2024 年 12 月 03 日 10:19
利益はお客様の喜びの影
顧客満足・従業員満足・業績の関係について、いろいろな考え方がありますが、昔の経営者は共通して「利益は喜びの影」という考え方を大事にされていたと思います。
ダスキンの創業者、鈴木精一氏は「損と得とあらば損の道をいく」と、お客様の喜びを優先することを信条とされておられました。松下幸之助氏も、「事業を通じて社会に貢献するという使命を遂行し、その報酬として社会から与えられるのが利益である」と、利益についての信念を明確にされています。
ウォシュレットで有名なTOTOグループの初代社長、大倉和親氏はこんな言葉を残されています。
「どうしても親切が第一、良品の供給、需要家の満足が掴むべき実体で、その実体を握り得れば、結果として報酬という影が映る」
お客様に喜んでいただくことこそが追い求める「実体」であり、その影が利益である。お客様の満足が増えれば影も自然と伸びる。影を追うのではなく、実体を追うことが大事だという決意のような思いを感じます。
お客様の喜びの影が利益。
では、顧客満足は何の影響で伸びるのでしょうか。顧客満足を生み出すのは従業員のやる気です。働く人がいきいきと働いていれば、結果としてお客様の満足は高まっていきます。顧客満足は従業員のやる気と共に伸びる「影」。とすれば、実体は「働く人の満足・喜び」といえるかもしれません。
しかし、社員満足も何かの「影」かもしれません。実体は何なのでしょうか。様々な良い企業をみてきて私が感じるのは「働く人が幸せになる会社をめざす経営者の信念」が実体。人を大切にする経営者の愛情がその影を伸ばしているように感じています。人を大切にする思い、社員満足、顧客満足、利益。この順番で経営を考え、しっかりと回わしていくことが大事なことなのかもしれせん。
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お客様満足・感動の向上 これからの時代の経営のあり方
2024 年 11 月 26 日 14:31
欲しいものではなく、役立つもの
以前、出張先で風邪を引き胃腸の調子が悪くなり、仕事の途中である薬局に立ち寄りました。初めてのお店だったのでレジにおられた女性の薬剤師さんに相談しました。「風邪気味で昨日の夜から下痢がひどいのですが、何か薬を買いたいのですが。」そうすると、その薬剤師さんは心配そうな顔して説明してくれました。「こちらの棚に下痢止めの薬がありますが、下痢は身体が悪いものを外に出そうとする働きなので、できれば薬で止めないほうがいいんです。仕事上、どうしてもという場合はこちらの下痢止めを飲まれる人もおられます。」と説明されました。薬局の人なのに薬を勧めない!私はその説明に納得し、「そうですか。ありがとうございます。我慢できないほどでないので薬はやめておきます」と言って店を出てきたのですが、商売よりも私の身体のことを気遣ってくれるその薬剤師さんの対応に感動しました。
「お客様が欲しいものを提供するのではなく、本当に役立つものを提供するのがプロの仕事」という言葉を学んだことがありますが、お客様にとって「今、薬は必要ない」という提案こそが「役立つもの」。まさに、プロの仕事はこうあらねばと思い、その出来事は今でも心に残っています。
他にも、過去に、私が求めているものが、自分の会社にある商品では役に立てないと判断した時に、ライバル会社の製品を薦めてくれた営業マンがいましたが、そうした真にお客様の立場になって考えてくれる人や企業は、本当に頼りになります。
ネットで情報が氾濫している時代だからこそ迷います。だからこそ、プロとしての知識や経験を活かし、お客様の立場にたってどうあれば良いかを、医者のように判断をする真のプロがより求められていくのかもしれません。
お客様が欲しいものを提供するのではなく、本当に役立つものを提供する。こんなプロとしての姿勢を忘れないようにしていきたいと思います。
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お客様
2024 年 11 月 19 日 16:39
競い合うチーム、助け合うチーム
先日、全国でもトップクラスの成績を挙げる営業スタッフを、何年も続けて輩出する、ある組織の地方の営業チームを取材させていただきました。都心部でもなく、なぜ、そんなに優秀な人が生まれるのかと伺っていくと、その理由はこのチームが昔から大切にしてきた文化が影響しているようでした。
そのチーム(支店)には、昔から「お互いを助け合う精神」があって、40名以上いる営業メンバーは常にお互いの状況を開示し合い、もし、メンバーの中に困っている仲間がいれば、エリアを超えて助け合っていきます。成績が芳しくない仲間がいると聞けば、リーダーやトレーナーが声をかけ、すぐに助けにいく。入ったばかりの新人には優秀スタッフがべったりと張り付き、惜しみなくノウハウを教える。そんな日常の中で、常に成績の良い人が育ち続け、何年にもわたってチーム全体で好業績を出し続けているということでした。昔は、営業は個人で頑張るもの。社内であってもお互いがライバル。仲間にもノウハウを隠す人もいました。自分の成績だけが一番の関心事で他人のことなど関係ないという空気もありました。しかし、世の中がこれだけ変化していく時代の中では、個人主義だけでは全体の成績も出せず、お互いが良い情報を共有する「助け合うチーム」でなければ良い成果が出なくなっているのかもしれません。
「助け合うチーム」は社員のやる気にも影響します。日本能率協会が実施した「働く人の満足度やモチベーション調査」でも、所属しているチームの雰囲気が働く人のやる気に影響することが報告されています。その調査で「現在所属しているチームの雰囲気に満足していますか」という質問で「満足」と回答されたビジネスマンは約半数強。満足の理由として一番多く上がったのが、「困ったときに助け合いができているから」という回答(40%)でした。日本人が求める理想のチームは「困った時に助け合うチーム」そして「良好な人間関係ができているチーム」であると結論づけていました。
しかし、そうした助け合うチームはどうすれば出来るのか。先ほど紹介したチームの方に伺うと、その会社には、昔から「仲間は絶対に見捨てない」という精神が脈々と流れていると感じておられました。昔、自分が苦しかった時に先輩が助けてくれた。その喜びを知っているからこそ後輩に伝えていく。そんなDNAが「助け合い」の風土を作っているようです。
「大家族主義」「チーム営業」など言葉は違えど、いい組織、いい会社はやはり仲間を大切にされています。農耕民族は競い合うことより、助け合ってきましたが、「助け合い」は、日本人にいちばん合っているのかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢 素晴らしい組織風土づくり
2024 年 11 月 13 日 12:41
商売の「姿勢」と「ファン」
人口が減少し、お客様が少なくなっていく時代の中で、「いつも通ってくれるファン客」「いつも応援してくださる常連客」という方の存在がますます大きくなっています。一度きりのお客様もありがたいですが、「ここが好き」、「この店でないと」というファンが日々の売上を支え、時には紹介までしてもらえる。厳しくなる時ほど、お客様の大切さを痛感します。
しかし、こうしたお客様はお店の何が「好き」なのでしょうか。なぜファンとして通い続けてくれるのでしょうか。大事な何かがあるから通い続ける。もし、それを失えば大事なファンを失うことになります。
その店が好きになる瞬間はちょっとしたことにあるのかもしれません。先日体験したことですが、休みの日に庭に植える樹木や花を買おうと、自宅から少し離れたガーデニングショップに行ってみました。その時のお店のスタッフの対応がとても感じがよく、帰り道に「また来よう」という気持ちになりました。
樹木の他にも「寄せ植え」の花を購入したのですが、その時、お店の人がその中のひとつの花が元気がないと気づかれて「もしかれそうになったら、こちらをどうぞ」と新しい苗を用意してくれました。素人目はまったく問題のない寄せ植え。しかしプロからみると品質に問題ありと思われたのでしょう。クレームを言われた訳ではないのに、お店の方から商品のデメリットを伝え、しかも代替案まで用意する。「お客さんの立場にたった正直な商いをしよう」という姿勢を感じる対応でした。その人の姿勢が良かったのかもしれませんが、私はその背景にあるお店の姿勢を感じ、「またこの店で買おう」という気持ちになりました。
お店のファンというのは、確かに商品やサービスの良さを評価してくれる人たちだと思いますが、それ以上に、その店や企業の「姿勢や志」に共感している人ではないしょうか。お店や商品、仕事の姿勢から伝わってくる「商売の姿勢」。そこに共感するからこそ、好きになり、ずっと応援しようとする。私の知人もあるスポーツチームのファンですが、勝っている時でも負けている時も応援にいきます。そのチームが一生懸命に試合に向かい、元気を与えてくれる存在だからだと言います。
ネットの中でも「姿勢」は伝わるのかもしれませんが、やはり、企業の姿勢がいちばん伝わるのは、お店に立つ人、営業する人、サービスをする直接顧客と向き合う人の存在。正直である、一生懸命にやる姿、人への思いやり、誠実な心・・・そんな姿を人は応援するのかもしれません。
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お客様満足・感動の向上
2024 年 10 月 30 日 14:06
言える化と聞ける化
「社長、それ間違っていませんか」。先日、ある会社の社員さんに会社のことを伺っていると、その会社では、例え相手が社長であろうと、もし自分が違うと思ったら、「それ間違っていませんか」と意見を言っていいという空気があると言われていました。社長のめざす理念に共感して働いているからこそ、例え社長であっても理念からブレているような言動があれば意見を言う。そんな風土があるそうです。その会社は、常に業界に先駆けて新しいことに挑戦し、長期に渡って成長し続けていますが、そうした「意見が言いやすい風土」が根底にあるからこそ、どんどん新しいことが生まれているのかもしれません。
この話を伺って思い出したのが、あの「ガリガリ君」で有名な赤城乳業さんです。同社には昔から意見が言いやすい風土があり、上司に気兼ねなくみんなが意見を言い合いながら働いているそうです。新人であろうが自分は違うと思えば言う。役員に若手が意見を言うのは日常のことだそうです。そうした風土の中で、新商品が生まれ、業績は右肩上がりに推移しています。
そんな風土の原点にあるのが「言える化」という言葉です。昔から創業者の考え方の中に「社員たちが立場や役割を越え、自由になんでも言えることが組織の活性化につながり、ひとりひとりの持つ能力を最大限に引き出す道だ」という思いがあり、それを表しているのものが「言える化」という言葉です。
「言える化」というのは実際にかなり実現は難しいはず。世の中の企業は「言えない化」がほとんどです。上司や社長に意見を言うのは気が引けます。逆に上司の側も経験があればあるほど、若い人の意見を排除しがちになります。「言える化」を実現するには、上司の側がしっかり耳を傾けようとする意思や、どんな意見にも腹を立てずに聞き切る胆力がなければ、なかなか実現できません。「聞ける化」があっての「言える化」。赤城乳業の役員や役職者の人たちは「聞ける化」を大事にしながら、誰でも発言しやすい文化を作ってこられと伺いました。
いずれにしても誰もが「自分の意見」を言える、言うというのは主体的に働いていく上で重要なこと。アイディアを出し合ってイノベーションを起こしていくためにも、働きがいのある会社づくりのためにも「言える化」がますます大事になっていくような気がします。
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働きがい・やりがいの向上 素晴らしい組織風土づくり
2024 年 10 月 23 日 17:08
共感・信頼される会社
少子高齢化が進むローカルエリアの中にあって、地域のお客様に絶大の信頼を集めている会社があります。先日、その会社からそこに至る経緯や活動の転換点のお話を伺う機会がありました。
その会社はサービス業で日々多くのお客様が来店されます。しかし、それだけでは収益が低いため来店されたお客様に関連商品を販売することで利益を上げるというビジネスモデルです。
顧客が増えている時代はとにかく「売り込む」ことに注力されていました。スタッフにノルマを与え、来店されたお客様にセールスをする。しかし、顧客が減少していく時代になるとこのやり方が逆効果になってきました。顧客が減少し売れなくなる。さらに社員にプレッシャーをかける。この繰り返しで社員は疲弊して辞めてしまう。しかも、来る度に薦められるとお客様も嫌になり、どんどん離れていってしまう。
このやり方ではダメだ。その経営者は商売の原点に立ち戻って考えられました。
「自分達の使命は“商品を売ること”じゃない。本来の使命は、お客様に安心、安全を提供することだったのではないか」。ならば、売る前にやることがあるはずだと、商品を無理に進めることを辞め、お客様が使われている「商品」の点検やメンテナンスの活動をメインにする売り方に変えようと決意されました。自社で販売したものでなくても、お客様が今使われている商品を無料で点検する。耐久性や機能性が問題ないかどうかを確認し、「安心」を届けていく活動に専念することに。現場のリーダーもスタッフに数字のプレッシャーをかけることを辞め、「とにかくお客様に安心していただこう」と言い続けられました。
その活動を続けていくと変化が起こってきました。まず、店頭でお客様からの「ありがとう」の言葉が増えてきました。点検後に「安心してお使いください」というだけで、決して売り込みをしない。使われている商品に何か問題個所を発見すればそれをお伝えし、「他で買われてもいいので、お気をつけて利用してください」という。こんな活動を続けていると、次第にお客様の方から、見積の依頼や買い替えの相談がくるようになってきたそうです。さらにクチコミで来店されるお客様も増え、落ち込んでいた販売数はみるみる回復していったそうです。また、今までは「どうやって売るか」と自分視点で考えていたスタッフが「どうすればお客様に役立てるか」というお客様視点で考えるようになる。自分達の仕事に誇りを感じるようになり、社員の「働きがい」も高まっていったと伺いました。
地域のお客様が求めていたのは、気軽に相談に乗ってくれるお店。自分都合で売ろうとせず、自分達の立場になって考え、生活に寄り添ってくれる姿勢が嬉しくなり、ファンになっていったのではないでしょうか。
確かに、自分達の利益優先の会社より、世の中のため、人のために貢献しようという。そんな会社に共感が生まれます。人口減少の時代の中で、働く人も、お客様も少なくなっていく時にこそ、「共感」や「信頼」が益々大事になっていくような気がします。
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お客様満足・感動の向上
2024 年 10 月 16 日 15:42
追いかける仕事、追いかけられる仕事
仕事というのは、本当に不思議なもので、同じ仕事をしていても、その時々で感じ方が違ってきます。山のように仕事が舞い込んで、しんどいと思う時もあれば、山のような仕事を前にやりがいを感じる時もあります。つまらないと思っていた仕事が、意味や意義を感じるようになり、突然、面白くなることもあります。
「こなさなければ」「やらなければ」と、やることに「追いかけられている」と辛い時間になる仕事も、「こうやっていこう」「もっとよくしていこう」と、創意工夫し、「やることを追いかけて」仕事をしていると、楽しくなる。一流職人や、プロと言われる人の仕事をみていても、一流と言われる人ほど、「もっとよくできないか」「もっといい方法はないか」と探求心を持って仕事をされています。正解もなく、ゴールもないから、どこまでも考え続けてしまう。そこが楽しいから、やり続ける。
追いかけられれば、義務感・負担感に、追いかけていけば、夢や使命感。本当に自分の心次第です。
仕事を追いかけるか、追いかけられるか。面白くするか、つまらないままにするか。
どちらも自分で選べます。
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いきいき働くための仕事の姿勢 働きがい・やりがいの向上
2024 年 10 月 08 日 17:53
優秀営業スタッフに学ぶ「お客様からの信頼」
以前、ある方から、お客様から信頼され、業績を上げ続ける営業スタッフを業界を超えて調査した時に、いくつかの共通点があったと聞きました。その共通点は、常にお客様の立場にたち、お客様のことを良く理解しようとする人、それと、お客様の小さなお困りごとや不満を聞き、解決しようとする人、そして、そのお客様の立場にたって、お客様に合わせた提案をする人だということです。
成績の良い営業、売れる営業と聞くと、お客様に買いたいという気持ちにさせるような巧みな話術だとか、目標達成に貪欲な姿勢などを想像します。確かに「売れる営業」はそんな姿勢が求められるのかもしれませんが、「売れ続ける営業」は少し違うようです。もちろん、そうした話術も数字へのこだわりもある。しかし、それ以上にお客様の立場になって、お客様と一緒になってお客様の幸せを考え続ける。一見すると不効率にみえるような活動を一生懸命に行っている人が、売れ続けている営業のようです。
顧客満足度の高い、ある自動車販売会社の中で、長年トップの成績を誇る営業スタッフのお話を聞いたことがあります。その人は、例えば、新規のお客様と商談中で、今、買おうとされている瞬間であっても、もし、既存のお客様から、トラブルがあって助けてほしいと連絡があれば、その商談を中断して、すぐに助けにいくそうです。商談を中止にされたお客様は、さぞ怒られるのではないか思ってしまいますが、逆に、その人のどんな時もお客様を大事にする姿勢に感銘し、その人から買いたいと思われるそうです。自分が販売したお客様が心配になる。その人のためにできることをしたい。どうせ買うのなら、そんな姿勢の営業スタッフから買いたいと思うのは、むしろ当然のことかもしれません。
自分の成績や自社の利益のことよりも、相手の立場になって考える。お客様にとっては、これほど信頼できる人はいません。
「目の前のお客様が大事だ、しばらく買わないお客様なんかほっておけ。」と、業績を上げろ、業績を上げろと言われる時代もありましたが、今そんなことをしていては、大事なお客様から嫌われて、次の売上を失ってしまいます。売れ続けるには「売った後」が大事な時代です。だから売れる。
実際、先ほど紹介した営業スタッフは、「あなたから買いたい」というお客様が増え続けるので、ヒット商品が出ようが出まいが、不況であろうがなかろうが関係なく、どんな時でも営業成績が落ちず、ずっと売れ続けているそうです。
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いきいき働くための仕事の姿勢 働きがい・やりがいの向上
2024 年 10 月 01 日 10:27
職場の人間関係と生産性
徳島県に西精工という会社があります。この会社は自動車部品のナットを作る製造業ですが、働く人の9割近くが、社内のES調査に対して「この会社で働いていて幸せを感じている」と答えるほど、社員エンゲージメントが高い会社です。
こうした職場になった背景には、理念の共有などいろいろな取り組みがあるようですが、特に大事にしてこられたのが職場の風土づくりでした。働く仲間同士が良い人間関係を築けていないと良い仕事はできない。言われてみれば当たり前のようなことですが、良い人間関係をつくっていくことはなかなか難しいことです。
論理的に考えれば、10の力を持っている人同士が仕事をすると、5の力の人同士のチームより大きな仕事ができるという理屈になります。でも、いくら10の力を持っていた2人でも、その間の人間関係が悪く、いがみあっていては仕事はマイナス10になることもあります。逆に、例え5の力のチームでも人間関係が良ければ協力し合って仕事をすればプラス10が生まれることもある。10の力のチームより、5のチームの方がいい仕事をすることがあるというのが人間です。
また、もし10の力を持っていた人だとしても、家族の中に不安があったり、悩みを抱えていれば、仕事の中で力を存分に発揮できません。10の力が半減する時もある。そんな時にチームメンバーが声をかけ、不安を理解してくれるか。人間関係は仕事の生産性にも大きく影響します。昔は飲み会やプライベートの交流という、いわれる仕事を超えた付き合いで、お互いがわかり合うことができましたが、最近はなかなかそんな時間もありません。人間関係が希薄になってきています。
西精工では、少しでも職場の仲間同士がわかり合おうと、毎朝1時間近くもかけて朝礼を行っています。この朝礼は、単なる報告や情報伝達の場ではなく、理念や価値観を題材に、お互いが仕事に対して、どのような気持ちで取り組んでいるか、職場のメンバー同士でじっくりと対話をする時間です。この1時間は、一見すると「無駄な時間」のようにも思えますが、この朝礼が職場の中の人間関係が良くする大切な時間になっているようです。お互いの理解・信頼が高まる。結果として助け合いや協力の質が高まる。結果的に仕事の生産性も上がっていく。この朝礼は15年も続けておられます。
何十年も働く時間は、いつも順風満帆な人生ではなく、家族のことで悩んだり、人生で悩むこともある。そんな時、人間関係が良好で、プライベートなことでもフランクに相談できるような人が傍にいてくれる。働く人にとってこれほど安心なことはないかもしれません。
よい人間関係と生産性。働く人にとっても、会社にとっても、これからの時代において大事なことではないでしょうか。
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「いい会社」が実践する理念経営 いきいき働くための仕事の姿勢
2024 年 09 月 25 日 10:48
やらされている仕事からの脱却
「やらされている」「させられている」という感覚のまま何かをやることは、大きなストレスです。させられている訳ですから、やっていることに納得していない。しかし、やらなければ怒られる。我慢しながらも愚痴を言いながらも仕事をする。こんな状態では、「さっさとかたずけよう」という気持ちが先に来てしまい、この業務をより良くしようというような前向きな気持ちはなかなか起こりません。
企業の中での「研修」でも、こんな「やらさせている」という気持ちを感じることがあります。本当は参加したくない、面倒くさい。何で今さらこんなことを学ばなくてはいけないのか。会場の雰囲気から参加者の気持ちが伝わってくることがあります。学校の授業もそうですが、そんな気持ちで参加していては、「こなす」だけになって、身につく訳がありません。だから、講師は、何のためにやるのか、なぜ、この研修が大切なのかを伝えようとしますが、そもそも本人が「学びたい」「参加したい」と思っていなければ、どんな研修も無駄な時間になってしまいます。
日々の業務でも、「やらされている」「させられている」という気持ちになることがあります。上司の言うことを聞くことが当たり前、ルールに従うことが当たり前。自分が納得していなくてもやる。それが会社員。昭和の時代は、こうした姿勢が仕事のスタンダードだったのかもしれません。ただ、そんな気持ちでは、「こなす」仕事になり、お客様のためにもっと良い対応をしようとか、より良いものを生み出す仕事にはなりません。
では、どうすれば、「やらされている」「させられている」という気持ちを消すことができるのでしょうか。個々の気持ちの問題ですから外からどうすることもできない。個々が「自分が本当にやりたいこと」を考えるしかありません。先ほどの研修でいえば、本当に参加したくないと思えば、参加しない。意味がないと思えば、自分にとって意味ある研修に参加する。もし、義務感で参加したとしても、そこに参加する以上、自分で意味を見つけようとする。「やりたくない」ことを「やりたい」ことに変えるのはその人にしかできません。
最近、組織のビジョンやパーパスを明確にしようとする企業が増えてきていますが、いくら企業が「ありたい姿」を示したとしても、それが、社員自身の「ありたい姿」が重なっていなければ、すべては他人事。その人が自分もそうありたい、そこを目指したいと思えなければ、仕事はいつまでも「やらされている」ことになってしまいそうです。企業の中でも、こうしたことを考える時間や場所をつくる企業が増えてきているようですが、自分の人生で本当にやりたいこと、自分が行きたい場所、自分がありたい自分は何か。個人の「やりたいこと」が明確になってこそ、本当のモチベーションが生まれるような気がします。
余談ですが、研修の前に、やらされ感をなくす方法を話すことがあります。その方法は、早めに諦める。嫌だ嫌だと思いながら終了時間まで我慢するか、「ここまで来た以上、しょうがない」と受け入れて、少しでもいい時間にしようと自分自身を学ぶモードに切り替えるか。天候や環境など、自分で変えられないものは変えられないと受け入れることを「肯定的な諦め」と呼ぶそうですが、嫌な状況でも、気持ちだけは自分でつくることができます。せっかくの研修の時間とどう過ごすか。会社も仕事も同じかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢 働きがい・やりがいの向上
2024 年 09 月 11 日 15:58
仕事の面白さ
先日、ある会社の若い年次の営業スタッフに、仕事のやりがいや面白さについてインタビューする機会がありました。今年から急に成績が上がってきたある若手は、やはり自分が上位にいることやそれに伴って報酬が増えていくことが、今いちばん楽しいと感じていると話をしてくれました。確かに自分の頑張りが数字に出てくると、達成感が生まれますし、仕事は面白くなってきます。
しかし、だんだんと数字の面白さだけではなく、仕事の中身に喜びが移っていく人もいます。ある年次の若手は、自分の営業の中で、思いがけずお客様から感謝の言葉をかけてもらったことが転機になり、もっと役立っていきたいと、面白さを語っていました。
数字が達成した時などは確かに嬉しい。周りも褒めてくれます。しかし、何度も繰り返していくとそれが当たり前になって喜びが少なくなったり、続けていくうちに数字が苦しくなることもある。そんな時に、違う喜びに転換していけるかどうか。後者の若手のように、「この仕事で自分が人に役に立てている」というような喜びに出会うと、また違った意味で仕事は、どんどん面白くなっていきます。
確かに「仕事の面白さ」はひとつではない。「出来ないことが、出来るようになる」というという面白さ、「頑張りに対して報酬がもらえる」という面白さ、自分の頑張りを、「みんなが称賛してくれる」という面白さ。成長と共に面白さも変わっていきます。その中でも本当に仕事が面白いと感じている人の面白さは、「自分の仕事を通して人の役に立つ、感謝される面白さ」ではないでしょうか。頑張ったとしても、なかなか感謝されることもない。しかも、人によって喜ばれる内容は違う。難しいからこそ、やりがいになります。
そもそも仕事に色はついていない。「面白い仕事」や「面白くない仕事」というものはありません。
ようは、自分が面白いと感じているかどうか。もし、仕事が面白くなくなっているとしたら、仕事のせいでも、まわりのせいでもなく、ただ、自分が飽きたり、興味がなくなっているだけ。次のステージにいくタイミングなのかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2024 年 09 月 03 日 10:22
上司のあり方
仕事の中で、上司が部下に対して「こうすれば上手くいく」と指導したくなる時があります。
悩んでいる部下に対して、何とか助けてあげたい。自分の過去の体験を通して教えてあげたいと思うのは当然の想いで、部下に関心があるからこそ、教えたくなります。「こういう時は、こうすれば上手くいく」。自分自身もそうやって指導をされ、指導をしてきました。
しかし、よく考えてみれば、上司のそういう姿勢は、すべて「過去」が起点。「かつて」上手くいったことが未来も上手くいくとは限らないのに、つい過去の延長線上に成功があると思ってしまいます。今は違うとわかっていても、昔はこうして上手くいったから、こうしなさいと、つい過去の経験で指導をしてしまいます。
しかし、冷静に考えれば、上司が指導することは「かつて」「自分がやって」上手くいった過去のことであって、「今」「部下がやって」うまくいくとは限りません。時代も違えば、やる人も違う。得意、不得意も違えば、考え方も、体験もすべて異なります。「過去もこうしてきたから、こうすれば良い」という指導は、相当、無理があり、逆に、部下から「上から目線」などと思われるなど、マイナスになっていることも多いような気がします。
今の前提は「その人にとってのベストな方法は誰もわからない」ということ。だから誰も指導はできないと思った方がいいのかもしれません。解決策は部下自身が、自分で試し、自分でやってみて、自分で考えていくしかない。過去のやり方も通用しない、上司もわからないのであれば、やってみるしかありません。そうすると、上司の役割はそんな部下に勇気を与え、支援する係。むやみに指導したり、過去の成功を教えるのではなく、大切になるのは、その人の抱える課題を一緒に考え、一緒に解決策を探したり、作りあげようというスタンスでいることなのかもしれません。
上司が大事にしているのが過去か、未来か。上司の見ているものが問われています。
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これからの時代の人財育成
2024 年 08 月 27 日 16:09
組織のビジョンと個人のビジョン
どの会社でも、組織の理念を浸透させたいといろいろなことに取り組まれていると思います。うちの会社のめざす姿はこういうことだ、この事業を行う目的はこういうことだと、ことあるごとに社員に伝えている企業も多いのではないでしょうか。
しかし、いくら伝えても、社員になかなか響かない。このような悩みはよく聞きます。理念が浸透するというのは、組織のめざしたい姿や目的が、そこで働く人の自分のめざしたい姿や目的と重なること。会社の行きたい場所に、「自分もそこに行きたい」と思えた時に、自分事になっていきます。
ただ、就職活動をしている学生であれば、自分自身は将来、どうありたいのか?と自問自答しているかもしれませんが、会社に入り、年齢を重ねるほど、自分の将来やビジョンを考える機会は少なくなります。今の仕事に追われているうちに、今が大事になり、未来を考えなくなってしまう。だから、会社の未来やビジョンを伝えられても、なかなか理解できない。そんな人は意外と多いのかもしれません。
自分自身が行きたい場所や生きる目的がわからない時には、組織のビジョンに共感も何もありません。会社の理念を学ぶ以上に、個人にとっても自分の理念やビジョンを考えることが大事になっている気がします。
よく考えてみれば、いきいきと働いている人は組織のビジョンと個人のビジョンの重なりを感じている人。「重なり」が多いほど、働きがいがあると感じているはずです。真に理念を浸透させるために、一人ひとりが個人のビジョンをつくる場も必要なのではないでしょうか。
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経営理念の浸透・共感
2024 年 08 月 20 日 10:31
売ってから始まるおつきあい
先日、自宅のトイレが故障し、その会社に連絡をすると、休みの中でもすぐに駆け付けてくださって助かったことがありました。住宅でも車でも家電でも、使っていると故障したり、不具合が生じてきますが、その時に買ったお店がしっかり対応してくれると本当に助かります。「売った後」に責任をもってくれるお店や企業はやはり、信頼できます。時々様子を見に来てくれたり、手紙をくれたりすれば、なおさら。「次もその店で買おう」という気持ちになります。
一流ブランドのバッグなども、高くても、何かあってもしっかり修理してくれるという安心感があるからこそ、買おうという気持ちになる。自分達の売ったものに誇りと責任を持っている企業ほど、アフターフォローに手を抜かないのかもしれません。
東京都の町田市に、「でんかのヤマグチ」という小さな家電専門店があります。お店の周囲に大型量販店がひしめく環境にあって、この店は「多少高くても家電はヤマグチで買う」というファンをがっちりつかんで成長し続けているお店ですが、やはり、創業時から大切にしてこられたのが「アフターフォロー」です。どんなにお客様が買いたいといっても、無理に商圏は広げず、自分がしっかりとアフターフォローできる範囲に絞り、その中で、家電を販売した後に、様子を伺いに訪問したり、困ったことがあれば、電池一個でも届けにいく徹底ぶり。そんなこまめなアフターフォローが安心感になり、大型量販店がどれだけ安売りをしても、このお店のファンは離れていかないそうです。
昔は、このお店のやり方を見て、「電池一個を届けるなんて不効率だ」「安さの方が大事だ」という声も多かったそうですが、その長い時間の無駄のおかげで強い「顧客エンゲージメント(絆、つながり)」が育まれています。今では安売りの量販店もアフターフォローに目を向ける時代。周囲の声に流されず、お客様の立場にたった商売を続けていくことの大切さを感じます。
売ることが商売ではなく、売ってからが、お客様との本当のおつきあいのスタート。お客様の心の中に「次もこの店で」という気持ちが生まれるには、どんな商売においても、自分が販売した商品に責任を持という姿勢と行動がますます重要になっている気がします。
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いきいき働くための仕事の姿勢 お客様満足・感動の向上
2024 年 08 月 07 日 17:11
持続可能な顧客サービス
一人の生活者として、いろいろなお店で「お客様サービス」を体験していますが、日本のサービスレベルは向上していることを実感します。SNS等で、お客様の評価が見えるようになったからなのでしょうが、以前なら、接客態度が悪い、商品の質が悪いと文句を言いたくなるようなお店もありましたが、どこを利用しても、不満を感じることが少なくなっているような気がします。
しかし、お客様にサービスを提供する従業員のマインド面で見た時に疑問を感じる部分があります。本当の意味でサービスは向上しているのでしょうか。人の顧客としてお店のサービスを体験してみると、「この店はいい、いいサービスだ」と感じるお店は、やはり、従業員がいきいきと働いています。サービスはしっかりしているのに、従業員がいきいきと働いていないお店と違って、そうしたお店では、従業員が声をかけてくれたり、ちょっとした気遣いをしてくれたり、顧客に楽しんでもらうことを、自分も楽しんでいる気がします。
お店で行うサービスにその人が心の底から楽しんでいるか、義務感でやらなければいけない仕事だと思ってやっているのか。
良いサービスを実現するのは人。日本のサービスはお客様に対しては向上しているのかもしれませんが、従業員のマインドは向上したのででしょうか。
お客様満足を高めるために従業員にサービスを義務付ける。マニュアルにして強制する。確かにそれでサービスは向上したとしても、働く人は楽しくはない。これでは、どんなにお客様が評価をつけようが、従業員が定着はしないし、長く続かないのではないでしょうか。義務的なCSとやらされていると感じる従業員。自由裁量の中での主体的なCSと、それを自分の喜びとする従業員。どちらが持続可能かは言うまでもなく、後者。やはりESの向上なくして持続可能な本当のサービスは生まれないように感じます。
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いきいき働くための仕事の姿勢 お客様満足・感動の向上
2024 年 07 月 31 日 12:10
手間をおしまない
先日、顧客満足度の高いある住宅会社が行う、お客様に新築物件をお渡しする前の点検活動の様子を映像で拝見しました。お客様にとって人生でいちばん高い買い物。それを建てた責任として、不具合箇所がないか、床についた小さな傷も見逃さまいと、社員が這いつくばって点検をする。お客様に喜んでほしいと、丁寧に点検される姿にこの会社の姿勢が伝わってくるようでした。
こうした手間ひまかける対応を見ていると、顧客満足度日本一のレクサス星が丘のお店のスタッフが、お客様に出すお茶を入れる際に、お茶を蒸らす時間を秒単位で決めたり、車の誘導の際に、運転席から案内が見やすい角度を研究し、マニュアル化されていることを思い出します。
効率化、省力化と向かう世の中で、こうした手間はコストもかかり、逆行することなのかもしれませんが、やはり「手間」をかけることは、必ずお客様の満足につながっていく。飲食店における料理の仕込みもそうかもしれません。開店前の掃除やお店の飾り付けも同じかもしれません。手抜きの仕事に満足は生まれません。お客様のための「手間」は、きっと相手の心に伝わっていく。高い買い物ならなおさらです。
ただ、私たちは仕事に慣れてくると、つい、手間を省こうとしたり、こなすように仕事をしてしまう時があります。慣れるということは良いことである一方、毎日同じことを繰り返していくと、つい、これまで一生懸命やっていたことが面倒になる。自分自身が飽きてしまう。「慣れ」や「飽き」から手抜きが始まります。しかし、お客様はそうした姿勢を見逃さない。せっかく買いものをしても、そこで流れ作業のような対応をされれば、きっと心の中で「もう、この店は来ない」と思われてしまうのではないでしょうか。
あのディズニーランドでは、こんな「慣れ」や「飽き」の気持ちを戒めるために、「毎日が初演」という言葉があるそうです。初めてステージに立つ時に感じた緊張感、全力でやりきろうとする姿勢、お客様に喜ばれた時の感動。確かに、初めての仕事は誰も手抜きをしませんし、手間をかけたことに喜びや手ごたえを感じるもの。ディズニーランドが40年にもわたって顧客を魅了するのは、こうした姿勢の積み重ねかもしれません。
手間を大切にする。手間をおしまない。顧客にとっても働く人にとっても大切な姿勢のような気がします。
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いきいき働くための仕事の姿勢 お客様満足・感動の向上 素晴らしい組織風土づくり
2024 年 07 月 23 日 12:59
「ちょっとした心配り」と顧客満足
買い物をしたり、サービスを利用する時、時々、そのお店の店員さんの思いがけない気配りや心配りに感動することがあります。自分のことを覚えていてくれた。手間のかかることなのに笑顔でやってくれた。困っている時に親切にしてくれた・・・。マニュアルを超えて店員さんの想いから行われる「ちょっとした心配り」。お店のスタッフとお客様の間で交わされる「ちょっとした顧客体験」について考えてみました。
こんな体験は誰でも一度はあると思いますが、ある調査では、こうした「ちょっとした心配り」の体験を1人が1年間で体験する割合は14%だそうです。その調査では、この体験をすると「この店をもう一度利用したい」という再利用意向が、体験しなかった時と比べ47ポイントも上がるという結果が出ているそうです。また、こうした体験をすると「この店を人に薦めたい」という推奨度も28ポイントも向上するそうです。こうした調査は一部ですが、自分の実感としても、「ちょっとした心配り」が顧客満足向上やファンづくりの上で、大きな影響を与えていることがわかります。
その調査にはありませんが、「ちょっとした心配り」は社員の側にも良い影響を与える気がします。「心配り」というのは、相手ことを考え、行動することですが、自分の行為がお客様の笑顔につながったとすれば、「された方」だけでなく「した方」も嬉しくなるはず。「店で決められたサービスを、決められた通りに行う」ことは確かに大事なことであっても、そればかりをやっていると働きがいを感じにくい。しかし、自分が考えて行うこと、そしてそれが誰かの喜びを生み出せることだとすれば、「やりがい」にもなります。「ちょっとした心配り」が増えていけば、顧客も、働く人も、企業にも良い影響が生まれてくるのではないでしょうか。
しかし、考えてみれば、困っている人がいたら助ける。手を貸す・・・そんな「ちょっとした心配り」は日常生活の中で、社会人があたりまえに行うべきこと。仕事の場で気配りが出来ている人は、日常の場でも同じようにしているはずで、「ちょっとした心配り」は、ビジネスだからやる、顧客満足に有益だからやるというように考えて行うことではなく、人として「あたりまえなこと」を、仕事の場でも当たり前にやろうということなのかもしれません。相手も自分も嬉しくなること、決して損はありません。
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いきいき働くための仕事の姿勢 お客様満足・感動の向上
2024 年 07 月 18 日 09:49
仕事の誇り
いきいきと働いている人をみると、やはり自分の仕事に誇りを持っています。自分の仕事が社会の役に立っている、誰かのお役に立てていると感じながら働けることほど、充実した時間はありません。自分の仕事や会社に誇りをもてるかどうか。大事な自分の家族に誇れるかどうか。誇りは働きがいです。
しかし、どうすれば自分の仕事に誇りがもてるのでしょうか。同じ給料で同じ仕事をしている人でも、「こんなつまらない仕事、やってられるか」と思う人もいれば、この仕事は「本当にいい仕事だ」と心をこめ、誇りをもってやる人もいます。しかし、どれだけ上司が、誇りをもってほしいと「仕事の素晴らしさ」を語ったとしても、それに共感するかどうかその人の心の問題。外側から何とかできる問題ではありませんが、自分の仕事に誇りを感じられれば、毎日が変わっていきそうです。
仕事への誇りは、どのような時に生まれてくるのか。単純ですが、私は、「自分がやると決め、心をこめて行ったことで、誰かが喜んでくれたり、思わぬ感謝の言葉をいただいた体験」が仕事の誇りにつながっていくのではないかと思います。苦しかったけど「やってよかった」「がんばってよかった」という感動体験。仕事を通した感動体験を通して、「自分はいい仕事をしている」という実感が生まれてくる気がします。
やらされていると感じ、仕事に心がこもっていない仕事でいい仕事はできませんし、そのような仕事で喜ぶ人はいません。例え業務が終わっても、目標を達成しても、やらされている気持ちでいれば、ホッとする気持ちになっても、感動はないはず。一生懸命のプロセスがあってこそ、感動体験が生まれます。
仕事は、頑張ったから必ず感謝されるかというと、そう単純なものではありません。しかし、そうした仕事を続けている人は、必ず誰かが見ていてくれる。少なくとも、自分自身がいちばん見ています。
自分の仕事を、心からいい仕事だと大切な家族に誇れる。給料も大事ですが、働く幸せは、こんなこともあるかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢 働きがい・やりがいの向上
2024 年 07 月 10 日 13:26
やりたいことしか続かない
誰でもそうだと思いますが、人間にとって、やりたくないことを続けていくことは本当に苦しいこと。継続するには、それが本当に心からやりたいことでなければ、継続しないのではないかと思います。
個人もそうですが、企業においても、働く人がやりたいと思ってやっていなければ、いつか破綻していく。人間の本質に沿っていないことを持続させていくことは難しい気がします。
本来、自分のやりたいようにしたいというのが人間だとすれば、行動を型にはめる「マニュアル」も長続きしないのかもしれません。企業とすれば、「一律なサービス」を提供しようと接客もマニュアルにしますが、顧客としていろいろと見てきても、マニュアル通りの対応をしている人で、楽しそうな人はあまり見たことはありません。もちろん「悪くない対応」なので不満はありませんが、気持ちよいという感情にはなりません。不満を出さないサービスは提供できていても、働く人にとってはどうなのか。短期間のバイトなら我慢ができても、本当にやりがいを求める人にとって魅力はないかもしれませんが、義務感ややらされ感の顧客満足が長続きする訳がない。そんな気がします。
型にはめない対応を実現するのは、本当に難しいことなのでしょうか。「自分がやりたいと思ったことを、やりたいようにやりなさい」と社員に任せると悪いことが起こるのでしょうか。もちろん、企業である限り、何でもできる訳はなく、できる範囲は制限されると思いますが、働く人の「やりたいこと」を信じてやってもらうことは、そんなに難しいことなのでしょうか。
昭和の時代は、その仕事が嫌でも、義務感でもやらされ感でも、我慢してやることが当たり前と言われてきましたが、我慢しても、やはりやりたくないことは続かない。
あなたは、今、やりたいことをやれているか。働く人にも問われていることなのかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢 これからの時代の人財育成
2024 年 07 月 03 日 10:29
なぜ、部下が指示通りにしか動かないのか。
部下が言われたことしかやらない、指示した通りにしかない・・・。そんな悩みを聞くことがあります。世代の特性として言われることがありますが、本当にそうなのでしょうか。YouTubeなどの動画などで、若い人が自分の好きなことに挑戦し、失敗しながらも楽しく活動している様子をみると、今の若い人が指示通りにしか動かない、受け身の世代だとは思えません。
では、なぜ部下は指示通りにしか動かないのか。ある会社の経営者とその話をしていると、その方は「それは上司が指示をするからだ」という考えをされていました。その会社では、以前から、働きがいこそ社員の幸せであると考え、そうした働きがいを削ぐ要因となる指示命令はしないということを大事にし、それが会社の文化になっています。上司が指示をすることはなく、それぞれが自ら考えて行動しています。
誰も指示しない。確かに右も左もわからない入社したての人は戸惑うことも多く、悩むこともあるそうですが、自分で考えることが当たり前になってくると、それが普通になり、数か月も経つと、誰に指示されなくてもやるべきことをやるようになるそうです。
確かに、上司が指示をすると人は動く。しかし、その指示を受けることが当たり前になると、指示を待つようになる。指示されたことをやっているうちは良いかもしれませんが、指示されたことだけをやっていると、ロボットのようになり、多くの場合、仕事が面白くなくなります。面白くなくなるとやる気も出ない。そうなってくると、指示されたこともしたくなくなる。その人の本来の考える力や面白さを奪っているのは、上司の問題かもしれません。
こうすればいいと指示をしたり、アドバイスをすることは確かに有効で、瞬間的には、部下もその方が楽なのかもしれませんが、本当の問題は、部下がその時に出来たはずの「悩む力」や「考える力」が育たなくなること。先ほどの経営者の会社では、上司は部下の問いに対して答えを出すことはせず、「どうすれば、いいと思う?」という質問をするそうですが、本当に部下を大切に思い、成長してほしいと思うからこそ、このような質問になるそうです。
なぜ、部下が指示通りにしか動かないのか。
そのように育てているから、そうなってしまう。それが答えかもしれません。
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これからの時代の人財育成
2024 年 06 月 25 日 10:02
お店の姿勢
私たち消費者は、お店を選ぶ時、便利だから、品揃えがいいから、接客がいいからというような理由で選んでいると思いますが、その理由の奥に、やはり、そのお店や企業の商売に対する姿勢も判断の軸になっているような気がします。旅行で利用するお店や、1回だけしか利用しないお店なら、それほど問題にしないかもしれませんが、通い続けているようなお店は、結局、その店の姿勢が好きという理由でファンになっているのではないでしょうか。
お店の姿勢というのは普段は見えないものですが、小さなところ、ちょっとした行動に滲み出てくるような気がします。先日、あるスーパーの方に、お客様と店員さんの小さなエピソードを伺いました。その日、閉店の準備が進み、まな板や包丁などを消毒して片付けをしていた時に、一人のお客様がキャベツをほしいと言ってこられたそうです。それも4分の1だけ。その時に店員さんは、喜んで!と笑顔で片づけたまな板や包丁を出して売ってあげたそうです。面倒な時間に申し訳ないとお客様も思っておられたはず。その時に嫌な顔ひとつせず対応してくれるお店の姿勢は嬉しかったに違いありません。
こうした対応はその人だけの特別なものではでないはず。普段から、こうしたことを大事にしようという店長がいて、快く手助けしてくれる仲間がいる。会社そのものが業績よりもお客様を大事にしようという姿勢があったからこそできた対応のような気がします。
お店の姿勢とは、企業の「あり方」、企業の理念。お客様を大事にするという姿勢、喜んでほしいという企業のあり方が「店の姿勢」として消費者に伝わっていく。4分の1のキャベツのように、お店の「あり方」が、売り場に、接客に、商品の細部ににじみ出て、そこに共感したお客様がファンになり、通い続けるようになる。
閉店間際に来店して、ムスッとした顔をされる店員さんもいますが、そうした対応も含めて、消費者は、いつもお店の「あり方」も敏感に感じているような気がします。
消費者がお店の「あり方」もお店選びの判断にしているとすれば、企業がもっと理念を大事にし、理念の浸透に多くの時間を割いていくことが、持続的に成長していくためにも大事な気がします。
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いきいき働くための仕事の姿勢 これからの時代の経営のあり方
2024 年 06 月 17 日 17:35
仕事の意義
仕事がつまらない、身が入らないという人がいます。頑張っているのになかなか成果があがらない、業務量が多い、単調になってしまう、身体が疲れている・・・そんな気持ちになる時の要因は様々だと思います。何が要因か、実際はその人によって異なるのかもしれませんが、その可能性のひとつとして、自分の仕事の意義・意味を感じられなくなっているということがあるかもしれません。
自分の仕事をただの仕事だと感じるか、それとも社会に役立つ価値ある仕事だと感じて働いているか。もし膨大な仕事をしていたとして、身体は疲れていたとしても、後者なら心は疲れないはず。目的も知らされず、「ただこの作業を行え」と言われてやるほど、苦しいことはありません。今、若い人の転職が増えていますが、やりがいを求めるのは、やはり自分にとって意義あること、意味のあることをしたいと誰もが思っているのではないでしょうか。
何のために働いているのだろうか。この仕事の意義は何だろうか。その人がわからなくても、どの会社にも、その答えがあります。多くの会社の事業の意義、意味は経営理念として明確になっているはずです。ただ、それが、社員にとっての「自分の働く意義、意味」として感じているかどうかは別の話で、経営理念がただ飾られているだけの会社では、社員もそれを感じる機会が少なくなるのではないでしょうか。理念が形骸化している会社ほど、仕事が作業になり、「つまらない」となってしまうのかもしれません。
自分の仕事に意義を感じているかどうかは、簡単な質問でわかります。例えば、車という商品を売っている会社の社員に「あなたの仕事は何ですか?」と尋ねてみる。そこで、何と応えるか。「私の仕事は、車を売る仕事だ」と応える人もいます。しかし、笑顔で「私の仕事は、車を通して人の幸せを提供する仕事だ」と応える人もいます。前者は仕事を単なる業務としてとらえている人。後者は、自分を、社会に役立つ仕事だと意義を感じている人。どちらの人がいきいきと働けているかどうか、言うまでもありません。
今、多くの企業で、希望をもって入社した若い人が3年たたずに辞めていくという状況が多くなっています。離職する理由はいろいろとあるかもしれませんが、もし「つまらない」と感じさせてしまうのは、やはり、自分のやっている仕事の意義や意味を感じさせてあげられていないということもあるのではないでしょうか。与えられた仕事をただの作業ととらえる3年か、その作業の先にはお客様がいて、喜んでもらっている尊い仕事をしていると感じて働く3年か。先輩や会社が理念を忘れていると、仕事は労働にしかならないですし、そんな会社に魅力を感じることはない。働く人が少なくなる時代、意義を求める時代だからこそ、改めて企業の理念というものが大事になる時代だと思います。
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いきいき働くための仕事の姿勢 働きがい・やりがいの向上
2024 年 06 月 11 日 13:23
自信と慢心
自信を持つことは大事なこと、しかし、慢心になってはいけないと言われます。
「自信」と「慢心」は何が違うのでしょうか。辞書によれば、「自信」とは自分で自分の能力や価値などを信じること。自分の考え方や行動が正しいと信じて疑わないこと。物事に対して「自分はできる」と信じること。確かに自信を失ってしまうと前に進めません。
失敗をすると自信を失い、未来が不安になります。だからこそ、一歩一歩実績を積む。未来に対して「自分はできる」と思えるようにしていかなければならない。過去の積み重ねの中で少しずつ高まっていくのが自信。しかし、ある程度、自分で出来るようになると、そこでOKを出して「仕事をこなす」という感覚になることもあります。自分は出来るという感覚が続くと人のアドバイスも聞かなくなる。こんな時が「慢心」。得てして、大きなミスや失敗はこんな時に生まれてきます。
一流アスリートを見ていると、確かに自信に満ちてプレーをしていますが、決してこなすようなプレーはしていない。一流選手ほど「これでいいのだろうか」「もっとできるはず」だと思い、努力を継続しています。職人の世界でも、ビジネスの世界でも同じ。自信をもっていたとしても、どこまでも慢心しない。一流と二流の差はこんなところにあるのかもしれません。
本当の自信を持っている人は、自分の本当の力を正しく認識できていると聞いたことがあります。例えば、何かが達成できた。一般的には嬉しいと思うだけだが、真の自信を持っている人は「ここはできているが、ここはできていない」「ここは繰り返しできるようになったが、ここはまだまだミスが起こる」というように、ひとつひとつのことを具体化してみている。細部を正しく認識できるからこそ、もっと成長しようと努力を続けられるのだそうです。本当の自信は、できる自分も、できない自分を知っていること。しかし、自信と慢心は紙一重と言います。つい慢心してしまう。自分が気づかないうちに慢心に変わっていることがあります。一流アスリートほど、優勝インタビューなどで「うまくいったのは自分の力だけではない、みんなのおかげ」だとコメントをしていますが、そこにあえて意識を向けていくことがいちばん大事なのかもしれません。
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働きがい・やりがいの向上
2024 年 06 月 04 日 10:48
100-1=0
帝国ホテルに入社すると、新入社員はまず、「100-1=0」というサービスの心得を教わるそうです。
これは、社長、会長を歴任された藤居寛氏の教えとされています。
ホテルでは、お客様をドアボーイがお迎えし、フロントでチェックイン。そして、部屋に案内され、滞在中レストランで朝食を食べたり、ロビーでくつろぐ。帰りに精算し、最後にまたドアボーイがお見送りをします。滞在中にいろんなスタッフからおもてなしを受け、こうした一連の体験を通して、良ければ「またこのホテルに来よう」と思います。
しかし、この体験中に、いろいろな人がどのような素晴らしい対応をしても、たった一人でも、ミスを起こしてしまえば、すべてが台無しになってしまう。たったひとつのミスで、「もう、このホテルを利用しない」ということにもつながることもある。「100-1は99でなく、0」なのだ。帝国ホテルはこの意識を最も大切にしている。そう新人に教えるそうです。
確かに、私が街のレストランで食事をするという時でも、いくらいい食事をし、いいサービスを受けて満足していたとしても、帰ろうとした時に、最後のレジ対応で嫌な気持ちになったとすれば、そのレストラン全体の印象が悪くなります。場合によっては、「もう利用しない」と思うかもしれません。
普通「100-1=99」と考えます。1つのミスくらい大きな影響はない。例え一人のお客様を逃がしたところで、そんなに大したことはないと考えがちです。これは、高いブランドを誇る帝国ホテルだから通用することだ。顧客の期待も大きく、小さなミスでも「あの帝国ホテルが・・・」ということになる。そういう高級ホテルだから「100-1=0」の高い意識が必要なので、私たちには関係ないと考える人もいるかもしれません。
ただ、最近でも、例えば、チェーン展開している企業のたった1店のトラブルが全国に影響したり、バス会社のたったひとつの事故が倒産まで追い込まれることがあるように、たった一人が「まあいいか」と手を抜いた結果が、マスコミやSNSで広がり、経営にまで大きな影響を与える時代です。「あの企業はとてもいいサービスをしてくれる」という期待でお客様が来る。それは、それまでの期間に、いろんな先輩が積み上げてきた信用・信頼があるからこそ。それが一気に崩れてしまうのがマイナス1の怖さ。その陰にあるのが、自分くらいいいか、これくらいいいかというような「100-1=99」の意識なのでしょうか。
しかし、そうはいっても、ミスは誰でも犯してしまうことがある。その時に99人がその一人を見捨てず、みんなでカバーしていくことも大事なことかもしれません。
いずれにしても「100-1=0」はプロの仕事としての基本的な姿勢。サービス業のみならず、すべての業種に必要な姿勢だと思います。
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「いい会社」が実践する理念経営 これからの時代の人財育成
2024 年 05 月 27 日 16:25
ファンを生み続ける理念
東京ディズニーランドが出来て今年で、41年目になるそうですが、創業当時からファンを増やし続け、素晴らしい事業を展開されています。各地に様々なアミューズメント施設が生まれる中で、なぜ、ディズニーランドが成長し続けられたのか。先日、ディズニーランドで長く働く方から、現場から見たファン創造の理由を、直接伺う機会がありました。
ファンを魅了し続ける理由は、常に新しいアトラクションやショーを提供し続けることだと言われることもありますが、その方は、それもあるが、やはり、パークで働くキャストたちのおもてなしの気持ちが、「また行きたい」という気持ちにつながっている、と言われていました。
確かに、乗り物を提供しているだけでは、あのような世界は作り出せないでしょう。ディズニーは当初から、スタッフは従業員ではなく、映画の中にいるキャストであって、映画の世界に来るゲストに幸せになってもらうことが使命であるという教育を徹底されています。
清掃スタッフには、「あなたの仕事は掃除」ではなく、「ハピネスを創造する」のが仕事だと教える。ただ清掃するなら効率よくやればいい。しかし、あえてゲストと会話をしたり、楽しませることをやろうとするのがディズニーのスタッフ。マニュアル通りではなく、その人に合わせて自分の行動を考える。すべてのスタッフが、いかに喜んでもらえるか、いかに楽しんでもらえるかを考え続けているからこそ、あの雰囲気が生まれています。ウォルト・ディズニーさんが創業時に描いた「青空をバックにした大きなステージで3次元の映画を全員で作り出していく」という思想が未だに根付いているようです。
ディズニーは、キャストに、自分で考え、主体的に行動しようと伝えていますが、ただ、何もかも自由でよいということではないようです。その行動が常に理念「ハピネスの創造」につながっていることが求めらるそうです。
例えば、ショーのダンスのスタッフは、練習を重ねたプロ。その気になれば、難易度の高いダンスができる人ばかりだそうです。しかし、決してそういうダンスはしない。ディズニーがめざしているのは、家族が楽しめるファミリーエンターテインメント。だから、ダンスは、ゲストが一緒に踊れるような平易なダンスであるべきだと話し合い、あえて簡単なダンスにしているのだとか。平易なダンスにはショーで事故がないようにという意味もあるそうですが、とにかく「ハピネスの創造」への想いが全員に浸透しているようです。
理念という枠の中で自由に考え、自由に行動する。そのハピネスの創造の行為が、お客様を幸せにし、それを見た自分のハピネスに戻ってくる。理念を実感するために、トレーナーは、キャストにゲストの顔をよく観察してみるようにというように伝えているそうです。
40年変わらずファンが生まれる背景にある理念に対する強いこだわり。それが顧客に伝わり、「また行きたい」という気持ちをつくる。理念へのぶれない思いが、永続的な成長の原動力であることは、どの企業も同じかもしれません。
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「いい会社」が実践する理念経営 素晴らしい組織風土づくり
2024 年 05 月 20 日 15:33
伸び続ける組織の共通点
先日、ある全国組織の中で、成績優秀な組織を表彰する式典に参加する機会がありました。この業界は、構造的な問題や少子高齢化の逆風を受け、業界全体の業績が下がり続ける中で、3つの組織が昨年に引き続き成績を上げ続けられ、今年度も最優秀組織として表彰台に上がっておられました。
扱う商品は全国同じ、その地域だけが特別景気が良い訳でもない。特別な支援がある訳でもなく、やっている施策は同じ。同じ風を受けながら、なぜ、その組織だけが継続的に成績が良いだろうと、その取り組みの発表を聞いていると、その3つの組織に共通点を感じることがありました。
ひとつは、販売の姿勢。やり方はどの組織も同じように見えるのですが、その3つの組織はその根底に「徹底的にお客様に寄り添おう」という姿勢を持っておられます。成果を出そうと無理な販売はしない。その代わりにお客様のことを親身に考え、話を聞く。そうした活動を続けることでお客様が、その組織を「私の頼りになる身近な存在」として認識されるようになり、今、いろんな相談をされる関係になっているそうです。売ろうと急がないことが、結果として売れるようになっている。そんな共通点がありました。
そして、もうひとつの共通点が、働きがいのある組織づくりに長年取り組んでこられていること。意見が言いやすい職場をつくる、主体的に働ける環境をつくるなど、社員がいきいき働ける職場にしようと、長い年月をかけて取り組み続けておられました。ある年だけ業績が良いということではなく、ずっと業績が良いというのは、やはり、こうした土台がしっかりとしているからでしょうか。3つの組織のトップは、やはりCS・ESの向上が大事だと、同じ言葉を語られていました。
今やCSもESも市民権を得ていますが、昔は、そんなことよりも業績だ、もっと販売をしてこいという時代でした。顧客の声を聞く、寄り添う活動など、そんなことをして売れる訳がないとバカにされていたこともあったはず。社員の働きがいなども見向きもされない時もありました。そんな風潮の中で、すぐに結果に結びつかない活動をするというのは、そう簡単ではなかったはず。しかし、そこを信じて続けることで、ようやく今、成果が出るようなる。ブレずに続けていくことが何よりも大事なことなだと感じる発表でした。
よい土の中で、よい作物が育っていくように、例え、遠回りでも良い土壌をつくる。良い結果は急いで得るものではないのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2024 年 05 月 14 日 11:11
目的思考
新入社員が、最初に身に付けるべき仕事の姿勢のひとつに、目的思考というものがあると思います。
目的思考とは、仕事に取り掛かる前に、「この仕事は何のためにやるのか」と目的と意味を理解すること、そして次に「どうやるか」という手段を考えることです。私も、若い時に、この大切さを先輩から徹底して教わりました。そもそも、仕事をする時に、なぜやるのかを自分が納得していなければ、単なる作業になってしまいます。ただ「部屋を片付けろ」と言われても、何のために片付けるのかがわからなければ、工夫のしようがありません。意味がわからずする仕事ほどやる気がなくなるものはありません。
しかし、今の時代は、「どうすればいいか」というやり方や手段から入る人も多くいるようです。とにかく、あれこれ考えず、上から言われたことをやる。頭の中は「どうやるか」だけ。手段思考というのでしょうか、仕事を処理するロボットのように働く人もいます。確かに仕事は早く終わるのでしょうが、そもそも、目的を理解していなければ、良い仕事ができたのか、うまくいったのかもわかりません。もっと、良いやり方があったのではないかと反省することもない。処理型仕事を繰り返しているだけでは、人間らしく考える力がなくなってしまいます。きっとこうした仕事の中では、新たなイノベーションも起きにくいでしょう。
「そもそも、この仕事は誰の為にやるのか、世の中にどのような結果を生むのか。」そんなことは、いちいち考えなくても仕事はできるのかもしれません。ただ、自分の仕事が、例え、途中段階の仕事であったとしても、仕事の最終目的がわかっていれば、前工程や後工程の仕事にも関心が湧くはずですし、自分の役割もよりわかる。そもそも、仕事の意義・使命が腹に落ちれば、やりがいも生まれます。
作業をやる、処理をするならAIがやる時代。目的思考はますます重要になってくると思うのですが、「そもそも、なぜこの仕事をやるんですか?」と、上司に聞いた時、もしかすると、上司の人の中にも、ちゃんと答えられなくなっているのかもしれません。「上がやれと言ってるから、つべこべ言わずやれ」。そんな理由をいわれても、それでは納得できません。
今日、自分のやるその仕事は、「そもそも、なぜやるのか、何のためにやるのか」。毎朝、自分に問うことが大事なのかもしれません。
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これからの時代の人財育成
2024 年 05 月 07 日 17:06
「つながり」の力
先日、4年ぶりに全社員で社員旅行に行ってきました。
普段は忙しい仕事の中でなかなかゆっくりと過ごすことができない仲間が集まって、一緒に過ごす。参加した社員も口々に行けて良かったと言っていましたが、精神的も物理的にも、仕事から離れて、職場の仲間と接する機会は、普段、あまり会話がない社員同士の交流のきっかけになり、いつも同じ職場で働いてもの同士にとっても、日頃話さないことが話題になったり、同じ体験をすることで、いいコミュニケーションの場になったようです。最近は、いろんな打ち合わせがオンラインになって、なかなか人と会う機会がなくなってきましたが、改めて、こういう場の大切さを感じた時間でした。
しかし、社員旅行を実施する企業は年々少なくなっているようです。実施しようとしても、行きたくないという人も増えているのかもしれません。ただ、改めて、こうした場を体験すると、こうした一見無駄と思えるような場、業務にまったく関係のない時間というものは、組織には大切な気がします。
こうした社員旅行が、組織にどのような影響を与えるのかわかりませんが、お互いがわかりあっていない組織より、お互いが親密で仲が良い組織の方が、よい結果が生まれるというのは感覚でわかります。
幸福学の研究者の報告でも、人と人の良好な人間関係、つまり「つながり」は、個人の幸福感と強く関係があると言われています。仲が良い仲間がいると精神的な負荷が高い状況でも、人は前向きな気持ちでいることができる。良いつながりは、精神的な安心を与えてくれます。また、別の研究では、必要な時に手助けや励ましをしてくれる親密な関係がある時は、個人の新たな挑戦や発見、成長を促すことが指摘されているそうです。確かに、自分の傍に、相談に乗ってくれる仲間や励ましてくれる仲間がいると、失敗しても大丈夫、やってみようという気になります。地域社会でも、災害の時に大事になるのが、近隣同士の「つながり」だと言われていますが、人間にとって、良好な人間関係は生きていく上で不可欠な要素なのでしょうか。
時間を短縮する、無駄を省くという風潮の中で、いろんなことが取りやめになったり、なくなってきましたが、もしかすると、私たちは大事なものを失っているのかもしれません。
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BLOCKS 素晴らしい組織風土づくり
2024 年 04 月 30 日 15:44
売らないお店
自社の商品を、お客様が欲しいと言われたら、その商品を販売するというのは当然です。しかし、必ずしもそうしないというお店もあります。
以前、ある過疎化の進む田舎町の自動車整備のお店を取材させていただいたことがあります。その店の店主はご主人を亡くされ、その後を受け継いで経営をしているお婆さん。お婆さんが営業。息子が整備を担当する小さなお店です。しかし、何故か、その地域の中で、ナンバーワンの販売台数を誇るお店というので取材をさせていただきました。取材中も、地域のお客様が野菜を届けてくれるなど、その店が、いかに地域の人から信頼されているということがわかります。その日、たまたま、近所の若いご夫婦が買い替えの相談にやってこられました。新しい車を買いたいとお婆さんに相談されたのですが、そのお婆さんは売ろうとしません。「あなたたちはこれから、子育てでお金もいる。今の車はまだ乗れるのだから、買い替えをせず、乗り継いだらどうか」と言われました。自分の孫に話すように、その夫婦の立場になって親身になって考えてくれる姿を見て、私は、「地域ナンバーワンの理由は、これなんだ」と思いました。
過疎化で人口が減少する田舎町。そこに新規客はほとんどいません。その中で、長期的に繁栄していくためには、信頼してくれるお客様がどれだけいるか。車の販売だけでなく、整備や保険、いろんなことに応えていくことで商売が成り立っていく商圏です。いちばんの財産は既存顧客です。昔、新聞の業界で、無理な勧誘が話題になりましたが、強引な販売で一時的な業績が上がったものの、逆に、信頼を失い、顧客が離れてしまったということがありましたが、この店の商売は、まさにその逆を行くようでした。
どんなにお客様が欲しいと言っても、それでお客様が不幸せになるようなことでは商人として申し訳ない。地域には、このような親身なお店がまだまだたくさんありますが、信頼が大事になるこれからの時代には、こうしたお店の経営姿勢を、私たちは学ぶ必要があるのかもしれません。
松下幸之助さんは、「無理に売るな。客の好むものも売るな。客のためになるものを売れ。」という言葉を残しておられますが、この原則は昔も今も変わらない気がします。
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お客様満足・感動の向上
2024 年 04 月 24 日 16:12
失敗を恐れない環境
失敗を恐れるな。若い人にこのような言葉をかけることがあります。
自分自身も、挑戦や失敗から大事なことを学び、成長してきたからこそ、失敗を恐れずにやってほしいと思う。そう感じている先輩はたくさんいます。そして、会社においても、働く人が失敗を恐れて挑戦しなくなれば、発展も成長もない。失敗を恐れず挑戦していくことは、個人にとっても組織にとっても大切です。
だから、失敗を恐れずに行動していこう。これは誰もが理屈ではわかります。しかし、いざ、行動しようと思うとつい恐れが出てきてしまう。失敗したらどうしよう、いろんな人に迷惑をかけたらどうしよう。頭でわかっていても、なかなか行動に移せない。迷惑をかけてしまうくらいならやらないでおこうと、失敗への怖さや面倒臭さが、つい、やらない理由を作ってしまいます。失敗を恐れるなという背景には、失敗を恐れてしまう理由がある気がします。
失敗が怖くない、失敗を恐れなくなる環境とは、どのような場所なのでしょうか?
そもそもの話ですが、人が挑戦しようとする気持ちの中には、その人が「これはどうしてもやりたい」というものがあるはずです。自分の中で「どうしてもやってみたい」という気持ちが強くなれば、人に言われなくても、挑戦するはず。先輩の「失敗を恐れるな」という言葉の前には、「君がやりたいなら」という言葉がついているはずです。やりたいこと、こうしていきたいという気持ちがなければ、そもそも、意味がありません。
しかし、そんな気持ちを持っていたとしても、実際に挑戦しようとする時は不安になる。その中で、「何かあっても、私たちがいるからやってみたら」と背中を押してくれる環境であれば、不安は少なくなるはず。失敗の恐れがなくなるには、仲間の存在は大事。協力してくれる人がいる、いないは大きな差だと思います。
原点にやりたいという意思があること、そして、その意思を応援してくれる仲間がいることが、失敗を恐れなくなる環境と言えるかもしれません。失敗を恐れずに挑戦できる職場とは、同じゴールを目指している仲間がいる職場とも言えるかもしれません。
自分のやりたいことと会社の方向性が一致している場所。みんなが同じ目的に向かって進んでいると同じ仲間だと思える場所。同じゴールを目指す仲間だからこそ、仲間のチャレンジも応援したくなります。
そう考えると、リーダーの仕事は、単に「失敗を恐れるな」と正論を述べることではなく、失敗が怖くなくなる場所、理念に共感する同じ思いを持って働く仲間がいる環境をつくっていくことなのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2024 年 04 月 16 日 17:27
ファンを増やすには?
