩から「あれをやっておいて」「これをやっておいて」と何かと用事を頼まれますが、この用事をただ、「こなす」ようにやるか、好奇心をもって「くふう」しながらやるか。小さな用事をすることひとつでも大きな差が生まれてくるように思います。

 例えば「お茶を入れる」という用事。先輩から手順を教えてもらって、やってみる。手順に従えばたぶん1~2回のレクチャーでできるようになるはず。しかし、それだけでは満足せず、次のステップは「どうすれば美味しいお茶をいれられるか?」と基準をあげてやってみる。
同じ茶葉でも茶葉の量、湯の温度、湯の量、浸出時間はもちろん、注ぎ方、湯のみに注ぐ順番など、「美味しさ」にはいろんなポイントがあります。その他、提供するタイミング、所作や表情ひとつでも美味しさは変わるはず。「お茶を入れる」というのは「用事」のひとつですが、本来は「茶道」と言われるくらい突き詰めれば深いものがあり、これで人を感動させることだってできる重要な「仕事」です。

 しかし、よく若手は、「先輩は私にばかり雑用を押し付けてくる」とか、「重要な仕事を任せてくれない」など、「お茶を入れる」という用事を軽く考えることがあります。そういう気持ちになれば、これは「こなし仕事」になってしまい、考えることも工夫することもしない。いわゆる「身が入らない仕事」をする訳です。
 「身が入らない仕事」でも一応は「用事」は終わります。「ありがとう」と言われるかもしれません。ただ、怖いのは、そうして終わっていく中で「こんな仕事への姿勢でいいのだ」「仕事とはこういうものなんだ」と感じてしまうことです。そうなると、他に頼まれた仕事も「こなす」ようにする。そうすれば、きっと面白くなくなります。面白くないと、ますます作業化(こなし、さばき型)になる。益々創造性がなくなる。最後には「自分には向いていない・・」と仕事が嫌いになる・・・。一年目でどんな「仕事観」を身に付けるか。本当に重要です。

 頼まれたひとつの「用事」にどう向き合うか?
 雑用というものは、その人が「雑にする」ことで、そもそも世の中に「雑用」という仕事はないはずです。どんな仕事であれ、用事であれ、とにかく、ひとつひとつに疑問、興味、好奇心をもって真剣にやる癖をつけること。先輩の教え方も大事な気がします。

カテゴリー : メルマガコラム 思うこと

2021 年 04 月 08 日 10:29

商売への姿勢が問われる時代

 先日、ある美容室のオーナーのお話を伺う機会がありました。その方は、自分の使命は「お客様の元気を創る」ことだと明言されています。美容室ですからお客様を綺麗にすることは当たり前のことなのですが、その方は、お客様がこのお店に来られて「ああ元気になった」と感じてもらえるような存在を目指しています。そんな思いになったのは、何人ものお客様から「あなたにやってもらうと元気になる」と言ってもらったことがキッカケで、自分の役割とは何かと深く考えた時に、自分の使命に出会えたのです。そんな風にお店を続けてこられて十数年。オーナーの姿勢に共感し、長く通うお客様が少しずつ増えているそうです。

 そんなお話を聞いて、私はお店の「姿勢」について考えてみました。こんな時代に益々重要な気がしたからです。そもそも「姿勢」というものは、オーナーの信念であり、どこにもない独自のもの。他店が真似しようにもできないので、差別化になります。また、「お店の姿勢」に共感したお客様は、きっとそのお店を長く利用されるに違いありません。そう簡単に同じ姿勢のお店に出会うことはありませんし、自分の価値観に合うお店をわざわざ変える訳がありません。もちろんこのオーナーの姿勢がぶれてしまえば、来ないでしょう。しかし、姿勢は人生の哲学に近いものですから、そう簡単に変わらないはず。ただ、お店の姿勢は何度か利用してみないと伝わらないので宣伝が難しい。しかし、今はSNSの時代ですから、お客様が本当にお店の姿勢に感動されたら、口コミで発信してくれるでしょう。お店の姿勢への共感者が増えることは、いいことづくめです。

 しかし、いくら姿勢が大事だといっても、その姿勢に共感が生まれなければ、意味がありません。お客様が共感する姿勢とはどんな姿勢なのでしょうか。例えば、「儲けることが大事」という姿勢の人に共感する人は少ないかもしれません。先ほどのお店では「お客様の元気を創る」ということがお店の姿勢でした。やはり、社会にとって自分たちがどんな存在でありたいかということが明確であり、しかも、そこに魂がこもっていなければ、他人の共感など生まれないはずです。
今回は、小さなお店のことから「姿勢」と商売の関係について考えましたが、もしかすると、営業マンであっても、販売員であっても、クリエイターであっても、漫才師であっても、成功する人は姿勢が違います。
 どんな姿勢で働くか?問われているのは「やり方」でなく「あり方」です。