どの企業にも常連客・固定客と呼ばれるような顧客がいます。
そうしたお客様は、「あの店は良いね」と口コミや評判を生み出してくれるだけでなく、新しい顧客も紹介してくださる。ロイヤルカスタマーや生涯顧客など、いろいろな呼び方がありますが、お店のサービスや商品に思い入れがあり、ずっと通い続けてくれるようなお客様は、継続的に購入をしていただく以上に、「頑張れよ」と精神的にも支えとなる、まさに「応援団」。もし、商品やサービスが悪くなれば、「これじゃダメだ」と時には厳しいことも言ってくださるのも、こうしたお客様。こうしたファンに支えられるからこそ、お店や企業が継続できています。
商道では、江戸時代から、お得意先、常連客を大切にせよと言われていますが、今後、日本中で加速する人口減少時代になればなるほど、こうした「ファン」が大事になる。ファンがたくさんいる店は、どんな時代になったとしても、輝き続けるような気がします。
しかし、どうすればファンを作っていけるのか?と問われると、そう簡単に応えることはできません。
そもそも、好きになるかどうかは相手が決めること。こちらが、どれだけ「ファンになってください」と頼んでも相手が好きになってくださらなければ、ファンは増えません。例えば、来店の度にスタンプを押す、割引をするというような仕掛けをしたら、ファンは増えるのかというと、多少好きになってくれるのかもしれませんが、「お得」というだけで、その店が好きになるというものではなさそうです。
では、どうすればファンをつくれるのか。
サッカーや野球、芸能には熱狂的なファンがいます。そんなファンを見ていると、そのチームが好きになるかどうかは、最後は感動をもらえるかどうかで決まるのではないかと思います。そのチームの選手が一生懸命にプレーし、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれる。その姿に感動し「好き」という感情が生まれる。高いパフォーマンスがファンをつくっていく要素のような気がします。
飲食店でも同じかもしれません。その店は、いつもプロとして素晴らしい料理を出してくれる、素晴らしいサービスを提供してくれる。どんな商売でも、プロとして真剣に臨み、優れたパフォーマンスを出していくことがファンを生み出す原点にあるのではないでしょうか。
販促や仕掛けなどでは、ファンはつくれない。ひたむきに真剣に商売に取り組むこと、お客様に感動してもらえる仕事をすることが究極のファンづくりだとすれば、ファンづくりに近道はなさそうです。
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お客様満足・感動の向上
2024 年 04 月 10 日 16:00
寄り添う力
世の中にはいろいろな営業があります。どのような業界であっても、最後に成果を出し続けられる営業とは、お客様から好かれる人。どんな時も、お客様の気持ちに寄り添ってくれる人ではないでしょうか。
昔、日本一ベンツを売ると言われる人の話を伺ったことがありますが、その人は、もしもお客様がベンツ以外の車を欲しがっておられる時は、たとえ自分の利益にならなくても、一緒にその車を探して他ブランドの営業を紹介する。売り手が不利になる情報でも、それがお客様の為になるならば、しっかりとそれをお伝えする。お客様の立場にたって考え、行動するからこそ、信頼され、日本一の販売を続けておられるそうです。
「寄り添う」という言葉の本来の意味は、物に身体を寄せる行為のことをいうそうですが、私たちが日常的に使う「寄り添う」とは、相手の心に寄り添う、気持ちを理解するというようなことだと思います。
もちろん、電話をすればすぐに駆け付けてくれるという物理的なスピードも大切だと思いますが、「この人は自分のことをわかっていてくれる、自分の気持ちをいつも優先して考えてくれる」と思える人の存在は、やはり信頼と呼べます。
私もいつも寄り添ってくれる営業さんを知っています。そんな寄り添える人には共通点を感じます。
寄り添える人というのは、やはり、まず人の話を聞く。根底に「人の役立ちたい」という思いがあるから、聞こうという姿勢を感じます。悩みがあったり、辛い経験をしたときに、とにかく「誰かに話を聞いてほしい」と思いますが、冷静なアドバイスより、とにかく、話を聞いてくれるだけでもうれしいものです。
また、寄り添える人は、相手が望んでいることに応えようとしてくれます。日本一ベンツを売る人もそうですが、そういう人は、「この人のために自分は何ができるだろう」と考える。もちろん、できないこともあり、すべてに応えることはできないですが、結果として応えられなくても、そうやって考えてくれるだけで嬉しい。
その人が何を望んでいるのかを考え、できる範囲で協力する。寄り添うということの中には、こんな姿勢も含まれているような気がします。
信頼は、簡単に築けるものではないですが、確実に言えるのは、やはり、信頼は、こうしたひとつひとつの商談の中の小さな言動の中で生まれてくる。こんな積み重ねが「何かあればあの人に相談しよう」ということになる。成果を出し続ける営業ほど、寄り添い力が高いのかもしれません。
「真に優秀な人というのは、優しさに秀でた人である。」
以前、優秀の言葉の定義を、こんな風な解釈で話してくれた方がいます。単に仕事が早いとか、ミスなくできるとか、的確に仕事をすることが優秀な人ではなく、優しさや思いやりにあふれている人が優秀な人。
人口減少の中で顧客からの信頼が企業の長期的な発展の基盤になるとすれば「寄り添える力」がますます大事になってくるのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2024 年 04 月 02 日 14:05
息づく行動指針
「こんな場合は何をすればいいのか。」
「どちらを選べばよいのか。」
仕事をしていく上では、様々な判断が求められますが、そうした時の指針となるのが行動指針です。
会社が掲げるミッションやビジョンを実現していくために、こういう行動を大切にしていこうと、どの組織にもある判断軸。言葉として明文化されている会社もあれば、言葉になっていなくても、先輩の行動が伝承されたり、文化として伝わっている会社もあると思います。
以前、ある会社を訪問した時、訪問の趣旨を伝え、受付で待っている時のことです。受付の前を通る社員の人が待っている私の様子をみて、口々に「ご用件はお伺いしていますか?何かお困りのことはございませんか」と声をかけてくださる会社がありました。
きっと、その会社には、昔から、誰が困っていたら自分から解決しようというような精神があり、文化として受け継がれているのでしょう。マニュアル的ではなく、気遣いをしてくれているという感じがしていましたので、この会社では、受付のお客様だけでなく、仕事の場面でも、こうした行動をされているはず。行動指針が組織の中に息づいているというのはこういうことなのかと感動したことがあります。
「あの会社は、誰にあたってもいいね」と評価される会社がありますが、働く人たちの判断軸が揃っていると顧客からの信頼感も高まっていくはずです。
判断軸が揃う。例えば、顧客との対応の時に、ある人は面倒だからやめておこうと判断し、ある人は、面倒だけどやろうと判断する。組織の中に、お客様に喜ばれることを優先するという指針が浸透していれば、みんなが前者の判断になり、浸透していなければ、個々に違う対応となる。ひとつの行動としてみれば、ちょっとの差なのかもしれませんが、もし、組織の中でどの人もどの人も、面倒なことを優先して動いてくれたとすれば、それは顧客にとって大きな感動になるはず。「あの会社はみんながいい対応をしてくれる」という評価は、組織としての最高の誉め言葉です。理念が浸透するということは、働く人の「判断軸」が揃っていくことなのかもしれません。
ただ、行動指針はどうやって伝えていけばいいのか。判断軸はどうやって人に伝えられるのか。
言葉を作り、掲げておけば伝わるのかというと、そう簡単なことではないはず。会社がこうした行動をしようと言ったところで、実際の先輩たちの行動が違っていれば後輩には伝わる訳はありません。先輩にしても、上司や幹部が実践していなければ、「こんなのはお題目だ」と思うに違いありません。
行動指針は、言葉だけでは伝わらない。上から良い背中を見せていく。行動指針が浸透するというのは、こういう実践の積み重ねなのかもしれません。
新人が入社するこの季節。先輩として後輩にどんな背中を見せていくか、問われるところです。
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素晴らしい組織風土づくり
2024 年 03 月 27 日 09:43
お客様が本当にほしいものは
先日、ある仕事で地方の化粧品専門店のお店を見学していた時に、一人の高齢の女性がお店に来店され、化粧品を買って帰られました。高齢の方も美に対する気持ちは若い人と一緒なんだと思い、対応された販売スタッフの方にお伺いすると、その方は92歳。初めて来店される新規のお客様でした。買われた化粧品は、そのメーカーが50年前に発売したブランドでしたが20年前に販売が終了。昨年復活したブランドでした。自分が若い時に使っていた化粧品が復活したことを知り、懐かしくなって買いに来られたそうです。
地方都市は人口減少や高齢化が進む時代。小売業の存続が難しくなってくると言われていますが、高齢化の時代でも、お客様にしっかりと価値が伝わりさえすれば、まだまだ売れていくのかもしれない。そんなことを考えていました。
「ドリルを買う人がほしいのは穴である」。これは1968年に出版された「マーケティング発想法」(セオドア・レビッド教授)の中に出てくる言葉ですが、マーケティングの世界では昔から有名な言葉です。ドリルを買う人は、ドリルという製品そのものでなく、その製品によってもたらされる結果、つまり「価値」がほしい。だから物を売るのではなく、それがどのような価値を提供するのか、その価値を提供することが大事だという話です。
ドリルではなく、ほしいのは穴。この、ご高齢者でいえば、欲しかったのは化粧品ではなく、いきいきと張りのある幸せな暮らし。ファミリーレストランでいえば、食事を食べに来られているのではなく、本当にほしいのは家族との幸せな時間。消費者は、物そのものでなく、物からもたらされる価値(幸せ)がほしいのだと、いうことだと思います。
しかし、売る側が「物」を売っていると考えていると、つい「ドリル」の方を紹介しようとしてしまう。いかに新しい機能があるか、どれくらいのパワーがあるか。そこに消費者とのギャップが生まれる。本当に欲しいのは「穴」ならば、提案すべきはその製品を使ってどのような幸せが得られるかといことであり、売るだけでなく、穴をあける作業の相談に乗ったり、穴をあけた先にある「お困りごと」に応えていくサービスを提供していけば、さらに喜ばれるのかもしれません。
少子高齢化で物が売れないという声をよく聞きますが、そういう時代になれば、地域で暮らす人も困ることが増えていく。逆に新たな困りごと=新しい「穴」も増えていくとも考えられます。「穴」、お客様が本当にほしいものに目を向けていくことが大事になっているのかもしれません。
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これからの時代の経営のあり方
2024 年 03 月 21 日 11:00
笑顔の力
顧客満足、ファンづくりの話をしている時、ある経営者が「単純なことかもしれないが、お客様にいかに安心してもらうことがファンづくりの基本。安心感をつくるのが笑顔だと思う」というお話をされていました。
笑顔にはどのような力があるのでしょうか。
初めての場所に行く。慣れない場所に行く時に、誰もが不安になります。病気になって病院に行く時などは、そもそも身体に不安があるので余計に不安が増します。そんな不安な時に誰かが笑顔で迎えてくれると少しホッとする。そんな体験は誰もが持っていると思います。
確かに「笑顔」には人を安心させる効果があります。ムスッとした表情で働いている人より、笑顔で働いている人を選んで話しかけようと思うのも笑顔の力。赤ちゃんの笑顔をみると誰もが笑顔になるように、笑顔は伝染し、ポジティブにさせる力もある。ある高齢者の方が、不安を抱えながら病院に通っている時に、受付の人がいつも笑顔で迎えてくれたから、通い続けることができたというお話を聞いたことがありますが、笑顔が人の勇気にもなる。そう考えると、笑顔は単なる表情以上の力があります。
どんなに商品が良くても、その店のスタッフに笑顔がないお店には何となく行きたくなくなるのは、どこか不安な気持ちになるからでしょう。店員さんが笑顔で迎えてくれるとホッとする。ホッとすると話しかけやすくなる。話しかけていると、相談をしたくなる。相談に乗ってくれると信頼する。信頼するとその人から買いたくなる。昔から、お店では笑顔が大事だと言われていますが、品揃えや店構え以上に、そんな小さなことがいちばん大事なことなのかもしれません。
だた、問題は、いつも笑顔でいること。それがなかなか難しい。
接客のプロは、朝起きたときに鏡の前で自分自身に笑顔を向けるということを習慣にされているそうですが、笑顔で始まると一日がポジティブな気持ちになるということは、心理学でも言われているそうです。
そう考えると、お客様の前だけでなく、出社する時も、仲間と挨拶する時も、意識して笑顔で挨拶をするのは大事な習慣です。人の笑顔につられて笑顔になるのなら、自分がまず笑顔でいる。すると相手が笑顔になって、また自分も楽しくなる。多少つくり笑顔と言われても、笑顔スタートが大事なのかもしれません。
自分自身に笑顔を向けると、自己価値を高める効果があり、自己肯定感が高まっていくそうです。当然、他人が笑顔でいてくれると、自分を受け入れられていると感じて、また自己肯定感が高まる。笑顔は心や健康にも影響が大きいもの。笑顔は顧客だけでなく、働く人の幸せや健康も高めていくのかもしれません。
たかが笑顔、されど笑顔ですね。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2024 年 03 月 12 日 15:03
社員が幸せな会社は成長する
今、世界各国で「幸せ」について研究されるようになり、何が幸せなのか、幸せに何が関係するのかということが少しずつわかってきているそうです。例えば、「金持ちになれば幸せになる」ということが昔から言われていましたが、幸せの研究では必ずしもお金と幸せは相関しないということもわかっているそうです。もちろんある程度のお金がなければ幸せではありませんが、いくらお金があっても憎しみ合って、幸せを感じていない人もいます。それよりも、家族や友人の関係が良いなど、良好な人間関係を築いている人が幸せを感じることが多い。「良い人間関係」が幸せと結びつくという結果もあるそうです。経営においても、幸せな社員が多い会社は、そうでない会社と比べて生産性が高く、業績も良いということも証拠が出てきているようです。先日も、ある会社に訪問させていただいたのですが、社内に入るととても良い雰囲気を感じました。お互いが笑顔で話され、一瞬で社内の人間関係の良さが伝わってきます。こうした雰囲気は社外にも伝わっているのでしょう。実際に、その会社は、お客様に喜ばれ成長を続けておられます。
何が幸せか。研究結果などでみると、何か新しい情報のように聞こえますが、我々は既にわかっていることなのかもしれません。私のまわりにも幸せそうな人がいますが、幸せを感じている人は、やはり前向きで、何事にも感謝して、ポジティブな気持ちをもっている。家族関係や友人関係が良い時は、仕事も前向きにできる。会社も、みんなが笑顔で働いている時は業績もあがるけど、ギスギスしている時は結果も悪い。幸せがよい結果につながっていく感覚は経験としてもわかります。
では、どうすれば、幸せになれるのか。何かを手に入れたり、ご馳走を食べると確かに「幸せ」を感じます。つい、こうしたことが毎日続けば幸せが手に入るような気がします。しかし、安い居酒屋でいい仲間と過ごす、いい時間という幸せも知っています。お金では買えない幸せがあるのも私たちは知っています。
健康でいること、家族と良い関係であること、いい仲間といい関係で働けていると感じること。自分の仕事に誇りを感じられること。その瞬間の幸せをハピネスと呼び、後者のようにしみじみと感じる幸せをウェルビーイングと呼ぶそうですが、この幸せは、長続きします。
いい会社にあふれているのは、後者のような幸せなのでしょう。「幸せになろう」ではなく、「今が幸せだ」を感じている人だからこそ、成長していくのかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2024 年 03 月 05 日 15:10
変わらないために、変わり続ける
人口減少が進む地方都市。お客様が減り続けるだけでなく、働き手も少なくなり、商売を続けていくことが以前より難しくなっています。廃業を迫られる店も多く、今後の経営のあるべき姿を模索するお店は少なくありません。そんな時代の中でどうやって業績を伸ばしていけるのか。先日、ある地方都市の元気な化粧品専門店を訪問させていただきました。
化粧品。昭和の時代は、商店街の専門店や百貨店の化粧品売り場が花形。高級化粧品をカウンセリング販売で売るという商売でした。しかし、そんな接客が嫌だ。手軽に買いたいというニーズが高くなるにつれ、駅に隣接するショッピングセンターのお店やドラッグストア、またネットでの購買が増え、平成、令和の時代になると、地方の化粧品専門店は衰退の一途をたどります。取材したそのお店も例外ではなく、店の周りの商店街は寂れる一方、人通りもほとんどない状態で、10年前はなかなか業績が伸びずにいたそうです。そこに、外で修行をしていた長男が戻り、3代目として経営に参加するようになります。そこから10年。2店舗だったお店は今5店舗にも拡大し、業績は大きく回復したそうです。
若い経営者が取り組んだことは、親の商売の良い面を活かし、お店の特徴を発揮していくこと。昔からカウンセリングが得意な本店は、さらにそこに磨きをかける。沢山あった商品を高級品ひとつに絞りこみ、お客様がゆっくりと過ごせるラウンジスタイルのお店に。ショッピングセンターにある2号店は、接客されず気軽に買いたいという若い客層のニーズも取り込みながら、お肌の悩みに応える相談の場も作り、幅広いファンに応えるお店に変える。得意を活かしながらも、変化に合わせてお店を変化させていきました。
「商売は変化に対応しろ」というと昔から言われ続けていること。教科書にも出てきます。しかし、保守的な地域都市では、新しい挑戦することはなかなかできないことだとも聞きます。「変えよう」という息子と「変えたくない」という親子の確執も時々聞かれます。
しかし、この化粧品専門店はスムーズに変えることができたそうです。なぜ出来たのか。80歳になる経営者の奥様に伺いました。その答えは、「自分の時代も、やはり、時代に合わせた変化に挑戦してきたからだろう」ということでした。昭和の時代も、「お客様を何よりも大事にする」という創業者の教えは大切に守ってきた。しかし、それだけでは商売は続かないのも痛感し、時代の変化、お客様のニーズに合わせて商品や売り方は柔軟に変えてきた。自分たちが挑戦を続けてきたから、息子の気持ちがわかると言われました。
このお話を聞いて、創業何百年続く「虎屋」さんの経営も同じ思想があるということを思い出しましたが、「老舗企業」というと、一見すると古いものだけを大切にする保守的な経営に見えますが、「変化に対して変えるべきことは果敢に変えていく」というDNAも大事にする。「変わらないものを大切にしていきたいからこそ、変わり続ける」。これからの時代にいちばん大事な姿勢のような気がします。
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素晴らしい組織風土づくり
2024 年 02 月 27 日 17:36
外発と内発の動機付け
人のやる気を高めるためにインセンティブを与えるという方法があります。10件やれば1万円など、「達成すれば報酬がもらえる」となれば、きっと誰もが頑張って働くようになる。昔も今もお金は人を動かす動機になります。逆に、達成しないと上司から叱られたり、罰を受けるという状況をつくれば、人はそうならないために頑張るということもあります。
ただ、こうやって外側から人を動かそうとすることは確かに強力で効果的ですが、半面マイナス面もあります。例えば、報酬が出る時はやるけれど、出なくなればやらなくなる。罰が怖いと、それを避けるために、嘘をついたり、ごまかそうと、不正をはたらく人も出てきます。報酬を得る為に無理な販売をしたり、上司の怒りや罰を避けたいが故に、倫理に反する行動をしてしまう。昨今の不祥事の多くは、こうしたことが原因のひとつになっているようにも思えます。
しかし、だから、これからは内発的動機付けだと言われても、そもそも内発の動機ですから、好きでやっていることなら勝手に行動しますが、好きでないことや興味のないことはなかなかやらないのが人の常。さぼりたくなることもあります。そうするとまた報酬や罰で動かしたくなる。長い間、人間の世界はこの間で行き来しているのかもしれません。
ただ、本当は、結果に対する報酬をもらう為でもなく、罰を避けるためでもなく、純粋にその仕事が面白く、やりがいを感じながら働くことがいいということは誰もが理想だと思っているはず。やりたいこと、好きなことに取り組めることたら、何よりも幸せだとわかっているけれどなかなかそう理想通りにはいかないのが現実です。時には外発的な動機付けが必要なこともある。嫌だった仕事が、上司に激励され頑張る中で、好きになることなども、ざらにあります。外発も内発も、どちらがいいということではなさそうです。
ただ、社員の人たちがいきいきと内発的動機で働いている会社はどんどん増え、そんな会社で働きたいと思う人も増えているのは確かです。「仕事は好きとか嫌いじゃない」と外発的動機付けで、厳しく怒られならがやってきた世代にとっては、なかなか馴染めないのかもしれませんが、後何年か経てば、こんな動機付けはどんどん古くなっていくような気もします。嫌なことを無理にやる、やらせる世界ではなく、やりたいこと、好きなことをやって成果を出す。こうした働き方がスタンダードになるのはいつでしょうか。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2024 年 02 月 20 日 15:36
若手に教えるもの、伝えるもの
どうすれば、若手を育てられるのか。今、若手社員の育成に悩んでいる方が多いと聞きます。世の中全体の人手不足の中で、特に伝統工芸や建設、料理などの職人の世界でも人の育成が課題だと言われています。
以前の職人の世界は、「技術は盗んで覚えろ」というような風潮があり、親方は教えず、若手は下積み仕事を続けながら、親方のやり方を見ながら覚えるという教育が一般的でした。しかし、それでは今の時代に合わない。優しく指導しなければ人が辞めてしまう時代です。しかし、だからといって、「こうしろ、ああしろ」と手取り足取り、やり方ばかりを教えても、本物の職人には育たない。一人前の職人を育てるということは、本当に大きな課題だそうです。
そうした世界の中で、ある職人の親方が、これからの時代の職人の育成の仕方として、次のようなことが大切ではないかと言われていました。若手の職人育成で大事なことのひとつ目は、やはり「仕事の意義」を教えることではないか。この仕事がどれだけ人や社会の役に立っているかがわからなければ、仕事に情熱もわかない。だからこそ、若手に、今、どんな仕事をしているのか。誰の為になるのかという仕事の意義を教えていくことが大事だと言われています。もちろん、やりがいだけでは人が辞めてしまうので、しっかり給料を払うことは大前提ですが、仕事の意義をしっかり伝えていかないといい職人には育たないと言われています。
そして、次は「学習の方法」を教えること。その人が言う学習の方法とは、挑戦と失敗による学びの大切さ。ネットで調べれば、すぐにやり方がわかる時代であっても、あえて教えずに失敗させる。挑戦の機会をどんどん与えて、失敗させる。大切なのは、若手がその失敗の中から、何かを学び、活かしていくということに気づいてほしいということでした。
そして、もうひとつが「努力の仕方」。努力というのは単なる根性論ではなく、一人前になるためのプロセスの踏み方です。例えば、畳を縫うのが遅い人がいるとして、基礎的なやり方だけを身に付けるだけでは仕事は早くはならない。身体の向きや針への力の込め方など、その人にあったやり方を身に付けていかないといけないそうです。だからこそ、技術を反復練習し、自分に合うように微調整しながら、また繰り返し練習するしかない。微調整と反復練習の大切さを教えていくそうです。
確かに、どんな仕事もある程度まではマニュアルで教えることはできる。しかし、それも限界があるし、面白くなっていかない。自分で考えて行動していかなければ、本物のプロにはなれません。これは、職人という世界だけでなく、どんな仕事でも同じことかもしれません。
「教えない」「見て学べ」ということは時代遅れなのかもしれません。しかし、教えてくれるのをただ待っているだけの人や“先輩が優しく教えてくれない”と文句や愚痴をいうだけの人が成長するはずがありませんし、「一般的なやり方」だけを学んだだけで、一流のプロになれるはずもない。やはり、自ら学びに行こう、盗みに行こうという仕事への情熱が沸いてこなければ、本当の成長はありません。そう思えば、その仕事の意義ややりがいを教えてあげることや、失敗をさせ、それを糧に自ら成長していく方法を伝えていくことは、何よりも大事なことなのかもしれません。
人の育成は、その人によって変わるもの。何が正解がわからないのが育成ですが、私たちは、若手を一人前のプロに育てるために、何を教えていけばよいでしょうか。ネットで簡単に知識や技術が学べる時代になってきているからこそ、教えることの中身を考えていかないといけないのかもしれません。
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これからの時代の人財育成
2024 年 02 月 14 日 11:39
近道、遠回り
誰でも無駄な苦労はしたくないと思っています。私も、無駄なことは避けたい人間です。
ただ、それが本当に無駄であるかは、後になってみないとわからないこともあります。
私も、昔、お客様のためにと、数日かけて作りあげた資料がお客様の思惑と異なり、ゼロからやり直すということがありました。いろんな資料を調べ、労力をかけて作成したのに、一言で無駄になってしまったことで、その時はさすがに良い気持ちになれませんでした。
しかし、しばらくたって、よく考えてみると、先方の指摘には確かにそうだと思えることがあり、それを踏まえてやり直してみると、作りあげてきたものがさらにブラッシュアップされ、以前より良いものになっていました。後日考えてみると、このやり直しの体験は、自分自身にとってもより、そのことについて深く学べる機会となり、意外と無駄ではなかったと感じることがありました。
ただ、ビジネスの世界では、最短ルートで仕事をせよ、無駄をなくせ、効率よく仕事をしろと言われ、いかに短時間で成果を出すかがよいとされていますので、こうした無駄はできるだけ少ない方がいいはずです。最初から顧客の要求を聞いて作っておけば、やり直しがないという意見もあります。
ただ、その時もそうでしたが、その仕事は新しい仕事で、「お客様自身も正解がわからない」という状況で、いくら望みを聞いてもはっきりとした答えは誰もわからない。だから「出てきたもの」で判断するしかないというのが相手の気持ちです。仕事によっては、やりながら、試しながら、考えていくしかないということも多いはずで、その無駄がよいものを生み出していくことにつながっていくことは多いにあることです。だから、「無駄をなくせ」ということは一概に正解とはいえないと思います。
しかし、限られた時間や予算の中では、効率よく仕事をすることは確かに大事です。上司の言うことを聞き、顧客の要求をのみ、決まった手順やマニュアル通りにやっていけば、失敗は少なくなり、効率は高まり、成果も出ると思います。会社は過去の延長で回っている部分もあるので、昔も今も、こうした近道思考は確かに大事なビジネススキルだと思いますが、誰も正解がわからない時代を歩く時や、「未知の仕事」をする時は、この方法だけでは通用しないように思います。
ある程度の失敗ややり直しという無駄がなければ、道は切り開けない。また、人生でも仕事でも、その時、苦労したことや困難な目にあったと感じたことでも、数年後に「あの失敗のおかげで」と、それが糧になったり、自分の今の成功につながっていることに感謝することがあります。失敗にはマイナスだけでなく、プラスも多くあり、無駄だと思えることが、仕事の「深み」、人間としての「深み」にもなっていると感じることもあります。
最近は、コスパ、タイパと、みんなが最短ルートを求める時代ですが、無駄や遠回りは、長い目で見れば有効な方法であり、どちらかということではなく、両方を使い分けていくことが大事なのかもしれません。
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働きがい・やりがいの向上
2024 年 02 月 06 日 11:15
受け継がれる理念
経営理念は、行動を起こす時の判断基準になるものです。普段は考えない理念でも、迷った時や何か困難なことが起こった時には、誰もが立ち戻る「初心」だと思います。経営を航海に例えるならば、「もう前に進めない」という状況になった時に、我々は、そもそもなぜ航海に出たのか?どこに向かい、何をしようとしていたのかと考えると思います。遠回りになっても前に進むべきだ。あるいは、もう一度戻って出直すべきか。航海の「目的」や「行き先」に戻って考えなければ判断はできません。こうした戻る場所が経営理念だと思います。
先日発生した令和6年能登半島地震では、たくさんの方が被害に遭われ、今も苦しんでおられます。その中である酒蔵(宗玄酒造/珠洲市)が復興に向けて動き出されたというニュースがありました。幸い従業員の皆さんは無事だったそうですが、蔵は大きな被害を受け、今期の仕込みのお酒も樽も、使えない状況になってしまいました。しかし、自宅が被害に遭い日常生活もままならない状況、蔵も電気が使えない困難な状況でも、「楽しみに待ってくださっているお客様に、何とかお酒を皆さんに届けたい」という思いで、杜氏や社員の人たちが集まって、残った酒を手がかりに手作りで酒造りを始められたそうです。この蔵は江戸時代に創業した老舗の蔵で、社長は「お酒を出し続けることは蔵の使命であり、社員の生活を守ること」だと言われているのが心に残りました。
よく我々は「使命感」という言葉を使いますが、普段から、こうした強い使命感をもって働いている人がいるからこそ、江戸時代から今日まで、蔵が守られ、酒が守られてきたのだろうと思います。ただ生活のために働いている人たちなら、こんな行動を起こさないはずです。長寿企業と呼ばれる会社には必ず、昔から大切にしてきた理念・使命感がありますが、こうした危機の時に生きてくるのが「理念」なのかもしれません。
よく多くの会社で、理念の大切さが社員に伝わらないということを聞きます。短期的に見れば、目の前の課題に取り組むだけで事業は成り立っていくので、働く人もそこまで理念を考えなくても良いので、身近に感じないのかもしれません。ただ、どんな企業も大きな試練を乗り越える時に、理念を判断軸に経営をしてきたはずで、やはり長期的にみれば理念は経営にとって大事なものだと思います。
そもそも理念は何のためにあるのか。過去にどんな判断をしてきたのか。この酒蔵はこのことを後輩に語り継いでいくと思いますが、理念を伝えるには綺麗な文章をつくって解説することよりも、口から口に語り続けることが先輩の役割であり、会社として大事にしていくべきことなのかもしれません。
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経営理念の浸透・共感
2024 年 01 月 30 日 13:16
見える景色と初心
会社である程度の年数を重ね、仕事ができるようになると成長意欲が低下していくこともあると言われます。確かにそんな人もいるかもしれませんが、ただ、そんなベテランの中にも、どんなに年数を重ねても毎日いきいきと働かれている人もいます。こんな差がなぜ生まれるのかは、おかれている環境や体験が違えば違うので一概にこうとはいえないと思いますが、いきいきと働かれている人は、そこにやりがいや楽しさを感じている気がします。何年も同じ仕事を続けている人でも、そこにやりがいを感じている人はたくさんおられます。
例えば、伝統工芸の職人。傍からみると、毎日同じような作業をしているように見えることがあります。でも、まわりには、単調な仕事と見えても、その人にとっては単調な仕事の中に小さな違いが見えていて、うまくいく時とそうでない時の差がわかる。だから、うまくいけば嬉しくなり、うまくいかないと悔しくなる。見えている景色はその人にしかわかりません。
こんな差が見えていると毎日の仕事は新鮮になり、楽しくなります。でも、そこを見えない人、見ようとしない人にとっては「つまらない単調な作業」となる。手を抜かず、ひとつの仕事に一生懸命向き合っていくと差が見えるようになり、適当にやっているといつまでも差が見えない。これはどんな仕事でも同じではないでしょうか。見える景色の差は心の向き方の差なのかもしれません。
「心」というと、よく、昔から「初心にかえる」とか「初心を大切に」という言葉があります。初心というのは、「初めてのことに取り組む際の新鮮な気持ち」だと思いますが、そうした「初々しい気持ちを忘れるな」という意味以上に「自分の未熟さを忘れるな、つたなかったときのことを忘れるな」という意味があると思います。
仕事をはじめた頃は、先輩のように出来ない自分が悔しくて、手を抜かず、丁寧にやろうとしていたはず。誰もが自分の拙さに歯がゆい思いをした記憶があると思います。私も経験がありますが、あの歯がゆさがあったからこそ、もっと頑張ろうという気持ちが生まれました。でも、そうした初心を忘れ仕事が出来るようになると、つい慢心することがあります。慢心すると仕事に変化がなくなり面白くなくなる。「初心を忘れるな」というのは、仕事を楽しくするためにも大事な言葉なのかもしれません。
初心にはもうひとつ「最初に思い立った心や最初の決意」という意味もあるそうです。初志ともいえますが、その仕事始めた時に「こうなりたい」と目指した自分の決意。これも、つい忘れがちなこと。
いずれにしても初心は大事。皆さんの「初心」はどんなことですか。
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働きがい・やりがいの向上
2024 年 01 月 23 日 09:39
誠実な仕事
最近、いろいろなところで、不正や不祥事が明るみになっていますが、信頼していた企業が、何かをごまかしたり、隠し事をしていたということを知るとやはり大きなショックを受けます。
「誠実である」ということは昔から大事なことでしたが、短期的に業績をあげることに追われてしまうと、ついその大切なことを忘れてしまうこともあるのかもしれません。「成果を出すためなら、多少のごまかしはしょうがない」。人間は弱いので、強いプレッシャーの中でついそんな思いを持ってしまうのはわかる気もします。「誰も見ていないから、ちょっとくらいいいか」と思ってしまうことは自分にもあります。
ただ、人生においてもそうかもしれませんが、「誠実さ」は長期の成功には不可欠な要素。一度でも、ごまかしたり、嘘をつくと、そこで信頼がなくなり、長期的には成功できません。
先日もそんな体験をしました。ある会社で保険の契約をした時のことです。この契約で良いのか悩んでいると、電話で対応してくださった人が「お客様ならこちらの方が良い」と、当初のプランより、安くなる方法を考えてくれました。会社の業績のことを考えると高いプランの方を勧めるのが正解だったのかもしれませんが、その人は常に私のことを優先して考えてくれ、その人やその会社に好意を持ちました。「次もお願いしよう」という気持ちになりました。誠実さはその場の業績につながらないのかもしれません。でも、確実にその人や企業への信頼にはつながり、少なくとも私は、将来も続けてこの会社を利用しようと思いました。
「誠実さ」はその人の資質や人柄だと言われますが、私は、この人の対応から、その人だけでなく、その会社全体の誠実さを感じました。もし、この後で、なぜもっと高い商品を提案しないのかと追求されるような風土では、こんな対応はできないはず。こうした対応がよいという上司や先輩がいることもそうですが、きっとその人の上司が誠実な対応をしてこられたのだろうと思います。誠実な仕事が、文化になっているからこそ、そこにいる人が誠実な仕事をする。そう思うと「誠実さ」はその人が持って生まれた資質としてとらえることもできますが、磨き、伸ばしていける「能力」と考えて、企業全体で高めていこうとする方がよいのではないでしょうか。私たち企業に求められている「誠実さ」とは何か。わが身を振り返って考えてみようと思います。
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お客様満足・感動の向上
2024 年 01 月 16 日 09:55
地域で長く続く会社の共通点
栄枯盛衰と言いますが、これだけ世の中が変化していると、一時的に流行っていたお店がしばらくするとなくなっていたり、昔住んでいた町に久しぶりに行くと、古い店がなくなり、全国チェーン店ばかりが目立つ町になっていたり、栄枯盛衰を実感することがあります。
ただ、そんな変化が激しい世の中でも、地域の中には、創業何十年と、長く続いている企業があります。同じ変化の風を受けながらも地域の中で長く続く。こうした企業は何が違っているのでしょうか。
そもそも、長く続くには、顧客や地域からの信頼がなければ続く訳がありません。時代に左右されるようなものではなく、クオリティの高い、「本物」の商品やサービスを提供し続けられるかどうか。先日、埼玉県にある創業70年続く会社を訪問させていただいたのですが、やはり商品へのこだわりは並外れたものでした。「現状に胡坐をかくな」、「常により良いものを生み出そう」。そんな姿勢があるからこそ、高品質が維持され顧客から支持される。社会に良いものを提供していくことが自分達の使命であるという強い思いがありました。
ただ、そうした高い品質を生み出すのは、経営者だけで難しい。そこに共感する社員がいてこそ実現します。社員のことを考え、経営者が「適当でよい」「現状でよい」というような甘い基準でいれば、働く人も楽なのかもしれませんが、それでは顧客からの信頼は生まれません。しかし、そうかといって、ただ厳しいだけの会社では人は定着しない。厳しさの中で「人へ優しさ」がなければ長く続いていかないのではないでしょうか。
長く続く会社のもうひとつの共通点は、社員を人として大切にする「大家族主義」の想いです。別の地域ですが、先ほどの企業と同じく、創業から70年以上続く会社を訪問させていだきました。この会社にも社員を家族のように大切にする風土がありました。単なる労働力として扱うのではなく、「社員は大事な家族である」「大切な仲間である」。経営者が社員を人として大切にする姿勢があるからこそ、社員も頑張って働ける。両社には共通の風土がありました。
もちろん、そうした会社でも、家庭の事情でやめていく人もいます。だた、辞めていった人が「あの会社は人を大切にしない」と噂をするようでは、その企業から人が離れていくはず。辞めた人も働いている人も自分の家族に「あの会社はいい会社だ」と口にされているからこそ、狭い地域の中でも採用に困らず、人が集まってくるのだろうと思います。
地域の中で企業が長く続くには、やはり商品へのこだわりと働く人を大切にする経営者の想いがどうしても必要なのかもしれません。この10年くらいでCSやESという言葉が流行っていますが、老舗企業は昔からわかっておられる当たり前のことなのかもしれません。いいものを作ろう。社員を大切にしよう。経営者にその姿勢があるからこそ、働く人の誇りが生まれ、地域の人も共感する。「この会社は地域の誇りだ」と思われるようになるのは、並大抵の努力ではないと思いますが、栄枯盛衰の世の中で長く続いていくには、やはり、このぶれない理念が不可欠なのかもしれません。
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「いい会社」が実践する理念経営
2024 年 01 月 10 日 10:00
結果とプロセス
新年早々、石川県能登地方を震源とする地震が発生しました。被害を受けられた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。一日も早く平穏な日常が戻ることをお祈りいたします。
先日、ある会議で仲間同士がプロセス(日々の努力)の発表をし合う機会があり、改めてプロセスの大切さを感じることがありました。
仕事をしていく上で「結果を出す」ことと「プロセスを重視する」ことは、常に頭をよぎる大きなテーマです。働く上でどちらが大事かと問われると、どちらも大事で、なかなか選ぶことはできません。プロである限り、やはり結果を出さなければいけません。かといって、結果ばかりを追いかけても、よい結果は出ないもの。ビジネスにおいては結果もプロセスも優劣はつけられません。しかし、人間をつくる上で大事なことはと問われたとしたらと、結果より、やはりプロセスであるのではないかと思います。
確かに結果が出ると嬉しくなる。次も頑張ろうというモチベーションも生まれます。しかし、例え準備不足で臨んだり、多少甘かったりしたとしても、たまたま結果が生まれることがあります。自分の実力が不足していても偶然に結果が出ることもあります。つまり、結果は嘘をつくことがある。それをわかっていないと、結果が出ているとつい油断をしてしまう。結果の嬉しさに有頂天になっていると、だいたい足元をすくわれます。結果だけを褒める弊害のひとつは、この慢心の問題があるのかもしれません。
また、「結果を出せ」と言われ続けると焦ってきます。「早く結果を出さなければ」と思うと、本来の目的を忘れてしまったり、つい大事なプロセスを省略しようとしたり、すぐに結果が出る近道を探してしまいます。例えば営業スタッフなら、買ってくれそうなお客様ばかりを訪問し、すぐに購入をしないお客様とコンタクトを取らなくなる。こうした営業では当面の結果は出たとしても長続きはしません。やはり、正しいプロセスを積み重ねてこそ、いい結果が生まれ、継続するはずです。
ただ、だから結果は意識しなくてもよいかというと、それも弊害があります。「結果は気にしなくていい」という甘い環境では、プロセスも甘くなり、形骸化したりすることがあります。結果を意識するからこそ、厳しくプロセスを見つめ直す。
こう考えていくと、結果とプロセスは人が成長するための自転車のようなものかもしれません。日々コツコツとプロセスという後輪をしっかりと漕ぐ。そうすると前輪である結果が進む。もし、前に進まない時は後輪の回し方を見直し、もう一度漕ぎだしてみる。やはり、前に進むために重要なのは、やはりプロセスだと思います。
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働きがい・やりがいの向上
2023 年 12 月 28 日 15:50
未来から考える
過去の実績から「今、何をやるべきか」ではなく、未来にどうなりたいかと目標を定め、そこから「今、何をやるべきか」と考える思考法を、バックキャストというそうです。
SDGsなどもそうした思考法。持続可能な社会を実現するために何をするか。過去の延長線上の未来ではなく、未来を定めてそこに線をつくるという考え方は、新しいものではないのかもしれませんが、過去の経験が生かしにくい、変化の大きな時代には、このバックキャストの思考法がより大切になってきているように感じます。
ただ、そうはいっても、つい過去の成功体験が頭によぎってしまい、過去のやり方を手放せないことも多い。これまで、これで上手くいったのだから、これで良いはずだ、過去のやり方を伸ばしていこうという発想になりがちです。特に私のように年齢を重ねれば重ねるほど、過去のやり方に囚われてしまいます。ただ、どんどん過去の知識や成功体験が通用しなくなる時に、それは足かせになってしまうこともある。
誰もが理想の未来を描き、そこに向かって今を考えるという思考の大切さはわかっていても、その実現が難しいのは、つい安定を望んでしまう思考の癖が原因なのかもしれません。
ただ、「世の中をより良くしたい」というモチベーションから、新しい企業を立ち上げ、これまでにないビジネスを展開する企業が増えているように、若い人にとっては、未来から今を考えることはもはや普通になのかもしれません。
しかし、過去の企業を見ても、戦後の混乱期に「世の中に役立とう」と高い理想を掲げ発展してきた会社もあるので、バックキャストは、決して新しい思考法ではないと思います。理念経営は昔から未来志向です。
未来をどう描くのか。どんな未来をつくり出したいのか。
経営者にとっても大切な思考ですが、働く人にとっても、「過去の実績を何%上げよう」と言われるより、未来志向の考え方の方がワクワクしてきます。
より良い未来をつくり出していきたいですね。
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「いい会社」が実践する理念経営
2023 年 12 月 18 日 15:51
主体性を育てる
自ら考え、自ら行動する。若手育成において、昔からよくこの大切さを言われていますが、何が正解か誰もわからない、やってみないとわからない時代にあっては、ますます、大切になっています。
しかし、なかなかそうならない。若手の育成に悩んでいる人のお話をよく聞きます。
新人も頭でわかっていても学生時代に手とり足取り教えられて育っていると、何かやろうにも、失敗が怖く、なかなか前に踏み出せない。自ら考え、自らやるというのは若手にとって思った以上に難しいのかもしれません。
しかし、社会人ではそれではなかなか難しい。何事も最初が肝心と言いますが、新人の頃に「自ら」を身に付ければ、その後の成長も違ってきます。わからないことばかりの新人には、何でもしてあげたくなりますが、手をかけすぎると「自ら」が育たない。教える側が問われています。
例えば、何かわからないことがあった場合、「教えてくれない」「教わっていない」とふてくされたり、待っていられるのは学生時代ですが、社会人なら「自ら聞きに行く」か「自ら調べる」の2択しかありません。こんな基礎から教えてあげないといけないのが今なのかもしれません。
我が家では、だいぶ前に子育ては終わりましたが、うちの場合、子どもが小学生の頃、朝子どもが起きてこなくても、親が子どもを起こしにいくことはしませんでした。寝坊するのは自分の責任。親は起こさないと決めているので、自分で起きるしかない。親のせいにもできません。時間通りに起きるようになりましたが、こんな子育ては昭和の時代。そうでない環境で育ってきた人も増えています。
しかし、今の若い人は社会に役立つ気持ちも高く、素直でいい面がたくさんあります。いかに良さを伸ばしてあげられるか。変わるべきは教える側かもしれません。
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これからの時代の人財育成
2023 年 12 月 12 日 10:20
いい会社とは?
学生は「いい会社に入りたい」と言います。
我々も「いい会社だ」とか、「いい会社になろう」とか「いい」という言葉を使います。しかし、そもそも「いい会社」とはどのような会社なのでしょうか?
そもそも「いい」という定義は人によって様々。時代によっても変わります。しかし、「いい会社」というのが、我々がこれから向かう方向性だとしたら、「いい会社」のイメージが明確になっていなければ始まりません。
昭和の頃、有名企業に就職できると、周りから「いい会社に入ったね」と言われました。知名度があり、大企業が「いい会社」という時代もありました。しかし、無名であっても、価値ある製品を世に届けている会社もあります。また町の中にも根強いファンに支えられ「いい店だ」と愛され続けるお店もあります。もはや、全国的な知名度だけが「いい会社」ではなさそうです。
また、「成長したり、拡大している企業は将来性がある」とマスコミが騒ぎ、「急成長がいい」と思われた時期もありました。しかし、今日成長しているからといっても、そこで働く人が幸せだとは限りません。働く幸せもいい会社の必須条件になってきています。また、例えばお客様に安く商品を提供し喜ばれる会社でも、もしも、その裏で取引先に無理を言って叩いているようなことがあれば「いい会社」とは言えません。
「いい会社」をイメージするのは確かに難しいのかもしれません。ただ、今の世の中、「自分だけよければ、お金さえ儲かれば、今だけよければ」というような利己的な企業姿勢は、確かに嫌われているようにも見えます。
「いい」というのは、自分が「いい」というのではなく、関わるすべての人から「いい」と言われること。
昔の近江商人も「売り手よし、買い手よし、世間よし」ということを大事にしていたそうです。そう考えると「いい会社」とは、すべての人の幸せをめざす経営姿勢そのもの。そう考えると「いい会社」とは、業績や規模などではなく、その姿勢を持ち続ける会社だと言えます。
皆さんにとって「いい会社」は、どのような会社ですか?
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これからの時代の経営のあり方
2023 年 12 月 06 日 10:15
お客様の立場に立つ
昔から営業や接客などで「お客様満足」を高めていくには、お客様の立場になる、お客様の目線になって考えることが大切だと言われています。ただ「お客様の立場に立つ」というのは意外と難しいもの。
そもそも、自分と相手は違う人間。相手のことはわからないのが普通です。しかも、売る側になると、つい売ろうという意識が強くなり、買う側の気持ちになかなか寄り添えません。
ましてや知識も経験があるプロ。お客様は素人。素人であるお客様が高い買い物をする時の不安や、そこにお金を出そうとする時にどんな気持ちになるのか。経験があるほど、お客様の気持ちがわかりにくくなってしまうのかもしれません。
「相手の立場に立つ」というのは、相手のことがいかに自分事として考えられるかということです。難しいとはいえ、高い買い物をする時ほど、自分のことのように考えてくれる人に対応してもらえると信頼は高まります。
先日、あるリフォーム会社で常に優秀な成果を出す一人の女性営業スタッフの方のお話を聞く機会がありました。成績は全国トップクラス。他の人の何倍も売る人だと聞いていたので、さぞ提案力や知識がある人かと思っていたのですが、その人が信頼されているのは、テクニックや知識ではなく、「お客様が、もし自分の家族なら」と考える、営業の姿勢でした。
お客様を逃がしたくない、何とか売り込みたいと思ってしまうと、つい、これが良い、こんな住まいが良いと売り込みや提案をしてしまいそうですが、その人は、お客様を自分の家族と思い、その方がどんな暮らしをしたいか、何を望まれているのか、リフォームに対するお気持ちを最初に徹底的に伺って寄り添っていくそうです。
売り手である前に、お客様を自分の家族や親戚のように思う。そうすると、だんだんと自分事のようになり、お客様が「こうしたい」と希望されたことに対しても「それよりはこうした方がよい」と一緒に考えたり、時には「今は、このまま使う方がいい。リフォームしない方がいい」と言ってしまうこともあるそうです。そんな姿勢で、工事が終わるまで家族の一員のように付き添うのが彼女のスタイル。断ってしまうと、売れなくなるのではと思いましたが、彼女の親身な姿勢にお客様は心から感動し、次々と契約が生まれているのだそうです。
自分の家族がお客様ならと想像すると、確かに無理な販売はしない。家族だと思えば、時には「それはやめた方がいい」ということもあるもしれません。「お客様が自分の家族だったら」という視点はシンプルですが、お客様を自分事としてとらえる上で、いちばん良い方法なのかもしれません。BtoBならば、自分がもし、その会社の社員なら、経営者なら、製造する人なら、「もし、自分の家族が使うとしたら」と考えることでしょうか。
そう考えることで、本当の意味でお客様目線で聞くことができ、真のお客様志向が生まれてくるのかもしれません。
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「いい会社」が実践する理念経営 素晴らしい会社
2023 年 11 月 30 日 11:36
いきいきと働くことの価値
人に「仕事は楽しいですか?」と尋ねると、あたりまえですが様々な反応がかえってきます。即座に「楽しい」と言われる人。「楽しいなんて感じたことがない」という人。そもそも、給料をもらって働いているのだから、仕事はつべこべ言わずやるもので、楽しいとか、楽しくないということは言うものではないという意見を聞くこともあります。「楽しくなくてもやるのが仕事」というのが、世間一般的の認識かもしれません。「楽しくいきいきと働く」ということに価値や意義を感じていない人や会社は、まだ多いのかもしれません。
しかし、社員がいきいきと働いている会社は、そうでない会社より、業績が高いという研究結果もあるように、経営においても重要なテーマであり、同時に働く人のやりがいや生きがいからみても、いきいきと働けることは大切なことだと思います。
ただ、いきいきと働くというのは本当に曖昧です。いきいきに明確な定義もなく、こうすればいきいきと働ける、こうすればやりがいが高まるというような決まりもありません。いきいきと働くきっかけも人によって様々です。
例えば、面白くないと思って働いていたとしても、誰かに「ありがとう」と言われたりすると、自分の役割を感じて自分の仕事が違ってみえることもあります。人間関係の中で「やりがい」がみつかることがあります。
自分が一生懸命に取り組んだ仕事で、お客様が涙を流して喜んでくれた。そんな体験を通して仕事に誇りを感じることもあります。喜ばれることはやりがいになります。役立てた体験は心が躍ります。
また、マニュアル通りにやっていた時は楽しくなかったけど、初めての仕事に挑戦していく中で創意工夫をしている時にいきいきしてくることもあります。言われたまま仕事をしていると辛いけど、「自分が仕事をコントロールしている」と感じられる時は楽しいもの。だんだんと仕事ができるようになると、この楽しさが得られます。
それ以外にも、誰からも褒められない単調な裏方仕事。流れ作業のようにこなしていた仕事が、その先にお客様がいてそれが幸せにつながっていると実感できた時、自分の仕事が輝いてみえることがあります。自分の仕事は地味だけど、社会に役立っている。そんな体験をした時に、自分に誇りを感じるでしょう。
やりがいを感じる瞬間、いきいきとする瞬間は様々です。このような瞬間はいつ訪れるかわかりませんが、この中のひとつでも体験できれば、自分の仕事の見方は変わる。そんな人もたくさん見てきました。
だだ、やりがいを感じるかどうかは個人差もありますので、会社がこのためにやれることは少ないのかもしれませんが、例えば、仲間同士で「ありがとう」を言う。仲間を信じて仕事を任せる、裏方の人に感謝を伝える、仲間の頑張りを認める、褒める。お客様の感謝の声を共有する。小さなことならできることはあるのかもしれません。
こうやって仕事の中にはいろんな体験ができる。しかし、「そもそも仕事は楽しくないもの」と思っていると、こんな瞬間に出会っても素通りしてしまうのかもしれません。「いきいきと働く」ということに価値を感じるのか、そんな風に働きたいと願っているのか。最後はその人がどう働きたいかなのではないでしょうか。
8時間の労働時間をつまらない時間するのも、楽しい時間にするのも自分。楽しさは見つけたいと思う人だけが見つけられるのかもしれません。皆さんは、いきいきと働きたいですか?
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いきいき働くための仕事の姿勢 働きがい・やりがいの向上
2023 年 11 月 22 日 09:52
見えるもの、見えないもの
当たり前の話ですが、世の中は目に見えるものと、目に見えないもので出来ています。
人間の身体は見えても、心は目に見えない。財産は見えても、幸せは目に見えない。命も見えません。
経営でも、利益や会社の状況は財務指標として見ることができますが、お客様からの信頼や社員のやる気というのは目に見えない。
今、大きな会社でもお客様からの信頼を失い、場合によっては倒産してしまうようなことが起こっていますが、会社にとって、財務指標には載らない、この目に見えない資産がなくなるととたんに経営が出来なります。お客様からの信用や信頼という目に見えないものは本来、数字以上に大事な資産。誰もがわかっていることなのに、見失うこともあります。もう一つの社員のやる気も、これがなくなってしまうと会社は存続出来ません。会社の風土という空気も見えませんし、理念という「経営の想い」も本来は見えません。命が人間をつくっているように、本来、見えないものがその本質で大事なことなのに、私たちはつい、目に見えるものを追いかけて、見失ってしまうこともあります。
見えないものを見るにはどうすればいいか。それが見えている人は、見ようとしている人だと思います。そこに関心があれば見えてくる。それを大事にしていれば見えてくる。何百年と続く老舗企業が先代から続く精神や理念を大事にしているように、社員がいきいきと働く会社は、社員の幸せを大事にし、お客様から信頼されている会社は、その信頼を大事にしている会社なのかもしれません。
あなたが大事にしている目に見えないものは何ですか?
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経営理念の浸透・共感
2023 年 11 月 14 日 15:06
心が突き動かされるもの
先日、ある塾の講師の方のお話を聞く機会がありました。勉強嫌いの生徒のやる気をいかに高めるかということを一生懸命取り組まれてきた方で、その塾から何人も難関校への合格者が出ています。
どうすれば生徒のやる気を高められるのか。その方が取り組まれたのは、受験する「目的」をとことん聞くことでした。〇〇に合格するというのは目標ですが、目的があいまいな生徒はやはり最後まで頑張ることができない。なぜ合格したいのか?何のために勉強したいのか?勉強を始める前に、その人に向き合い、その理由をしっかり聴くそうです。自分が勉強する目的、その学校を受験する目的。そこがはっきりすると、生徒の目の色が変わり進んで勉強するようになる。こんな話を伺いました。
ビジネスの世界でも同じかもしれません。いくら数値目標や行動目標を明確にして取り組んでみても、その目標の奥にある「何のためにやるのか」という自分が進む理由、目的がなければ、最後は力がでない。あの山に登ろうと言われても、そこに「どうしても登りたい」という強い思いがなければ途中で諦めてしまいます。
そこに行きたいと思うかどうか。自分の心を動かされる目的があるかどうかは、社会人にとっても大切なことだと思います。
ただ、社会人の場合、どの組織でも組織の目的は明確になっています。我々は何のために働くのかは「企業使命」として理念に謳われています。それなのに、その目的が社員にとっての「登りたい山」になっていない場合もある。最近、行動指針を示し社員に徹底させようしているのに、なかなか現場で実行されないという悩みを伺ったことがありますが、これも目標の奥にある目的が語られていないからかもしれません。「どこをめざすか」「何をやるか」は明確になっていても「なぜやるか」がわからない。働く人が目的に心が突き動かされていないと、いくら行動を強制しても形だけになってしまいます。
組織の目的が自分も登りたい山であれれば自分から登ろうとする。そう考えると、企業の理念はやはり、働く人の心を突き動かすものであり、人がそこに行きたいと思う崇高なものでなければならないでしょうし、その理想と経営者の行動が一致していなければ、誰の心も動くはずがありません。
自分の心を突き動かす目的があれば努力は継続する。やる気の源泉はやはり「目的」だと思います。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2023 年 11 月 07 日 17:29
頑張るエネルギー
もう何十年も続くテレビ番組、「はじめてのおつかい」。番組では、子どもたちが頑張る姿が映し出されていますが、その子どもの姿に親も感動し、司会者もゲストの人たちも涙し、視聴者の私もいつも励まされます。
「あの人があんなに頑張っているんだから、自分も頑張ろう」。誰もがこんな思いを持ったことがあると思いますが、子どもに限らず、誰かが一生懸命がんばっている姿は、やはり周りの人に大きな影響を与えます。
私も自分の子どもが一生懸命頑張っていると、自分も頑張らねば、と思いますし、逆に子どもも、親が頑張っている姿に励まされることもあるかもしれません。誰かの頑張るエネルギーが人の頑張るエネルギーになり、成果も生まれる。世の中はそんなエネルギーで出来ているのかもしれません。
チームで何かを成し遂げようとする時も、誰のひたむきに取り組む姿勢がチームを盛り上げることもあるように、頑張っているエネルギーは人に伝染していきます。ただ、頑張る姿が美しく感じるかどうか、人に伝わるかどうかは、そこに駆け引きがない時かもしれません。「私はこんなに頑張っているのに、なぜ、みんなは頑張らないのか」と思っているような時は伝わらない。ただ、純粋に目的に向かって一途に頑張っていくような人の頑張るエネルギーだけが自然と人に伝わっていく。何のために頑張るか。そのことを行う動機が大事なのかもしれません。
会社も同じ。どの会社もスタート地点はゼロからのスタート。会社を大きくしようと一生懸命がんばる社長がいるからこそ社員も頑張る。そこで働く先輩社員の頑張る姿が若い社員に伝わり、頑張るエネルギーが相互に影響し合って会社が発展していきます。利己的なリーダーではなく利他的なリーダーが、もっと、お客様に役に立とう、もっと社員のためにと頑張る。そんな姿に人は動かされていきます。お金が人を動かす動機になることもありますが、やはりリーダーが理念に向かっていく姿勢こそが、いちばん人を動機づけるものになるのではないでしょうか。最近、よく理念浸透が話題になりますが、どれだけ社員に理念を教えていても、リーダーが理念に必死でなければ伝わる訳はありません。理念の浸透でいちばん大事なのは、リーダーや先輩の頑張る姿勢なのかもしれません。
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経営理念の浸透・共感
2023 年 10 月 24 日 11:34
仕事の意義と経営理念
給料よりも生きがいのある仕事をしたい。
最近、20代~30代のあいだで、こんな風に「意義ある仕事」を選ぶ人が増えているそうです。人生の3分の1を過ごす仕事を、意義を感じないまま過ごすより、自分にとって幸せな働き方を選びたい。昭和の時代は、例え意義を感じなくても、仕事は我慢してやるものだと言われたことを一生懸命にやってきましたが、令和の時代はそれでは頑張れない。自分の仕事が社会の役にたっていると感じられたり、仕事を通して自分の成長が実感できたり、仕事をやることに意義を感じられないことはやりたくない。例え給料が低くなるかもしれないが社会に役立つ仕事をする。こうした価値観の人の割合は、今後もどんどん増えていくと言われています。今後、益々採用が難しくなってくる時代の中で、若い人を採用するためにも「仕事の意義」は大きなテーマになっていくのかもしれません。
自分の仕事に意義を感じる。
意義を感じない時は、仕事はやらされる仕事になりますが、「自分のやっていることは、社会の役に立っている良い仕事だ」と感じられるときは、人は進んで行動します。目的を達成しようと思うと「もっとこうしよう」と創造的なアイディアも出る。意義を感じていると辞める人が少なり、採用も困らない。働く人が仕事の目的に共感しているということは組織にとっても良いはずです。
しかし、いくらそれが大事だとわかっていても、企業の現場が実際にそうなっていないことがある。職場の先輩は誰も「仕事の意義」を語らない。問われるのは数字だけ。ただ仕事をこなし、ただ毎日を過ごす。意義を感じなくても日常は過ぎていく。「仕事とはそんなものだ」と言われても、意義を求める若い人にとって、ずっと、そんな職場で働いていていると不安になってしまいます。
仕事の意義。その根本にあるのが経営理念です。
職場の誰も意義を語らないというのは、文章として経営理念があったとしても、その経営理念が職場の中に生きていないということになります。当たり前になってしまっているその現状がいちばんの問題なのかもしれません。
経営理念は誰のためにあるのか。何のためにあるのか。
もちろん、顧客や社会に対して自社の姿勢や方向性を示すという意味もあると思いますが、今、いちばん必要としているのは働く人。自分の仕事の意義を感じたい、やりがいを感じながら働きたい。働く人のためにも、経営理念が大事になってきているように思います。
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経営理念の浸透・共感
2023 年 10 月 17 日 18:11
組織の壁の壊し方
組織の壁、部門の壁というのは、昔からよく聞く話ですが、壁というのはなぜ出来てしまうのでしょうか。
先日、顧客満足が高いホテル、大阪の「道頓堀ホテル」の経営改革の話を伺う機会がありました。
道頓堀ホテルは、今でこそ稼働率9割を超える顧客から人気の高いホテルですが、20年ほど前は、組織の中に厚い壁がいくつもある古い体質の会社で、経営は赤字になっていたそうです。当時から働く料理長に伺うと、その当時は、他の部門の人と口をきくこともなく、それぞれが自部門のことだけを考える風土だったそうです。調理部門は「美味しい料理」を作るプロであり、それを提供するのが仕事。営業部門やサービス部門から、何か依頼されたとしても、「こっちには関係がない」「料理にケチをつけるな」とまったく相手にしない。「他部門は敵だ」というくらいに感じていて、大きな壁がいくつもあったそうです。
そうした状況の中で、三代目の経営者によって道頓堀ホテルの経営改革が始まったのですが、料理長にとって壁を超える転機になったのは、それぞれの部門長と参加した外部の勉強会だったそうです。最初は嫌々参加していた勉強会でしたが、回を重ね、飲み食いをしているうちに少しずつお互いを知るようになり、他の部門がどれだけ大変なのか、どんな思いで働いているかがわかるようになりました。そんな中で、少しずつ他部門への気持ちが変わっていったそうです。無理やりでも参加した「共通体験」の場がわかり合う機会になった、と言われていました。
その勉強会では、自分の仕事の目的を考える機会があったそうです。何のために仕事をしているのか。その問いに向かっていく中で、調理部門は、本当は料理を作ることが目的ではない、料理を通してお客様に喜んでもらうことが目的だと気づかれます。美味しいものを作るのが本来の料理人であるという昔堅気の世界で育った料理長にとって、大きな価値観の転換。しかし、「目的」がわかると、料理を運んでくれる人、宴会を受注してくれる人など他部門への見方も変わり、会社の理念が改めて腹に落ちたと言われていました。
それぞれの部門で、各部門の目的の先にある「大きな目的」が腹に落ち、「部門は違っても私たちは同じ目的に向かっている仲間だ」と感じられるようになると、自然と協力や助け合いが生まれ、当然、お客様からの評価も高くなり、顧客満足もどんどん上がっていったそうです。
会社に限らず、家族でも、スポーツでも、人と人との行き違いは「わかりあえていない」ことから生まれるもの。「わかりあえていない」状態をほっておくと「壁」が生まれ、余計にわかり合えなくなり、敵対心まで生まれてしまいます。最初はストレスがあったとしても、やはり、時間をかけても、じっくりと話し合うことがいちばん大事なのでしょうか。
しかし、そもそも、何のために部門があるのかと考えれば、全体で良いものを生み、お客様に満足していただくために生まれたもの。その共通の目標、目的を忘れるから、壁が生まれる。とすれば、壁があるのは、数字ばかりに目が向いて、理念が形骸化したり、蔑ろにされているのかもしれません。
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DOIT! 「いい会社」が実践する理念経営 素晴らしい会社
2023 年 10 月 10 日 18:03
お客様に熱心な営業
以前、ある方から、「熱心な営業」と「しつこい営業」は紙一重であるという話を聞いたことがあります。営業スタッフは、自分の商品に自信を持って顧客に紹介する。断られても、何度も何度もお客様のところに通い、熱い思いを持って商談をする。しかし、同じようにお客様に向かっていても、ある人は顧客から「しつこい営業だ」と嫌われてしまう。しかし、ある人は「熱心な営業だ」と好意を持たれる。この違いはどこにあるのでしょうか。
お客様に「しつこい」と思われる人は、どうしても売りたい、自分の成果を上げたいと思う気持ちが強い人。しかし、同じ熱意を持っていたとしても、お客様のことを第一に考え、どうすれば喜んでくださるかという気持ちが強い人は「熱心だ」という評価になる。熱意の方向が自分の為か、相手の為かが違う。それが「熱心」と「しつこい」の差であり、やはり営業はお客様本位でなければならないというのが、その方のお話でした。
しかし、営業は数字をあげてこないと評価されないという空気があり、つい結果を出すことに頭が働いてしまいます。熱心に訪問し、熱心に説明をする。その熱意は絶対に大事なことですが、「売りたい」という気持ちばかりだとお客様は嫌になってしまいます。その人の根底にある思いは、小さな差になって、相手に伝わってしまうものなのかもしれません。
以前、私の会社を担当するある営業スタッフに、その人の業務範疇を超える悩みを話したところ、その解決に親身になって動いてくれました。商売にならないことなのに、親身になって考え行動してくれたことに私は感動し、それ以来、ずっとその人に依頼するようになりました。売ろう、売ろうとその人が一生懸命になっている時は、信頼できなかったのに、そんな小さなことから、信頼が生まれていきました。顧客は顧客に熱心な人から買いたくなる。そんなことを感じたことがあります。
自分の数字に熱心な営業ではなく、お客様に熱心な営業。求められる営業も変わっていっているのかもしれません。
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お客様満足・感動の向上
2023 年 10 月 03 日 17:22
空気の影響力
いい会社を訪問すると「良い空気」を感じます。
士気が高い、みんなが笑顔、助け合って働いている。活気があり、いきいきとした空気があります。
「空気」というのは、人の心が作り出す全体的を包む雰囲気。日本人は、この空気に左右されやすいと言いますが、私たちは、何となくその場の空気につい影響を受けてしまいます。
例えば、野球。終盤に大きな点差になるとベンチが「負けムード」になる。そうなると、今まで声を出していた選手が声を出さなくなり、やる気も下がる。いつもなら出ないようなミスが出たりする。
会社の会議でも、上司が一方的に話をしている時は、何か反対意見を言いにくい空気が生まれます。おかしいなと思っても、みんな黙ってしまう。
しかし、野球でも、ヒットが続き、「やれるぞ」という空気になると、昨日打てなかった人がヒットを打つ。勝ちムードになると作戦も上手くいくことがあります。
会議でも、みんなが笑顔で、意見をどんどん発言するような空気の時は、新人も何となく自分も意見を言わなくてはと思い、発言する。上司が笑顔でいるだけで、反対意見を言ってもいいという気になる時もある。「空気」は、悪い方向にも影響していくし、良い方向にも影響します。
しかし、「空気」は見えないし、科学的に解決するものでもなく、なかなか手が出しにくい。ただ、組織の空気が悪いと、社員の士気は下がり、仕事も停滞する。挑戦も生まれないし、長く続くと息苦しくなることもあり、空気が社員満足に影響することもあります。「こうしたらもっと良くなる」と、もしもいいアイディアを持っていても、言い出しにくい空気では意見を出しにくい。先輩に相談しても、ムスッとされると意見を言うのも嫌になる。みんながそんな空気になっている時に、やる気など出るはずがない。
では、どうすれば、「良い空気」をつくれるか。やはり、いい空気も悪い空気も、作っていくのはその場のリーダーなのだろうと思います。しかし、負けムードの時に、一人の選手が声を出し始めて、一気に空気が変わることもあるように、リーダー以外の人であっても、空気を変えることできるのかもしれません。あえて空気を読まない人が空気を変える時もあります。
職場の「空気」とは、つまり組織風土。良い「空気」が社員のやる気を高め、満足につながっていくとすれば、「よい空気」をつくっていくことがいちばん大事なのかもしれません。
あなたの職場は、今、どのような空気ですか。
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素晴らしい会社 素晴らしい組織風土づくり
2023 年 09 月 26 日 15:06
問題解決と問題対処
仕事の中でも、日常生活の中でも、次から次への問題が起こります。この「問題」をどう解決していくか。そのアプローチで結果が変わっていきます。
社員が自律的にいきいきと働く自動車ディーラー、ネッツトヨタ南国の創業者、横田英毅さんは、「問題対処」ではなく「問題解決」が大事だと言われています。
横田さんから伺った話がいちばんわかりやすいので、引用させていただくと、例えば、一人の空腹の人がいたとする。問題は空腹で困っていること。この人に魚を一匹与えれば一日は食べることができます。しかし、それは問題対処。一日空腹が満たされても、次の日また問題が起こる。しかし、その人に魚の取り方を教えれば、その人は一生食べていけることができる。これが問題解決。問題に対して、直接的な、見えている部分にアプローチするのが問題対処。見えにくい部分にアプローチしていくのが問題解決だということです。
例えば、「売上が未達になりそうだ」という問題が起こった時に、訪問件数を上げるように指示するようなことは問題対処。そもそもなぜ未達という状況になってしまうのか、その根本原因に目を向ける。確かに今月のためには、すぐに問題対処をしないといけませんが、解決しなければまた問題が起こってしまいます。
しかし、この問題解決というのは、見えない原因を探ることなので、なかなかすぐに解決策が見つけられない。もし、見つかったとしても時間がかかることなのでなかなか手をつけないという問題もあります。例えば、空腹の人に魚を与える例でいえば、確かに魚を一匹与えることはその場限りだとわかっている。しかし、その人に魚の取り方を教えることは、時間も手間もかかるので躊躇してしまう。仕事の中でも、対処、対処で済ませてしまおうとすることはたくさんあるのかもしれません。しかし、そうやってその場をしのいでもまた問題が起きてしまう。火事になったら消火するという問題対処も必要です。でも、火事になる要因を見つけて火事が起こらないようにしなければ同じことが起きる。やはり、時間がかかっても、問題解決をしないと物事は進化していきません。
働く人が幸せになる会社をつくろうとされた横田さんは、働く人のやりがいがいちばんの要因だと考えられ、トップが指示命令をしない、社員の人たちがお客様のために自分で考え行動する組織をつくってこられました。問題を発見する。そして、時間がかかっても、問題解決にトライする。仕事でも、経営でも、日常生活でも、このスタンスがいちばん大事なのかもしれません。
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「いい会社」が実践する理念経営
2023 年 09 月 21 日 10:22
公私が混ざる職場
いきいきと働く職場づくりを考える上で、メンバー同士の協力関係は欠かせません。
以前、社員満足度の高いネッツトヨタ南国の職場で働く人に「この職場のどんなところがいいですか?」とインタビューをした時、ある女性スタッフが「ここのメンバーはみんな協力体制ができているんです。私は子育てをしながら働いているのですが、今日も子どもが急に熱を出ししていまい、病院に連れていかなければならなくなったんですが、みんなが私の仕事を助けてくれるんです。このメンバーじゃなかったら、今の私はいないと思います」と話してくださったことがあります。
困った時に助けてくれる人がいる。応援してくれる人が傍にいる。仕事の悩みはもちろん、家族の悩みまで相談できる職場。そんな職場だからこそ、人は思い切って働けるのだと思います。
子育てをしながら働く、病気の親の面倒を見ながら働く。多くの人がいろんな事情を抱えながら働いていると思います。私自身も少し前まで認知症になってしまった親の面倒を見ていましたが、仕事と親の世話の両立は大変でした。仕事と私生活は分けるべきだという意見もあるかもしれませんが、家庭に問題があれば仕事中も気になりますし、家庭のことをしている時でも仕事のことは気になってしまう。私生活と仕事を分けるのは無理なことではないでしょうか。
お互いにいろんなことが相談できる。いろいろな家庭の事情を気軽に話ができて、職場の仲間がその人の事情を考えメンバー同士で相談しながら、最適な仕事をする。家庭の事情を職場に持ち込むなではなく、もっと家庭の事情を持ち込んでいく方が、全体としての効率が上がっていくのかもしれません。今、うちの会社にも、病気の子供を抱えながら、小さな子供の面倒をみながら働く社員がいますが、みんながその事情を察し、助け合って働くことで良いチームワークが生まれています。
公私混同という言葉は良くない意味で使われることがありますが、良い意味もあるのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2023 年 09 月 12 日 15:29
「小さな不満」に向かう企業
顧客に見えることが、企業が見えないことがあります。
自分も顧客として体験したことがありますが、例えば、忙しすぎるお店に行った時、ぞんざいに扱われてしまったりする。忙しい時間だからしょうがない、と納得はするものの、少し嫌な気がします。また、例えば通販で購入した商品に小さな傷がついていることに気づく。性能上は問題がないから、「まあいいか」と使うことにする。日常生活の中で、些細な「嫌なこと」に出会うことが時々あります。
きっと、どの企業でも、企業が気付かないうちにお客様に「嫌なこと」をしてしまっていることがあるはず。
でも、こうした見えない不満を活かすこともできる。そんな企業のひとつがユニクロ。昔の話になりますが、創業間もないユニクロが、新聞一面に「ユニクロの悪口を言って100万円」という広告を出したところ約1万通の応募があり、実際に100万円を支払ったという有名な話があります。より良い商品をつくるために、あえてお客様の不満を集めたことで、何を改善すれば良いかがわかり、これが同社の躍進の転機になりました。小さな不満を解消することで多くのヒット商品が生まれていったそうです。
また、食品会社のミツカンも顧客の声に真摯に向き合う企業のひとつ。ヒット商品である、「金のつぶ」(納豆)は、容器がパキッと割れてタレが出てくる商品ですが、あれも「たれが開けにくい・手が汚れてしまう」という顧客の不満をきっかけに、長年研究して開発された画期的な容器です。もっとお客様に喜んでほしいという同社の姿勢が生んだヒット商品。「開けにくい」という小さな声を無視しなかった企業の姿勢に感動を覚えます。
クレームは宝物と言われていますが、発生したクレームへの対応はもちろん、いかに企業が知らないうちに提供してしまっている「小さな不満」にも向き合っていくか。もっと喜んでほしい、もっと役立ちたいという姿勢がそうした行動を生みます。今、問われているのは企業の姿勢なのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2023 年 09 月 05 日 15:08
やりがいを見つける力
よく、私たちは「この仕事はやりがいがある」「この仕事はやりがいがない」ということを言いますが、よく考えてみると、仕事は仕事であり、それぞれの仕事に「やりがい」という色がついている訳ではありません。
例えば「トイレ掃除」。この仕事を「嫌な仕事を押し付けられた」「やる気にならない」とだらだらとやる人もいれば、同じ掃除でも「みんなが使うトイレだから、少しでも綺麗にしよう」と一生懸命、取り組む人もいる。当然ながら、やりがいを感じていると仕事は楽しくなり、感じていないとつまらなくなります。つまり、「仕事」には色がなく、色を付けているのは人です。
「やりがいがある」とは「仕事の意義」を感じている状態です。トイレ掃除でいえば、後者の人は、仕事の奥にある「意義」に気づけた人。前者の人は、意義に気づけない人とも言えます。意義を感じる仕事は、前向きに取り組める。では、なぜ、意義に気づける人と気づけない人が生まれるのでしょうか。
今、自分の仕事に意義を感じている人でも、もしかすると、最初の頃は、「なんで私がトイレ掃除を・・・」と思っていたかもしれません。ただ、どんな仕事も一生懸命に取り組んでみると、誰かから感謝されたりする機会に出会うことがある。一生懸命に取り組んだ。思わず、人から感謝された。そんな体験の中で、自分の仕事が「人に喜ばれる仕事だ」という意義に気づくことがあります。
最初は「嫌だな」と思いながらも、「とにかく一生懸命にやってみよう」と切り替えて、集中して取り組んでみると、仕事の「奥深さ」に気づくことがあります。例えば「水を流すだけでは綺麗にならない」という壁にぶつかる。そこで「どうすれば、綺麗にできるか」と工夫する。それが成功する。そんな体験を通して「トイレを綺麗にする」ということの難しさや面白さに気づくこともあります。
多くの人が体験されているかもしれませんが、やりがいを感じていなかった仕事が、やっているうちに、やりがいのある仕事に変わることがあります。一生懸命にやってみないと、その仕事に「やりがい」があるかどうもわからない。「やりがい」は、やった後にしかわからないものです。
とすれば、どんな仕事も「やりがいのある仕事」にすることもできるし、「つまらない仕事」にもすることもできる。
大事なのは、そこに「やりがいを見つける(意義を見つける)力」なのかもしれません。
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働きがい・やりがいの向上
2023 年 08 月 29 日 10:21
やる気と行動
私たちは日頃、「やる気がある」「やる気がない」という言葉を使いますが、そもそも「やる気」というのは、どんなことなのでしょうか。
最新の脳の研究によると、脳が諦めた時にやる気がなくなるのだそうです。
私たちの脳は、いつも結果を予測してから実際に行動し、その時に得られた結果との誤差を埋めようと調整し、その情報を蓄積していくのだそうです。例えば、100点を取ろうとテストを受けて、何回受けても30点しか取れないというような「小さな誤差」が続くと、脳は「どれだけやっても無理だ」と予測して、その行動を諦めてしまう。その結果、治癒にエネルギーを回すようになり、何も行動する気が起こらない、やる気のない状態になるのだそうです。
会社でも、いつも営業成績が最下位になる。提案を上司からいつも否定される。よかれと思って行動したことが逆に怒られたりする。こんなことが続くと、脳は「どうせやってもムダ、言ってもムダ」と予測して、行動しなくなる。つまり、行動する気がない、やる気のない状態になっているということです。
ただ、こういうやる気がない状態であっても、車が突然目の前に飛び出してきたとしたら、人はとっさに逃げる。実は、人間は、やる気の有無に関係なく、行動するものなのだそうです。つまり、脳科学を研究している人によると、「やる気」というのは、人間が作り出した言葉で、実は実体はなく、結果をあれこれと思考して行動がとれなくなってしまうことが習慣になっているだけなのだとか。
だから、いかにこの習慣をなくしていくか。思考するだけにとどまらず、まず行動することで次の結果を得て、次の思考に移るという習慣を作っていくことが大事だと言われます。
確かに、あれこれ考えるより、行動すると違う結果が得られることがあります。過去に否定された提案も、状況が変わった今では役立つかもしれないし、上司が怒ったのはその時の気分かもしれません。やってみれば、結果は変わるかもしれない。新人が上司のことを素直に聞いて行動した結果、あっさりと成績を出すことがあります。ましてや現在は、過去のやり方が通用しないVUCAの時代。正解は誰も知らないはずで、やってみないとわからないことの方が多いのではないでしょうか。
まず、やってみて(行動)、そこで得られた情報で次を考える。実体のない「やる気」という言葉に左右されるのは本当にもったいない。小さくてもいいから、まず行動してみる習慣をつくる。それが「やる気」の一番の解決策なのかもしれません。
DO IT!
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働きがい・やりがいの向上
2023 年 08 月 22 日 15:59
失敗を活かす
仕事をしていると、成功することもありますが、時には失敗することもあります。失敗してしまうと、本当に悔しく情けない気持ちになり、落ち込みます。立ち直るまでには時間がかかることもあります。失敗をして人は成長すると言われても、誰も好んで失敗はしたくはありません。
ただ、失敗は成功とつながっているのも事実です。仕事柄、いろんな経営者のお話を伺うことがありますが、優秀な経営者と言われる方も、過去には数多くの失敗をされておられます。経営の失敗が考え方を変える転機になり、経営方針を180度変えられた方もいます。お客様に喜ばれるものを作りたいと、何度も何度も失敗を重ねながら、世の中にない新しい商品を作りだされた経営者もいます。失敗が多い方が成功するというのは言い過ぎかもしれませんが、成功している方のお話には、失敗体験がたくさん出てきます。
失敗を次に活かせる人、活かせない人がいるそうです。ハーバード大学のフランチェスカ・ジーノ教授は、失敗のとらえ方とその後の成功の関連を調べるために、被験者に2つの難しい課題を与え、取り組ませる実験をしました。その結果、「最初の課題で失敗したのは自分の責任である」と受け止めた人は、次の課題で成功する確率が3倍だったとか。失敗の数は同じでも、その失敗を「自分の失敗だ」と自責で捉えられるかどうかが、次の成功に大きな影響を及ぼすということがわかったそうです。
失敗の数が多いというのは、それだけチャレンジをしているからとも言えます。成功経営者はチャレンジの数も多いから、失敗も多くなる。失敗が少ないというのは、一見良いように見えますが、逆に挑戦が少ないとも言える。ミスを怒られたり、追求されるような環境では、確かに失敗の数も少なくなりますが、逆に挑戦の数も少なくなる可能性もあります。「失敗したけども新しいことに挑戦したことは素晴らしい」という文化があれば、挑戦は多くなっていくのだろうと思います。
「こうすれば上手くいく」という過去の正解が通用しなくなっていくときに、新しい挑戦は不可欠です。ただ失敗も多くなる。失敗を活かし、学ぶ人や組織がますます大事になっていくように思います。
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思うこと
2023 年 08 月 18 日 15:55
待つことの大切さ
「はじめてのおつかい」というテレビ番組がありますが、子供たちがはじめての体験を通して成長する姿にいつも感動してみています。はじめての体験で成長するのは、勇気をもって挑戦する子どもたちだけでなく、その場をつくるために手助けしたい気持ちを、ぐっと我慢する親も成長する体験かもしれません。失敗を繰り返す子どもを、親が待ってあげるから子どもが成長する。「待つ」という姿勢が、人の成長にとっていちばん大事なことじゃないかと、この番組を見ながらいつも思います。
しかし、会社になると、なかなかこの「待つ」ということができないことがあります。自分自身、いろんな失敗を重ねる中で技術など様々なことを身に付けてきたはずなのに、いざ人を教える立場になると、できない人に対して、つい「なぜ出来ないのか」と叱責したり、手助けしてしまったり、自分自身が待ってもらって成長したことを忘れてしまうことがあります。
諦めないこと、助け合うこと、最後までやり抜くこと。はじめての体験を通して、子どもたちは人として大切なことを身に付けていきます。体験を通して成長するということは会社も同じかもしれません。はじめて部下を育てる。はじめてリーダーになる。はじめて難しいプロジェクトを推進する。振り返れば、必要な技術や知識は、すべて体験を通して身に付けてきたことばかり。人の成長には体験が欠かせないのだと思います。
「会社は人間成長のための舞台である」という経営者がおられましたが、どれだけ良い体験を積ませてあげられるか。そのためにも「待つ」ということがいちばん大事なのかもしれません。
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これからの時代の経営のあり方
2023 年 08 月 08 日 17:41
どんな時も理念が優先
日曜日、スターバックスさんのお店に入ると、広い店内はお客様でいっぱい。座れないお客様が待っておられました。席には、本を読む人、教科書を広げて勉強をする人、パソコンを出して仕事をする人。それぞれが自分の休日を楽しんでおられます。この店なら、ゆっくりと過ごせるという雰囲気があるからだと思いますが、経営する側は、長居されるお客様について、本当はどう思っておられるのか。
スターバックスさんの本を読ませていただくと、やはり、同社へのいちばんのクレームは「座れない」ということだそうです。しかし、だからといって、時間制限したり、お客様を急き立てるようなことは絶対にしないのが同社のポリシー。「人々の心を豊かで活力のあるものにするために」というミッションを業績より大事にして、経営をしてこられた会社です。アルバイトさんも、社員の人も、みんながこのミッションに共感して働いておられるので、その空気がお店全体からから伝わってきます。店舗もゆっくりできる空間ですが、スタッフの想いがお店の雰囲気をつくり、このお店でしか味わえない体験を求めるファンが生まれているのだと思います。
しかし、経営である以上、業績が悪くなると企業は存続できません。スターバックスも昔、大きな危機があり、大量のお店を閉店してしまったことがあるそうです。それでも、この理念優先の経営方針を絶対に変えることはなかったそうです。もう一度原点に戻り、1万人のリーダーが集まる会議で存在意義確認したそうです。そこから業績が再び上昇。危機を乗り越えたのも理念でした。
日本のスターバックスさんも、このミッションを大事にされています。「何のために私たちが存在するのか」。何度も何度も、事業の目的・ミッションを伝え、考えてもらう。スタッフの初期教育に70時間もかけられると伺っています。
会社が本来の目的を忘れてしまうと、利益が目的になってしまう。そうなれば、現場は利益をあげるための行動を優先する。その行動が長年のファンを裏切ることになり、お客様が離れる。だからこそ、どんな時も理念を優先する。スターバックスさんの強さは、理念への強いこだわりだと思います。
ひと昔前、日本でも「理念みたいな、きれいごとで飯が食えるか」と、経営理念より業績が大事という論調もありました。しかし、理念を忘れた経営が問題になっています。今は、「理念がないと飯が食えない」という時代がきているのかもしれません。
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「いい会社」が実践する理念経営 素晴らしい会社
2023 年 08 月 01 日 09:58
おもてなしは、自由に。
お客様へのおもてなしは一律であるべきか。
先日、ある勉強会の中でこんな議論をしていました。
例えば、お客様への誕生日のお祝い。あるお客様にはしてあげた。しかし、他のお客様にはしない。これでは不公平になるのではないか。社内でこうした議論があって、結局、その会社では、やらないことにしたそうです。確かに、差がついてクレームが起こるかもしれないと思えば、怖くなります。
しかし、そうしたことを一切気にせずに、お客様満足に取り組んでいる会社もあります。
北九州の美容室バグジー。おもてなしで有名な美容室です。
バグジーのスタッフは、お客様が誕生日だと聞けば、誕生日のお祝いをしたり、雨が降ってきたら、お客様の自転車が濡れないようにサドルにビニールをかぶせてあげたり、気が付いたスタッフが、主体的にお客様のために動いていくお店です。
バグジーには、おもてなしのルールやマニュアルは一切ありません。誕生日のお祝いも、やっても良いし、やらなくても良い。おもてなしは、スタッフに任せられています。確かにバラつきがあると言えばあるのですが、こうしたやり方を長年続けているバグジーには、不公平だというようなクレームは一度も来たことはないそうです。
もちろんバグジーにも「購入者への特典や割引」など、店として実施するサービスはあり、一律にされることは他と同じようにされています。
しかし、「サービス」と「おもてなし」は別物。おもてなしは、気配りや心配りと言われるように、本来、一律では行うことはできません。足が悪い方がこられたら、席を用意して休んでいただく。雨に濡れた方が来られたら乾いたタオルをお持ちする。その人が、相手の状況を見て、気持ちが動いたら行動する。何かしてあげたいという気持ちが行動をつながっていくもの。双方の心の交流がおもてなしです。だから、おもてなしは、その場限りのもの。もし、されていない人がいたとしても、その人は決して損をしたという気持ちにはなりません。
バグジーの久保社長は、「一律に提供しなければと思って躊躇してしまうより、まず、やってみた方がいい」と言われます。もちろん、範囲や枠はある程度指示をしたとしても、「あとは、好きにやっていい」と、スタッフに自由にやってもらう。きっと、この方が「おもてなし」はうまくいくのでしょう。「決められたこと」をやれといわれるより、自由にやっていいという方が、スタッフにとってもやりがいがあるはず。
おもてなしは、形より、お客様を喜ばせたいという真心が一番大事なのではないでしょうか。
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「いい会社」が実践する理念経営 素晴らしい会社
2023 年 07 月 26 日 10:22
経験から学ぶ
人は本から知識を得たり、話を聞いて学ぶことがありますが、人の学びの7割は経験からの学びだそうです。
そう考えると、確かに今の自分の行動も、過去にしてしまった失敗から学んだことや、成功の体験を活かしてやっていることがほとんど。可愛い子には旅をさせろといいますが、子供も大人も経験をしながら成長をしていくのが人間なのかもしれません。
しかし、どんなに経験をしても、ただ後悔をしたり、喜んだりしているだけでは、そこからの学びは少なく、次に活かしていくためには、経験を上手に活かす習慣が必要だと言われています。
そのひとつが、体験後の「振り返り」。一流のスポーツ選手も練習後に振り返り、良かったことや課題を記録する日誌をつけるそうですが、仕事でも、良い振り返りをしていくことが大事だと昔から言われています。振り返りをする目的は、体験を次に活かすためですが、つい、うまくいかなかった時は、あれがダメだった、ここが悪かったという追求の場、反省の場になりがちです。逆に、上手くいった時は、良かった良かったと拍手をして終わってしまうこともあります。日報や日誌も振り返って学びを次に活かすことが目的のはずなのに、行動や体験を記録するだけになることもあります。
良い振り返りとは、なぜ上手くいかなかったのか、次に気を付けるべきことは何かと考える時間をつくって、教訓を引き出していくことだと言われています。失敗した時も、そこから何を学んだか。成功した時も、そこから何を学んだか。常に経験したことから、教訓を引き出そうという習慣が大事なのかもしれません。
教訓は、同じ仕事をする時の成功確率を高めると同時に、他の仕事にも生かせます。
今は、誰も正解がわからないVUCAの時代と言われていますが、過去の知識が役に立たなくなっていく時に、経験を活かしながら進んでいくことが、ますます大事になっていく時代なのかもしれません。
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これからの時代の人財育成
2023 年 07 月 19 日 10:29
誇れる仕事
先日、何百年も前に建てられたお寺などの建築物などを修繕したり、建て直しをする、宮大工の方のお話を読みました。古い建物は一度すべて解体し、傷んだ部分を直し、できるだけその古材を利用して建て直すのですが、解体してみると、外から見えない部分が見えてきて、当時、この建物を建てた大工さんの技術が見えてくるそうです。
外側から、見えないところにこそ丁寧な仕事が施されているそのきめ細やかな技術を見ると、「自分に恥じない仕事をしよう」という当時の大工さんの心が伝わってくる、解体に携わった宮大工さんは、その当時の職人さんの誇りや仕事への姿勢に、とても感動されていました。
裏側の部分だから、もし手を抜いても誰も見ていない。怒られることはない。しかし、それでよしとするかどうか、決めるのは自分です。しかし、いちばん見ているのは自分。
もし、手を抜いてしまったら、その人はその建物を通る度に胸が痛くなるかもしれません。その前に立てなくなるかもしれません。
出来上がったお寺の前に立って、誇れる自分でいたい。きっと、それがその職人たちの想いだったのではないでしょうか。仕事の判断基準は、自分の「良心」です。
翻って、今の自分の仕事はどうか。
本当はもう一度やり直した方がよいものができるのに、安易に妥協していないか。
早く納めることばかりに意識がいって、品質を下げていないか。
仕事の質は、追求すればするほど、さらに上が見えてきて、なかなか100点が見えてきません。
納期、予算、スピード、全体の生産性・・・。いい仕事の前にはいろんな壁があり、どこかで妥協しなければならない。しかし、数百年前の大工さんの時代でも、もしかするといろんな制約があったのではないか。しかし、彼らは、その厳しい制約の中でも、自分に恥じない仕事をしようと闘っておられたに違いありません。
どこまでいい仕事をやり抜くか。自分の良心に誇れる仕事をしていきたいです。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2023 年 07 月 11 日 13:24
自ら立てた目標、与えられた目標
先日、あるお店でサービスを受けているときに、スタッフの方から今月のおススメだと、新商品の案内がありました。良く来ているお店ですし、若い子が熱心に勧めてくれるので、断るのも悪いと思い申し込みましたが、少し強引な感じがして、少しモヤモヤとした気持ちになりました。新しい商品なので、きっとお店に課せられた目標があるのだろうと思います。一生懸命に進めてくれるのは良いことで、そのスタッフも頑張っているのはわかりますが、何かその会社の都合を押し付けられている気がして残念な気持ちになりました。
数値目標を持つことは、やるべきことが明確になり、達成の度合いがわかるので、対策も打ちやすくなります。達成すればやる気も高まるので、目標管理はいろいろな会社で使われています。ただ、やるべきことが明確になるが故に、その他のことに気が回らなくなったり、手段が目的化してしまうというデメリットもあります。このお店で感じたのは、いつもはお客様のことに気を配ってくれるいい店だと思っていたのに、お勧めに熱心なあまり、その良さが感じられなかったのかもしれません。
ただ、目標を持つことは悪いということではないはず。問題は、その目標の奥にある気持ち。会社から与えられた目標をこなそうと一生懸命にお勧めしているのか。会社の理念にも通じる商品だと感じ、自分自身も良いと感じたものを、できるだけたくさんの人に薦めたいと思いながら自ら目標を立て、一生懸命にお勧めしているのか。見た目の状況はそんなに変わらないのかもしれませんが、醸し出す雰囲気は微妙に違う。それがお客様に伝わっているのかもしれません。
趣味の世界では、「今日は魚を何匹釣ろう」という目標を自分で決めます。自分で決めるから楽しくなり、工夫もする。それがもし、誰かに「何匹釣ってこい」と言われたら、とたんに面白くなくなってしまうはず。さらに、その目標をなんとしてでも達成しろと、隣で数字を追い立てられたら、数字ばかりに目が行き、「帳尻を合わせるために、スーパーで買ってこよう」というような手抜きもしたくなりそうです。趣味と仕事は違うのかもしれませんが、「面白い」と思えば、どんなことでも工夫し挑戦していこうと考えていくのではないでしょうか。
しかし、はじめてのことは、何でも実際にやってみないとわからないことがあります。もし、納得がなく、ただ会社からやれと言われて、最初はやらされ感で始めることがあったとしても、そこに一生懸命に取り組んでみる。自分が一生懸命にお勧めした商品を、お客様が喜んでくださった。そんな体験を通して、改めて商品の価値に気づくこともあります。目標を与えることは悪いことではないのだろうと思います。
何れにしても、目的を忘れて、目標だけになってしまうのが、面白さを失う原因なのかもしれません。
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働きがい・やりがいの向上
2023 年 07 月 04 日 11:23
価値をお届けする
先日、社内で私たちが提供している「価値」について話し合う機会がありました。
購入したものが、自分の目的実現に役立ったと感じた時、「買って良かった」、「価値があった」と感じます。「価値」を感じると、多少価格が高くても「いい買い物だった」と思えますが、価値を感じることができなかったから「損をした」と感じる。お客が「この商品には価値ある」と感じていただければ、リピーターになってくださり、それが「他にない価値」であれば、ずっと、お客様でいてくださるはずです。
当たり前ですが、お客様が「価値があった」と思っていただけるように商品を作り、販売していくのが商売だと思いますが、価値を感じるのはお客様の心。見えないだけに理解するのは本当に難しい。
例えば、こちらが「価値がある」と思っても、そもそもその価値がお客様に伝わらないと売れませんし、どれだけ価値を伝えても、「価値があった」と本当に実感されるのは、お客様が商品を使われた後。良い商品だとしても、購入後にお客様が上手く使えなかったり、十分に機能を使いこなしていただけなければ、「価値があった」という結果にはなりません。もそも、販売時点で、お客様の目的に沿うものをご提供していなければ、どんなに良い商品でも価値を感じてくださることはありません。
顧客満足の向上が難しいのは、お客様の気持ちを理解するのが難しいからだと思います。そう考えると、見えない気持ちを理解するためには、こちら側が、どれだけお客様に寄り添っていけるかが大事なのかもしれません。購入前なら、どれだけお客様の目的、何を達成したいのかをわかってあげられるか。その目的に沿ったものをどれだけご提案してあげられるか。販売した後も、お客様の目的が実現されるように、どれだけサポートしてあげられるか。「価値があった」と思っていただくことは、確かに手間がかかります。
料理などは、食べて「美味しかった」とすぐに価値を感じてもらいやすいですが、企業向けの機械やサービスなどは、顧客の社内で使いこなしていただいて初めて価値が生まれていくもの。販売後のアフターサービスを大事にしている企業が成長しているということも、こういうことの流れなのかもしれません。
お客様が実現したい目的にそって、どれだけ寄り添っていけるか。価値を生み出していくことは難しいことですが、お客様から「価値があった」「値打ちがある」という言葉をいただくことは、本当に嬉しいこと。だからこそ、やりがいがあります。
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働きがい・やりがいの向上
2023 年 06 月 27 日 09:57
ミッションと働きがい
先日、ある会社の方たちと、若いスタッフの「働きがい」をどう高めていけるかというお話をしていた時に、やはり、ただ機械的に仕事をするのではなく、仕事の意義や意味を感じさせてあげることが大切なのではないかと議論になりました。この仕事にどんな意義があるのか?何のためにやっているのか。それを感じられないと今の若い人は会社を辞めていくのではないか、そんな話し合いをしていました。
アルバイトスタッフの離職について悩んでおられた教育担当の方は、「確かに、自分は、ただ、仕事のやり方を教えるだけで、仕事の意義などは伝えたことがなかったかもしれない。」と話されていましたが、昔なら、それで良かったのかもしれません。しかし、物が豊になり、お金を稼ぐこと以上に「やりがい」を求める人が増えてきた時に、何の説明もなく「やってください」では納得できないのかもしれません。
ただ、「これをやってください」とやることだけを伝えて仕事を与えるのか。この会社は何のためにあるのか、この仕事は社会にどのような役割を果たすのか、つまり会社の使命(ミッション)をしっかり伝えてから仕事を与えるのか。納得して働きたいという若い人にとっては後者の方が大事なのかもしれません。
会社のミッションとは会社の存在意義。つまり「私たちは、なぜ社会において必要なのか?」「どんな役割を果たしていく意思があるか?」という問いに対する答え。昔は、ただ売上をあげて納税していくだけで十分、会社は存在意義があるということだったのかもしれませんが、より「働きがい」が求められる時代になって、ますます大事になってきている気がします。
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働きがい・やりがいの向上
2023 年 06 月 20 日 14:39
働きがいと若手の成長
今、若い人の育成に課題を抱えている企業が多いそうです。主体性がない、指示待ちになってしまう人が多い。3年も経たずに離職してしまう。教育に悩んでいる会社は多いと思います。
どれだけ良い待遇であっても、この場所では自分は成長できない、働く意味がないと感じたら、大企業でも辞めていく人もいると聞きます。若い人たちがどうすれば成長してもらえるのか。なかなか答えが出ない問題です。
そんなことを考えているとき、いつも通っている美容室に行きました。昨年から私のシャンプーを担当してくれる今年2年目のスタッフの方と話をしていたのですが、この仕事が楽しいと感じているようで、日々の仕事が充実している感じが伝わってきました。
この会社ではスタッフが美容師としてデビューするまで綿密な教育カリキュラムがあり、シャンプーやカットなど、何十種類もある技術を自分で身に付け、社内テストに合格しなければお客様にすることはできないという決まりがあるそうです。アシスタントは、お客様の髪を切ることはまだできませんが、技術を身に付ければつけるほどできることが増え、お店はより回るようになります。
ただ、1年目は仕事を覚えることに必死で、心に余裕がなかったそうです。しかし、だんだん先輩の手伝いができるようになってくると、ありがとうと言われることも増え、「少しだけだけど店に貢献できている」という手ごたえも感じるようになってきたとか。去年合格した「シャンプー」も、一生懸命やっているとお客様から「気持ちよかったよ」と褒められる場面も出てきて、またやる気が出る。この4月に初めて後輩ができ、人を教える立場になり、それが自分の成長を見つめるいい機会になっているようです。
「働きがい」という少し大げさかもしれませんが、彼女は少しずつ働くことの楽しさや喜びを感じるようになってきたのかもしれません。今は、次の技術の習得と後輩の成長支援をしていきたいと話してくれました。
自分が成長する嬉しさ。人に役立てる嬉しさ。誰もそうだと思いますが、一度この喜びを体験すると、仕事の意味が変わってきます。仕事はただお金を稼ぐことだと思っていた人が、働くことにそれ以上の意義を感じる瞬間。「働きがい」を感じれば感じるほど、もっと成長したい、もっと頑張ろうと思えるのではないでしょうか。1年目、2年目の最初の頃に、どれだけこの「働く喜び」を感じさせてあげられるか。若手の育成はここにかかっているような気がします。
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これからの時代の人財育成
2023 年 06 月 14 日 17:30
創業者からの伝言
誰もが知っているウォシュレットなど革新的な商品で有名なTOTOグループ。そのTOTOグループには「どうしても親切が第一」という価値観が先代から受け継がれているそうです。初代社長である大倉和親氏が、二代目社長に送った書簡に記されたものの中にこんな文章が書かれていたそうです。
「どうしても親切が第一、良品の供給、需要家の満足が掴むべき実体で、その実体を握り得れば、結果として報酬という影が映る」
利益はあくまでも影であり、追い求めるものは影ではなく、良い商品をつくること、お客様の満足であるから、我々はどんな時でも、どうしても「親切」「誠実」が第一で、「お客様思い」であるべきだ。その前提で事業を行えば、必ず利益である影はついてくる。TOTOらしさを忘れるな、と代々伝えてられているそうです。
考えてみれば、大企業であれ、中小企業であれ、今、地域や顧客から指示され伸び続けている会社はどこも同じかもしれません。判断軸はいつも、どうすればお客様に喜んでもらえるか、どうすれば役に立てるか。あくまでも「実体」を追い続ける。「きれいごと」だけでは経営はできない。そんな声もある中でも信念をぶらさず、ずっと「きれいごと」を追求されてきた会社が今、顧客から支持されているのかもしれません。
しかし、企業は利益が出なくなれば倒産してしまいます。いつも、この「きれいごと」と「影」の天秤に悩み、迷うことがあるものまた事実。創業者がこうやって大事なことを次の世代に渡そうとするのは、きっと、それがわかっているから。迷いが出た時こそ思い出せという教えなのかもしれません。
理念は判断に迷った時の羅針盤と言いますが、ぶれない軸のためには本当に大切なものだと思います。
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経営理念の浸透・共感
2023 年 06 月 07 日 15:03
強い思い
プロジェクトでも会社の経営でも、何かを始める時にはまず「なぜやるのか」「どうなりたいのか」という目的や行き先をしっかり決めることが大事だと言われています。「どうやるか」(方法)を考えても、「そこに行きたい」と思う行き先や目的が明確でなければ、プロジェクトも経営も右往左往する。勉強にしろ、仕事にしろ、最初に「ありたい姿」を描くことが何をする上でも大事だと思います。
しかし、どれだけ目的や行き先を明確にしても、そう簡単にいかないのが世の常。たどり着くまでには困難や試練がある。諦めたくなる、投げ出したくなる要因がいくらでも起こってきます。昔から成功する唯一の方法は、成功するまで諦めないことだと言われているように、もしかすると、成功するためには、目的や行き先に対して、どれだけ強い思いを持っているか、その強さの違いが大きいのではないでしょうか。
先日、侍ジャパンの監督を務められた栗山秀樹さんの言葉を教えていただきました。
「『こうなったらいいな』ではなく、『絶対になる。こうなる』と考える。『こうなる』という前提があってはじめて、いったいどうすればそうなるんだろうと考えられるようになる。『こうなったらいいな』と思って考えるのと、『こうなる』と信じて考えるのではまったくプロセスが変わってくる。『そこにたどり着くために、今日自分は何をすればいいのか』といった具合に発想も変わってきて、そこに知恵が生まれるのだ。」
「ビジョン」にどれだけ強い思いを持つか、「絶対に、こうなる」と信じて考えることで、単なる夢が具体的な夢になっていくかもしれません。
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働きがい・やりがいの向上
2023 年 05 月 30 日 15:13
お店を変えた「対話」
先日、ある会社のミーティングに参加させていただきました。この会社は、以前は本社が店舗に指示を出し動かしていくトップダウン型の会社だったそうですが、それでは持続していかない、各お店が経営者のように考え運営する組織にならねばと、十年前くらいから、それぞれの店舗が店長主体に運営する組織づくりを進めてこられました。その核となったのが「店舗ミーティング」です。
いろんな会社でミーティングは行われていますが、メンバーが発言しなかったり、誰かが一方的に話すだけの場になってしまうことがよくあります。この日、ミーティングが定着し成果が上がっているお店を見学させていただきました。
その日のテーマは、「どうすればよりチームワークが良くなっていくか」。会議の前に店舗スタッフ全員がテーマに対する自分の考えを紙に書いてくるところからスタートします。自分の考えを述べるだけでなく、「なぜ、そう思うのか」というその人の想いを語り合います。店長は傍で見ているだけ。答えを示すことも、誘導することもなく、スタッフだけで対話が行われています。このミーティングでは、結論を出すことにとらわれていません。同じテーマを何回も話し合っていくそうです。
結論を出さない話し合いをしていても無駄ではないかと思ってしまいますが、店長に聞くと、このようなミーティングを続けてきたことでいい変化が生まれてきたそうです。対話を続けてきたらチームの中の人間関係が良くなり、部門を超えた協力や助け合いが生まれるようになってきたそうです。メンバー同士、お互いに関心が向いていったのでしょうか。自分の想いも伝わるようになってきたと話されていました。
「対話」と「議論」。議論は、どうあればいいか、お互いが意見をぶつけ合ってひとつの答えを見つけていくこと。それに対して「対話」は、自由な雰囲気の中で、ひとつのテーマに対するお互いの想いを共有して理解し合うこと。「その人は、そう思っているのか」と、人の奥にある気持ちや価値観を理解し合うことから、本当の納得感が生まれたり、相互の協力が生まれてきたりするのが対話です。
このお店が大事にされてきたのは「対話」。店長が関与していけば、きっともっと早くに結論が出るはず。「こうやっていこう」「こうしてほしい」と指示を伝える方が、伝わるのは早いかもしれません。ただ、それではメンバーは頭で理解したとしても納得感がない。頭でわかっているだけでは、結局、やらなくなってしまうと店長は話されていました。
「対話」は、お互いの価値観を理解し合うこと。私はこう考えるということを話し合う。なぜ、そう思うのかという思いも話し合う。そのプロセスは時間がかかるかもしれませんが、人が働いていく上でいちばん大事な信頼というベースをつくるのでしょう。
私たちはつい、スピードや効率を求めて、メールや何かで端的に手短に伝えたり、早く結論を出そうしてしまいますが、それが逆に納得感を置き去りにしていたり、長い目で見た時の効率や生産性を阻害してしまっているのかもしれません。時間をかけることがいかに大事か。このお店から学んだ気がします。
ちなみに、このお店は今年、お客様満足度や様々な指標でその会社でナンバーワンの成績になったそうです。
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素晴らしい組織風土づくり
2023 年 05 月 23 日 11:44
苦情を伝えるお客様
以前、ある顧客満足を学び合う勉強会で改めて「グッドマンの法則」について話し合ったことがあります。「グッドマンの法則」は、CS(顧客満足)の勉強をしていると必ず出てくる有名なクレームに対する法則です。グッドマン氏がまとめた2つの法則の中の第一の法則は「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の当該商品・サービスの再購入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客より高い」というもの。第二の法則は「苦情処理に不満を抱いた顧客の非好意的なクチコミの影響は、満足した顧客の好意的なクチコミに比較して2倍も強く影響を与える」というものです。
その時の勉強会では、参加者同士で自分自身が体験した不満と苦情を申し出た体験を話し合ったのですが、消費者のリアルなクレーム体験が語られました。ある方は、ずっと利用していたカーディーラーで車の整備をされたのですが、修理に問題があり、それをお店に伝えに行ったのですが、責任逃れをするような対応をされたうえに、再修理も思うようにしてくれなかったそうです。こういうことはあるかもしれないとそこまでは、普通に聞いていたのですが、その後のお話を聞いて「苦情対応」の怖さを実感しました。
その方は自分が信頼していたお店にぞんざいにされたことが、本当に辛い体験だったのでしょう。その後、何年間も、知人や家族の中で車の話題がでる度に、「〇〇は買わない方がいいよ」とそのメーカーの悪口を言っていたそうです。一人のお客様とはいえ、この「非好意的な口コミ」で何台かが「売れるチャンス」を逃し、継続的に利用されるようになったかもしれない未来のお客様を失っていると思うと、ぞっとします。
確かに、失敗は誰でもするものなので、私は単にミスがあっただけでは怒ることはありませんが、そのことに対してごまかしたり、誠意がなかった時は、きっと同じような気持ちになるはず。もし誰かから相談があれば、「買わない方がいい」と言ってしまうかもしれません。
グッドマンの第一の法則は、「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の当該商品・サービスの再購入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客より高い」ですが、もし、この時、このお店がお客様の気持ちにしっかりと向き合い、解決するまで真剣に対応していれば、不満が満足に変わり、その後もずっとお付き合いをしてくださったかもしれません。
人間が商売をしている以上、ミスや行き違いは起こってしまうものだと思いますが、その時にどのような対応をするか。その対応ひとつで、その後の販売がマイナスにもプラスにもなっていくとすれば、いかにお客様の苦情から逃げず、誠意をもって対応していくことが大切かわかります。
誠意ある対応をしてくれると、逆にその店の良さがわかり好きになることがあります。モンスター顧客がいる時代なので、なかなか難しいかもしれませんが、自分たちのミスを素直に謝り、顧客の心に真摯に向き合ってくれるお店はきっと信頼され続けていくような気がします。
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お客様満足・感動の向上
2023 年 05 月 16 日 15:34
一生懸命の力
仕事が好きだ、楽しい。いつもこの気持ちで働けていれば、自分の心も明るくなるし、仕事の成果も生まれていくはずです。だからこそ、昔から自分の仕事を好きになれということを言われてきました。
では、どうすれば、好きになるのか?私自身が多くの先輩から教わったことは、今の仕事を一生懸命にやることだということでした。一生懸命とは、どうすればより良くなるかと、自分で考え、試し、うまくいくまでやり遂げていくことだ。そうやって仕事をしていると、仕事が好きになる、楽しくなると言われて新人時代を過ごしました。
好きだから一生懸命になれるのではなく、一生懸命にやったからこそ、仕事が好きになる。こんなプロセスを何度も経験した気がします。何事にも一生懸命にやるというスタンスを新人時代に身に付けた人は、きっと、どんな仕事についてもその仕事が好きになり、成功できるのではないでしょうか。
先日、ある自動車販売店の女性スタッフにお話を伺いましながら、そんなことを思い出しました。お客様のおもてなしなどをするショールームアシスタントに配属されたのですが、このお店を良くするために、ここにいる自分がもっと役に立てることは何かと考えました。自分には営業も修理もできない。でもお客様とお話することはできる。そこで、すべての来場者に声をかけお話をすることに挑戦したそうです。続けていくとお客様が笑顔になってくださる。また会話の中で、ふとお客様が「車を検討している」とか「困っている」という声を聴くようにもなりました。彼女はそれを営業に伝えたり、自分で記録して次のご来店時に対応すると、さらにお客様が喜んでくださる。彼女はどんどんと仕事が好きになっていったそうです。彼女の一生懸命さが仲間に伝わり、お客様の声を聴くことがいつしか風土になり、数年後には社内でCS No.1のお店になっていったそうです。
一生懸命にやる。ただ、闇雲に一生懸命にやるといっても、ただ、言われたことを言われた通りにやっていては面白くはなりません。なぜするのか、何のためにするのかという仕事の目的をしっかり理解して、そこに向かって創意工夫する。目的意識こそが一生懸命の原点かもしれません。
誰かの一生懸命が楽しさを生み、成果を生み、まわりの人を巻き込み、より良くしていく。一生懸命には大きな力があるような気がします。
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素晴らしい組織風土づくり
2023 年 05 月 09 日 10:12
仕事への誇り
全国のレクサス店の中でも、トップクラスの販売台数を誇る、レクサス星が丘。すべての部門のスタッフが協力しながら、お客様満足を高め続けているお店です。
映像で取材する前に、そのお店の警備員として働く、早川正延さんという方にお話を伺いました。早川さんのお仕事は警備。お店に入るお客様の車を誘導したり、出て行かれる車が安全に出庫できるよう誘導をされています。待ち時間はお店の前に立ち、お客様のご来店を待っておられます。
早川さんは、ある時、「ただ、ここで待っていてもつまらない。もっと何かできないか。」そんなことをぼんやり考えるようになったそうです。そんなある日のこと、目の前の通りを通り過ぎていくレクサス車にお辞儀をしました。
それから、早川さんは、通り過ぎていくすべてのレクサス車にお辞儀をすることに。このお店で買われたお客様だけでなく、他店で買われたお客様のレクサス車にも、1日1000台近い車に、深々とお辞儀をする。それを何年も続けておられます。
走っている車への挨拶ですから、気が付かれる方もいれば、気付かれない方もいる。それでも早川さんはそのお辞儀をするそうです。そんな早川さんの姿勢に感動されるお客様が増え、早川さんに会いたいと来店される方もおられるそうです。
なぜ、こんなお辞儀をするようになったのかと伺うと、「大したことはしていません」と謙遜しながらも、自分がここで働かさせてもらっていることへの感謝の想いやお客様への感謝の気持ちが自然とお辞儀になったと話してくれました。
早川さんは、店頭でのお辞儀の他にも、駐車場での車の誘導の場面でも、どうすればもっと「お客様が安心して駐車していただける誘導ができるか」と考えながら、誘導時の立ち位置、オーライという言葉の大きさ、わかりやすいしぐさについても研究を続けておられました。お客様のバックミラーに自分がどう映っていれば、安心されるのか。そんな細かなことまで研究されています。「素晴らしいですね」と言うと「まだまだ完璧な誘導はできません」と笑顔で話されていました。
「お客様のためにもっと何かできないか」。お辞儀をする、誘導をするという行動は誰でもできることかもしれません。ただ、早川さんのお辞儀や誘導は、確実にお客様に伝わり、感動を生み出しています。それはきっと早川さんが自分の仕事に誇りをもち、もっとよくしようと思っているからこそ、その姿勢や心が伝わっているのだと思います。
仕事だからと嫌々やる仕事、より良くしようと誇りを持って行う仕事。どちらも同じ仕事ではあるかもしれません。どうせやるなら、後者のような仕事をしていきたいですね。
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「いい会社」が実践する理念経営 素晴らしい会社
2023 年 05 月 01 日 17:02
売らない営業
昔の営業のイメージは「買わないお客様に、いかに買わせるか」というようなものがありましたが、今やそんなスタンスではお客様から嫌われるだけ。営業も大きく変わってきているように思います。
先日、ある地方の小さな街にある自動車整備店を取材させていただいたのですが、そのお客様本位の営業が心に残りました。このお店は、少子高齢化が進む街の中で、整備だけでは商売が難しい、新車の販売もやっていこうと若い経営者が頑張っている個人商店です。ただ、近隣には大手ディーラーが立ち並び、新車販売といってもそう簡単ではありません。同じことをやっていてはダメだと思ったその経営者は、自分の体験やお客様の声をヒントに「無理に売らない店」になろうしました。ディーラーの営業の「売り込もう」とするプレッシャーがどうしても苦手だと思う人がいる。ディーラーを避けているお客様もいる。だったら無理な営業は絶対にしない。お話を聞き、商品をご提案するだけの営業。「決めてください」「買ってください」と迫るような営業を否定し「売らない営業」を続けてこられました。やってみると、同じ思いを持っているお客様が意外と多くいる。そのお店で買いたいというお客様がどんどん増えていったそうです。
また、別の取材で、全国上位に入る保険セールスの方にお話を伺いました。この方の営業も「売らない営業」。お客様のお話を親身になって伺い、その人にあった情報をお伝えするだけ。「間に合っています」と断られても「それは良かったです」とニコニコとする。「安心をお届けすること」が私の仕事。だから、お客様が既に安心されていると仰るなら私も嬉しい。「断られた」という意識もないそうです。どこまで行ってもお客様本位。もし、お客様が「それを買う」と仰っても、プロとして必要がないと思えば「それは今契約されない方がいいですよ」とお話したり、「他社の保険の方が良い」と思えばそれを進める。お客様の応援団に徹する営業。お客様は彼女のそんな姿勢にすぐにファンになってしまうそうです。「この人は自分の味方」「この人なら信頼できる」と感じたお客様は、家族の保険はもちろん、県外に住む家族の保険まで任せるようになるそうです。自分自身が無理なことをしていると思っていないので、この仕事が大好きで一生やっていきたいと言われていました。
迷っているときに、営業マンの熱心なお勧めが「積極的に背中を押してくれた」と好意的に感じたり、仕事への熱心さと受け止めるお客様もいますので、売ること、お勧めすることは良い時もあるのかもしれません。ただ、自分の成績の為にという気持ちの熱心さと、お客様のためにという熱心さがあるとすれば、後者の気持ちの営業マンの方が、ずっと付き合っていきたいと私は感じます。「売れる営業マン」は変わってきましたね。
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お客様満足・感動の向上
2023 年 04 月 25 日 10:33
仕事の目的
何のために仕事をするのか。目的意識をもって仕事をすることが大事だと、私も若いころから言われていました。目的を意識してやる仕事と、していない仕事では質が違う。仕事をこなすな。目的を意識して、目的にこだわって、創意工夫しながらやるのが仕事だ。若い時に何度も言われて育ってきました。
このようなことを言われるのは、私たちはつい、目的を忘れがちになってしまうからなのかもしれません。
目的は「未来」のこと。こうありたい、こうしたいと考えることです。それが「今」の仕事の処理にばかりに目がいくと、現在のことであたまがいっぱいになる。期日に間に合わせる、言われたことを処理する。処理することで頭がいっぱいになっている時は、未来はありません。
例えば、経営理念に、私たちの目的は顧客に満足していただくこと、お客様に喜んでいただくこと、と書かれている。しかし、今の業務を処理することで頭がいっぱいになると、それをこなすことでいっぱいになって、この大事な本来の目的をつい忘れがちになります。お客様のことを考えなくなる。相手のためにプラスαの行動をしようとも思わない。よく理念が形骸化するということが言われていますが、このように、つい現在ばかり思考が向いてしまい、未来への想いを忘れてしまうことかもれません。
ただ、働く人にとっては「今の仕事」が大事なのは言うまでもありません。だからこそ、余計に普段から強く目的を意識しないといけないのかもしれません。朝礼などで理念を唱和したり、クレドを確認するのは、そんな意味があると思います。
この仕事は何のためにやるのか。
目的を意識し、重視し、その目的にこだわり続けることを「目的思考」と言うそうですが、言われたことを言われた通りにやっていればいい時代が終わり、自分で考えていくことが求めてられていく時代には、こんな思考がますます大事になっていくように思います。
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これからの時代の経営のあり方
2023 年 04 月 11 日 13:47
自分がされたら嬉しいことをする
ある商品を購入した際に、商品の入った箱を止めるためのガムテープの端が折り曲げてあり、はがしやすくなっていました。
端が折っていないテープをはがすのに、爪を立ててイライラする時がありますが、こうやってテープの端を折って貼ってくれているだけでそのストレスがなくなります。その1センチの端にお店の方の気遣いを感じ、気持ちがほっこりしました。こうした貼り方の呼び方は何というのかわかりませんが、トイレットペーパーの端を三角に折る行為のように、相手のことを思う小さなことを実践されている人の仕事への姿勢が伝わってきます。
マクドナルドの新人アルバイト教育では、相手の立場になって考え行動することの大切さを教えていくそうですが、最初はまず「お客様や仲間には、自分がされたら嬉しいことをする」という基本ルールから教えていくのだそうです。相手の立場に立つのは口でいうのは簡単ですが、相手軸で考えることはなかなか難しい。でも、自分がされて嬉しかったことなら、自分軸だから実践しやすい。だから、まずは自分がされたら嬉しいことをしていこうと教えられるのだそうです。先ほどの荷物も、もしかすると配送係の人が、テープの端が折ってある荷物を受け取り、その行為が嬉しかったから、相手にもそうしてあげようと思ったのかもしれません。
お客様に対してだけでなく、社内でも同じで、書類をつくる時は、相手が見やすいように、使いやすいようにひと手間かける。次の工程の人がやりやすいように仕事を渡す。自分がされて嬉しいことをしていくことが、全体の仕事の質が高めていくのかもしれません。
「自分がされたら嬉しいことをする」。シンプルですが、質の良い仕事をしていく上でいちばん大事な基本ルールのような気がします。自分自身も初心にかえってやっていこうと思います。
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お客様満足・感動の向上 素晴らしい会社
2023 年 04 月 04 日 10:49
新人の心が育つ風土
先日、ある会社で洗面所を利用させていただいたのですが、そこにおられた若い社員の方が洗面所の回りに飛び散った水を丁寧に拭かれていました。関心して上司の方にお伺いすると、この会社では誰もが次の人が気持ちよく利用できるようにと、洗面所を使ったら清掃をされる習慣があるそうです。
またある会社では、玄関で人を待っていると、玄関を通る社員の方が次々が挨拶をされ、「ご用件お伺いしておりますか?」と声をかけてくださいます。自分のお客様でなくても、誰もが会社のお客様と思い、関心を持つ、気にかける。素晴らしい文化が定着している会社だなと思いました。
誰が見ていようといまいと使った後は綺麗にするという習慣、お客様に声をかけるという習慣。誰もが自然とこんなふるまいが実践されるのは、それがその会社では当たり前の習慣なのです。
この春、新入社員が入社し様々な研修が行われますが、どんなに新人が挨拶の練習をしたとしても、基本のマナーを身に付けたとしても、職場の先輩が挨拶をしなければ、挨拶をしなくなるはず。洗面所を汚したままで立ち去る人が多ければ、それがあたりまえになるはず。
私たちは、新人が挨拶をしない、元気がない、マナーを守らない等と、つい新人のせいにしてしまいますが、本当に人を育てるのは研修の場でなく、職場での先輩の姿であり、風土。そうなってしまっているとすれば、周りがそうなっているのかもしれません。
真っ白なキャンパスの人財が、どのような人に育つか。試されているのは、先輩であり、会社の風土なのではないでしょうか。
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素晴らしい組織風土づくり
2023 年 03 月 28 日 14:35
今、ここ、自分
全国20代~60代の働く人に対して行われたアンケートでは、「あなたは仕事が楽しいですか」という質問に対して6割以上が「楽しい」と答えているそうです。楽しいと感じているときは、ハードワークも苦になりませんし、自分から学びにいこうともする。
先日開催されたWBCの中でも、大きなプレッシャーがかかる場面でも、中心にいる大谷翔平選手が常に野球を楽しんでいる姿が話題になりましたが、本気で楽しむ姿勢は良い結果を生み出す確率が高くなるだけでなく、その姿勢が周りにも良い影響を与えていくものだと思います。
ただ、大きなプレッシャーがかかる場面でなかなか楽しむという気持ちになるのは難しい。結果を出さなければと思えば思うほど気持ちが焦り、身体も心も縮こまります。
数々の金メダリストのメンタルコーチをしているスポーツドクターの辻秀一さんは、この楽しむ心の大切さをアスリートに伝えている方ですが、どんな時も楽しむためのキーワードとして「今、ここ、自分」ということを教えておられます。これは禅の言葉ですが、取返せない過去を悔やんだり、まだ来ていない未来を憂いたり、人と比べて落ち込んだりすると、どんどん心が不機嫌になる。だからこそ「今、ここ、自分」を意識して取り組んでいく。大谷選手は、優勝という結果も大事にしていたと思いますが、世界一のレベルの選手が競い合う大会に出場できること自体に感謝し、楽しんでいる。まさに、「今、ここ、自分」の境地だったのではないでしょうか。
もし、うまくいかなかったらどうしよう。あの人がうまくっているのに自分はダメだ、など不安になる時、怖くなる時は、心が「今、ここ、自分」から離れてしまう時かもしれません。「今、ここ、自分」を大切にすることが楽しむことの一歩目なのだと思います。ただ、そうはいってもなかなか自分の心を変えることは難しい。そんな時にアスリートが大事にしているのが自分が発する言葉や態度。大谷選手もそうですが、選手の多くが「楽しむ」「感謝している」「ありがとう」「おかげで」などという言葉を口にしています。「必ず勝ちます」というような言葉ではなく、今、ここ、自分に意識が向くような言葉を口にすることで心を整えていく。楽しむことの価値を知っているアスリートは、人や環境のせいにせず、自分で自分の心を作っているようです。
仕事を楽しむ。夢中になる。まずは、この価値を知ることがいちばん大事なのかもしれません。
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働きがい・やりがいの向上
2023 年 03 月 22 日 14:33
Fail fast(早く失敗せよ)
目標を掲げて取り組んでいたのに達成しなかったり、仕事を抱え込みすぎてパンクしてしまったり、仕事をしていると上手くいかないことが時々発生してしまいます。失敗すると精神的にも辛いし、落ち込みます。だから、次は失敗したくないと思い、なぜ上手くいかなかったのか、どうすれば上手くいくようにできるかを考えて、次に挑戦をする。取り組みを変え、自分の向き合い方を変え、やり続けていく中でようやく成功する。
スポーツにしても、ビジネスにしても、この繰り返しの中で、人は成長していくのだろうと思います。
そう考えてみると、失敗ということは、人が成長していくためには最も大事なこと。よく言われるように、失敗こそが、成長の原動力なのだと思います。だからよく「失敗を恐れずに挑戦しろ」と言われるのだと思いますが、失敗すると怒られたり、厳しく叱責されるという環境の中だと、失敗を避けるようになってしまいます。
目標を低く設定したり、新しい挑戦を避ける。不安な道に進むより、正解がある道、安全な道を選ぼうとする。その道は、確かに失敗は少ないけど、考える機会も少ない。成長のためには、失敗のある道の方が良いように思います。
ただ、いくら失敗が大事だと言っても、それを自分の「糧」にしなければ成長はない。「失敗を気にしない」と反省をしないで次に挑んでも同じ失敗をしてしまいます。失敗が大事というよりは、「失敗から何を学んだか」、教訓を得ることが大事であって、失敗後の「振り返り」がなければ、成長にはつながらない。一番大事なのは、ここだと思います。
アメリカのシリコンバレーでは、「Fail fast」(早く失敗せよ)という言葉が良くスローガンとして使われているそうです。どのような天才でも100%成功する時代ではない。だからこそ、アイディアを実際に試して失敗し、そこから得た教訓をもとにまた新しい仮説を試す。その繰り返しを早く実行することが成功につながる。
それがFail fastという標語の意味。変化が激しく、誰も正解がわからない時代だからこそ、失敗から学んでいくことが大事だと、この業界では失敗を推奨しているそうですが、どの業界でも大事なことではないでしょうか。
失敗の連続は確かに苦しいことかもれませんが、そこで七転八倒してきた数年を振り返った時に、人生の充実感や自分の成長を感じることがあります。そうやって考えてみると、人生にとっても失敗は大事な経験であるように思います。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2023 年 03 月 14 日 14:19
知・好・楽
仕事の成果を上げる。生産性を上げる。いろいろな技術や方法があると思いますが、いちばんの方法は、仕事をする人がそれ楽しいと感じてやっていることではないでしょうか。今話題のワールド・ベースボール・クラッシックで活躍している大谷選手などのプレーを見ていても、勝とうという気持ち以上に、楽しんでやっているという雰囲気を感じます。この晴れ舞台を最高に楽しもうという気持ちこそが、最高の成果につながっているような気がします。
論語の中に、「これを知る者は、これを好む者に如かず、これを好む者は、これを楽しむ者に如かず」(知・好・楽)という言葉があります。仕事に例えると、いくら、仕事で成功するための知識を持っていても、その仕事を好きだという人にはかなわない。また、ただ仕事が好きだという人は、その仕事が楽しいと感じて取り組んでいる人にはかなわない、ということになるのでしょうか。
確かに、楽しいことをする時は、傍からみると大変なことでも、本人は苦労と感じませんし、楽しいからこそ探求し、知らず知らずに創意工夫をしています。ただ好きだという以上に、楽しんでやることが、仕事の成果につながるということは間違いのないことかもしれません。
ただ、仕事の成果につながるから、仕事を楽しみなさいと言われても、楽しいかどうかは自分次第。大谷選手も、誰かに野球を楽しめと言われて楽しんでいる訳ではなく、創意工夫し努力することが楽しいと自分が感じるからこそ打ち込んでいるはず。楽しむことは自分にしかできません。
ただ、好奇心を持って知識を増やすこと、今、ここに集中すること、失敗を糧にすること、結果よりプロセスを大切にすることなど、仕事を楽しくするための手段はいくらでも紹介されていますが、それこそいくら知識を身に付けたとしても、楽しむことに意義を感じていなければ、長続きはしないのではないでしょうか。
一度きりしかない人生の中で、起きている時間の大半を占める仕事の時間を楽しい時間にすることに自分自身が価値を感じるかどうか。どんな人生を歩んでいきたいか、そこが楽しむことの出発地点のような気がします。
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働きがい・やりがいの向上
2023 年 03 月 07 日 11:57
お客様の声
お客様の声に耳を傾けて商売をする。これは昔から言われ続けていることですが、「お客様の本音が聞けているか」と言われると、なかなか難しいことかもしれません。
そもそも我々はお店で嫌な体験をしたとしても、わざわざお店に苦情を言うということはせず、「黙って去る」「そこで利用しなくなる」のが一般的です。
いわゆるサイレントカスタマーというお客様です。統計によると、企業の対応で不満があった場合に「企業に対する申し出率」は27.5%。7割の人が不満をもったまま家に帰っているということになります。この人達は、不満が解決されていないので、その企業を利用しなくなる確率が高い。大切な既存顧客を失ってしまいます。それだけならまだしも、最近はその不満をSNSで「不満」を発信して広げてしまうこともあり、ほっておくと企業イメージが悪くなってしまいます。
最近、こんな体験をしました。
いつも利用しているお店に予約の電話をしたのですが、いつもならお店の人が出てくれるのですが、その日は音声ガイダンスに変わっていました。ガイダンスに従って予約をしていったのですが、本当に時間がかかり、途中であきらめてしまいした。人手不足の時代なのでしょうがないとはいえ、以前なら数分で終わっていた予約がこんなにも手間がかかるのかと、不満を感じました。しかし、この不満をお店に伝えようにも、お店にかけても出るのはガイダンスの音声。私の希望は伝わりません。その予約はせず、私は他のお店に行きました。この不満をあえて伝えるかというと、聞かれる機会があれば言いますが、あえてわざわざ言いにいくようなことはしないと思います。
最近は、お客様が気軽に連絡できるように相談窓口を設けるなど、申し出しやすいようにされている企業も多くなっていますが、実際のところ「不満だが、苦情をいうほどのことではない」「そこまでやるエネルギーを使いたくない」というのがほとんどではないでしょうか。
ただ、既存客が一人減ったのは事実。少子高齢化でどんどん顧客が少なくなっていく時代に、大切な顧客を失うことは大きなダメージです。
顧客満足度の高いある会社は、こうしたお客様を少しでもなくしていくために、社内に「クレームは宝」と打ち出し、不満を伝えてくださるお客様を大事にしようと、苦情と向き合い、ひとつひとつを真摯に解決していくことを大事にされていました。顧客が少なくなる時代には、「わざわざ苦情・苦言を言ってくださる顧客」というのは、本当に大切なことを教えてくださる企業の先生のような存在かもしれません。
ある調査によると、様々な技術革新で買い物の仕方や商品そのものは、大きく変化してきていますが、お客様の心理は、昔からそんなに大きく変わっていないそうです。
「繁盛したければ、お客様の声を聴け」という言葉が改めて心に響きます。
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これからの時代の経営のあり方
2023 年 03 月 01 日 12:47
AIと人間のホスピタリティ
話題のAI、ChatGPTは、様々な質問に答えてくれるだけでなく、文章の作成から、要約、校正、小説や詩の制作までやってくれるAIですが、その正確性や使い方など、まだまだ課題があるとはいえ、これまで時間がかかっていた作業をこうしたAIが代行してくれると、仕事もより効率的になっていくはずです。こうしたメルマガなどもいつかChatGPTが書いてくれる時がくるかもしれません。
外食産業ではタブレット注文があたり前になり、セルフレジのお店はもちろん、今後はレジすらいらないお店が出てくると言われていますが、人口減少による労働力不足の時代には、AIやロボットは不可欠な存在になっていくのでしょう。こうした時代の中で人間の仕事はどのようなものになっていくのでしょうか。
以前、臨機応変な対応、お客様の心に寄り添う対応など、「ホスピタリティ」(おもてなし)は人間にしかできないと言われていましたが、24時間どんな時でも質問に答えてくれたり、機嫌に左右されず、いつも安定して対応してくれるAIは、確かに臨機応変さや気配りは劣っているとはいえ、ある面、人間よりホスピタリティや顧客満足を提供できているとも言えます。
ロボットも以前は無機質なものという感じがしていましたが、表情を変えたり、会話をするロボットと接していると愛嬌を感じることもあり、ロボットが人を癒すということも生まれています。
ホスピタリティの分野まで機械やAIが活躍していくと人の仕事が奪われると心配になりますが、まだ、お客様の雰囲気や表情から気持ちを察知したり、その状況に応じて最善の対応を考えるということは機械にはできないと言われていますし、ロボットやAIがお客様との人間関係を築けるとは思えません。人間らしい気配りや人間力が、今以上に人に求められていくのだと思います。AIやロボットの対応は確かに便利で、良いことがたくさんありますが、お客様との絆をつくる顧客サービスの世界は、いつまでも人が中心になりそうですし、そうあってほしいなと思います。
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これからの時代の経営のあり方
2023 年 02 月 20 日 18:07
お客様の立場に立つ
お客様の立場に立って考える。お客様のニーズをつかむ。
昔から接客においても、商品開発においても、お客様の側に立って考えて行動することが大事であると言われています。ただ、実際は「お客様のためになる」と思ってやったことが、すべて上手くいく訳ではなく、思ったよりもヒットしなかったり、「お客様のために」と考えたことが、逆に余計なお世話だと感じられてしまったというようなことが起こったりします。
以前こんな話を聞きました。あるお客様のお店の「おもてなし」についての感想です。
「お店に入った時、駐車場でスタッフがドアの前で迎えてくれるのは嬉しいんだけど、何となく早く降りろと言われているようで嫌な気になった」。
お店側としたら、店舗で挨拶をするより、お客様の車の方まで行ってお迎えする方がお客様に気持ちが伝わると思われてやっている「おもてなし」だと思います。しかし、お客様の立場になってみた時、確かに目の前で待たれていると逆に気を使ってしまう。そんな気持ちもわかります。もちろん、これが「嬉しい」「気にならない」というお客様もおられますので、この接客がすべて悪い訳ではないはず。ただ、店側が「お客様のために」と思ってしたことと、お客様の感じ方がずれることは、よく起こっていることかもしれません。
セブンイレブンの創業者、鈴木敏夫さんは、「お客様のために」と「お客様の立場に立つ」という考え方は違うと言われている経営者です。
「お客様のために」という時は、どこか「過去の経験」をもとにしたお客様に対する思い、決めつけがあり、お客様がそれを良いと思われているどうかはわからない。「お客様のために」と言いながら、自分達のできる範囲でしか考えていないのではないか。どこかで自分達の都合を優先しているのではないかと言われています。
「お客様の立場に立つ」ということは、あくまでもお客様の立場で見ることで、お客様のニーズから発想していくこと。もしかすると自分達にとって不都合なことでも実践していかなければならないこともある。だからこそ「お客様のために」ではなく、「お客様の立場に立つ」というお客様を起点にして考えていく。その重要性を従業員に伝えておられています。
「お客様のために」という思いは悪いことではなく、人の役に立とう、喜んでほしいという姿勢は商売の上で大事なことだと思います。ただ何が良いかどうかはお客様が判断すること。その立場に考えてみないと間違ったことをしてしまいます。「お客様の立場で」と強く言われるのはそうした戒めだと思います。
ただ、お客様からの目線で見るということは、意識しないとなかなかできません。鈴木敏夫さんも、実際に毎日、商品を試食し、土日でも消費者としてセブンイレブンを利用して、「お客様の立場に立つ」を実践されていたそうです。
「お客様のために」と「お客様の立場に立つ」。つい、同じような意味で使ってしまいますが、良い商品をつくるためにも、お客様に喜んでいただく店にするためにも、やはり「お客様を起点に考える」ことが重要なポイントになるのかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2023 年 02 月 14 日 11:10
心の置き方
「その日が、お客様にとっていい一日になればいいなと思って働いています」
これは、以前、ある旅館を取材させていただいた時、朝のバイキング会場でお客様に声をかけ、いろいろとお世話をするスタッフの方がおられたので、インタビューをさせていただいた時にその方が仰った言葉です。
自分の仕事は、単にバイキングでなくなった料理を補充する係ではない、自分は、お客様のいい思い出をつくる仕事をしているのだ、そんな風にとらえられて働いておられるその方の接客が心に残りました。
同じ仕事でも、「今日もバイキング会場で料理の補充をするのか」と思うこともできますが、こんな風にとらえて働くこともできる。自分の仕事をどう捉えているか。心の置き方ひとつで同じ仕事でも景色は大きく変わっていくのだろうと思います。実際にその方は、足のご自由なご老人の方に料理を取り分けあげたり、ここでしか食べられない特別な料理をご説明されたりと、バイキング会場に来るお客様を笑顔にされていました。
よく「CSが大事だ」と接客の技術や行動を改善していこうと「やり方」を見直すことがありますが、どれだけ接客のやり方を学んだとしても、その人がそれを「やらなければいけない作業」だと思ってやっている仕事と、「お客様にいい一日を過ごしてほしい」と思ってやっている仕事では、まったく違った仕事になってしまうと思います。
世の中にはいろんな職業がありますが、考えてみればすべて同じことかもしれません。例えば、車を販売する営業マン。自分の仕事は「車を販売する仕事」だと思って仕事をするか、「その家族が幸せに過ごせる車選びのお手伝いをする仕事だ」と思って仕事をするか。車修理をするメカニックであれば、自分の仕事は「車を修理する仕事」と思って作業をするか、「お客様が不安なく、ずっと幸せに車を利用していただくための大切な仕事だ」と捉えて燃えて仕事をするか。自分が顧客ならどちらの人から買いたいか、頼みたいかと考えてみた時に、多くの人が後者の人に対応してほしいと思うのではないでしょうか。
ただ、心の置き方は自分で決めるもの。仕事をどうとらええるか、自分自身がどうあろうとするかは、その人が決めるしかなく、他人がコントールすることはできません。どうせ仕事をするのであれば、自分の心が前向きになる場所に心を置いていきたいです。
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お客様満足・感動の向上
2023 年 02 月 07 日 14:07
やってみなはれ精神
ここにきてだいぶコロナ禍も収まりつつありますが、この数年間、飲食や旅行などのサービス業の皆様は本当にたいへんな時期を迎えられたと思います。来店客がゼロになる、しかし大切な従業員を簡単に解雇する訳にはいかないという厳しい選択が迫られる中で、何とか業績を上げようと新しい取り組みに挑戦された方も多かったと思います。先日あるホテルの経営者にコロナ禍での取り組みをお伺いしましたが、料理の通販やお弁当の販売、団体にホテルを1棟丸ごとお貸しするプランなど従業員の皆さんとアイディアを出し合い、この数年間、必死に取り組まれたそうです。行ったものの中には全く売れないものなど、たくさんの失敗があったそうですが、その挑戦の中にはヒットし、今後の新しい柱に成長したものもあったそうです。コロナだからと尻込みをしなくてよかった、やってみることの大切さを痛感したと、その経営者が語っておられました。
「やってみなはれ。やらなわからしまへんで」。これは、国産初のウイスキーを開発したサントリーの創業者、鳥居信治郎さんが大切にされていた言葉だそうです。
入念な市場調査を重ねて開発した新車が売れなかったり、逆に思いもかけない売れ方をすることがあるということがあるそうですが、未来を確実に予測できることは少なく、何事も「やってみなければとわからない」ものかもしれません。
サントリーさんが創業した戦後の混乱期や現代のコロナ禍など、誰も経験をしたことがないことが起こった時や、未開拓の分野に出る時は、誰も正解がわからない。だからこそ、「やってみなはれ」という歩き方が必要だったのでしょう。以前、新しい仕事をする時はPDCAではなく、まず行動から始める「D‐CAP」が大事だという考え方を教えていただいただことがあります。安全に関わることや大きな予算や多く人が動くような仕事は入念な計画をしなくてはいけませんが、初めてのプロジェクトや未知の分野の仕事をする時は、とにかく小さく始めてみること、そこから学び、改善していくという「D‐CAP」の方が良いのかもしれません。
ただ、そうはいっても「まずやってみる」ということは、勇気がいります。責任の重圧や失敗した時の恐怖、未知の世界に飛び込む時は誰でも怖いもの。
「やってみなはれ、やらなわからしまへんで」と言えるリーダーでありたいなと思います。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2023 年 01 月 31 日 17:05
心のこもった挨拶
小売業やサービス業では、昔からお客様に挨拶をすることが大切だと言われています。
「おはようございます。」「いらっしゃいませ」「ありがとうございます。」とスタッフが元気に挨拶をしているお店は、活気を感じますし、顧客として気持ちがいい。挨拶を良くする店では、顧客が声をかけやすくなるので、ちょっとしたことでも相談がしやすくなり、顧客満足も高まると言われています。また、スーパーなどでは、挨拶がよくなると苦情が減り、万引きも少なくなるという効果もあるそうです。会員カードのキャンペーンをやって固定客を増やしてもうまくいかなったお店が、挨拶を徹底したことで、ファンが増え、固定客も売上も増えていったという話を聞いたことがあります。
しかし、これほどみんなが「挨拶の大切さ」をわかっているのに、「挨拶をしましょう」と号令をかけたり、挨拶強化月間などで徹底しなければならないのは、「挨拶が徹底できない」という問題があるからだと思います。挨拶を訓練し、管理し、注意をすれば、その時は良くなっても、数か月後にはもとに戻ってしまうという話をよく聞きますが、それほど「挨拶」を徹底するのは、奥が深く難しいことなのだろうと思います。
特に、挨拶は形以上に「気持ち」が重要。どれだけ「いらっしゃいませ」と声を出していても、心がこもっていなければ、逆に「感じが悪い」という評価になってしまいます。本来、挨拶は気持ちを伝えることですから、心から「ようこそお越しくださいました」という気持ちがあれば、アイコンタクトや笑顔だけでも通じるもの。「心のこもった挨拶を全員が行う」ということは、命令や管理でうまくいかないのだろうと思います。
以前、ある有名なスーパーが取り組まれた挨拶強化の話を聞きました。その経営者は、どうすれば挨拶が徹底できるかと考え、結論として、やはり働く人が「お客様に喜んでいただきたい」という気持ちをもって働くことが、命令で挨拶をさせることより大事なことであると考え、様々な取り組みを実行されました。
「お客様に喜んでもらいたい」という気持ちをつくるには、まず、働く人がいかに自分の仕事に誇りや満足感を持ってもらえるかが大事である。まず取り組まれたのが、商品知識の教育でした。売り場でお客様から商品の質問をされても、答えられないと顔が下に向いてしまい、挨拶もできなくなる。売る商品に自信をもってもらうことが大事だと、商品知識の教育をされました。接客においても「売ろう」とすると感じが悪い接客になる。「商品を売ろうとする接客をするな」という指示を出されたそうです。また、働く人が気持ちよく、楽しく働ける環境がなければ、お客様に喜んでもらおうという気持ちも生まれない。そこで、上司が職場に出向いて不満を聞き、現場との話し合いも続けられました。お客様に喜んでもらうことが商売であるという思いを伝え、トップが店舗で話し合いを重ねる中で、次第に社員の中にトップの「お客様に喜んでもらう店にしたい」という思いが通じるようになったそうです。そこから全員が気持ちのよい挨拶をするお店に変わっていったというお話でした。たかが「挨拶」といえば挨拶ですが、本当は奥が深く、徹底するためには本気で取り組まないといけないことなのだと思います。
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「いい会社」が実践する理念経営
2023 年 01 月 24 日 10:47
仕事の使命感
自分は何のために働いているか。自分の仕事の使命をどうとらえるかで、日々の仕事は大きく変わってくると思います。例えば、店の掃除をするという仕事でも、決められたところを、ただ掃除するのが自分の仕事だと思ってする掃除もあれば、「私の仕事は、来られるお客様に良い思い出を作っていただくこと。だから少しでも綺麗にしよう」と思ってする掃除もあります。自分は、何のために働いているかという使命感ひとつで、日々の仕事の景色は大きく変わっていくはずです。
先日、こんな話を、あるホテルのスタッフの方から伺いました。
宴会部で働くその女性は、仕事にやりがいを感じることがなく、ただ受注した宴会を予定通りにこなすことが仕事だと思い、日々働いておられました。あるとき、その会社で宴会部の使命をもう一度見直そうということになり、幹部の人たちで宴会の本当の使命を話し合ったそうです。宴会部の目的はただ料理を出すことなのだろうか?そもそも何のためにお客様は宴会をするのだろうか?時間をかけて話し合った結果、どのお客様も宴会が目的ではなく、人と人との絆を深めたいから、人が集まり食事をするのだと、この仕事の原点に気づかれたそうです。宴会部の仕事は、ただ料理を出すことではない、本当の使命は「お客様一人ひとりの絆づくりのお手伝いをすること」だと、改めて自分の仕事の意味、意義を感じたそうです。そこに参加していたその女性は、その時から自分自身の仕事への向き合い方が変わりました。ただ予定通りに仕事を終わらすことだけ考えていた「つまらなかった仕事」が、どうすればお客様に喜んでいただけるかと考えながらする仕事になり、今まで以上に仕事が楽しく、やりがいを感じるようになったということでした。
この女性が働くホテルは、大阪、道頓堀にある株式会社王宮という会社のホテルです。今でこそ、リピーターのお客様が多いお客様満足度の高いホテルですが、以前はそのようなホテルではなく、会社も暗い雰囲気だったそうです。そこから経営者が理念や使命を明確にし、社員の人たちと共に理念を作りあげ、変革されていくのですが、これは、その改革の途中であったお話です。
販売をしなれば、業績を上げなければと、目の前のことばかりを考えて仕事をしていると、自分の仕事の使命とは何かということを考える余裕がなくなってしまうのかもしれません。ただ、頑張るだけでは疲れてしまいます。宴会部の彼女は、以前と仕事は同じでも、心は疲れない。楽しく働けるようになったと話されていました。やはり、自分は人に役立つ素晴らしい仕事をしていると感じて働けている時は、疲れも感じないのでしょう。仕事の使命感。仕事をする上で最も大事なものだと思います。
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DOIT! 経営理念の浸透・共感
2023 年 01 月 17 日 17:41
働く人の幸せとやりがい
先週の土曜日、ホワイト企業大賞の表彰式が東京で行われました。
このホワイト企業大賞は、世の中に「いい会社」を広げていこうと、様々な人が集まって運営されている活動です。私も委員の一人として参加しています。今年も多くの企業がエントリーされ、21社の会社が様々な賞を受賞されました。
ところで、「いい会社」とはどのような会社でしょうか。人によって「いい」という基準は様々だと思います。
ホワイト企業大賞では「いい会社」とは、「社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にする会社」と定義しています。業績や利益を追い求めるのではなく、働く人たちが幸せや働きがいを大切にし、社会に役立つ会社であろうと努力を続ける会社を「いい会社」であると、ひとつの方向性を示しています。
これは「方向性」であって基準ではありません。経営において「社員の幸せや働きがい」を大切にしている会社が、この賞をひとつの指針としながら、切磋琢磨して進んでいく学びの場でもあります。
しかし、社員の幸せや働きがいとはどんなことでしょうか。
給料が良い、休みが多い、福利厚生が充実しているという目に見えることもありますが、働きがいとはそれだけではなさそうです。アンケートを取ると、社員の人たちが充実して働いていることが見えてきます。
この会社で働いていると自分が成長できる、自分が決めて仕事ができる(任されている)、他者に役立っているという実感がある、自分の個性が活かされていると感じる・・・。働く時間が充実した時間であるからこそ、前向きに働け、社員が協力しながら、もっと良い仕事をしようと助け合いながら頑張っている姿が見えてきます。だからこそ、こうした企業は総じて業績も伸び続けています。
企業は業績をあげ、利益を出してことが求められます。だから、業績を大切にする会社は多い。しかし、大切にするものの順番が違うとその経営も変わっていきます。応募されている会社が、いちばん大事にされているのは「社員の幸せや働きがい」。それを追求していくことが業績や利益につながっていくという信念で経営をされている会社です。いちばん大事にするものの順番が「社員」なのです。
昭和の時代から、他社と戦い、業績を追求する時代が続いてきた日本の中で、ホワイト企業大賞が示すこの方向性の経営は、まだ異端に見えるし、甘い考え方に見えるのかもしれません。
ただ「どうせ働くなら楽しく働きたい、やりがいを感じながら働きたい」というのは、考えてみれば誰もが求めている普通の思いだと思います。いい会社づくりとは、ただその当たり前を大切にしていくことであり、人間にとって自然なことなのだと思います。
ホワイト企業大賞
http://whitecompany.jp/
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「いい会社」が実践する理念経営
2023 年 01 月 12 日 10:23
あくなき向上心
一次的に繁盛していても、すぐに飽きられてしまうお店もあれば、何年も繁盛し続けるお店があります。いくら優れた商売でも、時代が変化する中で、同じことをしていてはお客様に飽きられてしまいますし、他店が進化すると差がなくなってしまいます。サービス業に限らず、どの企業でも永続的に繁盛し続けるということは大変なことです。現状に満足せず、常に進化していこうという姿勢がなければ、何十年も支持され続けることはできないと思います。
36年もの間、顧客満足日本一に輝く旅館「加賀屋」さんは、全国にファンがいる老舗の会社ですが、昔から、そんな評判に満足せず、常により良いおもてなしを追求してこられた会社です。毎月の会議で真っ先に話されるのは業績ではなく、客室で集められた「お客様の声」を社長を筆頭に全員で確認するところから始まります。そして少しでもご不満があれば、すぐに改善をする。お客様に喜んでいただける旅館づくりのために、常に地道な取り組みを続けてこられてきた旅館です。
そんな加賀屋さんも、ある時、CSの評価が全国3位に落ちてしまい、36年間守り続けてきた日本一の座を明け渡す事態があったそうです。代表の小田さんは、この時、「もしかすると私たちの中に“自分達は日本一であり、このままで良いのだ”という慢心があったからかもしれない。」と、創業から大事にしてきた加賀屋のDNAの形骸化に危機を感じ、おもてなしを見直していこうと、顧客の声からの改善のサイクルを短くしたり、暗黙知だったおもてなしのDNAを明文化して全員で共有するなど、様々な取り組みをされたそうです。その結果、一年後には日本一に返り咲くことができたそうです。
誤解のないように申し上げますが、加賀屋の社員の人たちは、日本一の旅館であることに誇りを持ち、それに恥じないおもてなしを追求されている方ばかりです。それでも、どこかに慢心が出てきてしまう。誰でもそうだと思いますが、うまくいっている時は、どうしてもこのままで良いと安心してしまいます。そうした中で、加賀屋さんが日本一であり続けてこられたのは、どのような時も「お客様の喜び」を第一に考え続け、常に今のままではいけないという危機感を持ち続けてこられたからだと思います。
ある方が、「進化・向上する会社しか人財は育たない」と話されていましたが、確かに同じことを繰り返している会社で人は育たちません。やりがいもなくなってしまうのでしょう。加賀屋さんが、いつも会社全体でより良くしよう、もっとよくしようと取り組まれていくことは、お客様の満足だけでなく、働く人たちの誇りややりがいにつながっています。現状に満足することなく、常に創意工夫する。そのあくなき向上心こそ繁盛し続けていくために最も大事な価値観ではないでしょうか。
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DOIT! これからの時代の人財育成
2023 年 01 月 06 日 11:36
地域から尊敬される会社
それぞれの街にはその地域を代表する企業があります。
その中でも「〇〇さん」と地元の人が「さん付け」で呼ぶ、地域の人から親しまれ、尊敬されるような会社が存在します。北海道の六花亭さんや博多のふくやさんなどは、地元の人から長く親しまれている会社です。
そうした会社は、もちろん素晴らしい商品を販売されていることや、買い物をする時の良い接客も評判を生み出しているのだと思います。それ以外にも、地元の行事に参加したり、地域の発展のために、地域貢献活動にも惜しみなく投資する姿勢なども、地元から尊敬されているのでしょう。
しかし、いくら表面上で地域貢献活動をしたとしても、会社の実態をいちばん良く知っているのはそこで働く社員の人たち。働いている人が家族や友人から「会社はどう?」と言われた時に、「いい会社だ」と言うか、「あんな会社は・・」と言うか。社員の人たちが働きがいを感じていなければ、良い評判は生まれません。地域の評判はそこで働く社員の人たちの存在も影響しているのではないでしょうか。
長野県の伊那食品工業さんも、地元の人たちが「伊那食品さん」と親しみを込めて呼び、地域から尊敬される会社のひとつです。会社という存在そのものが地域の人に迷惑をかけているからと、会社の敷地につくったガーデンを地域の人に無料で開放されているのは有名ですが、社員の人たちは、出勤時に車を右折して会社に入ると前の道路が渋滞になってしまうからと、少し遠回りになったとしても、みんなが左折で入るようにしておられるそうです。休みの日に買い物に行くときも、スーパーの店に近い駐車場は身体の不自由な人が利用する場所だからと、多くの社員があえて遠い場所に車を止めると言います。自分の会社の理念に共感し、誇りを感じているからこそ、会社から言われた訳でなくてもこんな行動をされるのでしょう。
昔から、売り手よし、買い手よし、世間よしと、商売は「三方よし」が大事であると言われていますが、これからの時代に長く存続していくためには、やはり地域から応援され、尊敬されるくらいの会社にならなければいけないのかもしれません。その為には、まず自分たちの会社が働く社員の人たちを大切にし、社員の人から尊敬される会社であること。近江商人の言葉に「売り手よし」が先にあるのはそういう教えなのかもしれません。
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DOIT! 「いい会社」が実践する理念経営
2022 年 12 月 27 日 17:48
お客様満足が社員の満足
昔から、ESなくしてCSなしと言われていますが、時々CSが先ではないかと思うことがあります。
先日、ある社員がいい表情をして会社に帰ってきました。苦労した仕事が一段落し、それがお客様にとても喜んでいただけたと言います。彼は何か月もの間、どうすればもっと役に立てるのかと考え続け、準備や打ち合わせを重ねてきたので、仕事が終わった時に、お客様から「ありがとう」と言葉をかけてもらえたことが本当にうれしかったのでしょう。
やりがいを感じてやっているから、お客様に喜ばれる仕事ができたとも言えますが、お客様に喜ばれたからやりがいにつながったとも言えます。鶏と卵のような関係です。ただ、よく考えてみればこうした感動を味わうことができるのはお客様がいるからこそ。感謝されたことが喜びにつながったのは間違いないですが、何とかして「お客様に喜んでいただきたい」と仕事をしている間もやりがいを感じていたと思います。
「もっとお役に立ちたい」とCSを考えていること自体がESを高めるとすれば、やはりCSが先。誰かに喜んでもらおうと思いながら仕事をしていくことは、幸せに働くことの出発点かもしれません。
最近、社員満足や働きがいということが盛んに言われるようになっていますが、それを高めるのはお客様満足だとすれば、全社でお客様満足に向かって仕事をしていくことがいちばん最初のスタートかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2022 年 12 月 20 日 11:08
やりがいを高める「Pからの参画」
年末年始は、今年を振り返る時期ですが、一年の終わりに「去年の自分より少し成長できた」と感じられたとしたら、それは本当に幸せだと思います。こんな風に自分の成長を実感できる一年はどんな一年なのかでしょうか。
自分の成長を感じる一年は、やはり、面白く働けたと感じられた一年だったのではないでしょうか。
私自身の体験でも、大きな成長を感じる時は大きなチャレンジをしている時。仕事はいつも以上に大変だった。今年はやったことがないことにトライして本当に苦労した。苦労は多かったけど、それをしていることに充実感があり、面白いことだったと振り返られる時、その一年の終わりに自分の成長を実感します。
当たり前ですが、しんどい、嫌だと感じているだけでは、新しいことに挑戦するのが嫌になります。つい「楽」な方を選んでしまうし、同じことを繰り返しがち。面白いと思って取り組むからこそ、もっと良くしていこう、もっと新しいことに挑戦していこうという気持ちが生まれます。楽しさは成長に比例するものだと思います。
先日、弊社のセミナーに東京で飲食店を経営する「ねぎしフードサービス」の根岸社長とその社員の方にご登壇いただいたのですが、社員のやりがい・人財育成についてお伺いしました。
働く人が仕事にやりがいを感じて働いていくためにいちばん大切なことは何かという質問に対して、社長は「社員がPから参画することだ」と話されていました。PというのはPDCAのPのことですが、ねぎしフードサービス様では、経営計画づくりやお客様づくり、人財共育など、経営の重要なことに社員の皆さんが参画し、みんなで決めていく文化・風土があります。普通はPを会社が考え、社員はDOだけをやる。しかし、それでは社員のやりがいも成長も生まれない。Pから参画していくことで仕事が自分事になり、やりがいになる。やりがいがあると人は成長する。だからPからの参画を大事にしているのだと言われていました。
確かに、誰かが決めたことをやる仕事より、なぜするのか、どれくらいやればいいのか、どうすればうまくいくかという経営の計画から参加する方がやりがいは高まります。例え、それが大変でも、自分達で考え、決めたことなら、最後まで頑張りたいと思えるはず。PDCAのPから関わることで「自分事」になるという組織を続けてこられた結果、コロナにも不況に負けない強い会社になっていったそうです。
仕事が楽しいと思える一年とは、Pから参画し、仕事を自分事として取り組むことができた一年だったともいえるのかもしれません。来年をより良い一年にするには、Pから考える、Pへの参画を増やすことがいちばん大事なのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 12 月 13 日 16:10
仕事を任せる
仕事は自分でやることも大事だけど、人に任せることも大事だと良くいいますが、「人に何か仕事を頼む」というのは、なかなか面倒なことです。どんなことをやってほしいか説明をするところから始まり、依頼した後も質問に答えたり、成果をチェックしたりやることはかなり多くなります。
だからつい、「自分でやった方が早い」と人に頼まず自分で仕事をやることを選んでしまう。特に納期が迫っている時など、悠長に人に頼んでいる暇はない、自分でやる方が早いと思ってしまいます。
ただ、こうやって「自分がやった方が早い」と何でも自分で仕事をし続けていると、だんだん「この仕事はあの人にしかない」という、いわゆる属人化という問題が生じてきます。組織でこれが増えれば、その人の負荷は大きくなり、もしその人に何かあったら仕事は回らなくなってしまいます。「任せず自分でやったほうが早い」という選択肢は目の前の仕事が早く終わるので、最適な選択に見えて、長期的にみると、実は最適ではないということにつながりかねません。
手間ひまかかること、面倒なことは避けがちですが、逆にそうした「面倒」の中に学びもあります。人に何かを任せるのは余計なことが増えていきますが、人に自分の業務を教えていると、改めて自分がわかっていることやわからないことが整理されたり、説明を考えていく中で改めてその仕事の要点が見えてくることもあります。任された側はもちろん成長しますが、実は任せた側が成長していることに気づきます。
任せたり、任されたりすることで、マニュアルができる。教える力がつく。仕事の穴が発見できることもある。教える人と教わる人の絆が深まり、チームの生産性も向上する。面倒なことが生み出すものは少なくありません。
自分で責任をもってやりきることも大事ですし、人に任せるのは手間ひまかかりますが、その面倒は未来への投資とも言えます。仕事を任せるといっても、丸投げするだけでは良くありませんが、抱え込まず、思い切って仕事を任せていくことは個人にとっても会社にとっても大事なことかもしれません。
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働きがい・やりがいの向上
2022 年 12 月 08 日 15:21
遠回りの道、プロセスの大切さ
先日、ある勉強会で、ネッツトヨタ南国の横田相談役と西精工の西社長に、「結果とプロセス」について話し合う機会がありました。
業績・利益がなければ会社は存続しません。だから「結果」を出すことが求められます。結果が出ると人は活気づきますし、そこに報酬が結び付けば一層喜びが高まります。しかし、「結果」を出すことばかりに固守すると、かえって良い結果がでないことがあります。結果を出せない人を追求したり、強く非難する。次第に会社の空気が悪くなる。結果、全体のやる気が低下し、結果も出なくなる。不正が生まれたり、個人主義になってしまうこともあります。しかし、結果が出ないと会社はつぶれてしまいます。結果を大事にするからこそ、それ以上にプロセスを大事にする。ネッツトヨタ南国さんや西精工さんも、遠回りでも、プロセスを少しずつ改善していくことの重要性を話されていました。
今、両社は業績も良く、離職者も少ない素晴らしい会社ですが、最初から良い会社であった訳ではありません。そんな2社が大事にされてきたのが「真因」を見つけ、改善すること。例えば「社員に危機感が少ない」という課題があった時、危機感をあおるだけで危機感が高まるものではない。なぜ、そうなっているのか?その根本原因はどこにあるのか?深く考え根本原因から解決していく。
昔、西精工で大きな事故が発生した時に、西社長は「なぜ、こうした事故が起きたのか」と、その真因を徹底的に考え抜かれたそうです。そしてたどり着いた結論は、事故の「真因」は、働く人の人生の生き方や考え方が未熟だから、事故が起きてしまった。働く人がいきいき働けない風土に問題があるのだ、ということでした。そこから、挨拶の改善、掃除や朝礼の見直し、人づくりや会社風土の改善に取り組まれていかれました。ただ、そうした取り組みは簡単に「結果」につながるものではありません。スポーツでいうと腹筋やランニングなどの基礎練習のようなもの。やったからといってすぐに結果は出ない。それでも、これをしなければ「よい結果」は生まれないと信じて、長年努力を続けてこられた結果、ようやく社員がいきいきと働く会社、事故やミスが起こりにくい会社になられたそうです。「遠回り」に見えることが、実は最も近道である。お二人の経営者が「プロセス」の重要性を語られていたのが印象的でした。
今、サッカー日本代表の選手たちが、素晴らしい活躍をしていますが、わずか数秒の瞬間に良いプレーができるのは、それを想定した練習を、子供の頃から嫌がらずに積み重ねてきた選手だけだと言われています。個人でも、会社でも、やはり良い結果を出すためには、遠回りの道を歩むこと。プロセスを大事にしていくことがいちばん大事なのかもしれません。
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DOIT! 素晴らしい組織風土づくり
2022 年 11 月 29 日 09:58
ブランドのバトン
「あの会社の商品なら間違いない」と、その会社の名前を聞くだけで信頼が高まり、モノやサービスを購入する時の決め手のひとつになります。多少高くても購入しよう。あの人にも勧めよう。お客様の信頼の証がブランド力です。
もちろん、全国に名が響く会社のブランド力は大きいですが、地域にも主婦に絶大な人気を誇るスーパーや地域で長く活躍する老舗の和菓子屋さんなど企業規模に関わらず、どんな会社にもブランド力というものがあると思います。
ただ、そのブランド力は簡単に作れるものではありません。
老舗ホテル、帝国ホテルには「10・10・10の法則」というものがあるそうです。
この「10・10・10」というのは、信用、すなわちブランドを構築するには10年かかる。しかし、その信頼を失うのはたった10秒。そして失った信用を取り戻すのには、また10年かかるという意味です。また「100-1=0の法則」というものもあります。フロントでいいおもてなしをした、客室係がよいおもてなしをした、料理部がいいおもてなしをしたとしても、どこかひとつでも悪い応対をすることがあれば、積み上げた満足はすべて台無しになる。「100―1=99」ではなく、「O」。同社ではこの2つの法則を社員全員が心に刻もう、「さすが帝国ホテルだ」と言われるように頑張っていこうと声を掛け合っているそうです。
地域の小さな企業にも、長いお客様がいて、「ブランド」(信用・信頼)があります。そのブランドがあるからお客様は信用して購入してくれる。状況が苦しくなると、つい忘れがちになりますが、今、そのブランド力の恩恵を得られるのは、ただ年月が経ったからではなく、その10年の間に、数々の先輩たちがコツコツと真面目に仕事に取り組んでこられた積み重ねがあったからこそ。出会ったお客様に仕事を通して感動を提供してこられた先輩の仕事がまさにブランドの源泉です。
「あの会社なら・・・」「あの会社の製品なら・・・」
ブランドとは、先輩たちが積み上げたお客様の企業への信頼という資産。
信頼を築くには時間がかかりますが、失うのは一瞬。たった一人の行動がお客様の信頼を失ってしまう。それ以上に、その業界の全体の信頼まで失うこともあります。
いい加減な仕事をするということは、先人の努力を無駄すること。そして、受けた恩を返すためにも、その信頼を未来の仲間にバトンをつなぐ。今の仕事を全力でやっていくことが、今の私たちの責任だと思います。
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経営理念の浸透・共感
2022 年 11 月 22 日 17:54
顧客満足向上活動
先日、関連会社の顧客満足向上を推進されている方から、顧客満足の改善活動で一部の現場の社員の人たちが悲鳴をあげているというお話を聞きました。それぞれの現場に顧客満足調査のデータが送られ、その改善点を洗い出し改善する活動なのですが、いくらやっても次々と改善点が出てきてしまう。「もうしんどい」「きりがない」という声が出ているそうです。ここ数年、日本中でCS意識が高まり、サービスのレベルが年々高くなる中で、お客様の基準が高まっていますので、まさに終わりがないのがCS。その悲鳴もわかる気がします。
しかし、私も様々なCSの高い会社を見てきましたが、そうした「きりがない活動」に全員が前向きに取り組み続けている会社もあります。目標が高くなるほどやることのレベルが上がり、確かにハードになっていきますが、一方では疲弊感になり、一方では喜びになる。なぜこんな差が生じてしまうのでしょうか。
活動が義務感になってしまう時。ひとつは本当の目的を見失ってしまっている時があります。子供の頃の勉強もそうでしたが、親からテストの点数を責められたり、あれをしたか、これをしたかと行動ばかりを指摘されると、勉強の本来の目的がわからなくなり、勉強が嫌になる時があります。もしかすると、疲弊感を覚えてしまうのは、顧客満足調査の数値をあげることや決められたおもてなしの行動をちゃんとやることが目的になってしまっているのかもしれません。もちろん大人ですから、頭ではわかっているはずですが、数字で迫られるとついそこに気持ちがとられてしまいます。
人からの命令を受け、ただやっていると、「させられている」と感じてしまいます。どこかで決まったことを「やれ」と言われる。自分が納得することなら良いのですが、納得できないこともある。でもやらなければ怒られる。そうした中で「させられる」という気持ちが生じる。させられるから長続きしない。手を抜きたくなる。そしてまたCSが下がる。誰も悪くないのに悪循環が続きます。
やはり、人は何のためにやるのかと納得して働きたい、決める場に参加して自分の意見もしっかり言いたい。やるなら、自分が納得したことをやりたいと思うのが普通の人の心。しかし、全員が参加するのは難しいし、指示をしてやらせる方が早い。受ける側も会議に時間を取られたくない。それぞれが良かれと思いやっていっていることが結果として悪循環になる。「やらされる」をなくすにはどうすればいいのでしょうか。
解決策はそれぞれの状況で違うはずですが、顧客満足の高い会社の活動をみていると、ほとんどの会社が社員が参画する場を大切にする風土があります。なぜやるか、何のためにやるのかを徹底的に話し合い、全員で決めていく。時間はかかるやり方かもしれませんが、納得感は高まります。こうした風土を地道につくっていくことが、もしかすると長期的にはいちばん成果で出て早い方法かもしれません。
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これからの時代の人財育成
2022 年 11 月 15 日 10:21
あきない商売
昔、仙台に、福の神と呼ばれる仙台四郎という方がおられました。
仙台四郎さんは、宮城県仙台市生まれで江戸時代末期から明治時代に実在したとされている人物です。その方が詠んだとされる「あきないの心得」を紹介します。
この詩は、時々、居酒屋のトイレなどに貼られているので、ご存じの方も多いかもしれません。
*************************************
「あきない」
商売はあきないという
それはおもしろくて しかたがないから あきないなのだ
いつもおもしろいから 笑顔がたえないから 「笑売」となる
「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」
いつも活発だから 「勝売」となる
あきない商売を おもしろくないと 思っているとすぐあきる
いつも不平不満や愚痴がでて 心が次第に 傷ついて
「傷売」となってしまう
こんなお店には そのうち 誰もよりつかなくなり
「消売」となって消えてしまう
「笑売」をしているのか
「傷売」をしているのか
「勝売」をしているのか
あきない商売をしているのか
*************************************
先日、ある飲食店で食事をしましたが、元気で明るい店主の笑顔にたくさんのお客様が集まっていました。昔からあきない商売をされているので、コロナ禍でも応援するお客様がたくさんおられたそうです。
営業スタッフにしろ、技術屋さんにしろ、お医者さんにしろ、自分の商売が「面白い」と感じてやる人の仕事は工夫があり、それが感動を与え、お客様が自然とよっていくのかもしれません。
「笑う門には福来る」。
笑顔の絶えない人や店が繁盛するのは時代を超える鉄則なのでしょう。
仕事をおもしろくするのも、つまらなくするのも自分次第。
あきない商売をしていきたいですね。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 11 月 08 日 17:55
やる気スイッチ
時々、塾などのCMで「やる気スイッチ」という言葉を聞くことがあります。
「やる気スイッチ」というのはどんなことなのでしょうか。
褒められてやる気になる、叱られてやる気になる。確かにスイッチのようなものがあるのかもしれません。
やる気スイッチを「押してあげる」という代表的なものは「褒める」こと。子どもは(大人も)人から褒められると嬉しいので「褒める」とやる気になります。その上、ご褒美などをもらうとさらに嬉しいので、また褒められようともっと頑張る。ただ、こうした外からのやる気の付け方は気を付けないと依存症のようになることもあるそうです。
先生や親にもっとよく褒められたいと、人の顔色を見るようになる。いつも褒められていた人が、「出来て当たり前」とみられるようになり褒められなくなると、今度は不安になる。褒めてほしい、認めてほしいと他人の評価が気になる。「褒める」ということは確かにやる気を高めることですが、扱いに気を付けなければ却って不安な人を増やすことになりかねません。
そもそもやる気は自分の中のもの。人に押されなくても、自分で勝手にやる気が高まることもあります。
例えば、仕事の全体像が見えず、言われた仕事をやるだけ、一部分の仕事をやっている感覚の若手の時にはやる気がわかなかったのに、年数が経ち全体を任されるようになると、責任と共に仕事の本来の目的や意義がわかってくるようになる。
「自分の仕事はこんなにもたくさんの人に影響を与えているのか。こんなにも喜んでくれる人がいるのか。」仕事の意義、仕事の面白さがわかってきた時に「やる気スイッチ」が入ります。誰かに押された訳でなく、意義がわかった、面白さに気づいたという時に、自分の中で勝手に入るスイッチです。若い人をみていると「最近、目つきや顔つきが変わってきたな」と感じる時がありますが、やる気スイッチが入った人は雰囲気や行動が変わってきます。こちら側のやる気は、他人の評価などを気にしない、良質なモチベーションです。
そもそも、人に押されて「やる気」になる、ならなかったりするのは自分の人生を他人に委ねているようなもの。本当は自分がやりたいからやる、自分が面白いと思うからやるという「やる気」が本物のやる気。人に左右されるやる気より、ずっと続く持続的なやる気こそが、本来大事にすべきやる気だと思います。
褒めるにしろ、叱るにしろ、そのことで、その人が仕事の意義や面白さにいかに気づいてもらえるように仕向けるか。他人には押せない自分の内部のスイッチは、そのような環境をつくってあげることしかできないのかもしれません。
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これからの時代の人財育成
2022 年 11 月 02 日 18:36
良き社風をつくる
企業にはそれぞれ独自の社風があります。
社風はその企業が持つ、独自の慣習や雰囲気ということですが、その空気は社長をはじめ、そこで働く社員の人たちが作りあげています。
話しやすい雰囲気、意見が言いやすい雰囲気、助け合うことが当たり前になっている雰囲気、みんながお客様のことを一生懸命に考える雰囲気。こんな良い雰囲気だと仕事はしやすいはずですし、会社も成長していくはずです。
しかし、こうした雰囲気はどのように生まれているのでしょうか。
会社が良い雰囲気になっているということは、そこで働く一人ひとりが、相手の意見を聞こう、みんなで助け合おう、みんなでお客様に役に立とうと思っているということです。つまり、そうしたことが良いと思う価値観を持つ人がたくさんいるから、そんな空気が生まれています。
例えば、失敗を恐れずチャレンジするという社風があるとすれば、きっと先輩もそうするのが当たり前になっているはずですし、上司も自分も過去にそうしてきたから、部下にもそういう機会を与える。この会社の理念や方針の中に長年「失敗を恐れずチャレンジしていこう」という価値観が刻まれていたからこそ、そうした雰囲気の社風になっているはずです。
逆に、そうなっていないとすれば、失敗すると責任を取らされる、叱責されるから、リスクを取るより安定の道を行くことが良いという価値観の人が多いということ。つまり、社風は企業の理念やこれまでの歴史、その企業の中で働く人が体験してきて生まれた価値観が重ね合って生まれていくものです。だからこそ、社風を変えるのはなかなか難しいのかもしれません。
ただ、雰囲気が悪い社風の中ではいろんな問題が起こってきます。意見が言いにくいと不満もたまる。チャレンジを恐れると改善も生まれない。みんなが助け合わないと生産性も悪くなる。社風や雰囲気は様々な問題に直結しています。
どうやって良い社風をつくっていくか。
働く人にしてみれば急に価値観を変えろと言われても変われません。みんなの意見を聞く場や理念を考える場など、様々な経験・体験を通して少しずつ成長し、変わっていくのが人の価値観なのではないでしょうか。
よい社風をつくる道に、近道はないのかもしれません。
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 10 月 25 日 10:23
誠実な人達
先日、いつも利用するコンビニエンスストアに立ち寄ると、店長らしき人から声をかけられました。
「申し訳ありません。前回、お買い上げいただいた時に、他の商品の分までお支払いをされていたようで、こちら、お返しさせていただきます。」と謝られ、ビニール袋に入った152円を渡してくださいました。
私は、いつもICカードで払っているので気づかなかったのですが、店長は私のことを覚えていてくださって、お返しするために小銭を用意してくれていたようです。本当に申し訳ないという気持ちで謝れる店長。私はその正直で誠実な姿勢に感動してしまいました。
当たり前といえば当たり前のことかもしれませんが、黙っていても済むようなことを正直に話してくださったこのお店の姿勢に、朝から良い気分になりました。
正直である、誠実である。
商売において、これほど大事なことはありません。
ある建設会社の方が、工事をする時に、職人として誠実な仕事をしたいと話をされていました。例え国が定めた基準にクリアしているから、お客様がOKといってくださっているからといって、「職人として、この品質では良くない」と思えば費用がかかってもやり直す。誰も見ていないからと、いい加減な仕事をすれば、自分自身に悔いが残るから絶対に手をぬきたくない。お客様満足よりも、自分に恥ずかしくない仕事をしたい。こんな話をされていました。
こんな正直な人たちは、もしかするとお金儲けは下手なのかもしれません。でも私は、こういう人たちが信頼できますし、仕事を頼むなら、買い物をするならこういう姿勢の人たちに頼みたいと思います。
利益ではなく、理念を追求する。そうした姿勢が長期的な信頼を生み出していくのではないでしょうか。
人に対しても、自分自身に対しても、仕事に対しても、やはり誠実でありたいですね。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 10 月 18 日 11:47
「楽しさ」の歯車が回り出す瞬間
「やらされ感」ではいい仕事ができない。仕事は楽しくない。
これは心の中では誰でもわかっていることですが、上司の命令だからやるしかない、仕事だからしょうがないと、やらされ感を覚えながらも、与えられた仕事をなんとかこなしていけば、なんとか仕事は進んでいきます。
昭和の時代は、そんな感情を持ちながらも「歯を食いしばってやるのが仕事だ」「好き嫌いを仕事に持ち込むな」と気持ちを奮い立たせてみんなが頑張ってきた時代でした。やらされ感であろうがなかろうが、なにくそと働いていくのが常識の時代だったと思いますが、今やそんな常識は通用しません。
どうすれば、人はやらされ感ではなく、自ら進んでやりたいと思えるようになるのでしょうか。