カテゴリー : お客様 メルマガコラム 思うこと

2021 年 03 月 31 日 12:00

帝京大学ラグビー部に学ぶ若手の育て方

 いよいよ新入社員が入ってくる4月です。
いろいろな会社で、今受け入れや新入社員研修のご準備をされていることと思います。

 さて、ご存じの方も多いと思いますが、ラグビーの大学選手権大会で9連勝をした帝京大学は、これまでの根性・気合・上からの指示命令によるコントール型の組織に限界を感じた岩出雅之監督が、生徒が自ら考え、自ら行動し、自ら成長する自律型組織づくりに挑戦されてきた大学です。岩出監督の著書「常勝集団のプリンシプル」(日経BP社)には、モチベーション論やフロー理論など、ビジネスの世界に通じる話が多く、感銘を受けられた方も多いのではないでしょうか。

 これまでの大学スポーツの部活の多くは体育会系。4年生が神、1年生は奴隷のような存在で、雑用は1年生の役割でした。監督が頂点に立ち、勝利を目指して部員に細かく指示命令していくセンターコントロール型組織が一般的でした。

 ある時、岩出監督はこの組織では有力選手が集まる伝統校に勝てないと気づき、変革を決意されます。そのひとつが脱・体育会文化です。
まず、実行したのは、雑用を1年生の仕事ではなく4年生の仕事としたこと。環境変化に慣れない1年生が心の余裕が持てるようにと、上級生が掃除や食事の片付けなどを行います。以前テレビで、帝京大学ラグビー部の様子が放映されましたが、4年生が率先して雑用をこなし、1年生の世話をする姿は、本当に感動的でした。

 こんな文化の中では、1年生はきっと安心して1年間を過ごせるでしょう。そして、自分たちの練習もあるのに、自分たちのことを考えてくれる4年生を尊敬するようになるはず。先輩やチームへの愛情が生まれていくのもこの時期です。また、4年生は4年生で、人のお世話をすることや掃除などを通して、人間として大切なことに気づくことも多いそうです。

 私たちビジネスの世界には、そんな体育会系な文化は少ないと思いますが、今の若い人たちは、入社後の環境変化についていけず、5月病になったり、うつ病になったりする新人もいます。帝京大学のように、先輩たちが出来るだけ雑用を引き受けてあげ、少しでも仕事に専念できるようにするなど、新人の心の余裕を作っていくような文化は、職場の中で大切なことかもしれません。

 考えてみれば、先輩が先輩風を吹かせて、後輩に何でもやらせるようになっては、その先輩の成長が止まってしまいます。人が嫌がることを率先する、人の為に何かをやる。そんな行動の中で人間としての成長が生まれてくるのではないでしょうか。企業も、センターコントロール型から、自律型組織への変革が求められていますが、良き文化をつくるには、新入社員だけでなく、先輩(2~3年次)の関わり方も見直していく必要があるのではないでしょうか。
 

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2021 年 03 月 24 日 10:40

いい会社の経営者の4つの共通点

私たちブロックスが昨年からスタートした、オンラインでの経営者の学びの場「未来×幸せ経営フォーラム」は、昨年第1期(4回)を終え、この3月からまた新たな受講生が加わり、第2期(4回)が始まりました。
先行きが不透明な時代に、CSやESが高い、いい会社の経営者はどんな風に考え、どのように舵を切ろうとされているのか。これまで5組、10名の方のお話を伺いましたが、そんな経営者の皆さんの考え方や姿勢の共通点を整理してみました。

1.社員の幸せへの強い思い
そもそも企業は何のためにあるのかというと、人が幸せになるためです。ご登壇いただいた経営者の皆さまの第1の共通点は、この社員の幸せに対するぶれない信念です。社員の幸せを考えるからこそ、しっかりと利益を生み、このようなコロナ禍に備えておく。苦しい状況でも、働いてくれている人の健康や生活に気を配る。このコロナ禍でより経営者の差が見えてきました。そして、きっと、社員の幸せは、どんなに時代になろうとも、企業がある限り、きっと不変的な第一基準であり続けるのではないでしょうか。

2.逆境においてもポジティブ
経営者は楽観的でありすぎても悲観的になりすぎてもいけないと言われますが、ご登壇いただいた経営者の皆さまから受けた印象は、やはり、こんな時にも明るく未来を捉えておられるということです。変化は確かに痛手ではある、でもこういう時こそ変化していこうと、時代の変化に前向きに挑戦されておられます。①への変わらない思いがあるからこそ、変えるべきことは速やかに変えていく。これまでも、これからも、お客様の満足の進化に立ち止まらなかったからこそ、ファンが生まれていくのだと感じました。