先日、ある若い社員から、「最近、仕事を追求していくことが楽しくなってきました。面白くなってきました」という嬉しいメールをもらったのですが、きっかけは、ある仕事の責任者として矢面に立ったことだったようです。その仕事は、先輩に頼らなければできない大変な仕事だったのですが、何とかやりきり、お客様から感謝されたことで、仕事の楽しさや喜びを感じたようです。
自らやっていくことの面白さ、仕事の目的を追求していくことの面白さを一度知ると、それからは仕事の仕方が変わります。私もそうでしたが、一生懸命に取り組んだことが人に役立った感動体験は、働く楽しさに気づく大きな転機になります。
ただ、大変な仕事ほど、途中でくじけることもあります。先ほどの若い社員を支えていた先輩社員の存在が大きかったようです。横にいてくれた先輩が、仕事に妥協せずに取り組んでいる姿やお客様に喜んでもらいたいと一生懸命に頑張る姿勢が支えになったようです。上司や先輩の関わり方が大切になってきます。
その若い社員は最近、自分から本を読むようになったり、仕事の効率を考えてどんどん工夫や改善をしています。人を思いやるゆとりや感謝の気持ちも高まってきて、毎日が楽しそうです。
一度「楽しい」という歯車が回り出すと、言われなくても動き出すのが人。楽しさこそ、成長の原動力だと思います。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2022 年 10 月 12 日 13:23
仕事の厳しさ
令和の時代に、昭和の話をするのは本当に時代遅れですが、昔は厳しい人がたくさんおられました。厳しいというのは、偉そうにしたり、人を罵倒したり、こき使うということではなく、「いい仕事をすること」に本気で取り組み、自分にも、周りにも厳しいという人です。
私が育った映像制作の業界では、監督、カメラマン、照明、音声など、様々な独立事業主が現場に集まり、ひとつの作品を作るために、喧々諤々議論をしたり、いいものが撮れるまで何度もやり直しをして、みんなでいい作品を作ってやろうと必死に頑張っていました。
現場では何度も叱られたり、怒鳴られることもありましたが、飲み会の席でも、いい作品を作るために議論をしている先輩の姿を見ていると、やっぱり、この仕事が好きだからこそ本気になるのだなあと、カッコよさを感じ、いつの間にかこの空気が好きになり、本気になっていきました。
撮影というのは様々な条件の中でやりきらないといけない厳しい世界。チームが一丸とならないと良いものはできません。だからこそ、現場には、今ならパワハラと思われるような罵声も飛び交っていましたが、そこには「いい作品を作るんだ」という夢に向かって進むチームの一体感がありました。
厳しい現場を一日頑張って、みんなで酒を飲み、次の日を迎える。先輩と語り合う中で、先輩の仕事への想いや、私を育てようとしてくれる優しさを感じることもあり、決して心がすさむことはありませんでした。知らない人から見ると厳しい世界に見えると思いますが、本当に人がいきいき働いている現場でした。
今は時代が変わり、若い人を怒ることも叱ることもなかなかできません。遅くまで働くこともできませんし、飲み会の機会も減ってきました。なかなか若い人に面白さを伝えることが難しくなっています。
もちろん、こんな昭和のやり方がすべて良いとは思いませんが、「良いものを作るんだ」「もっと良くしていこう」という気概がなく、ただ決められた仕事をこなすだけでは、いいものは生まれませんし、企業は成長していきません。働く人も仕事の面白さもやりがいも感じることはできないのも事実です。
厳しくてもいきいきと働ける組織と、厳しくて人が荒んでしまう組織と何が違うのでしょうか。
私が若い時、厳しい中でもやりがいを感じることができたのは、仲間が「みんなでいいものをつくろう」という夢があったから。この夢がない組織では、ただ仕事をするだけになってしまうでしょう。
会社でいうなら、理念やビジョン。もっと良いものを提供していこう、もっとお客様に喜んでもらおうという「共通の夢」への共感が、チームにとっていちばん大事なのかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2022 年 10 月 04 日 17:05
役立つ喜び
仕事の喜び、働きがいの要素はいろいろあると思いますが、その中でも「役立つ喜び」は誰にとっても大きなやりがいではないでしょうか。私も先日、一年かけて関わらせていただいたある会社の研修の最終日に、参加者の方がやる気になって取り組みをはじめられた姿をみて、本当にうれしくなりました。どんな人でも、自分が全力で取り組んだ仕事で、誰かが喜ぶ姿を目にすると、大変だったけど頑張った甲斐があった、やって良かったとしみじみと嬉しさがこみあげてくるのではないでしょうか。
太古の昔から集団で生きてきた動物である人間には、仲間に共感し、助け合うことに喜びを感じる本能があると言われています。助け合うことに喜びを感じますし、誰かが喜ぶ姿をみると、逆に自分も、もっと頑張ろうというエネルギーがわいてきます。「人の為」は、自分を殺した犠牲的な行為ではなく、自分の喜びであり、やりがいではないでしょうか。
ただ、仕事を機械のようにこなしていると、この喜びを忘れてしまうことがあります。昔から仕事をしっかりと進めていくには、仕事のタスクを書き出し、優先順位をつけてやりきることだと言われています。確かにいい仕事を数多くしていくにはこの能力は不可欠。処理して終了のチェックすることでやりきった感がありますし、効率的になるので生産性も高まります。
ただ、日常的に、こうした仕事をしていると、頭が次のタスク、次のタスクと処理に追われて、何かむなしくなる気持ちになることもあります。喜びを感じる暇もなく、処理することだけが仕事になり、追われるような日々に疲れもたまってきてしまいます。タスクを処理するロボットになったような自分を感じることがあります。
どの商売も、本来は、利益や効率をあげるのが目的ではなく、誰かを喜ばせること、満足していただくことが目的のはず。本来の目的を忘れてしまうと、本当に仕事はむなしいものです。
昨日、どんな喜びを感じたか?どんな感動を味わったか?私たちは朝礼でそれぞれが昨日の仕事の喜びや気づきを振り返る時間がありますが、一見無駄なようでも、大事な時間になっています。
誰かに役立ちたい。誰にとってもそれは「生きがい」ではないでしょうか。
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働きがい・やりがいの向上
2022 年 09 月 27 日 11:46
見えない資産
経理の帳簿には今月の売上高はいくらであると、数字一行で表されますが、その売上高は、ひとつひとつのお客様の代金であり、見えませんが、そこにお客様の気持ちがあります。
その日たまたま買いに来られたお客様もいれば、遠くから車を飛ばしてわざわざこのお店に買いに来てくださった方もいて、お客様のいろんな思いの上に「売上」という数字が出来ています。
もちろん、どのお客様もありがたいお客様であるのは間違いありませんが、このコロナ禍で、改めて自社を愛し、利用し続けてくださる「常連客」の大切さを感じている方も多いと思います。
「この会社の人たちが好き」「この店でなければ」「この会社の姿勢が好き」と贔屓にして通い続けてくれる。顧客の比率にすれば数割かもしれませんが、そういうお客様は何年、何十年と通い続けてくださっている訳で、自社を支えてくださる本当にありがたい存在です。数字で表される「売上」「利益」も資産ですが、こんなお客様のお気持ちこそ、会社の「見えない資産」だと思います。
他にも企業には見えない資産があります。それが働く人達の「やる気」という資産。働く人達がこの会社のために頑張ろうと支えてくれる思いがあって苦しい時も乗り超えられる。この会社が好きだから、この仕事が好きだからという思いも、目に見えませんが、大事な資産です。そして、仕入れ先の人たちの気持ちも見えない資産。
仕入れ先の人たちの誠実さ、お客様の信頼、働く人のやる気。どれも損益計算書や貸借対照表に出てきません。でも、いずれもなくなってしまうと明らかに会社は衰退していきます。大切なものほど見えないと言いますが、このコロナ禍で「見えないもの」の大切さに気付くことが多くなりました。
見えないものをみる。見えないからこそ、あえて心をそこに向けていくことが大事な気がします。
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これからの時代の経営のあり方
2022 年 09 月 21 日 13:52
仕事を好きになる
「仕事が好きですか?」と問われると「好き」と答える人はどれくらいおられるのでしょうか。
「仕事は好きとか嫌いとかでやるものじゃない」という考え方もあります。確かに好きだからやる、嫌いだからやらないでは成立しないので、仕事に好き嫌いの感情を持ち込まない方がいいのかもしれません。
ただ、昔から「好きこそものの上手なれ」というように、仕事でも趣味でも、「好き」でやっている人は、勝手に練習したり、好きだから、苦しいことも厭わずに取り組んでいくので成長していきます。
YouTubeでも自分の趣味や好きなことにチャレンジしている動画たくさん投稿されています。朝早に起きて釣りに行く、何時間もかけて山に登る、成功するまで何度も何度も挑戦する。傍から見ると「大変だろうな」と思うことでも、好きな人は「そこがいいんです」と大変さが「やりがい」になり、やっていくうちに上達して、また面白くなる。やはり「好き」という力は人間にとって、大事で大切な力なのだと思います。
だから、仕事が「好きなこと」になれば、苦労も楽しくなるし、勝手に成長していくし、何より毎日が楽しくなると思うのですが、嫌いな人に「好きになりなさい」と言って好きになるものではありません。好きは自分の気持ちです。どうすれば仕事が「好き」になるのでしょうか。
そもそも仕事に「好き」という感情を持ち込んでいない人は、自分は何が好きを考えてみることからかもしれません。ここが好き、ここが面白いという部分に気づけば、仕事全体が好きになることもあります。また「好きだから一生懸命やる」のも事実ですが、「一生懸命やっていると好きになることもある」というもの事実だとしたら、まずがむしゃらに一生懸命やることも大事。最初から「好きで始めた人」は意外と少なく、今の仕事が好きだという人の多くはだいたいが後者のパターンではないでしょうか。よく先輩から「とにかく腰を据えて一生懸命やってみろ」と言われましたが、確かにどんなことでも一度本気になってやらないと、心から「好き」という気持ちは生まれません。
松下幸之助さんや稲盛和夫さんも、以前から「仕事を好きになること」の重要性を説かれていましたが、人生の大半を占める仕事の時間が「好きな時間」になれば人生も豊かになるのは間違いありません。
「好きな仕事」や「自分に合う仕事」を探すのもひとつの方法かもしれませんが、今の仕事を好きになる、好きになるために努力するという方法もきっとあると思います。
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働きがい・やりがいの向上
2022 年 09 月 13 日 11:36
人柄
以前、大手芸能プロダクションの社長のお話を読ませていただいたのですが、芸能界で売れる人はやはり人柄が良いことが大事だということでした。誰に対しても謙虚で、ちゃんと挨拶をする。感謝の気持ちをもっているから、スタッフにも愛され、だからまた使ってあげたいという気持ちになる。最後は人柄だと書いておられました。
確かに、長く芸能界で活躍するタレントさんを見ていても、表では面白いことを言って笑わせたり、逆に毒舌であったとしても、裏側では後輩や仲間を大切にしたり、スタッフの人たちを大切にしたりされていると聞きます。もちろん、芸能界を生きぬくためには才能がなければ使ってくれないものだと思いますが、どれだけ才能があったとしても、偉そうな人は嫌われて一緒に仕事をしたくない。才能があっても消えていく人も多い厳しい世界です。
自分の身近でも、ビジネスの中での人柄の大切さを感じることがあります。例えば、コンビニエンスストアは系列店ならどこも品揃えが同じで差はないはずなのに、私がいつも利用するのは同じ店ばかり。店長さんをはじめスタッフの皆さんが親切な上に、私の好みを覚えていてくれたり、ちょっとしたPOPに気持ちがこもっているので、いつもそこを利用してしまいます。営業マンでも売れる人はみんな、お客様からも仲間からも好かれる人。謙虚で仲間思いのリーダーがいるとチームが活性化します。やはり人柄ということでしょうか。
しかし、これまでビジネスの世界では、成功するためには、スキルを磨くこと、経験を積むこと、知識を増やすことだと言われてきて、接客の勉強はあっても、人柄を磨く勉強会というのはなかなかありません。ということは、これまで人柄や人格というものは、それほど大事だと思われていなかったのかもしれませんが、知識や情報はどこでも手に入る時代になると、ただ知識があるというだけでは選ばれにくくなっています。知識があるのはもちろんですが、やはり誠実な人や想いやりのある人と仕事をしたい。誰もがそう思うのではないでしょうか。
しかし、仕事における人柄や人格の大切さについては、昔から言われていることで、成功してきた経営者は皆、人格を磨くことの大切さを伝えておられます。そう簡単に人柄を変えることはできませんが、成功した人は皆、自分の心を磨く努力をされています。人柄を磨いていくことはどんな時代になっても最も大事なことなのかもしれません。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 09 月 06 日 17:09
謝れるリーダー
先日、ある会社の研修をさせていただいた時のことです。
冒頭、その会社の社長がみんなに話があるということで、あることについて謝罪されました。詳しい内容は割愛しますが、社員の皆さんの前で「自分が悪かった」と謝られたのです。社員の皆さんもびっくりされていたようですが、私も、こうやって素直に自分が悪いと認め謝罪できるリーダーは本当に素晴らしいなと感じました。
経営でもチーム運営でも、必ず結果が出ない時やうまくいかなくなる時があります。そんな状況の時に、リーダーがどういう姿勢を示すか、どんな言葉を発するか。その姿勢次第で、メンバーの気持ちが大きく変わると思います。
以前、ある会社で、一部のスタッフのミスでお客様から大きなお叱りをいただいてしまい、そのことをきっかけに様々なところから批判を受けることになるという事態になりました。その経営者は何が悪かったかと悩み考え続けました。至った結論は、こういうことが起こる原因は、自分が外部の仕事にばかり目が向いてしまい、スタッフにちゃんと向き合う時間をつくっていなかったからだ。そう反省された経営者は、さっそくみんなを集めて「自分が悪かった。これからは外の仕事をなくし、もっとみんなとの時間をつくる」と頭を下げて謝られたそうです。ミスは自分の責任だ、きっと怒られるだろうと思っていたそのスタッフも、それの周りにいた他のスタッフも、自分に指を向けるリーダーのその姿に感動し、「悪いのは自分達だ」とみんなで、こんなクレームを出さないようにするにはどうすればいいかと話し合い、改善をしていかれたそうです。その出来事から、またその会社のお客様サービスや社員の意識がどんどん高まっていきました。
リーダーが人のせいにしていると、部下も人のせいにする。リーダーが自分の責任だと素直に認め、誤っていくと、部下も自分に指を向ける。リーダーの姿勢通りに育っていくのかもしれません。
しかし、多くの場合、結果が出なくなったり、うまくいかない状況になると、上司が部下を叱責し、部下が上司に謝るということが起こります。しかし、そうした状況にしてしまったのは本来リーダーの責任。この責任を受け止め、勇気をもって謝れるリーダーであるかどうか。謝れるリーダーの勇気のもとで、部下は前に進む勇気が出るのではないでしょうか。
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これからの時代の人財育成
2022 年 08 月 30 日 11:05
勝利至上主義の弊害
スポーツの世界のことはあまり詳しくありませんが、少し前から勝利至上主義が問題になっているそうです。
そもそもスポーツは勝利を競い合うもので、それ自体には問題がないのですが、指導者やその周りの人たちが勝つことだけを追求するあまり、体罰が起きたり、燃え尽き症候群になったり、スポーツが嫌いになり辞めてしまう人もいます。
まわりから日常的に過剰に勝利を求められると選手は成功や失敗、勝利か敗北という結果ばかりに気にするようになる。それがプレッシャーを生み、実力を発揮しにくくなる。結果がでないと「自分は価値がない人間だ」「才能がない」と自分を否定する。過度のプレッシャーで実力を発揮できず、「こめんなさい」と泣き崩れているオリンピック選手などの姿もそうしたことからくる結果なのかもしれません。
本来スポーツは楽しく、勝つこと以外にも、人間形成や相手や仲間を敬う気持ちなど、いろんな学びがあるはず。好きで夢中になってやっていたスポーツが嫌いになってしまうのは、本当に悲しいことです。
仕事も同じかもしれません。結果や業績ばかり追求する環境にいると、いつの間にか、仕事は数字をあげることだと、仕事の目的が変わってしまうことがあります。そして、だんだんと仕事そのものの楽しさや喜びに意識が向かなくなる。そのうちに仕事が嫌になってしまいます。
そんな気持ちでいると成果が出ない。出ないとまた追求される。それでも「やらなければならない」と、仕事が「義務感」になる。好きだったモノづくりが、面白かった営業という仕事がいつの間にか義務感でやっている。そんな人が増えているとすれば、勝利至上主義のチームのようなことが起こっているのかもしれません。
スポーツ界では、ここ数年、そうした勝利至上主義の反省があり、結果重視ではなく、選手の成長に主眼をおく「プロセス重視の指導」に少しずつ変わってきているそうです。勝利という結果ではなく、どんなプレーをすればいいか、どんな心で向き合えばいいプレーができるかと、技術やプロセスを磨いていく。そうした指導に転換する高校も増え、最近は、甲子園でも勝利の重圧に負けず、笑顔でプレーをしているチームも見かけるようになりました。確かに、義務感や恐怖感で野球をやるチームより、好きなことを、夢中に取り組んでいるチームの方が強いはず。
「楽しい」「面白い」と、本来の仕事の喜びややりがいを感じながら働いていきたいですね。
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働きがい・やりがいの向上
2022 年 08 月 23 日 14:07
お客様は弱者である
「お客様は神様です」という言葉は、歌手の三波春夫さんの言葉です。
ご存じの方も多いと思いますが、これは「お客様を神様なのだから何でも言うことを聞かなければならない」という意味ではなく、三波春夫さんは、自分の歌手としての姿勢として、「歌うときは、あたかも神前で祈るときのように、澄み切った心でなければ完璧な芸を見せられない」という趣旨が本来の意味です。
しかし、これが誤解されて使われるようになり、自分はお客様だ、店員より上の立場だ、神様だと偉そうな態度をとるお客様が出てきてしまうことも生まれています。本来、お客様とお店は対等な立場であってどちらが上、どちらが下というものではないはずなのに。
ではお客様をどうとらえるか。以前、「お客様は弱者である」という考え方に出会いました。これは顧客満足度で有名な神奈川県のホンダカーズ中央神奈川の創業者、相澤賢二さんがお客様に対する姿勢として大切にされていた考え方ですが、相澤さんは、「お客様は確かに理不尽な要求をされることもある。しかし、それは不安の裏返しでもある。誰でも高い買い物をする時には不安になるし、心配もする。だから、神様の言うことだから我慢をするのではなく、弱者なのだから、お客様を助けてあげようと思って接していこう」と社員に伝えておられました。
確かにお客様というのは素人で、知らないことばかり。ネットで知識を得たとしても、プロには太刀打ちできません。特に高いものを買う時に不安にならない人はいないはず。そんな時にお客様の不安な気持ちを理解してくれる人がいると安心します。お客様の気持ちに寄り添って、親身に対応するホンダカーズ中央神奈川の人たちのそんな姿勢にたくさんのファンが生まれているそうです。
お客様は弱者である。
皆さんにとってお客様はどんな存在ですか。
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DOIT! お客様満足・感動の向上
2022 年 08 月 18 日 15:15
子どもの遊びと夢中になる仕事
夏休み。行動規制のない久しぶりの夏。
いろんなところで元気に遊びまわる子供たちの姿が目に飛び込んできます。
先日、ある番組で、田舎の豊かな自然の中を駆け回り、自分たちで遊びを考え、工夫をしながら夏休みを過ごす田舎の子供たちが紹介されていました。
沢の水、川、山、林。そこにあるものを利用し、自分達独自のルールややり方を考えて遊びをつくる。創造性が思う存分発揮され、失敗の中からいろんなことを学んでいる様子を見ていると、子どもの成長にとって自発的な遊びは学校で学ぶこと以上に本当に大事なことだと思います。
仕事の中も同じかもしれません。言われたことだけ、決められたことだけを、決められたままにしていては何の成長もない。やはり、同じ仕事をしていても、教えられたことをしているのでなく、自分でもっとよくしようと工夫したり、挑戦したり、主体的にかかわっていかなければ成長していかないと思います。
以前、ある方から、「人から言われて行う仕事の成果を1とした場合、目的や意義を理解して行う仕事の成果は1.6倍、自発的かつ発展的に行う仕事の成果は2.56倍(1.6の2乗)となる」ということをお聞きしたことがありますが、数字はその通りになるかはわかりませんが、確かに夢中になってやっている仕事は、それくらいの違いはありそうです。
子供と大人が出てくる建築会社のコマーシャルではないですが、仕事に夢中になっているときの大人の顔も、遊びに夢中になっている子どもの顔は似ています。仕事が遊びのように感じる。遊んでいるかのように仕事をする。そんな仕事をしていくことが、自発的で発展的に仕事をすること。結果として生産性にもつながっていくのだろうと思います。
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働きがい・やりがいの向上
2022 年 08 月 09 日 11:18
「ありがとう」が多い職場
「ありがとう」という感謝の言葉が多い職場、そんな言葉が一切交わされることがない職場。
「あなたはどちらの職場で働きたいですか」と尋ねられたとすれば、ほとんどの方が前者と答えられるのではないでしょうか。後者の職場、忙しさの中で人間関係が希薄になった殺伐とした雰囲気を感じてしまいます。
「ありがとう」という言葉は人間関係の潤滑剤。「ありがとう」と言われると誰でも嬉しくなるし、その人との心の距離が近くなる。つまり、職場に「ありがとう」という言葉が多いということは、そこに良い人間関係が生まれているということで、人々が助け合っている証拠。「ありがとう」が多い職場は「働きがい」を感じる人も多いはず。チームワークも良い。きっと組織の生産性も高いはず。離職者も少ないでしょう。
しかし、あなたは昨日、どれだけ職場の中で「ありがとう」と言いましたか?と尋ねられたとしたら、もしかすると胸が痛くなることもあるかもしれません。家ではどれだけ「ありがとう」と言いましたか?という質問はどうでしょうか?これもドキッとする質問です。
みんなそんな職場がいい、そんな職場で働きたいと思っているのに、つい自分の仕事に没頭してしまい、心に余裕がなくなると、つい「ありがとう」と言わなくなってしまう。潤滑剤がなくなっているので、相手にも気づかうこともしなくなる。職場の中で助け合う気持ちも行為も少なくなる。ふと気がつくと、職場の中に「ありがとう」という言葉が少なくなっている。みんなが孤立して、もくもくと自分の仕事だけをする。こんな職場が増えているのかもしれません。「ありがとう」という言葉は、あたりまえで普段はあまり気にしないのかもしれませんが、人間関係にとっては大きな影響を与える大切な言葉だと、改めて思います。
なぜ、「ありがとう」が言えなくなるのでしょうか。
「ありがとう」の反対語は「あたりまえ」。「してくれてあたりまえ」「されるのが当然」と思っていると感謝の気持ちはわいてきません。親から離れて一人暮らしをした子供が、今まで親がしてくれたことに気づき感謝の気持ちが芽生えるように、「あたりまえ」だと思っていたことが、「あたりまえ」じゃなかったと気づいた時に感謝が生まれます。もし、自分が「ありがとう」という言葉が言えない時は、きっと「あたりまえ」じゃないことに気づけていない時かもしれません。
あの人はみんなの為に倉庫の掃除をしてくれる、あの人はいつも進んで嫌なことを引き受けてくれる、あの人は暑い中でも外回りをしてくれる。それは「その人の仕事だ」「あたりまえだ」と思うか、みんなの為に「してくれている」「がんばってくれている」と思えるか。自分の「あたりまえ」の基準がどこにあるか。
私自身も、つい「あたりまえ」と思ってしまい、なかなか「ありがとう」が言えません。振り返る時間が大切なのかもしれません。
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お客様満足・感動の向上 思うこと
2022 年 08 月 02 日 10:53
掃除ひとつできないような人間は何もできない
「掃除ひとつできないような人間だったら、何もできない」
これは、パナソニックの創業者、松下幸之助さんの言葉です。
掃除というと、単純な作業、簡単にできることと思いがちですが、松下幸之助さんは、ずっと掃除は人間を成長させる大事なことだと考えられていたそうです。
確かに、掃除とは単純な作業のように感じます。
言われた場所を言われた通り、掃除という行為をこなすようにすることも掃除といえば掃除です。
しかし、「綺麗にする」という気持ちで掃除をしている人は、小さな汚れに気づいてそこを掃除します。
誰でもできる掃除でも、いかに綺麗にするか、いかに段取り良くやるかと考えていくことが仕事の面でも成長につながっていく。だから、「掃除ひとつできないような人間だったら、何もできない」ということなのでしょう。
「どんな仕事でも、単純な仕事でも、真心をこめてやらないと具合が悪い。そこからいろいろなものが生まれてくるわけや。掃除の仕方でも、やっているうちに、こういう掃除の仕方があるということがわかってくる」
汚れに気づくということは、変化に気づくことができること。
それをすぐに綺麗にすることは、問題解決に向けてすぐに行動できること。
手順よく掃除ができることは、仕事も効率的に行えること。
まさに、仕事の向き合い方がそこに表れているのかもしれません。
朝、行う店内や社内の掃除。
たった10分の掃除でも、どれだけ真心をこめてやっていくか。
単純な作業とどう向き合うか。
掃除は自分の心を磨く修行の場と言われるのは、こんなところにあるのでしょうか。
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 07 月 26 日 10:12
成長が実感できる環境
若い人が成長していることを感じた時、本当にうれしくなります。以前より、頼もしくなったな、大人になったな。若い人の成長ぶりが嬉しくなるのは、私だけではないと思います。
成長は周りの人も嬉しいですが、いちばん嬉しいのは本人に違いありません。しかし、残念なことに、職場で成長を感じられず、やる気をなくしたり、転職を考えたりする人もいます。人間は基本的に成長したいという欲求がある生き物ですから、成長を感じられないという状況は、確かに面白くないに違いありません。
しかし、考えてみれば、人は毎日成長しているはず。お客様の話を聞く、難しい仕事に挑戦する、失敗する、成功する。恥をかく、悔しくなる。一生懸命に仕事に取り組んでいれば、自分の中の何かが、必ず成長しているはず。それなのに、成長を感じられないのは、もしかすると「成長に気づく機会がない」だけなのかもしれません。
入社してきた新人や若い人が苦労している様子をみていると、「そういえば自分も苦労していたな」と以前の自分を思い出し、成長した自分を感じることがあります。しかし、そんな機会がなかったり、毎日追われるように仕事をしていると、自分の成長に気づけません。成長に気づくには、振り返る機会が必要です。
120万部のベストセラー、映画「ビリギャル」のモデルになった女子高生を指導された塾講師、坪田信貴さんが、子どものやる気を高めるには、まず、大人が子供たちの小さな成長に気づくことが大事だと言われていました。「できるようになったね」「すごいね」と、子供たちの小さな変化に気づいてあげる。そして、それを伝えることで、子供たちは自信がついて伸びていくそうです。
成長するというと、何か、大きな変化を考えがちですが、毎日、少しずつの小さな変化の積み重ねで、わずかな変化は、自分自身ではなかなか感じることができません。その変化にまわりの人が気づいて、伝えてあげれば、確かに自信がつくのでしょう。
会社でも同じかもしれません。部下の成長に関心をもっている上司や先輩がいるかどうか。お互いが成長に関心を持ち合う職場かどうか。人間同士の関わりの中で、自分を振り返る機会が増え、成長を実感できるのかもしれません。
人の成長にとって、環境がいちばん大事な気がします。
(株式会社ブロックス 代表 西川敬一)
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これからの時代の人財育成
2022 年 07 月 20 日 10:54
お客様に寄り添う営業
自分が一人の消費者として商品を購入する時に最近感じることですが、昔に比べてお客様に寄り添ってくれる営業や販売スタッフが多くなったような気がします。
営業といえば、一昔前は、いかに商品を売り込むか、いかに買わせるかと押しの強い人が多かったような気がしますが、さすがにそれでは物が売れなくなってしまったのでしょうか、お客様の立場に立って一緒に購入を考えてくれる営業に切り替わってきたのかもしれません。
先日も、自動車保険のことで、ある会社のコールセンターに電話をしたのですが、その窓口の方は熱心に、自分の保険のように一緒に内容を考えてくれて、私の要望に応えながらも、できるだけ安くしようと考えて提案してくれました。メリットもデメリットもしっかりと伝えながら説明してくれるので、とてもわかりやすく、安心して選ぶことができ、その姿勢に非常に信頼が持てました。何かあれば、次もこの人に相談しようという気持ちになったのですが、たぶん、どんな商売でも、こうしたちょっとしたことでファンが生まれてくるのだろうと、つくつぐ「お客様の立場になること」の大切さを感じました。
昔の営業は、お客様と営業が向き合っているようなイメージ、戦うようなイメージだとすれば、今の営業はお客様と営業が隣に座って、お客様と一緒に、お客様が解決したい問題、叶えたい夢を相談しあっているようなイメージかもしれません。先ほどの窓口の方が、契約金額ができる安くなるように一生懸命に時間をかけて相談に乗ってくれたように、自分の利益を優先するのではなく、お客様の利益や幸せを優先して考える営業が、結果として満足や長期的な信頼を生み出し、次の販売が約束されていくのだと思います。
私はたぶん、しばらくはこの会社を続けて利用したいという気持ちになっていますし、次も、きっとその次も利用すると思います。そうすると、この窓口の方が生み出した利益は今回の契約における利益だけではなく、数年分の利益を生み出していることになります。たった十数分間の応対でしたが、担当者の姿勢だけでファンが生まれたとすると、これこそがお客様が少なくなる時代の営業の姿なのかもしれません。
昔、営業は辛い仕事だと言われた時代があります。世の中が、少し消費者の立場になって進んでいく時代がきたのだと思うと嬉しくなります。やはり、営業は人の役に立ち、喜びを一緒に感じることができる、素晴らしい仕事です。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 07 月 12 日 10:16
「場の空気」をつくるもの
皆さんの会社でも、社内でいろいろな会議をされていると思います。
これから先は何が起きるかわからない時代。時代に応じた新しいやり方、新しい価値を生み出していくためには、社内の会議で「いい話し合い」ができるかどうか。以前にもまして、会議のあり方が重要視されるようになっています。
「いい話し合い」とは、参加者が全員が意見を言い、喧々諤々と建設的に意見を戦わせて、一人では思いつかないようなアイディアが生まれたりするような活気があふれる話し合いだと思いますが、日本人にはなかなか発言するのが苦手な人が多く、意見があっても言えない、遠慮するという人もいて、なかなか理想通りにはいきません。
しかし、そんな遠慮がいらない居酒屋などでは、みんなが本音を語り、若い人も、会議で発言しない人も発言します。お酒の力もあるのでしょうが、会社の中でも、こんな話し合いができれば、会社はもっと変わっていくのだろうなと、いつも思います。
会社の会議で発言しにくい原因は、「ここで違う意見をいうと会議が長引いて迷惑をかけてしまう」という気持ちや、「ここで発言すると自分がやらなくてはいけなくなる」「否定的なことをいうと、後で怒られる」など、過去の経験からの恐れなど心理的な背景があると言われていますが、どうすれば、みんなが「ここでは何を言っても大丈夫だ」と安心して話せるようになるのでしょうか。
以前、社員がどんどん発言し、社員が主体的に働くことで有名な会社の経営者に、このことを伺った時、「私は、社員がどんな発言をしても表情を変えないようにしてきた」とおっしゃっていました。確かに、若い人が勇気をもって発言した時に、隣の上司や先輩が、少しでも怪訝な顔をしたり、不満そうな表情をするだけで怖くなってしまうことがあるかもしれません。そうした表情が「空気」になって、他の人にも影響を与えるのだとすれば、この経営者の言われたことは理にかなっています。
どんな意見でも馬鹿にされない。否定されずに、ちゃんと聞いてくれる。上司の意見に対しても、おかしいと思えばおかしいと言える。
過去があっての今なので、なかなかそう簡単に空気は変わらないかもしれませんが、上司の表情ひとつでメンバーのいいアイディアや意見が変わっていくのだとすれば、上の人たちから、自分たちがつくる「場の空気」にもっと意識的に取り組んでいくことが大切なのかもしれません。
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これからの時代の人財育成
2022 年 07 月 05 日 09:34
自分で決定する
リーダーの人たちから、時々「うちの部下はやる気がない」という言葉を良く聞きます。しかし、本当は部下のやる気を引き出せないのはリーダーの問題で、正しくは「私は部下のやる気を引き出せていない」ということだと思いますが、やる気の問題はいろんなところで問題になります。
よく「やらされ感」「やらされている感」という言葉を使うことがありますが、意外と曖昧です。「本当は、自分はそうしたくないのに、人からやり方を強制されて、やりたくない・納得をしないままやっている。だからやる気がわかない」という状況でしょうか。
自分自身を振り返ってみても、やり方を押し付けられるのはいちばん嫌です。自己決定理論という研究もあるそうですが、人は自分のことは自分で考えて、自分で決めたいという基本的な欲求があり、これを制限されるのがいちばん辛い。「つべこべ言わずに、言われた通りにやれ!」と言われると誰だって腹が立ちます。上司や経営者が「やらされ感」を感じないのは、立場上、自分で決められることが多いからかもしれません。
しかし、組織に所属している人だと、決まりを押し付けられり、やり方を強制させられることもあります。この時に、納得もせず受け入れようとすると「やらされ感」になりますが、もし、そこで、自分自身でやる意味、やる意義を見つけ出し、「自分が納得したからやる」と言えるようにするか、あるいは、押し付けられた「やり方」をやりながらも、創意工夫しながら「自分のやり方」をやっていけば、「自分で決めた仕事、自分で考えてやる仕事」になるはずなので、欲求は満たされていくはず。やらされ感は生まれません。
でも、「自分で決定する」のは勇気もいるし、面倒です。だから、つい「言われた通りにやる道」を選んでしまうこともありますが、その道は、最初の時は気が楽でも、後々辛くなってしまいます。
働く人はいかに「自分で決める」ということを大事にするか。リーダーはいかに「自分で決める」ことを支援するか。人間の基本的な欲求を満たしていくことが、人にとっていちばん幸せになる道かもしれません。
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これからの時代の人財育成
2022 年 06 月 28 日 14:01
伝わるのは「真心」
先日、ある地方都市で仕事がありました。日頃お世話になっている先なので、訪問前にお土産を買おうと思ったのですが、朝から開いているお店がない。調べてみると少し離れた大型ショッピングセンターが開いている。タクシーで行くことにしました。
その旨を運転手さんに伝えると、運転手さんは、そのショッピングセンターのいちばん近くの入り口を探してくれただけでなく、帰る時に困らないようにとタクシー乗り場の場所を教えてくれたり、そこから訪問先まではこれくらいの時間がかかると教えてくれたり、それは親切にしていただきました。おせっかいといえばおせっかいと言えるのかもしれませんが、私のためにいろんなことをしてくれるその運転手さんの真心に心がホッとしました。いつもの都会で受けている接客ではない、心が伝わってくる接客でした。
そのサービスが、なぜ心に残ったのか。
きっと、運転手さんの行為に、打算や見返りを求める気持ちがなかったからだと思います。田舎に旅行に行った時などに、町の人たちが親切にしてくれて感動することがありますが、運転手さんの対応はまさにそんな感じのものでした。人に親切にするのが当たり前。お互いに協力し合い、助け合って暮らしておられる田舎の人たちの「当たり前」が嬉しかったのかもしれません。
そもそも、「ホスピタリティ」(hospitality)の語源は、「客人の保護者」という意味を持つラテン語「hospes=ホスピス」と言われていますが、巡礼などに旅立った人が途中で病気や飢えで倒れた際に修道院で看護を行うことを指す言葉。日本人だけでなく、そもそも人間は群れを作って生きてきた動物であるので、支え合って生きていくために「思いやり」や「親切」は人間が本来持っているDNAなのでしょう。
ただ、昔は、近所の人が関わり合って、お互いが助けってあって生きてきたので、「人に親切する」というのは自然に学んできたのですが、今の時代は、なかなかそんな機会がないのかもしれません。
お客様を満足させるとか、お客様の為にと意識してマニュアルや形にとらわれるのではなく、まず自分の中にある普通の良心や真心に素直に従って動いていく。それが、サービスを提供する側にとっても自然な行為であり、形ではなく、その形の奥にある裏表のない真心だけが、相手に伝わっていくのだと思います。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 06 月 21 日 10:02
問題・課題を見つけて解決する力
問題と課題。よく使われている言葉ですが、若い人たちはこの違いに気づかず、自分の悩みを自分でなかなか解決できない。そんな人も多いように感じています。
本当はこうしたいけど、うまくいかない。理想と現状のギャップが「問題」です。
その人が、「こうありたい」という理想をもって追いかけているからこそ、「問題」にぶつかるわけですから、理想を持たないようにすれば、問題は簡単になくなります。
「自分には何も問題がない」というのは、一見良いように見えますが、それは追いかける高い理想がない状態、あるは現状維持で満足ということとも言え、もしかすると、そこが問題かもしれません。
しかし、理想があっても、自分の「問題」がしっかりわかっていない場合もあります。
先日、ある会社の若い社員人たちの悩みを聞く機会があったのですが、その中の一人の若者の悩みは、仕事にモチベーションがわかないという悩みでした。仕事でうまくいかないことが多く、上司からも怒られ続ける日々。仕事に自信をなくしているようでした。
何か問題は感じている。しかし、それを言葉に出来ない。だから何をすればいいかがわからない。その時は時間がなく少ししか話を聞いてあげることができなかったのですが、話すことで自分の問題が少し明確になったようで、明るくなってくれました。ばくぜんと問題を感じているだけでは、何も解決できません。
「自分にとって何が問題か?」をまず、短い言葉で話せるようにならないと、その先には進めないのだろうと思います。
でも、問題がわかったとしても、すぐ解決するわけではありません。次は、なぜ、この問題が起こるのか?その奥にある「本当の問題」を見つける。例えば、「仕事中に集中力がなくなり、頻繁にミスを起こす」という問題があったとする。「ミスを起こさないようにチェックリストをつくる」とやったとしても、集中力そのものが低くなっていれば、そのチェックリストすら機能しないかもしれません。なぜ、集中力がなくなってしまったのか?その奥にある問題こそが、本当の問題です。睡眠の質や寝る時間が悪くなって昼間の集中力が切れるのか。仕事の量が多くなっているのか。事実をしっかり見つめていけば、本当の問題が見つかるはず。
その上で、どうすれば理想に近づけるかと考える。理想と現実のギャップを埋めるために「やるべきこと(What to do)」が「課題」。睡眠不足で集中力がなくなってしまうのであれば、「良い睡眠をとる」というのが課題。仕事の量が多くなっていて集中力がなくなっているとすれば、「仕事を受けない」あるいは「人に仕事を任せる」「仕事のスキルを高める」というようなことが出てきますが、この課題の中で、何がいちばんやるべきことか。状況にもよって優先順位は変わりますが、決めて実行していけば理想に近づいていくことは間違いありません。
うまくいかない。問題も明確でない。だから課題もわからない。不安になる。イライラする。そうしたストレスに長くいると、人のせいにしたり、愚痴と不満を言ってみたり、逆に自分には能力や才能がないと諦めてやる気をなくしてしまうこともあるかもしれません。
上司や先輩がマニュアルを作ってあげたり、細かく指示命令をしていくことも良いかもしれませんが、これから先、きっと「マニュアルにない事態」や「思い通りにならないこと」が連続でやってくるはず。
だからこそ、その人が、自分で問題を見つけ、自分で課題を発見し、自分で解決できる力をつけてあげることが何よりも大事な気がします。
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これからの時代の人財育成
2022 年 06 月 14 日 13:28
遠回りがいちばんの近道
先日、ある企業の創業経営者とオンラインでお話をする機会がありました。その企業は私も以前に取材させていただいた会社で、業界の中でもCS・ESがずば抜けて高い会社です。
いろんなお話を伺う中で、「毎日、ほんの少しの進化することを大事にし、それを何十年もやり続けてきた」「まだまだやるべきことがある」ということをお話いただいたのですが、その言葉がとても印象に残りました。
例えば顧客満足を高めることを一気に行うのではなく、毎日毎日、社員が話し合い、みんなで少しずつ、昨日よりより良くする。社員に任せる範囲をその人の成長に合わせて広げていく。コミュニケーションの悪さを一気によくするのではなく、一人への挨拶から始めていく。その積み重ねを粘り強く続けていくことが、「大きな変化」を生み出していくと信じて、やり続けてこられました。
私たちは、つい早く結果が欲しくなり、本や事例から「やり方」を学んできては、取り入れようします。しかし、そう簡単にはうまくいかないし、結果が出ない。結果が出ないと、「このやり方はダメだ」と次の「やり方」を探す。一気に変えようと思うからこそ、「効率的」で「成果が出やすく」、尚且つ「簡単な」やり方を追い求めてしまいます。
例えば、いい会社の「やり方」を導入すれば、うちもうまくいくと考えてしまいますが、その「いい会社」は、その「やり方」に行きつくまでに、前述したような小さなことを積み重ね、その企業にあった「やり方」にたどり着いているはず。毎日の積み重ねなので、社員の人の納得感もある。
もし、他社がそのいい会社の「やり方」(形)だけを真似たとしても、社員の人たちの納得感もないし、そこまでの積み重ねがないので、目に見えないノウハウがない。だから、形だけを早急に導入してもうまくいかない。本当に学ぶべきは「やり方」ではなく、そこに至るまでに社員の人たちと話し合い、何度も何度も失敗を乗り越えて、進化させてきた、その企業の「姿勢」(あり方)なのではないでしょうか。
どうすれば、うまくいくか?どうすれば結果がでるか?と考えれば考えるほど、効率的で結果の出やすい「簡単なやり方」を真似しようとしてしまいますが、ただ、だいたいそうやって歩んだ「近道」は、結果として遠回りになってしまうことも多い。
同じようなことをイチロー選手が言っていたことを思い出します。
「遠回りがいちばんの近道」
急に変わることはないけれど、毎日、もっとよくなろう、もっとうまくなろうと、少しずつ努力し続けてきたイチロー選手ならではの言葉だと思います。
イチロー選手と、最初にご紹介した経営者の共通点は「ここをめざす」という強い目標意識があること。そして、そのためには「近道」を選ばずに、その目標に向かって毎日、自分達で考え、反省し、少しずつ進化させていく「遠回りの道」を歩んでこられたこと。
目的地にたどり着くまでの「近道」と「遠回りの道」。どちらを選ぶかですね。
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「いい会社」が実践する理念経営 素晴らしい組織風土づくり
2022 年 06 月 07 日 10:18
仕事の奥にある楽しさ
「仕事は、毎日同じことの繰り返しで、つまらない。」そう感じている人も多いかもしれません。
あるホテルの経営者に聞いたことがあるのですが、右も左もわからない新人の時は一生懸命フロントで接客をやっていた人も、ある程度仕事ができるようになると以前の輝きが消え、いつの間にか辞めてしまうということがあるということでした。
確かに、ただ同じことを毎日繰り替えしていると面白くない。だから、仕事を楽しくするには「同じことを繰り返さない」ということになります。しかし、「業務は決められているのだから、毎日同じことを繰り返すだけだ」とも言われます。どうすれば楽しくなるのでしょうか。
先日、ある美容院のベテランスタッフの方に、シャンプーをしていただく機会がありました。普段シャンプーは新人や若いスタッフがすることが多いのですが、この日は若い人が研修で不在だったので、20年以上この仕事をされてこられたベテランの美容師の先生が私を担当してくださったのです。その手さばきは実に丁寧。シャンプーの間の言葉も、雰囲気も心地よく、夢見心地になってしまいました。
どのようにこういう技術を覚えられたのかと伺ってみたのですが、やはり若い時に毎日シャンプーに取り組みながら技術を向上させてきたということでした。「どうすればもっと気持ちのよいシャンプーができるか」と、手の強さや洗い方を工夫したり、人のまねをしたり。また、お客様によって頭皮の柔軟性が違うことに気づかれて、お客様の皮膚に合わせて力加減を変えるなど、「お客様にとって気持ちよいシャンプーとは何か」という課題にずっと取り組んでこられたそうです。
若い人からすると、この人は、一見、シャンプーという「同じ仕事」をしているように映るかもしれません。しかし、この方にとっては、毎日が違う仕事に挑戦している感覚なのだと思います。だから面白くなり、何十年も続けてこられたのでしょう。
どんな仕事にも「奥」があると思います。トイレ掃除でも、窓ふきでも、一見単調に見える仕事でも、もっと良くできる、もっとうまくできるはずだと追求すればするほど、だんだん奥が見えてくる。まだまだ未熟な自分に出会う。だから技術を高めたくなる。これが「仕事の楽しさ」ではないでしょうか。
「そこそこできる」で「自分は仕事ができるようになった」と思っていると、後は繰り返し。あとは、その人が、そこから先に行こうとするかどうか。若い人に、この「奥」の楽しさ、「仕事を深める」ことの面白さをどう伝えていけるかが先輩の仕事なのだと思いますが、数秒のタイミング、数グラムの力加減で出来栄えが変わるこの世界を、言葉で伝えていくのは本当に難しい。その人が「自分もそこに行きたい」と思わないとつかめません。
仕事は、毎日同じことをくり返すこともできるし、毎日進化させていくこともできる。どちらを選ぶかですね。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2022 年 05 月 30 日 17:37
社員を叱る理由
最近、上司が部下を叱れないという話を良く聞きます。
今の子供たちは褒められて育ってきたから、怒られると立ち直れない、逆ギレする。パワハラなどの法律もあって、みんながどう接していいか悩んでいます。
令和の時代に昭和の話をするのはどうかと思いますが、「社員を叱る」ということでいつも思い出すのが、顧客満足度13年連続日本一を達成したことがある神奈川県のカーディーラー「ホンダカーズ中央神奈川」の創業者、相澤賢二さんのことです。
創業した昭和の時代は、自動車業界は、訪問販売が主流でした。夜討ち朝駆けと顧客を訪問、買ってくれるまで粘る・・・。しかし、そんな無理な販売を続けていては、社員が幸せにならない。そう考えた相澤さんは、業界では誰もやっていなかった店頭販売に切り替えます。お客様に来ていただくには店に魅力がなければならない。顧客満足の向上に対して真剣に取り組むことで次第にお客様が増え続け、売り込みに走らなくても、お店でしっかりと対応していけば販売ができることを証明された会社です。今、店頭販売が主流になっていますが、その先駆けを作った会社です。
そんな相澤さんが大事にされてきたのは「社員の幸せ」。貧しい家庭で育った相澤さんは、社員を本当の家族のように大切にされた経営者。「社員は家族」が信念です。せっかくご縁があって入社してくれた社員を立派な社会人に育ててあげたい。どこに行っても通用するような人、誰からも愛される人に育って欲しいと、社員に読書をさせたり、茶道を習わせたり、掃除や挨拶の大切さなど、業務とは関係のない「人づくり」を徹底的にやり続けてこられました。
相澤さんは、社員のことを思うからこそ、時には厳しく叱ることもあります。社員が人として良くないことをした時は、「バカヤロー」と激しく怒鳴る。「二度とそんなことをしてほしくない」と思いを込めて厳しく叱る。ただ、その怒りをいつまでも引きずることなく、叱りきると翌日はニコニコとして普段のように接する。怒られた社員も最初は反発したり、不機嫌になりますが、その思いに触れると、「この人は本当に自分のことを思ってくれているんだ」と気づき、自分を変えていく。人の心が通い合う家族のような会社です。
こんな話をすると「そんななことが通用するのは昭和の時代までだよ。今の時代は無理だ」と言われそうですが、「叱らない」ことは本当にその人のためになるのか。私も悩むことがあります。叱られることから、本当の愛を感じ、自分が悪かったと気づくような体験は、人が成長していく過程には必要なのではないのでしょうか。私も、昔、悪いことをして、親から「二度としてほしくない」「そんな人になってほしくない」と怒られたことがありますが、その時の親の何ともいえない「悲しい目」が今でも心に残っています。
相澤さんに厳しく叱られ、「辞めてやる」と退職する人もいるのですが、その後、相澤さんは社内で「あいつはどうしているんだろう」「ちゃんとやっているんだろうか」と周囲に語り掛けていたそうです。そして社員が帰ってきたいと思えばちゃんと受け入れる。そんな出戻り社員が10人もいるそうです。
なぜ、叱るのか?どれだけその人のことを思って叱るのか?厳しさも優しさも最後は「その人への愛」に尽きるのかもしれません。
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DOIT! 「いい会社」が実践する理念経営
2022 年 05 月 24 日 10:40
失敗から学ぶ
先日、ある会社で行われた若手社員の体験発表会という勉強会に参加させていただきました。これは、新人や若手社員が、この一年間で失敗を通して学んだことを発表するのですが、自分が失敗したり、ミスしてしまった体験、そして、そこから学んだ教訓、次へどう生かしたのかなどを先輩社員の前で発表し、組織として学び合うという取り組みです。
大きな事故につながったかもしれない、小さなミスを起こしてしまった新人は、その体験から大きく反省し、「安全」や「確認」の大切さを学び、どんな時も慎重に行動することを自分で身に付けようとしています。自分の勝手な行動で回りに迷惑をかけてしまった新人は、「落ち着いて行動すること」「相談すること」の大切さを学んで、自分の行動を変えていこうとしています。悔しい思いをしながらも、成長してきた1年が伝わってきました。確かに誰でも、失敗やミスはしたくないものですが、どんな人も最初はこうやって痛い目に会い、傷を負いながら、少しずつ成長していったはず。私も、自分の若い時を思い出しながら聞いていました。
新人がこうやって失敗するのは、確かに知識や経験が浅いことが原因なのだと思いますが、その前に、その人が、新しいことに自ら挑戦し、「自ら行動した」という事実があります。何でも先輩に聞いて、指示通りに動けば失敗も少ないのでしょうが、それではこんな風にはならないはず。怒られて、痛い目に会って、悔しくなって、反省する。強く胸に刻まれるのは、自分から行動した時ではないでしょうか。失敗して経験をしていくことで仕事をする力が磨かれ、痛みを知って人間としても成長していく。こうやって成長してきたように思います。
しかし、だんだん年数が経ち経験を重ねると、事前に失敗を回避することを覚えて、失敗をする経験が少なくなっていきます。それも確かに大事なことですが、こんな新人の成長体験を聞いていると、我々は成長をしていないのではないか、失敗から学ぶ機会を失ってしまっているのではないかと、反省してしまいます。
決められたことをこなすだけの日々。確かにそれの方が、毎日が平穏に終わるのでしょうが、新人の頃のような熱い心はありません。こうやって仕事の面白さをなくしてしまうのかもしれません。
失敗をして悔しくなり、寝れなくなる。それでまた考え、再度挑戦する。これが日々が仕事を面白くすること、成長していくことだとすれば、失敗をしない日々は、挑戦をしないということであり、成長していないこと。成長している組織というのは、もしかするとたくさん失敗をしている組織なのかもれません。
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これからの時代の人財育成
2022 年 05 月 18 日 16:48
仕事と生きがい
先日、ある方のお招きで、改装した古民家で一日一グループのお客様だけに、フランス料理を出すお店に行きました。この店のシェフは71歳。若い時からホテルで修行し、最後は一流ホテルの料理長として経験を重ねた素晴らしい職人さん。ひとつひとつの料理が繊細で本当に美味しく、最初から最後まで楽しませていただきました。
食事をしている時、料理長自らが料理を運び、その都度、料理の説明やフランス料理のことを説明してくださいます。材料の仕入れへの時間のかけ方、お客様に合わせた調理の時間の工夫、美味しくなるか不味くなるかのギリギリの調理時間のお話など、なかなか聞けないプロの仕事の裏側を聞かせていただきました。
ひとつの料理の奥に、こんなにも工夫や努力があるのかと驚いたのですが、それ以上に、自分の仕事に誇りを持ち、楽しそうに語られる料理長の仕事への姿勢にも感動してしまいました。自分の得意分野を長年時間をかけて極め続け、今、この料理に全力を傾け提供する、そのことで人が喜んでくれる。その幸せそうな笑顔がまた自分の励みになり、収入になる。そのことが嬉しくて、また自分の技術を磨き、努力する。人生の中で、自分が心から打ち込める仕事を見つけることは、本当に素晴らしいことだなあと、料理長の話に耳を傾けていました。
今、日本人独特の幸福感である「生きがい」という概念が欧米で注目されているそうです。なぜ、日本人は長生なのか?長寿と生きがいについて研究が進んでいます。その学者がまとめた「生きがい」の構成要素が、「好きなこと」「社会が必要とすること」「得意なこと」「収入を得られること」の4つ。自分の好きなこと、自分の得意なことが出来ていて、それが社会の役に立っていると感じられ、尚且つそれが生業になっているという時に、人は生きがいという幸福感を味わっているのだそうです。料理長の話を聞きながら、このことを思い出していました。
私たちも、仕事をしていて、やりがいや幸せを感じることがあります。やりがいを感じると努力も楽しくなる。失敗したり、うまくいかないことがあると苦しいけれど、そこに格闘することで、どこか生きていることを感じる。こんな日々が生きがいを作っていくのではないでしょうか。
仕事はただお金を稼ぐ作業だと思うと、手を抜きたくなってしまいますが、自分の生きがいであれば、努力も楽しくなっていく。仕事をどうとらえるか。長い人生を豊かに生きる上でいちばん大切なことかもしれません。
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いきいき働くための仕事の姿勢
2022 年 05 月 10 日 10:12
新人時代の3つの権利
4月入社の新人の皆さんも、研修期間が終わり、現場に出て四苦八苦している頃だと思います。
私も昔、活躍しよう、成果を出してやろうと意気込んで現場に立った日のことを思い出します。
しかし、どんなに意気込んでも、最初からうまくいくはずはなく、先輩のようにはいきません。失敗して落ち込み、うまくいけば喜び、毎日が浮き沈みの連続でした。しかし、今思えば、そうして自分から挑戦して失敗して反省していくことで仕事の向き合い方や仕事の面白さを学んでいったように思います。
「新人には3つの権利がある」
これは以前取材させていただいた美容室バグジーさんに伝わる1年目の新人への言葉です。
1つが、失敗していい権利、1つは何でもやってみる権利、最後は何でも聞いていい権利。
失敗を恐れずに、自分からどんどんやってみる。わからないことがあれば、何でも聞いてみたらいい。失敗を恐れて何もしない、挑戦しないようでは、これから先成長しない。この一年間で、「成長の癖」をつけてほしいということで、先輩が新人にこの言葉を教えていきます。
確かに、自分自身も、新人時代は例え失敗しても、先輩たちに叱られましたが、「しょうがないよ」「また頑張れ」と温かく励ましてくれたおかげで乗り越えられた気がします。1年目に先輩が思い切ってやれと言ってくれたおかげで、「仕事は自分から取り組んでいくからこそ面白くなり、失敗してもそれを糧にしていけばいいんだ」というような、いい仕事観が醸成されたように感じます。
そういう意味でも、社会人一年目の若い人たちは、3つの権利を行使して好きなようにやってみてほしいですし、成長癖をつけてほしい。同時に、新人を迎える側も将来を見据えたかかわり方をしてあげないといけないのでしょう。
可愛い新人に対しては、ついあれやこれやと何でも教えてしまいがちになりますが、もしかすると、それが将来的にはマイナスなのかもしれません。やりたいことに挑戦させる、失敗させていい経験を積ませてあげる。仕事の面白さや成長の軌道を教えてあげることこそ、新人時代の最大の教育テーマかもしれないですね。
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「いい会社」が実践する理念経営
2022 年 05 月 06 日 14:05
つまらない仕事
仕事が面白い、仕事が楽しいという状態で働きたい。
誰もが本当はそう働きたいと願っているのに、仕事は楽しくない、つまらないと感じて日々を過ごしている人は意外と多いのかもしれません。
ミスをするとお客様に怒られる、上司に怒られる。
だから、言われたことだけやって、仕事をそつなくこなそう。
そうして、機械的に仕事をしているうちに、自分で考えることがなくなり、仕事が面白くなくなっていく。
最後は自分の仕事は、「なんてつまらない仕事だ」と思ってしまう。
確かにお客様に怒られたり、上司に怒られたりすることは嫌なことですが、それが面白くないことの要因ではなく、本当はその後の仕事の仕方が、仕事を面白くなくしているような気がします。
「仕事をつまらなくする方法」はいろいろあると思いますが、一番大きなポイントは「自分で考える」のをやめることではないでしょうか?例えば、モノを右から左へと運ぶという単純そうに見える仕事を、言われた通り、言われた方法でやり続ける。ロボットのように働くとつまらない。
しかし、同じ仕事でも、運ぶ時間を測定し、どうすればもっとスピードアップできるか?どうすれば、もっと綺麗に並べることができるか?と考えていけば、モノを運ぶということでも面白くなっていきます。ただ、これも「運ぶ時間を測定してやりなさい」「早く綺麗に積む方法はこうだ」とやり方を教えてもらうと、確かに成果は出そうですが、きっと仕事は面白くなくなります。初めてのゲームをやるときに、最初から攻略法を教えてもらうような感じかもしれません。
仕事を楽しくする人は、考えていく癖があると思います。運び方だけでなく、そもそも「なぜこの仕事をするのか?」「運ばなくても目的を達成する方法はないか?」「他の手段で運べないか?」と考え続けていくから面白い。仕事をつまらなくしたいなら、考えないことがいちばんだと思います。
面白い仕事と面白くない仕事があるわけではなく、仕事は仕事。
仕事をつまらなくするか、面白くするか?その人の問題でもあり、仕事をつまらなくさせてしまう職場の環境の問題でもあるかもしれません。
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これからの時代の人財育成
2022 年 04 月 26 日 14:26
経営理念を伝える
経営理念は企業が経営において最も大切にする価値観。
自分たちの会社がどんな志を持ち、何を大切にしていくか、企業の姿勢や考え方を明文化したものですが、これに社員の人たちが共鳴、共感して働いている会社は、みんなが同じ思いで働いているからこそ、お互いの協力も生まれ、喜びも共有できるからこそ、働きがいも高くなっているはずです。
しかし、この価値観をどう伝えていけばいいか。多くの会社が悩んでおられます。
そもそも「価値観」というのは、言葉で「こうだ」と教えて伝わるものなのでしょうか。
例えば、自分の親が「感謝の気持ちを忘れてはいけない」という価値観を子供に伝えていこうとした時、まずは、言葉で説明するかもしれません。しかし、その言葉を聞くだけではなく、子供が「自分も、心からそう思う」と納得し、親が何も言わなくても人に感謝を伝えるようになるには、親がことある毎に言う、常に言い聞かせるくらい、時間がかかります。しかも、そもそも、親自身が子どもに、どんなにいい言葉で話をしたとしても、親が人に感謝をしていないような行動をとっていれば、子どもは信用しない。何も言わなくても、親の後ろ姿で「価値観」が伝わっていくこともあるはずです。
企業の中でも、どれだけ経営理念をわかりやすく説明したとしても、一回で伝わるものではないでしょうし、何度も何度も伝えていく中で、社員自身が自分の仕事の体験を通してふと腹に落ちることもあるかもしれません。
私自身も、若い時に努めていた会社で、新入社員の時、初めて経営理念を教えられても何も感じなかったのですが、しばらく働き、もう一度経営理念に向き合った時その感じ方は大きく違っていました。そこから、理念が自分の頭に残り、いつの間にか、自分がいちばん大切にする価値観になっていました。
価値観を強要されることを人は嫌がります。しかし、自分がその価値観に共鳴、共感できた時、仕事が違ってみえてきます。価値観は大事。しかし、伝え方は本当に難しいですね。
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経営理念の浸透・共感
2022 年 04 月 19 日 10:42
AIのおもてなしVS人間のおもてなし
先日宿泊したホテルの部屋に、お客様のお困りごとにAIが対応するサービスが設置されていました。チェックアウトの時間はいつか?いちばん近いコンビニエンスストアは?など、お客様の問い合わせに対してAIが回答するものです。このデータが蓄積されるとお客様サービスの改善の手がかりにもなるでしょうし、人手不足の時代に、いちいち人が動かなくてもよくなります。多言語対応も用意されているので、フロントの方も安心かもしれません。きっと、どの業界でも、このようにAIが人間の仕事を肩代わりしてくれるようになっていくのでしょう。
ただ、AIには苦手なこともあります。AIは人間のような気遣いができません。
例えば、人間であれば寒い外を歩いてチェックインされた方をみると、「ああ、大変だっただろうか、さぞ、寒かっただろうな」と共感し、声をかけたり、毛布を渡したりすることができますが、残念ながらAIには感じる心がありません。もしかすると、外気温のデータ、客の服装、体温データ、顔色データなどを蓄積していけば、計算をして、「寒い中、起こしいただきありがとうございます」という言葉はかけられるようになるかもしれませんが、「熱いお茶を入れてあげよう」とか「部屋を暖かくしてあげよう」とか、想像力を発揮して対応するというのは、さらに難しくなるはず。人の気持ちは、その時、その場、その状況で全く違う。人間同士だからこそ、気持ちや心を感じることができるのだろうと思います。
また、人間は便利さだけを求めていません。例えば、外国の旅行客は、流暢に母国語を話してくれるスタッフがいると安心するのも事実ですが、日本語しか話せないスタッフが身振り手振りで一生懸命に対応してくれる方が、外国に旅行に来たという醍醐味が味わえて面白いという人もいるそうです。
最近はチェックイン、チェックアウトの自動化が進んでいますが、先ほどの寒さの中でも暖かいおもてなしがされるなら、手間がかかっても人間が対応してくれる方が、旅の疲れが癒されるという思う人もいるでしょう。
便利さも求めるし、人間らしいおもてなしも求める。人間の心は複雑です。
ただ、AIが人間の心を癒すことができないかということ、実はそうではないそうです。例えば、一人暮らしのお年寄りがAIロボットに話しかけ、ロボットが応えると、それで幸福度は上がっていくそうです。掃除ロボットが人間のように自動的に動いているものをみると、何となく可愛く感じるのも同じかもしれません。AIにもおもてなしはできるのです。
逆に、人間が人間の対応をしているのに、心が癒やされない「おもてなし」もあります。
知り合いの幸福学の先生とお話をしていた時に、人間が一番ストレスを感じるのは、ロボット化した人間の対応だと言われていました。人間なのに、「マニュアルなのでできません」と答えたり、マニュアル通りの対応しかしない。そんな時に、人間は「そんなことなら、むしろAIの方がいい。相手はロボットだと割り切れるから、イライラしなくてすむ」と感じるそうです。確かに、人間らしさを忘れた人間ほど、怖い存在はありません。
AI対人間。おもてなしの世界で、人間は何をしていけばいいのでしょうか?
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これからの時代の経営のあり方
2022 年 04 月 12 日 17:11
売れているセールススタッフが大事にしていること
今、商品がなかなか売れない時代に結果を出していくことは、本当に難しいことになってきました。
そもそもお客様が少なくなっている。無理に売りつけようとしても嫌われるだけ。そこに加えて、このコロナ禍で、お客様と対面で接触しにくくなっている。商品の性能が向上して、なかなか壊れない。だから買い替えも少ない。新商品といっても革新的な技術が追加される訳でもなければ、魅力が乏しくなる。
営業スタッフは、昔の時代のように、なかなか結果が出せない時代になり、苦しんでいる人も多いのかもしれません。
この度、あるカーディーラーのトップセールスの方を密着取材したドキュメンタリー映像が発売されます。売れない中で、しっかりと成果を出していく人は、どんなことを大切にしているのか。平均の何倍も売る営業スタッフの行動や考え方に密着しました。
なぜ、お客様はこの人から買うのか。売れる理由はお客様が知っている。取材の中で私たちは何人ものお客様にお話しを聞きました。「この人は何でも相談できるから」「自分たちのことを一生懸命に考えてくれるから」と答えます。
営業は信頼を築くことが大事だと昔から言われていますが、その営業スタッフが一番大事にしてきたことは、やはりお客様との信頼関係。親身になって相談に乗る。売った後も気にかける。お客様が本音を言ってくれるような雰囲気をつくる。お客様と営業スタッフが、まるで家族のようにフランクに話す姿をみていると、成果を出す人は、こうした「信頼の絆」を誰よりも大切にしていることがわかります。
もちろん、売るためには、確かに、商品知識や商談技術が高くなければいけないと思うのですが、やはり、どんな時代になったとしても、お客様は自分に関心を持ってくれる人、大切にしてくれる人を信頼する。
「売れている営業」の姿をみていると、改めて今問われているのは、やはり営業の「姿勢」。そうした姿勢が「見えない質」を作っているのだと思いました。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 04 月 05 日 11:41
仕事のやりがいと厳しさ
新入社員が会社に入ってくる季節になりました。
昨年このコロナ禍で入社してきた新人たちは、当初、なかなか思うように教育ができないという不安もありましたが、アンケート調査などによると、逆に「時間をかけて仕事を覚えることができた。」など、ゆっくりと成長できたというメリットを感じたという声も多く、コロナ禍のこの状況が一概に悪いということでもなかったようです。
せっかく入社してくれた新入社員には活躍する人材になってほしい。誰もがそんな気持ちを持って迎える訳ですが、そんな思いと裏腹に、今、若手の離職率が増加しているようです。
先日、ネットのニュース※で、「ゆるい職場と若手の離職」が話題になっていました。リクルート社の調査では、労働時間が短くなって、会社で叱られることも少なくなっているにも関わらず、若手は逆にそれが不安になり、辞めていく人が増えているそうです。
その不安とは「会社には満足しているが、このままで自分は成長できるのか?」というものだそうです。学生時代にバイトや社会活動で体験を積んだ人ほど、「ゆるい職場」にいることが不安になる。つまり、やりがいを感じることができない職場に不安を感じているのかもしれません。
※https://news.yahoo.co.jp/articles/e9b999e24a0f485607daa39d7b661213e2c199c4
経験を積んだ人なら誰でもわかると思いますが、仕事のやりがいは、厳しさを乗り越えていく中で生まれてくるものです。
そのプロセスは本当に大変だったけど、やり遂げたときに何とも言えぬ達成感を覚えた。
長い苦労を乗り越えて、振り返ると成長している自分を感じた。
その時はつらかったけど、厳しく言ってくれた先輩のおかげで、自分は成長できたことにあとで気づく。
「あなたがいちばんやりがいを感じたことは?」と質問すると、ほとんどの方が「苦労の体験、それを乗り越えた体験」を語られますが、やはり「やりがいのある仕事」には「厳しさ」が不可欠なのではないでしょうか。
しかし、最近はなかなか厳しく指導できない雰囲気があり、上司も思い切って叱ることもできません。それが良いと思ってきたことが、かえって若手のやる気をなくしてしまう結果になっているのは本当に残念です。人を人間扱いしないブラック企業はもちろんダメですが、ゆるいホワイト企業でも人は育たない。「いい会社」は、決して「仕事にぬるい会社」ではないはずだと思います。「働きやすい職場」と「働きがいのある職場」は違う概念です。もちろん「働きやすい職場」が良いに決まっていますが、働く人が真に求めているのは「やりがい」「働きがい」ではないでしょうか。
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これからの時代の人財育成
2022 年 03 月 29 日 11:48
お客様の心の声を聴く
「お客様の声を聴く」ことの大切さはどの会社でも認識されていると思いますが、お客様の生の声を実際に聞くという取り組みをされているところは意外と少ないのかもしれません。
先日、ある会社の研修の一環として「お客様の生の声を聴く」という取り組みをしていただきました。常連のお客様に時間をいただき、今後の参考のためにといろいろなことを聞かせていただくという取り組みです。
「当社を長く利用していただいていますが、その理由は何ですか?」
「当社のどのようなところを良いと思っていただいていますか?」
「もし、改善するとすれば、どんなことを変えてほしいと思われていますか?」
普段いろいろとお話をしているお客様ですが、お気持ちの深い部分まで聞かせていただくことはあまりありません。
「お客様はこんなところを評価してくださっているのか」「こんな風に思ってくださっているのか」
研修会の宿題として、お客様のヒアリングしたお店の人たちは、お客様がなぜ他店ではなく自分たちの店を選んでくださるのかその理由がわかり、とても感動されていました。
お客様の心の声には、改善のヒントもありました。
そのお店ではお客様が駐車場に入ってこられると、スタッフが駆け寄り、ドアの前でお待ちするというアクションをされているのですが、あるお客様が「確かにうれしいんだけど、何かせかさせている気がする」ということをおっしゃったそうです。善かれと思ってやっていることが、実は相手にとっては小さな負担になっていることもある。だったら、少し離れてお待ちするようにしよう。そんな気づきもありました。
お客様は嫌なことがあっても、なかなか店に伝えることはされません。本当に嫌なら店を変えるだけ。小さな不満は心にしまって、小さな我慢をしているのかもしれません。しかし、こうやってお店の方から聞いてもらえると、その不満が出てくる。お店のことが好きだからこそ、気になったことを教えてくれる。真実はお客様にある。
喜びの声、ご不満の声、ご期待の声・・・。
お客様の生の声、心の声はスタッフのモチベーションも高めます。そのうえに、たくさんの改善点、やるべきことも見つかります。形式的なアンケートでは出てこない「心の声」を聴くことがますます大事な時代だと思います。
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これからの時代の経営のあり方
2022 年 03 月 23 日 17:03
笑顔の効果
先日、スターバックスのあるお店に行った時、あるスタッフが本当に素敵な笑顔で応対してくれました。マスクをされていたのですが、笑っている目元を見ているだけで幸せな気持ちになり、気分が良くなります。仕事が好き、お客様が来てくれるのが嬉しい。そんな気持ちから生まれる自然な笑顔。その日は一日いい気分で過ごせました。
笑顔には、いろんな効果があるそうです。
例えば「笑顔」でいると、脳内に幸せホルモンのセロトニンが増え、幸せな気持ちなり、ストレスが軽減される。また、笑顔には、副交感神経を優位にして心をリラックスさせ、自律神経を安定させる効果もあるのだとか。他にも、免疫力が向上する、睡眠の質が良くなる、やる気が出てくるなどの様々な効果が確認されていています。
笑顔には、笑顔の当人だけでなく、その周囲の人も影響を及ぼしていく作用もあります。人間には他人の行動や感情を自分のように感じる習性があるらしく、あくびが伝染するように、笑顔も伝染するそうです。確かにつられて笑顔になるということは良くありますよね。笑顔が伝染し、職場に笑顔が多くなれば、働く人の健康にも、やる気にもつながる。こういう厳しい時代こそ、職場の中の「笑顔」が大切なのでしょう。
ただ、誰しもが「笑顔がいい」とわかっている。でも、なかなか笑顔でいることが難しい。楽しくもない時に笑顔になれない。不機嫌になるようなことはいつも起こるし、目がまわるほど仕事は忙しい。どんな状況でも、笑顔でいるにはどうすればいいのでしょうか。
昔からよく言われているのは笑顔のトレーニング。「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなる」。笑顔をつくると自然と楽しくなってくると言われていますが、口角を上げる練習を続けると良いそうです。その他にも「ウイスキー」という言葉を使って表情を鍛えたり、朝起きる時に、「今日も笑顔で過ごそう」と笑顔で誓い、寝る前に「明日も笑顔の一日にしよう」と笑顔で就寝する、赤ちゃんをイメージするなど、いろんな方法があるようです。ただ、嫌々続けても笑顔は出ないし、余計におかしくなってしまいそう。まずは、笑顔でいることの価値をしっかり理解し、笑顔でいたいと思う心をつくることが、いちばん大事なのかもしれません。
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お客様満足・感動の向上
2022 年 03 月 15 日 15:56
自分の機嫌は自分でつくる
先般の北京オリンピック。皆さんも熱中しておられたと思います。私もいろんな競技に熱中しましたが、大活躍した日本人選手を見ていると、「この子たちはオリンピックを楽しんでいるな」という印象を受けました。
一昔前は、「日の丸を背負うプレッシャー」や「期待に応えなければいけない重圧」でガチガチに緊張して思うように力を発揮できない選手がたくさんいました。しかし、どんな状況でも笑顔でプレーするカーリングチームや失敗を恐れず難易度の高い技に挑むスノーボードの選手などを見ていると、昔の選手のような気負いを感じません。もちろん、オリンピックという大舞台ですから周囲の期待も大きいはず。しかし、だからこそ、「今を楽しむ」という気持ちを大切にしているのでしょうか。プレッシャーをうまく切り替えているように感じました。
先日、そんな金メダリストを含む様々なスポーツ選手のメンタルコーチとして活躍されている、スポーツドクターの辻秀一さんとお話をする機会がありました。やはり、最近の選手は「心の状態」がパフォーマンスや結果に大きな影響を与えることを理解し、日頃から、自分の心を「ご機嫌」な状態にすることに取り組んでいるのだとか。「今を楽しむ」という気持ちに切り替えるとか、表情から笑顔にするとか、自分で「ご機嫌な心」をつくる方法を知っているのだそうです。
しかし、そうはいっても、心は常に外界に影響を受けます。金メダルへの周囲の期待、ライバルの高得点、過去の失敗を思い出す・・。楽しんでプレーをしようと思っても、いろんなことが起こってくるので心はすぐに乱されます。そんな場面で、選手たちはどうやって心を整えているのでしょうか。
辻先生は、まず、なぜ心が乱されるのかを教えるそうです。
心が乱されるのは、外界の出来事に対して自分の脳が意味付けをして、そこに囚われるから心が乱れる。例えば朝起きたら雨が降っていた。「雨は嫌だな」と思うと憂鬱になりますが、雨に「憂鬱な雨」という雨はなく、自分がそう勝手に意味付けをするから憂鬱になる。まず、すぐに意味付けをする脳の仕組みを知ることからメンタルトレーニングを始められます。
試合中、「後1分しかない、やばい」と意味付けをするから焦り、思うような力を発揮できなくなる。しかし、1分は1分。勝手な意味付けをして焦ってしまうことを知ると、落ち着いてくるそうです。
私たちの仕事でも、同じようなことがあります。
上司の言葉、数字の重圧、思わぬ出来事・・・外界の出来事にいつも心が乱され、焦ったり、不安になり、ついイライラとした気持ちで仕事をする。そうするといい仕事が出来ない。そして、また人のせいにし余計にイライラする。自分が不機嫌になるだけならいいのですが、その空気が周囲に広がり、周りの人も不機嫌になっていきます。
「自分の機嫌は自分でつくる」。周囲の影響に心をとらわれず、ご機嫌という心の状態を作り出すことは難しいことですが、いきいきと働く組織をつくっていく上でも、益々大切なスキルになってくるのではないでしょうか。
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働きがい・やりがいの向上
2022 年 03 月 08 日 10:27
自分に恥じない仕事
先日、何百年も前に建てられたお寺などの建築物などを修繕したり、建て直をする、宮大工の方のお話を読みました。古い建物は一度すべて解体し、傷んだ部分を直し、できるだけその古材を利用して建て直すのですが、解体してみると、外から見えない部分が見えてきて、当時、この建物を建てた大工さんの技術が見えてくるそうです。
外側から、見えないところにこそ手寧な仕事が施されているそのきめ細やかな技術を見ると、「自分に恥じない仕事をしよう」という当時の大工さんの心が伝わってくる、解体に携わった宮大工さんは、その当時の職人さんの誇りや仕事への姿勢に、とても感動されていました。
裏側の部分だから、もし手を抜いても誰も見ていない。怒られることはない。しかし、それでよしとするかどうか、決めるのは自分です。しかし、いちばん見ているのは自分。
もし、手を抜いてしまったら、その人はその建物を通る度に胸が痛くなるかもしれません。その前に立てなくなるかもしれません。
出来上がったお寺の前に立って、誇れる自分でいたい。きっと、それがその職人たちの想いだったのではないでしょうか。仕事の判断基準は、自分の「良心」です。
翻って今の自分の仕事はどうか。
本当はもう一度やり直した方がよいものができるのに、安易に妥協していないか。
早く納めることばかりに意識がいって、品質を下げていないか。
仕事の質は、追求すればするほど、さらに上が見えてきて、なかなか100点が見えてきません。
納期、予算、スピード、全体の生産性・・・いい仕事の前にはいろんな壁があり、どこかで妥協しなければならない。しかし、数百年前の大工さんの時代でも、もしかするといろんな制約があったのではないか。しかし、彼らは、その厳しい制約の中でも、自分に恥じない仕事をしようと闘っておられたに違いありません。
どこまでいい仕事をやり抜くか。自分の良心に誇れる仕事をしていきたいです。
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経営理念の浸透・共感
2022 年 03 月 01 日 16:15
お客様は「安い価格」を求めていない
「お客様は安い価格を求めているのではない、価格以上の価値を求めているのだ」
これはコンビニの父と言われる、セブンアンドアイ・ホールディングスの鈴木敏文さんの言葉です。
あたりまえのような言葉ですが、我々は安さに敏感です。だからつい、お客様も「安さ」を求めている、だから、価格を下げなければという感覚になってしまいます。この発想から、いろんな業界で価格競争が起こっています。
ガソリンスタンドの業界も価格競争がずっと続く厳しい業界です。今、ほとんどがセルフ業態。同じ機械、同じような店が価格を競い合っています。安いガソリンは確かに消費者は嬉しい。しかし、売り手は利益を削ることになります。やればやるほど人件費や無駄なサービスを削って利益を出さなければなりません。無人化、セルフ化・・・人を介在しない業態がどんどん広がっています。しかし、それもそろそろ到達点。どこも同じようなお店になり、消費者は違いがわかりません。だから、また価格競争が起こる。
今はまだガソリン車が走っているから成り立っていますが、カーボンニュートラルの時代の中で電気自動車や水素自動車が増えてくれば、給油する人は減り、もっと競争が激化する。どれぐらいの店が生き残れるのでしょうか。
先日、良い経営を勉強されているある地方のガソリンスタンドを訪問する機会がありました。そこは、従業員は3人だけ、経営者も前線で働いている小さなお店です。近くにはライバル店が何軒もある厳しい環境ですが、なぜか、お店にはひっきりなしにお客様が来店されていました。他店と同じセルフ型の店ですが、スタッフは洗車やオイル交換に忙しく働き、お客様が車を降りて、スタッフと会話する姿も見られます。
特別に価格が安い訳ではないこの店の人気の理由は何でしょうか?常連のお客様に「なぜ、この店を選んでいるのですか?」と理由を聞いてみると、こんな話をされました。
「もちろん安いお店はいろいろありますよ。でも、この店はスタッフがいい。気さくに話せるし、ちょっとしたことでも相談に乗ってくれる。どうせ給油するなら、気持ちいいスタッフがいるところで入れたいじゃないですか」
このお客様が求めていたのは、価格ではなくスタッフの対応の良さでした。もちろん世の中にこんなお客様は少ないのかもしれません。しかし、価格以上の価値を感じれば、お客様は来てくれる。
この店の社長は給油する車とお客様の顔を見ただけで、ほとんどのお客様の名前を覚えておられます。そして働くスタッフも車の知識が豊富で、お客様から頼りにされているようでした。
お客様は「安い価格」を求めているじゃない、「価格以上の価値」を求めている。
どの業界も同じことかもしれませんね。
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「いい会社」が実践する理念経営
2022 年 02 月 24 日 14:08
ロコ・ソラーレに学ぶ心理的安全性の高いチーム
心理的安全性とは、上司や仲間に対して、率直に意見が言えたり、素朴な質問ができたり、いつでも誰でも気兼ねなく発言できるということです。これまでは「正解がわかっていた時代」。上のいうことを素直に実行していれば成果が上がった時代でしたが、誰も正解がわからないこれからの変化の時代には、いい成果を生み出すためにチーム内でメンバー意見を出し合い、創意工夫していく必要があるため、余計に、この心理的安全性が求められているだと言われています。さらに最近の調査研究では、心理的安全性の高いチームは収益性が高く、離職率も低いという結果も出ています。
心理的安全性が高いチームとはどんなチームなのか。北京オリンピックを見ていると、ある有名なチームの記事が目に留まりました。それは、銀メダルと獲ったカーリング女子チーム「ロコ・ソラーレ」です。前回のオリンピックもそうでしたが、みんなが笑顔でのびのびとプレーに向かっている様子は、多くの方が感動されたと思います。
でも、どうやったら、あのような大舞台で笑顔でいられるのか?私も不思議に思っていました。
その記事では、こんなことが書かれていました。
「ロコ・ソラーレの強さは、弱さをさらけ出せるところにある。」
このチームは、以前から「弱さの情報公開」を大事にしているそうです。サードの吉田知那美さんは、チームのことをこう説明します。「弱さの情報公開をする。お互い、余裕のある人がない人を助けていく」。
例えば、9月の北海道銀行との代表決定戦。連敗を喫して崖っぷちに追い込まれた後、スキップの藤澤五月さんは責任を背負い込んで、泣き崩れてしまいました。そんな時にチームメートはこんな風に声をかけます。
「それでいい」「緊張してもいい」「前日、寝られなくてもいい」
そうした声に藤澤さんは、自分のショットを取り戻し、3連勝で五輪最終予選へ駒を進めたそうです。「みんなが受け入れてくれるのがありがたい。かっこつけなくていい」。アイスの状況把握に苦しんだ最終予選。ロコはそれぞれが支え合い、夢の切符をつかんだのだそうです。
「弱さ」を出し合って、それを認めるチームの風土。だから、何でも言えるのでしょう。弱音も吐いていいとう空気だからこそ、安心して前に進めるのかもしれません。
カーリングの試合では選手同士のコミュニケーションが中継されますが、大事な局面、局面で、どうすればいいかをお互いが遠慮なく意見を出し合い、みんなで決め協力していく姿勢は、ビジネスのチームづくりでもお手本にしたいなと思いました。
そして、何よりも学びたいのが、プレーを楽しむ姿勢。結果を出そうとシリアスになるのではなく、自分らしく、カーリングを楽しもうとしているからこそ、素晴らしい力が出る。今回のオリンピックもそうでしたが、仕事でも何でも、やはり最後は、その競技や仕事を愛し、それを楽しむ人たちがよい成果を出していくのかもしれません。何でも言い合え、一人ひとりが自分らしく楽しく働ける組織。これが理想ですね。
余談ですが、藤澤選手は毎試合、自分手に、その日のメッセージを書くそうですが、スイス戦の時に次のようなメッセージを書いておられたそうです。
「BE SATSUKI ENJOY」(さつきらしく、楽しもう
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 02 月 15 日 14:03
他人(ひと)に好かれる人になる
顧客満足や社員満足の高い会社として全国に知られる美容室バグジーでは、新入社員は初任給をもらったら、これまで育ててもらった感謝をこめて親に何かをプレゼントをし、その体験をレポートに書いてくるという決まりがあります。初任給の中に親孝行の手当がついてくるなんて、なかなか他ではされていないのではないでしょうか。
新入社員は、どんなことをすれば、親が喜んでくれるかと思いを巡らし、親が喜んでくれるだろうモノを買ったり、食事に連れていったりするのですが、ある新人はこれまで父親と関係が悪く、何を買ってあげたらいいか悩んでいました。そこで母親に相談すると、お父さんは「安全靴がいいのでは」と言われました。その子はそれまで安全靴がどんなものかわからなかったのですが、そこで初めてつま先に指を保護する機能が付いた靴だと知り、その時、「お父さんは、こんな危険な場所で働いてくれていたんだ」と、親が苦労して自分を育てくれたことに感謝の気持ちが湧いてきて、涙があふれてきたそうです。
なぜ、バグジーでは、こんなことをされているのでしょうか。代表の久保社長は、とにかく社員一人ひとりが人生を豊かに幸せに送ってほしいと思っています。そして、幸せな人生を送るために最も大事なことは何かと考えていった時に、成功するには「他人(ひと)に好かれる人になること」だと気づきました。お客様との関係においても、社員同士の関係においても、また親と子供の関係でも、社会生活の中でも、他人から好かれる人はすべてが上手くいきます。成功者はみんな人から慕われ、人が集まってきている人です。
では、他人に好かれる人になるためにどうすればいいのか。久保社長はその中でいちばん大事なのが「感謝の心」だと言います。感謝できる人は、お客様からも先輩からも好かれます。感謝できる人は謙虚になり、自分をもっと向上させていこうと思います。しかし、感謝の気持ちはその人の内側からしか湧いてこないもの。「感謝が大事だよ」といくら言葉で教えても、なかなか身につくものではありません。だから、バグジーでは、こんな「親孝行の体験」を通して、気づいてほしいと思っておられるのです。
他人に好かれる人になる。これは松下幸之助さんなど数々の著名人が「心の師」とされている中村天風さんもそのことの重要性を説かれていますが、確かに、どんなに知識があって頭が良くても、他人から好かれない人は成功できないのでしょう。ビジネスだけでなく、社会で幸せになるために、最も大切なことかもしれません。そう考えると、新入社員の時から、こんな「心のあり方」を教えてもらったり、体験させてもらえるということは、本当に素晴らしいことですね。
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DOIT! 「いい会社」が実践する理念経営
2022 年 02 月 08 日 17:56
「いらっしゃいませ」に変わる言葉とは?
先日、ある老舗の小売業で働くある友人が、Facebookで「お客様に声をかける時に、“いらっしゃいませ”という言わない接客を考えていた」と書いておられました。「いらっしゃいませ!」というと、お客様と自分の間に境界線を引いてしまうような気がしてしまう。もっと良い挨拶や言葉はないかと、売り場の皆さんと話し合われたそうです。この投稿に限らず、この「いらっしゃいませ」の言葉の非是は、いろいろと話題になっているようです。
確かに、昔から、小売業では「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」「かしこまりました」「恐れ入ります」「お待たせいたしました」などの大事な言葉を、接客8大用語として毎朝唱和をしたり、新人教育の中で教えています。どれも、商売をしていく上で大事な言葉ですし、しっかり徹底されているお店は、マナーも良いし、お客様の評価も高いと私も感じます。ただ、先ほどもご紹介したように、今、小売業で働く人の中には、これらの定番言葉に、違和感を覚える人もいます。昔は商人は客より一歩引いて、客を立てるという慣習がありました。しかし、お客様の数が少なくなり、ますますファンづくりが大事になっているこの時代、顧客との関係も変わっているはず。「接客用語」はこのままでいいのでしょうか。
私自身は、初めて入るお店で「いらっしゃいませ」と言われても、今はあまり違和感はありません。しかし、業種にもよりますが、何度も通っている店で、店員さんの名前もわかり、親しくさせてもらっているお店では、もしかすると、「いらっしゃいませ」ではない方が心地よいかもしれません。「〇〇さん、お久しぶりです。」「お元気でしたか?」という声がけのほうが、こちらも安心しますし、印象に残りそうです。
帰りの挨拶も、「ありがとうございました。」が定番ですが、親しい関係では少しよそよそしい感じもします。美容室など、行きつけのお店では、「気をつけてお帰りくださいね。」「お仕事頑張ってください」「いってらっしゃい」などと声をかけてもらえますが、その方が自然な気がします。
お店の業種やサービスの形態にもよるでしょうし、お客様との関係性によって変わるのかもしれませんが、確かにいつまでも「いらっしゃいませ」では、境界線は消えないのかもしれません。
ネットで何でも買える時代になってくると、きっとこれからは、もっとお客様と販売員さんの心の距離が近く、と売り手・買い手の関係を超えて、気軽に何でも相談できる人が求められていくように思います。お客様にどう声をかけていくかを考えるということは、お客様とどんな関係を築こうとしているのかということかもしれませんね。
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これからの時代の経営のあり方
2022 年 02 月 01 日 14:13
見えないものの大切さ
昔から、「見えないものが大切」だと言われます。
年収、住居、所有しているもの・・・見えるもの
性格、命、心、幸せ、信念、情熱・・・見えないもの
会社という組織も同じかもしれません。数字に表せないものの方が大事な気がします。
例えば、組織の規模は人数や支店数で表すことができますが、その会社で働く人がどれだけ幸せを感じているか、働きがいを感じて楽しく働いているかなどは見えません。経営理念は言葉として見ることができますが、その理念への経営者がどれだけ情熱をもっているか、社員がどれだけ共感しているかまでは見えません。
会社という組織を考えた時に、働く人同士の「つながり」も、そんな目に見えない、大切なもののひとつではないでしょうか。人間にとっていちばん辛いのは、たくさんの人がいるのに誰からも相手にされなかったたり、無視されることだと思います。一緒に働いているのに一言も会話もない職場、相談する人も、心配する人もいない職場では、安心して働けません。
そうではなく、先輩が後輩を気にして声をかける。後輩も先輩のことを思いやる。同僚同士の間でも、お互いが関心を持ち、励ましあったり、心配したり、協力する。そんな「つながり」や「一体感」が増えていけば、メンタルがおかしくなることもないでしょうし、仕事のパフォーマンスも上がっていくに違いありません。
そんなことを考えている時に、先日、ある会社のイベントに参加させていただきました。その日は全社員が集まる勉強会があるのですが、みんな朝早くから、昼に食べるカレーの準備を行い、午前の勉強会が終わったら、みんなでそのカレーを食べ、また勉強会をするというプログラムです。
その作る工程が実に楽しそうでした。先輩も後輩も関係なく、みんなでカレーを作っていきます。冗談を言い合ってみたり、鍋奉行のような人が出てたり、みんなが和気あいあいと協力し合っています。そんな様子を拝見しながら、改めてこういう仕事以外の場が組織にとって大切だったんだなあと感じていました。
「見えないもの」は見ようとしないと見えないものだと思います。
冬の空は空気が澄んで星がきれいに見えますが、心に余裕ない人や関心がない人はただの夜空。
その人が大事だと思えば見えてくる。大事じゃないと思えば見えなくなる。
何を大事にしていくか。そこが問われているのかもしれません。
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「いい会社」が実践する理念経営
2022 年 01 月 25 日 16:38
顧客感動の上には何がある?
「顧客満足」という概念は、1980年代にアメリカで言われ始めたそうです。だんだんと社会が豊かになり、モノが売れなくなってきて、それまでは生産者主導であった商品の質や方向をもっと顧客の要望を聞いて作った方が良いということから、この「顧客満足」という考え方が生まれました。
確かに、昔の製品は使い勝手が悪かったり、すぐに壊れてしまったり、「不満」もたくさんあったので「満足」させる商品はあっという間にヒットしたに違いありません。しかし、今の時代はどの企業もお客様の声を聞き、お客様の方向を向いて商売をされているので、以前より不満を感じることがありません。サービス業も同じで昔のような「嫌な応対」に合うことの方が稀。つまり、「満足すること」はあたりまえの世の中で、消費者にとっては幸せな時代、しかし、それ以上のものを生み出せないと差別化にならない、企業にとって本当に大変な時代になってきています。
良く言われるのは、満足の上は「感動」です。期待していたことよりも素晴らしい商品やサービスに出会った時に「感動」が生まれると言います。「こんなことまでしてくれるの?期待以上だ!」というのが感動。いいサービスを受けると嬉しくなります。多くの企業は、今、この感動をみんなが目指していこうとしているのですが、もし、どの会社もレベルが高まり、感動がまた当たり前になってしまうとどうなるのでしょうか。
感動の上。私は、利用するお客様が「感謝」しているお店や会社が目に浮かびます。例えば、もしお店だとすれば、そこは、いつ行っても、誰にでも皆が親切で、お客様である自分のことを大切にしてくれて、高い技術や知識でどんなことにも応えてくれる頼れる存在。そこを利用するお客様は、いつも料金以上のもの受け取っていると感じているので、嬉しいという気持ちより、むしろ「ありがたい」という気持ちになっている。
以前、川越胃腸病院を取材した時、インタビューするお客様のほとんどが、病院への感謝を口にされていましたが、満足や感動が積み重ねると感謝の気持ちが生まれてくるのではないでしょうか。
このようなレベルになると、絶対に他のところに行くはずがありません。まさに生涯顧客です。全員が足並みを揃えなければいけませんし、技術もサービスも高いレベルでなければいけませんし、人間力が高まっていなければ、こうはなりません。
なかなか難しいことではありますが、お店もお客様に感謝し、お客様も感謝するこんな関係は、素晴らしいなと思います。
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DOIT! お客様満足・感動の向上
2022 年 01 月 18 日 13:40
既にあるものに気づく
昨日、私も企画委員として運営側として参加している「ホワイト企業大賞」の表彰式と「ホワイト企業フェスタ2022」というイベントがあり、その中で、藤田一照さんというお坊さんのお話を聞く時間がありました。藤田さんはアメリカでフェイスブックやスターバックスなどの会社で座禅を指導する有名な方ですが、直接お話を聞くのは初めてでした。
藤田さんはこんなお話からはじめられました。
「私たちはつい、自分の外側に正解を求めてしまいがち。病気になれば医者に頼り、何か困れば専門家を頼る。しかし、実は自分の中にできることがたくさんある。出来ないことがあると、つい、自分に“足りないものがあるからだ”と考えてしまうが、それは自分を過小評価しすぎ。」
「自分の中に既にあるもの、既に持っているものがたくさんあるのに、外ばかり見ているから、それに気づかない。回光返照という言葉は、外に向かう光を自分にあて直すという意味。自分を知り、自分を信頼することが大事だ。」
自分には既に多くのものを持っていることを知る。自分をもっと信頼する。
頭では理解することはできるのですが、それだけではダメだそうです。それを理解するために、その後に座禅の指導を受けました。
ゆっくりと自分の足や身体に意識を向け、呼吸をしていると、入ってくる新鮮な空気を感じたり、自分を支える足や背骨の存在や大地の存在に気づいたり、空気を吸う身体を感じたり、そこに自分がいることを実感しました。体がホカホカし、だんだんと満ち足りた気分になっていきました。
私たちは穏やかに生きたいと思っていても、つい焦ったり、イライラしてしまいます。それは「まだ足りない」と思ってしまう癖から来ているのかもしれません。もっと、意識的に、自分の中にあるもの、既にもっているものに光を当ててみる必要があるのでしょう。
「企業も拡大を目指すのは足りないと感じるから。そうではなく、今あるもの、自分のリソースを信頼して全力で向かっていけば、自然と人が集まり、発展していくのではないでしょうか。小欲知足の経済は成り立つはず」と仰っておられましたが、そのお話を聞いて、業績を目標に置かず、お客様に喜ばれることを一生懸命に行う、これまで取材したいい会社のことが頭に浮かんできました。
拡大でない、充実や真の豊かさを取り戻す新しい時代がきているのかもしれません。
「ホワイト企業大賞」http://whitecompany.jp/
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素晴らしい組織風土づくり
2022 年 01 月 12 日 13:34
人生お一人様一回限り
人生をかけるだけの価値のある情熱をもって取り組める仕事。
そんな仕事に出会った人は、困難や苦労はあったとしても、毎日が充実感であふれ、きっと幸せな毎日を過ごしておられるのではないでしょうか。
15歳の時に、自分の人生をかける仕事に出会い、それ以来、死ぬまでひとつの仕事に情熱を傾け、真っ直ぐに生きてこられた方が、先日、交通事故で亡くなられてしまいました。
その人は、越智直正さん。
「靴下屋」「tabio」のブランドで有名なタビオの会長です。靴下一筋およそ70年。丁稚奉公から28歳で会社を興し、今では国内に300店、海外にもお店を出店するほどの企業に成長しています。
私どもも、以前、DOIT!シリーズで取材をさせていただきましたが、私はそれ以前からお付き合いがあり、どんな時も明るく、どんな時も一生懸命なお人柄に惹かれ、心の師として仰いでおりました。
越智会長の人生は、本物のいい靴下を作り、お客様に喜んでもらう。この一点にありました。海外の安い靴下に日本の靴下産業は衰退していく中で、「業界の良心たれ」「良品を適正価格で」「正義とともに発展する」という理想を掲げ、本物の靴下を世の中に広げてこられた方です。
越智さん曰く、良い靴下というのは、履いた時にわかるそうです。靴下を履いているとその感覚が残ってしまう。だから、越智さんは毎日裸足で、サンダル履きで暮らし、出来上がった靴下を自分の皮膚感覚で試し続けておられました。また、いい靴下は「噛んでみたらわかる」とも言われていました。新品の靴下にそっと歯を当て、しばらく噛み続ける。そして、離した時に歯型が残らず、復元してくるのが良い靴下だと教えていただきました。
裸足でサンダル履きの経営者が、靴下を噛んでいる様子をみて、最初はびっくりしましたが、越智さんにとっては、他人にどう映ろうが関係ないことで、とにかくいい靴下を作りたいという思いを持ち続けた方でした。
DOIT!の取材の時に、「しかし、何年やっても、これや!っていう、いい靴下はできんのですわ。だからこんなわしでも何十年も続けてこられたんだ思います。」と言われたましたが、「これでもか」「これでもか」と自分の理想に向かってチャレンジし続ける越智会長の生き様は本当にまぶしく、私の憧れになりました。
「あんた、そんなところで止まっていてええんか?」。
そんな言葉は実際にはいただいていませんが、何か自分が悩んでいる時に、いつも越智さんから言われているような気がしていました。
越智会長は、以前、講演でこんなことを言われたそうです。
「わしが死んだとき、火葬場で何も残らんと思う。毎日完全燃焼しているから」
まさに、そんな人生を送ってくられた方でした。
「人生お一人様一回限り。情熱をもって生きよ」
越智さんからいただいたこの言葉をかみしめながら、自分も仕事に全力投球していきたいと思います。
思いがけない事故。本当に悔しい思いでいっぱいです。謹んでお悔やみ申し上げます。
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DOIT! 「いい会社」が実践する理念経営
2022 年 01 月 06 日 14:17
新しいことに挑戦する年
新年、明けましておめでとうございます。
旧年中はひとかたならぬ御高配にあずかり厚く御礼申し上げます。
本年も皆さまのお役に立てるよう、精一杯努力して参りますので、引き続きよろしくお願いいたします。
さて、今年は、寅年です。
「寅」とは、方角においては東北東、時刻では午前3〜5時を指す漢字です。寅とは、すなわち動物の「虎」を表しています。虎というと、大きな身体と鋭い牙、勇敢さや力強さを感じる動物です。
では寅年とはどのような年なのでしょうか?過去の寅年には、バブル経済の始まりや、人類初の有人衛星が達成されたり、世界初の女性宇宙飛行士が誕生したり、寅年には、「初」や「真」という文字がつくような出来事が多くあったと言われています。つまり、寅年は新しいものが生まれる年。今年も、新しい何かが始まるかもしれませんし、新しいことに挑戦する人にとっては、最高の一年になると思います。
また、2022年は、60年周期で訪れる「壬寅(みずのえとら)」にあたる年とされています。「壬(みずのえ)」とは、ゆったりカーブを描きながら流れる大河を表しています。
加えて「決断」の意をもつ「寅」が合わさった2022年は、安定性や落ち着きをもちながらも、はっきりと決断できる年と言われています。つまり、心にゆとりをもち、おおらかに物事を見定めることができる一年になるそうです。
コロナがどうなるか、まだまだ予断は許しませんが、ますます誰も正解がわからない時代になっていくことは間違いありません。
そんな時こそ、お客様の心に寄り添い、お客様の期待を超える商品やサービスを生み出していかなければなりません。失敗を恐れずに、挑戦していく企業だけが生き残っていく時代なのだと思います。
そんな時代の中で、私たちブロックスも、虎のような勇敢な心で挑戦を続け、お客様に喜ばれ、愛され続ける企業を目指してまいります。
今年も、本メルマガを始め、ブロックスの商品、セミナーをよろしくお願いいたします。
(株式会社ブロックス 代表 西川敬一)
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BLOCKS 思うこと
2021 年 12 月 28 日 09:45
一年を振り返る
クリスマスも終わり、いよいよ押しせまってまいりました。2021年、今年は皆さんにとって、どんな一年だったでしょうか?