3.学び続ける経営者
今回のセミナーにご登壇いただいた経営者の皆さんから、「自分ももっと学びたいので、このセミナーに受講者として参加したい」と自分のセミナー後も参加されているのですが、この「自分はまだまだ」という経に対する謙虚さも、素晴らしい経営者の共通点です。成功すると「これでいいや」と思いがちですが、いい会社の経営者ほど、学びを止められません。常に他の経営者のやり方や考え方を学び、自分たちを進化させていこうという経営者の姿勢は、きっと社員にも伝わり、社員も自分を成長させていこうと思うに違いありません。

4.人間への愛・優しさ・思いやり
参加者の皆さんは、ご登壇いただいた経営者の皆さんの発言の中に、「ぶれない哲学」を感じられたことと思います。そして、いろんな質問に答えられる姿勢・態度をご覧いただいた時に、素晴らしい人間性も感じられたのはないでしょうか。私自身も感じていましがが、それは何だろうと考えた時に出てきた言葉が「愛・優しさ・思いやり」です。この軸があるからこそ、私たちは人として経営の話に共感できるのだろうと思います。「こうすれば効率的な経営ができ成功する」という最新の経営論があったとしても、その経営に参加する社員が幸せを感じていなければ成立することがないように、どんな時代になろうとも、経営者の信念の中に人への愛や思いやりがなければ、経営はうまくいかないではないでしょうか。

次回の未来×幸せ経営フォーラムは4月15日です。高齢者の歩行に関する悩みに応える靴を販売する香川県の徳武産業さん、このコロナ禍の逆境の中でも社員の幸せを守り続けておられる大阪の道頓堀ホテルさんにお話をお伺いします。どんな時代にぶれない経営のあり方やイノベーションの生み出し方について、具体的にお伺いしていきます。

「未来×幸せ経営フォーラム」https://www.doit-fun.jp/blocksseminar/20210310_0622

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2021 年 03 月 17 日 10:17

仕事に役立つ「成功事例の学び方」

 先日弊社で、新しく発売した「志GOTO人シリーズ」の“レクサス星が丘”の事例を使って社内勉強会を行いました。参加者には当日までに「映像を見てメモを取ってきてもらう」こと、「この店がなぜ成功しているのかを自分なりに考えてくること」を宿題に出し、テレワーク中の社員も参加し、オンラインで行いました。

 最初は、自分の「視聴メモ」を持ち寄り、この店の「素晴らしい点」を整理するワーク。この店の良い点のいくつかの軸が見えてきます。次に「なぜ、このお店はお客様が増え続けているのか」という問いに対しての話し合いをしてもらいました。
 オンラインだったので、グループ討議を直接見ることができなかったのですが、あるグループでは、うまくいっている理由を考えている途中にも関わらず、「自分たちはどうなのか」という意見も出てきて、次第に「レクサス星が丘」の事例を忘れて、「もっとこうすべきではないか」という自社の改善案が話し合われていたようです。対話の中での気づきが社員のマインドに火をつけたようです。

 ところで、皆さんは「成功事例から学ぶ」というとどんなイメージがしますか?
一般的には「良いやり方・方法を取り入れる」というイメージでしょう。確かに、成功事例の中には簡単に真似できる「やり方」もあります。しかし、大胆で斬新な方法ほど「凄すぎて真似ができない」という意見になってしまうこともあります。せっかく優れた事例なのに「できない」「無理だ」の話ばかりになり、後ろ向きな会議になってしまったことはありませんか?

 しかし、「成功事例の学び方」は「やり方を取り入れる」ことだけではありません。それが弊社の勉強会で行った「成功事例を題材に、“なぜ成功しているのか”を自分たちで考える」という学び方です。
 「事実を観察して、素晴らしい点は何か?」と整理する。そして、「なぜ成功しているか」を自分で考え、みんなで話し合う。このプロセスをやっていく間に「本質を考える力」が付き「どの業種にも通用する成功の原則」が見えてきます。それが見えてくると、自分たちに置き換えることができ、先ほどの弊社の対話のように、自分たちの仕事をその原則をもとに変えようという議論になっていきます。いきなり成功事例の企業のようなレベルにはなれなくても、少しだけなら近づけるはず。ここには「無理だ、できない」という会議にはない前向きなエネルギーがあります。

 「成功の法則」は知識として学ぶこともできますが、先ほどのチームは議論の中から自分たちで発見したのだと思います。「わかった」という感じになれば議論は面白くなります。前向きなアイディアも生まれてくるはずです。
 成功事例の「優れたやり方を学ぶ」という視点だけで見るのではなく、「なぜ、うまくいっているのか?」と深掘りしていく視点で見る。これからの時代に必要なのは「優れたやり方」という知識より、後者で身につく「考える力や「気づく力」、「深める力」ではないでしょうか?