忙しい日々を過ごしていると、なかなか振り返る時間が持てませんが、仕事を処理するだけの毎日、タスクをこなすだけの毎日では、疲れてしまいます。
日報や日記などで一日の振り返りをされている方も多いと思いますが、一年の節目に、自分のやってきたことをじっくりと振り返ることは、意外と大事なことだと思います。
振り返りの仕方はいろいろとあるようですが、やはり、具体的に書き出してみることが良いと言われています。例えば、「今年、達成できたこと」を書き出してみる。仕事のこと、趣味のこと、あるいは「〇〇さんと会うことができた」という人間関係のこと、年始の目標にしていなかったことでも、自分が達成したと思うことを書き出すと、意外と頑張っている自分に気が付きます。最近はスマートウォッチとの連動で、スマホで歩いた距離、走った距離なども記録できます。そうした記録も書き出して来年と比較してみるといいかもしれません。
「今年、いちばん心に残ったこと」はいかがでしょうか?
嬉しかったこと、感動したこと、大変だったこと、苦しかったこと。何が心に残っているでしょうか。自分の感情が震えたことを書き出してみると、「自分が大切にしたいこと」が見えてきます。
「今年、変化したこと」、「達成できなかったこと」、「やり残したこと」、「来年、やりたいこと」など、いろんな項目で振り返ってみることで、いろんな気づきがあるはずです。ポイントは、「反省だけに終わらないこと」だそうです。反省は大事ですが、「これもできなかった、あれも出来なかった」と悔やんでも意味がありません。自分が生み出した「成果」を書き出してみることで、ポジティブになり、本当にやりたいことが見えてくることもあります。
少しの時間とノートが1冊あれば、どこでもできるのが、振り返りの良さ。時間が取れる、この年末年始はいいタイミングではないでしょうか。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 12 月 21 日 09:34
仕事をつまらなくする方法、面白くする方法
私たちは、常々「仕事を楽しく、面白く」というような前向きなことをばかりを考えていますが、今回は逆説的に、どうすれば、仕事が面白くなくなるか、つまらなくする方法を考えてみました。
・工夫をしない、改善もしない。ただひたすら言われたやり方でやる。
・感情を抑え、無機質に仕事をこなす。
・職場の仲間と無駄な会話をしない。ひたすらタスクをこなす。
・指示通りに仕事をする。
・笑顔が必要な場合には、無理に笑顔をつくり、その場を乗りきる
書いているうちに、気がめいりそうになりそうになります。後ろ向きなことを書いたら、やはり後ろ向きにしかならないですね(笑)。
上記の共通点は、人間性をなくすこと。ロボットのように働いていけば、誰でも仕事は面白くなくなることがわかります。しかし、怖いのは、仕事が忙しくなると、ついこのようなことになってしまう可能性があるところ。
だからこそ、どうずれば、もっと良くできるか、どうすればもっと目的に近づけるかと、考えや創造性を発揮したり、悔しさや嬉しさの感情も味わいながら、働いていかないと現状に飲まれてしまうのかもしれません。
話は変わりますが、先日、社員が内発的動機で動く組織づくりで有名な「ネッツトヨタ南国」さんが年に一度開催する「感謝祭」というイベントの動画を見る機会がありました。これは同社のイベントの姿勢に感動したお客様が作られた動画なのですが、そこには、上記と真逆の人たちの働く姿が映っています。
どうすれば、お客様を喜ばせるかを、みんなが考え、一人ひとりが心をこめておもてなしをし、状況に合わせて自分が何をすればいいかを考え、自分から行動する。指示命令を出す人は一人もいません。嫌々やっているような姿もどこにもありません。人がいきいきと幸せに働き、それにお客様が感動し、つながりが生まれ、商品が売れていく・・・そんな様子を見ると、ますます、「本来、会社はこうあるべきだ」という気持ちが強くなります。
人間にとって、いちばん大切なものをいちばん大切にする組織づくり。
来年もいきいき働く人や組織を応援していきます。
追伸
ネッツトヨタ南国様の動画はこちらからご覧いただけます。
https://www.facebook.com/keiichi.nishikawa.9/posts/4707246212690638
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メルマガコラム 思うこと 素晴らしい会社
2021 年 12 月 14 日 10:40
未来という会社の新入社員
今年も残すところあと少し。
コロナで始まり、コロナで終わった一年でしたね。
最初の頃、みんなが戸惑っていたテレワークやオンライン会議も「あたりまえ」になり、生活面でも「マスクをする」「手を消毒する」などの新しい習慣も気が付けば普通になっています。家で過ごすことの大切さも感じた人も多く、働くばかりが人生じゃない、もっといろんなことを楽しもうと新しい趣味を始められた方も多かったようです。確かにこのコロナ禍で私たちはダメージを受けましたがが、その中で見つけたこと気づいたこともたくさんあって、必ずしも悪いことばかりの一年ではなかったのかもしれません。
私たちも、コロナ禍の昨年9月からオンラインの経営セミナー「未来×幸せ経営フォーラム」をスタートしましたが、東京でライブ開催していたセミナーと比べると、より全国各地からの参加者が多くなりましたし、経営者だけでなく次世代のリーダー候補の方も参加されるなど、その幅も広がっています。
「想いが伝わりにくい」というオンラインのデメリットも感じていましたが、それでも双方向の学習スタイルを取り入れたり、インタビュー形式で講師の想いを引き出したり、工夫をすれば、伝わり方がかわることもわかってきました。
また、講演を聞いた後、数名のグループに分かれて対話するというブレイクアウトセッションも、「数百人が集まる会議でうまくいくのか」と不安いっぱいの中でやってみたら、案の定、トラブル発生。皆さんにご迷惑をおかけしながらも、改善することができました。
やってみてみないとわからないことだらけ。第1回、第2回、第3回と回を重ねながら少しずつ進化させていきました。
皆さんの会社でも、同じような挑戦、失敗、反省、改善がいっぱい起こった一年だったのではないでしょうか?
私たちは、今、急速に来た「未来」に慣れていないだけで、その歩き方がまだ身についていなかっただけなのではないかと思います。未来という会社に配属された新入社員のようなもの。その会社には、教えてくれる先輩もマニュアルがない。新人だから当然、失敗もする。でもその失敗が次のヒントになる。一人ひとりが行動を起こして試してみながら進むしかありません。
考えてみれば、これは新しいスタイルではなく、挑戦者の基本なのでしょう。ジャングルの奥地を切りひらいてきた私たちの祖先も、宇宙開発に取り組んできた科学者たちも、世の中にない市場を切り開いてきた先輩の起業家たちも、きっとこんな歩き方をしてきたに違いありません。
当時、高級品で一部の人しか乗れない自動車を、大衆のための乗り物にすると宣言して、それを実現されたヘンリー・フォードさん(フォード・モータースの創業者)は、こんな言葉を残しています。
「できると思えば可能だ。できないと思えば不可能だ」
シンプルな言葉ですが、今年を振り返ってみれば、腹に落ちます。
まだまだ、困難な時代が続きますが、この言葉を思い出し、来年も挑戦の年にしていきたいですね。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 12 月 08 日 14:18
ヒーロー・インタビュー
社員研修のアイスブレイク・ワークのひとつに、「ヒーロー・インタビュー」というものがあります。
正式なやり方はわかりませんが、プロ野球やテニスの試合後に行われるあのヒーロー・インタビューのように、インタビューをする人と受ける人に分かれて、その人の活躍をインタビューするというものです。
先日、あるチームで、このヒーロー・インタビューのワークに取り組んでいただきました。一年が終わろうとするこの時期に、それぞれの人がどんな活躍、成長、努力をしたか、チームに分かれ、インタビューをし合うというプログラムです。ヒーロー役は1名、インタビューするのは1名~数名です。
「今年は、コロナで大変な一年でしたね。あなたにとって、どんな一年でしたか?」
「いちばん自分が成長したと思うことは何ですか?」
「そのために、どんな努力をされてこられたのですか?」
「来年は、どんなことに挑戦していくつもりですか?」
記者が質問するように、その人の活躍の背景をどんどん質問していきます。最初は気恥ずかしさもあり、なかなかうまくはいきません。質問例がないと、何を聞いていいかわからない人もいますが、だんだんと慣れてきます。
こんなことをしてどんな意味があるのかと思われる方もおられるかもしれませんが、ヒーローの立場になってみると、仲間から質問され、自分の一年を振り返り、自分の努力や成果が明確になっていくので、頑張った自分を誇らしく感じるようになり、終わった後は爽快な気分になります。誰もが笑顔になります。
インタビューする側も、仲間の知らない面に触れることができ、「がんばっているのは自分だけじゃないんだ」と、仲間への感謝や尊敬の心も生まれてくるようです。特に、今年は、仲間同士で飲食をする機会も少なくなり、リモートワークで仲間の働き方がわかりにくくなっていますから、こういう機会はいつもの年以上に大切なのかもしれません。
喜びはわかちあうと増え、悲しみはわかりあうと減るということを聞いたことがあります。多く人が、今年一年苦労の多い激動の一年だったのではないでしょうか。この年末、社内や部内で、お互いの今年の活躍を話し合ってみるというのはいかがでしょうか?
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メルマガコラム 勉強会
2021 年 11 月 30 日 14:49
組織の一体感を取り戻す
まだ安心はできませんが、少しずつ規制が緩和され、飲み会や旅行、飲食が増えています。
楽しそうに食事をしている人や、旅行されている人を見ると、みんな笑顔です。
こうした笑顔を見ていると、人はやっぱり人と交わって、つながっていくことが安心になったり、活力になっていくのだなあと、つくづく感じます。
会社も同じで、リモートワークは確かに効率的で通勤の負担も軽減される素晴らしい発明だと思いますが、まわりの人のお話を聞いても、ずっと一人で働くのは孤独で、やはり限界があったのかもしれません。もちろんオンライン会議はこれからも発展していくと思いますが、重要な話やアイディアを出し合うには、やはり人が合って話し合うことがいちばん大事なのだと感じました。
そんなことを考えていた時、ある会社が3年ぶりに、全国の幹部が本社に集まるイベントを開催されました。このコロナ禍で失われてしまった組織の一体感を取り戻りたい、みんなを元気にしたいという経営者の思いから、実現したものですが、そのプログラムづくりや運営を、ブロックスがお手伝いさせていただきました。
テーマは「経営理念」ということで最初は皆さん緊張気味ですが、しばらく話をしていると、どんどん話が盛り上がり、悩みを相談し合い、自分達で答えを見つけておられます。みんな同じことに悩んでいたんだ、みんな同じ思いだったんだ、理念を実践するってこういうことなんだと気づいていく・・・。仲間同士だから本音の語り合いが生まれます。最後は、お互いにエールを送り合って、笑顔になって帰っていかれました。
「ただ話し合うことが、どんな成果に結びつくのか?」と最初のうち、半信半疑だった人たちも、社員の皆さんがみるみる元気になる様子を見て、こうした一見、非効率に見える場の大切さがわかってこられたようです。「対話」には、理屈では説明できない効果があるようです。
孤立化し一体感がなくなった組織では、やはり相乗効果が生まれません。「こんなにいい仲間と働けている」という実感がやる気につながり、前向きな行動を生み出していくのでしょう。
そして、組織の一体感を取り戻すのは、やはり全員が一同に会して行う「対話」がいちばん。いろんな場所で対話の場を設け、コロナ禍で失ってしまったものを、早くで取り戻していきたいですね。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 11 月 24 日 14:27
カレーハウスCoCo壱番屋の強さの理由
皆さんはカレーは好きですか。
私も大好きな食べ物のひとつで、週に2回は食べています。
そんな国民食とまで言われるカレーの世界で日本一の店舗数を誇るのが「カレーハウスCoCo壱番屋」。
創業者は宗次徳二さんと妻の直美さん。
1974年、全くの素人である二人で始めた喫茶店がスタートでした。
元々不動産業を営んでいた宗次さん。喫茶店は初めてでした。
その店は主要道路から大きく外れた悪立地でしたが、だからこそ、心のこもった接客でお客様をお迎えしようと一生懸命におもてなしをしました。宗次さんはここで飲食業の面白に夢中になり、次々と工夫をしていきました。通りがかりの人は入るようなお店でなかったのですが、常連客から口コミが広がり、2~3年で大繁盛店になります。
その店で出していたカレーが美味しいと評判になり、よし、カレーの専門店を出してみようと出店したのが「カレーハウスCoCo壱番屋」1号店。出店前には全国のいろんなお店のカレーを食べ歩いたそうですが、奥さんが作る自分の店の家庭的なカレーの味がいちばん美味しいと自信をもったところから、「ここがいちばん」→「CoCo壱番屋」という名前を付けられたそうです。
しかし、このお店も悪立地からのスタート。喫茶店時代もそうだったように、こんな立地に悪い場所に、わざわざ来てくれたことに感謝し、笑顔でお迎えしよう、心をこめてお見送りをしようと、接客に力を入れました。それが、壱番屋の社是になっている「ニコニコ・キビキビ・ハキハキ」の原点です。
それから、どんどんと店が増え、フランチャイズを出していく訳ですが、数ある同業者の中で、なぜ、カレーハウスCoCo壱番屋だけが成功を収めたのでしょうか。
宗次さんが大事にされてきたのは3つ姿勢。現場主義とお客様第一主義、そして率先垂範でした。とにかく現場に出て、お客様が食べ終えた皿を見たり、お客様の声を聞き、もっとよくできないか、もっと喜んでもらえないか不努力、工夫を重ね続けてこられたのです。
普通の経営者は、ある程度お店が軌道にのると、現場に出なくなってしまう人が多いそうです。そして、だんだんお客様や社員のことが見えなくなり、改善をしなくなります。そしていつの間にか衰退していく。だから、経営者はいつも現場に出ることが大事だと言われるのです。宗次さんは、常に現場に出て問題を改善し、お客様のアンケートも毎日3時間もかけて読んできたそうです。挨拶、早起き、掃除・・・あたりまえをしっかりと続けていくことも宗次流の経営です。
これからの時代は「先が見えない時代」と言われていますが、私は、同業者の動向に目を向けず、ただひたむきにお客様の声を聞き、そこから工夫改善をコツコツ積みあげててこられた宗次流の経営が、これからの時代の主流になっていくように思います。
来月12月2日、創業者の宗次徳二さんをゲストにお迎えし、「未来×幸せ経営フォーラム 第1回目セミナー」を開催します。(申し込み受付中)逆境に負けない経営のあり方、右肩あがりの経営のノウハウ、宗次さんの人生哲学まで、様々な角度から徹底的にお話を伺う予定です。
未来の経営をご一緒に考えてみませんか?
詳しくはこちらへ・・・
https://www.doit-fun.jp/blocksseminar/20211202_20220414
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DOIT! セミナー メルマガコラム
2021 年 11 月 16 日 17:06
ホスピタリティは心の交流
「ホスピタリティ」とはどんなことでしょうか。「ホスピタリティ」を日本語訳は「おもてなし」という方もおられますが、「おもてなし」は“客人を迎える”という場面が思い浮かぶので、私は何か範囲が狭い気がします。
例えば道端で、おばあさんが大きな荷物を抱えて困っていた時に手を差し伸べてあげることもホスピタリティでしょうし、熱を出して寝ているお母さんのために、小さな子供が道端で花を摘んで持って帰える行為も私は、ホスピタリティのような気がします。おもてなしより、もっと大きな範囲の概念で、日本語では思いやりの心、誠実さ、気配り、優しさ・・・という言葉になるのではないでしょうか。
以前、「ホスピタリティ」を学んでいた時に私の心に残ったのは、「ホスピタリティは心の交流」という言葉です。まず、「誰かが困っている」という状況にその人の心のセンサーが働く。そして「どうされたのだろう?」「何かしてあげられることはないか」と心を巡らせる。困っていた相手は、その人の思いや行為に嬉しくなり、感謝の気持ちがわいてくる。そして、また行為をしたほうも、その気持ちが伝わり嬉しくなる。心が相互に交流し合うことがホスピタリティ。まさに人間にしかできない素晴らしい世界だと思いました。
マニュアルサービスとホスピタリティを区別して説明される方もおられます。確かに、マニュアル通りにしているだけでは、心の交流は生まれません。でも、どんなマニュアル化されたサービスでも、そこに人が心を込めればホスピタリティの世界になるはずです。
例えば、「いらっしゃいませ、お席にご案内します」というお迎えの場面で、小さなお子様を連れたお客様だから「ゆっくり歩いてあげよう」と思うスタッフの気持ちはホスピタリティ。「今日は楽しんで帰ってね」と子どもに一言声をかけてあげるだけでも、無機質なマニュアルサービスが心の通うホスピタリティになります。
仕事はただの「作業」にもなるし、心の交流が生まれる「楽しい時間」にもなります。どうせ同じように働くなら、後者の世界で働いた方がメンタル面でも良さそうです。
最近の脳科学研究では、困っている人を助けるなどの行為をすると、脳内に「幸せホルモン」というオキシトシンが分泌され、助ける人も幸せになるということも実証されているそうです。
一人でも日々の仕事に「ホスピタリティ」を発揮していく人が増えれば、世界は楽しくなりますね。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 11 月 09 日 17:00
幸せの4つの因子といい会社づくり
慶應義塾大学の前野隆司教授をご存じでしょうか。
以前よりご縁があり、昨年、弊社が主催する「未来×幸せ経営フォーラム」にもご主演をいただきました。先日、その前野教授の「幸福経営学」についての講演を聞かせていただきました。
前野先生は元々機械工学の専門家だったのですが、2008年から統計解析を活かした「幸せ」の研究を開始。その当時は幸せの研究はなかなか理解されなかったそうですが、今では「幸福(正式にはWell-Being)」研究は、世界的に注目されるようになりました。
研究の結果、仕事と幸福の関係は徐々に解明されています。
例えば「幸せだ感じている人はそうでない人に比べて、生産性が31%高い。創造性は3倍高い」というデータ。また、「幸せな人の欠勤率は41%、離職率は59%も低い」などの、様々なデータが明らかになってきたからです。社員が幸せだと感じることが、会社の業績に影響することがわかってきたのです。
「幸せなんて人それぞれの感じ方なのでは?」と思われる人もいるかもしれません。しかし、多くの人にアンケート調査をして分析すると「幸せの共通点」も解明されています。そのひとつが、前野先生が発見した「幸福の4つの因子」。統計解析で見えてきたこの4因子が揃っている人は幸せを感じていると言います。
ひとつ目の因子は「やってみよう因子」(自己実現と成長の因子)。関連キーワードは、夢、目標、強み、成長、自己肯定感。簡単に言えば「やってみよう」「自ら、働きたい」という気持ちになっている人は幸福だということです。その反対は「やらされ感」「やりたくない」「やる気がない」。こういう人は幸せを感じていません。
2つ目の因子は「ありがとう因子」(つながりと感謝の因子)です。感謝、利他、許容、承認、信頼、尊敬、自己有用感。「ありがとう」と言ったり言われたり、他者とつながりを感じている人は幸せを感じている人。逆は孤独です。確かに独りぼっちは辛いですね。つまり、会社の中に「ありがとう」という言葉が通い合い、仲間が助けっている会社は幸せが多いということです。
3つ目は、「なんとかなる因子」(前向きと楽観の因子)。キーワードは、前向き、楽観性、自己受容。確かに「何とかなる」と前向きに楽観できることは幸せです。他人の欠点ではなく、良いところを認め合い、それを伸ばしていくのがポイント。「俺が責任を取るからやってみろ」と後押ししてくれる上司がいると、この因子が伸びるはず。
そして最後が、「ありのままに因子」(独立と自分らしさの因子)。独立、自分らしさ。人の目を気にせず、自分らしくいられていると感じている人は幸せです。多様性を受け入れてくれる職場、違いを認めてくれる職場は幸せが多い職場です。
問題は、この4つの因子をどのように高められるか? 例えば朝、仲間に合ったら「挨拶」をする。仲間の存在を「認め合う」。人の為に行動する。そして、何かをしてもらったら「ありがとう」と言うことも、「ありがとう」と言われることをすることも大事。また、誰かが何かにチャレンジしようとする時に、「やってみたら?」と励ましたり、応援する。どれも簡単なことばかりですが、こういう仲間がいる職場で働くことをイメージすると仕事が楽しくなるような気がしませんか?
昔は、収入や地位が上がったら後で「幸せ」になると、「今」を我慢して歯を食いしばって働いていました。しかし、大事なのは今が幸せかどうか。今、この瞬間に幸せを感じているからこそ、生産性も創造性も高くなり、業績も利益もあがる。目的は、お金ではありませんが、結果としてお金も手に入る。
「働く人たちが、今、この会社で働く幸せ」を高めていくことが、益々大事になっていくようです。
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メルマガコラム 素晴らしい会社
2021 年 11 月 02 日 15:06
伊那食品工業さんの朝掃除に思うこと
先日、ある経営者グループの皆さまをご案内し、伊那食品工業様を訪問させていただきました。
約3万坪の敷地の中に工場や本社社屋がありますが、そのほとんどが地域の人に開放しているガーデンです。ブランド名にちなんで「かんてんぱぱガーデン」と名付けられているその庭は、元々が松林。自然に生えている松の木を活かしながらも、古い木は撤去し、空いたところに植物を植えるなど、長年に渡って手入れをされてきました。
伊那食品工業では、業者に掃除を依頼されません。毎朝、その広い庭を、本社にいる200人くらいの社員で掃除をします。今の時期は紅葉の落ち葉がいっぱいですが、夏には草取り、冬には雪かきなど、かなりの作業です。
そんな庭掃除を、社員の人たちがいきいきと、まるで自分の庭の手入れのように取り組んでおられるが、見学者が驚かれるところです。今回も社員の皆さんに「掃除はどうですか?」と聞いてみると、皆さんが「楽しい」仰っていました。でも、なぜ、楽しくなるのでしょうか。
私も昔、大きな庭の掃除や草取りをずっとしていたことがありますが、草や落ち葉と向き合っていると、なぜか心が落ち着きます。同じ庭なのに、季節によって表情が違い、生えてくる雑草変わります。そんな変化に気づくことも楽しみです。そして、何より綺麗になった後を見ると嬉しくなります。
たぶん、庭掃除そのものに、そんな楽しさがあるのだろうと思いますが、伊那食品工業の皆さんは、これを会社の仲間と一緒にやっているところが違います。
この庭掃除にはもちろん上司も部下もありません。誰かからの指示命令も、ここをやれというルールもなく、それぞれが今、自分がすべきだと思ったことをするのです。これも楽しさのひとつだなと思います。
「今、何をやればいいのだろうか?」。自分で考えることは言われてやるより、何倍も面白いでしょう。また、全体を見て考えなければいけないので、広い視野も必要。それに、朝礼までに3万坪を綺麗にするのは、効率も重視されます。「いかに早くできるか」という脳も働かせなければならない。この庭掃除の中で人間の創造力や、工夫する心が全開となって、夢中になってしまうのではないでしょうか。
「この庭掃除は気づきの訓練だと思っています」と入社3年目の方が話してくれましたが、続けて掃除をしていることで、見えなかったことが見えるようになったり、わからなかったことがわかるようになったりする喜びも、きっとあるに違いありません。
こうした庭掃除で一日が始まる伊那食品工業さん。その職場には上下の壁も、部門の壁もありません。役員の人と新人が家族のように話す姿を見ていると、庭掃除という、ひとつのことをみんなでやる文化が、大きな影響を与えているように思いました。
社員旅行や運動会、バーベキューなど、最近は社内行事をする会社が少なくなりましたが、一見無駄なようにも見える、仕事以外の行事や体験の場で自然と上下や横の関係が密になり、いい組織づくりにつながっているのではないでしょうか。
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DOIT! メルマガコラム 素晴らしい会社
2021 年 10 月 27 日 09:30
仕事の楽しさ辛さは表裏
「仕事は楽しいですか?」と聞かれたて、皆さんは「はい!」と素直に答えることができますか?
もちろんやりがいはあるし、楽しいのですが、その前に「しんどさ」や「苦しさ」が必ずついてきますのでなかなか素直に「楽しい」と言いにくいものがあります。
営業活動でも、受注が取れている時はむちゃくちゃ嬉しいし、楽しい時。しかし、そこまでにはいろんな壁があります。断れたり、怒られたり、提案が通らなかったり、何度も何度も足を運んでうまくいかないこともあるはずで、そんな時期はなかなか「楽しい」と感じられません。それでも、そこを乗り越えて、やってくる「受注」瞬間」や「お客様からの感謝の言葉」。その時の感動は最高です。この感動を一度知ってしまうと、仕事は面白くなります。どんな仕事も一緒だと思いますが、真の喜び・楽しさは「苦」(辛さ・しんどさ)とセットでやってくるもので、私は「楽しい」という言葉だけでは表現しきません。
その「苦」の時期に、「仕事は嫌ですか?」と聞かれた時はどうでしょうか?こちらも素直に「嫌です、辛いです」とも言えません。足を棒にして走り回っていたり、何とかしようとのたうち回っている時は、確かに苦しさを感じますが、こうしてみよう、あれにチャレンジしてみようと脳みそが全力で回り、自分のすべてを出し切っている時は、ある種の面白さを感じていて、決して嫌ではありません。やはり、ここでも「苦」と「楽しさ」は同居しています。
人類誕生以来、「もっと楽にならないものか?」と誰もが考えてきたと思います。こんなに、めんどくさいことをやらずに、もっと簡単に結果が得られるようになれば、毎日が「楽しい」の連続になるはずなのにと。
苦労しなければ成功しないなんて、確かにめんどくさいですね。でも、苦労の時期は、確かに辛いのですが、その時に頑張ってのたうち回っていると、思わず人の思いやりや優しさに触れることができたり、心を支えてくれる友達の有難さに気づくことができたり、この時期でなければできない体験ができます。
こうやって、自分の人生が重ねられ人生に厚みができているのだと思うと、このめんどくさい仕事のサイクルも、なかなかいいものではないかなと思います。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 10 月 20 日 18:02
仕事の目的を考える2つのエピソード
先日、ある研修で、皆さんと一緒に「仕事」と「作業」の違いについて話をしました。そんなに気にしておられない方もいらっしゃったようですが、私は仕事とは、目的を意識しながら、どうすればもっと良くなるかを考え創意工夫をしながらやるもので、作業は決められたことを決められた通りにやることだと思っています。
お客様や後工程の人のために、どうすればもっと良い価値を届けられるかと考えてやっていると創造力を働かせますから楽しくなります。作業でも、どうすれば早くなるか、どうすればもっと良くできるかと創造力を働かせていくと仕事になります。傍から見ればただルーティンワークをしているようでも、その人の心の中にはしっかりと「目的」が見えていて、その目的のために自分の役割を果たそうとワクワクしている人もいます。
有名な話で、皆さんも聞かれたことがあるかもしれませんが、心に残っている2つの話をご紹介します。
ひとつは、アメリカの当時の大統領、ケネディさんが、ある日NASA宇宙センターを訪問した時の話。大統領が清掃員に、どんな仕事をしているのかと尋ねたところ、その清掃員は「私は月に人類を送り込む手助けをしています」と答えたそうです。
この人も単なる作業員ではありません。きっと毎日ワクワクしながら、仕事をしている様子が思い浮かびます。
もうひとつが、松下幸之助さんが社員に語ったエピソードです。
当時、まだ小さな町工場だった松下電器では、完成した電球を磨くという仕事がありました。そこに、つまらなそうに仕事をしている社員がいたそうです。その社員に対して松下幸之助さんは、「君、ええ仕事しているな~」と声をかけました。その社員は、「電球をふくだけの仕事のどこがいい仕事なんだ」と思っていたのでその言葉に唖然としたそうです。
幸之助さんはこんな風に話したそうです。
「この電球は、どこで光っているか知っているか?」「あんたが磨いた電球で街の街灯に明かりがつく。その街灯のお陰でどうしても夜遅くに駅から家に帰らなあかん女の人、いつも怖い思いをして帰っていた女の人が安心して家に帰ることができる」
「またなぁ、子供が絵本を読んでいると、外が暗くなって家の中はもっと暗くなる。そうなれば、絵本を読むのを途中でやめなあかん」「でもな、あんたが磨いている電球1個だけで、子供たちは絵本を読み続けることができるんや」「すごいこどじゃないか、あんたが電球を磨いていることで子供たちの夢を磨いているんやで」「物づくりはなぁ、物をつくってはあかん、物の先にある笑顔を創造できんかったら、物をつくったらあかんのやで。」「子供たちの夢のために、日本中、世界中にこの電球を灯そうや」
物の先にある笑顔を想像できんかったら、物を作ってはあかん。改めて松下幸之助さんの信念の強さを感じます。でも、これは物作りだけの話ではないのだろうと思います。
どんな仕事をしているのかと問われた時に、どんな言葉を返せるか。仕事の向き合い方が表れているのかもしれません。
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メルマガコラム 思うこと 素晴らしい会社
2021 年 10 月 13 日 09:45
「働きがい」ってどんなこと?
皆さんは、自分の仕事に「働きがい」を感じていますか?
こう問われると、皆さんはどんな風に感じられるでしょうか。
先日、弊社のセミナーで皆さんと一緒に「働きがいのある職場」を語り合いました。
「働きがい?そんなこと考えたことがない・・・」
「すぐに応えられないな・・・」
「はい、この仕事にすごく働きがいを感じます・・・」
「働きがい」・・・そもそも定義が曖昧ですね。辞書を調べると「働きがい」とは、「働くことによって得られる結果や喜び、働くだけの価値」と書いてあります。何に価値を感じるか、喜びを感じるかは人それぞれですから、これが働きがいだと決められません。
しかし、皆さんで話し合ってみると「働きがい」には共通していることも多いことに気づきます。
まず、自分の仕事が人に役立って、喜ばれた時に働きがいを感じる。そんな意見がありました。ありがとう、助かったよと言われて嬉しくない人はいません。また、その仕事が好きで没頭している時も働きがいを感じます。難易度が高くても、それが面白ければ、やりがいを感じて何度も挑戦します。仲間と一緒に必死に取り組んで一体感を感じる仕事も働きがいを感じませんか。お金ももらえないと働きがいを感じないという意見もあります。確かにお金は頑張った結果を評価されるものですから大事です。ただ、ボランティア活動でも働きがいを感じることがあります。役に立てたという結果がお金以上の価値になることもあります。また、出来ないことができるようになり、自分が成長できたと感じる時、この仕事をしてきてよかった、頑張ったかいがあったと思うことがあります。
要約すると、働きがいとは、人に役立つ仕事であり、そこに自分が一生懸命に取り組んで、結果、自分も成長でき、「あなたがいてくれてよかった」「あなたのおかげで助かったよ」と言ってもらえる時に感じる充実感というようなものでしょうか。もっと簡単に言うと、人にために役立つことが働きがい。それを実感すると仕事の誇りです。
今、働き方改革の名の元に、日本全国で、残業を減らしたり、出社時間を遅らせたり、テレワークで自由な場所で働けるようにしたり、確かに働き方は多様になりました。確かに不満足の要素は減ったのかもしれませんが、おかげで仕事が楽しくなったとか、働きがいを感じるようになったという話はあまり聞きません。こうした改革は、仕事の満足感にはあまり関係がないということも見えてきたのではないでしょうか。
働きがいを感じず、日々の仕事が作業のようにノルマのように感じている人はまだまだたくさんいます。今必要なのは、働き方改革より、働きがい改革なのかもしれません。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 10 月 05 日 09:45
「サービス精神」とは?
世の中には、人を喜ばせることが大好きな人がいます。サービス精神が旺盛というか、人を喜ばせることが生きがいになっているというか、その人のまわりには明るいオーラがあり、輝いています。
もう他界しましたが、私の義理の母も、そんな人でした。食事でも、「もっとたくさんお食べよ」といろんなものを用意し、食卓には食べきれないほどの料理を並べてくれました。そんな義母には、友達も多く、いろんな人が相談に来ていました。
ビジネスの世界では、顧客満足を高めるとか、ロイヤルカスタマーを創造するとか、つい小難しいことを考えてしまいますが、こうしたサービス精神旺盛の人たちの生き方を見ていると、すべてが後付けの理論のように感じてしまいます。
この人たちの生き方の原点は、お金を儲けたいからでもなく、お客様を集めたいからでもなく、とにかく「人を喜ばせてあげることが幸せ」。その動機が純粋な人のまわりは明るく、自然と人から好かれ、自然と人が集まってくる。CSが高まり、ロイヤルカスタマーが増えていく状態と似ています。
もちろん、ビジネスは経済が成り立たないと成立しません。いくら喜ばせたいと、ずっと原価を割って提供していてはつぶれてしまい、人に迷惑が掛かります。だから、お金が儲かることは絶対に必要。しかし、この「人を喜ばせたい」というサービス精神が中心になければ、結局は人は集まらなくなってしまうのではないでしょうか。
私だけでなく、誰もそうだと思いますが、何かをしてあげて、相手の人が喜ぶ顔を見ると嬉しくなります。人の喜びが嬉しく感じるのは人間の本能ではないかと思います。ただ、人が喜んでくれて嬉しいと感じるだけならいいのに、私たちはつい、見返りを求めてしまいます。特に心に余裕がなくなると、「なんで御礼を言わないんだ」とか、「せっかくやってあげたのに」という気持ちになりがち。これも人間の本能かもしれませんが、このあたりが難しいところ。
確かに、自分のしたことに「ありがとう」と言ってくれたり、「してくれて、本当に助かった」と言ってもらえると嬉しくなります。でもサービス精神が強い人を見ていると、ただやってあげることが好き、御礼も何も求めていません。だから続くのでしょうね。
サービス精神とは、見返りを求めないで、人を喜ばせたいという精神。
人の喜びと自分の喜びが融合して溶け合うような状態。
本物が生き残っていく時代だからこそ、「サービス精神」がますます大事な気がします。
【ご案内】
12月からスタートする「未来×幸せ経営フォーラム」の第2回目では、バグジーの久保社長、元リッツカールトン日本支社長の高野登さんをお招きし、「気づく力、感じる力」と題して、このコラムのようなサービス精神や気づきの力をお伺いしていきます。ぜひ、お楽しみに。
https://www.doit-fun.jp/blocksseminar/20211202_20220414
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 09 月 29 日 14:44
仕事に夢中になる人、ならない人
以前、魚釣りが好きな人に連れられて、釣りに行ったことがあります。
私は過去何度かやりましたが、普段はほとんどしません。糸を垂らしていたのですが、なかなか釣れません。釣れない時間はなかなか退屈。だんだん飽きてきました。しかし、友達は仕掛けを変えたり、場所を変えたり、いろいろと工夫をし出して楽しんでいます。釣り好きの人は、やはりこういうことが楽しいのか・・・。釣れた、釣れないということ以上に、「釣り」という行為自体が面白いのだなと感じました。
スポーツ、山登り、絵画・・・世の中にはいろんなことに夢中になっている人がいますが、きっとメカニズムは同じはず。成果を求めているけれど、それに挑むプロセスが面白くてしかたがない。失敗して「どうしようか?」と考えて工夫することが楽しい。仲間と反省する時間も楽しい。そこに成果がでる(魚が釣れる)とさらに楽しい。夢中になっている時は、時間が短く感じ、身体は疲れても心は疲れません。
では、仕事は、遊びのような「夢中になる対象」になるのでしょうか?
私は、もちろん対象になると思っています。私自身、実際に新入社員の時からずっと夢中になってきましたし、夢中になっている人はたくさん見てきました。同時に、楽しんでいない人もたくさん見てきました。「仕事を楽しむ」とはどんなことかを、ずっと考えてきました。
では、どうすれば、仕事に夢中になれるか?
先程の釣りの時に、成果が出ない時が続いたので私は面白さを感じませんでした。友人は、「そこを超えた時に面白さがわかってくる」と言っていましたが、きっとそういうことなのでしょう。
趣味でも仕事でも、ある程度の成果が出るまでやり続けてみないと本当の面白さに出会えないのだと思います。だからこそ、やはり一定期間は「面白くなくても一生懸命やってみる」という時間がいります。さらに漫然と臨むのではなく、「工夫・改善をする」。「面白さ」は、この2つの後に来そうな気がします。
最近、「面白さ」に出会う前に努力を忘れて、「自分にあっていない」と1年もせずに辞めていく若い人のお話を聞くと、「釣れない」からすぐに「面白くない」「つまらない」と言って釣りを辞めていく人を思い出します。
職業選択の自由ですから、いくらでも変えてもいいものですが、中途半端な体験を何回繰り返しても「面白さ」には出会えないと思います。
しかし、問題は、若い人より長く続けているのに、「面白さ」を感じない人かもしれません。「給料」という魚が取れるようになることに慣れてしまったのか?そもそも、成果を給料としたから、面白くなくなっているのか?工夫も改善もしない毎日が問題なのか?
夢中で仕事をするということは難しいものなのでしょうか?
夢中になると、集中します。工夫改善をするので品質が高くなります。何よりも日々が楽しくなります。楽しくなれば、人間関係も良くなります。生産性が上がります。いろんな挑戦もしたくなります。
ひとつでも、夢中になるものを見つけた人の人生は、きっと豊かになると思います。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 09 月 22 日 13:59
どうすれば上達するか?
大阪の交野市にある「ビューティサロン・モリワキ」さんは、社員を大切にする美容室です。私は、このお店の幹部の皆さん、スタッフの皆さんの素朴で温かい気持ちが大好きで、通い続けています。
シャンプーなどは、昨年入社したアシスタントのM君が担当してくれます。新人の時から担当してくれているので、何か自分の子どものような感覚で見てしまいます。
先日、またシャンプーをしてくれたのですが、以前よりしっかりとした指使いで、力加減も自分にピッタリでした。私はプロではないのでうまく表現できませんが、迷いがなくなったというか、自信ができたというか、「プロ」に近づいているなと感じました。きっと山ほど練習したのでしょう。なんだか嬉しくなりました。
「どうすれば上達するのか」ということを考えてみました。みんな、過去の経験から上達するには「練習」が必要だということはわかっています。でも、頭でわかっていても、忙しくなると練習をないがしろにしてしまうことがあります。学生時代はコーチや監督が強制的に練習をさせてくれますが、社会人になると誰も指示しません。また、練習をしようと頑張ってみようと初めても、「やっても、やっても上達しない」という状況になり、途中で挫折するということもあります。さらに、やっかいなのは、ある程度できるようになると、一人前になったと錯覚し、それ以上の練習をしなくなる人もいます。それでもお金はもらえるので、技術の向上を続けなくなります。頭でわかっていても、出来ないのが練習なのかもしれません。
しかし、やはり一流になるのは、練習が不可欠です。どの世界でも、今、業界の第一線で活躍している人は、他の人より技術が輝いているので、先天的な才能を持っていると思われがちですが、いろいろと過去を聞くと、ほとんどの人は、技術を磨くために並外れた時間を投じ、努力を積み重ねてきたという共通点があるようです。つまり「生まれつきの天才」はいないようです。
では、なぜ、天才の人たちは、練習の量・時間をかけることができたのでしょうか?周りにいる親、コーチが優れていたということもあると思います。しかし、練習はキツイもの。一日に何時間もかけるのは苦痛のはず。「苦しい時間」が続いているだけでは長い時間練習できる訳がありません。
後に天才と呼ばれる人たちは、この苦しい練習も、楽しんでいたのではないでしょうか?ただ量をこなそうとした訳ではなさそうです。1回1回の練習に仮説を立ててのぞみ、それを何度も実行し、最後に反省をし、改善を加える。野球で言うなら「一振り」に、美容室でいうなら「一回のシャンプー」に、細かく、具体的にトライしていくからこそ、没頭する。没頭するから楽しくなる。集中すると成長する。成長するから「成長実感」も、味わえる。悔しさもエネルギーになる。外側からみたら、「なんて過酷な練習なんだ」と映るかもしれませんが、本人にとっては、“面白い”という時間になっているのではないでしょうか。天才とは、苦しみを楽しみに変える人と言うのかもしれません。
いわゆる「PDCA」というものですが、企業にとっても、仕事にとっても、人生にとっても、遊びにしても、自分からこのサイクルを回すことが成長の原点であり、何より、自分自身が面白くなるサイクルだと思います。ただ、不思議なもので、「計画をしっかり立てろ」「ちゃんと行動しろよ!」「お前は反省したのか?」「もっと改善しろ」と、上からとやかく言われると、とたんに面白くなくなるのもPDCA。
「自分」から、自分の手でブンブン回していくことがいちばん大事なんでしょうね。
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メルマガコラム 素晴らしい会社
2021 年 09 月 15 日 14:30
「でんかのヤマグチ」から学ぶ“高売り”と“アフターフォロー”
先日、DOIT!シリーズの中でもご紹介した東京・町田市にある「でんかのヤマグチ」の創業者、山口社長に講演をお願いし、若い経営者の皆さんに聞いていただきました。
創業56年。小さな電器屋を一人で始めた山口社長は、コツコツとお客様を開拓し、売るだけでなく、そのお客様が困っていることがあれば、すぐに飛んでいき対応する。そんな地域密着の経営で経営を伸ばしてこられました。
しかし、今から25年前、近隣に大型量販店が続々と進出。半径2キロに6つのも競合が迫ってくる事態に直面します。量販店同士が「他の店より1円でも安く」と競い合うと、地域の小さな店は太刀打ちができません。倒産、廃業が頭によぎったそうです。
悩んだ山口社長が出した結論は、生き残っていくためには量を売ることではなく、少なくてもしっかりと利益が出る商いをすること。つまり、商品を量販の値段に合わせて安く売ることではなく、今よりも高い値段で売ることにしたのです。それが「高売り」。お客様にしっかりとサービスをしていけば、きっと私たちを選んでくれるはず。一生懸命働く社員のためにも、生き残っていかなければ・・・周囲が猛反対する中で、その戦略を貫きました。
まず、遠くのお客様を台帳から外したそうです。すぐに飛んでいける、近隣のお客様を選びました。そして、5年以上購入のないお客様を台帳から外し、値引きを要請するお客様は量販店を紹介するなど、値段は高くても、でんかのヤマグチのサービスを好んでくださるお客様に絞って商いを展開していったのです。電池が切れたと言われたらすぐに持っていく。テレビの操作がわからないと言われたら、わかるまで何度もご説明に伺う・・・それだけでなく、「旅行に行く間、少しペットの世話をしてくれないか」という頼みまで引き受けることにしました。信頼があるからこそ、そんな依頼も「でんかのヤマグチ」に頼まれるのです。
こうした、手厚いアフターフォローの商いを続けた結果、量販店との価格差が3万~10万もあるのに、買いに来てくれるお客様が増え続け、以前は「25%~27%」だった粗利率、今では「45%」に改善。借金もゼロになりました。最近、あるお客様から、「あなたのお店は、もっと高く売ってもいいのでは」と言われたそうです。どんなことにも親切に対応をしてくれるヤマグチさんに、そのお客様は惚れ込んでしまっているそうです。そんなお客様がヤマグチを支えてくれているのです。
25年前、もし、量販店に対抗して「安売り」をしていたら、体力のない小型店はあっという間につぶれていたでしょう。しかし、山口社長は、従業員の幸せを考え決断をしました。売上を上げるために値引きをするというのは、簡単にできること。しかし、簡単にできることが正しいこととは限りません。本当に大切にすべきことを大切にする。それが険しい道、難しい道であったとしても、やると覚悟を決めてやり続ける。すぐに結果を求めたり、すぐに楽な道を選ぼうとしてしまう、私たちに大切なことを教えてくださった講演会でした。
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DOIT! メルマガコラム 素晴らしい会社
2021 年 09 月 08 日 10:12
成功の原点は経営者の姿勢
先日、12月からスタートする「未来×幸せ経営フォーラム第3期」の講師としてご登壇いただくカレーハウスCo Co壱番屋の創業者、宗次徳二さんとお会いしました。DOIT!シリーズで取材をさせていただいてから月日が経ち、今は役員を退任されていますが、奥にある情熱は以前と変わらず少年のような目がキラキラと輝いておられました。
1974年に小さな喫茶店を立ち上げ、1978年にカレー専門店壱番屋を創業。その4年後に会社を設立して全国展開。今では全国各地に1300店。カレーの本場インドにもお店があるそうです。このコロナ禍でも、ココイチ(略称)は売上減少を最小限にとどめることができているそうです。その理由がカレーという日本人の日常に欠かせないものであったこと。さらに、お店の8割が「のれん分け制度」で生まれた自営業者のお店であるということが要因のひとつ。しかも、今、いろんな店がやり始めている「宅配、持ち帰り」も、ココイチはもう30年も前から取り組んでおられます。独自の道を進んできたココイチの強さの原点はどこにあるのでしょうか?
宗次さんが創業の頃から大事にされてきたことをお尋ねしました。「それは経営者の姿勢です」と静かに語られました。お客様が来てくれたことに感謝する。その感謝の気持ちを込めて真剣に経営する。堅実に、真面目に、着実に、今、ここ、その瞬間を一生懸命に経営していれば、きっとお客様はついてきてくれる。「小さな継続の積み重ね」が大事だとお話いただきました。どんなお店もオープンした頃はみんなこんな気持ちで商売に向かっていくそうです。しかし、少し軌道に乗ると、経営者がお店に出なくなったり、自分の遊びや生活に目が向くようになり、お店がダメになっていく。宗次さんは、いかに経営者が慢心せず、創業の時のような情熱と感謝の心を持ち続けていけるかが経営に最も大切なことだとお話くださいました。
宗次さんの事務所は、こう言っては何ですが本当に狭く、書類がいっぱいになる隅っこに小さな机がありました。退任されてからは、社会貢献活動に全力を傾けられているそうです。お店でやってこられたように、毎日朝4時に起き、事務所のまわりの清掃とお花の管理を3時間もされています。
私腹を肥やすための商売ではなく、社会に役立つための商売を一途にやり続ける。
「経営は、経営者の姿勢」。宗次さんのこの言葉が胸に刺さりました。
12月2日からスタートする「未来×経営フォーラム第3期」は、この宗次さんとのトークセッションから始まります。今期のテーマは「人間力が未来をひらく」。姿勢、志、情熱などの大切さ、磨き方を追求していきます。
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セミナー メルマガコラム 素晴らしい会社
2021 年 08 月 31 日 14:29
「One for All, All for One」の本当の意味
ラグビーの精神とも言われ、日本でも良く使われる「One for All, All for One」という言葉。この意味は一般的に「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのため」と訳されますが、本当は、「みんなはひとつの目的のために」という意味だと言われています。ラグビーの場合の目的はチームの勝利。つまり、「ひとりはみんなのために、みんなは勝利のために」というのが正しい訳だそうです。
みんながひとつの目的に向かって助け合い、協力する。ラグビーワールドカップで、日本代表が見せた「ひとつのトライのために、仲間同士が信じ合い、最後まで諦めず全員でつないでいく」というプレーは、まさにこの精神の表れだったと思います。体格も、体力も劣っている日本代表が、競合を次々に勝てたのは、他より優れたチームワークが発揮されたからでしょう。
チームの全員が「ひとつの目的」に向かっているからこそ、相乗効果が生まれ、強い敵にも勝つことができる。みんなが自分以外の人のことを考える「One for All」。そして、みんがひとつの目的に向かう「All for One」。この2つが機能しているチームほど強いものはないはずです。
ところで、「チーム」と「グループ」の違いは何でしょうか?
チームとは、複数の人が同一の目的に向かって動く集団。集団の目的・目標を達成するために、役割分担をし、協力し合い、時に意見をぶつかり合わせて動くのがチームです。一方で、「グループ」とは、同じ思考や性質、趣味などを持つ人たちの集団のこと。ここには同一の目的や目標はありません。チームは目的のために集まった集団で、お互いに協働して動きます。だから、1+1+1が3にも4にもなりますが、グループは相乗効果が生まれません。
つまりチームはそもそも「目的」を達成するために集まった集団だということです。そして全員が「One for All, All for One」の精神で結ばれたチームが「真のいいチーム」と言えるのではないでしょうか。
私たちの組織は「チーム」か、単なる「グループ」か?メンバーは、みんなが助けあっているか?みんなが「ONE」(経営理念)に向かっているのか?
最近は、テレワークばかりで、チームのことを考える機会が少なくなっています。「自分の仕事が終われば、仕事は終了」という働き方に慣れてしまっています。しかし、本当にそれでいいのでしょうか?もっと目的に向かって協力すべきことはないでしょうか。チームの困っている人を助けることをしなくてもいいのでしょうか?
コロナ禍の大変な時期だからこそ、本当はもっとチームが助け合っていく時なのに、どんどんと「自分は自分のために」という状況になっているような気がします。もう一度、「One for All, All for One」を思い出していきたいですね。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 08 月 24 日 15:12
かかわる人を幸せにするお掃除会社
DOIT!シリーズでもご紹介した、高知のお掃除会社「四国管財」の新しい本が発売されました。そのタイトルが「かかわる人を幸せにするお掃除会社~本気のクレーム対応と魔法のホウ・レン・ソウ~」(著:中澤清一/発行:きんざい)です。 社員をとことん大切にする中澤社長の思いと、長年に渡って磨き上げてこられたクレーム対応や報連相の仕組み、また現場のスタッフさんへの細やかな対応の仕組みなどが細かく紹介されています。
中澤さんが「いい会社づくり」に取り組むようになったのは、昔、あるショックな出来事があったからです。父親が亡くなり、二代目として会社を良くしていこうと意気揚々入社したのですが、当時の会社の雰囲気は悪く、誰も誇りをもって働いていませんでした。当時、世間では清掃業は低く見られていて、働き手が集まらない業界でした。会社の雰囲気はそんな背景があったからかもしれません。
それに追い打ちをかけたのが、中澤さんが社員さんの結婚式に招待された時のこと。仲人さんが社員の勤務先を紹介する時に四国管財の名前が呼ばれなかったのです。清掃会社で働いていることを隠されていたのです。
「そんなにうちの会社で働くのは恥かしいことなのか?」。そこから中澤さんの闘争心が湧いてきました。「みんなが誇りを持てる、家族に自慢できるいい会社にする!」という夢に向かって進み始められたのです。
いろんな仕組みを導入してこられましたが、特に大切にしてきたのは「クレーム対応」と「ホウ・レン・ソウ」に対する取り組みです。どんな小さなクレームにも素早く対応する。そこに顧客の感動が生まれます。しかし、それだけでなく、「クレームになる前から対応しよう」と、現場の清掃スタッフに「少しでも気になったことを報告できる仕組み」を作ります。その為には、本社にみんなが安心して言える本部と現場の信頼感だと、「すべての責任は本社にあること」を伝え、スタッフの悩みに24時間対応できる電話窓口を用意し、仕事以外のことにも相談に乗るなど、時間をかけて、スタッフが安心して相談できる社風を築きあげてこられたのです。
そして、そのベースにあるのが「報告・連絡・相談」の仕組みです。そのポイントは「報告をしろ!」と叱るのではなく、「ホウ・レン・ソウ」と褒められる。そしてその情報がどうなったか、必ずフィードバックする。それが社員を安心させるのです。中澤さんは、ホウ・レン・ソウは愛だと考えておられます。
この本を読み、いい会社にしていくためには、「安心して働ける環境」を作っていくことが大きなポイントであるということに気づきます。上司に意見が言いにくい、悩みを相談しにくい、仲間同士がいがみ合っている・・・そんな職場では人の心がすさみますし、やる気が出る訳がありません。良い人間関係、困ったことがあったら何でも相談できる空気感、自分の意見や希望を聞いてくれる上司や仲間。家族のことまで心配してくるトップ。そんな環境であれば誰もが安心して仕事に集中できるでしょう。今、「職場の心理的安全性」という言葉が注目されていますが、四国管財さんは正にその見本。中小の経営者の方、あるいは人事・労務系のお仕事をされている方におススメです。
本の内容・申し込みはこちらへ
http://urx.red/IeWG
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DOIT! メルマガコラム 本・映画
2021 年 08 月 19 日 11:56
散漫になった意識を集中させる方法
やらなければいけないことが山積しているのに、どうしても集中できない・・・
休み明け、仕事モードに入れず困っている方も多いのではないでしょうか?
こんな集中できない時に効果がある方法をご紹介します。
それが「みかん集中法」と言われているもので、もしかするとご存じの方も多いかもしれません。
まず、手のひらの上に本物の「みかん」があるように頭の中にイメージします。重さ、色、香り、匂いを嗅いだりし、リアルにイメージするのがポイントです。
次に、そのみかんを自分の後頭部の上、15センチから20センチ、45度のところにもっていき、そこにおきます(もちろんイメージです)。そして手を下し、静かに目を閉じます。その後、後頭部の上方に置かれたみかんのバランスを取ります。15分ほど、その状態をキープすることに集中し、ゆっくり目をあけます。
気持ちが落ち着き、深い集中状態に入ることができます。
みかんが頭の上にあるなんて、返って集中できない・・・と思う方もいるかもしれませんが、やってみると意外と効果があります。なぜ、これがいいのか、私は専門家でないのでわかりませんが、フロー状態になっている時の気持ちに似ています。なかなか仕事に集中できない時は非常に効果的です。ぜひ、お試しください。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 08 月 11 日 14:23
「楽しい時」のやる気は持続する
オリンピックが終わりました。選手の皆さんの素晴らしいパフォーマンスとスポーツマンシップにたくさんの感動と勇気をいただきました。選手、スタッフ、大会関係者の皆さん、大変な状況の中で素晴らしい大会を開催していただき本当にありがとうございました。
今回、いろんな競技をテレビで応援していましたが、中でもいちばん私の心に残ったのがスケートボードです。テレビでも話題になりましたが、15歳の岡本碧優(みすぐ)選手が転倒した後、各国の選手が次々に集まって、抱擁したり、肩車をしたり、失敗して泣き崩れていた岡本選手が笑顔になるシーンに私も胸が熱くなりました。スケートボードには元々こういう励まし合い、助け合う精神があったそうですが、何かこれまでの「戦い」という概念が強かったオリンピックに、「高め合い」という清々しい風が吹いたような気がしました。
私たち仕事の世界では、「競争」「戦略」「倒す」「生産性」など戦争で使われるような言葉が当たり前に使われていますが、そのような殺伐とした空気の中で、本来は助け合って幸せになろうと目指していた人間が、逆に苦しみや憎しみが増え、求めていた「幸せ」からどんどん遠ざかっているような感じがしています。
もちろん「スケートボード」とビジネスは全く違うものですが、彼らが示してくれた「高め合う」という世界観は私たちももっと学んでいくべきことではないでしょうか。
スケートボードの原点にあるのは「楽しむ心」だと思います。金メダルを獲った19歳の四十住(よそずみ)さくらさんも、銀メダルの12歳の開心那(ひらき・ここな)さんも心からスケボーを楽しんでいます。彼女たちには、専門のコーチがいないということにも驚きました。YouTubeやインスタに乗っている技を研究したり、仲間に技を教えてもらったり、自分で学び、成長していったとか。しかし、オリンピックに出るには厳しい練習なくして、技は身につきません。彼女たちは、自分自身で何度も何度も練習をして難しい技を身に付けていったそうです。
どうして厳しい練習に耐えられたのか?その原動力が「楽しい」という心だったと思います。傍目には厳しい練習をストイックにこなすように見えても、本人たちの心は「楽しいからやっている」だけ。傍にいる人は、彼女たちが夢中になっている時は近寄りがたかったと言います。
「やりたくないことでも我慢して頑張る」ということも大事なことかもしれません。しかし、こうした頑張りはあまり持続しません。メンタルもおかしくなります。しかし、「楽しい」時は勝手に頑張りますし、何時間だってやってしまいます。こうした心理を「フロー状態」というそうですが、仕事もフローでやれれば最高ですね。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 08 月 03 日 16:43
選手の心を高めるリーダーに学ぶ
オリンピックで日本のメダルラッシュが続いています。コロナで暗いニュースが続いていた中で、オリンピックから勇気をもらっている人は少なくないはず。私もその一人です。
アスリートは、大会に向けて身体や心を整えていくものですが、今回の大会は、1年延期になり、さぞ、その切り替えや調整が大変だったと聞きます。選手自身もそうですが、選手を支えるコーチや監督、トレーナー、食事を作る人なども、きっといつも以上に難しいことがあったのではないでしょうか。選手と監督、コーチが涙を流して抱き合う姿をみると、その試練の過去が浮かび上がってくるようです。
いろんな競技が活躍する中で、いちばん金メダルが多いのが柔道。今回、「全階級メダル」を目標にその選手を支えてきたのは井上康生監督を始めとするコーチ陣ですが、先週、向選手が敗退してしまった時に「しっかり課題を埋めてあげられなかったのは私たちの責任だ」と反省の弁を述べられていました。これまで井上監督は選手の合宿地を足蹴く周り、声をかけたり、励ましたり、科学的なトレーニングを導入したり、「全選手にメダルを獲らせてあげたい」と誰よりも愛情を注いでこられたと聞いています。だからこそ、こうしたリーダーの言葉は選手たちにも、よし、自分がもっと頑張らねばと思うようになるのでしょう。
柔道は個人競技ですが、私はチームのスポーツのように感じながら見ていました。
リーダーの役割はしっかりとビジョンを示し、戦略を立て、チームメンバーと共にその目標に向かっていくことですが、いくら戦略やビジョンの立案がしっかりしても、いかに科学的なトレーニングを実施したとしても、最後はメンバーがリーダーを信じてついていこうとしているか。メンバーとリーダーの間に「信頼」があってこそ、本当に強いチームになるのではないでしょうか。このオリンピックでも優勝するチームの勝利後の様子を見ていると、リーダーとメンバーの間に強い「信頼」を感じます。
どんな時も選手を愛し、選手を信じ、励まし続け、どんな時も指を自分に向ける井上康生監督のリーダーとしてのあり方・姿勢。困難な時代に求められる理想のリーダーの姿のような気がしました。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 07 月 27 日 16:09
アスリートから学ぶ感謝の力
いろんな問題を抱える中で、開催が1年延期され、東京オリンピックがいよいよスタートしました。無観客の舞台はやはり寂しい気がしましたが、それでも自分の持てる力を全力で出しきり、目の前の勝負に挑むアスリートたちを見ていると、どんな舞台であろうと彼らには関係がないのもしれないと思い、たくさんの感動をもらっています。
今日までに、柔道、競泳、スケートボードと日本人のメダルが続いていますが、私は試合後の選手たちのインタビューを聞いていて、皆さんが口々に「感謝の言葉」を述べられることに感動しました。確かに今年のオリンピックは開催自体が危ぶまれていたので、より、この舞台に立てたことに感謝の気持ちが湧いてくるのだと思います。しかし、それ以上に、今、ここにいるのは、自分を支えてくれた人たちのお陰だと心から感謝していることが伝わってきます。きっと普段から、感謝の気持ちを持ち続けていたからこそ、こういう場で、自分の嬉しさより、感謝が先に言葉になるのではないでしょうか。
松下幸之助さんも感謝の心を大事にされた経営者です。
「感謝の心があってはじめて、物を大切にする気持ちや人に対する謙虚さ、生きる喜びも生まれてくる。感謝という古びた思想と捉えがちだが、どの時代にもよらず普遍的に大事なこと」という言葉を残されています。
感謝の反対語は「あたりまえ」と言いますが、今、自分のまわりにあるものは「あたりまえ」、「してもらって当然」だと思っている人は、感謝の気持ちがない人です。そんな「あたりまえ」の有難さに気づけると、もっと頑張ろう、もっと人の意見を聞こう、もっとちゃんと生きていこうと前向きになれるのだと思います。
メダルをとるレベルのアスリートたちは、きっと、この「感謝する力」があったから、苦しい練習を乗り越えることもできたでのしょう。「自分のためにメダルと獲る」だけではなく、「支えてくれた多くの為にメダルと獲る」という新たな「目標を達成する目的」が加わったからこそ、達成への意志も強固になっていったのだと思います。
ビジネスも、同じかもしれません。感謝を忘れた人は、どこかで孤立的になるのではないでしょうか。感謝の気持ちを持っている人は、周りから愛されますし、応援もされるので、どんなことも乗り越えられるはず。それ以上に、自分が幸せだと感じているので、仕事も楽しいに違いありません。楽しそうな人のまわりに人も集まってきます。成功するには、技術も知識も大切ですが、やはり、それだけでなく、「感謝の心」など、人としての基本的なスキルがベースとして大事な時代なのだと思います。
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2021 年 07 月 21 日 13:47
「たいへん満足」が生まれる組織の根幹
先日、DVD教材「レクサス星が丘」を社内で活用していただくために、活用法をご紹介するセミナーを開催しました。その時に、「たいへん満足をどう生み出すか」「生涯のお客様づくり」というテーマについて話し合ったのですが、これはなかなか正解が出ない永遠のテーマですね。しかし、人口減少の中でのお客様獲得競争に勝ち残るためには「この店が好き」「この企業が大好き」という熱狂的なファンを生み出していくこと。どんな時代にも元気な企業は、「たいへん満足」というロイヤルカスタマーをたくさん増やしてきた企業です。
満足度調査では、どこに不満があるかはわかります。そこを改善すれば、満足に近づきます。しかし、「満足」「たいへん満足」の差はなかなかわかりません。「たいへん満足」を高めようと、例えば「お名前で呼ぶ」「お客様の好みを理解する」・・・Aさんにはこうする、Bさんにはこうすると細かくすればするほど気を使う項目が増え、「やらなければならない」という義務感やしんどさが生まれてきそうです。いくら「たいへん満足」が重要だといえ、無理に展開し、スタッフの義務感やしんどさが伝わってきては逆効果になりそうです。
自分が「たいへん満足」だと評価する時を考えてみました。確かに私は、店頭でスタッフの行動を見て評価しているのですが、実際は、その行動の奥にある「私を気遣ってくれる気持ち」に感動していると思います。
例えば、そのスタッフが自分のことを「名前」で呼んでくれ、「先日は○○でお世話になりました」と言ってくれた時。確かに「覚えてくれていたんだ」とその行為そのものに嬉しさを感じます。それと同時に、「たくさんいるお客様のことをちゃんと覚えようとしてるんだ」というそのスタッフの仕事の姿勢もいいなと思ってしまいます。もし、他のスタッフもそんな対応をしているとわかれば、「そういう行動を大事にしなさい」とスタッフをバックアップしている企業の姿勢にも素晴らしさを感じ、きっと「たいへん満足」という評価をしてしまいそうです。
つまり、言いたいのは、「たいへん満足」を生み出すために大事なのは「行動」そのものではなく、その奥にある「姿勢」の方にあるのではないかということです。やはり、どこまでいっても、最後は組織の中での「理念」の共有、浸透ということになるのではないでしょうか。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 07 月 15 日 09:37
リスクを避けることが最善か?
子どもの頃、私が住んでいたところの近くに「琵琶湖疏水」がありました。琵琶湖疏水は明治の頃、豊かな琵琶湖の水を京都に運ぶために人工的に作られた約20キロの水路で、日本遺産にも登録されています。春は周囲に植えられた桜を目当てに観光客がやってくる人気スポットになっています。
その疏水の近くで生まれた私は、よくこの付近で遊んでいたのですが、親や学校からは、子供たちだけで遠くへ行ってはいけないと、遊ぶ場所の範囲が決められていました。しかし、当時はテレビゲームもない時代。小学生の低学年の私は、「禁止されているその先」が見たくてしかたがありません。そこである日、数人の友達と自転車でこの疏水をどこまでいけるか行ってみようと、決まりを破って出かけていきました。
自転車を漕ぐ度に見たことがない風景が広がり、何かを開拓しているような気持ちになり、楽しく自転車をこいでいました。しかし家から遠くなればなるほど不安になり、親や先生の言葉が気になりだし、途中で引き返してしまいました。トムソーヤのような冒険はありませんでした。それでも、枠を破って進んだことや自分たちしか知らない世界を見てきたことを、友達に自慢していた記憶があります。
今思えば、バカみたいな小さな冒険でしたが、子どもの私に大きな一歩だったのでしょう。あの時の不安と楽しさが入り混じった感覚は今でも覚えています。こうした冒険は、子どもから青年期はたくさんしてきましたが、大人になると、やはり「リスク」を気にするようになり、確実に成果が見えることやルールに逸脱しない、リスクの少ない方ばかりを選択してくるようになり、「大人は冒険しない」という変なルールに落ち着くようになります。
話は変わりますが、最近、SNSの投稿で、「リスクを避けることが最善なのか?」という問いが投げかけられていて、リスクについて考えることがありました。確かに、「リスク」は避けるべきことかもしれませんが、それを忌み嫌って避けることばかりに目が向くと、新しい挑戦はしなくなり、それ以上の発展は望めなくなってしまいます。その人は、「リスクを避ける慎重さが、かえって問題解決を先延ばしにし、大きなリスクを作っているのでは?」と言われていましたが、もしかするとそうなのかもしれません。リスクは本当に避けることが最善なのでしょうか。
リスクを回避するという思考は、確かに成功に近づく方法なのかもしれませんが、「面白いか」「面白くないか」と問われると面白くないはず。未知のものに挑戦することは、リスクと共に面白さもあるのではないでしょうか。こんな時代だからこそ、冒険心をもって進んでいきたいですね。
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2021 年 07 月 06 日 13:54
大谷選手の修正力
メジャーリーグでホームラントップ、二刀流で大活躍をしている大谷翔平選手。以前から応援していたので、彼の活躍が報じられる度に嬉しくなります。
もう、多くの方がご存じだと思いますが、彼が高校時代に監督からの指導で作っていたのが、「マンダラチャート」という目標達成シートです。このベースは、以前、弊社の「未来×幸せ経営フォーラム」にお越しいただいた原田教育研究所の原田隆史さんが考えた「目標達成理論」です。9×9マスのシートの真ん中に「達成したい目標」を記入。そして、この目標を達成するために必要な「要素」を8つ書きます。さらに、そのひとつひとつの要素に対して、「何をすれば達成するか」という視点で8つの「行動目標」をつくります。要するに、夢を具体的な行動目標に置き換え、ひとつひとつを実行し、高めていくためのツールです。
大谷翔平選手が高校時代に書いた目標は、「8球団からドラフト1位で指名される選手になる」。その要素は「体づくり、人間性、メンタル、コントロール、キレ、スピード160キロ、変化球、運」の8つ。そして行動目標は、例えば「コントロール」の要素では、「①インステップ改善、➁体幹強化、③軸をぶらさない、④不安をなくす、⑤メンタルコントロールをする、⑥体を開かない、⑦下肢の強化、➇リリースポイントの安定」というように細かく目標を立てています。たったひとつの要素でも、8つの視点から自分の改善を図っていこうとしている訳ですが、高校時代から、彼がいかに冷静に、科学的に自分を見ていることに驚きます。きっと素晴らしい指導者がまわりにいたのでしょう。
目標は細分化し、ひとつひとつを具体化する。これは、きっとビジネスでも同じだと思います。ただ目標を立てがむしゃらに頑張る、という精神論でなく、どうすれば、それが実現できるか、細かく行動目標に落とす。こんなに細かく目標を設定すると集中できないという見方もあるかもしれませんが、細かく設定すればするほど行動を起こしやすくなりますし、例えスランプに陥っても、どこが悪いかがわかりやすくなるのではないでしょうか。ポイントがわかれば改善もしやすくなるはず。
大谷選手の素晴らしさは、ただ闇雲に頑張るというのではなく、うまくいったこと、うまくいかなかったことを手掛かりに、「どうすれば、もっと上手くなるか」と、自分を修正していく力だという人がいましたが、彼の今のメジャーリーグでの活躍ぶりを見ていると、まさに、自分を修正する軸づくりを高校時代からやっていたことが今に生きているように感じます。
私が大谷翔平選手を好きなのは、自分で目標を定め、自分で軌道修正し、その軌道修正までも楽しみに変え、自分らしい人生を歩んでいるところです。自分が決めた人生を歩んでいる訳ですから、メジャーリーグという環境への愚痴、上司への不満を口にすることもないはず。自分の人生をいきいきと生きていく彼の活躍をこれからも見守っていきたいと思います。
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2021 年 07 月 01 日 13:43
コロナ禍で変わる働き方・会社のあり方
コロナが始まって1年半以上が経ちます。ワクチン接種も始まり、ここ数か月で状況は打開されると思っていますが、東京ではまた感染者が増加していますし、新しいタイプの変異ウィルスも広がっています。まだまだ見通しが立たない状況です。
世界的なパンデミックという誰も経験したことがない状況に必死で対応してきた1年半ですが、この体験を通して多くの人が、改めて自分の働き方や生き方、あるいは人生について考えることがあったのではないでしょうか。
私の知り合いに「家で仕事をするようになり、改めて家族の大切さ」に気づいたという人がいました。またある人は、「通勤をしていた頃は、我慢してでも会社に行くのが当たりまえだと思っていたが、そんな我慢をするより、自分のやりたいことをしたい」と思うようになったと言っていました。人と会えない体験を通して、改めて人と会うことの意味を見つけた人もいます。実際に増えてきているそうですが、空気のよい田舎で暮らすことにシフトする人も出てきています。統計を取った訳ではありませんが、自分らしい生き方、自分がやりたい仕事とは何か?と考え始めた人はかなりいらっしゃるのではないかと思います。
こうした意識の変化は、すぐに行動に映らないかもしれませんが、しばらくたつと、起業する人、フリーランスになる人、地方移住、海外移住、副業、サイドビジネスなど、従来の「会社に勤める」ということと違う生き方が増えてくると予測する記事もありましたが、きっとこうしたことは増えていくのだろうと思います。
ただ、一方で、「人と人がつながること」「人と人の絆」の大切さにも気づいた人も多かったはず。会社の中での結びつきをもっと強くしていこうと思う会社もあるのではないでしょうか。リモートワークでただただ個人が与えられた仕事をするだけでは、やはり本当のモチベーションは、生まれてこないようにも感じます。
これからの働き方、会社のあり方はどうなるのでしょうか。答えはひとつではなく、きっと多方向に進化していくのだと思いますが、私がイメージするのは「個人が自由に、自分らしく働けると同時に、強い目的意識や強い絆で結ばれた仲間がいる会社」です。つまり、個人がもっと輝く、しかし、会社の目的や行き先にはみんなが共感し、その実現のためにそれぞれの得意を発揮し、全員で助け合っていく組織です。
皆さんは、どんな働き方を目指しますか?どんな会社で働きたいですか?
(株式会社ブロックス 代表 西川敬一)
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2021 年 06 月 23 日 15:59
なぜ目的意識が大事なのか?
新人の指導教育の時、昔から、「目的意識をもって仕事をしなさい」と言われていますが、なぜそれが良いのでしょうか。改めて考えてみました。
目的意識とは、その行為をしている意味を理解しているということ。なぜそれをやるのか、何のためにその行為を行うのかを自覚しているということです。例えば、「一輪車に土を載せ、10m先まで運ぶ」という行為を考えてみても、そのことでどんな効果があるのか、どんな意味があるのかということを理解している。つまり目的意識があれば、その行為を一生懸命やるはずです。さらに、その目的に自分も共感していれば、いかに効率よくやるか、いかに丁寧にやるかまで考えながら、その仕事をするでしょう。
逆に、その行為に意味を理解せず、ただ「一輪車に土を載せ、10m先まで運ぶ」ということだけに目が向いていると、意欲は低下、途中でさぼってしまうなども起こりそうです。要するに手を抜くようになる。
私たちの日常においても、なんだか仕事にやる気がわかないという時は、たいてい、それをやる意味・目的がわからないという時です。やる意味がわからないけど「上の命令なんだから、しょうがないか」と自分を納得させしぶしぶ仕事をする。とにかくこなそう、とにかく終わらそうという気持ちになっていきます。目的意識がわからないという人は、きっと、こうした仕事の仕方に慣れてしまっているのではないでしょうか。しかし、どう考えても、これはストレスが大きそう。精神的なダメージが蓄積してしまうのではないでしょうか。仕事は、やはり、目的意識をもってやった方が良いに違いありません。
では、どうすれば、目的意識を持つことができるのでしょうか。
ある高校で、生徒たちに「どうすれば、世の中が良くなると思うか?」「今、学校で習っているものの中でその為に役立ちそうなことはあるか?」と質問し、この2つの質問に答えた生徒は、他の生徒より、試験勉強が二倍に増えたという話があります。「目的意識を持て」と教えるより、この問いで目的意識が引き出せたとすれば、良い指導法だと思いました。
いちばん大事なのは、「この仕事の目的は何か?」と常に自分に「問い」を投げかけ、自分で考える習慣ではないでしょうか。「この仕事の目的はこうだ」と教えてもらえば確かに理解できますが、やはり自分自身で「なぜこの仕事をやるのか?」「何のためにやるのか?」と考えていくからこそ「自分が本当にやりたいこと、目指すゴール」も見えてきます。いい仕事をしていくためにも、いい人生を送っていくためにも目的意識は大事なことだと思います。
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2021 年 06 月 15 日 13:23
「遊び」は子どもの成長の原動力
皆さんは子どもの頃、どんな遊びをしていたでしょうか?
昭和の時代は、コンピューターゲームなどはありませんでしたから、私は外で遊んでばかりいました。トンボ、カエル、バッタなどの昆虫を捕まえることや鬼ごっこやかくれんぼなどの定番の遊び、虫眼鏡など道具を使った遊び、岩登りや木登りもやりました。もう少し大きくなると手づくりのパチンコやライフルなど、少し危険なものをつくって遊んでいました。
発達心理学によると子どもにとって「遊び」は、食事や睡眠などと並列に並ぶくらい、心身の成長に欠かせないものだそうです。遊びの中で怪我をしたり、傷ついて、次に失敗をしないために一生懸命考え、行動し、解決策を見出す。このプロセスこそが、幼児の脳を育てるのに、何よりも重要なことだそうです。
大人から見ると、ただ遊んでいるだけに見えるかもしれませんが、子どもは遊びの中から、生きていくうえで大切なことを獲得しています。遊びは、脳や体を発達させるだけでなく、創造性や柔軟性が育つこと、自発性が身につくなどの効果もあるそうです。
独創性、創造性、柔軟性などは、大人になって得ようと思っても得られないもの。幼児の頃から様々な遊びをして、様々なものに触れ、様々な考え方をすることで、大人になってこれらの力を発揮することができるのだそうです。あまり大人が介入して、ルールで厳しくしばりつけると、独創性や柔軟性は育ちにくくなるそうです。そっと見守るのがいいのでしょうね。
私も、幼児の頃のことは忘れましたが、小学生、中学生の頃に自由に遊んだ時の思考法が今の礎になっているように思います。例えば、物が少ない時代だったので、ひとつのものをいろんな角度で遊ぶという体験は、「答えはひとつじゃない」という発想のベースになっている気がします。そう思うと、子どもの頃に自由に遊ばせてくれたことはありがたかったです。
今は、子どもが自由に遊べる環境が少なくなってきましたが、全国に遊びを体験できる場も増えていますので、子どもたちにはどんどん遊ばせてあげてほしいですね。朝から晩まで、また小学生や中学、あるいは高校生になってもいろんな遊びを体験してきた子供たちが増えていくと日本の未来が明るくなりそうです。
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2021 年 06 月 08 日 10:26
すべては「相手から見てどうか?」
「自分はこんなに一生懸命にやっているのに、なぜ、うまくいかないのか?」
部下と上司の間でも、会社とお客様の中でも、いろんなところで、ギャップが生まれています。「伝えているのに伝わっていない」「一生懸命にやっているのに、お客様満足度が上がらない」。こんなギャップはなぜ起こるのでしょうか。
ブロックスが主催する大久保寛司さんの「組織と人の向上セミナー」の中では、一日かけて「上司のあり方」を学んでいきます。その中で、「相手の側からみる」ことの大切さを学ぶ場面があります。
例えば面談を通して、上司は「部下の話を十分に聞いた」と感じていたとします。しかし、実際は話の半分は上司が話をし、部下は「言いたいことが言えなかった」と思っている。今日は部下の話を聞くと決めたなら、部下が「言いたいことがすべて言えた」と感じることがゴールであり、自分が勝手に「話を聞けた」と判断しない。つまり、常に「相手側からみてどうか?」という視点で見なければ、良い結果は生まれないということです。
お客様満足(CS)でも、よく間違いが起こります。「私たちは、お客様に満足を提供します」というのは間違った言い方です。満足したかどうかはお客様が判断するものであり、相手であるお客様が「満足した」と言ってくださって初めて、満足を提供したことになります。サービスを提供したことでお客様は本当に喜んでくださったのか?そこに気を配り、改善していくことで、満足度が高まっていくはずです。
「伝える」と「伝わる」も同じようなことかもしれません。こちらが「伝えた」と思っていても、相手が「わかった」とならねば、伝わったことになりません。「伝える」は一方通行、「伝わる」は、こちらも「伝えた」と認識していて相手も「伝えてもらった」と認識している双方向の様態で、一字違いですが、大きな違いです。
こちらは、「やった(つもり)」、「した(つもり)」と思っていても、相手が受け止めて理解し、行動に移さないのなら、ただの自己満足。「ビジネスは結果が大事。いくら一生懸命に相手に伝えたと言っても、相手に伝わっていないのなら、仕事をしたことにならないよ」と、少し厳しく大久保さんは言われます。
こういう話を聞くと、「こっちはしっかり伝えたのだから、聞かない相手が悪い!」と言う声も聞こえてきそうです。しかし、こういうと相手も「ちゃんと伝えてくれないあなたが悪い」というでしょう。
人が悪いと言っている間は何も変わりません。「どうすれば、相手は聞いてくれるのか?」「どうすれば、言い切ったと思ってくれるのか?」と、自分に指を向けること。やはり「相手を変えるには、自分が変わること」しかないのかもしれません。
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2021 年 06 月 01 日 13:26
「させられる仕事」を「する仕事」へ
「~させられている」という、いわゆる「やらされ感」。「~しなければならない」という、「義務感」。
誰しも人間ですから、こんな気持ちになることは確かにあります。ただ、こんな気持ちで仕事をしていても、「いい仕事」はできませんし、ずっと続くとうつ病になったり、体調が悪くなることもあるかもしれません。
どうすれば、こんな気持ちから脱却できるのでしょうか。
やらされ感の要因は、いろいろとありそうです。そもそも、体調が芳しくないということもあるかもしれませんし、自分がしたいことが他にあるのかもしれません。ですから、こうすれば解消できるという万能薬はないのだと思いますが、自分を振り返ってみると、そうした気持ちになる時のひとつは、その仕事をすることに自分が納得できていない、意義を感じていない時が多いように思います。上司に「やれ」と命じられたが、なぜするのか「目的」がはっきりしない。目的は納得できるが「やり方」に納得できない。求められている「期限」に無理を感じる。
そうならないようにするには上司に聞けばいいいのでしょうが、「聞けない」という人もいるかもしれません。しかし、そのままではまた「やらされ感」になる。どうしたらいいのでしょうか。
昔、私が若い頃にやったことは、「自分で意義を見つけ出す」という手段でした。どんな仕事もやってみないと結果がわからないもの。やってみるといいことも生まれてくるのが仕事です。やってみたおかげで経験が広がったり、自分の能力が高まったり、新しい出会いが生まれたりと、仕事は辛いことばかりではありません。私はどうしても納得できない仕事、無茶だと思う仕事は、自分の幅を広げるための訓練だと思うようにして取り組みました。そうして自分の目的を立てて進めると「自分がする仕事」になり、積極的にできるようになったり、ミスが減り、効率もあがります。納期も早まります。「やらされ感」でやっている時より、きっと「いい仕事」ができているはずです。
「雨は嫌だ」と思っても雨は降っています。嫌だ嫌だと暗い気持ちで一日を過ごすより、「雨のおかげで・・・」とプラスに考えたほうが気分はいい。「ものは考えよう」と言いますが、良い方に考える習慣は、今までの仕事に大きな影響を与えてくれました。
今日も「させられる仕事」をするか、今日は「している仕事」にするか?自分で決めるしかありません。
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2021 年 05 月 26 日 15:59
若手の向上心を育てる「憧れの存在」
先日、弊社で開催中の「若手社員の主体性を高める研修の作り方セミナー」で、「向上心」をテーマにした研修プログラムを実施し、皆さんで「向上心」について語り合いました。
最近の若者は向上心が足りない・・・と言われていますが、皆さんはどう感じておられるでしょうか?