〇志GOTO人シリーズ「レクサス星が丘」の詳細内容はこちらへ
https://www.doit-fun.jp/shopping/products/detail.php?product_id=215

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2021 年 03 月 09 日 18:57

シニアシフト時代のファンづくり

 内閣府は2050年には2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上と推計しています。
 こうした高齢化に進む時代の中で、シニア層のお客様にいかに気にいっていただけるか、愛されるか、シニアシフトなどと呼ばれ、これからの商売のポイントのひとつだと言われています。

 シニア層のお客様にファンになっていただくためには、どんなこと気をつければいいのでしょうか。
 自分自身もだんだん近づいているのでわかってきたのですが、若い時ほど新しいもの、最新のものに欲しいものに興味はなくなります。ただ、ワクワクすることや元気になるようなことには興味があり、旅行や健康に人気がある理由もわかります。

 接客する方などは、まさにシニア層と毎日接しておられる訳ですが、コミュニケーションの難しさを感じておられるのではないでしょうか。以前、「志GOTO人シリーズ」で高齢者向けのスマホ教室でお年寄りから大人気の方をご紹介しましたが、彼女はスマホの使い方を説明する時に、お年寄りを励ましたり、ワクワクさせるような説明を心掛けておられました。この仕事に就く前、お母さんの介護の体験もその接客のベースにあるようですが、高齢者対応では、時間をかけた丁寧なコミュニケーションは何よりも大事だと思います。「一人にどれだけ時間をかけているの!」と叱られるような効率重視の職場では、いいシニア接客はできないのではないでしょうか。

 他にも、シニア対応にはテクニックがあるのかもしれませんが、私が最も重要だと思うのは、テクニックの後ろにある「心」。そんな気がします。年齢を重ねるということは、体験を重ねること。嫌な思いをしたり、嬉しい思いをしたり。いろんな体験の中から、だんだんと本質を見抜く目、人を見る目が養われていきます。それがシニア世代の特徴だとすれば、テクニックと同時に人間力も磨いていかなければ、シニアのファンをつくれません。
 ホンダカーディーラーの中で常にお客様満足度トップクラスのホンダカーズ中央神奈川の創業者、相澤賢二氏は、お客様の満足にこだわっておられる経営者でしたが、サービスに関しては常に時代の先を実践されていました。相澤さんがある本の中に以下のようなことを書いておられます。

 「セールスでは流れるような口上を述べているだけでは駄目。形だけの笑顔も駄目。そんなものはお客様がすぐ見抜きます。誠心誠意、真心の笑顔で対応すれば、それはお客様にも響くものなんです。当社では、スタッフ全員が気持ちで説明しています。」

 シニア世代の方なら共感することが多いのではないでしょうか。私も、例えテクニックが未熟な若い人であったとしても、その人が心から一生懸命にやってくれ、誠心誠意に対応してくれた時にファンになってしまいます。表面的なもの、取り繕っているものが通用しなくなる。シニアシフトとは、本質シフトということなのかもしれません。

カテゴリー : メルマガコラム 思うこと

2021 年 03 月 02 日 17:15

目標を達成する技術

 リモートワークの時代になり、社員が会社に出勤することなく好きな場所で仕事をするのが当たり前になってきました。今まで以上に自分で目標を立て、自分自身で行動の管理ができ、問題を発見し、改善することが求められています。しかし、それ以上に、夢は自分の行動の源泉です。夢や目標を持っている人は、いきいき働いています。

 しかし、夢や目標はすぐに諦めてしまい、途中で挫折する場合もあり、夢・目標を持つことの大切さを知っていても、目標達成の技術を身に付けている人は多くありません。セルフマネジメントの仕方が難しいのが目標達成の課題です。

 この目標達成の技術を開発し、学生やスポーツ選手、ビジネスマンに指導されてきた第一人者が、原田教育研究所の原田隆氏。元々学校の教師で、荒れた高校生の生活指導をされたり、ある公立中学の陸上部を13回も日本一に導くなど、熱心に生徒を指導。その体験から編み出されたのが「原田メソッド」という目標達成の技術です。数年前から企業でも注目されるようになり、ユニクロ、キリンビール、大和証券など延500社、10万人以上のビジネスマンが受講され、海外にも波及しているそうです。

 その原田メソッドのひとつが「オープンウィンドウ64」という目標達成ツール。マンダラチャートとも呼ばれることがありますが、ベースは原田メソッドです。メジャーで活躍中の大谷翔平選手も、高校生の時に先生から教わり使っていたことでも有名です。
 「オープンウィンドウ64」は9×9マスのシートを使います。まず、真ん中に「自分が成し遂げたいこと」を書き、次にその周辺の8マスにその「要素」を書き、さらにその「各要素」を実現するための「行動目標」を8個ずつ書いていきます。私もこのマンダラを使っていますが、漠然としていた夢を要素に分解し、何をすればいいか、具体的にしていけば日々の行動が明確になりますし、自分自身で課題が見つけることができるので、実践的です。目標を上司に管理されるのではなく、自分で管理する、まさに自立型セルフマネジメントのツールのひとつなのです。もちろん、これだけで目標達成できる訳ではありませんが、ここから日常に落としていく技術など、原田メソッドはメンタルを意識して作られています。

 原田先生は、夢を実現するのは独別な人だけではなく、誰でも技術をマスターすれば実現できると仰っています。先行き不透明な時代、誰も正解がわからない時代は、ますます「自分で道を切り開く時代」になってくるはずです。こうした技術を身に付けようとする企業や社会人は益々多くなっていくのではないでしょうか。

 そんな原田先生を、3月10日に開催するブロックスの「未来×幸せ経営フォーラム」のゲストにお招きしています。同時に、以前から人財育成に原田メソッドを導入し、成果を出し続けられている「ヨリタ歯科クリニック」の寄田院長にも登壇いただき、お二人に人財育成の要点やコツをお伺いする予定です。社員の真のやる気づくり、目標管理などにお悩みの方は、ぜひご参加してみてください。

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2021 年 02 月 24 日 16:19

「柔らかい脳」の大切さ

 変化が激しくなる時代には、過去の常識が通用しなくなる。だから頭を柔らかくして変化に対応しなければいけない・・・。
   最近、よく言われることですが、そもそも、頭が固い、柔らかいとはどんなことなのでしょうか。
 頭が固いとは、これまで自分が身に付けてきた知識や常識に囚われるあまり、「先入観」が出てしまい、「そんなことは無理だ」「〇〇とはこういうものである」と思考に制約や限界を設けてしまうことです。例えば、このコロナ禍で「オンライン会議」が定着しましたが、「会議はみんなが顔を合わせてこそ価値がある」という先入観にとらわれている人は、導入に抵抗があったに違いありません。試したとしても「やっぱり直接合わなきゃ駄目だ」と新しい可能性を深めようとしない。「上司は頭が固い」と思った若者も多かったようです。
 しかし、私は、この「頑固さ」も悪いことではないと思います。「頭が固ければうまくいかない」「古い考え方が悪い」というのも、先入観のひとつではないかと思うからです。

 ただ、変化が激しくなる時代には、柔らかい脳の方がうまくいく可能性が高い。では、固い頭を柔らかくするには、どうすればいいでしょうか?頭が固くなっているということは、思考に制約や制限をかけてしまうことですから、そもそも「自分は頭が固くなっているかもしれない」と考えるところから意識しないといけないのでしょう。私も年を重ねていますので注意しないといけません(笑)。

 しかし、若い人と話している時に「意外と頭が固いな」と感じることがあります。「正解はひとつ」だと思い過ぎている人です。「正解は何だろう?」と考えるのはいいのですが、その答えを「先生」に聞こうとする。インターネットで検索すれば「答え」が出てくるのでそれ以上は考えない。他にも正解があるのではないか?もっと別の道があるのではないか?正解のない時代には、ブレーンストーミンなどで頭を使っていく時のように、いくつもの正解を考えていく発想も大切だと思います。

 私が尊敬する人で「この方は本当に頭の柔らかいな」と思う方がいます。柔軟に考えられますから発想が斬新です。壁があっても、それをどう乗り越えようかと思考を巡らせているのでどこか面白そうな感じもします。柔らかい脳でいることは、今の時代を生き抜くこと以上に、いい人生を送るためにも大切なことかもしれませんね。

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2021 年 02 月 17 日 15:51

信じるのは言葉ではなく行動

以前、SNSでこんな詩を見つけ、ドキッとしました。
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子どもに「勉強しなさい」とう言うなら、あなたも勉強しなさい。
子どもに我慢を求めるなら、あなたも我慢しなさい。
子どもに何か求めるなら、あなたも応じなさい。
子どもが信じるのは、言葉ではなく行動だけ。
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親として、身につまされる厳しい言葉ですが、皆さんはどうお感じになれますか?

私は、部下と上司の関係も同じだなと思いました。
上の詩の「子ども」を「部下」と変えても、まったく変わらない。
いくら言葉で伝えても、部下が見ているのは言葉ではなく、上司の行動。