確かに昭和の頃は、「もっと稼ぎたい」「昇進したい」という人が多くいたように思います。ライバルも多かったので、「あいつより上に行きたい」と一生懸命努力を続けてきた人もいます。そうした時代から比べると何か物足りなさを感じる人もいるかもしれません。
ただ、本当に若者の向上心は少なくなっているのでしょうか。時々、テレビ番組などで学校の部活動の取り組みなどが紹介されますが、少しでも良い成績を収めようと先輩後輩が一丸となって必死に努力する姿を見ていると、向上心が足りないのは、若者でなくむしろ大人の方ではないかと思うこともあります。
向上心を支えるものは「こうなりたい」という夢やビジョンです。部活の中の学生たちは、みんな「〇〇先輩のようになりたい」と、憧れの先輩を目標に自分を高めようとしています。そうした先輩は、自分の利益など考えませんから、部のため、後輩のために必死に動いてくれる先輩の姿が「憧れ」になり、後輩のロールモデルになっているのでしょう。
しかし、社会人になってから見る先輩は、ただ業績だけを追いかけ、後輩の面倒をみる余裕のない先輩の姿ばかり。いろんな会社で伺いますが、最近の若手は、「憧れの先輩」「憧れの上司」がいないという時代なのだそうです。向上心の足りなさを若者のせいにしてしまいがちですが、もしかすると、私たち先輩や上司の側に問題があるのかもしれません。
以前、伊那食品工業さんの訪問学習会の時に、若い社員の人たちが、口々に「先輩のようになりたい」と憧れの人の素晴らしさを語られることに驚いたことがあります。社員全体がいきいき働いている会社には、まだ「憧れの存在」が機能しているようです。
リッツカールトンの方から聞いたのですが、同社では「上司や先輩は、後輩をがっかりさせてはいけない」という指針があるそうです。私たちは、学生時代に成長することの感動を味わった新人たちをがっかりさせていないか。
今一度、自分自身を見直していこうと思います。
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2021 年 05 月 18 日 16:23
「満足」と「たいへん満足」の差
この間、ネットに掲載されている車の購入に関するCS調査結果を見ていました。
次回購入意向に関する項目で、「もう一度、この店で新車を購入するか」という質問に対して、今の対応に「たいへん満足」と答えた方の67.9%の方が「とてもそう思う」と返答。「満足」と答えている方の中で「とてもそう思う」という方は、17.5%。なんと、「たいへん満足」のグループと「満足」のグループには、およそ3.9倍も開きがありました。「満足」のグループでも、「とてもそう思う」の次の「そう思う」が45.9%ですので、満足はされている。なので何割かは今の店で車を購入されると思いますが、やはり、お客様が「たいへん満足」くらいにまでいかないと、お客様のリピートにはつながらない時代なんだと、改めてこの業界の厳しさを実感しました。
「満足」と「たいへん満足」の差はどこにあるのでしょうか。食事の例で考えてみた時に、メニューを見て、1000円の食事をする。味も美味しく、サービスも問題なし。これは「満足」だと思います。美味しくなければ、不満足でしょうし、お店が汚い、挨拶がぶっきらぼうでは不満になりますが、「期待通り」だったら「満足」と思うのではないでしょうか。1000円のランチだったら、こんな感じだろうという期待通りの結果だったわけです。しかし、その期待を超えてここで思いかげず個別対応をしてくれたとか、思った以上に親切にしてくれたとか、期待を超えるものがあった時には「たいへん満足」と答えるかもしれません。
「満足」「たいへん満足」の判断のポイントは、年々変わっていくはず。例えば以前は「道端までのお見送り」というサービスは、ある一部の店しかやっていませんでしたが、今やほとんどのお店がしています。だから、そのサービスを受けたとしても、もはや期待の中にあるもので驚きません。年々どの店のサービス水準が高くなっていますので、「たいへん満足」という結果を生み出すのが、大変な時代だと思います。
ただ、そんな中で「たいへん満足」を生み出している店もあります。例えば、ネッツトヨタ南国(DOIT!)さんでは、指示命令やマニュアルで動くのではなく、すべての社員が「今、この場でお客様のために何をすればいいか」を感じ、自ら考え、自ら行動することで感動を生み出しておられます。また、先日発売した「レクサス星が丘(志GOTO人)」では、車業界ではなく、「すべてのサービス業の中で一番になる」という目標を掲げ、問題点を日々改善したり、感動のサービスにトライし続けておられます。
ただ「たいへん満足」をめざすというと、今以上にいろんなサービスを足していかないといけないとか、お客様を驚かせるようなことをしなければいけないと思いがちですが、先ほどのアンケート調査で、お客様がお店に求めていることは「購入後も変わらない気配り」「スタッフへの相談のしやすさ」「商品知識や専門知識」「整備内容の説明」など、ごくごくあたりまえのことばかり。人としてのちょっとした気配り、ちょっとした心配りの積み重ねて生まれてくるのではないのでしょうか。「人の心の差」です。
「たいへん満足」を生み出すのは「小手先のメニューづくり」などではなく、今や組織や人財育成が問われているのだと思います。
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2021 年 05 月 12 日 16:11
予期しない感動サービス
先日、ある用事でタクシーを利用した時のことです。
運転手さんは、60過ぎの男性です。私が行き先を告げると、「のど飴、いかがですか?」と袋からイチゴ味の飴をひとつ渡してくれました。ご自身が気分転換に買ってこられたものだと思います。会議が続いて脳が疲れていたので、甘いものが欲しかったところだったので「ありがとうございます。」と受け取りました。
「こんなご時世ですから、飴でもなめてゆっくりしてください」と運転手さん。
そこから会話が弾み、コロナのこと、景気のこと、若い人の生き方、昔読んだ漫画のことなど、いろいろ話をしました。そして、料金を支払い、降りるときに「電車の中で召し上がって」ともう2粒渡してくれました。
お伺いすると、元々は飲食店関係のお仕事をされていたそうです。人が喜ぶのをみるのが好きなんだろうなと、その雰囲気でお気持ちが伝わってきました。
この飴と飴をくれた運転手さんの気持ちが嬉しくて、心に残りました。
仕事柄、いろんな顧客サービスを気にしてみていますが、やはりこうした「無私の心」「利他の心」から生まれる「さりげないサービス」が心に残ります。乗車時にテッシュを渡してくれるタクシー会社もありますが、あれは会社のルールですから、そんなに感動しません。また美容室などでも「ご自由にどうぞ」というメッセージと共に飴を置いているところもあります。
今回のケースは、運転手さんが自分で食べようと思って買ってきたものを渡したもので、いわゆる「仕組みになったサービス」ではありません。予期しなかったサービスだったら、余計に心に残ったのかもしれません。
しかし、何よりも嬉しいのは、運転手さんの気持ち。「こんな状況で、きっと、みんな疲れているんだろうな」と思われていたのでしょう。会話も弾むし、少しでも喜んでくれたらという思いから生まれたもので、リピーターを増やそうとか、CSポイントを高めようなどの邪心は一切ない、純粋な「思いやり」だったらから、人の心に伝わったのだと思います。
今、世の中に多くある、様々なサービスは、「10%割引サービスです!」、「朝食無料サービスします!」、「〇〇の特典付きです!」と、いかに得であるかを訴求してきますが、私はそのサービスを利用して、感動したことはありません。原価をかけて、広告費をかけてされているのに申し訳ないですが、心に残ることはありませんでした。
今回は、たった数粒の飴。原価にしてみれば、10円もかかっていないものですが、その提供の仕方と提供者の思いで、私には小さな感動が生まれ、思い出に残りました。
「集客」のために、インターネット広告でますます「特典サービス」はエスカレートしていくと思いますが、その路線ではない「心に残るサービス」は、「定着」(感動→ファン化)につながるはず。小さな思いやり、些細な気配りなどが、益々大事になるように思います。
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2021 年 05 月 07 日 16:09
“難しい”という言葉を使う人、使わない人
何かをやろうとするときに、よく「難しい」という言葉を使う人がいます。
「どうすればいいだろうか?」→「難しいですね」。
「他の方法はないだろうか?」→「難しいですね」。
その人は、そんなに深く考えていないのかもしれませんが、その言葉を発したとたん、もう考えるのを諦めてしまいようになりますし、前向きに話をする空気が削がれてしまいます。
「難しい」という言葉は、自分を思考停止に向かわせる呪文かもしれません。
確かに「難しい」ことは難しい。しかし、だから何とかしようとしている訳で、みんなで話し合っている時には、この言葉を封印してみるのが良いのではないかと思っています。
例えば、出口が見つからず、新しいプロジェクトが停滞しているとした時に、みんなで「どうしようか?」と話し合っているとします。「難しい」という言葉を封印してしまえば、まず、どこに課題があるのか見つるところから考えてみようとするかもしれません。次に、なぜそうなるのかを考えてみる。そして、ひとつひとつに新しいアイディアを出してみる。「難しいこと」も具体化していけば、どこかに突破口は見つかるはずです。
こうやって考えている時には、過去の体験を総動員する、知識を総動員する、創造性を発揮してイマジネーションを働かせているはずです。私はこのプロセスこそ、仕事の楽しさではないかと思うのです。
「難しい」という言葉を聞くと、「よし、やってやろうじゃないか」とふつふつと闘志がわいてくる人がいますが、その人はきっと、この瞬間が楽しいことを体験的に知っているのだと思います。
「難しいこと」に出会うのは、その人が挑戦している証拠。ここを乗りきって、一度、この楽しさを実感できれば、その後に起こる「難しいこと」の意味や捉え方がきっと変わってくるのではないでしょうか。
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2021 年 04 月 28 日 16:08
“真実の瞬間”を見直そう
顧客満足(CS)を考える時の大切なキーワードとして、昔からあるのが「真実の瞬間(MOT)」という言葉です。これは、1980年代にSAS(スカンジナビア航空)が経営再建に取り組んだ時に、その復活の鍵となったのがこの「真実の瞬間」という考え方でした。
当時、スカンジナビア航空の最高責任者に就任したヤン・カールソン氏は「顧客がサービスに満足する瞬間はどこか」について考えました。調べてみると、年間1000万人の登場者に対して、従業員5人が1人のお客様に対して接する時間は平均すると15秒。この15秒のどこかで、お客様は「満足」を感じたり「不満」を感じたりします。そして、その瞬間の感情で「また利用しよう」「しない」という判断をするのです。この結果からヤン・カールソン氏は、それぞれのポイントで従業員のサービスの改善や意識改革を行い顧客満足を高め、経営回復に成功したのです。
「お客様は、その企業に接する短い瞬間で、その企業のサービスの良し悪しを決めてしまう」ということですが、確かに、いくら料理が美味しくても、運んでくれる人が無愛想だったり、いいサービスをしてくれなければ、そこで「不満」になり、全体の満足が下がります。こんな体験は皆さんもあるのではないでしょうか。
「人によるサービス」以外にも、トイレが汚れていたり、最近であれば、消毒液が用意されていなかったり、スタッフがマスクをしていなかっただけで「不満」になります。もし「最近、お客様が少なった」と感じておられたとしたら、それはコロナや景気の影響かもしれませんが、店が気づかないだけで、小さな不満から生まれているものかもしれません。
では、どのようにすれば、顧客サービスの改善ができるのでしょうか。例えば飲食店では、お客様がネットでお店を探す→入店する→挨拶をする→席に案内する→メニューを見て料理をオーダーするというように、入店から退店までの「お客様が接する場面」を洗い出します(サイクル化)。そして、そのひとつひとつの接点で、お客様が当たり前と思っているサービスを書き出し、さらに「あったらより嬉しいと思うサービス」を書いてみる。その中で見直しや改善を生み出していくのです。特に、コロナ禍でお客様の衛生意識が高まってきた今、それぞれの接点でのお客様の期待・ご要望は大きく変化していると思います。今こそ、サービスの改善に取り組んでいくときかもしれません。
この「真実の瞬間」(MOT)を見直したい時に、便利なアプリケーションがあります。これは「顧客ロイヤルティ協会」さんが開発されたもので、「デジタルMOT」というものです。研修や会議の時に、ここにみんなの意見を入れていくだけで、お客様視点での自社サービスの改善ができます。使い方の体験会もあるそうです。http://www.customer-loyalty.jp/
また、弊社の新発売DVD「レクサス星が丘」の映像でも、お客様の声に添ってサービスの見直しをしていくCS向上の活動が紹介されています。こちらも参考になります。
https://www.doit-fun.jp/shopping/products/detail.php?product_id=215
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メルマガコラム
2021 年 04 月 20 日 16:22
困難をどう受け止めるか
大阪では1日の感染者が1200人を超えるなど、コロナの第4波が拡大しています。再び緊急事態宣言が発令されるのか。コロナ禍はまだまだ続きそうです。
先日、弊社のオンラインセミナー「未来×幸せ経営フォーラム」(第2回)のゲストにお迎えした、徳武産業の十河会長と、王宮 道頓堀ホテルの橋本専務に、このコロナ禍でどのような対応をされたかをお伺いしました。その中で、この苦難に対する「経営者の姿勢」が心に残りました。
徳武産業さんは、高齢者向けのケアシューズを製造・販売されている会社ですが、昨年の緊急事態宣言の時は、販売店さんへの訪問活動ができず、また全国の売り場が休業になり売上が大きくダウンしました。その時に十河さんはこの危機をどう乗り越えるか。必死に考えられました。まず営業先を取引額から重点化し、オンライン営業に切り替え、営業体制を効率化することに。また一方で「今は、みんなが危機を感じてくれている千載一遇のチャンスだ」と、社員に呼びかけ、経費の徹底的な見直しを行いました。その他にも、こうした時に喜ばれることは何かと考え、在宅の高齢者を訪問するヘルパーさんが安心して介護に出向けるようにと、抗菌・防水加工をした薄くて何度でも取り換えられる室内シューズを開発。新しい需要を生み出しました。こうした取り組みの結果、前期の利益の減少は、前年をたった2%ダウンしただけで、今期は過去最高の利益が見込まれているそうです。
十河会長は、「悪い時が起こる時、私は、それは我々に何かを教えてくれていると受け止める」と仰っています。「困難」を冷静に見つめて工夫・改善する、少しずつ乗り越えていく。そのプロセスで新しい力を蓄え、成長する。困難をチャンスとして受け止め、活かすこと大切さ教えていただきました。
一方、王宮 道頓堀ホテルさんは、もっと深刻な事態です。海外のお客様中心に伸ばしてきたホテルに、お客様がまったく来なくなってもう1年が過ぎています。大阪に3つあったホテルの1棟を閉鎖し、長期滞在者の為のプランや、会議や研修用のホテル一棟貸しというプラン、宴会場の料理の通販など、ありとあらゆる努力をされています。しかし、いちばん大変なのは社員の人たちのモチベーションの維持だと言われます。橋本専務は、社員に対し「明けない夜はない」と励まし、「夜にしかできないことをしよう」と様々なチャレンジをされてきたそうです。社員一人ひとりとの面談、応対研修、理念や人事制度の見直し、経費の見直し・・・数年くらいかかりそうなことをこの間に徹底的にやってこられたのです。
「ピンチをチャンスに」。しかし、この言葉は当事者になると腹立たしく聞こえる時があります。大きな困難に遭遇した時は、誰もが途方に暮れ、解決策が浮かばず、後ろ向きになってしまいます。「チャンスなどがあるなら教えてほしい」。そんな気持ちになるのが普通です。
しかし、困難な状況は変わらなくても、困難の捉え方は変えることができる。今回のコロナ禍でも前向きにとらえる人とそうでない人の差は出てきているのかもしれません。
コロナが、我々に何かを教えてくれているとしたら、何を教えてくれているのでしょうか?
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セミナー メルマガコラム 素晴らしい会社
2021 年 04 月 13 日 14:00
成長する新人、成長しない新人
新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。
いろんな方が言われていることですが、この新人時代に、仕事にどう向き合うか、どんな気持ちで過ごすか、どんな体験をするかで、その先の「伸び方」が大きく変わると思います。
例えば、新人は技術を先輩から「あれをやっておいて」「これをやっておいて」と何かと用事を頼まれますが、この用事をただ、「こなす」ようにやるか、好奇心をもって「くふう」しながらやるか。小さな用事をすることひとつでも大きな差が生まれてくるように思います。
例えば「お茶を入れる」という用事。先輩から手順を教えてもらって、やってみる。手順に従えばたぶん1~2回のレクチャーでできるようになるはず。しかし、それだけでは満足せず、次のステップは「どうすれば美味しいお茶をいれられるか?」と基準をあげてやってみる。
同じ茶葉でも茶葉の量、湯の温度、湯の量、浸出時間はもちろん、注ぎ方、湯のみに注ぐ順番など、「美味しさ」にはいろんなポイントがあります。その他、提供するタイミング、所作や表情ひとつでも美味しさは変わるはず。「お茶を入れる」というのは「用事」のひとつですが、本来は「茶道」と言われるくらい突き詰めれば深いものがあり、これで人を感動させることだってできる重要な「仕事」です。
しかし、よく若手は、「先輩は私にばかり雑用を押し付けてくる」とか、「重要な仕事を任せてくれない」など、「お茶を入れる」という用事を軽く考えることがあります。そういう気持ちになれば、これは「こなし仕事」になってしまい、考えることも工夫することもしない。いわゆる「身が入らない仕事」をする訳です。
「身が入らない仕事」でも一応は「用事」は終わります。「ありがとう」と言われるかもしれません。ただ、怖いのは、そうして終わっていく中で「こんな仕事への姿勢でいいのだ」「仕事とはこういうものなんだ」と感じてしまうことです。そうなると、他に頼まれた仕事も「こなす」ようにする。そうすれば、きっと面白くなくなります。面白くないと、ますます作業化(こなし、さばき型)になる。益々創造性がなくなる。最後には「自分には向いていない・・」と仕事が嫌いになる・・・。一年目でどんな「仕事観」を身に付けるか。本当に重要です。
頼まれたひとつの「用事」にどう向き合うか?
雑用というものは、その人が「雑にする」ことで、そもそも世の中に「雑用」という仕事はないはずです。どんな仕事であれ、用事であれ、とにかく、ひとつひとつに疑問、興味、好奇心をもって真剣にやる癖をつけること。先輩の教え方も大事な気がします。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 04 月 08 日 10:29
商売への姿勢が問われる時代
先日、ある美容室のオーナーのお話を伺う機会がありました。その方は、自分の使命は「お客様の元気を創る」ことだと明言されています。美容室ですからお客様を綺麗にすることは当たり前のことなのですが、その方は、お客様がこのお店に来られて「ああ元気になった」と感じてもらえるような存在を目指しています。そんな思いになったのは、何人ものお客様から「あなたにやってもらうと元気になる」と言ってもらったことがキッカケで、自分の役割とは何かと深く考えた時に、自分の使命に出会えたのです。そんな風にお店を続けてこられて十数年。オーナーの姿勢に共感し、長く通うお客様が少しずつ増えているそうです。
そんなお話を聞いて、私はお店の「姿勢」について考えてみました。こんな時代に益々重要な気がしたからです。そもそも「姿勢」というものは、オーナーの信念であり、どこにもない独自のもの。他店が真似しようにもできないので、差別化になります。また、「お店の姿勢」に共感したお客様は、きっとそのお店を長く利用されるに違いありません。そう簡単に同じ姿勢のお店に出会うことはありませんし、自分の価値観に合うお店をわざわざ変える訳がありません。もちろんこのオーナーの姿勢がぶれてしまえば、来ないでしょう。しかし、姿勢は人生の哲学に近いものですから、そう簡単に変わらないはず。ただ、お店の姿勢は何度か利用してみないと伝わらないので宣伝が難しい。しかし、今はSNSの時代ですから、お客様が本当にお店の姿勢に感動されたら、口コミで発信してくれるでしょう。お店の姿勢への共感者が増えることは、いいことづくめです。
しかし、いくら姿勢が大事だといっても、その姿勢に共感が生まれなければ、意味がありません。お客様が共感する姿勢とはどんな姿勢なのでしょうか。例えば、「儲けることが大事」という姿勢の人に共感する人は少ないかもしれません。先ほどのお店では「お客様の元気を創る」ということがお店の姿勢でした。やはり、社会にとって自分たちがどんな存在でありたいかということが明確であり、しかも、そこに魂がこもっていなければ、他人の共感など生まれないはずです。
今回は、小さなお店のことから「姿勢」と商売の関係について考えましたが、もしかすると、営業マンであっても、販売員であっても、クリエイターであっても、漫才師であっても、成功する人は姿勢が違います。
どんな姿勢で働くか?問われているのは「やり方」でなく「あり方」です。
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お客様 メルマガコラム 思うこと
2021 年 03 月 31 日 12:00
帝京大学ラグビー部に学ぶ若手の育て方
いよいよ新入社員が入ってくる4月です。
いろいろな会社で、今受け入れや新入社員研修のご準備をされていることと思います。
さて、ご存じの方も多いと思いますが、ラグビーの大学選手権大会で9連勝をした帝京大学は、これまでの根性・気合・上からの指示命令によるコントール型の組織に限界を感じた岩出雅之監督が、生徒が自ら考え、自ら行動し、自ら成長する自律型組織づくりに挑戦されてきた大学です。岩出監督の著書「常勝集団のプリンシプル」(日経BP社)には、モチベーション論やフロー理論など、ビジネスの世界に通じる話が多く、感銘を受けられた方も多いのではないでしょうか。
これまでの大学スポーツの部活の多くは体育会系。4年生が神、1年生は奴隷のような存在で、雑用は1年生の役割でした。監督が頂点に立ち、勝利を目指して部員に細かく指示命令していくセンターコントロール型組織が一般的でした。
ある時、岩出監督はこの組織では有力選手が集まる伝統校に勝てないと気づき、変革を決意されます。そのひとつが脱・体育会文化です。
まず、実行したのは、雑用を1年生の仕事ではなく4年生の仕事としたこと。環境変化に慣れない1年生が心の余裕が持てるようにと、上級生が掃除や食事の片付けなどを行います。以前テレビで、帝京大学ラグビー部の様子が放映されましたが、4年生が率先して雑用をこなし、1年生の世話をする姿は、本当に感動的でした。
こんな文化の中では、1年生はきっと安心して1年間を過ごせるでしょう。そして、自分たちの練習もあるのに、自分たちのことを考えてくれる4年生を尊敬するようになるはず。先輩やチームへの愛情が生まれていくのもこの時期です。また、4年生は4年生で、人のお世話をすることや掃除などを通して、人間として大切なことに気づくことも多いそうです。
私たちビジネスの世界には、そんな体育会系な文化は少ないと思いますが、今の若い人たちは、入社後の環境変化についていけず、5月病になったり、うつ病になったりする新人もいます。帝京大学のように、先輩たちが出来るだけ雑用を引き受けてあげ、少しでも仕事に専念できるようにするなど、新人の心の余裕を作っていくような文化は、職場の中で大切なことかもしれません。
考えてみれば、先輩が先輩風を吹かせて、後輩に何でもやらせるようになっては、その先輩の成長が止まってしまいます。人が嫌がることを率先する、人の為に何かをやる。そんな行動の中で人間としての成長が生まれてくるのではないでしょうか。企業も、センターコントロール型から、自律型組織への変革が求められていますが、良き文化をつくるには、新入社員だけでなく、先輩(2~3年次)の関わり方も見直していく必要があるのではないでしょうか。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 03 月 24 日 10:40
いい会社の経営者の4つの共通点
私たちブロックスが昨年からスタートした、オンラインでの経営者の学びの場「未来×幸せ経営フォーラム」は、昨年第1期(4回)を終え、この3月からまた新たな受講生が加わり、第2期(4回)が始まりました。
先行きが不透明な時代に、CSやESが高い、いい会社の経営者はどんな風に考え、どのように舵を切ろうとされているのか。これまで5組、10名の方のお話を伺いましたが、そんな経営者の皆さんの考え方や姿勢の共通点を整理してみました。
1.社員の幸せへの強い思い
そもそも企業は何のためにあるのかというと、人が幸せになるためです。ご登壇いただいた経営者の皆さまの第1の共通点は、この社員の幸せに対するぶれない信念です。社員の幸せを考えるからこそ、しっかりと利益を生み、このようなコロナ禍に備えておく。苦しい状況でも、働いてくれている人の健康や生活に気を配る。このコロナ禍でより経営者の差が見えてきました。そして、きっと、社員の幸せは、どんなに時代になろうとも、企業がある限り、きっと不変的な第一基準であり続けるのではないでしょうか。
2.逆境においてもポジティブ
経営者は楽観的でありすぎても悲観的になりすぎてもいけないと言われますが、ご登壇いただいた経営者の皆さまから受けた印象は、やはり、こんな時にも明るく未来を捉えておられるということです。変化は確かに痛手ではある、でもこういう時こそ変化していこうと、時代の変化に前向きに挑戦されておられます。①への変わらない思いがあるからこそ、変えるべきことは速やかに変えていく。これまでも、これからも、お客様の満足の進化に立ち止まらなかったからこそ、ファンが生まれていくのだと感じました。
3.学び続ける経営者
今回のセミナーにご登壇いただいた経営者の皆さんから、「自分ももっと学びたいので、このセミナーに受講者として参加したい」と自分のセミナー後も参加されているのですが、この「自分はまだまだ」という経に対する謙虚さも、素晴らしい経営者の共通点です。成功すると「これでいいや」と思いがちですが、いい会社の経営者ほど、学びを止められません。常に他の経営者のやり方や考え方を学び、自分たちを進化させていこうという経営者の姿勢は、きっと社員にも伝わり、社員も自分を成長させていこうと思うに違いありません。
4.人間への愛・優しさ・思いやり
参加者の皆さんは、ご登壇いただいた経営者の皆さんの発言の中に、「ぶれない哲学」を感じられたことと思います。そして、いろんな質問に答えられる姿勢・態度をご覧いただいた時に、素晴らしい人間性も感じられたのはないでしょうか。私自身も感じていましがが、それは何だろうと考えた時に出てきた言葉が「愛・優しさ・思いやり」です。この軸があるからこそ、私たちは人として経営の話に共感できるのだろうと思います。「こうすれば効率的な経営ができ成功する」という最新の経営論があったとしても、その経営に参加する社員が幸せを感じていなければ成立することがないように、どんな時代になろうとも、経営者の信念の中に人への愛や思いやりがなければ、経営はうまくいかないではないでしょうか。
次回の未来×幸せ経営フォーラムは4月15日です。高齢者の歩行に関する悩みに応える靴を販売する香川県の徳武産業さん、このコロナ禍の逆境の中でも社員の幸せを守り続けておられる大阪の道頓堀ホテルさんにお話をお伺いします。どんな時代にぶれない経営のあり方やイノベーションの生み出し方について、具体的にお伺いしていきます。
「未来×幸せ経営フォーラム」https://www.doit-fun.jp/blocksseminar/20210310_0622
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メルマガコラム 素晴らしい会社
2021 年 03 月 17 日 10:17
仕事に役立つ「成功事例の学び方」
先日弊社で、新しく発売した「志GOTO人シリーズ」の“レクサス星が丘”の事例を使って社内勉強会を行いました。参加者には当日までに「映像を見てメモを取ってきてもらう」こと、「この店がなぜ成功しているのかを自分なりに考えてくること」を宿題に出し、テレワーク中の社員も参加し、オンラインで行いました。
最初は、自分の「視聴メモ」を持ち寄り、この店の「素晴らしい点」を整理するワーク。この店の良い点のいくつかの軸が見えてきます。次に「なぜ、このお店はお客様が増え続けているのか」という問いに対しての話し合いをしてもらいました。
オンラインだったので、グループ討議を直接見ることができなかったのですが、あるグループでは、うまくいっている理由を考えている途中にも関わらず、「自分たちはどうなのか」という意見も出てきて、次第に「レクサス星が丘」の事例を忘れて、「もっとこうすべきではないか」という自社の改善案が話し合われていたようです。対話の中での気づきが社員のマインドに火をつけたようです。
ところで、皆さんは「成功事例から学ぶ」というとどんなイメージがしますか?
一般的には「良いやり方・方法を取り入れる」というイメージでしょう。確かに、成功事例の中には簡単に真似できる「やり方」もあります。しかし、大胆で斬新な方法ほど「凄すぎて真似ができない」という意見になってしまうこともあります。せっかく優れた事例なのに「できない」「無理だ」の話ばかりになり、後ろ向きな会議になってしまったことはありませんか?
しかし、「成功事例の学び方」は「やり方を取り入れる」ことだけではありません。それが弊社の勉強会で行った「成功事例を題材に、“なぜ成功しているのか”を自分たちで考える」という学び方です。
「事実を観察して、素晴らしい点は何か?」と整理する。そして、「なぜ成功しているか」を自分で考え、みんなで話し合う。このプロセスをやっていく間に「本質を考える力」が付き「どの業種にも通用する成功の原則」が見えてきます。それが見えてくると、自分たちに置き換えることができ、先ほどの弊社の対話のように、自分たちの仕事をその原則をもとに変えようという議論になっていきます。いきなり成功事例の企業のようなレベルにはなれなくても、少しだけなら近づけるはず。ここには「無理だ、できない」という会議にはない前向きなエネルギーがあります。
「成功の法則」は知識として学ぶこともできますが、先ほどのチームは議論の中から自分たちで発見したのだと思います。「わかった」という感じになれば議論は面白くなります。前向きなアイディアも生まれてくるはずです。
成功事例の「優れたやり方を学ぶ」という視点だけで見るのではなく、「なぜ、うまくいっているのか?」と深掘りしていく視点で見る。これからの時代に必要なのは「優れたやり方」という知識より、後者で身につく「考える力や「気づく力」、「深める力」ではないでしょうか?
〇志GOTO人シリーズ「レクサス星が丘」の詳細内容はこちらへ
https://www.doit-fun.jp/shopping/products/detail.php?product_id=215
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メルマガコラム 勉強会
2021 年 03 月 09 日 18:57
シニアシフト時代のファンづくり
内閣府は2050年には2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上と推計しています。
こうした高齢化に進む時代の中で、シニア層のお客様にいかに気にいっていただけるか、愛されるか、シニアシフトなどと呼ばれ、これからの商売のポイントのひとつだと言われています。
シニア層のお客様にファンになっていただくためには、どんなこと気をつければいいのでしょうか。
自分自身もだんだん近づいているのでわかってきたのですが、若い時ほど新しいもの、最新のものに欲しいものに興味はなくなります。ただ、ワクワクすることや元気になるようなことには興味があり、旅行や健康に人気がある理由もわかります。
接客する方などは、まさにシニア層と毎日接しておられる訳ですが、コミュニケーションの難しさを感じておられるのではないでしょうか。以前、「志GOTO人シリーズ」で高齢者向けのスマホ教室でお年寄りから大人気の方をご紹介しましたが、彼女はスマホの使い方を説明する時に、お年寄りを励ましたり、ワクワクさせるような説明を心掛けておられました。この仕事に就く前、お母さんの介護の体験もその接客のベースにあるようですが、高齢者対応では、時間をかけた丁寧なコミュニケーションは何よりも大事だと思います。「一人にどれだけ時間をかけているの!」と叱られるような効率重視の職場では、いいシニア接客はできないのではないでしょうか。
他にも、シニア対応にはテクニックがあるのかもしれませんが、私が最も重要だと思うのは、テクニックの後ろにある「心」。そんな気がします。年齢を重ねるということは、体験を重ねること。嫌な思いをしたり、嬉しい思いをしたり。いろんな体験の中から、だんだんと本質を見抜く目、人を見る目が養われていきます。それがシニア世代の特徴だとすれば、テクニックと同時に人間力も磨いていかなければ、シニアのファンをつくれません。
ホンダカーディーラーの中で常にお客様満足度トップクラスのホンダカーズ中央神奈川の創業者、相澤賢二氏は、お客様の満足にこだわっておられる経営者でしたが、サービスに関しては常に時代の先を実践されていました。相澤さんがある本の中に以下のようなことを書いておられます。
「セールスでは流れるような口上を述べているだけでは駄目。形だけの笑顔も駄目。そんなものはお客様がすぐ見抜きます。誠心誠意、真心の笑顔で対応すれば、それはお客様にも響くものなんです。当社では、スタッフ全員が気持ちで説明しています。」
シニア世代の方なら共感することが多いのではないでしょうか。私も、例えテクニックが未熟な若い人であったとしても、その人が心から一生懸命にやってくれ、誠心誠意に対応してくれた時にファンになってしまいます。表面的なもの、取り繕っているものが通用しなくなる。シニアシフトとは、本質シフトということなのかもしれません。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 03 月 02 日 17:15
目標を達成する技術
リモートワークの時代になり、社員が会社に出勤することなく好きな場所で仕事をするのが当たり前になってきました。今まで以上に自分で目標を立て、自分自身で行動の管理ができ、問題を発見し、改善することが求められています。しかし、それ以上に、夢は自分の行動の源泉です。夢や目標を持っている人は、いきいき働いています。
しかし、夢や目標はすぐに諦めてしまい、途中で挫折する場合もあり、夢・目標を持つことの大切さを知っていても、目標達成の技術を身に付けている人は多くありません。セルフマネジメントの仕方が難しいのが目標達成の課題です。
この目標達成の技術を開発し、学生やスポーツ選手、ビジネスマンに指導されてきた第一人者が、原田教育研究所の原田隆氏。元々学校の教師で、荒れた高校生の生活指導をされたり、ある公立中学の陸上部を13回も日本一に導くなど、熱心に生徒を指導。その体験から編み出されたのが「原田メソッド」という目標達成の技術です。数年前から企業でも注目されるようになり、ユニクロ、キリンビール、大和証券など延500社、10万人以上のビジネスマンが受講され、海外にも波及しているそうです。
その原田メソッドのひとつが「オープンウィンドウ64」という目標達成ツール。マンダラチャートとも呼ばれることがありますが、ベースは原田メソッドです。メジャーで活躍中の大谷翔平選手も、高校生の時に先生から教わり使っていたことでも有名です。
「オープンウィンドウ64」は9×9マスのシートを使います。まず、真ん中に「自分が成し遂げたいこと」を書き、次にその周辺の8マスにその「要素」を書き、さらにその「各要素」を実現するための「行動目標」を8個ずつ書いていきます。私もこのマンダラを使っていますが、漠然としていた夢を要素に分解し、何をすればいいか、具体的にしていけば日々の行動が明確になりますし、自分自身で課題が見つけることができるので、実践的です。目標を上司に管理されるのではなく、自分で管理する、まさに自立型セルフマネジメントのツールのひとつなのです。もちろん、これだけで目標達成できる訳ではありませんが、ここから日常に落としていく技術など、原田メソッドはメンタルを意識して作られています。
原田先生は、夢を実現するのは独別な人だけではなく、誰でも技術をマスターすれば実現できると仰っています。先行き不透明な時代、誰も正解がわからない時代は、ますます「自分で道を切り開く時代」になってくるはずです。こうした技術を身に付けようとする企業や社会人は益々多くなっていくのではないでしょうか。
そんな原田先生を、3月10日に開催するブロックスの「未来×幸せ経営フォーラム」のゲストにお招きしています。同時に、以前から人財育成に原田メソッドを導入し、成果を出し続けられている「ヨリタ歯科クリニック」の寄田院長にも登壇いただき、お二人に人財育成の要点やコツをお伺いする予定です。社員の真のやる気づくり、目標管理などにお悩みの方は、ぜひご参加してみてください。
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セミナー メルマガコラム
2021 年 02 月 24 日 16:19
「柔らかい脳」の大切さ
変化が激しくなる時代には、過去の常識が通用しなくなる。だから頭を柔らかくして変化に対応しなければいけない・・・。
最近、よく言われることですが、そもそも、頭が固い、柔らかいとはどんなことなのでしょうか。
頭が固いとは、これまで自分が身に付けてきた知識や常識に囚われるあまり、「先入観」が出てしまい、「そんなことは無理だ」「〇〇とはこういうものである」と思考に制約や限界を設けてしまうことです。例えば、このコロナ禍で「オンライン会議」が定着しましたが、「会議はみんなが顔を合わせてこそ価値がある」という先入観にとらわれている人は、導入に抵抗があったに違いありません。試したとしても「やっぱり直接合わなきゃ駄目だ」と新しい可能性を深めようとしない。「上司は頭が固い」と思った若者も多かったようです。
しかし、私は、この「頑固さ」も悪いことではないと思います。「頭が固ければうまくいかない」「古い考え方が悪い」というのも、先入観のひとつではないかと思うからです。
ただ、変化が激しくなる時代には、柔らかい脳の方がうまくいく可能性が高い。では、固い頭を柔らかくするには、どうすればいいでしょうか?頭が固くなっているということは、思考に制約や制限をかけてしまうことですから、そもそも「自分は頭が固くなっているかもしれない」と考えるところから意識しないといけないのでしょう。私も年を重ねていますので注意しないといけません(笑)。
しかし、若い人と話している時に「意外と頭が固いな」と感じることがあります。「正解はひとつ」だと思い過ぎている人です。「正解は何だろう?」と考えるのはいいのですが、その答えを「先生」に聞こうとする。インターネットで検索すれば「答え」が出てくるのでそれ以上は考えない。他にも正解があるのではないか?もっと別の道があるのではないか?正解のない時代には、ブレーンストーミンなどで頭を使っていく時のように、いくつもの正解を考えていく発想も大切だと思います。
私が尊敬する人で「この方は本当に頭の柔らかいな」と思う方がいます。柔軟に考えられますから発想が斬新です。壁があっても、それをどう乗り越えようかと思考を巡らせているのでどこか面白そうな感じもします。柔らかい脳でいることは、今の時代を生き抜くこと以上に、いい人生を送るためにも大切なことかもしれませんね。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 02 月 17 日 15:51
信じるのは言葉ではなく行動
以前、SNSでこんな詩を見つけ、ドキッとしました。
—————————————————–
子どもに「勉強しなさい」とう言うなら、あなたも勉強しなさい。
子どもに我慢を求めるなら、あなたも我慢しなさい。
子どもに何か求めるなら、あなたも応じなさい。
子どもが信じるのは、言葉ではなく行動だけ。
—————————————————–
親として、身につまされる厳しい言葉ですが、皆さんはどうお感じになれますか?
私は、部下と上司の関係も同じだなと思いました。
上の詩の「子ども」を「部下」と変えても、まったく変わらない。
いくら言葉で伝えても、部下が見ているのは言葉ではなく、上司の行動。
知識や技術は教えることができます。しかし、「姿勢」や「価値観」は、教えるものではなく、こうやって周りの大人の行動を通して“伝わっていく”ものかもしれません。
よく、理念が浸透しない、部下が成長しないという悩みを聞きます。
もしかすると、原因は単純なのかも。つまり、上司や先輩がそうしていないから。
部下が信じるのは、言葉ではなく、行動だけ。
そうならば、言葉でいうのではなく、自分達から行動していくしかありません。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 02 月 09 日 11:26
新しい時代の顧客満足
私が顧客満足(CS)という言葉に出会ったのは、今から30年位前のことです。第一次CSブームです。物が売れなくなってきて、お客様に満足していただかなければ、企業は永続できないということで、いろんなところで「顧客満足」が話題になりました。それから月日が経ち、日本で顧客満足は定着し、商品やサービスの水準は各段に上がっていきました。
当初、私が顧客満足を勉強した時、「事前期待と事後の達成」という有名な公式がありました。顧客は購入前に何等かの期待を持つ。そして実際に購入する。購入した商品やサービスが事前の期待以上だったら、満足。期待以下だったら不満。この公式は顧客満足の研修会などでは必ず登場していました。
今でもこの公式は有効なものだと思いますが、顧客の期待ほど変わるものはありません。例えば、1年前なら何も考えずにお店を利用していましたが、今、店に消毒液が置かれ、アクリル板などの感染対策やスタッフのマスク着用がないお店は「期待以下」という感じがします。さらに、もう、そのような対策も普通になり以前より感動しません。最早安全対策はあたりまえ。その上でいかに美味しい料理や行き届いたサービスを提供するか?メイン商品が期待を超えないと、簡単に満足などしないのが、今ではないでしょうか。
最近の消費者は、行く前にネットで検索し、そもそも口コミの高い店に行こうとします。最初から期待して行く訳ですから、その店もかなり大変なはず。しかし、その期待を超えて、美味しい料理を食べたり、期待を超える素晴らしい対応をしてくれると感動し、自分も口コミを広げたくなります。こうして口コミの高い(本物である)店は、ますます人気になり予約が取れなくなり、差が広がっていくのでしょう。
こうした口コミの時代になって、顧客満足は益々レベルアップしている気がします。
この2月に、ブロックスでは、あるカーディーラーのCSの取り組みを紹介する「志GOTO人シリーズ」を発売する予定ですが、このお店のテーマは「おもてなしの進化」です。始めた時は「素晴らしい対応だ」と言われていたようなサービス、何年も経てばお客様も慣れてしまいます。簡単にできるサービスなどは、すぐに競争相手が真似し、当たり前になります。
だからこそ、この会社では、全員が「もっと良くしていこう」という気概にあふれたスタッフを育てることや、顧客サービスの改善・改革を常に進化させていく企業体質を作り込んでこられました。顧客の期待が高まる時代の顧客満足はどうあるべきなのか。映像は2月後半に発売開始予定。
ぜひご覧いただければ幸いです。
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2021 年 02 月 01 日 16:11
新入社員の「仕事観」を育てるには
またこの春も、新入社員が社会人としてスタートします。
昨年入社の新人たちは、いきなりの緊急事態宣言で自宅待機やリモート研修等、本当に大変な1年だったはず。また、新人教育のご担当者の皆さまも戸惑いの連続だったと思います。
私も、昨年4月頃は、オンライン研修を通して、いろんな会社の新入社員の皆さんたちと、映像と対話を中心にした研修会を実施しました。「なぜ働くのか?」とか「どんな働き方をしていきたいか?」という質問を投げかけ、その後、いきいき働く先輩社員の姿を紹介する「志GOTO人シリーズ」の映像を見てもらったのですが、最後にした感想共有での新人さんの言葉が今も心に残っています。
「今まで、こんなことを考えたことがなかった。自分が見えてきた」。ニュアンスは違っても、一様に「今まで考え方ことがなかった」と言われていました。考えてみれば、高校から大学、大学を出たら就職、就職したら結婚などと、いろんなものが「あたりまえの路線」として流れていく時代。なぜ働くのか、どんな生き方をめざすのかなど、考えるキッカケも場所もないのかもしれません。
それで会社に入り、いきなり、先輩社員たちから「お前たちは主体性がない」「もっと自分から行動しろ」と言われる訳ですから、戸惑ってしまうのは無理がありません。「自分はこうありたい」「いい仕事をするためには〇〇が大事」「自分にとって仕事とは」などの、いわゆる“仕事観” が固まっていないのですから、「まずは、言われたことをやろう」となるのはわかります。
しかし、どう考えても、これからの時代は主体性が大事になる。先輩だって正解がわからなくなる時代です。その主体性のベースが、“自分はどうありたいか”という「仕事観」や「キャリア観」。これはどうすれば固まってくるのでしょうか。
私は、やはり先輩社員たちとの直接的なふれあいだと思います。先輩から「仕事ってこんなに楽しいぞ」ということをたくさん聞く時間が大事なのでは?また、先ほどご紹介したような、自分と仕事を考える機会をつくってあげることも大事。ともかく、仕事観というのは、知識として教えられるものではないので、どこかで「自分を見つめる場」がいるのでしょう。
とは言っても、今はリモートワークの時代。コミュニケーションが分断されて、先輩の姿も見えにくくなってしまっています。新入社員の皆さんにとっては、難しい時代です。ただ、リモートだって「いいもの」に出会うことはできる。どんな時もぶれない「自分の判断軸」を身に付けてほしいなと思います。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 01 月 26 日 09:45
「働く幸せ」と「ホワイト企業」
「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」「日本サービス大賞」「日本経営品質賞」など、今、世の中にいい会社、いい経営を表彰する賞があります。その中で、創設の時から私が手伝わせていただいているのが、「ホワイト企業大賞」です。
この賞の面白いところは、「社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業を増やす」という理念に賛同した、いろんな分野の専門家が20人ほど集まり、お金も取らず、手弁当で運営しているところです。私もその一人です。社員の幸せや働きがいという数値化しにくいことをテーマにしているため、明確な評価基準で経営の良し悪しを決めるのではなく、「この賞に参加する全員で、さらに上を目指してこう」という考え方もこの賞の特色で、上から目線で「賞を与える」というのとは一線を画しています。
そんなホワイト企業大賞ですが、先週の日曜日に、7回目の表彰式がオンラインで行われました。コロナ禍にも関わらず、今回も賞の理念に賛同された企業がたくさん応募され、推進賞や特別賞、大賞が選ばれました。受賞された企業の皆さんのコメントひとつひとつが、温かく、優しく、式が進むにつれて心が温かくなってきました。
学び合いの場なので、最後は応募企業も委員も全員が参加する勉強会。私が担当し、「働く幸せって何だろう?」というテーマで約100人の人たちによる対話の場を設けました。「働く幸せ」とは、役立つ喜び。成長すること。自分らしく働けること。自分の会社に誇りを持てること・・・、いろんなキーワードが出てきましたが、実践されてきた皆さまだけに、ひとつひとつが心に残ります。以下、その時の対話の「問い」ですが、ぜひ、皆さんも考えてみてください。
1.あなたにとって「働く幸せ」って、どんなことですか?
2.もし今、あなたや、あなたのまわりの人が、幸せをあまり感じられていないとしたら、なぜ、そうなっているのでしょうか?
3.どうすれば、あなたやあなたのまわり人の「働く幸せ」を高めていけるでしょうか?
ホワイト企業大賞は、中小企業の皆さんが「いい会社づくり」を追求する場です。応募するだけでも自社の課題が見えてくるので、もし、よろしければ、貴社でも挑戦されてみてはいかでしょうか。
ホワイト企業大賞のHP:https://whitecompany.jp/
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メルマガコラム 素晴らしい会社
2021 年 01 月 19 日 10:16
トム・ソーヤのペンキ塗りと仕事の楽しさ
子どもの頃に読まれたと思いますが、「トム・ソーヤの冒険」という物語があります。その中にペンキ塗りのエピソードが出てくるのですが、少しご紹介します。
トムは、いたずらの罰としておばさんから大きな壁のペンキ塗りをさせられることになりました。休みの土曜日、単調なペンキ塗りの仕事・・・、トムは嫌々やっていました。友達がからかいに来ます。そんな時、トムはひらめきます。ペンキ塗りを楽しそうにやれば友達が手伝うのではないか・・・。そう考えたトムは、いかにも楽しいというようにペンキを塗ります。
そんなトムの姿を見た友達は、「そんなに面白いことなら俺にもやらせてくれ」と頼んできます。「ダメだよ、こんな楽しいことは任せられない」。トムは断ります。友達は余計にしたくなり、自分の宝物まで差し出して頼み込むようになりました。そこで、ようやくトムは仕事を友達に任せ、自分は悠々と寝ながらそれを見てたというお話です。
同じペンキ塗りなのに、トムと友達では気持ちが全然違います。現実の社会の中にも同じ仕事なのに、楽しそうにやる人も辛そうにやる人もいますが、何が違うのでしょうか?
トムの仕事は「怒られるから、しかたなくやる仕事」、いわゆる外発的動機づけ。友達の仕事は「自分が面白そうだ、自分からやる仕事」、内発的動機づけ。外側から来ている動機か、自分の中から生まれた動機かの違いです。
もし、やる気というものが、そういう理屈であるならば、どんな仕事も自分の中に動機を生み出せば楽しくなるはずです。つまり、いかに自分の仕事の中に「面白さ」を見つけることができるかどうか。例えば、ペンキ塗りひとつでも「どうすれば綺麗に塗れるか」とか、「どうすれば早く塗れるか」というように、「より良く」という視点を持つだけで楽しくなりそうです。
皆さんはどのように「仕事を面白く」しておられるでしょうか。
この逸話は、いろんなことを考えさせられますが、私が、このエピソードでいちばん面白いと思うのが主人公のトムです。少し狡いところはありますが、「嫌だ」と感じたことをそのままにせず、どうすれば友達に任せられるかとアイディアを練り、自分でシナリオを作り実行する。もし現代社会に生きているとしても、AIには絶対に発想できないことを考える人材として活躍しているような気がします。
トムのように楽しく、自ら考えて働く人材を育てたいですね。
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メルマガコラム 思うこと
2021 年 01 月 13 日 17:49
日本一の旅館 加賀屋の「まね、慣れ、己」
お客様満足度日本一の旅館、和倉温泉の加賀屋さんでは、サービスを次のように定義されています。
「サービスとは、プロとして訓練された社員がお給料をいただいて、お客様のために正確にお役に立って、お客様から感激と満足感を引き出すこと」。
この定義通り、加賀屋の客室係の人たちは、お客様に対して常に正確なサービスと細かな気遣いで感動を与えておられます。高い料金にも関わらず、お客様が「また来くるね」と再来店されるのは、その影に徹底した教育や風土、何より伝統の「おもてなしの精神」があるからです。以前、私も取材に伺ったことがありますが、初代女将からスタートしたその精神は働く人の誇りになっています。
ある雑誌に、加賀屋の若女将のインタビューが掲載されていました。その中に「加賀屋流のおもてなしはマニュアル半分という考え方」と言葉がありました。それは、マニュアル通りにするサービスは50%、残りは自分の感性や現場の判断で100%にするという意味です。まず、マニュアル半分。約束したことを守る、間違いなく料理を提供するという「正確なサービス」が高いレベルで実現されていないと不満が生じてしまいます。しかし、それだけでは感激や満足が生れません。やはり大事なのは現場社員の感性と主体性。一人ひとりの気働き、気配りがあって初めて100%になるという考え方です。「マニュアルは半分」ですから、接客係の人たちも燃えてくるでしょう。以前取材したベテラン客室係の熱い、使命感を思い出します。
しかし、こうしたおもてなしを、客室係はどのように身に付けていくのでしょうか。以前、加賀屋の小田会長が、次のようなお話をされていました。「私は、『まね、慣れ、己』と言って社員に教えているんです」。まずは、真似から入る。最初は「物まねさせられている」と思っていてもいい。しかし、何度もやっていくと自分の体験が伴ってくる。自分で納得すると言葉が生きてくる。そして、最後は自分のオリジナルのものにしていく。「まね、慣れ、己のステップが大事だよ」と社員に伝えているそうです。
加賀屋さんのような「優れたおもてなし」を見ると、誰もが「そこまで出来ない・・・」と思ってしまいますが、こんな地道な教育の積み重ねがあるんですね。しかし、考えてみれば、「まね、慣れ、己」は、芸事やスポーツも同じ。最初は先輩のまねから始まり、慣れくるのに数年はかかるでしょう。ましてや「己」のレベルになるには何年もかかるはずです。
最近は何でも「即席」に育てようとしてしまいますが、「即席」はあくまでも即席。「一流の技術」とは、こんな風に時間をかけて身に付けていくものではないでしょうか。創業以来、働く人を大切にし、コツコツと育てこられた加賀屋さん。改めて一流の仕事に感動を覚えます。
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2021 年 01 月 06 日 11:04
マイナスを数えるか、プラスを数えるか
年末年始も東京では感染拡大が広がり、まだまだ緊張が続く年明けとなりましたが、今年はどのような一年になるのでしょうか。ワクチンのお陰でこの騒動が落ち着くかもしれませんし、また新たな問題が起こり、昨年と同様、大きな変革が迫られる一年になるのかもしれません。何が起こってもおかしくない時代になったことだけは間違いなさそうです。
さて、そんな波乱含みの新年がスタートしましたが、こんな変化があたりまえの時代こそ、どのようなマインドでいられるか、自分自身の物事のとらえ方、見方が大切になるような気がします。
オリンピックが延期になると決まった時、今年の開催に向けてかなり前から時間をかけて準備をしてきたあるアスリートの方が、そんな時にどのようにマインドを切り替えたか、あるインタビューに答えられていました。「不安でいっぱいでした。『せっかくここまで調整してきたのに』『今年開催されていたら金メダルが取れたのに』という気持ちが出てきました。しかし、マイナスのことを上げればきりがない、悔しさばかりになる。じゃ、それ以上にプラスになることはないかと、今度はプラス面を挙げていくようにしました。『1年あればさらに強くなり、圧倒的に勝てる』『今までできなかった自宅でトレーニングできる』など、物事のプラス面を数えるようにしたら気持ちが前向きになりました。」それ以来、練習中に自分で『大会』を作って記録への挑戦を楽しんでみるなど、どんどん自分で自分の気持ちを奮い立たせていったそうです。
今回のコロナ禍のように外的な問題でうまくいかないことが出てきた時、確かにポジティブな気持ちでい続けることはなかなか難しいことです。イライラしたり、不安になるのは当然でしょう。
ただ、このアスリートの方のように、どんなことにも、マイナス面もあれば、プラス面もあり、プラス面に焦点をあてることもできるはず。無理やりポジティブな気持ちになろうとするのは、返って良くないと言われていますが、こうした方法で少しだけでも見方を変えていけば、結果的にポジティブな気持ちになり、困難な局面でも楽しんで乗り切ることができそうです。
今年も、きっと「想定外」の波が山のようにやってくると思いますが、その波をどう捉えていくか。どう見るか?コロナに問われているのかもしれません。どんな時であれ、どんな状況であれ、自分自身で、自分自身のいいマインドをつくっていきたいですね。
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2020 年 12 月 23 日 18:54
自分から変化する
今年も、もうすぐ終わろうとしています。
今年は今までにない大変化が起こり、ずっと心が落ち着かない一年だったという人が多かったのではないでしょうか。しかもまだ、感染が拡大していますし、GOTOトラベルの急な中止など、まだまだ不安定な世の中が続いています。
この不安定な世の中では、私たちは次々やってくる変化にばかり目が向いて、つい目先のことばかり考えがちですが、それでは疲れるばかり。私は、こんな時こそ、果敢に自分から変化していくことが大事だと感じるようになりました。どうせ変化が訪れるなら、変化に巻き込まれる前にこちらから変化していく。向かう先は決まっているので、そこに向けて一心不乱に変化をしかけていけば不安を覚える暇もなくなってしまうでしょうし、「変化しなければ」と追い立てられるような感覚もなくなるはず。コロナのおかげというと問題がありますが、最近はそんな風に感じようになり、前より、さらにワクワクした気持ちになっています。
会社経営だけでなく、個人の仕事も同じかもしれませんね。ああしろ、こうしろと外側から命令されたり、変われ、変われと圧力をかけられると辛くなりますが、自分で「こうしたい」「こうやってみよう」とどんどん進んでいけば、楽しくなっていきます。
来年は、個人も会社も攻めの一年に。日本中でそんな動きが起こってきそうな予感がします。
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2020 年 12 月 15 日 09:58
お客様に寄り添う、本物の会社
先日、弊社のセミナー「実践学習会」で香川県の徳武産業様を訪問しました。徳武産業さんはDOIT!シリーズで取材した会社ですが、この10月に、「日本サービス大賞 経済産業大臣賞」を受賞され、また注目を集めています。
https://service-award.jp/result_detail03/industry04.html
徳武産業さんは、介護シューズ「あゆみ」など、高齢者に特化した靴を製造販売する会社ですが、27年前まではスリッパやルームシューズなどをOEMで作っていた会社です。当時社長だった十河孝男さんがある時、知り合いの特別養護老人ホームの施設長から「お年寄りがスリッパを踏んで転倒する事故が相次いでいる、何とかならないだろうか」と相談を受けたことが、靴づくりへ転換したキッカケでした。
高齢者の足を調べてみると、腫れ、むくみ、方マヒなど問題がたくさんあり、既存の技術では対応できないことがわかりました。しかし、困っているお年寄りの気持ちを知った十河さん(当時社長)は、一念発起しゼロから靴づくりを学び、数年間かけて高齢者が転倒しない靴を開発しました。
その「あゆみ」という商品はヒットして売れるのですが、高齢者の足の問題はまだまだありました。左右の足の長さが違う、左右で大きさが違う。そんな悩みにも応えたくなり、業界常識を超えて「片足販売」を始め、靴底の高さを左右で変える「パーツオーダー」など、とことん悩みに応えられました。幅、高さの調整。こうした個別対応は赤字部門なのだそうですが、「靴が合わない」ことで生きる勇気までなくしてしまっている人を見ると、どうしても辞めることができないと続けておられます。今では介護シューズ全国シェアの55%(数量ベース)を徳武産業が占めるまで成長。高齢者にとって手離せない、いえ、足離せない会社になっているのです。
「お客様の満足」「お客様の喜び」などと、私たちはよく言葉にしますが、徳武産業さんのお客様への寄り添い方を見ていると、私たちはお客様に寄り添っている「つもり」なのかもしれないと反省します。たった一人でも、その人が本当に困っておられるなら、何とかしてあげたいと動き出す。その気持ちが徳武産業さんの出発点。その気持ちが伝わるからこそ、顧客から期待され、商売が成功しているのだと思います。毎日何十通も感謝の手紙が届くというのは、お客様への思いが本物だからだと思います。
今は、ネットを通して何でも明らかになる時代。お客様に寄り添っている「ふり」や、「つもり」の会社では、きっとうまくいかなくなってしまうのでしょう。お客様から「あなたがいなくてはダメだ」と言われるくらいの会社を目指していきたいものです。
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2020 年 12 月 08 日 10:11
子どもの遊びと有能感
先日、社員とその子どもたちと一緒に海釣りに行ってきました。と言っても私は釣りをしないので、大人が釣りに夢中になっている間、子供たちと遊んでいました。
海に付き出した堤防は子どもがワクワクするものでいっぱい。5歳くらいの男の子たちは、自分の背丈より高いコンクリートのてっぺんに登るために何度もトライしています。てっぺんに登ったと思えば、今度はそこから下に飛び降りる遊びに変わります。「こわい!」「無理だ!」「できた!」と言っては、楽しそうに遊んでいました。
心理学では、こうした「自分はできる!」という感覚を自己有能感と呼ぶそうです。人と比べず自分を肯定でき、自分を褒めることができる心の働きと言われていて、この有能感が、「よし、もっと高いところから飛んでやろう」というチャレンジにつながっていったり、内発的動機づけの基礎になるそうです。確かに子どもの頃の遊びを通して「やればできる」という感覚を身に付けてきた気がします。
しかし、子どもたちが夢中になって遊んでいる様子を見ていると、本当に幸せそう。怖さを克服して挑戦し、達成して喜び、先に達成した子が出来ない子にコツを教えたり、応援したり。誰かに命令されたりしないのに、どんどん「高み」に挑戦しています。なぜ大人は仕事になると楽しさを忘れてしまうのか?どんな仕事もをこんな風にやればいいのにとか、仕事と遊びの違いは何だろう、楽しくするポイントなどと、ついいつもの癖で仕事に置き換えてみてしまいました。
心理学では、この有能感を育てる時に、大人の関わり方が大事なのだとか。例えば、子どもたちが高いところから勇気を出して飛び降りた時、つい「よくできたね!」と言ってしまいます。しかし、ここで大人が褒めると、「褒められる」ということがご褒美になり、褒められるために頑張ろうとなってしまうそうです。自分で自分を励ましたり、褒める感覚が大事なのに、褒められると動機が変わっていってしまう。内発的動機が外発的動機に変わってしまうのです。私の記憶でも、子どもで勝手に遊んでいる時に、大人が横から「凄いね、よくできたね」と言われると、その時は嬉しくても、何か急に面白くなくなってしまう感覚がありました。有能感を育てるには、褒めたりせずに、ただ見守っていること。
面白く仕事をする人を育てるためには、子供の遊びから学んでみるのがいいのかもしれません。
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2020 年 12 月 02 日 11:18
思わず手を合わせたくなる仕事
最近、朝4時半に起き、ウオーキングをしています。夜明け前の静かな町を1時間ほど歩くと、季節の移り替わりを感じることや、帰り道に綺麗な朝焼けに出会うこともあり、心身ともに癒されるいい時間を過ごしています。その中で街の人たちと挨拶をすることも楽しみのひとつですが、時々、素晴らしいなと思う人に出会えるのも楽しみです。
その中の一人が、公共施設の管理人の方です。お名前は聞いていないので、ここではAさんとお呼びしますが、シニアの方で掃除や管理の仕事を任され、その施設に派遣されている方だと思います。
朝4時半、私が歩き出してすぐに、その施設の前を通るのですが、Aさんはもう施設前の通りの清掃をしておられます。感動するのは、その時間もさることながら、掃除の見事な出来ばえ。通常のゴミに加え、落ち葉で大変な季節ですが、Aさんはただ掃除をするというのではなく、タイルの隅の土ぼこりまで丁寧に丁寧に掃除をされるのです。その人の掃除が終わった場所だけが輝いているような感じがします。
Aさんが宿直でない日は、普通のレベルの掃除なので、たぶん、誰からもそこまでしろと言われていないはず。しかし、きっとこういう掃除でなければ、自分自身が納得しないのでしょう。掃除の奥にあるAさんの仕事の目線の高さに感動してしまいます。「思わず手を合わせたくなる」という言葉がありますが、まさに、そんな気持ちになります。
自分に与えられた仕事はどんな仕事でも手を抜かない。やるからには完璧を目指すのが当たり前。きっと、Aさんは前職でそんな風に仕事をされていたのでしょう。昭和の頑固職人のイメージです。
お客様の評価、上司の評価、仕事はいつも他人の評価にさらされていくものですが、やはり最後は自分が納得できるかどうか。自分がどう評価するかが大事なのではないか。最近は「仕事をサクッと終わらせよう」というような風潮もありますが、こんな人に出会うと、自分の目線や視座を高め続け、自分の納得するまで追求していく仕事の大切さを改めて感じます。
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2020 年 11 月 25 日 14:00
幸せは結果でもあるが、原因でもある
皆さんは、幸せですか?
社員が幸せになる会社、社員幸福度など、最近、経営の中でも「幸せ」という言葉が登場するようになりました。「効率」「生産性」「利益」などの言葉はより、曖昧でボワッとした言葉のように感じますが、目に見える数字ではない「心」の領域の言葉が経営の中で語られるようになってきたのは、我々が経済的に成長し豊かになっても、それだけ国民は幸福になれないということが明白になってきたからではないでしょうか。
「幸福学」の第一人者前野隆司氏(慶應義塾大学大学院教授)は、『7日間で幸せになる授業』(PHP)という本の中で、「幸福は結果でもあるが、原因でもある」ということを述べておられます。笑顔でいると気持ちが楽しくなり、嬉しいことが起こってますます笑顔になるというようなことがあるように、幸せになるための心の状態を意識できれば、モノの見方や行動が変わり、結果として幸せな人生を送れる。様々な統計解析から、幸せの共通点が見えてきているのだそうです。また企業においても、社員の幸せに関連することを改善すれば、社員の幸せが高まり、結果として生産性や創造性が高まるという結果も生まれているとか。「幸せ」は既に科学の時代になっているんですね。
「幸せになりたい」。そのためにみんな努力していますが、例えば収入などを他人と比較してしまうとつい不満や嫉妬が生まれ不幸な気がしてしまいます。アップしたら幸せですが、すぐに「あたりまえ」になり、また「足りない」という気になります。お金、地位などの「見えるもの」は幸福に大事なものなのですが、本当に幸福になるには、「目に見えないもの」を変えていくことが大事だと言われています。
例えば、「感謝している人」はそうでない人より幸せであるという研究結果があるそうです。これは何となくわかりますね。つまり原因の「感謝する力」を磨いていけば幸せに近づくということ。その他、強みを活かす力、創造力、ビジョンを描く力、利他力、没入力など幸福に関連している心の状態は72ほどあるそうです。
では、目に見えないもの(心)を変えるにはどうすればいいのか?方法はいくつかあるようですが、とにかく結果を待っているだけでは幸せに近づけないことは間違いなさそうです。
私事ですが、最近、早起きをして妻と一緒に1時間ほどウォーキングをするようになりました。その時間は、ただ歩くだけですが、綺麗な朝焼けに出会ったり、夫婦で話ができたり、近所との人と知り合いになれたり、少し幸せが高まっている気がします。小さなことでも新しいことを始めることが大事なのかも。
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2020 年 11 月 17 日 10:24
考える社員をつくる風土づくり
今日は「第3回 未来×幸せ経営フォーラム」の気づきから。
今回は、トップダウンからボトムアップの社風へ変革を果たしたトヨタカローラ秋田の伊藤哲之氏と、風土改革の専門家スコラ・コンサルトの柴田昌治氏をお迎えし、どうすれば社員が主体的に考え、行動する組織にしていけるかを話し合いました。
20年前、会社を変えていきたいといろんな改革に挑戦していた伊藤氏。しかし、どうやっても社員が動かない。動かないから恫喝する。社員は恐れますます動かない。苦しんでおられました。
そんな時に出会ったのが、考える社員の重要性を訴えていたスコラ・コンサルトの柴田さん。「今までのやり方ではだめだ」と思った伊藤氏は、柴田さんが勧める「オフサイト・ミーティング」をスタートさせます。
これは、考える社員を育てるには、みんなが自由に本音で話せる場が必要であるということから生まれた対話の場づくり。「みんなで雑談をしていこう」と始めたのですが最初はなかなか話せません。
そこで伊藤氏は「じゃ、俺の悪口を言い合いなさい」と投げかけられます。すると、今までのうっ憤を晴らすかのように社員は悪口をテーマに話し始めたそうです。それも1年半も。
しかし、悪口も行きつくと、社員の中に「いつまでもこんなこと言っていても仕方ない」という気持ちになり、次第に「自分達でこうしていこう」という前向きな議論の場に変わっていったそうです。「もっとお客様に喜ばれる店にするにはどうすればいいか?」。そんなテーマで話し合い、実行する。お客様に喜ばれたり、感謝されることも増えてきます。そんな体験の中から「自分達で考えて行動することがいい」という確信が芽生えます。そんなプロセスを経て、同社のボトムアップの社風が定着、社長の思いも伝わり始め、会社は見事に様変わりしました。
社員に主体性を発揮してほしい。どんなリーダーもきっとそう思っていると思いますが、そうならないのは、そうすることが出来なくなってしまう原因が過去にあるから。「言ってもつぶされる」「失敗したら怒られる」。そんなトラウマのような思いがあるうちは変われません。だからこそ、いい会社にしていくには長期戦を覚悟し、じっくりと対話を重ねていくことが必要なのかもしれません。柴田さんは、このカローラ秋田さんの成功の裏には、信念をぶらさなかったリーダーの存在が大きいと仰っていましたが、本当にそう思います。
業績と社員の幸せの両方を満たしていくのは、本当に難しいことですが、「リーダーが理想を持ち続け、覚悟をすればできる」と仰っていた伊藤さんと柴田さんの言葉が心に残ります。
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2020 年 11 月 10 日 10:05
遊びとフローと全集中
子どもの頃、私が住んでいた村には周りに自然がいっぱいあり、秋にはトンボを獲ったり、栗拾いをしたり、柿の木の実を食べたり、いろんな遊びに夢中になっていました。特に手でトンボを獲るのは難しく、いろんな方法を試していました。とまっているところにそっと近づいて獲る、手にとまるまでじっと待つ・・・考えられる限りの方法を試しました。夢中になると時間を忘れると言いますが、毎日遅くまで遊んでいたことを思い出します。皆さんにも、そんな思い出があるのではないでしょうか。
アメリカの心理学者、ミハイ・チクセントミハイ(Mihaly Csikszentmihalyi)氏は、先に紹介した「子どもの遊び」のように、時間を忘れて没頭する、集中する心理状態を研究し「フロー理論」を提唱したことで有名な学者です。ハンガリー出身の彼は、戦争で荒廃した祖国をみて「幸せに生きるとは何か」ということ考えるようになったそうです。そこで、芸術家やスポーツ選手など様々な対象に「どんな時に幸せを感じるか」をインタビューし続けました。その中で「創造的で高い技術力が必要とされる仕事などに没頭している時、疲れを知らず、時間も忘れて活動し、満足や幸せを感じている」という共通性を発見、これを「フロー」と名付けました。フローになるとパフォーマンスが上がる、幸福感を得られるなど、今はスポーツやビジネスの分野でも大注目されています。私は、昔から何でも没頭してしまう傾向にありましたので、若い時に読んだこの「フロー理論」に、すごく共感したことを思い出します。
しかし「フロー」はなろうとしてもなれないもの。いくつかの条件が重なった時にフロー状態が現れると言います。それが、「目標の明確さ」「どれくらいうまくいっているかを知ること」「挑戦と能力の釣り合いを保つこと(活動が易しすぎず、難しすぎない)」「行為と意識の融合」「注意の散漫を避ける(活動に深く集中し探求する機会を持つ)」「自己、時間、周囲の状況を忘れること」「自己目的的な経験としての創造性」などの項目です。少し難しい言葉もありますが、上記のいくつか要件が揃った時に、フロー状態が現れるそうです。ここでは説明しきれませんが、もし日々の仕事が「フロー状態」になれば、時間が短く感じるようになるばかりか、幸せで疲れないのです!研究しがいのある理論だと思いませんか?
上記の要件の中でもわかりやすいのが「注意の散漫を避ける」「挑戦と能力の釣り合いを保つこと」等ではないでしょうか。何かに挑戦する時に、挑戦する対象に比べて自分の能力が低いと「不安」になります。逆に、対象より、自分の能力の方が高いと「退屈」になります。だから、この中間あたり、「少しだけ不安がある」状態にもっていくことが、仕事を楽しくするコツです。仕事をしていて「楽勝!」と感じたり、「毎日簡単で退屈だな」と感じたら、それは自分の能力が上がっていて釣り合いがうまくいっていないサイン。「自分にできるだろうか?」と少し不安になるくらいが「次のレベル」に挑戦する合図なのです。
きっとどんな人も「フロー状態の幸せ」は子どもの頃に体験されているはず。人気アニメの主人公ではありませんが、「全集中」で楽しくいきたいですね。
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メルマガコラム 思うこと
2020 年 11 月 04 日 13:58
自分の「登りたい山」は?
GOTOトラベル、GOTOイートと、最近はGOTOが流行っていますが、ブロックスでは、数年前から「志GOTO人」(しごとじん)というDVD教材を発売しています。これは名前の通り「志」に向かって自らを成長させる(そこに行く=GOTO)、いきいき働く「個人」を密着取材したDVD教材です。
これまでいろんな職業の「志GOTO人」を取材させていただきましたが、やはり、志(夢・目標・行き先)を持っている人は、夢や志を持たず漫然と日々を送っている人と比べて、一日一日の「行動」が違うように見えます。映像を見ていても、自分で自分を反省し、上司のアドバイスを素直に受け止めるなど、何でも主体的に物事に挑戦している様子がうかがえます。
先日、ある方と話していた時に、「志とは自分が登りたい山。不安になるのは自分が登りたかった山を見失なっているから。コロナで苦しい時こそ、自分の登りたかった山を思い出すことが大事なのではないか?」というような話をされていました。「日本一のパンを作ろう」「住む人が幸せになる家を作ろう」と始めたのに、売上が足りない、利益が出ないと考えてしまうのは、志への情熱がなくなってしまっているからだと。確かにそうだなと思いました。私も自分に不安や迷いがある時は、いつも志を忘れている時です。
経営者にとっての志は経営理念やビジョンですが、社員さんにとっても、自分の志(目標)を明確にしていくことで日々の「張り合い」が変わっていくのではないでしょうか。例えば「1年後に〇〇の技術を身に付ける」という小さな目標であっても志は志。そこに自分が行きたいと思えば、「では、今月は〇〇の本を読もう」「来月は講習を受けにいこう」と日々の行動が変わってきます。
「志」というと利他的で壮大なものがいいと言われますが、そもそも20代は自分の夢どころか、自分の得意不得意もよくわからない場合もありますので、最初は利己的な目標だってかまわないと思います。例えば「〇年後に家を買う」「来年6月に車を買う」。どんな個人的な夢であったって「目指すもの」を持っていれば「その為の努力」が生まれてきます。日常に工夫や創造が生まれてくるので、日々の楽しさが変わってきます。日々の張り合いを生み出すのはいつも夢の力です。
しかし、どんなことでもそうですが、「その山に登りなさい」と言われても、自分が登りたくない山は途中で苦しくなる。「登らなければならない山」ではしんどくなる。だから他人からアドバイスはもらったとしても、最後は自分で行き先を決めるしかありません。これが何よりも大事な気がします。
この時期こそ、自分の「登りたかった山」を考える時かも。皆さんは、このコロナ禍を乗り越えて、どんな山に登り、どんな景色を見に行きたいですか?
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メルマガコラム 思うこと
2020 年 10 月 27 日 11:38
「密」なコミュニケーションは大事
このコロナ禍で、人と人の接触が制限され、テレワークやオンライン会議などが盛んになり、私も様々な「新しいコミュニケーション体験」をしました。普段ならなかなか会えない地方の方と交流できたり、移動時間がなくなり、コストの削減や仕事の効率が高まったり、たくさんの恩恵を感じています。
ただ、コロナ禍でも(気をつけながらですが)、最近少しずつ、以前のような飲み会をしたり、地方に行って人と話をしたり、受講者の顔を見ながら研修をしてみると、やはり、人と人が直接会うことで伝わるものの大切さ、価値も感じるようになりました。
オンラインでも確かに情報交換はできるのですが、やはり心と心の交流まではできません(私の世代だからでしょうか)。昔の人間だからそう感じるのかもしれませんが、やはり一緒の場で一緒に仕事をする、同じ場で同じ体験をする。同じ空気を吸いながら、一緒に取り組んでいくことで、人と人の心の距離は近くなるような気がします。
社員同士の深い関わり方で有名な西精工の西社長が先日のセミナーの中で、「やはり密が大事、例えばしんどい時に、ポンと先輩が肩をたたいてくれたというようなことが、その人の大きな支えになるように、触れ合うことの大切さを改めて感じています」と仰っていましたが、自分の過去を思い出しても、思い出に残っているのは、人と人が密になって体験したことばかりです。
学校ではオンライン授業、会社ではテレワークと、「直接触れ合わないコミュニケーション」は、益々進んでいくのだろうと思いますが、そればかりでは、きっと精神的に不安になっていく人が出てきてしまうのでは?便利、快適の裏にはいつも、「失われるもの」がありますが、これからは会社の中でも、意識して「密」なコミュニケーションの場を増やしていかないと、何か大切なものが壊れてしまう気がします。皆さんは「密な場」を、どう思われるでしょうか?
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メルマガコラム 思うこと
2020 年 10 月 19 日 18:25
恩情の連鎖で人が育つ
先週はバグジーの久保社長、西精工の西社長をゲストにお迎えし、「未来×幸せ経営フォーラム」の第二回目を開催させていただきました。今回のテーマは「大家族主義の経営と人材育成」。そのことに全力を尽くしてこられたお二人のお話を少しご紹介します。
そもそも大家族主義とはどんなことなのでしょうか?
「もし、自分の子供ならどうするか?」「もし、自分の妹、弟ならどうするか?」。判断する時に、“自分の家族ならどうするか”と考える経営を家族主義と呼ばれています。例えば遅刻が続く後輩がいたら、普通の会社なら罰則で管理しようとしますが、大家族主義の会社は、自分の弟ならと考えます。「目覚まし時計を買ってあげる」「起こしにいってあげる」…バグジーの中では仲間がそんなことを言い出して対応するようです。入社してくれた社員を自分の子供のようにみんなで育てる。仕事を超えて悩みを共有し、親身になって新人を育てていくのは両社に共通する文化です。
自分の時間を使って、その子を一生懸命に育てる先輩たちの恩情をいっぱい受けた人は、先輩に好意を持ち、慕うようになる。「ここまで自分のことを思ってくれているんだ」と上司に恩情を感じた後輩は「よし、もっと成長して期待に応えよう」と頑張ります。「部下の成長は、上司の恩情の量で決まる」という久保社長の言葉の通り、部下の成長は、上司の恩情の量に比例していくのでしょうか。
そして、そんな上司の恩情をたっぷりと受けて育ってきた人は、次に自分に後輩が出来た時に、その恩を返していこうと、親身になって後輩を育てます。そんな「恩情の連鎖」が広がっていくのが大家族主義の経営です。
半沢直樹のドラマでも「施されたら、施し返す」という名セリフがありましたが、やはり上司からめいっぱいの愛を受けた人は、お客様や後輩に愛を返していこうと思うのでしょう。人材育成の手法はいくらでもありますが、いくらテクニックで人を育てようと思っても、その奥に「愛」がなければ、伝わる訳がありません。人材育成のベースは、上司が部下を自分の身内のように思う気持ち、つまり心の底から「成長させてあげたい」と願う気持ちだと思います。
激動の時代だからこそ、人が育つ会社は、これからどんどん輝いていくはず。恩情の連鎖、大事にしていきたいですね。
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セミナー メルマガコラム 素晴らしい会社
2020 年 10 月 13 日 11:53
先輩がマニュアル
ホンダディーラーでCSが常にトップクラスのホンダカーズ中央神奈川さんで、以前、こんな話を聞いたことがあります。日本経営品質賞を受賞している会社ですが、審査員が事前調査に訪問した時に、「貴社には接客のマニュアルがありますか?」と質問をされたそうです。CSが高い会社だからきっと接客マニュアルがあるはずだと思われたのでしょう。しかし、この会社には接客マニュアルはありません。そこにいた社員が「紙のマニュアルはありませんが、うちでは先輩がマニュアルなんです」と答えたそうです。尊敬する先輩の姿をみて、自然と身に付けていくのがこの会社の伝統だということです。
審査員の目線は、接客マニュアルがなければ標準化されず、バラつきが生じるのではないかということだと思いますが、この会社は何年も連続してCSナンバーワンに輝く会社ですから、現実は接客マニュアルがなくてもみんなが質の高い、いい接客をしています。
では、どうしてみんなが質の高い、いい接客をしているのか?それは審査員が求めるような科学的な答えではないのかもしれませんが、私は「社風」だと感じました。トップを筆頭に、みんなでお客様を大事にしようという空気感。「朱に交われば赤くなる」といいますが、いい社風の中にいると、自然とみんなが「いい接客になる」というのが、マニュアルがなくてもできる理由ではないでしょうか。これは、バグジーさんでも、川越胃腸病院さんでも、伊那食品工業さんでも感じたこと。いい社風がある会社は、マニュアルではなく、先輩たちの後ろ姿で若い人が育っています。
「そういう社風があればいいけど、うちにはない。」という声が聞こえてきそうです。確かに社風がないなら、接客マニュアルを作って形だけでも整えないとお客様満足は高まりません。確かにそういうアプローチも大事なのかもしれませんよね。しかし、どんなにいい接客マニュアルを作り、教育をして現場に出したとしても、理念に共感して働いていない先輩が傍にいると、若い人はそちらに影響を受けてしまうのも事実。いい社風もあれば、悪い社風もあるように、社風の影響力はあなどれない気がします。
ただ、私が取材させていただいたいい会社の経営者は皆さん、「いい社風をつくるのは時間がかる」と仰っていました。人々の考え方や意識の問題ですから、そう簡単につくれるはずがありません。それでも、諦めずにいい社風をつくろうと努力を続ける。そんな粘り強い経営者だけが「いい社風」がつくれるのでしょう。
自社の社風、皆さんはどのように感じておられますか?
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2020 年 10 月 06 日 16:37
上司の厳しさと優しさ
最近、厳しい上司が少なくなっていると聞きます。打たれ弱いと言われる世代を気遣う機運なのかもしれませんし、パワハラという概念が広がってから、厳しい教育と上司のパワハラの境界線がわかりにくくなっているからなのかもしれません。
ただ、昔から「いい会社」の取材をしていて共通して感じることですが、社員の幸せを真剣に考える会社ほど、やはり社員に対しての厳しい面もありました。例えば、ホンダカーズ中央神奈川の創業者相澤氏は、社員を息子のようにかわいがる優しさが溢れている人ですが、時には鬼のように怒ることがある経営者です。社員を一人前の社会人にしたいと思うからこそ、躾けに厳しい。しかし、雷を落とした後はねちねちと怒ることはなく、また笑顔の上司に戻る。だから、みんなから愛されるのかもしれません。
西精工の映像をご覧になられた方はご存じですが、橋本係長がメンバーに厳しく接する場面は見ていても気が引き締まります。インタビューの中でも「真剣に言うことは伝わると思う」「後になって橋本が言っていたことが役に立ったと言われるように接していきたい」と語られていましたが、その目には優しさがあふれています。
愛があふれる人は、メンバーに心の底から成長してほしいと思っています。
しかし、こんなことを書くと、そんなことは時代遅れだ、昭和世代の典型だと言われそうです。でも、私はどんな時代でも、「厳しさ」は人を成長させる大事なものだという気がします。逆に、厳しいことを言う上司自身も常に「自分はどうなのか」と問われる訳で、自分自身も磨いていかなければ真剣に叱ることはできません。
厳しく接することは難しい時代。だからこそ、どうやって部下を成長させてあげられるかを、真剣に考えなければならないのだろうと思います。
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メルマガコラム 思うこと
2020 年 09 月 29 日 10:37
伊那食品工業の「未来を見据えた経営」と「社員のやる気」
コロナ禍の中で日本を元気にしようという思いを込めて、新しいセミナー「未来×幸せ経営フォーラム」を立ち上げ、4回シリーズの第1回目を先週の木曜日に開催させていただきました。たくさんの皆さまにオンラインで参加いただき、誠にありがとうございました。毎回、新しい挑戦はドキドキします。でも、その緊張こそ、生きている実感でもあり、挑戦することの大切さを感じる時間でもありました。
「未来×幸せ経営フォーラム」は、毎回、経営者や専門家をゲストにお迎えし、私(西川)と鼎談をするという企画です。今回は、伊那食品工業の塚越社長と、経営品質やリーダーシップ教育で昔からお付き合いのある鬼澤慎人氏をお迎えし、「どんな時代にもぶれない年輪経営」というテーマを掘り下げていきました。
60年近く増収増益を続ける伊那食品工業さんをしても、このコロナ禍で業績が下がっているそうです。当初は経費削減という方向になっていたようですが、見通しが立ってからは、どんどん経費を使いなさいという元の方向に戻されたそうです。
ご存じの通り、この会社の方針は「経営の目的は社員を幸せにすること。社員の幸せを通して地域や社会に貢献する」というものですから、経費を使うということは少しでも社員を快適にしてあげたいという理念を実現すること。塚越顧問は以前から「自社の経費は他社の売上」と仰っていますが、取引先に値段交渉をしたり、値切ることは一切されません。だからこそ、取引先からも信頼され、伊那食品工業を尊敬する人が増えていくのでしょう。経費に対する考え方から違っています。
しかし、こうしたことができるのも、以前から、常に将来のことを考え、商品開発に力を入れたり、品不足による相場価格を解消するために海外に原材料の調達先を開発したり、寒天の需要創造のために新しい用途を開拓し続けるなど、未来へのタネをまき続けてこられたからこそ。「目先の利益に惑わされず、遠きをはかることが豊かになる」という二宮尊徳氏の思想をぶらされなかったからです。
こうしたしっかりとした経営の基盤づくりと共に、伊那食品工業さんには、「社員同士が家族のように安心して働く土壌」があります。社員のことを「伊那食ファミリー」と呼んでおられます。この会社には、売上を上げるために社員を競わせる成果主義もなければ、上司と部下、部門間の壁もありません。新人さんも「ここでは何を言ってもいいんだ」という感覚を持ち、安心して発言をされています。
成果主義もなく、昔からの年功序列の賃金制度で、どのように社員のモチベーションを高めているのでしょうか。気になって質問をさせていただきました。答えは社員が幸せを実感しているから。会社からのたくさんの思いやりを感じているからこそ、お返ししようという気持ちになっておられるようです。
セミナーの途中で急にインタビューさせていただいた社員さんは、「あこがれる先輩がたくさんいます。その存在が私のモチベーションです」と言われていました。輝いて働く先輩の姿から、一生懸命に働くことで自分も成長できるというイメージがわいてくるのでしょう。感謝の心や成長の実感。外発的動機で生まれない、純粋で良質なモチベーションが生まれているようです。
未来を見据えたしっかりとした経営(ビジネス)と安心して働ける職場から生まれる社員のやる気。いい会社に共通するキーワードですね。次回のゲストはバグジーの久保社長と西精工の西社長。そうした「安心して働ける職場」をどう実現していくのか、リーダーは何をすればいいのかをテーマに開催する予定です。また、皆さまとお会いできることを楽しみにしております。
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2020 年 09 月 24 日 09:03
人工知能(AI)とお店の未来
コロナで非接触がスタンダードになり、店舗でのお金の受け渡しが手渡しでなくなったり、セルフレジを導入するお店も増えてきています。
人工知能の専門家のお話を聞くと、やはり、店舗経営の中にも、近い将来人工知能(AI)の技術が導入され、人手不足の時代に、我々を助けてくれるようになるそうです。既に購入した商品をアプリで入力し、スマホで決済する無人店舗も実験的に始まっているようで、スーパーやコンビニなどへの普及は早くなるかもしれません。
こうした人工知能(AI)の普及の中で、お店の中での我々人間の役割はどのようになるのでしょうか?
知識を学習させると、どんどんと賢くなる人工知能ですから、商品知識や商品の活用法などは、人工知能の方が優秀になる可能性があります。お医者さんも人工知能の診断に負ける世の中なので、「商品についてのご質問はロボットが答える方が的確」というようになるはずです。「売れ筋の把握」「これから売れる商品の予測」も人工知能の方が優れていそうです。やはり将来は売り場に人はいらなくなる?という時代になってくるのでしょうか?