知識や技術は教えることができます。しかし、「姿勢」や「価値観」は、教えるものではなく、こうやって周りの大人の行動を通して“伝わっていく”ものかもしれません。

よく、理念が浸透しない、部下が成長しないという悩みを聞きます。
もしかすると、原因は単純なのかも。つまり、上司や先輩がそうしていないから。

部下が信じるのは、言葉ではなく、行動だけ。
そうならば、言葉でいうのではなく、自分達から行動していくしかありません。

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2021 年 02 月 09 日 11:26

新しい時代の顧客満足

私が顧客満足(CS)という言葉に出会ったのは、今から30年位前のことです。第一次CSブームです。物が売れなくなってきて、お客様に満足していただかなければ、企業は永続できないということで、いろんなところで「顧客満足」が話題になりました。それから月日が経ち、日本で顧客満足は定着し、商品やサービスの水準は各段に上がっていきました。
 当初、私が顧客満足を勉強した時、「事前期待と事後の達成」という有名な公式がありました。顧客は購入前に何等かの期待を持つ。そして実際に購入する。購入した商品やサービスが事前の期待以上だったら、満足。期待以下だったら不満。この公式は顧客満足の研修会などでは必ず登場していました。
 今でもこの公式は有効なものだと思いますが、顧客の期待ほど変わるものはありません。例えば、1年前なら何も考えずにお店を利用していましたが、今、店に消毒液が置かれ、アクリル板などの感染対策やスタッフのマスク着用がないお店は「期待以下」という感じがします。さらに、もう、そのような対策も普通になり以前より感動しません。最早安全対策はあたりまえ。その上でいかに美味しい料理や行き届いたサービスを提供するか?メイン商品が期待を超えないと、簡単に満足などしないのが、今ではないでしょうか。
 最近の消費者は、行く前にネットで検索し、そもそも口コミの高い店に行こうとします。最初から期待して行く訳ですから、その店もかなり大変なはず。しかし、その期待を超えて、美味しい料理を食べたり、期待を超える素晴らしい対応をしてくれると感動し、自分も口コミを広げたくなります。こうして口コミの高い(本物である)店は、ますます人気になり予約が取れなくなり、差が広がっていくのでしょう。
 こうした口コミの時代になって、顧客満足は益々レベルアップしている気がします。

 この2月に、ブロックスでは、あるカーディーラーのCSの取り組みを紹介する「志GOTO人シリーズ」を発売する予定ですが、このお店のテーマは「おもてなしの進化」です。始めた時は「素晴らしい対応だ」と言われていたようなサービス、何年も経てばお客様も慣れてしまいます。簡単にできるサービスなどは、すぐに競争相手が真似し、当たり前になります。
 だからこそ、この会社では、全員が「もっと良くしていこう」という気概にあふれたスタッフを育てることや、顧客サービスの改善・改革を常に進化させていく企業体質を作り込んでこられました。顧客の期待が高まる時代の顧客満足はどうあるべきなのか。映像は2月後半に発売開始予定。
ぜひご覧いただければ幸いです。

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2021 年 02 月 01 日 16:11

新入社員の「仕事観」を育てるには

 またこの春も、新入社員が社会人としてスタートします。
 昨年入社の新人たちは、いきなりの緊急事態宣言で自宅待機やリモート研修等、本当に大変な1年だったはず。また、新人教育のご担当者の皆さまも戸惑いの連続だったと思います。
 私も、昨年4月頃は、オンライン研修を通して、いろんな会社の新入社員の皆さんたちと、映像と対話を中心にした研修会を実施しました。「なぜ働くのか?」とか「どんな働き方をしていきたいか?」という質問を投げかけ、その後、いきいき働く先輩社員の姿を紹介する「志GOTO人シリーズ」の映像を見てもらったのですが、最後にした感想共有での新人さんの言葉が今も心に残っています。

 「今まで、こんなことを考えたことがなかった。自分が見えてきた」。ニュアンスは違っても、一様に「今まで考え方ことがなかった」と言われていました。考えてみれば、高校から大学、大学を出たら就職、就職したら結婚などと、いろんなものが「あたりまえの路線」として流れていく時代。なぜ働くのか、どんな生き方をめざすのかなど、考えるキッカケも場所もないのかもしれません。

 それで会社に入り、いきなり、先輩社員たちから「お前たちは主体性がない」「もっと自分から行動しろ」と言われる訳ですから、戸惑ってしまうのは無理がありません。「自分はこうありたい」「いい仕事をするためには〇〇が大事」「自分にとって仕事とは」などの、いわゆる“仕事観” が固まっていないのですから、「まずは、言われたことをやろう」となるのはわかります。
 しかし、どう考えても、これからの時代は主体性が大事になる。先輩だって正解がわからなくなる時代です。その主体性のベースが、“自分はどうありたいか”という「仕事観」や「キャリア観」。これはどうすれば固まってくるのでしょうか。

 私は、やはり先輩社員たちとの直接的なふれあいだと思います。先輩から「仕事ってこんなに楽しいぞ」ということをたくさん聞く時間が大事なのでは?また、先ほどご紹介したような、自分と仕事を考える機会をつくってあげることも大事。ともかく、仕事観というのは、知識として教えられるものではないので、どこかで「自分を見つめる場」がいるのでしょう。
 とは言っても、今はリモートワークの時代。コミュニケーションが分断されて、先輩の姿も見えにくくなってしまっています。新入社員の皆さんにとっては、難しい時代です。ただ、リモートだって「いいもの」に出会うことはできる。どんな時もぶれない「自分の判断軸」を身に付けてほしいなと思います。

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2021 年 01 月 26 日 09:45

「働く幸せ」と「ホワイト企業」

「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」「日本サービス大賞」「日本経営品質賞」など、今、世の中にいい会社、いい経営を表彰する賞があります。その中で、創設の時から私が手伝わせていただいているのが、「ホワイト企業大賞」です。

 この賞の面白いところは、「社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業を増やす」という理念に賛同した、いろんな分野の専門家が20人ほど集まり、お金も取らず、手弁当で運営しているところです。私もその一人です。社員の幸せや働きがいという数値化しにくいことをテーマにしているため、明確な評価基準で経営の良し悪しを決めるのではなく、「この賞に参加する全員で、さらに上を目指してこう」という考え方もこの賞の特色で、上から目線で「賞を与える」というのとは一線を画しています。

 そんなホワイト企業大賞ですが、先週の日曜日に、7回目の表彰式がオンラインで行われました。コロナ禍にも関わらず、今回も賞の理念に賛同された企業がたくさん応募され、推進賞や特別賞、大賞が選ばれました。受賞された企業の皆さんのコメントひとつひとつが、温かく、優しく、式が進むにつれて心が温かくなってきました。

 学び合いの場なので、最後は応募企業も委員も全員が参加する勉強会。私が担当し、「働く幸せって何だろう?」というテーマで約100人の人たちによる対話の場を設けました。「働く幸せ」とは、役立つ喜び。成長すること。自分らしく働けること。自分の会社に誇りを持てること・・・、いろんなキーワードが出てきましたが、実践されてきた皆さまだけに、ひとつひとつが心に残ります。以下、その時の対話の「問い」ですが、ぜひ、皆さんも考えてみてください。

1.あなたにとって「働く幸せ」って、どんなことですか?
2.もし今、あなたや、あなたのまわりの人が、幸せをあまり感じられていないとしたら、なぜ、そうなっているのでしょうか?
3.どうすれば、あなたやあなたのまわり人の「働く幸せ」を高めていけるでしょうか?

 ホワイト企業大賞は、中小企業の皆さんが「いい会社づくり」を追求する場です。応募するだけでも自社の課題が見えてくるので、もし、よろしければ、貴社でも挑戦されてみてはいかでしょうか。

ホワイト企業大賞のHP:https://whitecompany.jp/

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2021 年 01 月 19 日 10:16

トム・ソーヤのペンキ塗りと仕事の楽しさ

 子どもの頃に読まれたと思いますが、「トム・ソーヤの冒険」という物語があります。その中にペンキ塗りのエピソードが出てくるのですが、少しご紹介します。

 トムは、いたずらの罰としておばさんから大きな壁のペンキ塗りをさせられることになりました。休みの土曜日、単調なペンキ塗りの仕事・・・、トムは嫌々やっていました。友達がからかいに来ます。そんな時、トムはひらめきます。ペンキ塗りを楽しそうにやれば友達が手伝うのではないか・・・。そう考えたトムは、いかにも楽しいというようにペンキを塗ります。
 そんなトムの姿を見た友達は、「そんなに面白いことなら俺にもやらせてくれ」と頼んできます。「ダメだよ、こんな楽しいことは任せられない」。トムは断ります。友達は余計にしたくなり、自分の宝物まで差し出して頼み込むようになりました。そこで、ようやくトムは仕事を友達に任せ、自分は悠々と寝ながらそれを見てたというお話です。

 同じペンキ塗りなのに、トムと友達では気持ちが全然違います。現実の社会の中にも同じ仕事なのに、楽しそうにやる人も辛そうにやる人もいますが、何が違うのでしょうか?
トムの仕事は「怒られるから、しかたなくやる仕事」、いわゆる外発的動機づけ。友達の仕事は「自分が面白そうだ、自分からやる仕事」、内発的動機づけ。外側から来ている動機か、自分の中から生まれた動機かの違いです。
 もし、やる気というものが、そういう理屈であるならば、どんな仕事も自分の中に動機を生み出せば楽しくなるはずです。つまり、いかに自分の仕事の中に「面白さ」を見つけることができるかどうか。例えば、ペンキ塗りひとつでも「どうすれば綺麗に塗れるか」とか、「どうすれば早く塗れるか」というように、「より良く」という視点を持つだけで楽しくなりそうです。
皆さんはどのように「仕事を面白く」しておられるでしょうか。

 この逸話は、いろんなことを考えさせられますが、私が、このエピソードでいちばん面白いと思うのが主人公のトムです。少し狡いところはありますが、「嫌だ」と感じたことをそのままにせず、どうすれば友達に任せられるかとアイディアを練り、自分でシナリオを作り実行する。もし現代社会に生きているとしても、AIには絶対に発想できないことを考える人材として活躍しているような気がします。
トムのように楽しく、自ら考えて働く人材を育てたいですね。