しかし、私は人間を相手に商売をする以上、人間は確実に必要だと思っています。人工知能の未来を予測した本を読んでみましたが、どれだけ人工知能が賢くなっていったとしても、しばらくの間は、「人間の心」を持つことができないのだそうです。
つまり機械には、お客様を「思いやる気持ち」や、お客様のお困りごとや痛みや苦しさに「共感する心」がありません。そうすると、やはりお客様との接触場面には、人間がいてホスピタリティを発揮する。お客様のお気持ちを察して行動する店員さんが不可欠になってくるはずです。そうすると、やはり人の心を感じる人間のマネジャーも必要ですし、心が元気になる温かい職場の風土も大切な要素として残るのではないでしょうか。
それ以外にも、売り場の楽しさやワクワク感など、お客様が「楽しい」と感じるような売り場演出も人間にしかできないはず。お客様が人間である以上、心が躍ったり、安らいだり、親密性を感じたりすることを望む気持ちはなくならないのではないでしょうか。もちろん機能性に特化した無人の店舗も便利ですから、発展していくと思いますが、人工知能を活用しながらも、お客様との心とお店の心がしっかりと結ばれているお店もきっと求められていくと思います。
未来はどうなるかはわかりませんが、「便利なこと」が「幸せなこと」とは限りません。人工知能の未来は人間が「幸せ」になる方向に進んでいってほしいものですね。
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2020 年 09 月 08 日 09:51
アフターサービスはメインサービス
先日、顧客ロイヤルティ協会さんの合宿に参加させていただき、顧客満足について丸一日勉強をさせていただきました。顧客ロイヤルティ協会様http://www.customer-loyalty.jp/は、日本に顧客満足の概念を拡げられた故佐藤知恭先生の意思を受け継ぎ、CSの研究を続けておられる協会ですが、真面目で楽しい方ばかりで、私も応援させていただいています。
その中である企業様がアフターサービスに取り組まれてお客様の信頼を高めていかれた発表がありました。そのお話を伺って、改めて本当の商品の使用が始まり、満足が生まれるのは購入後であるということを感じました。商品をつくる、売る。その時にいかにお客様に満足していただくかという視点はまだ企業サイドにたっているほんの一部のお客様発想。お客様は購入して使い出し、はじめて「満足した」「満足しない」と思い出すわけで、満足できないことがあったときに、すぐに相談できたり、改善してくれなければ、がっかりしてしまいます。十数年前までの「売るまでは熱心、売った後はほったらかし」という問題点はだいぶ改善されたとはいえ、まだアフターサービスには改善の余地がありそうです。
そもそも、お客様視点にたては、購入するときが「ビフォー」で、商品を持ち帰り、使い続け、商品が使えなくなくなってくる。次の商品を購入するまでの期間が「メイン」です。顧客視点で考えるならアフターサービスという言い方より「メインサービス」と呼んだほうがいいのかもしれません。
商品の使い方への対応はもちろん、お手入れ方法の紹介、修理、交換などのメンテナンスサポート、最後は廃棄のお手伝いまで・・・。企業のミッションを果たすためにも、やはり売るときから、生活で使用する場面まで生涯にわたる顧客サポートが大切な時代なのだと感じた勉強会でした。
顧客満足の概念が日本に来て30年くらいになり、一部には「顧客満足は古い」という声もあるそうですが、お客様あっての企業である限り、お客様の心に寄り添って、喜んでいただくことをし続けていかなければ、存続できるはずがありません。「顧客満足」をしっかりと学んでいくことは益々大切になると思います。顧客ロイヤルティ協会様では、オンラインでの勉強の場を提供されています。今こそ学ばれてみてはいかがでしょうか。http://www.customer-loyalty.jp/
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2020 年 09 月 01 日 09:42
感謝の心の力
先日、テレビを見ていると、24時間テレビの舞台裏を紹介する番組でチャリティマラソンに挑戦した高橋尚子さんを密着する番組が放送されていました。いつもは芸能人が走る番組ですが、今回はオリンピックのメダリストである高橋さんがプロとして走るという企画。自分が走った距離に応じて募金をする。この閉塞の時代に少しでも元気になってほしいと高橋さんが発案された企画だそうです。
その番組は本番で放送されなかった舞台裏を紹介する番組だったのですが、心に残ったシーンがありました。それは高橋さんが、番組のスタッフやカメラマンや給水場にいるスタッフに声をかける場面です。炎天下で走り続け、自分がいちばん疲れているはずなのに、裏方のスタッフ一人ひとりに「ありがとうございます」「大丈夫ですか?」と感謝とねぎらいの言葉をかけておられました。しんどい時にもこんなにも人のことを考えられるなんて本当に素晴らしい・・・。走る姿も良かったのですが、どんな人にも笑顔で声をかける彼女の姿勢に感動してしまいました。
よくスポーツ競技のコメントで、アスリートが「みんなのおかげです」「仲間に感謝します」と感謝の気持ちを言葉にされる姿を見ます。以前は本当に心から言っているのかなと思ったこともありますが、感謝の気持ちが心にも身体にもプラスに働くということは、科学的にも証明されつつあるそうです。感謝の気持ちが自分のメンタルを安定化させ、競技に集中でき、パフォーマンスを向上させるそうです。
私も以前、100キロ歩け歩け大会に挑戦した時に、苦しくなった時に、あえて沿道のスタッフの人たちやすれ違う人に感謝や励ましの言葉をかけるようにしてみたことがあります。その時に、自分の身体の痛みばかりに目が向き、辞めようかと思っていた「重い心」が不思議と軽くなり、身体の痛みまでなくなりました。感謝の気持ちを持つことの大切さを感じた体験でした。
ただ、みんな「感謝の気持ちをもって生きるのがいい」ということは、頭ではわかっています。そうあればいいとわかっているのに、つい苦しくなると、愚痴が出たり、恨みの言葉が出たり、理性通りにならないのが人間の性。わかっていても難しいのが自分の心。
ただ、スポーツ選手が身に付けることができたということはやり方はあるということです。例えば、苦しいと感じたらあえて感謝の言葉を口にしてみる。日記に有難いと思ったことを書き出してみる。まずは小さなことから実践してみることで、高橋さんのように、心から感謝で生きる人生が生まれていくのかもしれません。
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2020 年 08 月 26 日 10:01
コト消費、トキ消費
先日のお盆の休み。普段はバラバラの場所で生活をし、集まる機会がなかなかない家族。それが久しぶりに全員の休みが合致したので、密にならない場所で、今まで体験したことがないことをしようと、家族みんなで山奥に星空を見に行くことにしました。ネットで光害が少なく、星空が綺麗にみられる場所を探し、真っ暗な中で寝転がり、みんなで星空を見つめていました。
おかげ様で天気がよく、月が欠けていたので、夜空には満天の星が輝き、天の川や流れ星が見えました。子どもの頃にみんなで夜空を眺めていたことを思い出したり、星座をみつけて話し合ったり、普段なかなか体験することができないことが出来、結構な年齢の家族ですが、童心に戻って楽しみを満喫した休みになりました。
マーケティングの世界では、こんな風に体験にお金をかける消費は「コト消費」と呼ばれていますが、こうやって体験してみると、確かにその価値がわかります。なかなか集まることがなくなった家族が集まるだけでも価値があり、その上でその家族だけで体験したことは、それぞれの人生の思い出になります。物を購入して満足していた時代とは、だいぶ違う時代が来ているのは間違いありません。
しかし、「コト消費」は非日常空間だけではなさそうです。例えばレストランなら、ただ胃袋を満たすために行く場所から、食事を通して人と人が楽しい時を過ごす場所に。小売業なら、モノを売る場所から、欲しいものを見つけるワクワク感を提供する場所に。美容室なら髪を切る場所から、日頃のストレスから解放される癒しの場にというように、「コト消費」の要素にシフトしているお店を見ていると、みんなが求めているのは、その場でしか体験できない「幸せ」なのでしょう。
さらに進んで、最近は「トキ消費」などの言葉も出てきています。体験には違いがありませんが、例えばこの間のラグビーワールドカップのように、その時にしかできないこと、繰り返し体験できないことが「トキ消費」なのだそうです。繰り返せないからこそ、よりお金をかけてもいいと思えるのでしょうね。
このコロナ禍で、家族との時間が増え、家族の絆の大切さに気づく人が増えたと言われています。外食の機会が減り、改めて外食に対する期待も変わっていくのかもしれません。この未曽有の事態を経て日本も外国も消費者のニーズは大きく変わっていくことは間違いなさそうです。そんなお客様の気持ちをいかに察知し、喜ばれる企画を提供できるか。どんな時代になってもお客様の心に寄り添うことが大切なのは変わりないのでしょう。
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2020 年 08 月 19 日 09:43
自信と慢心
最近、自信と慢心について考えることがありました。
辞書によると「自信」とは、“自分で自分の能力や価値などを信じること。自分の考え方や行動が正しいと信じて疑わないこと。”とあります。物事に対して「自分はできる」と信じることでしょうか。確かに自信を失うと、前に進むことができません。失敗をすると自信を失い、未来のことが不安になります。だからこそ、一歩一歩実績を積み、未来に対して「自分はできる」と思えるようにしていかなければならない。過去の積み重ねの中で少しずつ高まっていくのが自信なのでしょう。
しかし、ある程度の仕事が出来るようになると、「自分はできる」と信じるあまり、努力を忘れてしまい「仕事をこなす」という感覚になることがあります。出来る感覚が続いていくと、人のアドバイスを聞かなくなる。うぬぼれるようになる。こんな時が「慢心している時」なのでしょう。大きなミスや失敗はこんな時に生まれてきます。
一流のアスリートを見ていると、確かに自信を持ったプレーをしていますが、決してこなすようなプレーはしません。何が違うのか。彼らは「これでいいのだろうか」「もっとできるはず」だと努力を継続することを忘れていないのではないでしょうか。自信を持つことは、もう努力をしなくてもいいということではなく、もっと謙虚にプレーに向き合うことなのかもしれません。確かに「これでいい」「これで十分」と思ってしまうような感覚では一流になれるはずがありません。
努力を続ける人、つまり、本当に自信を持っている人は、自分の本当の力を正しく認識できているからだと聞いたことがあります。例えば、何かが達成できた。一般的には嬉しいと思うだけだかが、真の自信を持っている人は「ここはできているが、ここはできていない」「ここは繰り返しできるようになったが、ここはまだまだミスが起こる」というように、ひとつひとつのことを具体化しています。曖昧にしていかないからこそ、もっと成長しようと努力を続けられるのでしょう。確かに、成長する人は成功しても慢心しないし、失敗をしても落ち込まない。失敗を糧にできるからこそ一流になれるのでしょう。やはり努力を忘れた時がいちばん怖いのかもしれません。
ただ、人間はどこかで慢心してしまう時があるのかもしれません。それを教えてくれるのが、失敗をしたり、ミスを犯してしまった時だと思います。そんな時は自信をなくし、落ち込んでしまうものですが、やはりただ落ち込んでいるだけでは意味がなく、せっかくいただいたその機会に感謝し、活かしていかなければ勿体ない。自分を変える分岐点にできるかどうか。いちばんの踏ん張り時のような気がします。
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メルマガコラム 思うこと
2020 年 08 月 13 日 17:05
新しい時代を味方にする経営
先週の金曜日、ブロックスの新しいオンラインセミナー「未来×幸せ経営フォーラム」(開催記念無料公開)を開催しました。全国各地、約270名の方をオンラインで結んだ初の試み。大規模なイベント開催が難しく、移動が制限される中で、何かお役に立てることはないかと議論を重ねてきたのですが、ようやく実現することができました。
今回のセミナーは、先行きがますます不透明になるこれからの時代に、どう経営の舵を切っていけばいいのか、リーダーは何を大事にしていけばいいのかを、皆さんで考え、気づきや行動を生み出していこうというもの。一方的な講義形式ではなく参加者も発言できる双方型にしたのは、そんな思いから生まれてきたものです。
今回のセミナーでは、コロナ禍に挑戦をし続けるバグジーの久保社長と王宮(道頓堀ホテル)の橋本専務をゲストにお迎えし、逆境に負けない経営のあり方について2時間近く対話をさせていただきました。
どんなに素晴らしい経営をされている企業でも、やはりコロナ禍での状況は厳しく、両社とも苦しみながらも様々な工夫をされています。特にホテル業界はインバウンドが激減し、テレワークや自粛で国内も冷え込むダブルパンチ。美容業界は自粛の対象外業種でしたが、3月~5月は大きく客数が減ってしまったそうです。
しかし、そんな状況の中でもバグジーさんも、王宮さんも社員やアルバイトさんが人の役に立とうと必死になって働かれています。コロナ禍で経営者と社員の間に溝が生まれてしまう会社も多い中で、なぜ、そんなにいきいきと働けているのか。やはり、その奥には社員のことを第一に考える経営者の存在があるようです。社員の健康と生活を守り抜こうというトップの思いがひしひしと伝わるからこそ、みんなが危機を乗り越えていこうと力を発揮する。新しい挑戦にも意欲をもって挑んでいく。普段から理念や思いが一致する組織を作ってこられたからこそ、危機の中でも輝くことができるのだと思います。
また、こんな客数減の時代に何をしていけばいいかという議論では、もちろん新しいことに挑戦することも大事だが、久保社長は、「こんな時だからこそ実力をつけること」が大事だと仰っておられます。例えば、これから先、お客様が行きたいのは、やはり「本業」がしっかりしている店。レストランで言えば美味しい料理、美容室であればカット技術。客数が少なくなると、つい小手先の販促策などに走りがちですが、やはり大事なのは本質のところを磨き上げること。まず、コロナ対策など衛生面を徹底して安心の土台をつくることが基本の基本。その上で、美味しい料理、素晴らしいカットを提供する。これが次の時代に求められるだろうということでした。他と違う発想と行動がこの先を変えていくのかもしれません。
対談はこの他にも様々な議論が出てきました。ここでは紹介しきれませんが、どんな時代になったとしても、その波を乗り越えていけるのは、社員の幸せを第一に考えるリーダーの情熱と信頼で結ばれるチームだけではないでしょうか。その真ん中にあるのが理念やミッション。全員が自分事として全力でオールを漕いでいるチームだからこそ、波が来ても倒れないのでしょう。
「未来×幸せ経営フォーラム」は今後9月から第1期(4回シリーズ)がスタートします。4つのキーワード「リーダーシップ」「社員の絆」「自律的組織」「働く人の幸福」を手掛かりに、様々な業界の実践者と共に、これからの時代の経営の鉄則、未来を幸せにするためのヒントを見つけていきたいと思います。
https://www.doit-fun.jp/blocksseminar/20200924_1209
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2020 年 08 月 04 日 17:01
変化の波を楽しむ
コロナがまた拡大してきていますね。一人ひとりが「みんなのために」を意識して行動していくしかありません。
このコロナ禍でいろんなことが変わり出しました。リーマンショック以上の経済の落ち込みも予測されています。国際情勢も変化していきます。きっと、ここから先は誰も経験したことがない変化の時代がくるのだろうと思います。
ただ、ここで「なんでこんな時代になったんだ」と不満を言っても、変化が止まる訳ではありません。波が来るのを避けようとしたとしても、傘ぐらいでは間に合いそうにありません。確かに不安でありますが、もうここに来てしまったなら、この波を楽しんでやる、この波に乗っていくというくらいの気持ちでいったほうがいい。マスコミのネガティブな情報洪水に落ちこまされるより、「しょうがない!」と受け入れていこうと思っています。
私はサーフィンをしたことがありませんが、誰でも初めのうちは、サーフボードの上にも立てないでしょうし、波に沈んでしまうことも多いのでしょう。それでもやっているうちにコツがつかめて何とか乗れるようになる。この数か月、みんなでテレワークや業務のオンライン化、新しい日常への対応してきたのは、こんな状況だったのではないでしょうか。ただ、またコロナの第二波がやってきて、また新しい対応に迫られていますが、初心者はわからないのが当たり前なのですから、その都度、変化に対応していくしかありません。
小さい波、大きい波が次々と来る時代の中では、こんな風に変化を避けるのではなく、変化に乗って自分達が対応していくのが普通になっていくのではないでしょうか。
ただ、私は、ただ波に乗るだけでは面白くはならないと思います。どんな風に波に乗るのか。波に乗ってどこにいくのか。自分たちが大切にするものや行き先だけは大事にしたい。流されているだけでは、サーフィンを楽しんでいることにはなりません。リーマンショックの時もそうでしたが、大きな儲けになることは少なくなるのかもしれませんが、やはり世の中に必要なこと、価値あることは失われることなく続いていくはず。そう信じながら、世の中に役立てる会社をめざし、いいサーフィンをしていこうと思います。
(株式会社ブロックス 代表 西川敬一)
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2020 年 07 月 30 日 10:05
IKIGAI(生きがい)
今、ある地域のボランティア活動のお手伝いをさせていただています。
地域の商店主が主体となるその活動は、地元の中高生に「働く喜び、楽しさを伝えていきたい」という趣旨で、様々な職業の人たちにインタビューをし、その動画を給食の時間に放映しようというもの。先日、その撮影のために、助産婦さん、パン屋さん、看護師さん、美容師さん、デザイナーさん、農家さんなど、地元の様々なプロが集まってくださり、仕事のやりがいや若い人へのメッセージを語っていただきました。
地域で生まれ、手に職をつけ、その地域に根差して商いを続けているプロの皆さん。誇りをもっておられるのでしょう、本当にいいお顔をされています。ここまでには紆余曲折があり、ご苦労もたくさんされていますが、自分の好きなことをしている人たちは、そんな苦労も楽しそうに語られます。目の奥に人生の充実感を感じます。
共通して言われていたのは「いちばん嬉しい瞬間は人に役立てているとき」ということでした。自分の作ったもの、自分が提供したものが誰かの役に立っているという実感がもてる毎日は、何事にも代えられないのではないでしょうか。
昨年あたりから、日本独自の概念である「生きがい(IKIGAI)」が世界で注目されているそうです。日本人が長時間労働を厭わず、休暇取得率も低いのに長寿大国なのは、みんな「生きがい」を感じているからだということで、「仕事と人生を向上させるための概念=生きがい」のが注目されています。
「生きがい」を4つの輪で表した“ベン図”が紹介されています。4つの輪が重なっていて、それぞれ「LOVE(大好きな事)「GREAT AT(得意な事)「PAID FOR(稼げる事)」「NEED(世界が必要としている事)」とあります。そしてその重なりの中心が「IKIGAI」となっています。
好きな事、得意な事、稼げる事、必要とされる事が全部満たされている。確かに私がインタビューしたプロの皆さんは4つの輪の人達でした。「好きなことをしよう」と仕事を始めた頃は、技術が未熟で収入も少なかったかもしれません。しかし、好きで続けてきたからこそ技術が高まり、得意になり、稼げるようになる。そしてやっているうちに、稼ぐこと以上に役立つことが嬉しくなってくる。「いい顔」になるというのは、だんだんと生きがいを見つけた人の顔なのかもしれませんね。
好きな事、得意な事、稼げる事、必要とされる事。この中で若いうちに見つけにくいのが「得意な事」かもしれません。得意かどうかはやってみないとわからない。自分だけではわからない。その世界に踏み込んでいかないとわからないものだとしたら、やり続けてみないと見つかりません。それをしないうちに「自分の得意がわからない」と言っている人が多い気がします。
好きな事を見つけて、そこからスタートして後の3つの輪が生まれるパターンもあるでしょう。「稼がなければ」と目の前の仕事に集中していく過程で「好き」になり、「必要とされる喜び」に出会うパターンもあるでしょう。何が最初ということはないように思います。
幸い私は生きがいを見つけられていますが、若い時は模索し続ける暗黒の時代もありました。でも、そう簡単に見つからないから、見つけることに意義があるのかもしれないですね。
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メルマガコラム 思うこと
2020 年 07 月 21 日 15:09
変えるべきこと、変えてはいけないこと。
1990年代、世の中に「価格破壊」が広がった時がありました。ディスカウントストアという業態が生まれ、大型商業施設や量販店が急速に拡大していきました。その波の影響を受けたのが一般の酒屋さんや家電店という小さなお店。次々と廃業に追い込まれていきました。
しかし、そんな時代でも僅かですが、価格競争の波にびくともしないお店がありました。どんなに回りが安売りをしようと値段は崩さず、その代わり、地域店ならではのフットワークを活かして徹底的にお客様のお困りごとを解決する。周囲の同業者が、量販店の値段に合わせようと自分達のスタイルを変えてしまった時に、東京町田のでんかのヤマグチさんは、絶対に自分のスタイルを崩さず、むしろ徹底することで、その波を乗り越えていかれたのです。それから数十年が立ちましたが、困っているのは量販店やディスカウントストア。高齢化の時代の中では、逆にそのフットワークが脚光を浴びています。
今、世の中はまた、大きく変わろうとしていますが、こんな時に、いつもこの家電店の話を思い出します。
世の中が変わる時は、時代の変化、顧客のニーズに合わせて変えていかなければらないこともあるのでしょうが、変えていくべきことと同じように、変えてはいけないこともあるはずです。それを間違うと大きなことになってしまいます。
世の中の変化と違う生き方をして成功された事例は他にもあります。
販売台数を上げることが良しとされてきた業界で、頑固にお客様との信頼の絆、社員のやりがいを追求してきた自動車販売店。拡大することが多店舗化することが成功者と言われてきた中で、社員の幸せやお客様の幸せを追いかけてきた美容室。トップダウンで社員を動かすことが良い経営だと言われてきた業界で、考える社員を育てることに全力をあげてこられた経営者。その時は「異端児」と思われてきた人が今の成功を収めています。
この方たちが見てきたものはどんなことだったのでしょうか。「目の前」を見る人が多い中で、「その先」を見てこられたのかもしれません。今、また、大きな変化が訪れていますが、こんな時こそ、右往左往せず、しっかりと自分達の行く先を決めていかなければならないという気がします。
今回、ブロックスでは、そんな経営を実践されてきた経営者をゲストにお招きし、これからの時代の経営を考えていくオンラインセミナー「未来×幸せ経営フォーラム」をスタートさせます。時代に合わせて変化をさせなければいけないこと、どんな時代にあったとしても変えていけないこと。講師も一緒に学び合うというスタンスで、参加者の皆さんと一緒に、変化の時代を生き抜くヒントをみつける場にしていきたいと思っています。第1期は素晴らしいゲストが参加してくださいます。ご一緒に未来を考えていきませんか。
・未来×幸せ経営フォーラム 開催記念セミナー(8月7日)
https://www.doit-fun.jp/blocksseminar/20200807_01
・未来×幸せ経営フォーラム 第1期(4回シリーズ)
https://www.doit-fun.jp/blocksseminar/20200924_1209
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セミナー メルマガコラム 思うこと
2020 年 07 月 15 日 08:41
左手を大事にする
先日、バグジーの久保社長に「人間の達人 本田宗一郎」(伊丹敬之著・発行:PHP研究所)という本を紹介してもらい、読み始めたところ、その人間的な魅力に圧倒されてしましました。若い時から本田宗一郎さんの生き方や他社と一線を画す企業姿勢にあこがれを抱いていましたが、この本は本田さんの実際のエピソードや言葉から、人間性、人柄を表現することに主眼が置かれていて、まるで本田宗一郎が傍にいるような気持ちになります。
いろんな逸話がありましたが、私が心に残ったのは「右手と左手」の話です。
本田宗一郎さんは、きわめて仕事に厳しい人でしたが、それでも人が「オヤジさん」といってついていくのは、働く人に対して常に温かい視点をもっておられたからです。その中でも、特に裏方で働く人、目立たない仕事をする人にはさらに温かい視点で接しておられたそうです。こんな言葉を残されています。
「ハンマーをふるう右手は、いつも目立ちますよ。逆に左手は影になって、いつも犠牲になって。だから必要ないかといえば、とんでもないことで、左手があるからこそやれる。人間の組み合わせもそうじゃないですか。地味にやっている人たちがあればこそ、何とかなる。そういう左手を右手はかばってやることです。いや、必要以上に可愛がってやっていいんじゃないですか」
本田さんはこの言葉を実践するように、社長退任後に全国700か所の現場の人たちにお礼を言いに握手の旅をされたり、工場を訪問した時に、車を作った人の写真が展示されているのをみて、「食堂のおじさん、トイレ掃除のおばさんの写真はどこにある!」と怒鳴られたりと、常に裏方の人への温かい視点を持っておられたそうです。
確かに、売上をとってくる営業や宣伝などの仕事のような目立つ仕事も、食堂や掃除、メンテナンス業務などの裏方の仕事があって成り立っているのに、いつも目立つものばかりに光があたります。ホンダが短期間でここまで大きな会社になったのは、こんな思想がベースにあったからこそ、みんなが一生懸命に働いていたからなのかもしれませんね。
相手の気持ちになってその人のことを思いやる。こんな基本に徹底的にこだわって生きてこられた本田宗一郎さん。この素晴らしい人柄に追いつくことは難しいことですが、少しでも近づいていきたいです。
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メルマガコラム 素晴らしい会社
2020 年 07 月 06 日 16:37
コンビニでちょっと嬉しかったこと
いきなり個人的なことで恐縮ですが、私は、セブンイレブンの珈琲が好きで、毎日、3~4杯飲んでいます。特に青いカップのキリマンジャロブレンドがお気に入りで10円高いのですが、朝一でこれを買って出社し、ホッと一息いれてから仕事をするのが、ここのところの習慣です。
買うのは会社の近くのセブンイレブン。最初のうちは、「〇〇をください。」「はい、わかりました」という客と店員の普通の会話だったのですが、ある時、店員さんが私の顔をみると、既に手に青いカップをもって、「これですね!」と笑顔で渡してくれました。・・・「やるね!」
同じ店で何度も同じ商品を購入していても、ずっと覚えてくれない「ロボット対応」の店が多い中、こうやって覚えていてくれて、気遣いをしてくれると、やはり嬉しいものですね。
しかし、いつも不思議に思うのは、こんな小さなことでも、お客様の好感度があがるのに、なぜ、こういう接客が広がらないのかということです。 私は旅館のようなおもてなしをコンビニに求めている訳ではありませんが、この店員さんのような「ちょっとした人間的な対応」をしていけば、きっと顧客満足は高まるし、何より、働いているスタッフが楽しくなり、定着率も増えるのではないかと思っていますが、なぜ、未だにマニュアル対応が主流なのでしょうか?
仮説のひとつは、企業や店員さんの中に「お客様の対応に差があってはいけない」という暗黙の気持ちがあるから・・・。あのお客様にはやってあげて、このお客様にはしないとなると、クレームが発生する可能性がある。だから、みんな頭で「そうし方がいい」とわかっているのですが、つい恐れを感じて「決められた応対をしておこう」と思ってしまう。チェーン店というシステムの中では、常に全体を考えなければなりません。しかたないのかもしれませんが、そのシステムが、知らず知らずに人間の心も機械のようになってしまうとしたら、ちょっと悲しいですね。
ただ、世の中が、どんどん機械化、システム化していけばいくほど、こんなちょっとした人間らしい応対を受けるとホッとするのは事実です。便利であって、人間らしい応対がある店は、もっともっと求められるような気がします。人間味豊かなセブンイレブンが出現する日がくるかもしれませんね。
さて、実は先週も、そのセブンイレブンに行きました。また「キリマンジャロ」を頼んだら、いつもの店員さんが「お客さん・・・このキリマンジャロ、廃止になるんですよ」と残念そうに、残り僅かになった青いカップを渡してくれました。
お気に入りがなくなるのは寂しいですが、私はまたその店に通うと思います。
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メルマガコラム 思うこと
2020 年 07 月 01 日 13:40
利益の少ない仕事に心をこめよう
CoCo壱番屋の創業者の言葉
「利益の少ない仕事にも心をこめよう」。これはあの有名なカレーチェーン店「CoCo壱番屋」の創業者宗次徳二さんの言葉です。手間がかかるし、代金をいただくほどのことではない「ささやかな仕事」。そんな仕事にも真心をこめてサービスをしよう。そんなことに真摯に取り組む姿勢がお客様との根強い信頼につながっていくんだよ、という意味だと思います。
コロナでお客様が減ってしまった、売上がなくなってしまった。こんな時はどうしても売上・利益を上げることに目が向いてしまうものですが、ある人がこの言葉をSNSで紹介されているのを見て、ハッとしました。
CoCo壱番屋さんは、以前、私も取材をさせていただきましたが、ご夫婦で始めた小さな喫茶店が、全国に1000店以上のカレーチェーンになったのは、創業の頃から、お二人がささやかな仕事に真心を込めてこられたからです。
毎日、お店のまわりを掃除する。来られたお客様を笑顔で出迎え、仕事はキビキビとお客様を待たせない。お客様への返事はハキハキと応える。 「ニコ・キビ・ハキ」という小さなことに、真心をこめて取り組まれたことで、カレーの味だけない熱心なお店のファンが増えていきました。小さな喫茶店の時代から、モットーとされてこられたこの言葉は、時代を超えた「商売の原則」なのだと思います。
商いの鉄則に戻る
確かに「お客様が少なくなった!」「売上を上げよう」と意気込んでみても、そう簡単に上がるものではありません。売上は「お客様との信頼」が積み重なって生まれているからです。どんな商売でも、最初はたった一人のお客様からスタートし、店主がわざわざ来てくださったお客様に感謝し真心こめて応対したことで、お客様が喜んで帰っていかれる。そしてそのお客様が再来店してくださって何度も足を運んでくれるファンになる。その信頼の積み重ねが今の売上になっているので、そもそも急に上がる秘策なんてないのではないでしょうか。昔から商人の間では、「一人ひとりのお客様を大切にしなさい」「小さなことにも真心をこめて尽くしなさい」と言われていますが、これが、何度も不況を乗り越えて伝承されている商いのゴールデンルールなのだと思います。
しかし、私たちが大災害の教訓を忘れてしまうように、私たちは今回のように不況になって売上が厳しくなると、例えば、接客を簡素化したり、無駄なコストを切り詰めたくなって、「利益の少ない仕事などに力を入れている場合ではない・・・」と、つい利益にばかりに目が向いてしまい、原則を忘れた判断をしてしまいがちです。もちろん、無駄なコストを削減するのも商売の鉄則ですから、すべてにこの判断がいいとは限りませんが、もし大事な「真心サービス」を削減してしまっては、一時的には回復できても、ファンは生まれていかないような気がします。
商売の瀬戸際の時に、そんなのは綺麗ごとだと言われる方もおられるかもしれません。でも、自分が顧客ならどの店を利用したくなるかと考えた時に、やはり真心こめてくれるところを選ぶだろうと思います。苦しい時に経営者がどんな判断をし、何をしていくか。本当に難しい判断が続きます。
こんな時には、時々、苦しい時を乗り越えてこられた先人の言葉を見つめ直していくのも大切な気がします。
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2020 年 06 月 23 日 16:12
営業再開を「うずうず」して待つお客様と社員がいるお店
各地でお店が再開しています。賑わいの戻ったお店でスタッフの人たちが楽しそうに働いている姿をみると、やっぱり嬉しくなります。
知り合いのお店も2か月休業し、先日再開したのですが、あるパートさんが「もう嬉しくてしょうがないです!休みの間、働きたくてうずうずしていました」と仰っていました。お客様も再開をうずうずして待っておられたようで、客足はすぐに戻り、業績も順調に推移しているそうです。このお店は昔から、お客様を大事にされているのでファンが多いので、これくらいの休業ではびくともしないのでしょう。ファンを大切にする経営の大切さを実感しました。
しかし、その奥にあるのは、社長が何よりも社員を大切にして経営をされていたこと。社員を家族のように大切にしてこられ、社員同士の絆もしっかりとあるお店でした。そんないきいきと働くスタッフにお客様も魅了されているのです。「働きたくてうずうずする」くらいの社員マインドが「行きたくてうずうずする」お客様を育てていたようです。まさにESなくしてCSなし、ということでしょう。
しかし、一方でこの危機にオーナーと社員の心が離れていったお店もあると聞きます。何の説明もなく来なくていいと言われ不安のまま家で過ごしていたパートさん。「こんな時に働かせるんですか」と社員と社長ともめ事が起こったお店。たまっていた膿が出てきたように、半数以上の社員が離職してしまった店もあるようです。お客様だけでなく、社員にも離れられてしまっては経営はできません。この危機の中で、いろんなものが見えてきて、改めて「強い経営」とは何かと考えさせられました。
まだ、コロナの経営危機はしばらく続きますが、この先も、どんな危機がやってくるかわかりません。当面は資金繰りや助成金を頼りにしていかなければならないのだと思いますが、本当は、どんな危機にも離れない「ファンづくり」や、どんな危機にも離れない「社員との絆づくり」、社員が「いきいき働く環境づくり」など、本質的な対策をしていかなければ、また同じことが繰り返されるような気がします。長期対策の視点も不可欠なのではないでしょうか。
しかし、考えてみればどの経営者も商売を始めた時は「人に喜んでもらいたい」「それが嬉しい」という気持ちが原点だったはず。ここから厳しい時期が続きますが、仲間と共に、ファンづくりの喜びをもう一度味わう絶好の機会かもしれない。そんな気がします。
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2020 年 06 月 16 日 09:54
鬼ごっこ
新型コロナの影響で世の中に大きな波が押し寄せています。お客様が来ない、思うような営業ができない、感染対策で気を使ってやらなければいけない・・・こんな時が来ることは誰も予想していませんでした。
ただ、いくら「早く元に戻ってほしい」と願っても、「こうなったのは〇〇のせいだ」と不満を言ったとしても、この状態がよくなるはずもなく、しょうがないと受け入れていくしかありません。しかし、だからといって「売れないのはコロナのせいだ」「不況なんだからしょうがない」と言って諦めてしまうのも、釈然としません。「どうせ負ける勝負なんだから」と最初から試合を投げ出している選手のような気がします。
では、こんな状況にどんな風に向かっていけばいいのか。私はこういう時こそ、自分を成長させていくチャンスだと思い、むしろ「いい時代が来た」と楽しんでみるくらいが大切な気がします。
子どもの頃にやった「鬼ごっこ」を思い出しても、いちばん面白くないのは、鬼が弱い時。いつまでたっても鬼に捕まれない鬼ごっこは確かに自分は鬼にはなりませんが、スリルもなく、自分のスキルも高まりません。鬼ごっこが面白くなるのは鬼が強い時。どんなに逃げても追いつかれ負けてしまう。それが悔しくて、次は俺の番だと全力を出し、互いの面白さも増していきます。どんなゲームも同じ構造。新しいステージには、だいたい強敵な敵が表れて、最初は負け続ける時が続き、自分のスキルを磨いていくプロセスがいちばん面白くなっているはず。「簡単に売れていた状況」が弱い鬼の時代。そこに「コロナによる売れない状況」という強い鬼が現れた。こういう発想で、毎日「どうやってこの鬼に勝てるのか」とクルクル頭を回し、やれることから行動していくというのが、私が思う「この時代を楽しむ」ということなのですが、この話をするといつも、「そんな風に考えれない」「不安でしかたない」という人も多く、なかなか理解されません(笑)。
ただ、不況の中で「しかたない」と諦めて行動しない人と、「何とかしてやろう」ともがき続けている人では得られる経験値は違うのは事実。滅多に来ないこの「修羅場」の経験は、きっと次に来るだろう「次回の修羅場」に生きていくはず。久しぶりに出現した強敵「強い鬼」に対して、のた打ち回ってみるのも悪くないと思います。
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2020 年 06 月 09 日 09:34
テレワークで見えてきた課題
今回のコロナ禍でテレワークが広がりましたが、いろんな課題も見えてきたようです。
Uniposという会社が、全国のテレワークを実施している上場企業の管理職333名と20歳以上の正社員553名(一般社員)を対象に「テレワーク長期化に伴う組織課題」に関する意識調査を4月24~27日にインターネットリサーチという形で実施した結果では、以下のような課題が浮き彫りになりました。
チームの生産性の変化についての質問では、一般社員は、「とても低くなった」「やや低くなった」と回答した人の割合は合計44.6%、管理職は38.7%と回答し、生産性が低くなったと感じている人が多いことがわかります。
また、管理職に「テレワーク開始前と比較して、部下の仕事ぶりについてどう感じるか」と聞いたところ、「とても分かりづらい」「やや分かりづらい」と回答した人の割合は合計56.1%。また、一般社員に「テレワーク開始前と比較して、上司や同僚の様子についてどう感じますか」と質問したところ、合計48.4%が「とても分かりづらい」「やや分かりづらい」と回答していることがわかりました。
その他、管理職、一般社員の双方に「テレワークが長期化したら深刻化すると思う課題」を質問したところ、回答が多い順に「コミュニケーションの取りずらさ」、次いで「社内連携のしづらさ」、「モチベーション維持・管理」と、上位3位が同じ結果になったそうです。
上場企業は仕事がかなり分業化されているので、コミュニケーションがうまく取れないと仕事が捗らないのかもしれません。また上司の決裁を取って仕事を進めるなどの組織文化も影響しているのでしょうか。テレワークに対する戸惑いを感じます。
私たち、ブロックスはどうかと振り返った時に、今回のテレワークで逆にコミュニケーションが良くなったという実感があります。今まで営業所別で行っていた朝礼をオンラインでやるようになり、個々の活動が見えるようになり、営業所を超えた連携も生まれるようになりましたし、毎日、みんなで顔を合わせているので、危機感も含めて、細かな情報まで共有できるようになりました。また、ZOOMのブレイクアウトルームの機能を使った数名の情報交換では、悩みや気づきを話しあい、心の距離も短くなった気がします。元々、弊社は個々が自分の仕事に責任を持ち、自己完結するプロデューサー集団だったので、今までが見えにくかったから、逆に良くなったのかもしれません。
しかしブロックスでも、緊急事態宣言解除後に、出社してきた社員に聞くと、「やっぱり職場の方が集中力が増します!」という声が多く、出勤して、みんなで働くことの意義も感じているところです。
こうして、比較しても、テレワークをどう受け止めているかは、個々の企業規模や職種によってだいぶ違うのかもしれません。ただ、自分自身やまわりの人の意見を聞くと、もちろん、会って話をするのがいちばんですが、テレワークの中で体験した「オンラインでの意見交換やコミュニケーション」は、意外に成り立つという実感をもっている人は多くなっているように思いますし、「家族との時間が増えた」ということに幸せを感じている人も、増えているような気がします。
生産性の問題やお互いの仕事内容の把握など、いろんな課題を含んでいるテレワークですが、きっと、ここからいろんな解決策が生まれ、もっと加速してくような気がします。
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2020 年 06 月 02 日 09:53
「ピンチはチャンス」は本当か?
昔から、「ピンチはチャンスだ」という言葉があります。「こんなのは、モチベーションを高めるだけの精神論ではないか?ピンチはやっぱりピンチだよ」という人もいるかもしれません。私も昔はそう思っていた一人です。
今回の緊急事態宣言の影響で、商品やサービスが売れなくなると、いつか景気が良くなり、元に戻るだろう、今は我慢しようという気分になります。ただ、いつか景気が良くなるだろうと環境変化をあてにしていると、そうならない時に不満や不安が増してきます。「もっと政府が補助してくれたらいいのに」「対策が遅い」という感情が生まれるのは、こんな時からもしれません。私は、これがピンチはピンチだと思っている人だと思います。
しかし、このコロナ禍で、この逆境でやれることはないかと考える人もいます。景気回復を待つのではなく、自分達で新しい商品を生み出している企業や、この状況変化を機会に新しいスタンダードを作りあげていこうという企業はたくさん見受けられました。 「ピンチをチャンスにしよう」という積極的な発想は、失敗もついてくるので、我慢する、静観していることより確かにリスクが高い。最終的にどちらがうまく行くかはわからないのですが、私は、もし失敗をしたとしても、後者の企業の方が、たくさんの経験を蓄積できるので、その後が少し強くなっている気がします。
また、個人的な視点で考えてみても、ピンチをチャンスにしようと思っている時は、人間の脳も鍛えられるのではないでしょうか。今回、夏に向けて通気性のいいマスクが続々と登場していますが、ニーズの変化は新しい需要も生み出すのも確か。例えば、今後、家にマスクを忘れてきたり、予備をもっていない人のために、自販機でマスクが販売されるかも。さらに、美容にいいマスク、日焼けむらがなくなるマスク、自動着脱式のマスク、マスクしながら食事ができるマスク(笑)など、様々な不満が解消されたマスクも出てきそうです。マスクだけでもいろんな想像が生まれます。
これは、自分自身の体験ですが、困っていることに目を向けて、解決策を考えていくときは、脳が気持ちよくなっています。その間は、前向きな気分になります。前向きな気分になると、失敗が怖くなくなります。そうすると「やってみよう」という気持ちになり、行動が生まれます。今まで動いていなかった脳細胞が活性化していくような気がします。ブレーンストーミングの発散時期のワクワク感は、人間の本能に会っているからなのではないでしょうか。
ピンチはチャンスは本当か?まだ精神論の世界かもしれませんが、そう考えていくほうが気分がよくなるのは間違いありません。 コロナ時にどう動いたか、その後どうなったかが、いつか科学的に検証されれば、面白いですね。
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2020 年 05 月 26 日 17:29
背中を押された挑戦、本物の挑戦
いよいよ緊急事態宣言が全国で解除になりましたね。
すぐに元の状態に戻ることはないと思いますが、これまでのことを考えると、少し前向きな気持ちになります。不安もたくさんありますが、ここから、それぞれの世界で新しいことに挑戦して回復させていくしかありません。
「挑戦」というと、私は、この自粛期間の中で、改めて挑戦の意味を考えることができました。もちろん前から挑戦していくことは大事だということは頭でわかっていました。しかし、その中身はまだまだでした。
この間、私が挑戦を通して気づいたことを書いてみます。
緊急事態宣言が発令されてから、私たちのメインの仕事である映像制作やセミナーなどほとんどの仕事がストップしました。社員の働く場所も全員が自宅になり、ミーティングも集まってできなくなりました。皆さんの会社も同じだと思いますが、この事態をどう打開していくのかと、みんなで話し合っていく中で、いろんな挑戦が始まりました。
テレワーク中の朝礼をどうしようかというところから始まって、この状況を打開するために何をしていくかという会議をオンラインで続け、新しい仕事を生み出してきました。同時に、仕事が少ないこんな時だからこそ、「緊急でなく重要なことに時間を割くべきだ」という声があがり、勉強会や社員研修もやってきました。また、これまでのやってきたオフラインセミナーのオンライン化にも取り組んできましたし、新しいマーケティングの研究も進めてきました。今では時間が足りなくなるほど、いろんなプロジェクトが進んでいます。
当初は急激に仕事ができなくなる状況に不安になる社員もいましたが、新しいことに挑戦することに慣れてくると、楽しくなるのか、意見やアイディアも生まれるようになり、マインド面でも変化が生まれきました。私自身も、みんなでああでもない、こうでもないと改善してきた創業の活気を思い出し、業績は厳しいままですが、なぜが楽しい日々を過ごすことができています。きっと皆さんの会社でも、こんな風に、随所に新しい挑戦が生まれていることと思います。
しかし、冷静に考えると今回の様々な挑戦は、自分から起こしたものではありません。思いがけずやってきた変化の波に対応しているだけのこと。コロナに背中を押されているような挑戦は本物の挑戦ではありません。本当に挑戦している企業は、常に自分たちの理想に向かって挑戦を続けている企業だと思います。理想に向かって進化することを挑戦と呼ぶならば、そのことがおろそかになっていました。
今回、コロナのおかげで生まれた挑戦を、ここからは、本物の挑戦に変えていこうと思います。
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2020 年 05 月 19 日 10:31
新しい感覚の新しい世界
一部を除き、緊急事態宣言が解除されました。長い間の自粛を経てのお店を再開。緊張と共に少しホッとされたことと思います。ここから新しい世界。様変わりしたお客様のニーズに対応する新しい時代がスタートします。
私自身も、このコロナの経験で、いろんな感覚が変わりました。衛生に対する意識や行動は変わりましたし、働く場所や働き方、WEBコミュニケーションに対する感覚も変わりました。逆に人に会いたいという感情も高まっていますし、外で活動することが待ち遠しくなっています。
しかし、私がいちばん変わったと思うのは、多くの人が「人のために」と考えるようになったことではないでしょうか。助け合いの輪は、東日本大震災の時も生まれましたが、今回は全員が人に対して優しくなっているような気がします。他者を思いやる気持ちが高まっている気がします。
実際には調査をしてみないとわからないところですが、どのような商売にしても、こうしたお客様の心の変化に対応していかないとお客様が来ていただけなくなるはずです。
例えば、優しさに敏感になっている時に、人に対して優しくない行動をしていると、もう行きたくなくなります。また、もし、感染対策がいい加減だと、そのお店は思いやりがない店じゃないかと思ってしまいます。
顧客満足の基本は、「自分がお客様だったら、どうされたら嬉しいか」。お客様の立場になって考えてみることでしたが、今こそ、お客様の気持ちになって、新しい感覚を大事にしながら、今のあり方を見直していかないといけないのかもしれません。
皆さんは新しい世界で、何を変えていきますか?
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2020 年 05 月 12 日 16:34
恩返しの経済循環
まだまだ、どうなるかわかりませんが、だんだんと営業再開の方向が見えてきたように思います。
自粛の気分やテレワークは常態化するでしょうから、最初から以前のような状況には戻らないと思いますが、お客様をお迎えする準備を始められる会社も多いのではないでしょうか?
長い間の自粛期間を経て、再開を待っていたお客様をどんな風にお迎えするか。再開後、真っ先に足を運んでくれるお客様は、あなたのお店が大好きでうずうずされていたファンに違いありません。そんなお客様に「待っていたよ」などと言われたら、スタッフの皆さんも嬉しいはず。お客様のありがたさに気づくこと人も多いのではないでしょうか。
しかし、飲食店や旅館業など一部の業界の経営者にとっては、この間の資金繰りは地獄のような日々だったはず。減り続ける資金を見ながら絶望を感じておられる方も多いと思います。そんな時に、こんな楽観的なことを言っていると怒られそうな気がしますが、今回の客離れはお店が嫌いになって離れた客離れではない訳ですから、あなたのお店が大事にされてきたお客様はすぐに戻ってこられるはず。お客様にとって必要なお店だったら、つぶれてほしくないはずです。
私自身も、今までいろんな飲食店やホテルを利用させていただき、助けられたり、いろんな思い出をいただいてきましたので、知っているお店が苦境に立たれていることを聞くにつれ、少しでも恩返しをしていきたい気持ちになっています。
誰でも売り手であり消費者であるならば、みんなが顧客として満足させていただいたことへの恩返しをしていけば、経済は循環していくのではないでしょうか。たくさんの費用を落とさなくても、人が来るだけで活気が出るのがお店です。国の支援も大事だと思いますが、「助け合う世の中」にすることが、経済回復のいちばんの特効薬だと思います。
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2020 年 05 月 07 日 17:18
危機の中で試される企業の姿勢
緊急事態宣言の延長が発表されました。やむを得ないとはわかりながらも、いつまで続くのかという出口が見えないことへの不安は誰もが感じていることだと思います。ただ、例え緊急事態宣言が解除されたとしても以前のような状態に戻ることはなく、皆さんが仰っているように私たちはウィルスの危機を抱えながら経済活動をしていく新しいステージで生きていくことになるはずです。
ただ、人類が初めて経験する時代になるのは間違いなく、誰も正解を持っていません。専門家の意見を聞いたりするのは大事なことだと思いますが、やはり、そうした情報も参考にしながら、自分で試し、失敗もしながら、手探りしながら自分の手で新しい道を切り開いていくしかないと感じています。
先日、あるホテル業の経営者が、これから先は県外をまたいでの移動が少なくなるだろうと、安全を確保しながらも、県内のお客様が日常の疲れをいやす場所をつくっていこうと話をされていました。自粛で疲れた人たちが羽を伸ばしたいという気持ちは確かにあるはず。これも実際にはやってみなければわからないのだと思いますが、こうした新しいニーズはどの業界にもあるのでしょう。
こうしたニーズをどう掴んでいくのか。私は、これまで今までいろんな業界の成功企業を見てきましたが、そうした企業の経営者の視点は「どうすれば儲かるか?」という発想ではなく、つねに「どうすればもっとお客様の役に立てるのか?」と発想される方ばかりでした。前者が、うまくいくと予測されること、他社がやって儲かっていることにフォーカスするとしたら、成功されている経営者は、どんな時もお客様の気持ちに寄り添い、何とかして助けてあげたいと思って知恵を練り行動されています。自分がやらなければという使命感に燃え、儲かるとか儲からないとかの前に、何とか役に立とうという思いが満ち溢れています。
上手くいくことや儲かることを探してやるのですから、短期的には前者がうまく行きそうに見えますが、不思議なことに、どの業界でも最後はいつも後者の企業がお客様の支持を集め、長期的に発展しています。直感ですが、この原則は、どんな時代になったとしても変わらないのではないでしょうか?
もちろん、危機的状況においては、短期的にすぐに儲かる道を探すのは経営者として大事なことだと思います。ただ、どんな時も顧客は企業の姿勢を見ています。どこまでお客様を大切にできるか?これからの時代は益々企業の姿勢も大きな「購入理由」になるような気がします。
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2020 年 04 月 28 日 10:00
コロナに負けないために大事な5つのこと
先日、Facebookでコロナウィルスに関するこんなポスターがあることを知りました。
無料でダウンロードできるもので、私たちも、早速打ち出して社内に張らせていただきました。
以下がその内容です。
**************************************
【コロナウィルスに負けない大事な5つのこと】
1. Stay Healthy(体力・免疫力を保とう)
2. Stay Positive(ポジティブな気分でいよう)
3. Stay Connected(つながりを保とう)
4. Stay Thankful(感謝の気持ちを忘れずに)
5. Stay Focused(大事なことは考え続けよう)
※ポスターは、こちからからダウンロードできます。
https://www.es-inc.jp/insight/2020/ist_id010284.html
**************************************
コロナウィルスのいちばんの対策は接触を減らすことということで、「家にいよう」という呼びかけに皆さんが行動されています。 もちろん、この行動がいちばん大事なのだと思いますが、同時に「心」の対策も大事な気がしていたところに、このポスターに出会いました。
人間は不安が大きくなるとなかなか前向きな気持ちになれません。2番を意識することの大切さを痛感しています。また、テレワークが続いていくと、一人暮らしの人などは、本当に孤独になります。在宅期間が続いていくと3番の大事さもだんだんわかってきました。
そして、4番。感謝の気持ちを忘れないということは、今、いちばん大切なことのような気がします。医療関係者の方への感謝も忘れてはいけませんが、事業を継続せよと言われているスーパーや宅配、インフラを支える人たちも、感染リスクの中で頑張ってくださっています。感謝は社会の潤滑油。「心」まで感染しないようにしたいものですね。
ブロックス社員も、テレワークでみんながバラバラに働いています。今、それぞれの会社がZOOMを使って会議をしたりしていますが、やはり、合わないことでみんな不安が大きくなっているように感じます。こんな時だからこそ、心を元気にしていきたいですね。
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2020 年 04 月 21 日 09:37
ぶれないリーダー
先週は、緊急事態宣言が全国に広がり、対応に追われている会社も多かったのではないでしょうか。こうした危機になって、経営者などトップのあり方が問われています。この間、いろんな経営者の皆さんと話をしましたが、不安はあったとしても、やはりトップがどっしりと構えておかないとみんなが不安になってしまうのだろうと思います。ここ数か月、経験したことがない困難な状況ばかり起こっていますが、その時に何を軸に判断していくか。やはり、それは経営理念だと思います。どっしり構えられているリーダーはこの軸がぶれていません。普段から社員を大切にすると言い続けている人は、真っ先にそれを実行されていました。世の中の為に役立つことを使命感にしているリーダーは、自分のことよりも困っている人を助けることに全力を尽くしておられました。しかし、こうしたリーダーのいる会社は、普段から理念を実践されている訳ですから、リーダーに言われなくても、社員が「この危機をみんなで乗り越えていこう」という気持ちになっているのでしょう。
そう考えるとやはりぶれない軸を持って経営を続けてこられた企業は強いですね。
このような危機になると、どうしても「目先」の解決策に目が行きがちになりますが、目先のことに振り回されているだけでは、その後がうまくいくような気がしません。
せっかく与えられた時間に私たちは何をしていくか。私たち一人ひとりに問われています。
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2020 年 04 月 14 日 10:32
「思いやりのチカラ」 新しい動画を作りました!
緊急事態宣言で外出禁止となり、ご自宅で仕事をされている方も多いと思います。同時に、どうしても仕事に行かなくてはならず、不安の中でお仕事をされている方もおられるのではないでしょうか。
特に、自分が感染するかもしれない恐怖と闘いながらも出勤している医療関係者の皆さま、コロナ対策の最前線におられる行政職員の皆さまには心より感謝申し上げます。
さて、この度ブロックスでは、この時期に少しでも皆さまのチカラになりたいと、ひとつの動画を制作いたしました。
タイトルは「思いやりのチカラ」。
3分弱の短い映像ですが、ぜひご覧いただければ幸いです。
https://www.facebook.com/blocksdoit/videos/253884905744631/
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2020 年 04 月 06 日 15:15
刃を研ぐ
毎回、毎回のメルマガでコロナのことばかり書いている気がしますが、こんな時にこそ、私たちがやれることをやっていこうと、いろんなことを計画しています。
スティーブン・R・コヴィー博士のベストセラー「7つの習慣」の中で「刃を研ぐ」という文章がありますが、まさに今やることのひとつは、自分や会社における刃を研ぐ時間ではないでしょうか。
本の中で「刃を研ぐ」とは、こんな文章で紹介されています。
~書籍『7つの習慣』432ページより~
森の中で木を倒そうと、一生懸命ノコギリをひいているきこりに出会ったとしよう。
「何をしているんですか」とあなたは訊く。
すると「見れば分かるだろう」と、無愛想な返事が返ってくる。「この木を倒そうとしているんだ」
「すごく疲れているようですが...。いつからやっているんですか」あなたは大声で尋ねる。
「かれこれもう五時間だ。くたくださ。大変な作業だよ」
「それじゃ、少し休んで、ついでにそのノコギリの刃を研いだらどうですか。そうすれば仕事がもっと早く片付くと思いますけど」あなたはアドバイスをする。
「刃を研いでいる暇なんてないさ。切るだけで精一杯だ」と強く言い返す。
忙しくてなかなかできなかったこと、やるべきだと思っていても先送りしていたこと、ノコギリの刃が摩耗しているのをわかっていながら、なかなか手を付けられなかったことをする。それがまさに今、この時なのかもしれません。このコロナ渦が収まってから、切れ味が増したノコギリでロケットスタートしていくために、何をしていきますか?
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2020 年 03 月 31 日 10:11
「誰も体験したことがない世界」の歩き方
世界的に新型コロナウィルスの拡大が広がり、日本も拡大の瀬戸際と言われています。ここが踏ん張り時ということで、土日をご自宅にこもっておられた方も多いのではないでしょうか。正月がスタートした頃は、こんな状況になるとは誰も想像していませんでした。ただ、ここまで来たら、これ以上悪くならないようにするために、一人一人が節度ある行動をしていくしかないですね。
誰も体験したことがないこの状況。正解はだれにもわからない。何が良い方法かどうかは試してみないとわからないので、世界各国でもいろんな挑戦がスタートしています。ある程度の科学的根拠に基づいているとはいえ、実際は「やってみないとわからない」のが現状ではないでしょうか。
ただ、この「誰も体験したことがない世界」は、これからの「あたりまえ」になっていくようにも思います。例えば数年後にはAIが世の中にあたりまえになり、十数年後には3人に1人が高齢者となる社会。こんな世界は誰も経験したことがありません。もしかすると、もっと大きな災害や疫病がやってくるかもしれません。
これからも、こうした「誰も体験したことがない世界」が待ち受けているのだとすると、「どうしたらいいか?」と人に聞いても意味がないのでしょう。自分達で切り開いていくしかありません。早くに気持ちを切り替えて、自分達から「誰も体験したことがない世界」での生き方に慣れていくのがよさそうな気がします。
正解がない、誰も知らないとすると、正解がわかるまでやってみる。テレワークも時差通勤も外出規制やってみると良さも悪さがわかってきましたが、PDCAのP(計画)の段階で止まってしまうより、DO(行動)を先にして結果を見て修正する。こうやって、少しずつトライしながら改善していくのが、この世界のスタンダードな歩き方になるのでは?
もしかすると、終戦直後も、こんな状況だったのかもしれませんね。その時の経営者の生き様を本で読むことができますが、まさに最初の一歩は上手くいくという算段より、経営者の「直感」ばかり。チャレンジして、失敗を重ねながらも、素晴らしい理念を持って続けてきた人が成果を上げられてきています。「誰も体験したことがない世界」を生き抜く「方法」はわからないかもしれませんが、わからない道の歩き方の「精神」には、先人をお手本にできるのではないでしょうか。
コロナから数か月。私の周りにも、もうこの状況を受け入れて「だったらこうしよう」と変化に向かっている人たちが出始めています。私も、「失敗してもいいじゃないか」という前向きさ、おおらかさ。この気持ちを大切にしていきたいなと思います。
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2020 年 03 月 25 日 10:43
できることをやろう!
コロナ渦でイベントや外出が自粛になり、先行きが見えない不安もあって、気がめいっている方も多いことと思います。こんな時に前向きな気持ちになるというのは難しいかもしれませんが、それぞれが「できることをやろう」と動き出されている方も増えてきました。
そのひとつが、私も親しくさせていただいている「顧客ロイヤルティ協会」さんの活動です。顧客ロイヤルティ協会さんは、顧客満足を日本に広められた佐藤知恭先生の意志を受け継ぎ、社会に顧客ロイヤルティの考え方を普及させておられるNPO法人です。今回、その顧客ロイヤルティ協会さんが、少しでも皆さんのお役に立てればということで、「顧客ロイヤルティ講座」のWEB動画を無料公開されています。
時間が余ってしまったり、研修がキャンセルになった時など、ぜひ学んでみてください。
http://www.customer-loyalty.jp/
もうひとつ、以前もご紹介させていただきましたが、スポーツ分野のみならず、ビジネスの世界にも「ご機嫌な心」を拡げてこられているスポーツドクターの辻秀一さんが、一流アスリートのご機嫌メッセージを発信されています。この時期、自宅にこもりがちな学生や若者や不機嫌になりがちなビジネスマンに向けて、前向きな心になるためのメッセージ。ぜひご覧ください。
VIDEO
このほかにもいろんな方が「やれること」をやりだしておられます。景気は「気」ですから、前向きな心の渦を回していけば、きっとこのマイナスな状況や機運も乗り越えることができるのではないでしょうか。
私たちも、できることやっていこうと思います。
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2020 年 03 月 18 日 09:56
「あるべき姿」を言うことより大切なこと
新型コロナのことで不安な日々を過ごしている方が多いのではないでしょうか。イベント関係、飲食、ホテル、旅行業などの方は大きな打撃を受けておられ、切実な声が聞こえてきます。東日本大震災の時もそうでしたが、こうした時こそ、助け合いの精神を発揮していくのが日本の素晴らしさ。みんなが東北の商品を購入したように、私もできるだけ困っている業界や地域の人たちの商品やサービスを購入し少しでも経済を回していきたいと思います。
さて、先日、ある会社で顧客満足調査の結果、悪い結果がでてしまった拠点の人たちへの研修をお手伝いする機会がありました。こうしたテーマですから、参加する人たちもいい気分ではありません。最初はとても暗い雰囲気でした。悪い結果を出そうと思って仕事をしている人は一人もいません。悪いと責めても何もいいことはありませんので、参加者同士で話し合っていただくことしました。そもそもなぜ今顧客満足を高めることが大切なのか、どうすれば満足を高めることができるのか?こんな問いを話してもらうと、たいていの方が正しい答えを知っておられます。問題はなぜ、知っていることを実行しないか。そんなことも話し合っていただくと、次第に自分でやるべきことを見つけられ、明るい表情になっていかれました。
この研修を通して私もいろんなことを考えさせられました。顧客満足を高める行動の指標(あるべき姿)をつくり、それが現場で実行できているかどうかを調査して評価する。この方法で確かに全体の意識は高まっていくのだろうと思います。しかし、何年もこれをしていると、現場の人たちはその「行動」をすることだけに意識が行ってしまい「顧客満足=それさえやっていればいい」となってしまいます。本当に大切なのは「お客様を大切にする心」であるはずなのに、「行動」ばかりに目が向くから、あるべき姿を実行することが「やらされ感」になってしまっているのではないでしょうか。
参加者は対話を通してそのことに気づかれたようです。そもそもサービス業の現場にいる人は、お客様を大切にすることに共感されている方ばかりですから、昔の気持ちを思い出され、モチベーションが勝手にあがっていくようです。
「あるべき行動」を明確にするのは大事。しかし、あまりそればかりを言いすぎると「目的」が忘れられる。やはり、人の心の奥にある「そうしたい」という気持ちに光をあてて、主体的行動が生まれるようにするほうが結果として「あるべき行動」をしていきそうです。セミナーなどでよく大久保寛司さんが「あるべき姿を言うことが仕事ではなく、あるべき姿を実現するのが仕事」だと仰っておられますが、まさにそんな感じがします。
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2020 年 03 月 09 日 18:07
日本人のDNA
新型コロナウィルスへの対策で、弊社のセミナーも中止、一部延期にさせていただきました。せっかく楽しみにされていた皆さまには大変申し訳ございません。改めて再開の日程をお知らせ致します。
先週も「不安」の心理について書きましたが、この一週間でも不安の輪がどんどんと広がってしまったようです。その中で、ある薬局の店員さんが「コロナより人間が怖い」とSNSに投稿されている記事を見ました。品切れになっているマスクやトイレットペーパーが「いつ入荷するんだ」、「なぜ入らないんだ」と毎日のようにお客様に怒られるので、店頭に立つのが怖くなってしまったというものです。この記事を読んで、本当に悲しくなってしまいました。
私は、東日本大震災の時に出張で山形にいました。セミナー開催中の会場で被災し、しばらく山形から出られませんでした。今思えば比較的被害が少なかった山形でしたが、当時は不安でいっぱい。しかし、その中で何度も感動したことがありました。宿泊したホテルではロビーに帰宅困難者を受け入れて毛布を配ったり、暗闇のコンビニでは、長い行列のお客様に手作業の販売を続ける店員さんなどに出会いました。大変な状況の中で日本人の素晴らしさを体験したことがあります。それが、今回のコロナウィルスの騒動では、人間の嫌な部分も見えてきてしまいました。
しかし、私は多くの日本人のベースには「思いやり」の心があると信じています。みんなが苦しい時こそ、他人を思いやり、みんなで支え合っていく精神は心の中にあって、きっと不安に心が囚われすぎて見えていないだけなのだと思います。理想論かもしれませんが、こんな時こそ、人に優しく。自分が少し損をしても、人が喜んでくれたり、助かったと言ってくれるようなことをお互いがし合えば、少しは不安の渦から抜け出せるのではないかと思っています。
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2020 年 03 月 03 日 15:17
こんな時こそ
新型コロナウィルスの感染拡大で様々なところに影響が出ています。
治療法どころか検査手段もまだ確立していない状況で、毎日のように新聞やテレビで感染者数が報道されると、誰もが不安になってしまいます。
そもそも、なぜ人は不安になるのでしょうか?調べてみると、「不安」という感情は、弱い生き物であった人類が自分の命を守るために、未来を予測し、危険を回避するために磨き上げてきた予知能力のようなものなので、抑えようにもなかなか抑えにくい感情なのだそうです。
つまり、不安になる気持ちは人間として大事なことなので無理に抑える必要はないのかもしれませんが、「不安にとりつかれる」という状況は、少し行き過ぎかもしれません。
不安になりすぎると物事に集中できなくなります。集中できないとミスが起こります。ミスを起こしてしまうと、焦ったり、イライラしたり、普段以上に余計なエネルギーを使ってしまいそうです。
不安は大事な感情ではありますが、とりつかれるようになってしまっては、良いことは生まれないように思います。
誰もが不安になる。でも、だからこそ、「こんな時こそ」と不安モードから、自分のスイッチを切り替えていく必要があるのかもしれません。
こんな時こそ、冷静に。
こんな時こそ、普段通りに。
こんな時こそ、感謝する。
こんな時こそ、知恵を出す。
これまでも日本人は、いろんな災害に立ち向かってきましたが、そんな現場で聞かれたのは、そんな言葉でした。
今、自分がやるべきことは何か。そこに集中する。
頭ではわかっても、なかなか難しいですね。でも、不安になりすぎて、日本中がパニックになることだけは避けたいですよね。
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メルマガコラム 思うこと
2020 年 02 月 26 日 10:48
会社オリジナルの動画を活用しませんか?
お客様と企業、社員と企業など、双方のコミュニケーションが重要になるにつれ、企業の中で動画がますます注目されています。
YouTubeに代表されるように、「動画」が社会で普通に使われるようになってきている現在、会社の中で使われる動画制作も変化しています。
今回は、動画が企業の中でどのような場面で使われ、どんな変化が起きているかをご紹介します。
【採用PR動画】
パンフレットでは伝わらない臨場感があり、求職者はやはり動画がある会社に興味を持つ傾向にあるようです。内容も、事業を紹介するものから、会社の雰囲気を伝えるもの、あるいは、先輩社員の一日を紹介し、実際に働く姿をイメージしてもらうドキュメンタリーなど多岐に渡っています。理念に共感する人材を集めるためにも、何をメッセージするかが大事です。
【マニュアル動画】
身だしなみやルール、規則、接客方法・・・チェーン店などでは新人バイトに早期に基礎を教えなくてはならず、以前からマニュアル動画が活用されてきましたが、動画があれば確実に社員教育の効率があがります。しかし、顧客満足が重要視されてくる時代には、マニュアル一辺倒の教育だけでは足りません。感動を通して、働く人のマインドを高める動画も増えてきています。
【事例紹介動画】
ブロックスのDOIT!や志GOTO人のように、成功事例を紹介する分野の動画です。社内の好事例を紹介することで、他の人たちが真似しやすくなります。パワーポイントなどでの紹介では、具体的な部分が伝わりにくいのですが、ドキュメンタリー形式で紹介することで、ノウハウだけでなく、その奥にある思いや考え方まで伝わるので、「やってみよう」という気持ちが生まれやすくなります。
【経営理念伝達用動画】
分業化が進むと、社員は「自分の仕事がどのように社会に役立っているのか」がわかりにくくなり、やりがいを失ってしまいます。そこで今、多くの企業が取り組んでいるのが「経営理念・ビジョン・バリュー」などを社員に共有する理念浸透です。ここでも、動画を制作し、わかりやすく伝えることで成果を上げる会社もあります。社員の採用場面でも活用できるこの動画は、今、いちばん注目されています。
【商品・サービス紹介動画】
お客様向けのPR動画も、様々な形で作られています。SNSにアップする、店頭で上映する、訪問時に見せるなど、使い方も多種多様。カタログやパンフレットでは伝わらないものが動画なら瞬時に伝わります。また商品の活用法やお手入れ法なども動画にすることで顧客満足が高まります。
(映像制作会社の選び方)
今、動画は誰でもが簡単につくれる時代になってきましたが、端的にわかやすく紹介する技術や視聴者を惹きつける説得力はまだまだプロの領域でしょう。
大事な場面で使う映像はやはりプロに任せる方が安心だという企業も多いはず。しかし、一口にプロといってもそれぞれに得意分野があります。
企業映像への理解力や表現力には差がありますので、単に見積だけで決めるのではなく、実際に会ってみてから判断することをお薦めします。
顧客に寄り添い、幅広いアイディアを出してくれる会社を選んでください。
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メルマガコラム
2020 年 02 月 19 日 10:18
お店のファンになる瞬間
「ロイヤルカスタマー」という言葉があります。企業が提供する商品やサービスに忠誠心を持ち、継続購入をし、他社に流れない優良顧客のことを指す言葉ですが、長年ご利用いただく会社のファン、お店のファン、商品のファンというは、本当にありがたいものです。
「この商品が好き」と商品に愛着を持つファンは、商品を大切にされるでしょうし、その商品に対する知識も深くなるはずです。こんなお客様に特別な対応をしてあげればさらに喜んでくださるはずです。
一方、「このお店が好き」という人の場合は、そこで売られている商品はもちろん、そこで働くスタッフのサービスや人柄を気に入っているはずです。私が長く通っているお店を思い出しても、そこには必ず「私のことをよくわかっていてくれる人たち」がいます。だからこそ安心できますし、用事がなくても、つい、その人達に会いたくなって通ってしまいます。
もちろん、継続的に利用する人の中には、便利だから、近いから、安いからなどの理由で通い続けている人もいるでしょう。しかし、そうした理由であれば、もっと便利で、もっと近くて、もっと安いところがあれば、離れていってしまいます。継続的に購入し、なおかつ他社に離れないのが「ロイヤルカスタマー」だとすると、やはり昔から言われているように、最後は、人と人の関係性、絆を深めていくことがいちばん大事なのではないでしょうか。
しかし、どうすれば、店とお客様の間の「絆」は深まるのでしょうか?自分自身が「お店のファンになった時」のことを思い返してみると、お店の人が私の心に関心を持ってくれて、私以上に考えて行動してくれた時や、その気持ちが伝わってきた時に嬉しくなり、「好き」という気持ちが生まれていったように思います。それを何度か体験している間にいつの間にかファンになっていた。そんな感じです。
皆さんはいかがでしょうか。何れにしても「私(お客様)以上に私(お客様)のことを考えてくれる」という人の存在は、お客様にとって本当にありがたいもの。ロイヤルカスタマーづくりには、そうしたスタッフが不可欠なのだと思います。
「お客様に好きになってもらうには、お客様に関心を持つ、好きになる。」単純なことですが、これがいちばん大事なことかもしれませんね。
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メルマガコラム 思うこと
2020 年 02 月 10 日 18:55
結果を出すために・・・
今年はオリンピックイヤー。今、各競技で代表選考の激しい争いが行われています。
選手の中には練習ではいい結果が残しているのに、本番になると緊張してしまい、結果が残せないと悩んでいる人もいます。「期待に応えなければ」「結果を出さなければ」と思えば思うほど、焦りや不安が生じ、いつものパフォーマンが発揮できない。強い目標意識を持たなければいけない反面、意識しすぎて結果を出せない。なかなか難しい問題です。
そんな時に活躍するのがメンタルコーチ。「スラムダンクの勝利学」などの著書でお馴染みのスポーツドクターの辻秀一さんは、その分野の先駆者です。いろんなスポーツ選手を指導されてこられた方ですが、選手が結果を出そうとし過ぎるとやはり結果が出ないので、目の前のことに集中するなど、心をいい状態にする様々なスキルを指導されているそうです。
ジネスの世界でも常に「結果」が求められます。しかし、結果ばかりを意識してしまうことで、焦ったり、イライラしたり、心が乱されることがあります。そうなるといい行動は生まれませんし、結果も出ません。
私が20代の頃、営業として仕事をしていた会社では、会社の壁に営業成績グラフが掲示されていました。会社は社員を発奮させようという狙いだったと思いますが、私は人と比較され、追いつめられるような感覚になるそのグラフが嫌いでした。自分の成績が良くても悪くても、見るたびに嫌な思いをするので、私はグラフを見ないと決め、それから一切目を向けないようにしました。そうすると気持ちは落ち着き、営業に集中できるようになり、結果も良くなっていきました。
しかし、中には、こうやって人と競い合う方が張り合いが出るという方もおられるでしょう。一概に悪いことではないのだと思います。しかし、結果を意識しすぎてパフォーマンスを出せないスポーツ選手のようになる人もいるように、モチベーションの問題は本当に難しいなと思います。
先程ご紹介した辻秀一さんは、そうした選手には「今に集中する」ということをスキルとして指導されるそうですが、ビジネスの世界でも、継続的にいい成績を出している人は同じように目の前のことに全力を出している人のような気がします。ビジネスとスポーツは比べられるものではないですが、人の心は同じなのかもしれません。
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メルマガコラム 思うこと
2020 年 02 月 03 日 15:54
働けることの幸せ
DOIT!シリーズでも大人気の伊那食品工業。創業者の塚越寛さんは、斜陽産業であった寒天の製造業を少しづつ改革し、社員の幸福を追求しながら、理想の会社をつくられていきました。50年の間、一人もリストすることもなく、増収増益を続けておられます。
そんな塚越さんの経営の原点は高校時代にあるということを伺ったことがあります。
塚越さんは高校生だった17歳の時に結核を患い、入院を余儀なくされてしまったそうです。当時、結核は死の病と言われたほど大きな病気。入院は3年にも及び、高校を中退せざるをえなくなってしまいます。
みんなが楽しく学生生活を送る姿を横目で見ながら、ずっと病室で療養する日々が続きます。哲学書や経営書を読み続けたそうです。
しかし結核は治り、奇跡的に回復した塚越さんは、働こうと就職活動をするのですが、中卒の塚越さんを雇ってくれる会社がなかなか見つかりません。悔しい思いをしながら、なんとか製材業の会社に就職できました。この会社で塚越さんは本当に一生懸命働いたそうです。病気で過ごした日々を考えると、生きていること、働けることが嬉しくてしかたない。幸せを感じたと言われます。
働きぶりや言動が経営者の目にとまり、その会社の関連会社で業績が悪化していた「伊那食品工業」の立て直しをするようにと抜擢されることになりました。塚越さんは、その時はまだ21歳。しかし、与えられたその仕事に感謝し、また、一生懸命に頑張られます。それから、伊那食品工業は業績を回復し、創業以来一度も赤字を出すことなく50年以上成長していくのです。
あるインタビューで当時のことをこのように仰っています。
「260人いた高校で私だけ。一番苦労していたから栄養失調で肺結核になった。みんな進学していくのになんで俺だけが中途で退学なのか。こんな不幸があるのかと、病院で入院している間も、歩いている人を見て“あの人たちは歩ける幸せなんて感じていない”と、そう思った。だから歩けるだけで幸せ。だったら働けるなんてもっと幸せ。健康で働けて、そんな幸せはないって、自分は思った。」
健康で働けることが嬉しくてしかたない。「私は職業を変えようなんて思わないし、仕事を喜々としてやってきた」と仰っています。
この話を伺って、塚越さんが幸せに対して人一倍こだわってこられ、社員の健康や幸せにこだわれる理由がわかります。しかし、本当に伊那食品工業の社員の人たちが「幸せ」を感じているのは、こういう社員を大切にしてくれる経営者がいてくれることや、福利厚生が充実していることだけではないように思います。
塚越さんが自分自身で示されてきた「どんな状況であっても感謝を忘れず、置かれた場所で、一生懸命に働く姿」こそ、伊那食品工業の人たちの「幸せな働き方」の見本になったのではないでしょうか。
「働けるだけでもありたい」。あふれるばかりの豊かさの中で、私たちはつい、忘れそうになりそうなことですが、ここが幸せの原点かもしれませんね。
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メルマガコラム 素晴らしい会社
2020 年 01 月 29 日 09:31
「負荷」が成長をうながす
筋肉を鍛える時は身体に負荷を与えていきますが、仕事で成長するためにも、やはり負荷が必要だと思います。「自分にできるだろうか?」「無理かもしれない」ということに挑戦していく中で、新しい能力が磨かれたり、視野が広がったりすることは、誰もが経験しているはずです。だからこそ、若いうちは無理をしてもいい、仕事を一生懸命した方がいい、苦労は買ってでもしなさいと年を取った人は言いたくなってします。
しかし、最近はあまり無理をさせるとすぐに辞めてしまうからと、新人にあまり負荷を与えないようにする会社も多いと聞きます。それでも辞めずに続けてくれれば、だんだんと成長してってくれるのでしょうが、負荷がない仕事ばかりをしていると、筋肉は鍛えられませんし、視野も広がりません。結果、毎日が同じことの繰り返しになってしまい、仕事がつまらなくなります。成長の実感がないまま3年目を迎えるころに会社を辞めるということも多々あるようです。
確かに、嫌なら辞めて違う会社にすぐに変われる時代ですから、ひとつの会社にずっといる必要はないのでしょうが、「仕事は3年目から」というように、私も経験から、3年を過ぎるころから見えてくるものが変わってきたり、自信がついて好きになっていくように感じていますので、3割の人が辞めてしまう今の現状は、少しもったいないですね。
新入社員の時から3年間、どのように育成していくか。新人たちではなく、私たちに問われていることのように思います。厳しくするのではなく、若手が自ら自分で厳しい道、努力の道を進もうと思い、挑戦していくことがいちばんですが、それには、それを支える環境づくりが重要ではないでしょうか。例えば「失敗してもいいからやってみたら」と支えてくれる上司や仲間の存在、いきいきと働きチャレンジする先輩の後ろ姿など、新人が成長していく会社をみていると、やはり若い人たちの勇気が掻き立てられ、自然に未知の領域に踏み込んでみたいと思えるような環境づくりがいちばん大事なのではないでしょうか。
私も若い人の価値観の違いに驚くことがありますが、それを頭ごなしに違うと言っても意味がありません。時代が違えば考え方も違うのは当然。お互いに違いを認めながらも、せっかく入社してくれた若い人たちが、成長し、幸せになってくれるように導いてあげたいものですね。
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メルマガコラム 思うこと
2020 年 01 月 21 日 09:38
ホワイト企業大賞
今年で6年目となる「ホワイト企業大賞」の授賞式が、昨日、東京で開催されました。私も初回から企画委員としてお手伝いをしておりますが、年々応募企業が増えてきて、この活動の広がりを感じています。「ブラック企業」ばかりが世間をにぎわす中で、社員の人たちが幸せを感じ、いきいきと働く企業をめざす会社を世の中に少しでも増やしていきたいというのが、ホワイト企業大賞の主旨です。
しかし、こうした経営には「これで100点」というゴールがありません。「賞」を獲ることが目的にならないように、あえて審査基準などを設けず「共に成長していこう」という姿勢を大事にし、委員も含めて「ホワイト企業とは何か」を探求し続けています。今年度も、たくさんの「ホワイト企業をめざす企業」の皆さんが、会場に集まられ、共に学びを深めました。
その中で、企画委員の一人である原田教育研究所の原田隆史さんが、「“目標”というのは目に見える世界。いつまで、どこまで、どれくらいというのが見える。“目的”は何の為に、誰の為にという見えない世界。ラグビーの日本代表は目的があったから活躍できた。これからは目に見えない世界が大事な時代だ」ということを仰っていましたが、まさにホワイト企業大賞は経営する目的や働く目的を考える場であると思います。事業で「いくら儲ける」という目標も大事ですが、それを実現するにも「何のためにやるのか」が決まっていないと力が出てこない。原田さんの言葉に私も共感します。
ぜひ、皆さんも応募を通して、ホワイト企業への道を歩んでみませんか?
http://whitecompany.jp/whitecompany/6-1.html
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メルマガコラム 素晴らしい会社
2020 年 01 月 15 日 09:26
逸脱する勇気
業務の品質・レベルを一定に保つためには「マニュアル」が必要です。しかし、昔から叫ばれているように、行き過ぎるとそれが弊害になり、人の主体性や創意工夫の精神がなくなったり、臨機応援の柔軟な心が育たなくなってくることがあります。マニュアル通りにしなさい→マニュアルしかやってはいけない→マニュアル通りにやっているからいいのだと解釈されるようになると、想定外のことが少しでもおきると対応できなくなってしまいます。今まではこれでもなんとかなってきたのかもしれませんが、どんどんと世の中が変化し、「期待以上」が求められる時代においてはマニュアル通りではいい仕事ができません。
しかし、子どもの頃から「言われた通りする」ということに慣れてきた人にとっては、マニュアルがなければ怖くてしかたないのかもしれません。最近の若い人たちがすぐに「どうすればいいか」と聞きにくるのも、これまでの教育がそうなっていたからで、今の時代、そう簡単にマニュアルをなくすという訳にはいきません。
では、どうすれば自ら創意工夫をしたり、臨機応変に対応する心になっていくのでしょうか。
和倉温泉の加賀屋さんでは、若い人たちに臨機応変な対応を教えていくときに先輩の役割が重要だと仰っていました。例えば先輩が若い人と働いていて、お客様にプラスアルファのことをしてさしあげるチャンスがあった時には、先輩が「やってみたら?」と後輩の背中を押してあげるのだそうです。一歩踏み出すことで喜んでいただけたことで、最初の怖さが取れ、だんだんと加賀屋流の「期待以上」のおもてなしが身についていくのだそうです。
ディズニーランドさんも、先輩と後輩がよく「どうしてあげたらいいと思う?」と会話をしているそうです。最も大事な価値基準「SCSE」(安全、礼儀正しさ、ショー、効率)にそって、「その場合、どうすればいいか」を常に考えていくのがディズニーの教育。例えばお客様がジュースをこぼされた時に、「どんな姿勢で作業するのがいいか?」と問われ、「座ってしまうと視野が狭くって危ないかも」「立ったまま足で拭くほうがいいよね」と話し合っていくのだそうです。その他、感動を生み出したスタッフの行動をストーリーにして伝えるなど、常に「考える機会」を大切にされています。
今の若い人は「マニュアル世代」だとよく言われますが、本当は逸脱する加減がわかなく、少し怖がっているだけなのかもしれません。しかしこうやって先輩と一緒に体験していくうちに、自分自身が考え行動することの面白さに気づいていくと、ふたが開いたようにやってくれるのでしょう。考えてみれば、ディズニーランドのアルバイトも、加賀屋の若い接客係さんも、スターバックスの店員さんも、同じ「マニュアル世代」。世代の問題ではなく、取り巻く側が「どう育てるか」ということが大事なのでしょうね。
成功している会社から学べることは、やはり「踏み出す勇気」を持たせてあげること。「やってもいいんだ」、「失敗しても怒られないんだ」という安心感と少しの勇気を与えてあげるのが、先輩の役目なのではないでしょうか。そして、「マニュアル」はあくまでも「行動の目安」でしかなく、それに「囚われすぎるな」と言い続けると共に、根底にある「大切な精神」を伝えていくことが教える側に求められていると思います。
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メルマガコラム 思うこと
2020 年 01 月 07 日 12:21
新年のごあいさつ
いよいよ2020年がスタートしました。皆さま、あけましておめでとうございます。
今年も「メルマガDOIT!」を、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今年はオリンピックイヤーです。昨年のラグビーワールドカップのイメージも記憶に新しく、今から日本代表の戦いぶりが楽しみです。しかし、2020年はそれ以上に激動の一年になることが予測されています。5Gもいよいよ始動します。働き方改革もさらに加速するでしょう。世界情勢も大きく変動するはず。そして、テクノロジーが劇的に進化し、これまでの価値観が大きく変わっていく時代になると言われています。
確かに変化に対応することは大事です。その準備は怠らないようにしなければなりません。しかし、大きく変化する時代だからこそ、改めて大地に足を付けて「本質」を追求していくことが大切だと思っています。
誰も正解を持っていない時代になり、ますます働く人のリーダーシップや人間力の重要性が高まっています。これは、これまで追求してきた私たちのテーマです。だからこそ、私たちの出番も増えていくと感じています。
本年も、このメールマガジンを始めとし、「DOIT!シリーズ」や「志GOTO人シリーズ」などのDVD教材、「日本を元気にするセミナー」などの経営セミナー、そしてお客様のご要望に合わせてご提案する「映像制作サービス」「研修サービス」などで、新しい風を起こしてまいります。
2020年も、どうぞよろしくお願いいたします。
株式会社ブロックス 代表取締役 西川敬一/ブロックス社員一同
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メルマガコラム 思うこと
2019 年 12 月 24 日 09:56
熱が伝わる映像づくり
今年も一年が終わろうとしています。
このメルマガではあまりご紹介をしておりませんでしたが、ブロックスは、今年も様々な企業様から映像制作のご依頼をいただき、様々な映像を納品させていただきました。
企業様のニーズに応じて設計し、ゼロから作り上げていく映像なので、それぞれの映像はひとつとして同じものはありません。接客の教育用映像もあれば、学生に企業を紹介する採用活動で使う映像など、その内容は多岐にわたります。今年は採用や理念浸透に関する映像が増えてきたという印象があります。
私たちが企業様の映像制作でいちばん大切にしていることは、何と言っても、効果が生まれる映像であるかどうか。企業様の大切な予算を使って作る訳ですから、求められる目的を満たすものでなければ意味がありません。いちばん大事なことは、最初の映像設計の段階で徹底的に話し合わせていただくこと。
映像制作の難しいところは、最終段階を事前にお見せできないので、コンテを書いたりシナリオを作ってイメージを共有していきます。そして、途中段階でもお客様と何度も何度も打合せ行い、イメージのずれをなくしていかなければ、いい作品はできません。こうしてお客様と一体となって、作品を作り上げていく数か月は大変ですが、そだからこそ、映像を納品する時に、お客様から「いいものができた」「使ってみたらとてもうまくいったと言ってくださった時は、何とも言えない充実感があります。
今、世の中にはいろんな映像が氾濫していますが、私が思う「いい映像」は、製作者の熱が伝わる映像です。この間もある方と話をしていましたが、この熱は見る人には確実に伝わるものです。
企業の映像であれば、発注者の熱、そしてその熱を受けて映像をつくる製作者の熱。この2つの熱が作品の質を高めていきます。見た時にその熱が感じられるかどうか。見た人にも熱が伝わり、心が動くかどうか。人気番組がそうであるように、熱が高く、つくることにワクワクしている人たちが作った映像の影響力は絶大です。
お客様と我々がぴったり寄り添いながら、二人三脚で最高の映像を作り上げていくのがブロックス流。終わった後に、「ブロックスさんに頼んでよかった」「本当に役に立った」と言っていただける映像づくりを、来年も目指していきたいです。
今年もメルマガをご愛読いただきありがとうございました。来年も映像で日本を元気にしていきます。
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BLOCKS メルマガコラム
2019 年 12 月 18 日 14:41
応対する人の心で変わる「第一印象」
先日、あるお店で、とても気持ちいい応対を受けました。1階が店舗になっています。その日はアルバイトの人しかいなかったのですが、私が事務所に訪問予定があることを告げるとニコッと笑って内線で連絡し、社内通路を案内してくれました。こう文章に書くと、ごくごくあたりまえの応対のようになってしまうのですが、その人の全身から「ようこそ!」という歓迎の気持ちが伝わってくるような笑顔と対応でした。たった数分間の応対でしたがとても印象に残りました。
なぜ、この対応が私の心に残ったのか?しばらくそれを考えていたのですが、やはり、「気持ちが伝わっている」ということが、良い印象につながっているのだと思います。
「第一印象」の研究というと「メラビアンの法則」が有名です。あえて言うまでもないのですが、これは、1971年に、カリフォルニア大学(UCLA)の心理学教授、アルバート・メラビアン氏が発表した第一印象の研究論文がベースになっています。
その中で、人が第一印象を決める要素は3つだと言われています。①言語情報(話す内容)➁聴覚情報(声)③視覚情報(見た目)です。これ以外にはないので、誰もが最初は「あたりまえだ」と思うはずです。しかし、ここからがポイント。メラビアンは、この3つの要素に矛盾があった場合、人はどのような受け取り方をするのかを実験しました。
例えば、低い声+怒った表情+「ありがとう」と言葉を発した場合、相手は矛盾を感じます。こうした時、受け手は発せられた言葉の情報、「ありがとう」は嘘だと見抜き、聴覚や表情から得られるものを優先して判断するそうです。こうした矛盾に、人間はどの情報を優先するかと調べたら、言語情報7%、聴覚情報38%、視覚情報55%となった。これが有名なメラビアンの法則ですね。
しかし、この数字ばかりが有名になって「中身より見た目」だとか、「話す内容は重要でない」などという解釈が広がってしまっているそうですが、本当に大事なのは、3つの要素が一致すること。良い第一印象ならば、声も表情も言葉もみんな揃っているのが一番です。
では、声・表情・言葉を一致させるにはどうすればいいのか?3つを意識して変更するなど人間にできるのでしょうか?やはり「気持ち」でしょう。心から「ありがとう」と思っていれば、声も表情も言葉もそうなります。もしかすると、感謝の気持ちがなくても、声や表情や言葉をコントールできるという人もいるかもしれませんが、心と行動が違っている状況が続くと、自分に嘘をつくわけですから、いつか心が壊れてしまうはず。第一印象のカタチも大事だと思いますが、やはり奥にあるスタッフの「気持ち」を整えてあげることがいちばん自然でうまくいきそうです。「笑顔でありがとうと言いなさい」と教えるのではなく、「笑顔でありがとう」と思わず言ってしまうような心をつくること。最初に書いたアルバイトさんのお店では、普段からみんなが助け合い、感謝し合っているそうです。笑顔や感謝の心が育つ職場は最強ですね。
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メルマガコラム 思うこと
2019 年 12 月 10 日 09:44
「よい振り返り」が仕事を楽しくする
スポーツの世界では、パフォーマンスを高める方法として「練習ノート」というものがあるそうです。選手がその日の練習や試合を自分で振り返り、改善点や次の目標、練習計画などを立てていく。自分の結果を記録し、振り返ることで自信と成果につながっていくと言われています。
ただ、コーチから指摘されるばかりでは嫌な気持ちになりますが、自分で自分の一日を振り返り、ノートに記録することで課題が可視化され、次に活かしていこうという気になるのかもしれません。一流の選手はみんな練習ノートをつけています。私たちの世界でも、いろんな体験をしますが、うまくいったことも、うまくいかなかったことも含めて、過去の体験を振り返り、次に活かしていくことが大切なのだと思います。
「振り返り」と似ているのは「反省」ですが、どう違うのでしょうか。
私たちは何かうまくいかなかったときに「反省」をしますが、だいたいは「自分の良くなかった点をみとめて、改めようとすること」という意味で使います。幼い時から「反省しなさい」と言われた時は、だいたい怒られた時の記憶ばかりです。反省は、どこが悪いかったのか、なぜそうなったかということを考えることですが、大切だと思いながらも、反省を活かしていこうという前向きな気持ちには、なかなかなれません。
それに対して「振り返り」は、良かった点にも、問題点にもフォーカスを当て、そこから教訓を導き出し、「次に何をしていこうか」という未来への挑戦まで考えていくこと。良かったところは次に活かし、問題点は改善し、その中で挑戦目標も見えてくるのが振り返り。体験を次に活かすためにやるのですから、成功した時も「振り返り」が必要だと言われています。
「振り返り」は仕事の面白さも高めるように思います。「仕事が面白くない」という時は、たいてい、人のせいにして、自分自身で工夫改善ができてない時です。どこが悪かったのか、どうすれば良かったのかと考え出すと、前向きになり、きっとどんな仕事も楽しくなっていくのではないでしょうか。
反省より、振り返り。もうすぐ今年も終わりますが、いい振り返りをして、成長につなげていきたいですね。
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メルマガコラム 思うこと
2019 年 12 月 04 日 10:09
掃除の大切さ
年末が近づいてきていますね。
年末といえば大掃除ですが、実は大掃除は法律で決まっているそうです。ご存じでしたか?
労働安全衛生規制の第619条の第1項に、「日常行う清掃の他、大掃除を、六か月以内ごとに1回、定期的に、統一的に行うこと」とあります。
法律で決まっているからする訳ではありませんが、綺麗な環境は働く人のためにも、生産性を高めるためにも大事なことですね。
「いい会社」を取材していると、やはり経営者が「掃除」を大事にされています。有名なところでは、イエローハットさん。DOIT!では伊那食品工業さん、ホンダカーズ中央神奈川さん、七福醸造さん、西精工さんなどが有名ですが、掃除には「働く環境を綺麗にする」という効果以上のものがあるように思います。
社員全員で掃除をしている会社の方がおっしゃっていた「掃除の効果」を思い出してみると、以下のようなことだと思います。
① 用具や物を大切にするようになる
② 細かなところにも気づくようになる
③ 効率よく仕事をする癖がつく
④ お客様から褒められるので社員のやる気が高まる
⑤ 社員同士の協力・助け合いが高まる
⑥ 謙虚になる
⑦ 綺麗さを保とうとする
⑧ 仕事場以外でも綺麗にしようとする
⑨ 物事への感謝の気持ちが生まれる
私も毎朝のみんなで掃除をしていますが、掃除の時間は働く前の心づくりの時間でもあるように思います。
掃除をすると運気があがるという人もいますが、いい会社と言われる経営者の多くが、掃除を大切にされているということは、長い目でみて会社の業績向上にも直結しているのだと思います。
松下幸之助さんも、掃除を大切にされていた経営者の一人ですが、ある講演で「掃除は確かに辛いことだけど、それを辛抱しやっていくことがやがて成長につながる。辛抱して身に付けた技術が仕事の向上につながるのだ」ということを仰っておられたそうです。
今の時代は道具が進化し、辛いものではなくなっているので、辛抱するものではないのかもしれませんが、トイレ掃除やゴミの片付けなど、人がやりたくないことを進んでやれる人、細かなところに気を配れる人は、きっと本業でもいい仕事し、信頼を高めているはず。
たかが掃除、されど掃除ですね。年末の大掃除もがんばってやりましょう。
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メルマガコラム 思うこと
2019 年 11 月 26 日 16:23
売れない芸人の共通点
先日、ネット記事で、ある大手タレント事務所の常務が、売れない芸人の共通点を挙げておられました。それが「努力しない」「時間を守らない」「すぐに行動しない」の3つ。
芸人というと、楽をして金儲けをしたい人、適当な人というイメージがあるようですが、結果的に売れる芸人さんはすごく努力をされているそうです。時間を守らない人は信用・信頼を失って出番をなくし、売れる人は自分が何をすべきかを見つけ、すぐ動くそうです。
この話を読んで「どんな業界も同じだな」と思った人は多いのではないでしょうか。4月に入った新人がいつの間にか差がついていくのも、結局、日々の努力や行動の違いなのでしょう。芸人の世界でも、だらしない人は先輩や事務所から厳しく躾けられているそうです。でも、そこで気づく人もいれば、消えていく人もいる。途中から気づいて努力する人もいるそうですが、その時は既に遅く、若いうちから努力する人にその場を奪われてしまう。厳しい世界です。
努力する、時間を守る、すぐに行動する。芸人の世界だけでなく、どの世界でも共通する「大切にすべき資質」だと思います。持っている才能だけで成功できるような簡単な世界はどこにもなくて、こうした「あたりまえ」ができるようになって、はじめて競争のスタート地点に立てるのでしょう。
私たちビジネスの世界でも、後輩の育成が課題ですが、どうすれば、早いうちに、こうしたことの大切さに気づかせてあげられるでしょうか。その人自身が、自分の仕事に誇りをもち、夢をもって自分自身で歩んでいこうと思わない限り、いくら注意されても変わらない気がします。教えられて身につくものではないものを教えることは難しいですね。
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メルマガコラム 思うこと
2019 年 11 月 21 日 09:42
人間が人間らしく働ける組織づくり
先日開催した「日本を元気にするセミナー」では、全国から集まってくださった皆様と一緒に「人生が輝く働き方」というテーマを考えていきました。
仕事にやりがいを感じ、働く時間もそうでない時間も充実する人生が輝く働き方とはどんな働き方なのか、それを実現できる会社とはどんな会社なのか。難しいテーマでしたが、たくさんのヒントがありました。
ゲストのネッツトヨタ南国さん、西精工さんの共通点のひとつは、社員ひとりひとりが「何のために働くのか」ということを考える場があるということ。ただ漫然と日々を過ごしていても、やりがいは見つかりません。自分がどうありたいかのか。自分にとっての幸せとは何かということに向き合うこと。若い時代に考えてきた人はいいですが、このようなことをあまり考えないまま就職している人も多いのかもしれません。どんな人も幸せになりたいと思っているはずなのに、何が幸せなのかを深く考える機会が少なくなっているのでしょうか。
今回、登場したゲストの皆さんの共通点は「誰かのために」という気持ちでした。「自分のため」ではなく「自分以外の人のために」に頑張ることが、自分の幸せにつながっています。ある人はお客様のため、ある人は後輩の成長のため、チームのため。それぞれ違いがありますが、誰かに役立つことでみんな幸せを感じておられます。いきいきした組織に共通するのは「人の喜びを自分の喜びに感じる」文化です。
そして、もうひとつの共通点は「成長する喜び」の実感。自分がやってみたいことに挑戦する中で苦労し、悪戦苦闘する。しかし、その体験で一皮向けていく。成長を実感できるともっと挑戦したくなります。やりがいの高い会社には、この喜びで満ち溢れていました。
働く目的を考える文化、「人のために」に向かう文化、成長を実感できる文化を組織に築くこと。
まだまだあるのだと思いますが、私が大切だと思ったことはこの3点でした。
ロボットであれば、そんなことを考えなくても仕事ができるのでしょうが、人間には働く意味が必要なのだと思います。誰かに喜ばれることは単純に嬉しいですし、創造力を発揮できれば楽しくなります。そして束縛されるより、自由にできることは何をおいても大切にしたいはず。
人間の本質を考えてみると、これからめざすべきいい会社づくりが見えてくるのではないでしょうか。
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セミナー メルマガコラム 思うこと
2019 年 11 月 12 日 09:40
あなたの仕事は何ですか?
以前、リッツ・カールトン・ホテルのスタッフに、「難しい要望が来た時にどんな気持ちになられますか?」という質問をした時に、即座に「ワクワクしてきます」と言われたことがあります。例えば冬に「スイカを食べたい」というお客様。わがままにお答えするのがリッツカールトンですから、どんなことがあっても探してあげたいと思って行動されるそうです。
いきいきと働く人を取材する当社の「志GOTO人シリーズ」でご紹介した、ドコモショップ藤井寺店の神崎さんにも、同じような質問をしてみましたが、やはり、難しいお客様の方がワクワクしてこられるそうです。
嫌なお客様、難しい対応が迫られる場面でワクワクするというのは、普段、どんな気持ちで仕事をしているのだろうかと考えてみました。まず、自分の仕事が好きであり、もっとよくしていきたいという向上心がベースではないでしょうか。それがなければチャレンジ精神は生まれないでしょう。
しかし、いちばんのポイントは、自分の仕事をどう認識しているかということかもしれません。自分の仕事を単なる「お客様案内係」だと認識している。あるいは、お客様に幸せになっていただくための最初の窓口であると認識している。自分の仕事をどう認識するかで、対応する意欲は変わってくるのではないでしょうか。
自分の仕事は単なる案内係ではなく、「お客様に幸せになっていただく担当」であると思っている人にとっては、お客様がまったく幸せを感じていない状況(例えばクレームを言いに来られた人)は、いちばん使命感がうずいてくる時でしょう。だからこそ、困難な状況ほど「自分がやらなければ!」という情熱が湧いてくるのだと思います。使命の認識が、対応に現れるのではないでしょうか。
営業とは商品を売る人、配達とは商品を届ける人、料理人とは料理を作る人・・・。これは単なる仕事の分類にしかすぎません。使命は表していません。「俺の仕事は、(料理を通して)ひと時の幸せをつくることだ」と思えると、きっといつもの仕事が違って見えてくるはず。どんな状況があったとしてもワクワクする時間になるのではないでしょうか?
改めて問います。あなたの仕事は何ですか?
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2019 年 11 月 06 日 15:56
仲間の存在がエネルギー
明日開催する「日本を元気にするセミナー」で上映する映像を作るため、ゲストとしてお迎えする西精工とネッツトヨタ南国の社員の方にインタビューをさせていただきました。
今回のセミナーのテーマは「人生が輝く働き方」。それぞれの人が、仕事にどんな気持ちで向かっているかを伺いました。その中で特に心に残っているのが、多くの人が「仲間の存在が自分のエネルギーになっている」と答えておられたことです。今、組織の中で分業化が進み、自分の仕事をもくもくとこなす会社が多くなる中で、個人と個人の関係が希薄になっています。となりの人がどんな仕事をしているかはわかっていても、どんな気持ちで、どんなことに悩んでいるかがわからないというような時代の中で、こうした人と人のつながりがあること、それが人のエネルギーを高めていることに感動しながら映像をまとめていました。
「仲間の存在がエネルギー」という言葉を聞くと、この間活躍したラグビー日本代表を思い出します。お互いがお互いをリスペクトし、「みんなが頑張っているから、自分も頑張ろう」と困難を乗り越えてこられました。こうしたいきいきしたチームをみていると、やはり、働く上で大事なのは、共に働く仲間であり、チームメイトの存在なのだとつくづく実感します。
しかし、メンバーが心をひとつにし、お互いが切磋琢磨するチームになるには、何が必要なのでしょうか。
いろんな条件があるのだと思いますが、やはり最終的にはみんながチームの目的・目標を達成しようと共通した思いがあるかなのではないでしょうか。
目的・目標が違えば、バラバラになります。みんなが、みんなの目標に向かって頑張っていると思えるからこそ、自分も頑張らなければと思うはず。言いた いことが言えて、お互いが信頼し合う組織で働けることは、働く人にとっても幸せですし、大きな力になると思います。
明日の「日本を元気にするセミナー」では、さらに、「人生が輝く働き方・会社づくり」を深めていく予定です。
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2019 年 10 月 29 日 12:02
伊那食品工業の会社に学ぶ「家族」という組織づくり
先日、伊那食品工業さんに経営者の皆さまをお連れするベンチマーク研修をお手伝いする機会があり、改めて「社員を家族のように思う」経営に触れ、その大切さについて考えました。
50年以上に渡って増収増益。リストラをしない、急成長をしない。あのトヨタ自動車さんも見本としようという会社です。そんな伊那食品工業の理念は「いい会社をつくりましょう」というものですが、それは関わる社員が 一丸となってみんなで幸せになろうという思いがあります。経営の判断軸は、社員の幸せにつながるかどうか。大切な家族の一員であるからこそ、大切にするのは当然だという考え方です。
例えば、この会社に評価制度はありません。家族の一員を評価して食事の量を決めるような家庭がないように、業績だけで評価するようなことはしない。昔ながらの年功序列がいちばんいいと言われています。
家族ですから、お互いを支え合うのは当然。だから、当然のように部門の垣根もありません。
家族ですから、みんなで旅行に行く。だから社員旅行もみんなが参加して楽しみます。
家族は自分の家の掃除をみんなでする。だから、掃除はあたりまえのように全員で行います。
家族の中心は父親(今は違うこともありますね)。会社の場合は社長です。この会社でも、やはり父親は尊敬される存在です。しかし、父親だからといって偉そうにするようなことはありません。いい家族が父親も母親も子どもたちも、みんなが尊敬しあって助け合うように、みんなでいい会社(家庭)をつくっていこうというのが伊那食品工業という会社です。
こうした家族のような社風の中では、社員にどんな意識が育つのでしょうか。社員の人たちに聞いてみると、やはり「自分達の会社」ということを強く意識されていました。「いい会社をつくろう」という目的に向かって、一人ひとりが自分の役割を果たす、みんなで協力する。2年目の女性スタッフが、「土曜日曜も楽しいけど、月曜日から金曜日も楽しい」と話してくれましたが、会社が家族なら、当然かもしれません。
塚越社長が、家族のように何でもみんなで行う「伊那食品工業の文化」についてこんなことを仰っていました。「例えば掃除。一般的には分担を決めて一人一人で区間を掃除する方法もあるが、うちはみんな全体をやるんです。なぜならば、その方が楽しくなるから。楽しくなると意欲がわいてくる。だから、うちはみんなでやるんです。」
効率化、成果などが騒がれた時代に、会社はドライでシステマティックなものというイメージになり、助け合いや協力があまり生まれなくなってしまいましたが、逆に、今、「家族」をコンセプトにする伊那食品工業のような企業のほうが成長しています。
私たちは、会社というもののあり方をもう一度見直す時期に来ているのかもしれませんね。
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メルマガコラム 素晴らしい会社
2019 年 10 月 24 日 09:23
ワンフォーオール、オールフォーワン
ラグビーワールドカップが盛り上がっています。昨日の試合は残念でしたが、私も、最後まで諦めない日本代表チームにたくさんの感動をいただきました。
台風19号の被害が広がり、日本全体が悲しみに包まれている時に、日本代表だけでなく、他国の代表がボランティアに参加してくれたり、全力プレーを通して元気を届けようとしている姿は、ラグビーの精神である「ワンフォーオール、オールフォーワン」そのもの。私はにわかファンですが、このワールドカップの熱戦を通して、ラグビーの素晴らしさを学んだ気がします。勝ち負け以上に、仲間のために頑張る姿が日本中に感動を呼んだのだと思います。
目的に向かって全員が心をひとつにし、助け合って進んでいく。会社もひとつのチームだとすると、やはりこの精神が必要なんでしょうね。
ベスト8という快挙を通して我々に力を与えてくれた日本代表チームに心から感謝したいと思います。
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2019 年 10 月 01 日 14:03
心が機械化していませんか?
先日、知り合いのジャーナリスト、瀬戸川礼子さんが「金融機関で体験した機械的対応」についてSNSでアップされていました。どんな内容かというと、用件があるので、カウンターに行くと「番号札を持ってお待ちください」と言われたそうです。当たり前だと思われるかもしれませんが、その時、お客様はたった一人。瀬戸川さんだけでした。大勢のお客様がいるなら整理のために番号札を渡すのはわかりますが、臨機応変にやろうとされない対応に、「AIが仕事を奪うと心配するよりも、働く人自身が機械化していないか考えてみませんか」と書いておられました。
私も以前、あるレストランで、スタッフを呼ぼうと近くを通り過ぎたスタッフに声をかけると、「御用の際はテーブルのブザーを押していただけますか?」と言われたことがあります。マニュアルではそうなっているのでしょうが、近くにいるスタッフが機械的に対応して立ち去る様子にびっくりしました。
今、どの企業も人材不足や働き方改革で、少人数で対応せざる負えない状況であることは理解できるのですが、働く人が「ルール通りにやればいい」、「決められたことだけをやればいい」というマインドになっていては、大切なお客様を逃がしてしまうことになってしまわないでしょうか。顧客が減少すれば、働く側は楽になりますが、そうなれば今度は経費削減ということで「顧客対応はAIに任せよう」となり、ますます人間の働く場所がなくなりそうです。
その状況状況で、お客様に心を寄せながら、「何をすれば喜んでくれるのか」と自由に発想できるのが人間です。AIの専門家もコンピューターはあくまでも数学の世界。思いやりがあるような言葉や行動は機械に学習させることはできるが、真のホスピタリティの精神だけは機械化できないと言っています。
AIがどんどん発達するこれからの時代、人間は何をしていけばいいのでしょうか。どんな働き方をするべきなのでしょうか。
経営者だけでなく、一人ひとりに問われているのかもしれません。
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メルマガコラム 思うこと
2019 年 09 月 25 日 14:43
できること・やりたいこと・やるべきこと
就職の時には、誰もが一度は「自分はどの職業につけばいいのか」と悩んだことがあると思います。すべての職業を体験できれば、自分に合うかどうかがわかるのですが、そんなことはできるはずもありません。
「やりたいこと」が明確にある人は、そもそも選ぶことに悩みません。子どもの頃から美容師になりたいと思っている人は、その道に一直線です。「やりたいこと」が明確でない人は、自分の得意やできることから職業を選んでいくのでしょう。これなら自分に合っているかもしれない、この仕事ならやれるかもしれないと「できること」を中心に選ぶ人もいます。ただ「できること」が「やりたいこと」とは限らないので、就職してみてまた自分の道を悩む人もいます。「やりたいことが見つからない」と悩んでしまい、3年もたたずに会社を辞めていく人もいるのが現実のようです。
しかし、本当に自分の「やりたいこと」はどうすれば見つかるのでしょうか?このことを考える時に、私はいつも社会人になった時に、先輩に言われたことがいつも頭によぎります。
「会社に入ったら、やりたいとかやりたくないとか関係なく、仕事が与えられるもんだよ。まず、それを一生懸命やってごらん。そうすると仕事ができるようになってくる。そして、仕事ができるようになったら、それが好きになってくるから。だから新人のうちは、どんなことでも一生懸命にやることだよ。」
この言葉を聞いた時はわからなかったのですが、長年仕事をしていくと、納得することが多くなっていきました。確かに、最初は難しいな、大変だなと思っていた仕事も、能力が身について「できるようになってくる」と、面白くなります。面白くなると、もっと上を目指していこうと勝手に努力をしています。そして、ふと振り返ってみるとその仕事が自分の「やりたいこと」(好きなこと)になっていた。いろんな仕事をしてきましたが、最初から「やりたいこと」があった訳でなくても、「できること」を伸ばしていけば「やりたいこと」になっていく可能性が高いということを、実感しています。
「やりたいこと」というと、少し「利己的」なイメージがありますが、本当に「やりたいこと」は、人の喜びとリンクしているものだと思います。一生懸命やった結果、お客様や社内の人が心から喜んでくれたり、感動してくれたり。そんな体験が増えていくと、利他が利己になり、利己が利他になり、「人の喜びが自分の喜び」という気持ちになっていきます。そして、その気持ちがどんどんと強くなり、いつの間にか、「自分のやるべきことはこれだ」という感覚になります。使命感というか、幸福感というか、仕事が生きがいになる瞬間がやってきます。
もしかすると、このような変化は特殊なのかもしれませんが、目の前の仕事に一生懸命になってやってみることや、続けて仕事をしていくことで、見える景色が変わっていくことは確かです。
今、若い人が「やりたいこと」や「できること」で悩んでいるとしたら、まず、与えられた仕事に一生懸命に取り組んでみることをお勧めします。「できること」「やりたいこと」「やるべきこと」は、相互に関係しあっています。「やりたいこと」からスタートに頑張る人生も素晴らしいですし、「やりたいこと」が後で見つかる人生も素晴らしい。自分の人生で「やるべきこと」が見つかると、さらに素晴らしいと思います。
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思うこと
2019 年 09 月 18 日 10:30
自転車預かり所の前で
私が仕事に向かう大阪のある駅の近くに、小さな「自転車預かり所」があります。
通勤や通学に駅まで自転車で来た人が、夕方まで預けて置く場所です。私は徒歩なので自転車を預けることはありませんが、いつもその前を通ると元気をいただきます。
その自転車預かり所には、いつも大きな声でお客様を迎え、お見送りしてくれる男性の方が働いておられます。
お年は70歳くらいでしょうか、少し背中が丸くなっておられますが、元気な声でお客様に挨拶をされます。
「おはようございます!」「気をつけて、行ってらっしゃい!」「お帰りなさい!」
毎日、一人ひとりに声をかけられ、大きな声で送り出してくれます。
そして、声をかけられたお客様も、笑顔で「行ってきます!」と言って元気に駅に向かっていかれます。
そのおじさんの笑顔と元気な声は、前を通る私の心にも響きます。映像で表現できないので、なかなかお伝えするのが難しいのですが、たったひとつの挨拶なのですが、心にせまってくるような明るさです。
人への優しさと仕事への誇りが伝わってくるのです。
そんな風に生きたいなと励まされたり、自分はできていないと反省したり、この前を通る度に、心が引き締まってきます。
何でこんな仕事をしているのか、自転車を預かるだけの仕事なんだから、適当にやればいいと思うこともできるはず。
しかし、そのおじさんは、違います。与えられた仕事だけど、自分にできることを精一杯していこう、全力を尽くそうとされています。
3年前に亡くなれた、元ノートルダム清心学園の渡辺和子さんが「置かれた場所で咲きなさい」ということを残されていますが、ここを通るたびに、その言葉を思い出します。
感謝の心が足りないから不満がでる。人と比べるから愚痴がでる。
反省ばかりです。
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2019 年 09 月 11 日 11:56
部門同士の感謝・協力
先日、長年働いた会社を独立し、一人で会社を経営し始めた友人と話をする機会がありました。
経営者としての覚悟、資金繰りの大変さ・・・いろんな中で友人がしみじみと語ったことが心に残りました。「自分で経理もするようになってはじめてその仕事の大変さがわかった。会社務めの時などは、経理に感謝していなかったなと思う」「やっぱり個人は孤独。人と人が一緒になって仕事をしていくことは改めて大事なことだと思う」など、独立して改めて気づいたことを素直に教えてくれました。
我々はつい、自分のことで頭がいっぱいになります。例えば、経理や総務など影で支えてくれる人がいるから支払いや給料が入ってくるのに、なかなかそのことに感謝したりできません。「それがあなたの仕事でしょ」と思ってしまうと、そこでどんな苦労があるのか、その仕事をどんな気持ちでやっているのかということにすら興味をなくしてしまいます。そんな孤立感が「俺たちは俺たちで頑張ろう」と小さな壁をつくり、部門同士の壁を作っていくのかもしれませんね。
しかしこんな壁があると、本当は部門同士で共有してればうまいったことが、余計な手間がかかってしまったり、会社全体の視点でみると「不効率」を生み出しています。でも、みんな頭では「協力すべき」とわかっていても、そこに「ひとの頑張り」が見えないので、どうしても気持ちは変わりません。
壁をなくし、お互いの信頼を取り戻すにはどうすればいいのでしょうか?
ある会社では、各部の情報発信、共有をとても大事にされ、どんな社員でも見ることができ、そこに感謝のコメントや質問を記入することができる仕組みを作っておられました。発信する情報を書く手間も、コメントする手間もあるのかもしれないですが、これを続けてきたおかげで、今ではお互いの「頑張っていること」が共有され、部門の壁が消えていったそうです。
またそれ以上に、以前は仲が悪かった営業部と製造部も、製造部は「営業部ががんばってくれているおかげで自分達はいい仕事ができる」と感じ、営業部は「製造部が頑張ってつくってくれた商品をしっかり届けたい」とお互いが感謝し合うようになり、生産性も高まっていると仰っておられました。
考えてみれば、どの部門も役割は違っても目的は同じです。「お客様の満足を通して会社を成長させていく」という目的を実現する「仲間」であることは間違いありません。やはり、大きな目的(理念)を見失って仕事だけをしていると、いらぬ問題が起こってしまうのかもしれませんね。
この一週間、独立された友人の話と、この会社の話を聞き、改めてこんなことを感じました。部門同士が喧嘩する会社より、感謝・協力しあえる会社になりたいですね。
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2019 年 09 月 04 日 09:21
何のために集まった仲間か?
「会社」は、英語では「カンパニー」と訳されますが、「カンパニー」の語源を調べてみると、「com=一緒」と「pan=食べるパン」という言葉が合わさったもので、「一緒にパンを食べる仲間」、つまり一緒に何かをする仲間という意味だそうです。
つまり会社とは「ひとつの夢や目標をもって、協力していく仲間」ということになります。
その目標や夢に共感して集まった仲間だからこそ、協力し、助けあって働く。それが会社というものの本来の姿なのでしょうね。
しかし、組織は大きくなるにしたがって、こんな気持ちを忘れがちになるのかもしれません。ある大企業の方がこんな話をされていました。
「うちの会社も創業期はみんなで夢を語り合い、家族のように接し、協力し合って働いていたが、今は、そんな話はしないし、みんなバラバラで働いている。」
数字を上げることが目的になり、夢のためでなく、自分に課せられた数字のために働いている。みんな、自分のことで精いっぱい。協力も助け合いもしない。ため息をつきながら話されていました。
これは大企業に限った話ではないのかもしれません。苦しくなるとつい業績が目的になってしまいます。
夢・目的(理念)を忘れてしまったら、何の為に集まった仲間なのかわからなくなります。働く人はただの労働力。「仲間」という意識が薄れ、楽しく働くことはできなくなるのではないでしょうか。
「俺たちにしかできない、いい家をつくろう!」「患者様が幸せを感じる、いい医療をしていこう」・・・
やはり「理念」を追いかける会社は、みんながいきいきしてますよね。みんなが夢を語り合い、夢(高み)をみんなで追いかける。夢を追いかける仲間の集団だけが「カンパニー」なのだと思います。
皆さんの会社は、何を共にめざしている仲間ですか?誰のために、どんな役立ちをするために集まった仲間ですか?
会社に所属する仲間だからこそ、ひとりひとりが問い続け、考える続けることが大事な気がします。
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2019 年 08 月 28 日 15:19
手伝いか、主体者か?
私たちの仕事、「映像制作」はプロの集団が集まってプロジェクトで行う仕事です。
中心となるのがプロデューサー。そして、映像の指揮を執るディレクター、撮影の中心となるカメラマン、技術を支える音声、それ以外にも美術、衣装・メイク、編集、ナレーター、選曲等々、作品内容によって様々なプロが活躍しながら、映像のクオリティを高めていきます。
私が初めてこのプロジェクトに参加したのは20代。プロデューサーのアシスタントとして現場に出ていきました。ロケの現場ではディレクターやプロデューサーの打合せに参加し必死で撮影の段取りをしていくのですが、プロの厳しさについていくのが必死でした。
私たちブロックスの社員はプロデューサーという立場になるのですが、この厳しい現場の中でいろんなことを学んでいきます。
私が、最初に言われたのは「主体性を持って参加しろ」ということです。
「手伝いの気分でやるなら足手まといになるだけだ。そんな気分なら帰ってくれ。どんな立場であろうが、いいものをつくろうという意志を持たなければ。遠慮するな」と言われたことを思い出します。
ドキュメンタリーの現場では、その場、その瞬間を取り逃がさないように常に考えながら張り付いていかなければなりません。だからこそ、関わるスタッフ全員が「何を撮るのか」を常に考えていないと、一瞬を逃がしてしまうのです。
しかし、考えてみれば、どんな仕事であったとしても同じかもしれません。
「手伝いの一人」として傍観者でいるか、「内容に責任を持つ一人」として主体的に参加するか。プロジェクトで良い成果を出そうとするならば、全員が後者でなければならないはずです。20代の私にそのことを教えてくれたディレクターは、「いい作品をつくる」ことに全力を傾け、すべてに本気の人でした。
「手伝い」も大事な仕事ですが、どんな意識で手伝うのか。手伝い意識で関わっているようでは、やはり本気の人に迷惑をかけてしまいます。ひとつひとつの仕事に自分の意見を持ち、主体性を発揮していくことはしんどいことですが、そうしてプロジェクトに参加できた時は、仕事のノウハウを吸収する量も質も、仕事の後の充実感や感動も、まったく違います。やはり、すべてに主体者でなければ面白くないですね。
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2019 年 08 月 20 日 09:14
誇りある営業
私は若いころから営業の仕事をしてきました。だからでしょうか、この暑い中、お客様を飛び回っている営業マンを見ると「頑張れ!」と、心の中で声をかけてしまいます。
当時、世間には営業は「嫌な仕事」「やりたくない仕事」というイメージもありましたが、私にとっては毎日が刺激的で楽しいという印象しかありません。もちろん、断られたり、失敗して怒られることもあって嫌になることはありましたが、それでも自分がやったことでお客様から感謝されたりすると「ああ、この仕事をやっていてよかった」と思えて、20代の頃は夜遅くまで頑張っていました。
私が営業をしている時に目指してしたのが「売らない営業」です。売るために奴隷のようになることも、頭を下げて頼み込むという営業をしたくなかった私は、どうすればお客様が、自分から買いたいという気持ちになってくださるのかを考えていました。
その時上司から教わったのが「お客様の立場にたつ」ことの大切さ。「どう売るか」と考えるのではなく、お客様のお役に立つこと、良き相談相手になることが本当の営業だよと言われたのを思い出します。
お客様の買い物のアドバイザーであれ。その為には悩んでおられることをしっかりと理解する(質問力が大事)。そして、そのお客様がより良い判断ができる材料を提供する。その為にはメリットだけでなく、デメリットや不利な点もお伝えし、もし他社にいい商品があるとしたら、それを用意してあげることが本当のお役立ちだと学びました。
「売らない」というのは少しとがった言い方ですが、信頼してもらえるアドバイザーになれば、ほっておいても売れるようになる。もし、売れないなら、まだ、お役立ちの気持ちと技術や知識が足りないだけ。売れないのはダメだよと言われていました。以来、そんな営業を続けてきましたが、役に立てたと思える時は本当に嬉しくなり、いい思い出ばかりが残っています。
今、厳しいノルマの中で営業の不祥事が話題になっていますが、目標に追われて売り込むことに必死になっている営業はいつになったらなくなるのか、本当に悲しくなります。昔は個別のクレームで終わっていたことが、今やSNSで全国に拡散する時代。そんな営業では企業の存続さえ危うくなってしまいます。お客様に嫌われる会社が長続きすることは不可能な時代だと思います。
昔も今も、私たちが本当に目指すべき営業は、お客様から感謝される営業であり、それが自分の誇りであって、自分の子供にも「営業っていい仕事だよ」と言えるような仕事だと思います。
誇り高き営業をみんなで目指していきたいです。
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2019 年 08 月 06 日 09:58
「・・・どうすればいいか」を語り合う
Facebookを見ていると時々、いい言葉が出てきます。共感する言葉、戒めになる言葉、励みになる言葉。自分が感じたことをメモにとっておくと、いつかそれが生きることがあります。
今日はこんな言葉をメモしました。
「どうすることが良いことなのかに焦点をあてよう。
何が悪くて、誰が悪いかは、次から次へとたくさん出てくる。
たくさん出てきて時間を使うので、じゃあどうすればいいかが抜け落ちがち。
「・・・をする」が未来をつくる。どうすれば良いかを話し合い、笑顔になれる未来をつくろう」
(リーダーへ贈る輝く言葉より)
確かに、誰が悪いというのは誰もがすぐに言いたくなります。その中で悪口の輪がどんどん広がっていくけども、それをどうするかということは意外と抜け落ちがち。人の悪口、批判は、それがまたストレス発散になるので居酒屋はそんな話があちらこちらから聞こえてきます。
でも、その居酒屋でも、「どうするか」という議論をしている熱いグループもあります。私も若い時に転職しましたが、多くは後者のような飲み会ばかりだったのでそんな酒の場が大好きでした。
今でも、話の後味も、酒の味も、後者の方がおいしい気がしますが、やはり愚痴や不満は蜜の味で、なかなか人間の習慣から離れられないものなのかもしれません。
昔、ある尊敬するお婆さんから教わったことがあります。
「愚痴は言っていいよ。辛いことは吐き出した方がいい。でも愚痴で終わっているのはダメ。そこからどうするかを考えるのが大事だよ」。
最近、自分の心が人に向く時があり、この言葉を思い出し、反省しました。やはり、「誰が悪い」をいくら語っても何も生まれません。時間は限られています。ならば「どうすれば良いか」に向かっていくことに時間を使っていかないと解決が遅くなるばかり。酒の席でも、公の場でも何でもオープンに議論し合う。「・・・どうすればいいか」を常に語り合うチームでいたいです。
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思うこと
2019 年 07 月 30 日 09:52
嫌なことに取り組んだ瀬戸選手
先日「世界水泳」でメダルを獲った瀬戸大也選手がインタビューで「嫌な練習に取り組んできた成果が出た」とコメントをしていました。
嫌な練習というのは耐乳酸トレーニングと言われるもので、かなりキツイ練習だそうです。全力を出した後身体が重くなることがありますが、それが乳酸。しかしこれを意識的に高めていくと持久力につながり疲れの出る後半も速度を落とすことなく乗り切れるそうです。しかし、瀬戸選手も言っているように、このトレーニングは疲れ切った後から何度も泳ぐ練習なので、“鬼のトレーニング”とも言われています。
「世界で勝つには乳酸に耐えられる身体をつくるしかない」「自分がいちばん嫌いなトレーニングをしないといけない」と世界水泳に向けて取り組んできたそうです。
私が気になったのは、この乳酸のことでではなく、瀬戸選手がインタビューの中で「逃げたい」「嫌で嫌でしかたない」とマイナスの言葉を使っていたことでした。一流アスリートはこんな言葉を使わないと思っていたのですが、素直に「嫌だ」と発言しておられたのです。
嫌なこと、苦手なこと。私たちは無意識のうちに回避しようとつい後回しにしたり、言い訳をして取り組みません。しかし、瀬戸さんは嫌でもこれをやらないとこれ以上伸びないと思ったのでしょう。嫌だ、嫌いだということを意識に出したうえで「それでもやる」というように思考を持っていかれたのだと思います。
これは「嫌なこと」を「好きだ」と思うようにするという思考回路と少し違う気がします。嫌なものは嫌。それでも必要だからやる。これで精神的にも成長したと瀬戸さんはコメントしています。
私たちのまわりでも、自分が嫌なこと、苦手なことにどう立ち向かうかがいつも問われています。「やらなくても、まあ、いいか」「後でやろう」と嫌なことを回避し続けていると、それがいつの間にか癖になってしまうそうです。
嫌な気持ちは確かにあって、確かに逃げたい気持ちが先立ちます。でも、頭のどこかでは、嫌なことから逃げていても、解決にはならないこともわかっている。だからこそ、第一歩は嫌だという自分を素直に認めることかもしれない。その方が素直でいいな。瀬戸さんのコメントを聞いていてそんなことを感じました。
試練を乗り切って成長できた喜びを感じているような瀬戸さんの笑顔が心に残りました。
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2019 年 07 月 25 日 10:38
生涯青春
先日、尊敬する経営者の一人、株式会社タカヨシの高橋春義会長のお別れ会に参加してきました。享年94歳。持前の好奇心と発想力で新潟の印刷業界を牽引し、最後まで現場で陣頭指揮を執り、信念である生涯現役を貫かれました。
DOITの取材の時、新入社員を前に、親にこれまで育てくれた御礼をしっかりとするようにと初任給でプレゼントを買って渡すというロープレをしておられたのを思い出します。
「人にとって大事なことは親を大事にすることだよ」「立派な社会人になることだよ」と社員を子供のように育ててこられた高橋会長。その笑顔が今でも忘れられません。
そんな会長の転機になったのが、75歳の時に出会った平澤興先生の言葉だったそうです。
「人間は75歳~85歳までが一番伸びる時期。第三の人生が始まり、本当に人生を楽しむのは80歳からである。90歳で初めて人生がわかる」
この言葉に出会ってさらに、勉強と挑戦を続け93歳まで会社で仕事をされていたそうです。
有名なサムエル・ウルマンの「青春の詩」の中に、「青春とは人生のある時期をいうのではなく心の様相を言うのだ」とありますが、まさに生涯青春の人生を歩んでこられた方でした。
75歳が一番伸びる時期ならば、50代なんてまだまだ赤ちゃんのような時期ですね。
「もう、わかっているよ。」「もう、知っているよ。」と達観したようなことを言っていいのは90歳。自分の可能性を閉ざしてしまうのも、開いていくのも、すべては自分次第です.
この有名な詩を知らない若い人もいるようなので、改めて添付しておきます。
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青 春
青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心
安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる
歳月は皮膚のしわを増すが情熱を失う時に精神はしぼむ
苦悶や、狐疑、不安、恐怖、失望、こう言うものこそ恰も長年月の
如く人を老いさせ、精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう
年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か
曰く「驚異えの愛慕心」空にひらめく星晨、その輝きにも似たる
事物や思想の対する欽迎、事に處する剛毅な挑戦、小児の如く
求めて止まぬ探求心、人生への歓喜と興味。
人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる
人は自信と共に若く 恐怖と共に老ゆる
希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる
大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大そして
偉力と霊感を受ける限り、人の若さは失われない
これらの霊感が絶え、悲歎の白雪が人の心の奥までも蔽い
つくし、皮肉の厚氷がこれを固くとざすに至ればこの時にこそ
人は全くに老いて神の憐れみを乞う他はなくなる
原作 サミュエル・ウルマン 訳詞 岡田義夫
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2019 年 07 月 17 日 13:15
うちの家はみんなが悪い
何か問題が起こると、責任の追及が起きることがあります。
みんなが「自分の責任ではない」と責任を取ることから逃げたり、「あの人のせいだ」と人の責任にし出したり、擦り付け合いの醜い空気が生まれる。
よくあることかもしれませんが、これでは安心して働くことはできません。
リーダーはこんな時どうあるべきか。そんな研修をしている時、ある方から、ある小学生の作文を紹介していただきました。
家族のことを書いている作文なのですが、ビジネスでもヒントになるものだと思います。
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うちの家族はみんなが悪い(ある作文から)
きょう私が学校から帰ると、お母さんが
「お兄ちゃんの机を拭いていて 金魚鉢を落として割ってしまった。もっと気をつければよかったのに、お母さんが悪かった。」
と言いました。
するとお兄ちゃんは
「僕がはしっこに置いておいたから、僕が悪かった。」
って言いました。
でも私は思い出しました。
きのうお兄ちゃんがはしっこに置いたとき私は「あぶないな」って思ったのに、それを言わなかったから、
私が悪かった
と言いました。
夜、帰ってきてそれを聞いていたお父さんは
「いや、お父さんが金魚鉢を買うとき、丸いほうでなく四角いほうにすればよかったなあ。お父さんが悪かった。」
と言いました。
そしてみんながわらいました。
うちはいつもこうなんです。
うちはいつもみんなが悪いのです。
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いい家庭ですよね。
みんなが「自分が悪かった」と謝って、笑い合う。子供たちがすくすく育っている明るい家族がイメージできます。
失敗やミスで大きな金額が動く会社という組織では、このように「私が悪かった」と素直にいうことはなかなか難しいのかもしれませんが、こんな風にみんなが素直に謝れる社風が実現されれば、どんな人も安心して伸び伸びと働くことができるような気がします。
では、どうすれば、こんな風な組織になれるのでしょうか。
たぶん、この過程では、お父さんやお母さんが普段から、人を責めず、自分が悪かったと言っておらるのだろうと思います。それが子供たちにも伝わっていったのではないでしょうか。
誰か勇気をもって行動することで、次第に「それがいい」と広がっていくのかもしれません。そうすると、まず先頭に立つのはリーダーではないでしょうか。
「それは私の責任です。ごめんなさい。」と、みんなが素直に謝れるチーム。私も目指していきたいです。
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2019 年 07 月 10 日 15:21
リーダーの苦労と喜びと成長
リーダーという立場は何かと大変です。数字の責任がプレッシャーになっている人もいるでしょう。解決しなければいけない問題はいつも山積し、その上みんなをまとめなければいけない。人を育てなければいけない。先頭に立って走っていかなければならない。リーダーになって「初めてリーダーのしんどさがわかった」という人がいるように、やってみないとその辛さやしんどさはわからない仕事だと思います。
しかし、そうした辛さの向こうには喜びもあります。私自身がいちばん嬉しいのは若い人達の成長を感じる時です。後ろ向きだった人がいつの間にか前向きに楽しく仕事をしている姿を見る時や、自分のことしか見てなかった人が会社のことを考えた発言をするようになった時とか、「ああ、いつの間にか成長しているな」「変わってきたな」と感じられる時ほど嬉しいことはありません。
この間も若い人と話していると、本当にいい社会人になってきたなと感じることがありました。子どもが生まれたことで責任感が生まれたとも言っていましたが、自分の人生を何とかできるのは自分しかいない、愚痴や不満を言っていてもだめだと思うようになったということでしょうか。リーダーにとって、やはり人の成長は何をおいても嬉しいですね。
しかし、リーダーという仕事はそう簡単なことではありません。あるリーダーは、抜擢されたばかりの頃「自分はリーダーに向いていない」と悩んでいました。しかし、向いていないと言いながらも、その人なりに試行錯誤をしながらチームをまとめることに一生懸命取り組んでいったことで、次第にチームの雰囲気が変わり、いいリーダーに育ってきた人もいます。リーダーは人を育てる立場なのだろうと思いますが、この立場に立つことで逆に教えてもらったり、部下に育てられていくものなのかもしれないですね。先頭に立つということは、いちばん風を受ける訳ですから、強くならざるを得ません。
いいリーダーとはどんなリーダーなのでしょうか。私自身、取材を通していろんなリーダーを見てきましたが、本当に成功した会社のリーダーは過去に人の問題で沢山苦労し悩んできた人ばかりです。自分が苦労してきたからこそ、若いリーダーの辛さや苦しさがわかってあげられるのかもしれません。もちろん、最初からうまくやれる方がいいに決まっていますが、リーダーとして悩み苦しんでいくことも、また大事なことなのはないか。そんなことを考えていた一週間でした。一生学びですね。
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2019 年 07 月 03 日 16:40
過去形で表す未来の目標
私たちの会社は6月決算なので7月が新しい期の始まりになります。社長も含めてすべての社員が自分の目標をカードにして1年間朝礼で確認していきます。目標を定めても数か月も立つと忘れてしまうことも多いので、日常の習慣として位置付けることにしています。
ところで、「目標」について、以前こんな話を聞いたことがあります。2012年のロンドン・オリンピックの金メダリストである村田涼太選手の話です。オリンピックのボクシングでの金メダルは48年ぶりの快挙。しかもミドル級では日本人は誰もメダルを獲得したことがありません。「日本人にはミドル級での金メダルは無理」というのが当時の常識だったそうです。
そんな村田選手がオリンピックに向けてひとつの取り組みをしていました。それが目標設定です。彼の家の冷蔵庫にはこんな1枚の張り紙みがあったそうです。
「ロンドン・オリンピックで金メダルを獲ることができました。応援ありがとうございました」
過去形の表現で書かれたこの目標を彼は毎日のように見て、自分の中に「獲得したイメージ」を刷り込んでいたのです。「めざす」でも「獲りたい」でもなく「獲った」という過去形。そのことによって、彼の中にはこんな思いが芽生えていったそうです。「金メダリストならどんな練習をするだろうか?金メダリストならどんな判断をするだろうか?金メダリストならどんな生活をするだろうか?」。つまり、金メダリストになったという前提から自分の今を見ていたのだそうです。
やはり目標は漠然としているより、写真や動画で表せられるくらいに明確する。目標設定のあり方を考えさせるエピソードです。単に「1年後に〇〇を達成する」という目標設定ではなく、「私は2020年に〇〇を達成した」と書き出して毎日それを見る。確かにその方が言い訳をしなくなりそうですし、達成した後のイメージから自分の行動を考えることができそうです。
金メダリストの基準で自分を見ているということは、つまり、今より高い「基準」で今の自分を律することなのでしょう。基準が変わるから、日々の行動も変わっていったと思います。逆境の中で、村田選手が金メダルを獲った理由がわかります。
話は変わりますが、アニメ「ワンピース」の主人公ルフィーの口癖は「海賊王に俺はなる」というものだそうです。これも「なりたい」ではなく「なる」と言い切る言葉です。目標設定次第で「脳」の働き方が変わっていくのかもしれません。だったらどんな言葉を使うか。未来の基準で今を生きていいくことの大切さを感じます。
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2019 年 06 月 26 日 14:59
便利さと高齢者
最近、お店での支払いのほとんどをスマホに登録した電子マネーで行っているのですが、小銭を探す手間がいらないこの仕組みは本当に便利です。
ポイントカードもひと昔前は財布に山のように溜まっていたのが、アプリ化され、こちらもスムーズになりました。
しかし、この変化についていけるのはスマホやパソコンに親しんでいる世代だけ。高齢者は取り残されているようです。
先日、85歳になる母親の買い物についていったときのこと。いつも行くホームセンターがようやくポイントカードを発行したとレジで案内をいただきました。
毎週のように行く店なので母は登録しようというのですが、もちろん自分ではできません。パソコンかスマホからの登録は私が変わりに行いました。
これから買い物の時にカードを渡すとポイントが溜まるよと説明するのですが、今度は「このカードに店の名前がないからカードに店名を書いてほしい」と言います。
良く見ると、グループ会社が統一で発行するカードなので、そのホームセンターの名前が記載されていません。マジックでカードにその店の名前を書いて一段落したのですが、高齢者の立場になってみると確かに不親切です。
買い物の帰りに、いつも行くコンビニの「もうすぐ無人レジ化します」という案内を見て、また母は「使えるのだろうか」と不安そうにしていました。
便利さの裏側には、こうした「変化についていけない層」がいます。先ほどのホームセンターの利用者の多くは高齢者。高齢者に優しくなければ繁盛することはできません。
私もだんだんとこの年代に近づいてきているので余計にそう思うのかもしれませんが、「ついていけない人」へのケアがますます重要になっていくように思います。
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2019 年 06 月 25 日 13:26
便利さと高齢者
最近、お店での支払いのほとんどをスマホに登録した電子マネーで行っているのですが、小銭を探す手間がいらないこの仕組みは本当に便利です。ポイントカードもひと昔前は財布に山のように溜まっていたのが、アプリ化され、こちらもスムーズになりました。しかし、この変化についていけるのはスマホやパソコンに親しんでいる世代だけ。高齢者は取り残されているようです。
先日、85歳になる母親の買い物についていったときのこと。いつも行くホームセンターがようやくポイントカードを発行したとレジで案内をいただきました。毎週のように行く店なので母は登録しようというのですが、もちろん自分ではできません。パソコンかスマホからの登録は私が変わりに行いました。これから買い物の時にカードを渡すとポイントが溜まるよと説明するのですが、今度は「このカードに店の名前がないからカードに店名を書いてほしい」と言います。良く見ると、グループ会社が統一で発行するカードなので、そのホームセンターの名前が記載されていません。マジックでカードにその店の名前を書いて一段落したのですが、高齢者の立場になってみると確かに不親切です。買い物の帰りに、いつも行くコンビニの「もうすぐ無人レジ化します」という案内を見て、また母は「使えるのだろうか」と不安そうにしていました。
便利さの裏側には、こうした「変化についていけない層」がいます。先ほどのホームセンターの利用者の多くは高齢者。高齢者に優しくなければ繁盛することはできません。私もだんだんとこの年代に近づいてきているので余計にそう思うのかもしれませんが、「ついていけない人」へのケアがますます重要になっていくように思います。
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2019 年 06 月 18 日 09:27
石の上にも三年
先日、ある企業の研修担当の方と新人の仕事観について話し合っていたのですが、ふと、「石の上にも三年」という話になりました。
するとその方が「この間、その言葉を社内で話し合う機会があり、パワハラになるのではないかと、禁止することになったんです」と教えていただきました。
こんなこともパワハラになるのかと思うと、うっかりものが言えなくなりそうですが、「3年、我慢して働け」と受け取る人がいたのかもしれませんね。
私は実感として確かにいろんな仕事を覚え、周りが見渡せるようになるのは3年くらいだなと思っていますが、本来、この言葉は「粘り強く続けること」の大切を教える言葉です。
上手くいかないからと諦めてしまっては、どんなことも上達するわけがありません。これを教えないで、新入社員はどうなるのかと心配になってしまいました。
世の中には、時間をかけないとわからないこともあります。経験を積まないと見えてこないこともあります。
論理的に示せれば納得させられるのかもしれませんが、言葉で説明できることばかりではありません。
だから、大事な教えは、ことわざとして広がっているのだと思いますが、たかだか数年の世間の風潮で消えてしまうのは本当におかしな話です。
いつの日か、「一生懸命に」とか「頑張って」というような言葉もかけられない世の中になってしまうのでしょうか?
仕事を取り巻く環境が、何かおかしな方向に行っているような気がします。
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2019 年 06 月 10 日 15:36
「面白さ」を発見するコツ
仕事の中に、自分自身が「面白い」と思えることが見つけられたとしたら、見つけられないままでいるよりは、その時間は楽しくなるはずです。この面白さを発見するセンサーを、もし磨くことができれば、毎日の仕事が楽しみになるのではないか。そんなことを考えてみました。
例えば、売り場づくり。決められた位置に商品を置くだけでなく、季節に合わせて少し変化させてみる。すると思った以上に売れ行きが変わる。POPを書いてみたり、並べ方を変えてみたり、色を揃えてみたり。その変えたこととその結果を記録してみたり。そんな風にしていくと仕事が面白くなったという人がいました。
接客でも、同じかもしれません。声の掛け方、トーン、タイミング、内容、目線、表情。どれかを変えてみるだけでお客様の反応が違うはず。相手の気持ち、状況、世代によっても変化させるとより結果が変わるかもしれません。ある試食販売の達人は、買い物かごの中身をみて掛ける声を変えてみるそうです。
映像の面白さは、カットとカットをどうつなぐか、何からスタートし、何で終わるか。数秒のカットの積み重ねで効果が変わります。しかも、それを見せる時に、ただ見せるより、何かを語り合ってもらってから見てもらうと、視聴後の感想が大きく変わります。25年もやっている仕事ですが、毎回、発見の連続なので、面白くて仕方ありません。
仕事の中に、面白さを発見するコツは、同じことをしないこと。小さくトライし、その結果を自分でフィードバックし、また次を考えていく。その中できっと面白くなっていくはずです。もうひとつのポイントは自分主導でやること。自分で変化させていくことで世界が変わってみえてくると思います。
仕事は降りてきますので、「やりたいこと」ばかりができる訳ではありませんが、「やりたいようにできる」余地は必ずあります。マニュアルを抑えつつも、そこに自分なりのトライをしていくことが大事な気がします。
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2019 年 06 月 05 日 09:05
社員へのシンプルなメッセージ
バグジーの久保社長は、社員の人たちにいつも「お客様は大事な家族だと思って接しよう」というメッセージを伝え続けておられます。もし、そのお客様が自分の家族だとしたら、何をしてあげると喜んでくれるのか。それだけを考えて仕事をすればいい。そんなシンプルな言葉の中で社員は自分達ならではの発想と行動で動きだしています。
道頓堀ホテルの社員に対するメッセージもいたってシンプル。「お客様に日本を好きになって帰っていただこう」。その一言で社員は自分ができることをやり始めています。しかも経費を使うための稟議書も事後の報告もいらないという仕組みがバックにありますから、それぞれが考えて行動します。
また、自然派化粧品の「ハウスオブローゼ」という会社のメッセージは、私の好きな言葉のひとつです。「ありがとうと言われるような商いを続ける」。以前伺ったその言葉は、私にとっても指針のひとつになっています。
こうしたシンプルなメッセージは社員の心の向きを揃えます。あまりにシンプルすぎて、最初は何をしていいか、迷ってしまう人もいるのかもしれませんが、働く人にとって、「あれはしてはダメ」「こうしなければダメ」と細かく行動を規定されるより、何倍も楽しい環境であることは違いありません。
人がいきいきと働くという職場づくりを考えた時に、私は、これからの組織づくりには、「自由に行動できること」「自分らしさが発揮できること」という、2つの要素はどうしても大切になる要素だと思っているのですが、それを実現するためにも、やはり、社員の心が震えたるような言葉必要です。
その言葉は、もちろん、経営者の信念とリンクしていなければならないはずですし、ありきたりな言葉ではその企業らしさは発揮されません。長い言葉より、短い方がいいでしょう。しかも、それが社員も共感したくなるようなものでなければならないはず。
考えれば考えるほど、そう簡単に生まれてくるものではないのかもしれません。
「もっと、人のお役に立とう。」「笑顔になって帰っていただこう。」「ありがとうと言われる仕事をしよう。」
あなたの会社には、どんなメッセージがありますか?
もしなければ、どんなメッセージがあれば心も体も動き出していきますか?
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2019 年 05 月 28 日 10:20
心の時代に繁盛する小さなお店
東京の代々木八幡に「splash」という小さな美容室があります。小さな店ながらも地域で大人気のこの店は、私も東京にいる時は利用しています。この店の魅力を一言でいうのは難しいのですが、お客様が心置きなく自分の家にいるような気持ちになるアットホーム感です。子供のカットも評判で家族で利用するお客様がたくさんいます。
誰もが伸び伸びと、その人がその人らしく画の代表の小林さんのポリシー。お客様が自発的につくる「splashの会」というサークルがあるのですが、そんな人たちが作りだす空気感にたくさんのお客様が魅了されているようです。
こんな美容室の繁盛ぶりをみていると、お客様のニーズがどんどんと「心を満たす」方向に向いているような気がします。カットの上手い店、美容室として有名な店はいろいろありますが、その人にとって落ち着ける店や心が安らぐ店にはかないません。意図されずに作られる、この空気感という差別化商品は競争が激化すればするほど光輝いていくものだと思います。
その空気感をつくるのは、やはり経営者が社員をどう見ているかという「哲学」なのだと思います。社員を使う、コストとして利潤をめざす店なのか。その人の人生を考えながら、成長や幸せを第一に考える店なのか。そんな思想の違いが社員の心の違いになり、空気になっているのでしょう。
カットしてくれた社員の人に、「この仕事の魅力は何ですか?」と伺うと、「お客様の人生に寄り添えること」だと笑顔で話してくれました。長く通ってくださるロイヤルカスタマーの存在が社員の生きがいになっている、素晴らしい関係がありました。
資本がなくても、たとえ規模が小さな存在でであっても、そこにお客様に選ばれる価値さえあれば、どんなに競争が激しくなったとしても生き残っていける。人材不足の時代でも、人が働きたく店ができる。そんな勇気をもらえるのがこのお店です。 小田急線代々木八幡駅から5分。ぜひ機会があれば通ってみてください。
美容室スプラッシュ https://www.hairsplash.net/
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2019 年 05 月 21 日 09:06
仕事をしていて楽しいと思うことがありますか?
今回も「仕事への意欲・楽しさ」がテーマです。
以前、マイナビさんが、こんなシンプルなアンケートを実施したそうです。
Q.仕事をしていて楽しいと思うことがありますか?
この結果は、「はい」・・・57.4%、「いいえ」・・・42.6%となっていました。
こういう2択のアンケートはわかりやすい結果がでる半面、実際のところ、なかなか2つに絞ることはできないのが本音ではないでしょうか。その時は辛くて、大変で、プレッシャーがあって腰が引けるような仕事をしている時に、「楽しいですか?」と聞かれると、「楽しい訳ないよ」と言ってしまうことがあると思いますが、その仕事がうまくいったり、修羅場を乗り越えることができた時に、「あの時は意外と楽しかった」と言えるようになっていることもあります。だから、「いいえ」と答えた人の中にも、本当は楽しいと感じている人もいるのかもしれません。
仕事が楽しいと思う私にとっては、「楽しいと思ったことがない」という人が4割もいるということが気になります。この設問には「(過去一度も)楽しいと思ったことがない」ということも含んでいると思うのですが、一度もないということは、あまり幸せではなく、毎日を暗い気持ちで過ごしておられる人を想像します。
これが10人中2人くらいであれば、そんなに問題には感じませんが、もし職場に4人もの人が、暗い顔で働いていると想像してみてください。きっとその職場では「愚痴や不満」が陰で出ているような気がします。
悪い噂がすぐ広がるように、時間の経過と共に、楽しい人も巻き込まれて、いつの間にか「楽しくない」割合が増えていくような気がします。(もちろん逆の可能性もありますが・・・)
そもそも、仕事とは楽しいものなのでしょうか?
どうすれば「仕事」が楽しくなっていくのでしょうか?楽しみ方という言い方をすれば、ストレス発散法などのいろんなやり方があるのかもしれませんが、そういった小手先の楽しみ方ではなく、心から「この仕事は楽しいな~」と、自分の天職のように思えるようになるということが、本当の「楽しい」です。
私は、そうなるためには、やはり一度、本気になって仕事に向き合う時間が必要だと思っています。
最初は「楽しいとか楽しくない」というものではなく、「やらなきゃ!」ということでスタートする。そして、その時に「逃げずにやるぞ!」と思うか、「やらされ感」を言い訳にダラダラやるか、という第一の分かれ道があるのでしょう。
そして、例え前者の道を行った人であっても、「逃げずにやったけど嫌な体験だった」という気持ちが残ってしまう人が何割かいて、何割かの人が「逃げずにやってよかった。成長できた気がする」という手ごたえを感じることができる。「頑張ったのに、出来なかった。悔しい。もう一度やってやる」という悔しさを感じる人も何割かいるでしょう。私は、この後者2人の人が、いつの間にか「仕事は楽しい」という気持ちになっていくのだと思っています。
仕事には決断を迫られる時があります。その分岐点で、どんな道を選んでいくか?
私の経験では、「苦しい道」のを選んでいく人の方が、「仕事って楽しいな」と言っておられる気がします。
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2019 年 05 月 14 日 09:35
日本人のやる気の低さは誰のせい?
あるネット記事を読んでいて、気になることがありました。エンゲージメント(組織への貢献意欲)を調査するタワーズワトソンという会社が国際的な調査をした結果、日本人のやる気の低さはG8で最下位。以前にも同じような調査があったので驚きませんが、これからの日本、これで大丈夫なのでしょうか?
「非常にそう思う、どちらともいえない、全くそう思わない/思わない」の3択だったので、「非常にそう思う」だけで比較をしてみました。
問い① 「私は会社の目標や目的を大いに信じている」 世界68%・日本38%
問い② 「私はこの会社を良い会社として推薦できる」 世界67%・日本42%
問い③ 「私は会社の成功のために求められる以上の仕事をしたいと思う」 世界78%・日本49%
問い④ 「私はこの会社で働くことを誇りに思う」 世界72%・日本47%
皆さんはこの数字をどう思われますか?
低成長時代が長く続いたこと。目標管理で社員をしばりやる気がなくなったこと。以前より挑戦やチャレンジさせる余裕がなくなったこと。部下からみて魅力ある上司が減ったこと。プレイングマネージャーが増え、部下とコミュニケーションが減り、認めてもらえないことでやる気が下がっている・・・。その原因はいろんな要因があると書かれていましたが、確かにそんなこともあるのだろうと思うところもありますが、実はあまりどれもピンときていません。
仕事柄、よく日本の会社の歴史を調べる機会がありますが、日本の会社の多くは、素晴らしい理念を持ち、世界の人たちを喜ばせる素晴らしい商品やサービスをつくっている会社ばかり。大企業もそうですが、中小企業にも素晴らしい会社があります。どの会社も激動の時代に崇高な理念、理想に燃えて創業されたすごい会社ばかりです。優れた技術、理念、素晴らしい人財・・。それなのに、中で働いている人がそれを誇りに思えないのはなぜなのか?情報と実態が違うのでしょうか?もし、そうだとしても、その人が理念に向かって仕事をしているならば、他はどうであれ、自分自身は誇りを持っているはずです。
また、自分自身の仕事が「つまらない仕事」「誇りのない仕事」だと思っているのだとすれば、なぜ転職もせずに、そのことをいつまでもやっているのでしょうか?さらにいえば、例え上司に認められなくても、自分自身が全力を尽くして「いい仕事ができた」と思えば、達成感や充実感は感じられるはず。しかし、多くの人は、他人に「良くやった」と言われないとやりがいを感じられないと思う。「燃えて働くかどうか」は結局自分自身のことなのに、なぜか外側の問題ばかりがクローズアップされていて不思議です。
皆さんは、この調査をどうご覧になれますか?「会社が悪い」、「世の中の流れがそうだからしかたない」と思う人もおられるかもしれませんが、もし、組織の中に意欲のない人が多くなっては、若い人たちは別の道を探すか、仕事以外に燃える場所を探し始めるはずです。そんな日本に未来はありません。子供たちに働く素晴らしさを教えてあげたい。ますますそんな気持ちが増してきます。
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2019 年 05 月 08 日 17:44
気持ちの切り替え
春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりが明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そんな日本でありたいという願いが込められた「令和」の時代がいよいよ始まりました。西暦表記の方が便利だという声もありますが、時代が変わる感覚が大きい元号は気持ちがリセットされていいものだと思いました。
さて、いよいよ長い連休が終わり、ビジネスがスタートします。また仕事が始まるのかと憂鬱な気持ちになっている人、よし、頑張るぞと張り切っている人。いろいろな人がいると思いますが、もし気持ちがネガティブになっている人がいるとすれば、気持ちの切り替えには次のステップが大事なのだそうです。
まずは、自分の抱いている気持ちに目を向けること。自分は今、憂鬱なんだ、ネガティブなんだと再認識することがスタートとして大切なのだそうです。次にそれを止める。気持ちの向き方を止めるのは難しいことですが、私の場合は「諦める」ことで気持ちの向き方を止めたりします。どうあがいても仕事が始まるんだから、あれこれ考えてもしょうがない。くよくよしても何も良くならない。そう思うことでマイナスになりそうな気持ちを止めることができます。最後が切り替えるということですが、まずは目の前のことに意識を集中させること。過去に意識が向かないようにしていけば、徐々に気持ちは前向きになっていくはずです。
要は、最初から無理やり切り替えようとするのではなく、自分の気持ちを認識する、止めるというステップを踏むことが大事なのだそうです。
たぶん、多くの人は連休明けの怒涛のような仕事に悩む暇もなく進んでいかれると思いますが、令和元年のスタートです。どうせなら明るい気持ちでスタートしたいですね。
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2019 年 04 月 26 日 17:45
類人猿分類とチームづくり
先日、ある方から「類人猿分類」というものが流行っていると伺って、早速本を買ってみました。
これは、人間に近いとされる大型類人猿、チンパンジー、ゴリラ、オランウータン、ボノボ。それぞれの性格・性質をベースに人の個性を分類するというものですが、「自分の感情を出すほうか、出さない方か?」「物事を追求し成果をあげることを望むか、安定・安心を維持することを望むか?」という、たった二つの質問で自分は何に当てはまるかがわかります。
感情を出す+追求型のチンパンジーは勝ち負け重視の積極派。エネルギッシュに動き回り、自己主張のできる情熱的な人です。感情を出す+安定・安心型のボノボは空気が読める話好き、いつもみんなの輪の中で楽しく人。感情を出さない+追求型のオランウータンは職人気質のこだわり屋。論理的思考を持ち、ひとつのことを極める集中力がある人。最後の感情を出さない+安定・安心型のゴリラは平和主義の安定志向の人。準備力やルーティンを得意とし縁の下の力持ちとして働く人だそうです。
これはただの遊びのようにも使えるのですが、これを会社の人事に取り入れてチームワークや人間関係の向上につなげた会社もあるそうです。自分の性格を知ること、相手の性格を知ることで、相手の言動にイライラすることがなくなったり、それぞれの人の個性が生きる役割を与えていくことでチーム力を高める効果もあるということで、企業の中でも話題になっています。
実際にブロックスでも社員を類人猿に分類してみましたが、それぞれの個性がぴったりと当てはまっていました。そのうえで改めてチームを見てみると、個性があるからこそ、チームはうまくいくのだということがわかります。リーダーとして積極的に行動するチンパンジーばかりでは衝突が生まれたり、暴走することがありますが、ボノボがいてくれるから雰囲気が良くなり、冷静に指摘してくれるオランウータンがいるから、間違った方向に向かわない。そしていつも縁の下で静かに支えてくれているゴリラがいるから、チームは安定します。それ以上に、それぞれが「自分らしく働けている」と感じるときほど、楽しいことはないのではないでしょうか。
ちなみに私は「チンパンジー」でした(笑)。皆さんもぜひお試しください。
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2019 年 04 月 15 日 15:41
社会人と感謝力
4月も半ばが過ぎました。今年もたくさんの新入社員が社会人の仲間入りし、今、研修を受けたり、現場で四苦八苦している頃ではないでしょうか。
学生時代は、学業が本業なので、人との付き合いというのはあまりありません。自分の好きな人だけと付き合い、お互いが理解しやすい同年代と過ごすので、敬語を使う場面もあまりなく、友達会話でも通用します。社会人ほど約束に対する責任感がありませんから、少々約束の時間に遅れても怒られることはありません。
しかし、社会人になると、自分が嫌いな人とも付き合わなければなりませんし、年の離れた人や立場の違う人との付き合いが出てきます。みんなが忙しく働く社会の中では「時間を守る」というのは必須条件です。こういう状況の変化に戸惑ってしまうのが新入社員の一年間なのだと思います。
では、新入社員の時代が終わり先輩社員になるとこの戸惑いがなくなるのか?というとそうでもなさそうです。例えば、こちらが時間を守って訪問した先で何時間も待たされてしまったり、しっかりとやったつもりでも、別の件で叱られたりというようなことは多々あります。
こんな時、私たちはつい、「なんだ、せっかく時間を守っているのに」と怒りを覚えてしまうのですが、私は、昔、先輩から、そんな時こそ「ありがたいと思え」と言われたことを思い出します。「お客様も忙しいんだ。時間を作ってくださるだけでもありがたいんだ」。そういってイライラすることの無駄を教わりました。
そう教わってきたにも関わらず、今でもつい、イラっとすることもあるので、自分ができているわけではないのですが、今思うと、仕事を円滑にしていくためにも、いきいきと働いていくためにも、やはりこの「感謝力」が何事においても大事な気がします。電車が遅れた=考える時間が増えた。注意された=アドバイスをもらった。失敗した=失敗しない方法をひとつ学んだ・・・。感謝の気持ちがあると、なんだって前向きに受け止めることができます。トラブルの時ほど、ありがたいと思う。ひとつのスキルでもあるし、生き方でもあるのが「感謝力」。新入社員の皆さんには、ぜひこの「感謝力」を身に付けてほしいなと思います。
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2019 年 04 月 11 日 09:53
脚下照顧
新しい元号「令和」が決まり、来月からいよいよ新しい時代が始まります。また、新年度を迎えて、新入社員の皆さんが社会人となり、今年の春は、いつも以上に盛り上がっているような気がします。
私も、こうした変化の機運が好きですが、こうした時ほど自分の足元をちゃんと見ておかないといけないと先人は教えてくれています。私のまわりでも、出来ていると思っていたことが、出来ていなかったり、当たり前のことが出来ていなかったり、いろんなことが日々起きています。ハインリッヒの法則ではないですが、こうした小さな気のゆるみが、いつか大きな問題につながっていくはずです。そんなことを考えている時に、昔、親から聞いた話を思いだしました。
禅に由来する言葉に「脚下照顧」(きゃっかしょうこ)というものがあります。この言葉は「自分の足元も見よ」という意味です。私の生まれ育ったのはお寺のような場所でしたので、親からもよく注意されました。例えば履物が揃っているか。「履物の乱れは心の乱れ、次の人のことを考えてちゃんと揃えておきなさい」というような時にこの言葉を聞きました。
しかし、本当は足元だけでなく、自分自身を還り見ることの大切さを教えている言葉です。人に何かう前に、自分自身を振り返ることを忘れてはいけないというのが本来の意味でしょう。この言葉が大事にされているということは、つい忘れがちになることだからだと思います。特に、順調な時ほど、足元が乱れているのかもしれません。
人に言う前に、まずは自分の足元から。まず自分自身の足元を見ていこうと思います。
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2019 年 04 月 03 日 09:52
平成の最後に考える「これからの組織」
私たちブロックスの理念でもあり、研究していることは「いきいきと楽しく働ける会社づくり」です。
先日も社内の勉強会(講師:山崎宣次氏)で「人間がいきいきと働ける組織」について考えていきました。
従来の経営理論は、どちからというと「人間をいかに効率的に働かせるか」という視点での理論ばかりでしたが、その中で働く人が息苦しくなり、病気になる人も出てきています。では、人間が人間らしく、いきいきと働ける組織とはどんな組織なのか。皆さんはどんな組織をイメージされるでしょうか。
いきいきと働けているというのは、仕事をしている中で、それぞれの人が喜びをたくさん感じられる場面が多いということです。
仕事がうまくいく、会社から認められる。これはわかりやすい喜びですが、内面的に自分の成長を感じた瞬間とか、今までより優しくなれたとか、心の変化を感じる時も喜びです。
自分の仕事が、社会に役立っているということを感じた時も嬉しいですし、自分の努力で今までにないものを生み出せた時などは、一生の思い出になるはずです。
山崎さんは、人間がいきいきと働くための条件として、「創造性」(自分らしく考えられる)を発揮できること、「活動性」があること(自分から行動できること)、社会性があること(人から認められること)の3つだと言われます。
この3つを生み出す鍵が「自律性」。「自ら考えて、自ら行動すること」が尊重され、奨励されるような職場があって初めて、人はいきいきと働ける。
しかし、いくら自律的であっても、バラバラではうまくいかないので、やはり「同じ理念、使命感」で働いていくことが不可欠です。
同じ思いの人だからこそ信頼して自律性を発揮できるのだと言われています。
しかし、多くの人は、なかなか思い描くようにいきいきと働いてはいないようです。やる気がそがれることも多いでしょうし、人間関係に悩む人もいます。
人手不足もあって、追いまくられるように仕事をし、疲れきってしまっている人もいるのが多くの企業の現実です。
社員みんなが仕事が楽しいと思い、会社に行くのが楽しみになるような会社。ワクワクして日々が過ごせる会社。確かに理想のようにも映るこういう組織づくりは、無理なのでしょうか?
確かに難しいことばかりで、諦めてしまいそうにもなります。それでも、この10年間の間でも、人間がいきいきと働く会社が増えてきました。
DOIT!シリーズでも、この25年の間でたくさんの企業を紹介させていただきました。
最新作「王宮 道頓堀ホテル」さんも、疲弊感があふれていた会社を、みんながいきいきと働ける組織に変革させた事例です。
30年続いた「平成」という時代がもうすぐ終わろうとしています。次の時代はどうなっていくでしょうか。
もっと「人間がいきいき働ける組織」が増えていて、それがスタンダードになっている。私はそんな希望を持っています。
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2019 年 03 月 28 日 17:48
「新入社員研修」と「仕事観」
大学生や高校生に「働くこと、仕事をすることのイメージ」を聞くと、「自分を成長させたい」というポジティブな声もある一方、「辛そう」「大変そう」「しんどそう」などのネガティブな声も少なくないそうです。ブラック企業などの情報の影響や、大人が働く姿を近くで見たことがないという環境の問題、要因はいろいろあるそうですが、働くイメージを上手く持てないまま、就職先を決めてしまう人が多くなっているそうです。
もちろん、そんな人ばかりではありません。働くということを前向きにとらえ「成長するぞ」と高い意欲で入社してくる人もたくさんいます。本当は学生時代に考えるべきことなのに、「働く」ということを考える機会が少ないまま社会人になっている人が増えているのかもしれません。
しかし、この「働くイメージ・意識」は、入社後の「成長」に大きな影響を与えます。学生時代の「仕事は大変だ、辛いものだ」という意識のままで1年を過ごすか、「大変なこともあるけれど、これを超えると成長につながる」という意識で過ごすか。1年たった時、同じ仕事をしていたとしても、「成長」はかなりの差になるのではないでしょうか。即戦力を育てたいと思う企業は多いはずですが、だからこそ、早い段階でしっかりと「良質な仕事観」を身につけることが大事な気がします。
私たちが発売している「志GOTO人シリーズ」は、そんな若い世代の人たちに「仕事とは?」「働くとは?」ということを考えていただくための映像です。ご覧になられた方もいると思いますが、このシリーズは、「いきいきと前向きに働く人」の仕事の現場と仕事への考え方をドキュメンタリーで映し出す映像です。
ここ数年、私たちは新人研修でこの映像を見ていただく機会を何度も作ってきましたが、働くことに対する不安を持っている新人は、思いのほか、この映像に興味を示して見てくれます。
映像を見て新人同士で話し合ってもらうのですが、そこで、それぞれの「仕事観」が出てきます。「仕事を通してもっと成長していきたい」と思う人いれば、ネガティブな仕事観のままの人もいます。お互いの意見が交わされていく中で、少しずつ意識が変わっていく人もいます。最後の感想には、「いままでの仕事のイメージが変わった」と書いてくれる人もいます。「前向きに働く、仕事を楽しいと思って働く人」のドキュメンタリーは、あまり、今まで見たことがない人が多く、ほとんどの人がびっくりするようです。
従来、「仕事観」は、働く中で上司の姿や頑張る先輩と働く中で自然と醸成されていくのが普通です。しかし、どんな人に影響されるかは配属された先で決まります。前向きな人に影響を与えられると幸せですが、後ろ向きの人に出会うこともあります。
だからこそ、配属前の新人研修で、仕事観を語り合うことに意義があるのでしょう。「いろんな仕事観があること」や、「仕事は楽しい」という人がいることなど、「仕事観」の違いに触れるだけも、自分の仕事観を考えるきっかけになるはずです。
仕事は確かにしんどいし、辛い。やりたくないこともあるし、学ぶことも山のようにあります。しかし、この状況にどんな意識で向き合うか。この意識を育てることが、これからの新人研修の大きな役割だと思います。
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2019 年 03 月 20 日 17:10
脱マニュアルの時代
山形新幹線のカリスマ車内販売員として活躍された茂木久美子さん。以前からのお付き合いですが、この間、久しぶりに講演を聞く機会がありました。山形~東京往復で売上が7~8万円が平均なのだそうでうすが、茂木さんは50万円も売上をあげるような人でした。そんなに売上をあげるのは、声をかけて、商品説明して・・・と思われるかもしれませんが、彼女がやってきたのはお客様から声がかかりやすい空気をつくることだけ。雑談をしたり、車内を笑わせたり、自分が自分らしく楽しく働くことでファンが増えていったそうです。
彼女の話で印象に残ったことがあります。それまでは会社から教えられたマニュアル通りに仕事をすることが自分の仕事だと思い、効率を重視し、標準語を使い、決められた通りに動いていました。そんな時に、あるおじいさんが茂木さんに話しかけてこられました。「お前はどこの出身だ・・・?」。かくしていた方言に気づかれたと思い、その時に「めんどくさいな」と思い、適当に話をしてさっと移動してしまったそうです。話をしたがっているお客様にどう対応したらいいかなどマニュアルに書いていないからです。その後、彼女はとても後悔したそうです。「自分のおじいさんのような人なのに、効率ばかりを考え、面倒だと思ってしまう自分。人としてどうなのか」と。マニュアル通りに動くことに頭も体も慣れしてしまい、もともとの自分をなくしていたことがショックでした。そこから、マニュアルを超えて、自分らしく対応しようとかくしていた方言を出したり、雑談をしたり、接客を変えていったそうです。そこから先に書いたような活躍が始まったのです。
接客マニュアルは確かに大事なものかもしれませんが、そこ書かれているのが単に動作のことで、心のあり方まで書かれていません。動作・形ばかりにとらわれるあまりいちばん大事な「人としての心」を忘れてしまっていないか。茂木さんの話は、マニュアル・効率一辺倒の今のあり方に警告を鳴らされているような気がしました。マニュアルを超え、人としてのふれあいや心の交流をしたことで逆に売上があがっていったということをみても、今、消費者も「ロボットのような対応」より、親身で人間らしい対応のほうが安心し、好きなのだと思います。
高度成長期の多店舗展開の時代は、標準化やマニュアルは企業成長・拡大の基盤になっていたのかもしれません。しかし、私たちは、それは人間を否定するようなものだということにも気づいてきました。人の心、人の可能性を信じる時代が近づいてきているように思います。
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2019 年 03 月 12 日 09:24
仕事へのこだわりと向上心
先日、観光バスの会社で11年運転手をしている方(Aさん)と、同じ会社で6年間バスガイドをしている方(Bさん)にインタビューさせていただく機会がありました。短い時間でしたが、会社を代表する「いきいきと働く社員さん」として仕事の喜びや成長についてお話を聞きました。
お二人の職種は別々ですが、いきいきと働く人には共通点がたくさんあります。ひとつは、仕事そのものに喜びを見出しているという点。仕事の喜びややりがいはとかく何か成果を出して認められたり、褒められたりすることで得られるものと思いがちですが、実は仕事の小さな実践の中にも喜びがたくさんあり、いきいきと働いている人は、その喜びを感じておられるようです。
ドライバーのAさんがいちばんこだわっているのは安全に運転すること。自分の心の状態こそが、事故につながると常に自分の心を平静に保つことに執念を持ち、それを実践しておられます。それ以外にも、道を間違えない、お客様全員に挨拶をすることなどプロとしてのこだわりは細部にわたっていました。喜びを感じるのはそうしたこだわりがうまく達成できた時や、新しい観光地に行くことで視野が広がることだそうです。もちろん結果としてお客様から「ありがとう」という言葉をもらえることも喜びだということですが、それだけではないのです。
ガイドさんも、嬉しいのはお客様から感謝された時だけではないと仰っていました。自分が観光地で体験した生の情報を自分の言葉でお客様に伝えた時に、単なる「説明(ガイド)」を超える「お客様との心のつながり」を感じた時や、終わった時に運転手さんからも「今日のガイドは良かったね」と言われる時も仕事の喜び。仕事の範囲が広がって日本のあちこちを自分がガイドできることも、この仕事に醍醐味を感じることだそうです。こうした喜びは、「働きがい」という言い方もできます。このお二人は毎日が喜びにあふれ、本当に充実しておられました。
しかし、日々の仕事がつまらない、認められないという人と喜びを感じられない人と何が違うのでしょうか。いろいろな違いがあるのだと思いますが、この二人から共通して感じることは、小さなことにこだわりを持って、高め続けているということです。「仕事のこだわり」とは人から見えにくいもの。しかし、評価基準を自分が持っている訳ですから、人の評価はそれほど気になりません。自分のこだわりの基準が達成されたときに無情の喜びを感じる。しかし、しばらくするとさらに上を目指したくなり、常に100点はない。こうなってくると趣味なのか、仕事なのかわからないでしょうね。
何かを成し遂げ、誰かが認めてくれるという喜びも、喜びのひとつなのでしょう。しかし、そこばかりにフォーカスをすると「認めてくれない」という不満が出てきそうです。
皆さんは、どんなところに仕事の喜びを感じていますか?あなたのこだわりは?常に高みを目指している技術は何ですか?
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2019 年 03 月 06 日 18:03
自社の商品に惚れ込んでいるか
先日、ある商品を扱う販売店の皆さんやメーカーの皆さんが一同に会する勉強会に参加させていただきました。15周年のイベントです。驚いたのは、そのほとんどの人が商品のユーザーで、自分が使って良かったから人に薦める仕事を始めたという人達でした。
自分が使って良かったからという説明ほど、説得力があるものはありません。一人一人が体験を熱く語られている姿をみて、改めてその力強さを感じました。
食品を扱うお店でも、儲かるからという品揃えより、自分が美味しかったからと薦めてくれる店の品揃えの方が個性豊かです。
バイクの店でも、「バイクを乗る楽しさ」や「バイクへの愛」を熱く語る店主がいる店の方が行ってみたいという気持ちになります。
お客様の心が動くのは、流ちょうな商品説明やプレゼンテーションの技術ではなく、その人が自分が体験した感動とそれを人に分けてあげたいという気持ちなのだろうと思います。
その勉強会の主催者である会社の社長もスタートは自分の感動だったそうです。日本で初めて使ってみて、「この商品の素晴らしさを少しでも多くの人に分けていきたい」という思いが湧きおこったそうです。それが事業の理念となり、その感動の連鎖で全国に商品が広がっていったそうです。
自分の会社の商品に惚れ込む。これは昔から言われていることですが、ただ自分本位で惚れ込んでいても意味がありません。自分が使ってみて本当に良いと思う。感動する。消費者と同じ立場での「感動」だけが、人に伝わっていくのではないでしょうか。
皆さんは自社の商品に惚れ込んでいますか?感動していますか?
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2019 年 02 月 26 日 10:15
「極めていくこと」の面白さ
先日、ブロックスでは、志GOTO人(しごとじん)シリーズの最新号「仕事を極める」を発売させていただきました。このシリーズは、組織全体にスポットを当てた「DOIT!シリーズ」と異なり、「いきいきと働く人・チーム」にフォーカスを当てたドキュメンタリー映像です。これまでも、いろんな業界の働く人をご紹介してきましたが、今回は、明治安田生命さんのコールセンターで働く田中みきさんを取材させていただきました。
お客様からの様々な問い合わせに対応するコールセンター。幅広い商品知識や状況に応じた高い応対スキルが求められます。田中さんはその最前線で仕事を続ける11年目のベテランスタッフ。彼女の仕事に対するひたむきさや、明るい姿勢は周りの人にも影響を与え、社内でも数名しかとれない「S級」の資格を持っているという社員さんです。
今回の映像のテーマでもあるのですが、田中さんは、いつも「もっとよく出来ないか」と仕事に工夫と改善を続けておられます。知識を更新すること、応対のレベルを高めること、声の工夫、話し方・・・その向上心は留まることがありません。映像ではその様子を取り上げさせていただきました。
ただ、毎日同じように仕事をこなしているだけだと、自分の能力はあがっていきません。確かに仕事は一定レベルでこなせるようになりますが、自分の知識も能力もレベルも一定。ワクワクするようなことも少なくなってきます。
しかし、同じ仕事をしている人でも、この田中さんのように、「もっとよくできないか」「もっと高い技術が身につかないか」と、自分の知識・技術を高め続けて