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2021 年 01 月 13 日 17:49

日本一の旅館 加賀屋の「まね、慣れ、己」

 お客様満足度日本一の旅館、和倉温泉の加賀屋さんでは、サービスを次のように定義されています。
「サービスとは、プロとして訓練された社員がお給料をいただいて、お客様のために正確にお役に立って、お客様から感激と満足感を引き出すこと」。
 この定義通り、加賀屋の客室係の人たちは、お客様に対して常に正確なサービスと細かな気遣いで感動を与えておられます。高い料金にも関わらず、お客様が「また来くるね」と再来店されるのは、その影に徹底した教育や風土、何より伝統の「おもてなしの精神」があるからです。以前、私も取材に伺ったことがありますが、初代女将からスタートしたその精神は働く人の誇りになっています。

 ある雑誌に、加賀屋の若女将のインタビューが掲載されていました。その中に「加賀屋流のおもてなしはマニュアル半分という考え方」と言葉がありました。それは、マニュアル通りにするサービスは50%、残りは自分の感性や現場の判断で100%にするという意味です。まず、マニュアル半分。約束したことを守る、間違いなく料理を提供するという「正確なサービス」が高いレベルで実現されていないと不満が生じてしまいます。しかし、それだけでは感激や満足が生れません。やはり大事なのは現場社員の感性と主体性。一人ひとりの気働き、気配りがあって初めて100%になるという考え方です。「マニュアルは半分」ですから、接客係の人たちも燃えてくるでしょう。以前取材したベテラン客室係の熱い、使命感を思い出します。

 しかし、こうしたおもてなしを、客室係はどのように身に付けていくのでしょうか。以前、加賀屋の小田会長が、次のようなお話をされていました。「私は、『まね、慣れ、己』と言って社員に教えているんです」。まずは、真似から入る。最初は「物まねさせられている」と思っていてもいい。しかし、何度もやっていくと自分の体験が伴ってくる。自分で納得すると言葉が生きてくる。そして、最後は自分のオリジナルのものにしていく。「まね、慣れ、己のステップが大事だよ」と社員に伝えているそうです。
 加賀屋さんのような「優れたおもてなし」を見ると、誰もが「そこまで出来ない・・・」と思ってしまいますが、こんな地道な教育の積み重ねがあるんですね。しかし、考えてみれば、「まね、慣れ、己」は、芸事やスポーツも同じ。最初は先輩のまねから始まり、慣れくるのに数年はかかるでしょう。ましてや「己」のレベルになるには何年もかかるはずです。
 最近は何でも「即席」に育てようとしてしまいますが、「即席」はあくまでも即席。「一流の技術」とは、こんな風に時間をかけて身に付けていくものではないでしょうか。創業以来、働く人を大切にし、コツコツと育てこられた加賀屋さん。改めて一流の仕事に感動を覚えます。

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2021 年 01 月 06 日 11:04

マイナスを数えるか、プラスを数えるか

 年末年始も東京では感染拡大が広がり、まだまだ緊張が続く年明けとなりましたが、今年はどのような一年になるのでしょうか。ワクチンのお陰でこの騒動が落ち着くかもしれませんし、また新たな問題が起こり、昨年と同様、大きな変革が迫られる一年になるのかもしれません。何が起こってもおかしくない時代になったことだけは間違いなさそうです。

   さて、そんな波乱含みの新年がスタートしましたが、こんな変化があたりまえの時代こそ、どのようなマインドでいられるか、自分自身の物事のとらえ方、見方が大切になるような気がします。

 オリンピックが延期になると決まった時、今年の開催に向けてかなり前から時間をかけて準備をしてきたあるアスリートの方が、そんな時にどのようにマインドを切り替えたか、あるインタビューに答えられていました。「不安でいっぱいでした。『せっかくここまで調整してきたのに』『今年開催されていたら金メダルが取れたのに』という気持ちが出てきました。しかし、マイナスのことを上げればきりがない、悔しさばかりになる。じゃ、それ以上にプラスになることはないかと、今度はプラス面を挙げていくようにしました。『1年あればさらに強くなり、圧倒的に勝てる』『今までできなかった自宅でトレーニングできる』など、物事のプラス面を数えるようにしたら気持ちが前向きになりました。」それ以来、練習中に自分で『大会』を作って記録への挑戦を楽しんでみるなど、どんどん自分で自分の気持ちを奮い立たせていったそうです。

 今回のコロナ禍のように外的な問題でうまくいかないことが出てきた時、確かにポジティブな気持ちでい続けることはなかなか難しいことです。イライラしたり、不安になるのは当然でしょう。

   ただ、このアスリートの方のように、どんなことにも、マイナス面もあれば、プラス面もあり、プラス面に焦点をあてることもできるはず。無理やりポジティブな気持ちになろうとするのは、返って良くないと言われていますが、こうした方法で少しだけでも見方を変えていけば、結果的にポジティブな気持ちになり、困難な局面でも楽しんで乗り切ることができそうです。

 今年も、きっと「想定外」の波が山のようにやってくると思いますが、その波をどう捉えていくか。どう見るか?コロナに問われているのかもしれません。どんな時であれ、どんな状況であれ、自分自身で、自分自身のいいマインドをつくっていきたいですね。

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